ページ番号1002886 更新日 平成30年3月5日

トルコ/イラン:イラン~トルコ間ガスパイプラインが完成し、トルコ向けガス供給ソースの多様化が進む

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レポートID 1002886
作成日 2001-12-28 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 天然ガス・LNG
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2001
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ トルコ/イラン: <更新日:2001/12/28> <企画調査部:猪原> イラン~トルコ間ガスパイプラインが完成し,トルコ向けガス供給ソースの多様化が進む (2001 MEES 12/17,Reuters 12/11,Gas Matters June 2001) 1.技術問題や米国の圧力から建設が遅延していたイラン~トルコ間ガスパイプラインが完成。2.トルコは,国内需要増加予想を背景に Shakh Denizガス田(アゼルバイジャン)やBlue Streamパイプライン(ロシア)からの供給実現も目指す。欧州向け供給基地構想も視野に。 1.完成が遅れていたイラン~トルコ間ガスパイプラインが開通し,イラン産ガスの供給開始 建設が遅れていたイラン~トルコ間ガスパイプラインが完成し,2001年12月10日よりイランからトルコ向けのガス供給が開始された。両国は1996年8月,Erbakanトルコ首相(当時)のイラン訪問時に,数量100億m3/y,期間23年間の天然ガス長期売買契約を締結し,1999年の供給開始を目指していたが,その後,本パイプラインに接続される予定のトルコ国内パイプライン幹線網が資金調達の遅れにより建設が遅延したため,供給開始時期が2001年9月に延期され,今年に入ってからは,イラン側設備の技術的問題(計量設備の規格適合問題等)が生じたため,さらに完成が遅れていた。 パイプラインの建設が遅れた背景としては,上述の要因とは別に,イランの関わる国際投資プロジェクトの実施に対し反対姿勢を取る米国の存在があげられる。米国はトルコとイランが合意文書に調印する直前の1996年7月(クリントン政権期)に対イラン・リビア制裁法(ILSA法)を発効させており,一時,本パイプライン向け設備・機材のトルコ向け販売に制限を加えるなどの方法により,トルコに対し建設中止の働きかけを行った。これに対しトルコは,国内ガス需要の増加に対応するために供給ソースの多様化が必要不可欠であるとして,米国からの圧力を受けながらも,イランとの協調姿勢を崩さず,パイプライン建設を進めてきた。 記者発表を行ったトルコのZeki Cakenエネルギー相によれば,本パイプラインによる供給量は,当初(2002年)40億 m3/yで,2007年には100億 m3/y(ピーク数量)まで拡大する計画である。今回のプロジェクトでは,両国がそれぞれの国内ポーションの資金調達と設備建設を担当することにGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ネっており,イラン側はTabrizから国境地帯のBazarganまで,トルコ側が国境のDogubayazitからEzurum(国内幹線網との接続点)までのパイプライン及び付帯設備の建設を実施した。 2.ガス需要の大幅増加予想を背景に供給ソースの多様化を進めるトルコ (1)2010年の国内ガス需要は現在の4倍に増加との予想 トルコ政府及び国営ガス会社Botasは,天然ガス焚き発電所の増設などにより,国内ガス需要は,2000年実績の146億 m3/yから,2005年400億 m3/y,2010年に580億 m3/yに飛躍的に増加するとの強気の見通しを掲げている。2000年の需要は,約70%がロシアからのパイプラインによる輸入であり,残りがアルジェリア,ナイジェリアからのLNG(約43億m3/y)などによる受け入れとなっている。 トルコは,ガス需要の拡大(産ガス国からは懐疑的な見方もあるが)に対応するため,イランに加えトルクメニスタン,ロシア,アゼルバイジャンと次々と天然ガス長期輸入契約を締結している。 <トルコ向け天然ガスパイプライン計画> プロジェクト 契約年 契約量供給ソース 起点 終点 延長 (km) 輸送能力 (億m3/y) 完成年 (最早) (経由地) ①イラン ②トルクメニスタン TransCaspian トルクメニスタン (イラン経由) ③ロシア Blue Stream ④アゼルバイジャン (グルジア経由) ガス田 (億m3/y) 100 160 1996.8 1999.5 Kangan他 Dauletabad Tabriz ShatlykErzurumErzurum 570 2,600 100 300 2001(済)2002(?) - - Dauletabad ShatlykErzurum2,700 300 2003(?)1997.12 160 西シベリア DzhugbaSamsun 400 160 2002 2000.3 66 ZapolyarnoyeShakh Deniz Baku Erzurum 