ページ番号1002873 更新日 平成30年2月16日

クウェート:難航する Project Kuwait の動向と早期決着が見えてきた AOC 新規契約問題

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レポートID 1002873
作成日 2001-12-13 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 猪原 渉
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年度 2001
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2001/12/13> <企画調査部:猪原> クウェート:難航するProject Kuwaitの動向と早期決着が見えてきたAOC新規契約問題 (2001 MEES 11/26,MEED 11/9,11/16,UPSTREAM 11/23,Dow Jones 10/19, Reuters 12/4) 1. Sabeeh石油相がProject Kuwaitの推進姿勢を強調し,KPCもIOCとの早期交渉開始を目指すが,依然として議会の反対姿勢は変わらず,関連法案成立までは時間がかかる見通し。 2.一方,アラビア石油との新規契約(技術サービス契約他)は,議会の抵抗も少なく,来年1月に調印の見込み。また将来の中立地帯操業のため,クウェートとサウジは共同操業会社の設立協議を開始した。 1.Project Kuwaitの動向 (1)石油相はプロジェクトの推進に意欲 Sabeeh 石油相は,国民議会の反対に会って一向に進展が見られない北部油田開発プロジェクト(”Project Kuwait”)について,政府・KPCサイドは必要な準備作業を予定通り進めており,早ければ来年早々にも議会からProject Kuwait関連法案の承認を得て,正式にプロジェクトを立ち上げたいとする見解を表明した。石油相就任(本年2月)直後からプロジェクトに関する積極的な情報開示を約束するなど,議会との協調路線を打ち出してきたSabeeh氏は,「議会との対立は話し合いにより解決可能であり,同プロジェクトの実施条件や評価についていつでも協議を実施する用意がある」とコメントした。さらに,Project Kuwaitによりクウェートの原油生産能力(現状2.5-2.6百万b/d)を約3百万b/dに引き上げを図るとの計画は,長期的国家戦略に基づくものであり,油価低迷などの近時の情勢には左右されず予定通り推進する,と強調した。 (2)契約条件の詳細検討を終え,IOCとの早期交渉開始を目指すKPC KPCは2001年1月に,事前審査に合格した外国石油会社(IOC)24社(オペレーター9社,ノンオペレ-ター15 社)に対し初期入札書類(initial process protocols, IPP)を送付した。その後KPC は,今回のプロジェクトの契約方式として導入を検討している操業サービス契約(Operating Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ervice Agreement,OSA)の詳細契約条件やリーガル事項についての検討を行い,IPP の追加情報として取り纏めを行った。KPCは,内閣及び最高石油評議会(SPC)の承認が下り次第,IOC各社にIPP追加情報を提示する予定であるとしている。 契約条件案の詳細内容は明らかになっていないが,プロジェクトの経済性を決定する重要なファクターの一つである所得税率については,クウェートの一般プロジェクトでの外国投資家に対する税率が55%であるのに対して,Project Kuwaitの参加企業に対しては,参入促進のため,特別優遇税率(約25%)の適用を検討しているといわれる。 KPCとしては,今後,以下のスケジュールにより交渉を進める計画である。 ①2002年初頭にIPP追加情報をIOC各社に提示。 ②2002年3月までにIOC各社が油田開発計画(見積)を提出。③KPCによる見積評価,交渉の後,2003年初めまでに最終契約先を決定する。 (3)議会側は引き続き反対姿勢 政府・KPC にとって,プロジェクトを進める上での最大の難関は議会である。議会はこれまで,契約手続きの透明性の確保及び契約に対する議会の事前承認を求めてプロジェクトに対して強く反対してきた。Project Kuwait関連法案は2000年4月に政府から提出されたが,提出当初は全く審議に入ることが出来ず,ようやく2001年1月になって議会の経済財政委員会で同法案の審議が開始された。 