ページ番号1003047 更新日 平成30年2月16日

BP は本格的な上流資産整理に着手、Apache に北海 Forties/メキシコ湾浅海域資産を 13 億ドルで売却

レポート属性
レポートID 1003047
作成日 2003-01-27 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 企業
著者
著者直接入力 佐々木 育子
年度 2002
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2003/1/27> <企画調査部:佐々木 育子> BPは本格的な上流資産整理に着手、Apacheに北海Forties/メキシコ湾浅海域資産を13億ドルで売却 (OGJ online、FT 1/13, Upstream Insights 2003/1、Upstream 1/17他) 1. BPが北海の代表油田Fortiesの権益と米メキシコ湾浅海域資産をApacheへ売却 2. スーパーメジャーの2003年の売却推定総額は150億ドル、北海・北米等資産取得機会増大か BPは1月13日、北海Forties油田の権益96.14%と米国メキシコ湾浅海域の61油ガス田権益を総額13億ドルでApacheへ売却すると発表した。BPは収益性向上のため、上流資産ポートフォリオの抜本的な見直しを行っており、本取引はその一環である。一方、近年資産買収によって急成長してきたApacheは、本取引によりメキシコ湾浅海域最大の鉱区保有者となり、また北海に参入してエジプトに次ぐ海外生産拠点を確立した。同社にとって本取引は過去最大の資産買収であり、北海 M&Aとしては過去6年間で最大規模となった。 今後、収益性の維持・向上に経営目標をおくスーパーメジャー・メジャーの各社が、資産整理を本格化すると見られ、WoodMackenzieによるとこれら企業の2003年の資産売却額は150億ドルに達するとも予測されている。 1.BP/Apacheの取引内容と意味(北海E&Pへのインプリケーション大) 取引内容は、表1のとおり、北海及びメキシコ湾の成熟資産であり、埋蔵量233.2百万boe(2割はガス)、生産量99千boe/d、総額13億ドル(=$5.58/boe)。Foties油田は北海全盛期の代表的な油田(累計生産量28億boe、ピーク生産量500千b/d)であるが、BPの全世界ポートフォリオの中では、操業コストが最も高く($4.27/bbl)、投資の維持が困難な油田となっていた。一方、Apacheはこれまで、北海への参入を狙ってきたが、今回の取引で初めて参入し、埋蔵量ベースで 12%のコア地域を確立した。メキシコ湾でもオペレータープロジェクトを多数取得し、本取引全体で埋蔵量を14%、生産量を30%拡大させた。 BPの北海生産量は約800千boe/dと、同社の全世界生産量の約4分の1を占め、本年もClair油田開発など新規プロジェクトを含め16億ドルの投資を計画している。しかし、売却したForties油Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - cの資産価値は、BPのポートフォリオ上、全世界で30番目程度であり、全生産量の1%程度に過ぎない(図1)。BPは今回の売却資産に北海の主要インフラであるFortiesパイプラインシステム(輸送能力1百万b/d)のオペレーター及び権益を含めておらず、今後は、増産が可能な優良資産をこうした主要インフラ周辺に統合する一方、Forties のような中小規模の成熟資産を売却して、一層の合理化を図ると見られる。 北海では過去5年間、大手企業による上流投資が伸びず、資産取引も低下傾向にあったため、北海上流活動の衰退と価値低下が指摘されてきた。しかし、本年はBPのほか、主要生産者であるスーパーメジャー・メジャー(RD/Shell、ExxonMobil、ConocoPhillips)による大規模な資産売却、過去のM&Aにより資産が散在しているメジャー・準メジャー(ENI、KerrMcGee、Amerada Hess)の資産整理が活発化し、北海コア生産の確立を狙うメジャー・準メジャー・新興北海企業(ENI、Apache、Talisman、Paradin等)がこれら権益取得に積極的に動くと推測されている。BP/Apahceの取引は、北海上流活動が大手から準大手へ入れ替わり、投資が再び活性化するという北海の新たな時代の始まりを告げるものと理解されている。 