ロシア:Gazprom の東シベリアへの積極的進出は同地域の開発を促進するか
レポートID | 1003099 |
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作成日 | 2003-06-27 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発企業 |
著者 | |
著者直接入力 | 古川 純也 |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/6/27> <企画調査部:古川純也> ロシア:Gazpromの東シベリアへの積極的進出は同地域の開発を促進するか (2003 Petroleum Argus5/16,5/30,Nefte Compass6/12,RPI5月号) 1. Gazpromがロシア政府の支持を受けながら,東シベリアのガス田開発及び輸送に積極的に乗り出している。 2. Gazpromは従来から東シベリアに権益を有していないが,同地域が民間会社によって開発され,東アジアに天然ガスが輸出されれば,Gazpromの天然ガス輸送独占体制が脅かされることになる。 3. 従って,Gazpromは東シベリア開発への参画に積極的であるが,それは同社の「独占維持」が大きな目的であるため,必ずしも同地域の開発促進につながらず,むしろ既存の開発会社の活動を阻害し,停滞要因となりうるとの見方もある。 Gazpromが東シベリア地域の天然ガス開発に関心を高めている。5月にはKogasと韓国へのパイプライン建設スタディを含んだ5年間の協力に合意し,またCNPCとの東シベリアの共同開発にも協議をすすめている。また世界ガス会議東京大会においてGazpromのMiller社長が基調講演を行ったが,東シベリアを主要開発地域のひとつとした開発戦略を明らかにしている。ロシア政府はGazpromを東シベリア・極東地域におけるガス輸出プロジェクトにおけるロシア側のコーディネーターと位置付けており,Gazpromは政府の支持を受けながら,同地域への進出に積極的である。 東シベリア地域のガス開発についてはKovyktaプロジェクト(概要は下記【参考】)がまもなくFSを完了するが,Gazpromは中でも同プロジェクトの参入に意欲的である。しかし同社の進出がこの地域の開発を加速させるかとのことについては懐疑的な見方があり,必ずしも東シベリアの開発促進要因にはならず,むしろ停滞要因になるとの見方すらある(後述)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - .Gazpromの東シベリアへの関心 1【参考】Kovyktaガス田開発プロジェクト概要 ロシア・イルクーツク州のKovyktaガスコンデンセート田(Irkutsk市の450km北西に位置する。)の開発を行い,そのガスをパイプラインにより供給する構想。可採埋蔵量は39.9tcf。 Rusia Petroleumがオペレーターで1993年11月に開発ライセンス(2018年まで有効)を取得している。Rusia Petroleum の株主はTNK-BP62.06%(BP32.95%,TNK29.11%),Interros25.72%,Irktsk州11.66%,その他0.56%である。 1975年の震探により鉱床の存在が確認され,1987年に発見が公式発表された。2001年2月にPS法適用鉱区としてリストアップされたが,現在PS法の大幅な見直しが国会で審議されており,同鉱床の取扱いについてもPS法不適用の可能性も含めて明らかではない。(参考動向2003/5/29「下院審議でPS法が後退」) Kovyktaガスコンデンセート田の開発には輸送インフラ(中国向けパイプライン)の整備が必要である。2005~2007年に商業生産開始の予定だが,中国へのガス販売価格交渉が難航している。同ガス田は本来ロシア国内供給をメインに開発が計画されたものであったが,大きな埋蔵量が確認され,天然ガス需要の急増が予測される中国が関心を示したため,アジア市場をターゲットにした国際プロジェクトへと位置付けがかわっていった。 Gazpromはロシア国内への天然ガス安定供給を掲げ,Kovyktaプロジェクトへの関心をかねてから表明しているが,権益を有していない。Gazpromの働きかけにより「2020年エネルギー政策プログラム(2003年5月にロシア政府がドラフト承認)」では,Kovyktaガスコンデンセート田のロシア国内供給源としての位置付けと,輸出計画におけるGazpromの調整役としての役割が取り上げられている。