ページ番号1002863 更新日 平成30年2月16日

アジア諸国の中で最も原油輸入の多様化が進んでいる中国

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レポートID 1002863
作成日 2001-11-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 竹原 美佳
著者直接入力
年度 2001
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ アジア諸国の中で最も原油輸入の多様化が進んでいる中国 (PIW10/1,MEES10/29,読売10/27他) <更新日:2001/11/15 > 公開可企画調査部 佐藤 国同時多発テロ発生後,アジア各国で石油輸入の供給多様化に対する関心が高まった。中国はアジアの石油消費各国の中で最も原油輸入の多様化が進んでいるが,それは供給多様化政策が効を奏したのではなく,製油所の中東サワー原油処理能力の不足がもたらしたものである。現在中国はサワー原油の処理能力を増強しており,他のアジア諸国同様供給多様化に向けた政策的アプローチは継続されているものの,需要の伸びには追いつかず,今後中東依存度は徐々に高まっていくと思われる。 米 1. 中国における原油輸入多様化の現状 2000年末現在,中国の原油消費量は約453万b/dで,純輸入量は消費量の約3分の1(120万b/d)に達している。2001年の純輸入量は,国内石油製品の在庫過剰による需給ギャップを解消するために輸入を抑制しているため, 60百万t(120万b/d)程度と予測されている。 中国はアジアの石油消費各国において最も供給の多様化が進んでいる。中国の原油輸入に占める中東依存度は現在約54%であり,日本や韓国に比べて格段に低い。そして,西アフリカからの輸入もインドの次に高く,全輸入量の4分の1を占めている。西アフリカからの輸入は1999年から2000年にかけて急増した。大幅に増加したのは主にアンゴラのスウィート原油(主にCabinda 原油)で前年に比べ3倍に増加し,アフリカ地域からの輸入量の2分の1を占めている。1999年以降,スーダンからの原油輸入量も増加しているが,これはCNPCが上流権益を保有しているスーダンから権益分の原油を持ち込んでいるためである。アフリカ地域からの輸入の2割を占めている。(中国の国別輸出入量についてはjnocinfo-E&P動向-東アジア-中国-「国別石油輸出入統計」参照) 表1:アジア諸国の中東・アフリカからの原油輸入比率(2000年) 原油輸入量(万b/d) 中東(%) アフリカ(%) インド80 67 28 韓国 244 78 7 台湾 67 60 27 中国 140 54 24 日本 430 86 1 - 1 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 o所:中国「CHINA OGP」,日本「石油統計資料」,韓国「IEA統計」, インド:PIW10.1(輸入量は'98)際課作成資料に基づき作成 中国で中東依存度が低く押さえられ,アフリカのスウィート原油輸入の比率が高いことは,供給多 様化政策やアメリカと対抗している国と良好な関係を築く傾向があることもさることながら,製油所の中東サワー原油処理能力が低いことが最大の要因である。国内で最大の供給量(約100万b/d)を誇る大慶原油はインドネシアのMinas原油に似た低硫黄の軽質原油であり,中国は石油の輸入を開始した当初,製油所の対応が容易なことから,主にインドネシアやオマーンなど大慶原油と近い性状の原油を輸入していた。また,中国は日本と違って公害規制が緩やかであったため,中国の製油所は中東サワー原油に対応した脱硫装置を設置することが遅れた。しかし石油の消費量が増えるに従って,割高なスウィート原油から中東原油へのスイッチが行われた。輸入原油の9 割を処理しているSinopecは徐々に沿海地区におけるサワー原油処理能力の増強を図り,同社の処理能力は2000年末現在約60万b/dに達している。SinopecとPetroChinaは2005年までにサワー原油の処理能力を70万b/d増強し,中国全体の処理能力を140万b/dとする計画である。(中国全体の原油処理能力は約500万b/dでSinopecが約50%,PetroChinaが約40%,その他地方の製油所が10%のシェアを占めている)。 中東原油の処理能力増強に伴い,中国の中東依存度は高くなっていくことが予想される。今後中国が中東依存度を現在のレベルに維持するためにはより強固な政策的アプローチが必要となる。天然ガスの供給比率を2010年までに現在の2%から10%に上昇させるという計画があるが,これは主に石炭の消費量を引き下げるための施策である。中東依存度を下げる要因として海外における上流プロジェクトがある。スーダンプロジェクト及びロシア・中央アジアなどの国における海外プロジェクトの2005年までの目標調達量は20~25万b/dである。また,中国は近年ロシアや中央アジアとの関係強化を図っており,政府間の交渉ベースによるロシアや中央アジアからの原油輸入計画*が順調に進んだ場合,中東依存度上昇は若干抑制される。(中国の石油需給予測についてはjnocinfo-E&P動向-東アジア-中国-「中国石油需給予測」参照) *ロシアからの原油輸入計画:CNPCとYukos,Transneftの共同プロジェクト。 Angarsk-中 国東北部に原油PLを敷設(2005年完成予定)し,50~60万bblの原油を供給する。 カザフスタンからの原油輸入計画:CNPC とカザフスタンの石油共同開発プロジェクト,2005 年PL完成予定。供給量は40~50万b/d。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 1)日本 日本の原油輸入に占める中東依存度は約86%である。日本の中東依存度が高い要因に「硫黄」の存在がある。公害規制が厳しい日本の製油所は中東サワー原油に対応した高い脱硫能力を備えており,脱硫装置への投資の償却を考えると,比較的価格の安い中東原油を処理する方が経済効率が高い。また,アフリカのスウィート原油は重金属を含んでおり,触媒をいためる可能性が高いので受け入れが容易では無い。また,中東(サワー原油)依存度が高いため,ターム契約の比率も高く,他のアジア諸国に比べスポット原油を購入するなどの融通が利かない。しかし,日石三菱がナイジェリア原油を購入するなど,日本企業も中東以外での調達を検討し始めている。 (2)台湾 台湾の1990年代初頭には80%以上の高い依存度であったが,2000年現在約60%にまで低下しており,強い政策的アプローチが感じられる。米国同時多発テロ発生後,台湾政府は,国内の精製会社に原油の供給元を中東だけにしないよう求めている。台湾は,ラテンアメリカ,北海,西アフリカなどから原油を購入することにより中東依存度の低下を図っている。近年西アフリカ原油の輸入が増加し,輸入量の約3割に達している。 (3)韓国 韓国の中東依存度は約78%である。韓国は中東依存度を引き下げるためにラテンアメリカと北海から原油を購入している。韓国のターム契約の割合は全必要量の65%程度である。 (4)インド インドの中東依存度は67%である。インドは中東依存度を引き下げるために様々な原油を実験的に購入している模様。 .他のアジア諸国における原油輸入多様化の現状 2考; 備 アジア各国で供給多様化に関心が高まっている理由には,米国同時多発テロの発生による原油の安定供給に対する不安に加え,中東原油のアジアプレミアム(欧米向けよりアジア向け価格の方が高い)という問題もある。アジア消費各国でこの問題を解消するために原油調達先の分散が図られている。(2001年の第3四半期には日本,韓国,中国,インドで計85万b/dの西アフリカ原油を購入している。)このプレミアム価格については,(財)日本エネルギー経済研究所の調査レポート「中東原油のアジアプレミアムにどう対応するか」(2001年7月)に詳しく掲載されている。(http://eneken.ieej.or.jp/)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 -
地域1 アジア
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2001/11/15 竹原 美佳
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