表1 BP/Apache 資産取引の内容 図1 BPの生産量地域バランス 英国23%1%をApcheへ売却 その他欧%州4アラスカ2001年生産量3,419千b/dBP 生産量の地域バランス9%メキシコ湾13%陸上48州18%1%をApche へ売却 Fortiesの主要PLシステムは売却に含まれず、BPはApacheと2年間のFotiesからの生産物全量引取り(一部固定価格)契約を締結。 Apache は資産買収を成長の手段として活用し、成功してきた代表的な準メジャー企業である(図Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - .Apacheの買収手法と成功の要因 2米メキシコ湾メキシコ湾浅海域113鉱区61油ガス田生産量198MMcf/d・20.4Mb/d(2003)その他33%資産取引の内容英領北海北海Forties油田権益96.14%埋蔵量146百万boe、生産量48千b/d取引額630百万ドル取引成立は2003年Q2の見通し埋蔵量86MMboe取引額670百万ドル取引成立は2003年3月末の見通し合計埋蔵量233.2百万boe(2割ガス)生産量65.5千b/d、198MMcf/d総額13億ドル(=$5.58/boe) *)。過去3年間(99-02)の主要資産買収だけでも56億boe/35億ドルの資産買収を行い(表2)、米メキシコ湾、カナダ、エジプト等で生産拠点を確立し、探鉱・開発を拡充している。同社の買収成功要因は、以下のように取得の方法と財務計画にあると見られる。 図2 Apacheの生産量推移(1993-2000) 表2 Apacheの主要資産買収(1999-03/1) 年月取得資産2003/12002/122001/32001/32000/122000/81999/111999/5BP/Fories,GOMSouth LouisianaFletcher/CanadaRepsol/EgyptPhillips/CanadaOxy/GOMShell/CanadaShell/GOM1999/5-03/1 合計埋蔵量 取引額(MMboe)(MM$)1,3002606274104903855247454,7412233011968725788127784Shellより資産買収オーストラリアオーストラリアAmpolex子会社買収Novusより買収Phillips、Oxyより買収Phoenカナダ米国300250200150100500(千boe/d)19931994199519961997199819992000米国カナダエジプトオーストラリア出所:各種資料より作成 (1) 取得の方法は個別交渉 Apacheは1991-2002年に19件の資産あるいは企業買収を実施しており、うち4件が企業買収である。同社は伝統的に個別交渉による資産買収に焦点を充ており、多くが大手企業との大型パッケージ取引となっている。今回のBPからの資産取得も、入札によらず、BPとの個別の短期交渉で決着した。入札方式としないため、取得価格を妥当な水準に維持し*、且つその後の資産整理で(1991-2001年の資産売却12件)資産バランスを維持・向上させている。なお、買収時には資産だけでなく、ノウハウに通じた社員を継続して雇用し、アップサイドを狙っている。今回もBPのForties及びGOMの全社員を原則再雇用する見通しである。 *BP資産の取得額$5.58/boe(02年米国平均$7以上/boe) (2)買収に備えた堅実な財務計画 今回の買収は同社にとっても過去最大規模となり、買収資金の13億ドルは現金、新株発行、借り入れににより調達された。同社は1年以上前より大型資産買収に備えた財務計画を策定しており、さらに、買収と同時に買収資産からのキャッシュフローをヘッジ(表 3)している。具体的には天Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - Rガス生産量の50%、石油生産量の100%をヘッジして、キャッシュインフローと投資計画の安定性を図り、堅実な財務戦略によって大型買収を実現している。 期間 2003/2-2004/1 2003/2-2004/1 2004/2-2004/12 2003/2-2004/1 2004/2-2004/12 出所:Apache 量 50,000 b/d 25,000 b/d 40,000 b/d 100 MMcf/d 100 MMcf/d 価格 $26.59/bbl WTI Nymex $25.26/bbl Brent* $22.00/bbl Brent* $4.75/Mcf Henry Hub Nymex $4.33/Mcf Henry Hub Nymex .