LNG:米当局,LNG受入基地の非オープンアクセス化へ方針転換
レポートID | 1003051 |
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作成日 | 2003-01-30 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 天然ガス・LNG |
著者 | |
著者直接入力 | 大井 一伴 |
年度 | 2002 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/1/30> <企画調査部 大井 一伴> LNG:米当局,LNG受入基地の非オープンアクセス化へ方針転換 -新設LNG基地計画に追風。米国向けLNG取引の増加にも潜在的に寄与- (Natural Gas Week 02/12/23, WGI 03/1/22, Petrostrategies 02/12/30, 03/1/6,FERCプレスリリース,他) 1.米国では,新設LNG受入基地(陸上および沖合)に対してはオープンアクセス政策が適用2.これにより,米国におけるLNG受入基地建設の動きに弾みがつき,米国市場向けのLNG取引の増加につながるものと期待される。北米西岸のLNG受入基地計画にもプラス材料。 されないこととなった。 1.新規の陸上LNG受入基地にオープンアクセスを求めず (1)LNG受入基地の新設および増設計画に進展あり 米FERC(Federal Energy Regulatory Commission:連邦エネルギー規制委員会)は,新しいLNG受入基地にはオープンアクセス義務を課さないこととした。 これは,昨年12月18日にFERCが,アメリカ本土では5ヶ所目(*1)となるLNG受入基地の建設をDuke Energyに対して仮承認(*2)した際に公表された。この基地はルイジアナ州Hackberryにて,2007年に1,500MMcfdの能力で操業開始の計画となっている。 <米本土のLNG受入基地の位置>Hackberry 出所:El Paso - 1 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 魔P:本土以外にも,プエルト・リコにEnronが所有する240MMcfdのLNG受入基地がある。 *2:正確にはpreliminary determination to approve。環境・安全面の評価も経て最終承認となる。本件が実現すれば,本土では1981年7月に完成したLake Charles基地以来のこととなる。 方,FERCは同日付けでLake Charles基地の増強計画(630MMcfd → 1,200MMcfd)を許可した([表1]参照)。費用は177百万USD。同基地はCMSが所有,操業している。ところが,数日後にCMSは,同基地をSouthern Unionへ1,800百万USDで売却すると発表した。 一なお,既存基地の今後の扱いについては言及されなかった。 表1] 出所:Petrostrategies(02/12/30) 基地 利用権者・割合 所有者 [能力(MMcfd) 2002 2005-06 630 1,200 750 440 1,750(?) 800 これまでFERCは,明文法規はないものの,LNG受入基地を州際パイプライン(州間でのガス輸送に利用される幹線PL。連邦レベルの規制を受ける)と同様に扱ってきた。 州際PLは,アンバンドリング(販売機能と輸送機能の分離)政策によって輸送(ないし貯蔵)ビジネスの場となっており,そこでの規制の重点はオープンアクセスの確保に置かれている。したがって,LNG受入基地も輸送ビジネスのインフラとして,オープンアクセスの実施を事実上求められてきたが,その結果,米本土の既存LNG受入基地における輸送能力(capacity)は[表1]の契約状況となっている。実例を挙げると,Elba Island基地においてEl Pasoは能力増設Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - *4:例外的に非オープンアクセス。クローズド操業。 2)LNG受入基地の規制上の位置付け (Everett Tractebel 715 *3:2002年10月,Statoilは El Pasoから2003年~23年までのcapacityを購入した。 535 Lake Charles CMS Energy Cove Point Elba Island Dominion Resources El Paso BG 81%,Duke Energy 19%:2002~05 BG 100%:2005~24 BP,Shell,Statoil(*3)各33.3% El Paso 60%,Marathon 20% Shell 100%(増設分のみ):2005~35 Tractebel 100%(*4) ェをオープンシーズン(能力・期間等の条件をインターネットなどで公開して行う一種の入札)にかけ,その結果,Shellが360MMcfdの輸送能力(再ガス化能力)を2005年から30年にわたって確保した,というものなどがある。 