ページ番号1002810 更新日 平成30年2月16日

アルジェリア:新炭化水素法案の見直し進む。大胆な改革路線は後退し、Sonatrach の既得権益温存の方向

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レポートID 1002810
作成日 2001-08-27 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2001
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2001/8/27> <企画調査部:猪原> アルジェリア:新炭化水素法案の見直し進む。大胆な改革路線は後退し,Sonatrachの既得権益 温存の方向。 (海外石油/天然ガス動向2001年3月号 NO.380続報) (2001 MEES 7/16,ECOMP 7/20,Africa Oil & Gas Bulletin 8/8,AOG 8/1,Reuters 7/24) 1.Sonatrachの独占的権限と機能の大幅縮小という大胆な改革案(新炭化水素法当初案)は, 労働組合など国内の強い反発を受け,内容が見直された。 2.パイプライン等Sonatrach既存資産の継続保有,ガス販売分野での自由化の後退,E&P契約 でのIOC側権益の制限等,改革路線は後退した内容となっている。 1.新炭化水素法案見直しの経緯 アルジェリアのエネルギー鉱業省は,本年初頭に策定した新炭化水素法案(ドラフト)の見直しを行った。1月に示された当初案は,ブーテフリカ大統領によりエネルギー部門改革の担い手としてエネルギー鉱業大臣に指名されたKhelil氏(元世銀,現OPEC事務局長)の主導によりまとめられたものであり,国営石油会社Sonatrachの有する独占的機能と権限を大幅に縮小するという方針が明確に打ち出されていた。これに対し,雇用面の不安から労働組合が強く反発しているほか,政府内部やSonatrach経営陣からも,既得権益の喪失を恐れ,反対論が出ていた。 今回の見直し案は,これらの反発を考慮し,Sonatrachに一定の権限を残すなど,改革色が薄められた内容になっているといわれており,AOG(Arab Oil & Gas)誌によれば,既に7月中旬にエネルギー鉱業省より最終ドラフトとして政府に提出され,政府内部での検討が進められている。今後数週間以内に内閣の承認を得てから議会に送付されることになり,MEES誌によれば,法案成立の時期としては,年内という当初予想からずれこみ,2002年初めになる見通しである。 2.Sonatrachの機能・権限の大幅縮小方針は後退か 今のところ,具体的な条項の内容等見直し案の詳細は明らかになっていないが,MEES(2001/7/16)が伝える見直し案の内容及び当初案からの変更点は下記の通りである。それによると,見直し案では,パイプライン等既存のSonatrach保有資産の売却の必要がなくなったほか,特に,同社が大きGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ネ収入源とするガス販売分野での自由化,国際化方針が大きく後退している点が,特記点としてあげられる。 (1) 保有資産の扱い Sonatrachは,当初案で求められていた精製設備やパイプラインなどの保有固定資産の売却を行う必要はなくなり,引き続き保有が認められるが,他の投資家と同じ条件が適用される。 (2) 探鉱・開発権益 現在保有している探鉱・開発権益についても継続保有できるが,適用条件を達成できない場合は,権益を放棄しなければならない。また,上流のオペレーションにおいても同様に,「最大効率化比率」(Maximum Efficiency Ratios(MERs):内容不明)の達成が,権益保持の条件になる。 (3) パイプラインの建設・操業及び同使用料の扱い 既存パイプラインは引き続きSonatrachが保有するが,新規パイプラインの建設にあたっては,他の企業との公正な競争に基づき決定される。将来は,国際石油会社(IOC)もアルジェリアにおいてパイプラインの建設,操業が可能になる。また,現状Sonatrachの売上高の半分以上をパイプライン使用料からの収入が占めているが,見直し案では第三者アクセスの推進のため,高額との批判が高いパイプライン使用料(現状 $1.5/B)をより競争力のあるタリフに改めるよう求めている。 (4) 新組織Alnaft 新たに独立した機関Alnaftが設立され,同機関が探鉱・開発権益を独占的に保有し,新規(及び放棄された)鉱区の入札を実施する。SonatrachとIOC各社は,Alnaftより開発権を付与される。(現在は,Sonatrachが権益付与権を保有し,入札を実施している。) (5) ガス販売の自由化 当初案では,ガス開発プロジェクト参加企業は,アルジェリア国内でのガス販売及び国外への輸出を自由に行うことが出来ることになっていたが,見直し案では,Sonatrachがプロジェクトに参加する場合(大半がそのようなケースと思われる),参加比率が低いケースであっても,Sonatrachはガス販売・輸出に参画することが可能になり,一定の役割を確保することになった。 (6) ガス価格の自由化 ガス価格の自由化は当初案に比べ大きく後退した。当初案では,すべての炭化水素製品(液体,Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - Kス,LPG等)の販売価格は国際価格並みに引き上げるとされていたが,見直し案では,発電及び石油化学プラント向けの輸出用ガスを除き,国際価格への引き上げは石油が5年,ガスについては10年の猶予期間が設定されることになった。 3.新規E&P契約の内容についても見直しを実施 新炭化水素法案に準拠する新たなE&P契約(案)の内容も,組合などの反発を反映して,下記の通り,当初案からの見直しが行われた模様である。当初案では,全般的に,IOCにとってかなり魅力的な条件設定となっていたが,IOCのプレゼンスが一気に高まりSonatrachが急激に弱体化することへの懸念から,契約期間の短縮などIOCの取得権益を制限する方向への軌道修正が行われている。(いずれの内容も,アルジェリア側の正式発表ではなく報道に基づくものであり,今後確認が必要。) (1) 契約期間の短縮 当初案ではきわめて長期間の期間設定となっていたが,かなり短縮されている。 <当初案> ①探鉱及び生産契約の場合:最大40年 ②既発見油ガス田で探鉱含まない場合:最大30年間 <見直し案>①探鉱及び生産契約の場合:最大32年<当初案から8年短縮> ②既発見油ガス田で探鉱含まない場合:最大25年間<当初案から5年短縮> (2) Sonatrachのノンオペレ-ターとしての参加比率 Alnaftが実施する国際入札でSonatrachがオペレーター契約を締結できなかった(逸注した)場合,当初案では,ノンオペレーターとして一定比率(最大25%)まで参加することがSonatrachのオプションとして認められていたが,今回,下記の見直しが行われたと報道されている。 <当初案> Sonatrach参加比率(ノンオペレーターとして):最大25% <見直し案> 同上:最大25%,新たに最低参加比率(5%)を設定 (Sonatrachのマネージメントから出されていた最大参加比率の40%への引き上 げ要求は認められなかったと伝えられている。) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 -
地域1 アフリカ
国1 アルジェリア
地域2
国2
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地域4
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地域5
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地域6
国6
地域7
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地域9
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地域10
国10
国・地域 アフリカ,アルジェリア
2001/08/27 猪原 渉
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