ロシア:Gazprom が Lukoil の随伴ガスの輸送について合意 ~しかしガス部門自由化は早急に進展しない
レポートID | 1003077 |
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作成日 | 2003-04-28 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 企業天然ガス・LNG |
著者 | |
著者直接入力 | 古川 純也 |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/4/28> <企画調査部:古川純也> ロシア:GazpromがLukoilの随伴ガスの輸送について合意~しかしガス部門自由化は早急に進展しない (2003 Lukoilプレスリリース,Nefte Compass4/3,Reuters4/15,The Moscow Times4/15) 1. GazpromはLukoilの随伴ガスを購入することに合意した。ロシア石油会社によるGazpromへの一定規模のガス販売ははじめてである。 2. Gazpromは生産量減少への対応として,石油生産会社からの随伴ガス購入について前向きであるが,輸送部門の独占開放には積極的でない。 3. LukoilはGTLに関心を示している。 GazpromはLukoilより8bcm/yのガスを購入することに合意した。Lukoilは自前でガスパイプラインを建設し,Gazpromの幹線パイプラインに接続する。Gazpromは石油会社のガス事業参入に積極的ではなく,同社が独占する天然ガス幹線パイプラインへのアクセスを限定してきた。この点から今回の取引は画期的と言われているが,生産減著しいGazpromが供給量確保のために,石油会社の随伴ガスにも頼らざるを得ないことが背景にある。ガス生産拡大に意欲的なLukoilは今回の取引を「WIN-WINの合意」と評したが,ガス部門の自由化進展は一足飛びには進まないとの見方がされている。 .Gazpromの状況 1ロシアにとって高い輸出価格が魅力の欧州では,天然ガス需要が旺盛であり,今後もロシアからの輸出が増加することが予想されている。しかし,西シベリアの主要な上流資産が成熟期を迎えることと,近年開発投資に積極的でなかったことが大きな要因となり,Gazpromの天然ガス生産量は低迷している。国内への安定供給と欧州への輸出増加両立のため,Gazpromは供給量の確保が急がれている。 Gazpromにとってロシア国内の生産拡大は重要であるが,大きな埋蔵量が期待される地域は,膨大な開発投資が必要な北極地域などが中心であり,今後の生産コストは決して安くは無いと予測される。そこでGazpromは安価で,かつ安定的な天然ガスをすぐに確保する手段として,「中Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 寃Aジア諸国からのガス輸入拡大」,「国内随伴ガスの有効利用」を政策的に優先している。前者においては,4月にトルクメニスタンとの長期供給契約(25年間,40bcm/y)を締結した。そして後者が今回のLukoilとの合意にあたる。 ■ロシアの天然ガス生産・需要・輸出(単位bcm) 生産(内Gazprom)国内消費輸出(出典)bp統計,The Almanac Of Russian And Caspian Petroleum199361857841693199460757139110619955955603781221991643602431105199264160341788199660156538011119975715343501171998591554365121199959254636413120005845233771332001581512373n.a.2002595524n.a.n.a. ■ロシア政府による天然ガス生産見通し(1999) 2. LukoilとGazpromの戦略的パートナーシップとガス販売合意 (1)合意の概要 両社は2002年11月に「2002-2005年戦略的パートナーシップ」に合意しており,今般Lukoilは2006年から8bcmの天然ガスをGazpromに販売することに合意した(3/31Lukoilプレスリリース)。LukoilがGazpromに販売するのはLukoilが開発を進める西シベリアYamalo-Nenets自治管区のNakhodkinskoyeフィールドから生産される随伴ガスであり,同地域における両社の協力は先のパートナーシップ合意の中にうたわれていた。 (2)販売量及び販売価格 販売量は2005年4Qに0.75bcmでスタートし,2006年以降は8bcm/yの販売を行う。