北米の主なパイプライン> <出所:http://www.gov.nf.ca/Budget2000/economy/images/Gas%20Pipeline.ppt.JPG 今回の方針変更の契機となったのは,2002年10月に開かれた公聴会である。そこで業界側は, ・オープンアクセス政策が米国での新規LNG受入設備への投資を潜在的に阻害している。 ・第三者に向けてのオープンアクセス政策,オープンシーズン方式をFERCに要求される現行規制下では,新規LNG受入基地を建設しても,それを自らの手に確保しておくことは殆ど不可能。 ・現行規制下では,米国向けLNG輸出プロジェクトを認めない産ガス国も多数出てこよう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 3)FERC方針変更の背景等 (ニ主張した。 要するに,ガス需要の順調な伸びが期待される米国市場へLNGを販売しようと企図しても,極めて少ないLNG受入基地・能力しかなく,しかも既存設備は既に押えられており,また,新規に受入基地を設けたとしても,現状では州際パイプラインと同視されてオープンアクセスの実施を強制されてしまい,十分な経済性を確保できないばかりか,自らは基地を使えなくなる恐れも出てくる,ということと考える。 うした主張を汲んで,FERCは今回のHackberryのケースにおいて問題の解決を図り,従来は州際パイプラインと同様に扱っていたLNG受入設備を,ガス生産設備と同様のものとみなすことにした。したがって,LNG受入基地はオープンアクセスの対象から外れることとなり,利用料金・条件についてもFERCの認可を必要とせず,当事者間で任意に決定できるものとされた。 但し,陸上LNG受入基地計画の許認可権は依然としてFERCにあり,需要確保の証明として建設開始以前に顧客との契約書をFERCに提出する義務も従来どおり存続する。また,本件が仮 こ承認された理由として,プロジェクト参加企業が経済的リスクを完全に引き受け,顧客がプロジェクト・コストの変動によって不利益を被る恐れがないと認められるため,ということも挙げられている。 たFERCは,当該規制の撤回によるLNG受入基地の建設促進への期待を表明した。国内市場の自由化・競争政策の一環であるオープンアクセス規制が,却ってLNG受入基地ないし米国ガス市場そのものに対する輸入アクセスの不備を生じ,米国ガス・LNG市場の成長のボトルネックになっていることが,今回の件を通じてFERCに認識されたものと思われる。順調な増加が今後も予想される米国ガス需要に対して供給促進を図る必要性は,FERCとしても良く分かっている,ということであろう。 まFERCは陸上のインフラを管轄しているが,LNG受入基地には沖合の計画もあり,こちらについての公的規制にも最近動きが見られた。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - .Offshore LNG受入基地に所有者の排他的利用を認める 2N11月,一連のテロ対策の一環としてMaritime Transportation Security Actが制定され(従来の関連諸法規の統合・強化),これに伴いDeep Water Port Actにも所要の改正が行われた。この際に,沖合LNG受入基地は運輸省(沿岸警備隊)の規制下に位置付けられることが明確になり,あわせて所有者に排他的な設備利用(right to exclusively utilize)が認められた。つまり,新設陸上基地と同様に非オープンアクセスということである。 プロジェクト側の反応も早く,法規が変更されてから程なく(大統領署名の数時間後),ChevronTexacoはメキシコ湾での沖合LNG受入基地計画(Port Pelican Project)の許可申請書を提出したとのことである。その数週間後,El Pasoも自社が推進するEnergy Bridgeと呼ばれる沖合LNG受入基地計画(メキシコ湾)について,同様の申請を行った模様(動向0206:「El Pasoは従来のLNG受入基地が不要となるEnergy Bridgeプロジェクトを計画」参照)。 3.おわりに 現在,大小含めて40近くのLNG受入基地構想が北米にはあると言われる(別表参照)。こうした計画が全て具体化するとは考えられないが,今回の陸上,沖合に関する新政策はこれらの計画を後押しするものとなろう。 特に,かねて関心を集めている北米西岸のLNG受入基地計画が実現することになれば,アジアから北米市場(太平洋岸)へのLNG取引の実現,また,逆の流れとして世界最大のガス市場であるアメリカの国内ガス価格のアジアへの伝播,という事態も現実味を帯びてくることになるのではないか。 以 上 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 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