ページ番号1003052 更新日 平成30年2月16日

トルコ海峡の渋滞が深刻化 ロシア原油の輸出が遅延

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レポートID 1003052
作成日 2003-01-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 小田 路子
年度 2002
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2003/1/30> <企画調査部:小田路子> トルコ海峡の渋滞が深刻化 ロシア原油の輸出が遅延 (2004,CERA 1/21,Reuters 1/26, Oil Daily 1/6, OGJ 1/19, 他) 黒海からのロシア原油輸出が、予定より15日~1ヶ月程度の遅れ。 ロシアを含め旧ソ連の生産量は年間60~100万b/dの伸びを示すが、輸出能力の限界が鮮明に。 ロシア及び中央アジアからの石油輸出量が順調に伸びる中で、最大の輸出ルートである黒海からの搬出がタンカー渋滞のために滞っており、数週間の遅れが出ている。ロシア原油の生産量が99年に回復し始めた当初から,輸出のボトルネックとしてトルコ海峡の通行キャパの制約が指摘されていた。中央アジア諸国を含め旧ソ連地域からの生産量は,4年前の2000年に8百万b/d(うち輸出量4.5百万b/d)で黒海からの原油及び石油製品の輸出量は2百万b/dであったが、2003年末には,生産量が11百万b/d(輸出量7百万b/d),うち3百万b/d近くが黒海沿岸から輸出されるまでになった。それらのほとんどが、最狭700mのボスポラス海峡とダーダネルス海峡(双方を総称してトルコ海峡:地図参照)を通過して、地中海市場に搬出されている。今後も旧ソ連地域からの生産量が伸びることが予想されていることから,黒海からの輸送の遅れが恒常的になれば,ロシア,アゼルバイジャン,カザフスタン原油の輸出量は,迂回ルートの開拓まで制約を受けることとなる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - _ーダネルス海峡 Dardanelles Strait ボスポラス海峡 Bosphorus Strait 写真:イスタンブール(マルマラ海への入マルマラ海 り口)付近のボスポラス海峡 トルコ海峡の混雑のために、2003年末から1月末の間,予定より15日~1ヶ月遅れて海峡を通過している。以前より恒常的に数日間の遅れが出ていたものの,冬にあたって全長200m以上の船舶の通航が可能な日中の時間が短く,さらに濃霧や雪のために視界不良となるために大幅に遅れが見られており, 近年の黒海からの輸出量の増加もあって事態は深刻化している。特に、ダーダネルス海峡のGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ハ行は日数がかかっており、1月末、ダーダネルス海峡で北方向けタンカーが38隻、南方向けタンカーが16隻待機して、通行許可を待っている。ボスポラス海峡の通航についても全体で13隻が待機中である。IEAによると,トルコ海峡の通行能力は1.8百万b/dであり,すでに実際の輸送量はそれを大幅に上回っているのが現状である。 旧ソ連産石油の輸出量(原油+石油製品)パイプライン及び貨車輸出バルト海・北極海からの輸出黒海からの輸出1月1997年1月1998年1月1999年1月2000年1月2001年1月2002年1月2003年 8.007.006.005.004.003.002.001.000.001月1996年(百万b/d)ボスポラス海峡の最狭点は幅700m、その地点での45度の旋回などがあり、海峡全体でもジグザグ走行のため高度な操縦技術が必要となる。大型船舶の通行は不可能で、14.5万トンタンカー(約1百万bbl積載)が通行キャパの上限である。90年代前半には、運転が難しいボスポラス海峡での事故が年間40件近く起きていたため、同年代半ばからトルコ政府は、独自に船舶の通行規制を始め、ロシア政府の反対も受けながら, 2002年10月からは,長さ200m以上(5万トンタンカー以上)の船舶について夜間の通行を禁止し、それらの通行には48時間前までに通行許可を申請することを義務付けた。さらに,全長200-300mの船舶の通行時は片道通行にすることとした。 