スーパーメジャーの上流資産整理が本格化 3表3 ApacheのBP資産買収に係るヘッジプログラム 2002年末より、スーパーメジャー各社の資産売却の動きが加速している。BP/ConocoPhillipsは英領北海のArkwrigth等 3油田権益をParadin Resoucesへ売却することで合意、また、RD/Shellも2002年に買収したEnterpriseのノルウェー・英国北海権益売却を発表した。これまで、スーパーメジャー・メジャー各社は、M&A 後に資産効率を向上させる大規模な資産整理を実施してこなかった。しかし、以下の理由により、スーパーメジャーの上流資産整理が2003年に本格化し、上位企業は本格的に大型案件に注力すると見られている。同時に、スーパーインディペンデント、新興メジャー(ロシア、中国企業など)、スーパーインディペンデント、新興上流企業がこうした資産の受け皿となって勢力を拡大し、準メジャー以下の競争も益々激化すると推測される。 1)理由:高成長(=5%以上の増産率)の維持は困難 (過去2-3年、投資家は企業の増産に注目していたため、スーパーメジャー・メジャー各社は新規の大型案件(中東大型案件、LNG案件など)が進捗しない中で、従来資産を売却して生産量を減らすことは出来なかった。しかし、BPを始めとしてスーパーメジャー・メジャーの増産率は概ね0-3%程度となることが明らかになり、規模的に高成長は困難である現状が認識されるようになった*。こうしたことから、株式市場は増産ではなく「価値」(=収益性)に焦点を移した。 *歴史的な業界のM&Aを牽引し、高い成長(増産率7.5%)と高い収益率を約束したBPが、2002年10-11月に増産目標を再三下方修正し、2002年の増産は前年比3%に止まったことが株式市場の業界の成長(=増産率)に対する認識の転換点。 2)理由:スーパーメジャー各社の収益予想以下 (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - 齦矧驪ニを除くスーパーメジャー・メジャー企業の収益性は計画を下回る状況が続いている。例えば、BP、ChevronTexaco、メジャー規模のConocoPhillipsなど合併時に示したROCEを達成できず、業界リーダーであるExxonMobilとの厳しい競争に晒されている。投資家サイドの石油各社に対するROCE向上の圧力は以前にもまして高まっており、各社とも高成長(=高増産率)よりもROCEの向上に集中した新たな経営戦略に着手している。BP、RD/Shell以外にも、既にConocoPhillipsがROCE引き上げのため、2002年末に20億ドルの上流資産を売却することを発表している(E&P動向「新会社ConocoPhillipsの戦略、焦点はコスト削減による収益性の向上」参照)。BPの2003-4年の世界的な上流資産放出は北海や米国などを中心に50-60億ドルに達すると見られている。 3)理由:プーリング法による売却規制解除 (合併後2年間は大型資産売却ができないという米国持分プーリング法による規制がかけられていたExxonMobilは、2002年に同法による資産売却の規制が解除され、下流・石化・その他部門で資産売却を開始。2003年1月には、オーストラリア資産のノンオペ資産(Cooper-Eromanga Basin等)を売却する意向を明らかにした。 上流資産の今回のBP/Apache取引は、スーパーメジャーのポートフォリオ合理化の始まりであると多くの上流専門家が指摘している。WoodMackenzieは、上位6社(スーパーメジャー+ENI)は資産ポートフォリオ下位5-10%を対象に資産整理を行うだろうと推測しており、仮に5%が放出された場合、その資産総額は150億ドルに上ると試算している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 -
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2003/01/27 佐々木 育子
Global Disclaimer(免責事項)

このウェブサイトに掲載されている情報はエネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。

※Copyright (C) Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。