アルジェリア:新炭化水素法案の概要、エネルギー部門の改革で Sonatrach の権限は縮小へ
レポートID | 1002739 |
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作成日 | 2001-02-27 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発企業 |
著者 | 猪原 渉 |
著者直接入力 | |
年度 | 2000 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | アルジェリア:新炭化水素法案の概要,エネルギー部門の改革でSonatrachの権限は縮小へ (本誌 2000年12月号 No.377 P.21続報) (2001 MEES 2/5,PETRS 2/5,PIW 2/12,AOG 2/1,Reuters 1/31,JNOC-PA00106) 視点 1.中東でもっとも革新的な改革を目指すアルジェリアの新炭化水素法案の概要が明らかに。 鉱区賦与権限が新設のエージェンシーに移管されるなど,Sonatrachの機能,権限は大幅 縮小。 2.コントラクターは全て国際競争入札により決定。Sonatrachは外国石油会社と対等の扱いに。エネルギー部門の改革を目的として検討が進められてきたアルジェリアの新炭化水素法案がまと まり,議会での審議が近く開始される見通しである。エネルギー部門全般における国営企業による事業独占を認めてきた法規制を大幅に見直し,上流及び下流の幅広い分野で外国企業及び国内民間企業の参入を促進して,競争原理導入による投資活動の活発化を目指す。Khelilエネルギー鉱業相によれば,投資拡大により現在の原油生産900千b/dを2004年には1400千b/dに増加させる計画である。中東で最も革新的な改革を目指すという今回の新炭化水素法案では,Sonatrachの機能と権限の大幅縮小とシンプル化が盛り込まれているが,「特権」を剥奪される既得権保有層からの反発や,12万人の従業員をバックに労働組合が抵抗することも予想され,今後のアルジェリア国内で .エネルギー部門改革のこれまでの動き 1の議論の行方が注目される。 1999年に大統領に就任したブーテフリカ氏は,アルジェリアのエネルギー部門(石油・ガス及び電力)が,欧米や南米と比べ機構・制度面で大きく立ち遅れているとの認識に立ち,より迅速な意思決定と効率的な事業遂行を進めていくための改革の推進を打ち出した。改革実行のため,ブーテフリカ大統領は,世銀のラテンアメリカ・エネルギー政策担当者として20年間の経験をもつKhelil氏をエネルギー鉱業相に起用。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1- 1 - helil氏は,自身が世銀で担当したペルー,ボリビア,アルゼンチンの事例を参考に,アルジェリアの政治・経済・文化的特性を織り込んだエネルギーセクター改革案のモデルを策定し,これに基づく法案の検討,取りまとめを進めてきた。 2. 新炭化水素法案の概要 (1) Sonatrachの機能・権限の縮小と2つの新エージェンシーの設立 ・従来,政府に代わってSonatrachが実施してきた見積照会,契約交渉,締結といった入札手続き事項は新たに設立されるエージェンシー(Alnaft:アラビア語で“oil”の意味)に移管される。また技術・安全・環境面の法的チェックや基準・標準の作成業務等も別のエージェンシー(The Regulatory Authority)を設立し移管する。 <法務関係機関> (現状) ・エネルギー鉱業省 ・Sonatrach (新炭化水素法) ・エネルギー鉱業省 ・The Regulatory Authority(法規局)(新設) ・Alnaft(契約局)(新設) 新炭化水素法下での関係機関の機能・権限関係機関 エネルギー鉱業省 機 能・権 限 ・エネルギー政策の立案(閣僚委員会が承認) ・法規及びモデル契約の策定 ・探鉱及び生産契約の承認 ・パイプラインに関する権益の賦与 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2- 2 - he Regulatory Authority ・独立行政機関(法務,機構,技術,財務面共),エネルギー 大臣が承認する予算下で運営,収入はroyalty及びサービスフィー ・上流,下流の技術,安全,環境関連法規の適用,施行 ・パイプライン及び備蓄設備の管理規定及びフリーアクセスの確保 ・パイプラインの権益賦与推奨案の策定 ・規定,基準の適用,施行 ・下流建設及び操業許可の発行 ・独立行政機関(法務,機構,技術,財務面共),エネルギー 大臣が承認する予算下で運営,収入はroyalty及びサービスフィー ・探鉱及び生産投資の促進 ・技術データのメンテナンス ・E&P契約の入札業務遂行 ・E&P契約締結及び大臣承認の取得,E&P契約の遂行 ・開発計画,年次生産計画,予算の承認 ・royaltyの徴収及び石油収入税額の確定 Alnaft (2)新炭化水素法成立後は,Sonatrachは事業会社に専念 ・法案では,Sonatrachは,鉱区権益賦与権限という大きな既得権限を失うことになり,同社の機能は国内外での石油・ガス事業の展開という,同社が将来の企業体の姿として目指す「国際石油会社」本来の役割に特化されることになる。