台湾:新設 LNG 火力発電所向けにカタールからの供給が決定
レポートID | 1003105 |
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作成日 | 2003-07-15 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 天然ガス・LNG |
著者 | |
著者直接入力 | 大井 一伴 |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/7/15> <企画調査部 大井 一伴> 台湾:新設LNG火力発電所向けにカタールからの供給が決定 (2003 7/7 Lloyd’s List, Platts, 7/4 Reuters, Platts, 6/27 東奥日報, 3/27 Taiwan Headlines,三菱重工HP, 他) 1.国営台湾電力が実施した大潭(Tatan)LNG火力向けガス供給入札を台湾の国営中国石油が落札。中国石油は台湾唯一のLNG輸入者であり、同火力向けに供給するガスをカタール(RasgasⅡプロジェクト)からLNGで調達することにしている。 2.現在のレベルより約30%安い価格が落札の決め手になった模様。 3.LNG購入者である中国石油はカタール(RasgasⅡ)の権益(5%)を求める方向。 .入札の結果 17 月4 日、台湾の国営中国石油(CPC:Chinese Petroleum Corporation)は国営台湾電力(Taipower:Taiwan Power Company)によって新設される大潭LNG火力発電所向けの入札に競り勝ち、2008年から25年間にわたって最大1.68百万t/年のガスを供給することになった。このためにCPCはカタール(RasgasⅡプロジェクト[*1])からLNGを新規に輸入する(表1)ことが内定している。なお、落札額は2,982億台湾$(86.7億US$:0.03US$/台湾$)であった。 *1:出資構成はQatar Petroleum 70%、ExxonMobil 30%。生産能力4.7百万t/年のLNGトレーンを2系列建設する。これまでに印Petronet向け7.5百万t/年(本年末にDahej向け5百万t/年の供給開始予定。25年間)、伊Edison向け3.5百万t/年(2005年開始予定。25年間)のLNG売買契約を締結している。 (参考:大潭LNG火力発電所の概要) ・立地:台北から西へ約50km(桃園県観塘工業区) ・発電能力:4,200千kw(700千kw×6系列) ・稼動開始:第1フェーズ(2系列)2005年6月~2006年9月 ・・・ ガス・軽油混焼 第2フェーズ(4系列)2008年2月~2010年5月 ・・・ ガス専焼 ・ガス消費計画:2008年:0.69百万t、2009年:1.13百万t、2010年:1.54百万t、 2011年以降:1.68百万t/年 ・備考:本年6月に三菱重工・三菱商事の受注が決定。世界最大のガスタービンコンバインドサイクル発電プラント。 - 1 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 _約期間 1990~2009 1998~2017 1995~2015 (各種資料より作成) 表1:CPCのLNG輸入契約(全てEx-ship)> 供給国 プロジェクト 年間契約数量(百万t) <インドネシア マレーシア 合計 BadakⅢ BadakⅥ MLNGⅡ 1.58 1.84 2.25 5.67 <台湾関係図> 南北幹線P/L (310km) 永安LNGターミナル (CIA World Factbook 2002を元に作成) 海底幹線P/L (238km) 2.入札の条件 本件はガス・ベースの持届け条件であり、落札者(CPC)はLNG調達・輸入だけでなく、貯蔵、再ガス化、Taipowerへのガスの受け渡しまで責任を持つ。さらに、台湾北部のLNG受入基地(台湾にはCPCの永安LNGターミナルが南部にあるのみなので、新たに建設する必要がある)Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ゥらガスを供給する(2011年以降)ことも条件になっているため、CPCは台中港にこれを建設するとの見方が有力である。 しかし、LNGターミナルの設備規模や大潭火力までのP/L敷設等、詳細は明らかにされておらず、基地建設コストも本年3月時点の報道では200億台湾$(6億US$)となっているが、この見積もりが変ることなく今回の落札額の内訳となっているかは不明。 なお、上述の「台湾北部のLNG受入基地」については、14万klタンク3基の規模で大潭火力の隣接地に建設する計画が存在する。このプロジェクトは後述するTung Ting Gasが推進しており、2001年5月に一部着工している。 かねてより政府は、将来のガス需要の増加への対応として台湾北部にもLNG受入基地を設けることを計画しており、今回の入札の条件である「北部LNG基地の建設」もこうした政府のプランの一環といえる。