ページ番号1002818 更新日 平成30年2月16日

クウェート:アラ石との操業継続交渉を巡り議会と政府が対立

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レポートID 1002818
作成日 2001-08-31 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発企業
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2001
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2001/8/31> <企画調査部:猪原> クウェート:アラ石との操業継続交渉を巡り議会と政府が対立 (2001 MEES 8/6,PIW 8/20,Platts 8/21,Reuters 8/28,Dow Jones 8/28,8/30 日経8/24,読売8/26,朝日8/28,産経8/29) 1. アラビア石油の中立地帯(カフジ油田)操業延長交渉が難航している。 2.政府と対立するクウェート議会が,アラ石との交渉を「憲法違反」「議会軽視」として政府へ の反発を強めているのが大きな要因。海外メディアでの報道とあわせ報告する。 1.アラビア石油のカフジ油田操業延長交渉の経緯 2003年1月に契約期限を迎えるアラビア石油(AOC)のカフジ油田クウェート側半権益利権の延長を巡って,AOC とクウェート政府間で交渉が進められているが,協議大詰めの段階に来て交渉の行方が不透明な情勢になってきている。 日経(2001/8/24),読売(8/26),朝日(8/28),産経(8/29)の新聞各紙によると,これまでの経緯と最近の状況は下記の通り。 ①今年7月にクウェートを訪問した平沼経済産業相とSubeih石油相の協議で,AOCのカフジ油田での操業継続で基本合意。さらに,AOC小長社長とSubeih石油相が7月7日に,交渉開始の覚書(有効期間2ヶ月)を締結。 ②これに対し,政府と対立するクウェート議会が,「AOC の操業延長は(天然資源の外国資本への権益譲渡を禁じた)憲法に違反する」「政府の決定は議会の承認を経ておらず問題」と強く反発。 ③Subeih石油相は,議会との摩擦を避けるため,「議会の承認なしにいかなる石油企業とも合意しない」と発言をトーンダウンさせている。また,クウェート側はAOCに対し,採掘に関する契約で,当初予定していた「操業サービス契約」に代わって「技術サービス契約」に切替えることを提案した。操業サービス契約の場合,契約期間は通常10年単位となるが,技術サービス契約は5年以下となるケースが多く,日本側は難色を示している。 ④当初の予定では,Subeih石油相が9月に来日し,覚書の交渉期限である9月6日の最終合意を目Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - wすことになっていたが,最近になって,クウェート側が契約調印の先送りを求めてきており,Subeih石油相の来日も延期の可能性が出てきているという。 2.海外メディア(石油専門誌等)の報道ぶりは? クウェートとAOCの操業延長交渉の問題は,海外メディア(ニュース通信,石油専門誌等)でも大きく取り上げられており,関心の高さがうかがわれる。 前述の日本での報道と重複する部分もあるが,主な海外メディアの報道内容を下記に紹介する。PIWの記事では,将来,クウェートとしては,中立地帯の操業をAOC,Texaco以外にも門戸を開く構想があるとSubeih石油相がコメントしており,注目される。 (1) MEES(2001/8/6) 7月末に開かれたSubeih石油相と議会の財務経済委員会との協議において,議会側からは多くの問題点が指摘された。特に問題視されているのが,AOC の原油生産コストが非常に高いという点である。同委員会は,AOCの原油生産コストは,1970年代に1.0ドル/bbl,1980年代に2.2ドル/bbl,1990年代に2.3ドル/bblであったものが,現在は4.5ドル/bblに跳ね上がっており,過去10年間で製造コストがなぜ2倍になったのかを明らかにする必要があると指摘する。 同委員会のal-Harun委員長は7月25日,政府が7月7日に締結したAOCとの覚書について,「議会が夏休みに入ったタイミングを意図的に狙ったものである」と非難した。さらに「サウジアラビアが昨年,AOCのパフォーマンスに問題があるとして,40年間の権益契約を更新しなかったのに対し,なぜクウェートがAOCにこだわる必要があるのか」「クウェートの石油産業は25年間の経験を有しており,石油採掘のために,これ以上外国会社の力を借りる必要はないのではないか」と疑問を投げかけた。 議会の実力者al-Sadun議員も,AOCのカフジでの操業について「クウェート人労働者の雇用が少ない」「収入,ロイヤルティーが少ない」と批判している。 Subeih石油相は7月27日,議会などからの批判にこたえ「憲法152条の規定に基づき,AOC及び他のいかなる外国石油会社とも,議会の承認なしに契約を結ぶことはない。AOC との契約においては,クウェート石油資源の権益付与及びアクセスを認めるものではない」と釈明した。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 2) PIW(2001/8/20) Subeih石油相はPIWとのインタビューに答えて「AOCとの契約は,契約形態を技術サービス契約に見なおして契約の締結を目指す」とコメントした。議会が強く反発し事実上中断している「プロジェクト・クウェート(北部4油田開発計画)」の反省から,クウェート政府はAOCとの操業サービス契約を締結することを断念した。Subeih石油相によれば,技術サービス契約は議会の承認を必要としないとのことである。 またSubeih石油相は,AOCとの契約締結の可否にかかわらず,中立地帯のクウェート側,サウジアラビア側両方での操業のため,将来,新たに国際石油会社を参入させる構想を持っており,2002年にはサウジとの協議に入りたいと表明した。AOC及びTexaco(陸上中立地帯オペレーター)を含む国際石油会社から広く入札を求めるものとしている。 (3)Platts Oilgtam News(2001/8/21) クウェート側としては,今回日本側に提案した技術サービス契約は,2003年以降AOCが中立地帯の開発にいかなる形で関与するかを規定するものではなく,時間つなぎの暫定契約のような位置付けと考えている。技術サービス契約の内容は,現在KOC(KPC子会社,クウェート国内の操業を担当)がBP,ExxonMobil,Chevron,TotalFinaElf,RD/Shellなどと結んでいる契約と内容は似ているという。クウェート石油省筋によると,技術サービス契約は議会の再開される10月までには調印されるものと思われる。 同筋によると,日本側は中立地帯の海上及び陸上の開発のために30億ドルの投資計画を提示している模様である。一方,クウェート議会は,AOC との契約はクウェート側の収入が不当に低いとして非難するとともに,過去40年間に日本側は(カフジ近辺の)インフラ整備に全く貢献していないと指摘している。 AOCとの契約交渉が合意に至らなかった場合に備え,石油省はKOCに対し,2003年のAOCの権益消滅後に操業を引き継ぐ準備を進めるよう指示している。ただし,KOC は沖合鉱区での操業経験が全くないため,サウジが中立地帯からのAOC撤退後に設立した新会社Aramco Gulf Operations Co(AGOC)のような独占的に沖合鉱区での操業を実施する新会社を設立することも検討されている。また,クウェートと日本で合弁会社を設立するという案も代替案として議論されているという。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 -
地域1 中東
国1 クウェート
地域2
国2
地域3
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地域4
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地域5
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地域6
国6
地域7
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地域8
国8
地域9
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地域10
国10
国・地域 中東,クウェート
2001/08/31 猪原 渉
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