ページ番号1003088 更新日 平成30年2月16日

イラン/ロシア/カザフスタン/トルクメニスタン:イランとロシア・中央アジア地域との原油輸出スワップが拡大

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レポートID 1003088
作成日 2003-05-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 古川 純也
年度 2003
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2003/5/30> <企画調査部:古川純也> イラン/ロシア/カザフスタン/トルクメニスタン:イランとロシア・中央アジア地域との原油輸出スワップが拡大 (2003 Reuters5/14, OGJ5/5,Nefte Compass5/15,5/22,Rusenergy5/19) 1. イランにおいてロシア・中央アジア地域との輸出スワップが拡大している。 2. 今後進むカスピ海沖合開発において,イラン・スワップは南向け(イラン経由)の輸出手段のひとつとして考えられる。 3. ILSA法に基づき,米国はイラン・スワップに対し,否定的な見解を示している。 1. ロシア・中央アジア地域にとってのイラン輸出スワップの意義 ①ロシア、中央アジアにとっての意義 ロシア・中央アジア諸国がイラン経由の原油輸出への関心を高めている。イランとの原油輸出スワップは少量ながら既にトルクメニスタン,カザフスタンが行っており,ロシアもLukoil,Yukosが近く原油スワップ契約を結ぶと見られている。ロシア・中央アジア諸国にとってカスピ海沖合原油を中心とした生産原油の輸送は,CPCパイプライン(図1の①)、BTCパイプライン(図1の①~④)により西側(欧州)に輸出することが指向されており,そのパイプライン輸送能力から,西側向け(欧州向け)が今後も最も主要な輸出ルートとなることは間違いない。(図「カスピ海地域の原油パイプライン」参照)現時点においてはインフラ未整備のため,南向き,すなわち中央アジアからペルシャ湾までのダイレクトな輸送手段はない。しかしイラン北部の消費地への供給とペルシャ湾で原油引取りのスワップを成立させることで,量的に限定的ではあるがロシア・中央アジアにとって効率的に南アジア,東南アジアマーケットにアクセスできる手段となる。イランでは北部の需要地と南部(ペルシャ湾)を結ぶインフラが十分でなく,このスワップ・スキームが効果的である。 またロシアの石油会社にとってもロシア国内パイプラインが国営会社Transneftに独占されており,石油会社自身の輸出量のコントロールが不自由なことから,Transneftの統制の及ばない輸出手段として,イランを出口とした輸送ルートを利用したい思惑がある。 ②イランの関心 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - Cランは経済制裁を受けており,西側の投資も積極的に行えない環境であるが,イラン側もカスピ海原油の輸出ルートとなることを戦略的にとらえており、輸出トランジット国としてのプレゼンスを高めたい考えである。イラン向けパイプライン(カザフスタン~トルクメニスタン~イランルート)も計画されているが,当面のカスピ海原油生産拡大への対応としては,イラン向けスワップも輸出オプションのひとつとなることが考えられる。 1 カスピ海地域の原油パイプライン 図イランが現在各国と行う原油スワップは限定的な量である。最近ではロシアの開発会社がイランとのスワップ契約を検討していると伝えられ,注目されている。以下に概要を示す。 ①カザフスタン―イラン(Nefte Compass2003/5/15) PetroKazakhstan(前Hurricane Hydrocarbons)がカザフスタンのKumkol原油2万b/dをTeheranに鉄道輸送し,代わりにペルシャ湾で同量のイラン原油を受け取るスキームに合意した。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - . イランにおける原油スワップ取引の内容 2Aトルクメニスタン―イラン(OGJ2003/4/7) 少量ながらDragon Oil(1999年実績4千b/d)、Monument Oil(1999年実績1万b/d)がスワップ取引を行っている。 ③ロシア―イラン Lukoilは2002年11月よりロシアAstrakhanからカスピ海をタンカーで輸送し,イランのNekaに2.5万b/dを輸送している。現在スイスの商社であるVitol社を通じて実施しているが,まもなくNIOCの子会社Nicoと本格的な長期契約を結ぶと伝えられている。BPはSidancoの西シベリア生産原油を5千b/dのスワップに合意した。(ロイター5/22) また,Yukosもイラン・スワップに関心を持っており,トルクメニスタンのSeidi製油所に原油を送り,イラン北部への製品輸出の代替に,ペルシャ湾で原油を受け取ることを計画している。 3. イラン北部における今後のインフラ増強計画 イランはカスピ海原油のトランジット国としてのプレゼンスを強化したい意向であり,今後のスワップ量増加に向けて,北部地域のインフラ整備を計画している。今後500百万ドルの投資により、50万b/dのスワップ能力を計画しているが,具体的にはNeke港の能力増強(現在の5万b/dから37万b/dまで拡大)やTeheran製油所(25万b/d),Tabriz製油所(11万b/d)とNekaを結ぶパイプライン増強,Neka-Teheranパイプラインの増強も計画している。 また、北部の製油所は既にカザフのハイサルファー原油への対応のため改修済みである。 図2 イランの製油所とパイプライン Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - (出典/East&West Report) 4. イラン・スワップの障害 イランへの経済制裁を続ける米国は,イラン経由の輸送ルートは「米国のオプションではない」との公式見解を表明しており,Kashaganコンソーシアム等カスピ海開発に関わる米国企業にとってはイランを輸送ルートとすることの障害となっている。 またイランにとってスワップ原油量を一定以上に拡大すると,国内生産原油(主に南部で生産)のほとんどを輸出用とし,国内需要(北部に集中)のほとんどを西側資本が生産するカザフ原油等に頼るということになる。その場合、有事において短期的には融通のリスクを負うことになり、イラン国内において政策的に慎重な見方がされることも考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 -
地域1 中東
国1 イラン
地域2 旧ソ連
国2 ロシア
地域3 旧ソ連
国3 カザフスタン
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラン旧ソ連,ロシア旧ソ連,カザフスタン
2003/05/30 古川 純也
Global Disclaimer(免責事項)

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