ページ番号1002702 更新日 平成30年2月16日

イラン:South Pars プロジェクト入札書類を米国企業も購入、イラン側はバイバック契約の見直しを検討へ

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レポートID 1002702
作成日 2001-01-01 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発企業
著者 猪原 渉
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年度 2000
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ イラン:South Parsプロジェクト入札書類を米国企業も購入,イラン側はバイバック契約の見直しを検討へ (2000 MEES 11/20,11/27,12/11,MEED 11/24,PIW 12/4,ECOMP 12/1,UPSTREAM 12/8,JNOC-ME000344) 視点 1.South Parsガス田開発プロジェクト(フェーズ9~12)の入札書類を米国石油企業も購入。 経済制裁解除に備え,着々とイラン市場参入へ向けての布石を打つ。 2.一方イランは外資参入を促進させるため,バイバック契約の内容を見直しへ。 契約期間の長期化,インセンティブ制度の導入等を検討している模様。 3.その他のイラン石油・ガス開発プロジェクトも,活発な動き。 .South Parsガス田開発プロジェクト 1 入札が行われているSouth Parsガス田開発プロジェクトの第9~12フェーズで,同プロジェクトに関心を示す多くの国際石油会社が見積提出用入札書類を購入しているが,その中には対イラン経済制裁を続ける米国の石油会社も含まれている。また11月上旬にテヘランで開催されたエネルギーセミナーには,ExxonMobil,Conoco,Chevron,Occidental など米国の主要石油企業の参加が伝えられている。イラン市場への参入で欧州勢に大きく遅れを取る米国石油企業であるが,2001年8月に期限切れを迎えるイラン・リビア制裁法(ILSA)の解除を想定して,着々と参入へ向けての布石を打っている。 イラン最大のガス田であるSouth Pars開発プロジェクトは,2000年8月に,石油会社と建設エンジ会社を対象に,国内用途向けのフェーズ9,10とLNGプロジェクト向けのフェーズ11,12に関する入札が開始された。入札業務を担当するPars Oil and Gas Companyによれば,入札は同年12月23日に締め切られ,4ヶ月以内に契約先を決定する予定である。 MEES誌によれば,入札書類を購入した企業グループは23グループに上り,その中には,欧州のBP,BG,RD/Shell,TotalFinaElf,Eni,日本の丸紅,JGC,トーメン,住友及びイランのPetroPars,Iranian Offshore Engineering and Construction(IOEC)の各社が含まれている。また7グループには,主要な米国石油企業が含まれているといわれ,South Pars開発プロジェクトに対する関心Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - フ高さがうかがわれる。 米国企業名は公式には明らかになっていないが,Chevron の関係者は,書類を購入したことを認めた上で,「我々は内部での研究目的のためにSouth Parsフェーズ9~12に関するガス田データを購入したが,これは法的に問題はない。ただし現時点では,制裁法の制約により本プロジェクトに対する応札は一切できない」とコメント,同社のオレイリー最高経営責任者(CEO)はこれに関連して11月14日,「対イラン経済制裁の早期解除を希望する」と語った。またAzadegan油田開発への参入の意向を持っていると噂されるConocoの幹部は,12月初め,米国次期政権が1年以内に制裁を解除するとの見通しを示した。イランへの参入意思のある米国石油会社は,今後,石油業界とのつながりが深いブッシュ新政権に対し,制裁の早期解除を求めて様々な働きかけを強めるものと予想される。 2.バイバック契約の見直しを検討 イラン議会はバイバック契約の見直しを検討することを決定した。積極的な外資導入により石油・ガス開発の促進を図るイランは,バイバック契約方式をより魅力的な内容に見直すことにより外資の参入意欲を一層高めたい考えである。 現行バイバック方式の外資側にとっての問題点は主に下記2点である。 (1)契約期間が短いため(10年程度),個々のプロジェクトへの長期的関与が不可能 (2)コスト超過発生時の超過分はすべてコントラクター側のリスク 議会には「現行バイバック方式で外国企業は巨利を得ており,イランの国益が損なわれている」と主張する一部保守派も存在するが,Ahwaz-BangestanやSouth Parsといったビッグプロジェクトへのスムーズな外資導入を進めるためには外国企業にとってより有利な内容での契約改定が不可欠であるとの認識を持つ外資導入推進派議員が多数を占めているといわれる。 バイバック契約の具体的な見直し内容は公式には明らかにはなっていないが,外資側の抱く上記の不満点を緩和する方向での検討になりそうであり,「契約期間の長期化」が改定内容に盛り込まれる見通しである。これにより,今後は,大型案件への外資の長期的関与が認められることになり,外資側のメリットだけでなく,イランにとっても,外資の持つ先進技術や経営ノウハウを長期にわたり導入することによりコスト低減や競争力の向上が図れるという大きなメリットが期待される。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - また,外国企業に対する新たなインセンティブとして「ボーナス/ペナルティー条件」の導入が検討されている模様であり,契約期間内に目標生産量を上回る量を生産した場合外国企業は一定の報酬を受け,下回った場合はペナルティーを課せられるという内容となる見込みである。 