ページ番号1002754 更新日 平成30年2月16日

イラン:Sheer Engineering(加)、NIOC と新条件での開発契約締結で合意

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レポートID 1002754
作成日 2001-04-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発企業
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2001
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2001/4/19> <企画調査部:猪原> イラン:Sheer Engineering(加),NIOCと新条件での開発契約締結で合意 1.Sheer社とのMasjed-e-Suleyman陸上油田開発契約は,「ボーナス/ペナルティー条項」など バイバック契約の見直し条項が初めて適用されるケースとなる模様。 2.イラン側は,中断していたAhwaz-Bangestan油田などビッグプロジェクトの契約交渉の早期締(2001 MEES 3/26,AOG 3/16,Energy24 2/26) 結を目指すが,IOC側は新条項に対する不満を表明しており交渉は曲折が予想される。 Sheer Engineering(加)は,2001年3月13日,キプロス所在の同社子会社Sheer Engineering CyprusがイランMasjed-e-Suleyman陸上油田の開発を行うことでNIOCと合意したと発表した。イランでは,2000 年後半より石油・ガス開発の契約方式であるバイバック方式の条項見直しが進められており,その間,外国企業との契約交渉は事実上凍結されていたが,MEES によれば,今回の合意内容には,条項の変更内容である「ボーナス(報酬)/ペナルティー条件」が反映されているものと見られ,改訂バイバック方式が初めて適用されるケースとして注目される。 1.Masjed-e-Suleyman油田開発の合意内容 Sheer Engineeringの発表によると, 90日以内と予想されるイラン政府による承認手続きが完了した後,正式に契約が調印される見通しであり,4年間に亘り88百万ドルが投資される予定である。Sheer Engineeringは同油田開発プロジェクトの49%の権益比率を有するオペレーターとなり,イランOil Industry Investment Companyの子会社Naftgaran Engineering Servicesが残り51%を保有する。契約発効後,直ちに作業が開始される予定であり,詳細油層シミュレーションの実施,既に掘削が行われている4~6坑井に対する掘削作業の遂行,二つの垂直井及び8つの水平井に対する新規掘削,処理設備及び水再圧入設備の建設等が行われ,目標生産量(20千b/dの増産)の達成を目指す。 Masjed-e-Suleyman油田は,中東でもっとも古く発見された油田のひとつであり,1908年に掘削Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ェ開始されている。同油田は,Asmari油層の炭酸塩岩フラクチャーから生産が行われている大規模油層の一つである。Sheer社の推定によれば,同油田の原始埋蔵量は60億bblで,このうち12億bblが採掘済みである。採掘層の平均的な深度は約1,000メートルで油層厚は60~90メートルとみられる。同油田は現在NIOCが操業中であるが,生産量は(API40度原油)4,500b/d程度と小規模であり,イラン側は今回,Sheer社との契約により生産能力の大幅増強(20千b/dの増産)を狙う。 2.Sheer社との契約内容の注目点 今回の契約の詳細条件は明らかになっていないが,MEESによれば,Sheer Engineeringは,プロジェクト完了(後述のオペレーターシップをNIOCに移管する時点)後3年間にわたり,目標生産量を上回る生産達成時には報酬を受け取り,下回る場合はペナルティーを課せられるという,いわゆる「ボーナス/ペナルティー条項」が合意内容に含まれているとされる。本プロジェクトは,開発内容,投資金額等の面では小規模であるが,伝えられるような内容が事実であれば,バイバック契約の条項の見直しが初めて反映された契約として,注目に値する案件であるということができる。 また,第二次バイバックプロジェクトで発表された陸上の開発案件としては,今回初めて外資の導入が決定したという点も注目点である。(これまでの開発契約はすべて海上油ガス田が対象。また2001年1月に契約締結が伝えられたMunir鉱区(伊Edison Gas)及びZavareh-Kashan鉱区(中国Sinopec)はともに陸上の探鉱案件) 3.