代わりに鉱区権益の賦与は,Alnaftにより,全て国際競争入札を通して行われ,Sonatrachは外国企業と同等の扱いを受けることになる。Alnaftは,国際競争入札の締切り後,即座に一番札会社との契約を締結することとされており,結果的に,Sonatrachが鉱区を獲得できないというケースも十分想定される。 <法案で規定されるその他のSonatrachの機能> ・政府保証が不要な場合のプロジェクト資金の(独自)調達 ・既存E&P鉱区に対する契約(ただし内容は新炭化水素法案に準拠)の締結 ・自社パイプラインの権益保持 ・新法成立前に締結したPS契約及び合弁契約は引き続き遂行(=締結済みPS契約には新 法は適用されず) ・さらに,上流以外の分野でSonatrachに与えられていた独占的権益(石油製品の国内販売,価 格設定,輸出入等)も廃止され,外国企業及び国内他社の参入が認められる(自由化の推進)。 (ただし,原油,石油製品分野で5年,天然ガス分野で10年の移行期間を設定) (3)E&P契約の内容見直し Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3- 3 - 新炭化水素法案に準拠する新たなE&P契約(案)の主な契約条件は下記の通り。 1)契約期間:①探鉱及び生産契約の場合,最大40年間(探鉱期間最大7年間含む) 商業井が発見できなかった場合は探鉱期間終了時に契約完了が可能 ②既発見油ガス田で探鉱含まない場合 最大30年間(石油,ウェットガス)及び35年間(ドライガス) (それぞれ最大5年及び10年のretention期間を設定) 2)Sonatrachとしてのオプション: オペレーター契約を締結できなかった(逸注の)場合,Sonatrachは,ノンオペレーターとして最大25%まで参加することが,オプションとして認められる。 ただし,この場合,オペレーターの開発計画受領後60日以内にAlnaftは計画内容を決定することが求められ,Alnaftによる開発計画決定・承認後30日以内にSonatrachは,プロジェクトに参加するか否かを決定しなければならない。 (4)Royalty及び税率 インフラや生産状況に応じ,アルジェリア国内の鉱区が4ゾーン(A~D)に分けられ,それ ぞれのゾーン別に,Royaltyや石油収入税の比率が定められる。 C 11 16 20 C 17 C 20 50 (%) D 12.5 20 23 (%) D 20 (%) D 20 50 A 12 A 20 50 1)Royaltyレート ・生産量100千boe/d以下の場合 ゾーン: 0~20,000boe/d 20,001~50,000boe/d 50,001~100,000boe/d ・生産量100千boe/d超の場合 ゾーン: 100,000boe/d超 2)石油収入税 ゾーン: レベル1(生産金額10億$迄) レベル2(生産金額20億$迄) A 5.5 10.5 15.5 B 8 13 18 B 14.5 B 20 50 4- 4 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ベル3(生産金額30億$迄) 70 70 70 70 ・石油収入税額は,法人所得税額(税率は別に規定)から減額計算される(=二重課税なし) .今後の見通し 3 新炭化水素法案に関するアルジェリア国内での議論は始まったばかりであり,今のところ見通しははっきりしていないが,アルジェリア石油産業にとって様々な面での痛みを伴う改革であるだけに,曲折が予想される。政府側としては,今後,時間をかけて反対派への説明,説得を行っていく予定であり,法案の成立目標時期は早くても今年の年末頃としている。 今後のポイントの一つとして,12万人という大規模な人員を抱える労働組合との協議があげられる。Khelilエネルギー鉱業相は,1月以降Sonatrachの本部・事務所や,Hassi R’MelやHassi Messaoudといった生産現場での数多くの対話集会に出席しており,労組との対話を重視する姿勢を示している。対話集会ではきわめてオープンな議論が行われているといわれ,政府側は反対意見に対しても十分に耳を傾ける姿勢であるという。しかし,労組書記長のSetti氏は,「政府の説明に完全に納得するまでは,法案には反対である」とコメントしている。 政府側としては,Sonatrachがオペレーターを取れなかった場合の上限25%までの参加オプション条項(上記2(3)項)により,Sonatrachの国内事業での存立は今後も十分確保されるとして,この条項を切り札として労組への説得を粘り強く続けていく構えである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5- 5 - 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国10 | 国・地域 | アフリカ,アルジェリア |
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