また,2001年1月にKPCがIOCに対しIPPを送付した際には,議会側では,過半数の29名(定員50名)が連名で政府に対し緊急討議の実施を要求する声明を発表し,2001年3月には,IOCと新たに油田開発契約を締結する場合は必ず新たに制定される個別の法律に基づいて締結されることとする決議を賛成多数(50名中36名)で可決した。 議会の反対派は,Project Kuwait関連法案に関し,以下のような問題点を指摘している。 ①法律問題(クウェート憲法の規定上,天然資源への投資は議会の承認した法の下でのみ認められる。プロジェクト関連法案には,政府が議会の承認を得ずにIOCと契約を締結する権限を有するとの条項が盛り込まれているが,これは憲法違反ではないか?) ②操業サービス契約(OSA)の是非(現状,BP,Chevron,ExxonMobilと既存油田操業に関する技術サービス契約(TSA)を締結しているが,今回導入予定のOSAはクウェートとしての国益を最大Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - サする最適契約形態であるかどうか疑問。) ③透明性確保の問題(政府が契約締結まで一切の権限を有した場合,プロセスの透明性が確保されず,不正や横領といった問題の温床となり得る。) KPCがIOCとのコンタクトを続けることに対しても議会側からは強い不快感が示されたが,これに対してSabeeh石油相からは6月上旬に,IOCとの交渉は続けるが,最終的に議会の承認なしにいかなる契約やコミットもしない,との見解が提示された。 (4)早期の関連法案成立は困難な見通しか? 議会の経済財政委員会は5月に,体外開放の先進国であるノルウェーの視察を行い,議会にプレリミナリー・レポートを提出したが,更なる調査を行うため,12月中旬にサウジアラビア及びイランを石油省のメンバーと共同で視察する予定となっており,委員会が議会に最終報告書を提出するのは来年にずれ込む可能性が高い。議会(本会議)での審議は,委員会の最終報告書が議会に提出されるまで開始されない。またMEESによれば,議会では,現在もProject Kuwait関連法案の「成立絶対阻止」を主張する強硬派が多数を占めている。以上より,当面,短期間での法案成立は,最近の政府側の積極姿勢にもかかわらず,厳しい見通しであると言わざるを得ない。 油田開発への外資開放問題で政府と議会は厳しい対立状況に陥っているが,両者の対立はエネルギー問題だけにとどまらず,公共料金値上げや税制改革といった他の重要法案の審議にも及んでいる。議会は,以前から,サバーハ首長家による重要閣僚の独占に対する批判や問題閣僚に対する責任追及のキャンペーンも続けており,両者の対立は大変根深いものであるといえよう。 【 Project Kuwaitの概要 】 (cid:122) 外資を導入し,北部4油田(Raudhatain,Sabriya, Ratqa, Abdali)及び西部2油田(Minagish,Umm Gudair)の追加開発(増進回収)を行い,クウェート全体の生産量引上げを図る。(Burgan油田の生産減退に対応) (cid:122) 第1フェーズとして,北部4油田の開発を先行。2005年までに,現行生産量400~450千b/dを約900千b/dに増産する計画。引続き第2フェーズで,西部2油田の現行生産量190千b/dを360千b/dに増産する。投資総額は約70億ドルとされる。 (cid:122) 契約形態は操業サービス契約(Operating Service Agreement)であり,イランのバイバック契Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - xースに,種々のインセンティブを加えたものとされる。 (cid:122) 契約条件(1999年11月のクウェート政府主催会議及び2000年4月の新法政府案で公表) (1)契約期間:20年(最大10年の延長オプションあり) (2)契約条件 ①油田,生産原油に対する所有権は,すべてクウェート側にある。 ②一つの多国籍コンソーシアム(複数のIOCから成る)が,対象油田の開発・操業を一括 請負い ③IOCは,生産目標達成のための開発資金を100%負担。開発・操業コストは,種々のサービス料(Oil Fee, Gas Fee,資本回収 allowance,コスト削減インセンティブと利益の共有,目標生産量を上回る実績に対するインセンティブ 等)として回収。 ④クウェート人70%以上の雇用,クウェート企業からの資機材調達(ただし,国内で調達 可能で,仕様を満足し,価格が輸入品の10%オーバー以内であることが条件) <対象油田の生産計画> 油田名 発見年 可採埋蔵量 (百万bbl) 現状生産量 目標生産量 (b/d) (b/d,2005年) 225,000 95,000 515,000250,000 3,000 30,000 45,000 33,000 120,000401,000 915,000 90,000 100,000 210,000 250,000190,000 460,000591,000 1,375,000Raudhatain Sabriyah 1955 1958 5,100 4,300Bahra (*) - Ratqa Abdali 1977 1990 459小 計 9,859Minagish Umm Gudair 小 計 合 計 1959 1962 3,300 3,200 6,50016,359 北 部 西部Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - (*)99年9月:対象から除外 出所:APS,MEES <クウェート概略図> 出所:KPC 2.アラビア石油との中立地帯新規契約の動向 (1)AOCとの新規契約は来年1月に調印へ 2000年2月に沖合中立地帯(カフジ油田,フート油田等)でのサウジアラビア側利権契約が失効したアラビア石油(AOC)は,2003年1月に期限を迎えるクウェート側権益について,クウェート政府(石油省)との協議を続けてきたが,両者は2001年9月17日,利権契約は失効するものの技術サービス契約(Technical Service Agreement,TSA)の締結によりAOCの操業への参加を継続することを骨子とする基本原則に調印した。利権契約に代わり,TSA 及び原油引き取り契約,ファイナンス契約の3本立ての契約を締結するとの内容であり,合意された基本原則は,10月上旬に開かれたSPC(最高石油評議会)で承認され,10月29日の閣議において正式承認された。 さらにAOCとクウェート石油省は,2001年12月12日,新規契約を2002年1月29日を目処に正式調印することで合意し,覚書を交わしたと発表した。今後,両者は,最終的な契約条件の交渉に入る。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - i2)議会側は,AOCとの契約方式(技術サービス契約)を評価 Project Kuwaitでは政府と激しく対立する議会側は,有力議員のHashim氏が「9月17日の合意内容は,とても良い取引であり,ハッピーエンドだ。AOC との新規契約により,クウェートへの技術移転とクウェート人の訓練が促進されよう。我々の要求の 85%は満たされた」とコメントするなど,今回,AOC との契約方式が操業サービス契約(OSA)ではなく技術サービス契約(TSA)となった点を評価しており,大きな抵抗は出ない見通しであると伝えられている。OSAではなくTSAとなったことで, AOCはクウェート側の指示に基づき技術サービスの形で操業を請け負う事実上の「下請け」に転換することになり,クウェート側が主体的,自主的に油田操業をコントロールすることが可能になる。 (3)中立地帯での共同操業会社設立へ向け,クウェート,サウジ両政府が協議を開始 沖合中立地帯での操業権がAOCとの現行利権契約の期限切れ後クウェート側に移管されることに伴い,KPCの子会社で国内操業を担当するKuwait Oil Company(KOC)が新たに操業を担当することになる見込みである。また,昨年AOCの権益が失効したサウジ側沖合中立地帯では,操業会社としてAramco Gulf Operations Company(AGOC)が設立された。KPC によれば,両国政府は,クウェート側の提案に基づき,中立地帯での効率的油田操業の実現を図るため,共同操業会社の設立へ向けて協議を開始した。クウェート側計画では,共同操業会社の設立時期は,2009-10年にChevronTexacoとの陸上中立地帯での権益契約が期限を迎えることもふまえ, 2008-09年頃を想定しているという。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 -
地域1 中東
国1 クウェート
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,クウェート
2001/12/13 猪原 渉
Global Disclaimer(免責事項)

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