特に、Taipowerの大潭火力への近さから、Tung Ting GasのLNG受入基地計画はこの発電所に対する有力な燃料供給拠点になるものと見られていた。 3.価格について CPC以外の応札者は、オマーンをLNGソースとする日台合弁の東鼎液化瓦斯興業(Tung Ting Gas[*2])、サハリンLNGの供給を目論むTaLNG(ShellとAsia Cement(台)の折半JV)、およびインドネシアTangguhプロジェクトからLNGを調達するUnited Resources(台湾のKuo Yang Constructionの系列企業)であった(図1)が、この競争の中からCPCが最安値で落札できた決め手になったのは、台湾で唯一のLNG輸入者・ガスP/L供給事業者としての実績もさることながら、現在のレベルと比べて約30%安いガス価格にあると見られる。 *2:出資構成:台湾資本(中華開発興業銀行、大台北ガス等) 62.25%、三菱商事 20.25%、伊藤忠商事 11.25%、関電インターナショナル(関西電力100%) 3.125%、ガスアンドパワーインベストメント(大阪ガス100%) 3.125% 実際の価格の値については少なからず判然としないが、報道されているところでは、発電所持届けベースでの価格比較しか見られないものの、Taipower 関係者の話として、現在CPC がTaipower向けに供給しているガス価格が8.33台湾$/m3(約6.6US$/mmbtu)であるのに対して、今回の落札価格は5.69台湾$/m3(約4.5US$/mmbtu)とされており、32%の格差がある。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - チえて、CPC筋の話として、落札価格の中でLNGコストと国内インフラ投資の占める比率は80:20との報道もある。しかし一方で、CPCは落札総額こそ明らかにしたものの、その主要な内訳である国内インフラ投資額の公表を落札後は拒否しており、そうすると上述の比率は必ずしも信頼できる数値ではない。 <図1:本件のイメージ> [LNG供給] LNG供給 RasgasⅡ [受入基地建設・ガス供給] [ガス購入] (CPCが落札) CPC LNG供給 オマーン Tung Ting Gas LNG供給 サハリン TaLNG Taipower 大潭火力 LNG供給 Tangguh United Resources ガス供給入札 また、インドネシアではPurnomo鉱業エネルギー相が、RasgasのCPC向けLNG価格はインドネシア国内のガス価格(表2)よりも安いと発言しており、さらに、今回の入札においてTangguh の提示した価格が2.7~2.8US$/mmbtu であったのに対してRasgas の価格は1.8US$/mmbtuであった、とするインドネシア国会議員の発言を報じる同国メディアもある。 これらは恐らく、LNG売主からLNG買主への販売価格をFOBベースで論じているものと思われるが、台湾側・カタール側とも本件におけるLNG自体のFOB価格ないしEx-ship価格には触れていない(LNGの受渡し条件自体、各プロジェクトとも公表していない)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - (Petroleum Report Indonesia 2001(在インドネシア米国大使館発行)より作成) 4.プロジェクト権益の取得と既存契約の更新への影響 今後、CPCは落札決定から90日以内にTaipowerと本契約を締結しなければならない。 これと間を置かずしてRasgasとのLNG売買契約も調印する予定であるが、これを機にCPCは、大潭火力向けを含めてRasgasからの購入数量を全体で3百万t/年とし、引き換えに同プロジェクトの権益(5%以下)を取得する方向で話し合いを進める様子である。 また、この3百万t/年の中で、大潭火力向けに供給される残りのLNG数量(1.32百万t/年)の引取りについてCPC関係者は、BadakⅢプロジェクトとの2009年の契約満了を意識したものであり、インドネシア側からの契約更新の条件次第ではRasgasで代替することも考えている、としている。インドネシアにとっては、大潭火力を取りこぼした以上のマイナスの影響が及びかねない気配である。 (参考:台湾のガス事情) (1)供給 台湾では1990年にLNG輸入が開始され、天然ガスは一次エネルギー供給の6.6%(2000年)を占めている(グラフ1、表3)。 LNGの輸入・貯蔵・再ガス化・P/L輸送はCPCが独占的に行っている。同社は初のLNG輸入時より永安LNGターミナル(受入能力:7.44百万t/年[推定])と国を南北に縦断する幹線ガスP/Lを所有・運営し、2002年12月には永安から通霄に至る海底P/Lを完成させている。