ページ番号1002840 更新日 平成30年2月16日

イラン:外国石油企業との新規契約締結が遅れるイランの石油・ガス開発プロジェクト

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レポートID 1002840
作成日 2001-10-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 猪原 渉
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年度 2001
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2001/10/15> <企画調査部:猪原> イラン:外国石油企業との新規契約締結が遅れるイランの石油・ガス開発プロジェクト (2001 MEES 9/17,MEED 9/21,9/28,WPA 10/1,AOG 9/1,9/16,UPSTREAM 10/4) 1. イラン主要プロジェクトの最新の契約交渉状況を整理。本年6月に,ENIとDarquain油田開発契約が締結されたが,その他のプロジェクトの契約交渉は大幅に遅れている。 2.バイバック見直し条項導入に対してIOC側が難色を示していることや,バイバック契約に対 するイラン国内での根強い批判(石油省に対する不正批判を含む)が背景に。 1.主要プロジェクトの契約交渉進捗状況 2001年6月に,NIOCはENIと新バイバック契約に基づくDarquain油田開発契約の調印を行った。バイバック契約の見直し検討のため一時交渉が中断したこともあり,主要案件としては,2000年7月に同じENIと締結されたSouth Parsガス田開発プロジェクト(第4,5フェーズ)以来の久しぶりの外国企業との契約締結であり,その他の主要プロジェクトについても,順次契約が締結される見込みであると伝えられた。しかし,現在まで新たな契約が調印されたとの報道はなく,全般的に交渉は遅れ気味である。(「ENIが新バイバック方式を導入したDarquain油田開発契約に調印」(E&P動向 2001/7/25)参照) 各専門誌が伝える情報を整理すると,イラン主要プロジェクトの最新の交渉状況は,概略以下の通りである。 (1) South Parsガス田開発プロジェクト ア. South Pars(第6-8フェーズ) ・ イラン最大の陸上油田Agha Jari油田等に圧入し増産を図るためのガス生産。 ・ 2000年にPetro Pars(イラン)と契約締結済み。その後,Enterprise(英)が20%の権益でのファームインで合意した。 ・ Enterpriseにより評価プログラム(15百万ドル)が進められているが,両社は総額約25-28Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ュドルといわれる本プロジェクトの新たなパートナーを探しているといわれている。三井物産などを中心とする日本企業グループが参入を検討中で,今後ファイナンス・スキームについて詰める予定と伝えられている。 イ.South Pars(第9,10フェーズ) ・発電・石油化学等の国内消費向けガス生産。総額約20億ドル規模。 ・2000年9月に入札開始。建設エンジ会社との直接契約が可能となるように,入札企業は,EPC契約(engineering, procurement & construction,掘削含まず)とバイバック契約(掘削含む)のいずれかを選択可能。 ・LG(韓国)/OIEC(Oil Industrial Engineering Company,イラン),Technip(仏)/Sunfire(イラン), Petro Canadaの3コンソーシアムがEPC契約,Statoil(ノルウェー)がバイバック契約によりそれぞれ応札したといわれる。一時,9 月中にも契約先が決定する見込みとの報道もあったが,イラン側で入札業務を担当するPars Oil & Gas Company(POGC)が各社に再見積の提出を求めたため(提出期限10月15日),見積内容の精査の期間を考慮すれば,契約先の決定は早くても12月以降にずれ込む見通しである。既にショートリスト先として2グループに絞られ,LG/OIECコンソーシアムがそのひとつとして残っているとの情報もある。 ウ.South Pars(第11-12フェーズ) ・LNGプロジェクト向けガス生産。総額約20億ドル規模。 ・2000年9月に入札開始。