サウジアラビア:ガス開発事業を ExxonMobil、RD/Shell など欧米 8 社に開放することを決定
レポートID | 1002767 |
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作成日 | 2001-05-24 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発企業 |
著者 | 猪原 渉 |
著者直接入力 | |
年度 | 2001 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2001/5/24> <企画調査部:猪原> サウジアラビア:ガス開発事業をExxonMobil,RD/Shellなど欧米8社に開放することを決定 (2001 MEES 5/21,Reuters 5/19,FT 5/19,5/21,日経 5/16,5/19,中東事務所 5/20) 1.1998年のアブドラ皇太子による米国石油会社訪問以降検討が続けられてきたガス開発分野の外 資開放プロジェクト(Gas Initiative)の参加企業が決定。 2.6月1日にはMOUを締結予定であるが,収益性の問題やSaudi Aramcoとの共同事業の形態等, 最終契約締結までには詰めるべき課題は多い。 1.Gas Initiativeの参加企業選定結果発表 サウジアラビアは2001年5月18日,外資開放プロジェクトとして検討が進められてきた天然ガス開発プロジェクト(”Gas Initiative”)について,事業計画書を提出しショートリストされていた欧米石油会社11社のうち,ExxonMobil,RD/Shellなど8社を同プロジェクトへの参加企業として選定することを決定し,各社に通知した。サウジが資源開発など上流部門に外国企業の事業参加を認めたのは,1975年のAramco国有化以来26年ぶりのことである。石油上流部門については,外国企業の参加対象範囲には含まれていない。 Gas Initiativeは3コア事業に分けられており,コア事業別の概要及び参加企業選定結果は下記の通りである。 <内容> Core Venture No1 南Ghawar地域開発プロジェクト (初期投資額:約150億ドル) Core Venture No2 紅海地域開発プロジェクト Core Venture No3 Shaybah地域開発プロジェクト <選定企業> (*):リーダー企業として選定 太字は2事業に選定された企業 ExxonMobil(米) RD/Shell(英蘭) BP(英) Phillips(米) ExxonMobil (米) (*) Enron(米) Occidental(米) RD/Shell(英蘭) TotalFinaElf(仏) Conoco(米) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - Gas Initiativeには,天然ガス開発(探鉱,開発,生産)のほか,ガス発電事業,石油化学事業,海水淡水化事業などの広範囲の事業が対象(コア事業別の詳細範囲,内訳は不明)に含まれており,3コア事業トータルの初期投資額は約250億ドルと伝えられている。最終投資額は400~1000億ドルに達するとの見方もあり,かつてないほどの規模の巨大事業が動き出すことになる。 今回,参加企業として 8 社が選定されたが,Core Venture No2 でリーダー企業に選ばれたExxonMobil及び同社とともに2コア事業で選定されたRD/Shellの2社が,今後,本プロジェクト遂行での主導的役割を担っていくものと見られる。 Core Venture No1およびNo3のリーダー企業は,今のところ明らかになっていないが,MEEDは,今後2週間以内に決定する見込みであると伝えている。 また,ショートリストされていた11社のうち,Chevron(米),ENI(伊),Marathon(米)の3社は選考から外れたが,Gas Initiative特別交渉チームの統括責任者であるSaud外相は「これら3社は今後サウジでの別の投資案件で機会があるだろう。」と語っている。 サウジアラビアサウジアラビア紅海紅海リヤドリヤド南Ghawar南GhawarShaybahShaybahGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - Q.今後の予定 今回選定された8社は,サウジ側からの選定通知とともに覚書(MOU)のドラフト(プロジェクトの商務,法務,技術条件等を規定)を受領しており,その内容の検討に入っている。MEEDによれば,6月5日にジェッダでMOUの調印式が開かれる予定とされており,対象8社は質問事項等があれば5月末までに特別交渉チームに提出することが求められている。MOU締結後,各社は最終契約書の調印に向けサウジ側との交渉を行う。 3.石油上流分野は開放対象外に サウジの外資開放の動きは,1998年にアブドラ皇太子がワシントンで米国石油会社首脳と会談し,直接投資提案を要請したことに始まる。当時は原油価格が10ドル/bbl前後まで下落していた時期であり,サウジの国家財政は原油収入の減少による大幅な赤字拡大という問題に直面していた。このためアブドラ皇太子は,外資の技術力を導入することによりエネルギー分野の競争力向上を図ることを目的として,石油省やSaudi Aramcoの反対論を押し切って,エネルギー分野への外資開放を決断した。