バイバック契約見直し検討の方向 「ボーナス/ペナルティー条項」の導入は「契約期間の長期化」とともに,バイバック契約の見直し検討の大きなポイントであるとされてきた。 現行バイバック方式の外資側にとっての問題点は主に下記2点であるといわれる。 (1)契約期間が短く(10年程度),個々のプロジェクトへの長期的関与(リターンの確保等) が不可能 (2)コスト超過発生時の超過分はすべてコントラクター側のリスク 上記の問題があるために,外資側には,短期間の契約(開発期間)を完了しオペレーターシップをNIOCに移管した後の長期的な生産量維持のインセンティブが働かず,逆にコスト削減の面にのみGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 漉ヘせざるを得ず,結果的に,コストのかかる最新技術の導入や技術移転,マネージメント・ノウハウの導入などが促進されないということになる。この点こそが,イラン側にとっても,現行バイバック方式の大きな問題点であるとみることができる。 イラン国内では,昨年後半頃よりバイバック方式の見直しの機運が高まり,議会で改訂についての議論が行われてきた。議会の一部には「現行バイバック方式で外国企業は巨利を得ており、イランの国益が損なわれている」と主張して外資導入そのものに否定的なグループも存在するが,地下資源の所有権は国家に帰属するとするイラン憲法上の制約からバイバック方式に代わる契約方式は存在せず,かつイランでの石油開発の推進には外資の資金・技術の導入は不可欠である以上,バイバック方式の基本フレームを堅持した上での部分的条項改訂が望ましい,との認識で全体のコンセンサスは得られているとみられる。イラン側にとってのメリットの最大化を図るような形での外資導入を促進するための方策として,バイバック契約への「ボーナス/ペナルティー条項」の導入及び「契約期間の長期化」が検討されてきたといわれる。Sheer Engineering との契約では,後者については不明であるが,前者の「ボーナス/ペナルティー条項」の導入が盛り込まれた模様であり,出資比率がSheer社の49%に対しイラン側が51%とイラン側主導のフォーメーションとなっている点も含め,今後のイラン油田開発の契約内容を占う上でのヒントとなるものといえよう。 4.他のプロジェクトの契約見通し 改訂バイバック契約の詳細内容は明らかにはされていないが,イラン側でバイバック案件の契約交渉を担当するPedecによると,2月末の時点で既にバイバックの新条件をIOC各社に対して提示済みであり,イラン側としては,一時中断していたDarquain油田(Eniが優先交渉権),Chesmeh Khosh油田(スペインCepsaが優先交渉権),Ahwaz-Bangestan油田(RD/Shell、Eni,TotalFinaElf,Lasmo、BPの各社が入札)やSouth Pars第9-12フェーズなどのビッグプロジェクトの契約交渉を今後進めていく意向である。 しかしこれまでのところバイバックの見直し内容に対する IOC 各社の反応は様々である。Pedecの幹部Ale-Agha氏は「外国会社のうち数社は新条項を完全に受け入れ,数社は原則合意,1-2社は保留している」とコメントしているが,Ahwaz-Bangestan油ガス田開発への参入を狙うBPが交渉の遅延を懸念するコメントを発表するなど,実際には,変更後のバイバックに対しても否定的な評価Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - キる外国会社が多い模様である。また,Energy24が伝えるIOC関係筋のコメントによれば,見直しの目玉とされるボーナス条項は,その支払いの可否が開発期間完了後単独オペレーターとなるNIOCのパフォーマンスによって左右されIOCとしてコントロールできないという内容になっており,大きなリスクファクターであると指摘されている。PedecのAle-Agha氏は「バイバック契約の改訂内容に対するIOC各社の懸念に対しては考慮するが,(改訂バイバック案を受け入れない)不幸なパートナーとは組めない」と強気の姿勢であるが,IOC の要望との相違は大きく契約締結までには曲折が予想される。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 -
地域1 中東
国1 イラン
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国・地域 中東,イラン
2001/04/19 猪原 渉
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