建設エンジ会社との直接契約が可能となるように,入札企業は,EPC契約(engineering, procurement & construction,掘削含まず)とバイバック契約(掘削含む)のいずれかを選択可能。 ・ENI,TotalFinaElf,BP,Petronas,Repsol,Reliance(印)等が応札または参加意思表示を行っているとされるが,第9-10フェーズに比べて進捗は遅れており,契約先決定は来年に持ち越される公算が高い。 ・上記企業のうち,TotalFinaElfとPetronasはSouth Pars第2-3フェーズのパートナーとしての実績をふまえ,共同で応札したといわれる。 ・また,第11-12フェーズでは,イラン初のLNG(生産能力7-8百万T/Yクラス)を建設することが計画されており,既に,TotalFinaElfとPetronasは共同でLNG建設に関するFSを実施することでNIOCと合意済みである。(「イランSouth Parsガス開発プロジェクトでLNG建Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ンのFS契約を相次ぎ締結」(E&P動向 2001/06/29)参照) (2)その他の主要プロジェクト ア.Bangestanプロジェクト ・Ahwaz,Mansuri,Ab-Teymourの3陸上油田の増産プロジェクト。3油田合計生産能力を現状 250千b/dから約600千b/d程度にまで引き上げる計画。総額約28億ドル規模。 ・RD/Shell,TotalFinaElf,ENI,BPがプロポーザルを提出したとされるが,1998年7月に入 札が発表された第二次バイバックプロジェクトの中で最も事業規模の大きな案件でもあり, これまで交渉の大きな進展は見られなかった。 ・しかし,WPA(2001/10/1)によれば,イランのMirmoezi石油省副大臣(生産担当)は,10 月後半から現在中断しているBangestanプロジェクトの交渉が再開され,年末までに決着が つくとの見通しを示している。ただし,ENIがDarquain開発契約で受け入れたバイバック契 約の見直し条項(①目標生産量と達成量の比較によりボーナス受け取りまたはペナルティー 徴収 ②NIOCへ操業移管後,IOC側も参加する「共同生産委員会」がNIOCの操業に対するモ ニターを実施)をBangestanプロジェクトの契約でIOC側が受け入れる見込みであるかどう かについては,同副大臣はコメントしていない。 ・同誌はさらに,RD/Shellが受注最有力企業であるとの見通しを示している。RD/Shell以外の 各社がそれぞれ下記のような事情を抱えているため,RD/Shellが浮上するとの見方である。 (ア)ENIはイランにおいて,既に重要プロジェクトを多く契約しており更なる事業拡大には必ずしも積極的ではない。 (イ) TotalFinaElf は,対イラン戦略の転換(石油プロジェクトから天然ガスプロジェクトへのシフト。高収益の期待できるLNG建設やガス輸出事業に注力)を明確にしている。 (ウ) BPは,1979年のイラン革命後撤退したイラン石油開発事業に3年前に復帰したばかりで,事業拡大を狙うチャンスではあるが,英国の最友好国である米国が8月にILSA法(対イラン・リビア制裁法)の5年延長を決定したため,イランへの投資に対し慎重姿勢を強めている。 イ.Chesmeh Khosh陸上油田 ・増産プロジェクト。生産能力を現状30千b/dから80千b/dに引き上げる計画。総額5億ド ル規模。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - E当初7月中にCepsa(スペイン)と開発契約を締結する見込みであると伝えられていたが, 交渉は最終段階で暗礁に乗り上げ,契約調印は大幅に遅れている。イラン側が提示した見直 しバイバック条項(上述)の導入についてCepsaとの間で合意に至らなかったことが理由で あるという。Cepsa側は年内の契約締結を目指すとの姿勢であるが,見通しは不透明である。 ・なおCepsaは最大40%のファームアウトを検討中であると伝えられている。 ウ.Foroozan/Esfandiar沖合油田 ・増産プロジェクト。生産能力を現状50千b/dから150千b/dに引き上げる計画。総額3.6億 ドル程度。 ・本プロジェクトも7月にBHP Billiton(豪)と契約締結予定であったが,延期されている。 ただし,交渉中案件のなかでは本プロジェクトが最も早く契約される可能性が高そうである。 