これは,早急に輸出プロジェクトをすすめたいオペレーター側(BP-TNK)の主導権を脅かすものである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - .Gazpromの東シベリア開発の方針と問題点 Gazpromはプーチン政権になってから,プーチン大統領の腹心であるMiller社長のもと改革が強く求められてきた。特に近年の投資不足が原因による生産量減退への対策として,東シベリアの未開発地域への投資拡大を掲げていたが,具体的な動きはなかった。同社はKovyktaプロジェクトには早くから参入の希望を表明していたが,権益取得にはいたっておらず,今後もどのようなかたちで参入を果たすかは明らかではない。 Gazpromは2003年3月のロシア政府委員会において「天然ガスの中国及びその他のアジア太平洋諸国への輸出可能性を念頭においた,東シベリアおよび極東におけるガスの生産,輸送,供給に関する統一システムの構築プログラム」を提案し,政府の支持を獲得した。5月にロシア政府が発表した「2020年エネルギー政策」においてもGazpromの提案が取り入れられており,政府は現在Gazpromを東シベリア地域の開発コーディネーターとして承認している。Gazpromの提案により,2020年エネルギー政策では東シベリア地域の内需を満たすことがうたわれており,Kovyktaの天然ガスは国内需要が優先されることとなっている。 Kovyktaガス田のライセンスホルダーRusia Petroleumは中国向け輸出を計画しており,Gazprom同様ロシア政府の開発プログラムに働きかけを行っていたが,結果的にGazpromの提案が取り入れられた。Gazpromの計画とは相違があり,政府がGazpromを支持していることから,今後Kovyktaの開発がRusia Petroleumの思惑通り加速する可能性は低いと考えられる。 さらにGazpromは先の世界ガス会議東京大会の基調講演においてKovyktaから太平洋向けパイプラインを提示するなど,Rusia Petroleumの中国向けパイプライン案への対立案を提示しており,同地域への関与を強めたい意向である。 Gazpromの東シベリアの進出は開発促進にはつながらないという見方がある。同社の性向として,開発計画及び関心の表明の一方でその後の実作業が伴っていない一面あり,今回のケースもこれがあてはまるとの見方もされている。Gazpromが東シベリアへの関心を表明しているのは,同社の天然ガス輸出の独占を維持することが大きな目的である。東シベリアにおいてGazpromが関与しないかたちで,Kovykta~中国ガス輸出パイプラインプロジェクトが進展することは同社にとって独占体制を脅かすものである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - .Gazpromの韓国,中国に対する最近の動向 Gazpromは韓国,中国との協議を活発化させており,これは同社が東シベリアでのプレゼンスを高めるための策略の一つと考えられる。2003年5月にGazprom-Kogasトップ会談が行われ,両社は5年間の基本協力に合意した。東シベリアから韓国に向けての天然ガスパイプラインのスタディも行われるであろう。現在東シベリアから中国への輸出パイプラインとしてKovyktaガス田からのパイプラインがBP主導で計画されている。 Sakah-Yakutia地方のチャヤンダ(Chayanda)ガス田,SakhalinプロジェクトはGazpromがライセンス取得に関心が高いプロジェクトだが,これらについても既にKogasと協議を行っている模様で,特にチャヤンダ(Chayanda)ガス田についてはKogasとの共同事業を提案しているようである。 また,Gazpromは東シベリアから中国への天然ガス輸出を計画するにあたり,東シベリアの上流開発へのCNPCの参加を働きかけている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - (出典)石油天然ガスレビュー2003年2月号「ロシアからの新しい石油・天然ガスフローを展望する」 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - ホ油天然ガスレビュー2001年3月号「胎動するロシア連邦東シベリア地域の石油天然ガス田開発」 http://www.jnoc-rp.jp/papers/2001/200103tada_russia.pdf Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - 出典) ( |
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