ただし今回のバイバックの見直し検討により,現在契約交渉中のDarquain油田(Eniが優先交渉権),Chesmeh Khosh油田(Cepsaが優先交渉権),Ahwaz-Bangestan油田(RD/Shell,Eni,TotalFinaElf,Lasmo,BPの各社が交渉中か?)の契約締結が更に遅延する恐れが出てきた。 3.イラン石油・ガス開発最近の動き 上記以外のイラン石油・ガス開発の最近の動向について,下記に要約する。 (1)NIOCがStatoilと協力関係構築で合意 NIOCとStatoilは,11月20日,今後の両者の協力関係構築を柱とする合意書に調印した。 Statoilはノルウェー以外の海外への事業展開の拡大を目指しており,中東,特にイランはその コアエリアとして位置付けられている。 Statoilによれば,今回の合意はあくまで予備的な合意であり,今後,「オマーン湾での探鉱」 「石油増進回収」「GTL技術」「Salman油田の更なる開発」の4テーマについて,NIOCとの共同 スタディーを進める予定である。 (2)Agha Jari油田開発プロジェクトはイラン企業と契約へ Pedec(NIOC子会社で入札業務担当)がengineering,procurement and construction(EPC) 契約による国際入札を実施しているが,MEES誌によれば,契約先はイラン企業となる見込みで あり,外国企業はサブコントラターに回る可能性が高い。 同プロジェクトは第2次バイバック案件のひとつであり,ガスインジェクション設備の設置等による減退油田の増進プロジェクトである。 (生産量は1974年のピーク時に1百万b/dを記録した後,徐々に減少し現在は200千b/d) (3)TotalFinaElfはSirri-A,E沖合油田のオペレーターシップをNIOCに移転へ Sirri-A,E沖合油田の開発を進めてきたTotalFinaElfは,近くバイバック契約に基づき両油 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 田のオペレーターシップのNIOCへの移転を実施する予定である。 生産目標が,Sirri-A油田が20千b/d,Sirri-E油田が100千b/dであるのに対し,現状生産 量はそれぞれ17千b/d,85千b/dと目標には到達していない。TotalFinaElfは,インジェクションの水量増強により2001年には更なる増産が可能であるとコメントしている。 現時点で目標未達にも関わらずハンドオーバーを行うことに対しては,NIOCからは特にクレー ムは出ておらず,オペレーターシップの移転はスムーズに実施される見込みである。初のバイバ ック契約であったこともあって具体的な目標数量に関する規定が契約に明記されなかったという 事情もあるが,NIOCは単なる数値目標の達成可否だけでなくオペレーターの貢献度等も考慮した総合的判断をふまえた柔軟な対応を示したといえよう。NIOCはSirri油田開発をバイバックプロジェクトの成功事例であるとコメントしている。 TotalFinaElf(当時Total)が1995年に初のバイバックプロジェクト案件としてNIOCと契約を 締結(当初100%,1996年にPetronasが30%ファームイン),1998年より商業生産が開始された。 その後,操業は順調に推移し生産量も増加を続けている。 (4)バイバック契約締結済みプロジェクトの動向(サブコン関係) a.Balal沖合油田のプラットフォーム建設でシンガポール社と契約 シンガポールKvaerner社が,Lavan島南西100kmに位置するBalal沖合油田のプラットフォーム建設に関するエンジニアリング契約を,同油田開発のメインコントラクター2社より受注。 同油田は第一次バイバックプロジェクトの一環として1999年にElf(85%),Bow Valley(15%) が約1.7億ドルでオペレーター契約を締結し開発を進めている。計画では,原油40,000b/d, 随伴ガス14百万cfdの処理能力を有するプラットフォームを建設する。 b.Soroush/Nowruz油田生産設備入札状況 フランス,ノルウェー,英国,アブダビ,韓国の建設エンジニアリング会社5社が,11月 27日までに技術見積を同油田のオペレーターであるRD/Shellに提出した。引続き価格見積を12 月23日までに提出の予定。金額レベルは約4億ドル程度になるものと予想される。 第二次バイバックプロジェクト案件で,RD/Shellが8.1億ドルでバイバック契約を締結済み。 両油田あわせて埋蔵量は10億バレル以上,生産量は2003年までに190千b/dを目指す。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - c.Doroud油ガス田インジェクション設備入札状況 11月25日までに3国際コンソーシアムより見積が提出されたが,注入水量に関する仕様変更 が生じたため一旦凍結しとなった。オペレーターのTotalFinaElfによれば,2001年1Qに再入札を実施する予定。 第一次バイバックプロジェクト案件で,1999年にElf(55%),Eni(45%)が約5.4億ドルでバイバック契約を締結した。2次回収により生産量を90千b/dから220千b/dに増産する計画。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 -
地域1 中東
国1 イラン
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラン
2001/01/01 猪原 渉
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