Zanganeh石油相は,9月下旬にウイーンで開催された石油会議において, Foroozan/ Esfandiar油田の交渉状況に言及し,同開発契約が近く締結の見込みであり,早ければ10月 中にも調印を目指す予定であることを明らかにした。 < 契約交渉中の主なイラン油ガス田位置図> ChesmehKhosh油田Azadegan油田Darquain油田Bangestan油田IranForoozan/Esfandiar沖合油田South Parsガス田 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - Q.バイバック契約に対するイラン国内の批判及び石油省の不正疑惑 主要プロジェクトの契約締結が大幅に遅延している理由として,見直しバイバック条項の導入に対し,多くの外国石油会社が難色を示していることが上げられるが,イラン国内でもバイバック契約に対する批判が高まり,石油省の不正疑惑が提起されるなど,石油開発行政の混乱が続いているという事情も絡んでいる。 (1)イラン国内における批判 ・2000年後半頃より,バイバック契約による外国石油会社との契約はイランの国益に十分寄与 しているとはいえないとして,議会の保守派を中心にバイバック契約に対する疑問や反対の 声が高まった。 ・ただし,バイバック契約そのものに反対する資源ナショナリズム的意見はむしろ少数派であ り,主に下記のような事項が,改善を要すべき問題点として指摘された。 (IOCの操業(契約)期間が短期間であるため)①イラン側への最新技術の移転が不十分で ある,② 最適な油田計画の設定がなされず,資源価値の最大化が図られない,等 ・また,2001年6月には,バイバック・プロジェクトにおいて石油省が不正な収入を着服して いるとの告発がなされ,ハタミ大統領が石油省に対し必要な情報の開示と調査の実施を指示 した。 (2)IOC側からみた問題点 ・バイバック契約はIOC側にとっても,以前より,①短期投資のため十分な利益確保が困難, ②コスト削減努力に対するインセンティブがない,③固定的な条件であるため,コスト超過 分はIOCが負担する必要がある,等の問題点が存在していた。 (3)石油省・NIOC側の対応,反論 ・国内外からの批判を考慮して,NIOCは,バイバック契約の条項見直しを行い,上述のボーナ ス/ペナルティー条項の導入や,生産委員会による操業移管後のモニターの実施を契約に盛 り込むことを決めた。 ・石油省の不正疑惑に対しては,批判の急先鋒である議会の保守派リーダーAyatollah Jannati 氏に対し不正の証拠の提出を求めていたが,結局同氏からは何も提出されなかったとして, Zanganeh石油相は,「「不正疑惑」は存在しないという石油省の主張は正しかった」と強調 した。また第二次ハタミ政権において,大統領よりZanganeh氏が引き続き石油大臣に指名さ Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - れ,議会でも留任が承認されたことより,石油省は十分信任され,不正疑惑問題は収拾に向 かうとの見解を示した。 ・また,バイバック契約に対する国内の批判について,Zanganeh石油相は,バイバック契約は イランに大きな利益をもたらしており,現状ではイランにとって最善の契約方式であると, 以下の通り反論した。 ア.バイバック契約によるプロジェクトでは,契約開始当初10年間は収益の83.6%,その後 は100%の収益をイラン側は確保できる。 イ.イランは,OPECにおけるシェアを維持するために,外資の導入による莫大な上流投資を 続ける必要があるが,バイバック契約はこれまで原油生産能力の拡大に非常に重要な役 割を果たしてきた。 ウ.また,ガス開発の分野においても,イランはロシアに次ぐ世界第2位の埋蔵量を有する にもかかわらず,投資の少なさのためにガス輸出量は極めて少量であり,今後外資の導 入による投資促進が必須である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 -
地域1 中東
国1 イラン
地域2
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地域5
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地域9
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地域10
国10
国・地域 中東,イラン
2001/10/15 猪原 渉
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