800 200 2004 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ャgルコ向け天然ガス供給パイプライン計画概略図> カスピ海カスピ海③ Blue Stream③ Blue Stream黒 海黒 海④ Shakh Denizガス田④ Shakh Denizガス田② Trans-Caspian② Trans-CaspianErzurumErzurumト ル コト ル コアゼルバイジャンアゼルバイジャンTabrizTabrizトルクメニスタントルクメニスタン地 中 海地 中 海① イラン-トルコP/L① イラン-トルコP/Lイ ラ ンイ ラ ン (2)イラン~トルコ間パイプライン推進の背景 トルコはロシアとの間で,Blue Stream パイプライン(黒海海底パイプライン)による新たなガス供給契約を締結しているが,ロシアへの依存度が益々高まることへの懸念が国内で(特に軍部から)指摘されており,イランを含む供給ソースの多様化を図ることは,単なるガス供給源の確保という観点だけでなく,反対勢力の批判をかわすという政治的観点からも重要である。このような事情から,トルコは米国の反対を押し切ってまでイラン~トルコ間ガスパイプラインの建設を推進してきた。 (3)「東西エネルギー回廊」戦略 しかし一方で,トルコは米国の強い支持のもと,「東西エネルギー回廊(East-West Oil and Gas Corridor)」戦略を進めている。この戦略は,豊富な天然資源を有するカスピ海周辺諸国(アゼルバイジャン,カザフスタン,トルクメニスタン)からロシアあるいはイラン経由ではなく,トルコを通り西部の市場へ石油/ガス輸出を可能とするルートを構築するという戦略である。この戦略の中核となるのが,アゼルバイジャンからトルコの地中海に面したCeyhan港を結ぶ全長1,700kmのBaku-Ceyhan石油パイプライン・プロジェクトである。 トルコは,イランルートに続き,アゼルバイジャンで1999年に発見されたShakh Denizガス田からのガスパイプラインの早期建設を目指しているが,Shakh Deniz ガス田からのガス供給パイプラGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - Cンは,グルジア経由でトルコに向かうBaku-Ceyhan石油パイプラインと同じルートになるといわれている。Shakh Deniz のガス取引は,アゼルバイジャンにマーケットを提供しガスパイプラインを建設することで,同じルートのBaku-Ceyhan石油パイプラインの早期実現にも拍車がかかるというトルコ側の思惑がある。Shakh Deniz ガスプロジェクトに関わる関係国及び国際コンソーシアム各社(BP(オペレーター)25.5%,Statoil 25.5%,Lukoil 10%,TotalFinaElf 10%,OIEC(イラン)10%,Socar 10%,トルコ国営石油会社(TPAO)9%)からの間接的なサポートが期待できるとの考え方である。 一方,Shakh Denizガス田が発見されたことから,従来米国が強く支援してきたTransCaspianガスパイプライン構想(カスピ海海底パイプラインを敷設しトルクメニスタン産ガスをトルコに供給)は,建設容易性や経済性の面で Shakh Deniz~トルコ間ガスパイプラインに大きく劣るため,プロジェクトの実現性は低くなった。最近は米国及びトルクメニスタン政府から同パイプライン構想の実現に向けた積極的発言はなく,事実上プロジェクトは見送りの方向で固まりつつあるものと考えられる。 (4)欧州向けガス供給基地構想を視野に 仮にTransCaspianプロジェクトが実現しなかった場合でも,産ガス国からの一連のパイプライン建設が進めば,トルコは近い将来,実現を疑問視する見方もある長期国内ガス需要予想量をも上回る大きなガス供給能力を持つことになる見込みである。 トルコとしては,将来的には,巨大な欧州市場への一大ガス供給(=中継)基地としての地位を確立することを目指し,ロシアやアルジェリア等既存の欧州向けガス供給国との競合も視野に入れているものと見られる。ただし欧州向け供給構想の具体的検討はこれからであり,4月に承認された国内ガス市場の自由化法案をふまえたBotasの民営化検討問題もあって,ガス政策の明確な将来ビジョンが示されるまでには暫く時間がかかる見込みである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 -
地域1 中東
国1 トルコ
地域2 中東
国2 イラン
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
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地域8
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地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,トルコ中東,イラン
2001/12/28 猪原 渉
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