ページ番号1002722 更新日 平成30年2月16日

イランは中国と組み、米国に対抗するカスピ海原油とイラン原油のスワップ輸出計画に着手

レポート属性
レポートID 1002722
作成日 2001-02-01 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2000
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ イランは中国と組み,米国に対抗するカスピ海原油とイラン原油のスワップ輸出計画に着手 (East&West Report 1/19,1/12, HIS GEPS 1/19, FT 1/23 その他 ) 1.イランは中国(Sinopec)と組み,カスピ海原油とイラン原油のスワップ輸出計画の基礎となるNeka原油ターミナルの整備や石油精製施設の改造に着手した。 2.これらプロジェクトや中国(Sinopec)の上流進出に対して,米国国務省が対イラン・リビア制裁強化法に触れる可能性があるとして,調査を行っている。 3.中国(Sinopec)は,今回初めて海外の上流部門への進出を果たした。 中国石油化工集団公司(Sinopec)のイラン進出が,2001年1月上旬に入り伝えられている。その内容は,①イランの製油所改造及びカスピ海沿岸原油ターミナル建設プロジェクトに着手したこと,②Sinopec がイラン国営石油会社(NIOC)との間で探鉱契約に調印したことに関する報道である。このようなSinopecのイラン進出対して,米国国務省が対イラン・リビア制裁強化法(ILSA : Iran-Libya Sanction Act)に触れる可能性があるとして懸念を表明している。中東の大産油国であるイランに対しては,日本を含め世界各国が積極的な取り組みを始めており,今後の動きと各方面に対する影響が注目されるところである。 <米国国務省の対イラン・リビア制裁強化法(ILSA)に関する調査> 米国国務省は,後述するSinopecのイラン進出に関するプロジェクトや上流部門への投資に関して,ILSAに触れる可能性があるとして調査を行っていることを公表した。ILSAは,1996年に施行された米国の法律で,イランの石油・天然ガスの開発に関して20百万ドル以上を投資する企業(外国企業も含む)に適用される。実際の運用については,米国法人の投資には厳密に適用されているが,イランに進出しているTotalFinaElf, Gazprom, Petronasといった欧州やアジアの企業に対しては,今までに同法が適用されたことはない。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 今回,中国Sinopecのイラン進出が問題とされたのは,製油所改造とカスピ海沿岸のNeka原油ターミナル建設が,イラン封じ込め政策をとる米国政府が推進するアゼルバイジャンBakuからトルコCeyhanへのパイプライン計画に真向から対峙するプロジェクトのためである。その理由は,このプロジェクトがカザフスタン,トルクメニスタン,アゼルバイジャン,ロシアなどのカスピ海沿岸諸国からの原油をイランNekaからイラン北部の消費地に供給する一方で,その原油相当分を南部の原油とスワップしてペルシャ湾から世界のマーケットに供給しようとする狙いがあるからである。 国務省はILSAに触れる可能性があるかどうか詳細に検討中とのことであるが,ブッシュ新政権がイラン制裁に関する最初のテストとなるものであり,どのような判断を下すのか注目されている。 <イランの製油所改造及びカスピ海沿岸原油ターミナル建設プロジェクト> このプロジェクトは,①Tehran製油所及びTabriz製油所の改造工事と,②カスピ海に位置するNeka原油ターミナル及び港湾の建設工事であり,今年1月12日から実際の作業が開始されている。現在,Teheran製油所の原油処理能力は225千bbl/d,Tabriz製油所の原油処理能力は112千bbl/dである。なお,工事総額は1億5千万ドルに及んでいる。 このプロジェクトは,1998年10月に国際入札が行われ,Sinopecの他イギリス,フランス、ドイツなどの欧州勢と韓国企業が応札したもので,2000年3月に中国の受注が決定している。実際のプラント建設業務は,Sinopec グループの中国石化工程建設公司(Sinopec Engineering Inc.)が担当し,香港亜聨公司(Federal Asia)とイギリスのオイルトレーダーであるVitol SAがパートナーとして参加し,ファイナンスを担当している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ワた,イランの製油所改造プロジェクトには,中国工商銀行と上海亜連輸出入貿易有限公司が, 4,000 万ドルのサプライヤーズ・クレジットを供与し,中国人民保険公司が輸出信用保険を引き受けるなど,手厚い支援を行っている。 このプロジェクトは単なる製油所の改造工事に留まるものではなく,イランがカザフスタンやトルクメニスタンなどのカスピ海沿岸諸国と間で進めようとしているカスピ海原油とペルシャ湾岸イラン原油のスワップ輸出計画の一環となるものである。すなわち,イランでは,石油資源の多くがペルシャ湾岸の南部に集中しているのに対して,製品の消費地はTeheranを初めとする北部に集中しており,南部で生産された原油を北部へ輸送する必要があった。一方,カザフスタンやトルクメニスタンなどのカスピ海沿岸諸国は,生産した原油を世界マーケットへ供給するの出口を探しており,この問題を解決する手段として原油スワップ構想が浮上したものである。すでに,小規模ながらイランのカスピ海沿岸の Neka を中心にカスピ海原油とイラン原油のスワップ取引が開始されており,イランのNeka原油ターミナル建設及び港湾建設への期待は大きい。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - ャCラン上流部門への進出> 中国石油化工集団公司(Sinopec)は,今年1月12日にイラン国営石油会社であるNIOCとの間で探鉱契約に調印した。今回Sinopecが取得した鉱区は,イランの首都のテヘランから南205kmに位置するZavareh-Kanshan地区で,面積は4,670k㎡である。契約期間は3年間で,1年の期限延長が可能となっている。 Sinopecは,元々下流部門を専業として設立されたため,中国石油天然ガス集団公司(CNPC)に比べ上流部門への進出が遅れており,今回が初めての上流部門への進出となる。Sinopec 傘下の勝利油田は海外油田向けに工事請負や関連機器の輸出で豊富な実績を残しているほか,中原油田も技術サービスの受注実績が豊富である。ただし,いずれも請負業務が中心で,CNPCが展開しているスーダン,カザフスタン,ベネゼイラのような大型の開発プロジェクトはこれまでにない。 なお,中国企業の海外進出先は,欧米企業が参入を控えているスーダンやイラン等の諸国であり,昨年ニューヨークや香港等の海外市場に上場したPetroChinaやSinopec Corp.に影響を及ぼすことがないように,その親会社であるCNPCやSinopecが中心となって行われている。 <中国企業の海外進出の背景> 中国では,堅調な経済発展に伴ったエネルギー需要のため,国内の原油生産では供給に間に合わず,原油輸入が急増している。エネルギー問題は優先課題として捉えられており,石油輸入依存の上昇に備え,エネルギー外交・安全保障戦略として供給源の多様化が図られている。それらの対策の一環として中東産油国との政治経済関係の強化や海外石油上流部門への投資などが行われている。特にイランとの関係では,2000年6月のイラン・ハタミ首相の中国訪問により,「エネルギー分野の協力覚書」が調印され、両国の友好協力関係を強化することが謳われている。今回のSinopecの原油ターミナル建設プロジェクト等は中国イラン友好協力事業に位置づけられている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 -
地域1 中東
国1 イラン
地域2 アジア
国2 中国
地域3 旧ソ連
国3 カザフスタン
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イランアジア,中国旧ソ連,カザフスタン
2001/02/01 猪原 渉
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