ページ番号1003085 更新日 平成30年2月16日

ロシア:PS 法案が下院通過~PS法適用は限定的になり、外資投資環境は厳しくなる見込み

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レポートID 1003085
作成日 2003-05-29 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 古川 純也
年度 2003
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2003/5/29> <企画調査部:古川純也> ロシア:PS法案が下院通過~PS法適用は限定的になり,外資投資環境は厳しくなる見込み (2003 Reuters5/14,The Moscow Times5/14,Nefte Compass5/15,PA5/23,Rusenergy5/19) 1. ロシア下院でPS法は「今後例外的な鉱区についてのみ適用を認める」という消極的な法案が採択された。 2. 投資家にとってPS法は長期的な投資を保証するものとして長らく改正が期待されていた。しかし今回の法案が発効すれば外資の投資環境が厳しくなる。 1. PS法後退の流れ ロシアでは,PS契約が大規模な投資に対する長期的保証を安定的なものにするものとして,開発投資家側の強い期待があり,また,プーチン大統領も外資導入の重要な手段として政権発足以来PS法改正に積極的な姿勢を示してきた。しかし,5月14日にロシア連邦議会国家会議(下院)が承認したPS関連の税制に関するドラフトによれば,今後の外資投資活動に厳しいものとなることが予想される。 下院では「PS法による開発に適用される税制」を規定する税法典の章が採択された。法案は今後上院承認後,大統領が署名すれば発効するが,現段階のドラフトによれば,1999年に規定された改正PS法に比較して,PS法適用の範囲が著しく狭められることとなる(PS法の経緯は次項参照)。「通常の税制下での開発を希望する会社が存在しない場合に限り,当該交渉はPS法が適用される。」という規定があるので,今後のPS法の適用は,入札方式を実施しても応札が無かった鉱区などのケースに限られることが想定される。 現在PSリストアップされている個々のプロジェクトの取扱いは未確定であるが,政府のスタンスは,鉱床開発は基本的に通常税制下で行われるべきであり,自然環境が厳しく現行法制では開発が困難な地区において例外的にPSAを認めるべきであるというものである。この条件により一部例外的な取扱い(PS法の適用)が認められそうなのは,Shtokmanovskoye,Prirazlomnoye,カスピ海沖合の油ガス田,SakhalinⅢである。また,「当該法律の採択以前に締結されたPSAが定めた特別な条件は当該契約に規定された期間効力を有する。」という条項により,現行のPS契Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - vロジェクト(SakhalinⅠ,SakhalinⅡ,Kharyaga)も適用を認められる。政府は最近数年の税制改革により,通常税制が既に投資家にとって十分なものになったとの認識である。 ソビエト連邦の外資導入は1987年12月の「合弁企業法」にはじまるが,ロシアでは外資導入活発化のため1996年1月にPS法が発効した。PS法の成立前の1995年にSakhalinⅠ,SakhalinⅡ,Kharyagaの3プロジェクトでPS契約が調印された。3プロジェクトに続くPS対象油田をリストアップしたPSリスト法が1997年7月に成立し,改定を重ねている。(「PS法リスト」及び「PSリスト鉱区位置図」参照) 新しい法律として1996年に発効したPS法は現行の関連法(税制等)との整合性が問題視されており改正が急がれたが,エリツィン大統領時代には改革派に対する抵抗が強く,改正がすすまなかった。そのため,外資はPS法と関連法との齟齬というリスクを回避できないと判断し,PS契約は進展しなかった。プーチン大統領は外資導入の重要な手段として政権発足以来PS法改革に積極的な姿勢を示してきた。関連税制の見直しがすすんだが、先行3プロジェクトを除いてPS法は機能していない。(PS適用で先行した3プロジェクトに続いて,PS契約が成立したものとしてSamotlor油田があるが,現在契約停止状態にある。) かつては外資導入が開発推進には不可欠との見方が有力であったが,最近の高油価のもと,体力を増強したロシア石油会社の投資能力が増し,自ら開発を行うことを指向しはじめたという環境の変化があり,ロシアの開発会社側がPS法を強く要求しなくなったことが理由の一つとしてあげられる。またBPの持ち株会社(TNK-BP)出資が行われるなど,税制の改正により,外資にとってはPS法以外の手段によっても開発参加スムーズになったとの評価もある。 PS法立ち上げ当初のコンセプトは,「リスクが高く,開発困難であり外資導入が不可欠なプロジェクト」をターゲットとしたものであった。その後,PS推進派は外資導入のための一般的なツールとしてPS法を位置付けた。しかし多くのプロジェクトが相次いでPS法適用を求めた大きな理由のひとつは税制優遇であったため,税制改正により企業側がより効果的方法で節税が可Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - . PS法の要求が低くなった要因 3. PS法改革の経緯 2\となった現在では,PS法は以前に比べて魅力が薄れたといえる。