当時のアブドラ皇太子の構想には,石油上流への外資導入も視野に入っていたとも言われる。また,1999年までにサウジ側に提出された欧米各社の当初見積(投資提案)には石油上流をscopeとするものが多く含まれ,上流開放に対する各社の期待の高さをうかがわせた。 しかし,1999年から2000年にかけての油価高騰によって,サウジは原油収入の大幅増加が見込めるようになり,政権内部の議論で全面開放論は後退した。そして2000年2月の石油鉱物資源問題最高評議会において,開放対象から石油上流を外し,天然ガス統合プロジェクト(上流及び下流)及び石油下流分野を対象とするとの決定が下され,今回の参加企業選定の決定に際しても,この方針は確認された。 4.IOC側の反応及び今後の問題点 Gas Initiativeへの参加が決まったIOC各社は,将来の油田権益確保の布石としたいという思惑があるのは間違いないと思われるが,対外的なコメントとしては,石油上流が含まれていない今回のスキームの遂行に専念することを表明している。プロジェクトの主導的役割を担うと予想されるExxonMobilのCEOリー・レイモンド氏は,「将来的に石油上流にまで投資対象が拡大されるとは思Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - チていないし,期待もしていない。旧知のアブドラ皇太子から直接,石油上流は含まないとの見解を聞き,率直に了解する旨回答した。」とコメントしている。また,Core Venture No1(南Ghawar開発プロジェクト)の参加企業として選定された BP は,国有化前の Aramco の共同株主であったExxonMobilや石油化学分野ですでにサウジへの参入を果たしているRD/Shellとは異なり,今回が初めてのサウジへの参入であり,かつて米国石油企業のテリトリーであるといわれたサウジでの事業参加は「大変光栄なこと」(CEOジョン・ブラウン氏)としている。 サウジの天然ガス埋蔵量は約204tcfで世界第5位。これまでは随伴ガスの生産が主体であったが, 今後は,人口の急増を背景として大幅な増設が計画されている国内発電所向けの主要燃料として天然ガスを位置付けており,IOCの有する最新のガス開発技術を導入して増産を図る計画である。 Gas InitiativeプロジェクトのIOC側にとっての問題点として想定されるのは,プロジェクトの収益性が明確になっていないのではないかという点である。LNG,GTL等の輸出プロジェクトと異なり,製品ガスはサウジ国内が主要マーケットとなるため,IOC 側が製品価格をコントロールすることは困難である。国内向けガス価格のタリフの設定が収益性評価のポイントとなるが,今のところサウジ側は明確なプランをIOCに対して提示していない模様であり,今後の詳細条件の交渉におけるポイントとなりそうである。ExxonMobilのレイモンド氏は,想定収益(リターン)率は10%台後半であり他の石油ガス関係プロジェクトと遜色ないレベルになる見込みであると強気の見方を示しているが,匿名のIOC幹部は,リターン率は一ケタ(10%未満)になるおそれがあるとコメントしている。 もう一点の問題点は,Saudi Aramcoの位置付け及び共同事業範囲の設定をどうするかという問題である。今回のプロジェクトでは,未開発のガス探鉱が多く対象に含まれているとはいえ,世界最大の国営石油会社として,Saudi Aramcoは,充実したインフラや経験豊富な人材をサウジ国内に有しており,IOC にとって同社の存在を無視することは出来ず共同事業となることは不可避である。しかしながら,Saudi Aramcoとの細部の詰めはこれからであり,最終契約交渉は複雑かつ長期間の交渉となることが予想される。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - リO資開放に関する一連の動き> 年 月 特 記 事 項 1998年9月 1998年12月 1999年5月 1998年11月? アブドラ皇太子はワシントンで米国石油会社7社首脳と会談し,投資提案を要請? アブドラ皇太子はサウド外相に投資提案評価のため閣僚委員会の発足を指示 ? ? 外国石油会社の投資提案提出は一段落 Saudi Aramcoは外資提案拒否を閣僚委員会に報告するも,政府は再考を指示 ~1999年8月 2000年1月 2月 ? 勅令により石油鉱物問題最高評議会(議長:ファハド国王)が発足 ? 石油鉱物問題最高評議会は,ガス上流を含む統合プロジェクト,石油下流プロジェクトの開放(通称:Gas Initiativeプロジェクト)を発表。 ? 外資との交渉を進める目的で新たな閣僚委員会と次官級事務局が発足 ? リチャードソン米国エネルギー長官が訪サ,サウジの外資開放の決定を歓迎 ? ? ショートリストされた外国石油会社12社が再度投資計画書を提出 ? ショートリスト各社によるデータルームへのアクセス及び特別交渉チームによJeddahにて,外国石油会社と投資提案に関する協議を開始 2000年4月 8月 2001年1月 る交渉開始 5月 ? Gas Initiativeへの参加企業として欧米8社の選定を決定 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - |
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