表1.トルコ海峡の概要 ボスポラス海峡 (黒海~マルマラ海) ダーダネルス海峡(マルマラ海~エ長さ 約30km 最狭地点 Kandilli 幅約700m ーゲ海) 約60km 幅約1000m Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - ナ広地点 幅3200m タンカーキャパ 14.5万トン 航行路が狭い上に蛇行しており,さらに,黒幅1700m 海とマルマラ海の潮の関係で海面の流れと海底の流れが反対方向であるため,航行のハンドリングが難しい。 トルコ海峡は、1936年7月に締結されたモントレー条約により、トルコの安全が害されない限り、外国の一般船舶に対し自由航行が認められている。しかし、1994年より、年間ボスポラス海峡で40、50件の事故が発生していることから、トルコ政府は海上の安全航行を守るため規制を開始した。2002年10月に規制を強化し、200m以上の船舶については48時間前までに許可要求し、かつ夜間通行を禁止。 通行船舶うちタンカー タンカー比率 全長200m以総数 48079 42637 47283 2000 2001 2002 4937 6516 9427 10% 15% 20% 上の船舶 2203 2453 3113 ボスポラス海峡の通行量 (トルコMaritime Pilots’ ホームページより) 2.急増するタンカー通行量 表遅延・混雑化に伴う石油市場への短期中期的な影響 ・ トルコ海峡でのタンカー航行の遅延により中型タンカーの供給が不足しており、特に、アフラマックス(8万トン)とスエズマックス(約14万トン)タンカーの運賃が大幅に上昇。運賃レートは1月末現在,昨年夏の水準から3~4倍に跳ね上がっている。タンカー市場は,全体的にフレート高(大型船VLCCはWorld Scale 130前後。中東-日本の運賃2.4ドル/bbl)になっている。 ・ 黒海からの原油搬出の滞りで、地中海地域向けの石油製品や原油供給が減少している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - E 旧ソ連産原油の輸出量の限界:ロシア原油の搬出路は海上からでは黒海の他にバルト海からのルートがあるが、このルートはバルト海からの出口で多島海(デンマーク海峡)を通行するため,トルコ海峡と同様にタンカーの規模(キャパ11万トンタンカー)に制約があり、また,冬場はバルト海やバルト海に至る河川で凍結がおきる場合もあることから,輸出量の拡大が制約される。すでにその航行量は限界状態とも伝えられている。一部,ロシア輸出ルートの欧州向けDruzhbaパイプラインで拡張工事が行われているが、旧ソ連地域からの生産量は、2005年まで年間50万b/d以上の増加が見通しされているため,その他の既存ルートの能力増強や新規の輸出ルートの開通が行われない限り輸出量は制約されることが予想される。なお,アゼルバイジャン原油及びカザフスタン原油の旧ソ連地域以外への輸出は,現状,すべてロシア経由の黒海ルートからとなる。 ・ ボスポラス迂回ルートの建設計画が促進:アゼルバイジャン原油及びカザフスタン原油の輸出を目的として,ロシア国内及びトルコ海峡を通過しない, Baku-Tbilisi-Ceyhanパイプラインの建設(2005年開通予定)が行われている。また,ロシア原油の輸出ルートには、黒海沿岸のブルガリアからギリシャアのアドリア海までのパイプライン建設計画(関連記事2002年7月号 Uブルガリア・ロシア・ギリシャ:Burgas-Alexandroupolis P/Lの建設合意で,実現性に一歩前進UH), 太平洋側に搬出する太平洋パイプライン計画、北極海Murmanskに搬出するパイプライン計画があがっている。(関連記事 2002年11月号 Uロシア原油パイプライン計画の全貌UH) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - HTTHTT
地域1 中東
国1 トルコ
地域2 旧ソ連
国2 ロシア
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,トルコ旧ソ連,ロシア
2003/01/30 小田 路子
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