ロシア国内では今回のドラフトを本来PSが必要とされるプロジェクトに適用するという当初の基本に返るものとの見方もある。 < PS法リスト及び鉱区位置図 > No 鉱 区 地 域 契 約 者 埋 蔵 量 議会承認時期 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 Sakhalin 1 Sakhalin 2 Kharyaga Offshore Sakhalin Offshore Sakhalin Nenets ExxonMobil, ONGC, Rosneft Shell, Mitsubishi TotalFinaElf Sodeco, SMNG, Mitsui, Pechora Sea KMAD KMAD Tatarstan Sakhalin Samotlor Krasnolenin Romashkino Sakhalin North Prirazlomnoye S-3 Kirinsky Off.Sakhalin KMAD* Federov KMAD Salym Komi Usinskoye Komi Yuzhno Lizhsky Udmurt Udmurt Evenki Yurubchen Tymen Uvat Tomsk Luginets N. Territories Nenets Priobskoye (N) KMAD Vankorskoye Evenki Tyanskoye KMAD Shtokhmanov Barents Nizhnevartovskn.g. Kondopetroleum etc. Tatneft Rosneft, SMNG Rosshelf, Gazprom ExxonMobil, Texaco Surgutneftgaz Evikhon, Shell Komitek, Nobel Oil Parmneft Samson Vost-Sibneft Uvatneft Tomskneft Lukoil, Conoco Yukos(Yuganskneftegaz) Anglo-Siberian Yeniseyneft Surgutneftgaz Rosshelf Sea Astrakhan Stroitransgaz Yamalo Nenets Purneftgaz Purneftgaz, YamaloNenets Quintana RUSIA Petroleum Irkutsk N. Astrakhan Kharampur Komsomolsk Kovykata 石 油(MMt) 325.0 140.0 152.9 1,275.3 1,334.9 359.1 16.5 42.3 453.0 344.0 135.7 71.6 12.3 65.1 281.2 82.7 97.0 176.1 733.0 30.7 315.2 - - 153.7 185.3 ガ ス(Bcm) 425 408 - 155.6 14.3 - 1.6 PS law, Dec. 95, PSA effective June 11, 96 PS law, Dec. 95, PSA June 22, 96 PS law, Dec. 95, PSA Jan. 99 PS list, July 97 PS list, July 97 PS list, July 97 PS list, July 97 - PS list, July 97 720 - - - - - 91.8 - - 51.3 - 76.8 688.9 2,534.4 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, May 99 PS list, Nov. 99 PS list, Nov. 99 PS list, Jan. 2000 PS list, Jan. 2000 PS list, May 2000 68 386 PS list, May 2000 PS list. Oct. 2000 PS list. Oct. 2000 - 1,597.1 PS list. Feb. 2001 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - o典 Delevoj Mir(”Industry World” in Russian) KMAD = Khanty-Mansiysk Autonomous District 出典:石油/天然ガスレビュー2003年1月号「復活した石油大国ロシアとその背景にあるもの」 4. PS推進派Gref経済発展貿易相退任の噂 下院でのPS法審議に前後して,PS推進派として2000年に経済発展貿易相に就任したGref大臣が辞任するとの噂が流れていた。「経済改革停滞」の批判を受けているKasyanov首相がGref大臣を批判のターゲットとして,自らの非難をかわしているとも伝えられた。プーチン大統領の抜擢により,強力な改革推進力を期待されたGref大臣だが,自らが苦境にたつことはPS推進派の衰退を裏付けている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 -
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
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国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2003/05/29 古川 純也
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