また、同社はガスの卸売りやTaipower等への大口供給など各種のガス供給事業も展開しており、台湾のガス供給の約10%を占める国産天燃ガスの生産も行っている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - <表2:インドネシア国内向け燃料ガス価格(単位:US$/mmbtu)> セメント 肥料 鉄鋼 電力 製紙 精油 製材 2.00 2.45-3.00 2.70-3.00 1.00-2.00 1.30 1.49 0.97 \1に示したとおり、約5.7百万t/年のLNG契約を現在CPCは持っており、昨2002年のLNG輸入実績は5百万tであった。 (2)需要 政府は天然ガス利用促進の方針を取っており、2010年には13百万t、2020年には16百万tのガス消費目標を立て、LNG輸入に係る関税等を撤廃するなどガス需要の拡大を図っている。 2000年にはガス需要全体の6割以上を発電用途が占めており(グラフ2、表4)、さらに、発電需要全体の中での天然ガスの位置付けを見ると、グラフ3・表5に示すとおり、構成比こそ10%にやや届かないものの、1990年以降の10年間の平均で年率30%を越すペースで大きく伸びてきている。一方で原子力の伸びは小さく(1.6%/年)、発電電力量に占めるシェアを大幅に落としている。 3)脱原発 (陳水扁政権(民主進歩党)は脱原発を公約のひとつに掲げており、LNG・天然ガスにとっては政策面で間接的な追風となっている。具体的には第4原発(全国の発電電力量の10%を担う)の建設中止に取り組んでいる。 ところが、2000年10月に一旦は建設中止を決定したものの、中止決定には法的不備があるという司法判断(原発推進派(国民党)の審査請求に基づく)、建設工事の解約金問題(第4原発は中止決定時点で既に着工済み)、今後の電力需給対策等の懸案も絡み、未だにこの問題の決着はついていない。しかし陳総統は、来年3月の総統選挙までに第4原発建設の是非を問う住民投票を行う考えを6月27日に表明し、解決への兆しを示した。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - ャOラフ1:一次エネルギー供給比率[%](2000年)>6.6145.035.412.1天然ガス石油石炭原子力水力等0.90%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%<グラフ2:用途別天然ガス消費比率[%](2000年)>62.012.511.514.01発電用工業用家庭用その他0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%<グラフ3:燃料別発電電力量比率[%]の変化> Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - .225.425.438.59.6天然ガス1990年 10%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100% 8.917.948.720.04.62000年 10%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100% <表3:一次エネルギー供給量(単位:千TOE)> 2000年実績 (構成比) 石油石炭原子力水力天然ガス石油石炭原子力水力Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (出所:IEA「Energy Balances of Non-OECD Countries 2002 Edition」) 表4:用途別天然ガス消費(単位:千TOE)> - 8 - < 天然ガス 石油 石炭 原子力 水力等 合計 5,470 (6.6%) 37,317 (45.0%) 29,415 (35.4%) 10,034 (12.1%) 763 (0.9%) 82,999 (100.0%) N平均伸率 32.4% 4.8% 15.8% 1.6% 0.8% 8.5% 以 上 発電用 工業用 家庭用 輸送用 その他 合計 2000年実績 (構成比) 3,392 (62.0%) 682 (12.5%) 628 (11.5%) 0 (0.0%) 768 (14.0%) 5,470 (100.0%) (出所:IEA「Energy Balances of Non-OECD Countries 2002 Edition」) 表5:燃料別発電電力量の変化(単位:GWh)> 天然ガス 石油 石炭 原子力 水力 合計 1990年実績 (構成比) 1,035 (1.2%) 21,686 (25.4%) 21,684 (25.4%) 32,866 (38.5%) 2000年実績 (構成比) 17,134 (8.9%) 34,515 (17.9%) 93,975 (48.7%) 38,503 (20.0%) 8,188 (9.6%) 85,495 (100.0%) 8,870 (4.6%) 192,997 (100.0%) < (出所:IEA「Energy Balances of Non-OECD Countries 2002 Edition」) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - |
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