Gazpromは22.5ドル/千cmでの引き取りを保証している(価格は国内ガス価格に連動)。 22.5ドル/千cmといった引き取り価格は,Gazpromの国内価格販売価格(16ドル/千cm)よりは高く,中央アジアからのロシアの輸入価格(35-40ドル/千cm)よりは安い設定価格である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 。ロシアのガス価格 (3)パイプライン建設 Nakhodkinskoyeフィールドは周辺にガス輸送インフラを持たないため,Gazpromの幹線パイプラインまでLukoilが自前でパイプラインを建設(150km,建設費用140百万ドル)する。接続ポイントである Yamburg のポンプ・ステーションが売渡地点となる。 (4)カスピ海沖合開発での協力 両社はカスピ海沖合Tsentralnayaフィールドの開発も共同で進めることに合意している。Lukoilがライセンスを所有していた同フィールドはガス田であり,Gazpromを開発パートナーに導きいれた経緯があり,ここでも両社の天然ガスの輸送の協力が必須である。 (5)石油会社の生産ガスの取扱い(現状と問題点) - 3 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 痩c会社Gazpromは天然ガスの輸送・供給を独占している。今回のLukoilとの合意は,ロシアの石油会社がGazpromに一定規模の天然ガス販売を行う初めての合意であり,画期的なものと受け止められている。ロシアの石油会社は独自の供給インフラの保有と需要家への販売が認められていないため,開発を積極的に行うことができない。現状では石油会社は生産ガスを低価格(5ドル/千cmと規定)でGazpromに販売することができるが,インフラ未整備地域では,随伴ガスをフレアさせるしかない。(5bcm/yを超える量がフレアされているとの見方もある。) 3.今後のガス部門の自由化進展 (1)Gazpromの独占解体を求めるLukoil Lukoilは天然ガス生産の拡大を計画している。現時点で2011-12年には30bcm/yの生産を見込んでいるが,ガス価格次第ではさらなる生産拡大も可能と見ている。 LukoilのAlekperov社長は輸送部門の独占を強く批判している。Alekperov社長は,「輸送インフラの独占は,石油ガスの生産を制限しており,ロシアのエネルギー分野の発展を阻んでいると」発言している。同社長は今回のGazpromとの取引には満足であると表明しながら,「国内ガス販売価格は抑えられ,パイプライン・アクセスは法的に制限されている,完全に自由化されれば,われわれは新たなガス開発を行う」とし,政府のガス分野の改革の遅れを非難している。 (2)ガス部門自由化の見込み 今回の合意が,ガス部門の改革を促すのではないかとの期待した見方もあるが,この事例がGazpromの独占開放に即つながるといった状況にはならないであろう。政府によるガス部門改革はすすんでおらず,今回の事例は単発的なものであり,今後も石油会社が随伴ガス販売を行うためにはGazpromとの個別合意によってすすめられるものと考えられる。 自らの逼迫した状況からGazpromは国内石油開発会社とのアライアンスを組んだが,輸送インフラへのアクセスについてはその特権を維持しようとしている。Lukoilは今回ガス販売の機会こそ得たものの,パイプラインアクセス制度やその先にある需要家への直接販売が不確定であるというリスクのもと積極的に開発をすすめることはできない。同様に,欧州への独自の輸出ルートを持たない中央アジア諸国にとっても,ロシアのパイプラインの第三者アクセスが認められない現状では,Gazpromへ販売せざるを得ない。欧州市場への直接のガス販売ができず,ロシアに主導権を握られたままであるといえる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - ukoilと米国のSynyroleumは,随伴ガスの有効利用に関する合意を行った(4/2Prime-Tass)。 Lukoil がロシア,カザフスタン等に所有する油田での随伴ガス利用について経済性評価を行うが,将来的にはSyntroleumのGTL技術の導入が期待される。LukoilがGTLの実現に成功すれば,Gazpromのパイプラインを利用せず,随伴ガスを市場に出すことが可能となる。 .Lukoil のGTLへの関心 4Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - |
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