クウェート:Project Kuwait のコンソーシアムを承認、議会選挙での親政府勢力の躍進も追い風に
レポートID | 1003117 |
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作成日 | 2003-08-27 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発 |
著者 | 猪原 渉 |
著者直接入力 | |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/8/27> 企画調査部:猪原 渉 クウェート:Project Kuwait のコンソーシアムを承認,議会選挙での親政府勢力の躍進も追い風に (動向記事「サウジアラビア/クウェート:外資導入プロジェクトの進展を目指す動き,サウジはGas Initiativeの枠組みを見直しへ」(2003/6/27作成)続報) (2003 MEES 7/28,8/4,8/25,AOG 7/16,8/1,8/16,IOD 8/20,Platts 7/24,中東研7/9他) 1. クウェートSPCが,Project Kuwaitへの参加を表明しているIOC各社が結成した3つのコンソーシアムを承認。各コンソーシアムは9月に提案書を提示予定。 2. 議会選挙で親政府勢力が躍進し,議会と政府の対立が解消される可能性が出てきた。新設の「エネルギー省」初代大臣に就任したAhmad氏の指導力にも期待大。 1.3コンソーシアムをSPCが承認 クウェートの外資導入による北部油田開発プロジェクト(’Project Kuwait’)は,議会の強硬な反対で2年以上にわたり実質的な進展が見られなかったが,2003年6月に,事前審査に合格した国際石油会社(IOC)に対し操業サービス契約(OSA)のドラフトと油田開発計画がクウェート側から提示されたのに続き,8月5日には,最高石油評議会(SPC)が,3つの入札企業連合(コンソーシアム)を承認するなど,実施に向けた動きが加速しつつある。 今回SPCに承認されたコンソーシアムの構成会社は以下のとおりである。(*印は,オペレーター) ① *ChevronTexaco(リーダー,50%),*Total(20%),Sibneft(露,10%),Sinopec(中,10%)PetroCanada(10%) ② *BP(リーダー,65%),Occidental(米,25%),ONGC/Indian Oil Corporation(印,10%) ③ *ExxonMobil(リーダー,37.5%),*RD/Shell(32.5%),ConocoPhillips(20%), Maersk(デンマーク,10%) 3番目のコンソーシアムについては,ConocoPhillipsの位置付けについていくつかの見方が報道されており,明確ではない。クウェート側が,一つのコンソーシアムにつきオペレーターは2社までとする方針であることから,ConocoPhillips はノン・オペレーター扱いとされた模様であるが,Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - i1)同社が同コンソーシアムから撤退する,あるいは,(2)2001年1月に石油省とKPCがショートリスト企業を選定した際オペレーターとして選定されながら,今回のコンソーシアムに含まれていないENIと第4のコンソーシアムを結成(ENIとConocoPhillipsは共同オペレーター)するのではないか,という見方もでている(Platts 2003/7/24,IOD 2003/8/20)。 また,2001年1月のショートリストには入っていなかったロシア企業(Sibneft)が今回コンソーシアムに加わったことも,ロシアの中東参入意欲の高さを示すものとして特筆すべきことである。 今後,各コンソーシアムは9月1日までに,クウェート側構想をふまえたProject Kuwait開発基本計画を提出することを求められている。さらに,9月29日までに,各コンソーシアムの独自アイデアを織り込んだ代替計画案を提出する必要がある。 9月29日の提出期限以降のスケジュールについては,未定である。クウェート側としては,3グループからの提出資料を比較検討した後に,入札スペックおよびスケジュールを決定することになるが,政府関係者によると,正式入札が実施される時期は,早くても2004年1Q以降になると見られる(IOD 2003/8/20)。 Project Kuwaitの当初構想では,北部4油田の合計生産量を約40~45万b/d(1998年時点)から約90万b/dまで引き上げる計画となっていたが(表1参照),クウェートの独自開発により現時点での生産能力は60万b/dに増加している。しかし,これ以上の能力増強については,特に水付き問題の解決が必要になり,技術力のある外資の導入が不可欠であるとクウェートはみている。 2.国民議会選挙で親政府勢力が躍進,新設の「エネルギー省」初代大臣にAhmed氏が就任 政府およびKPCにとって,Project Kuwait推進の最大の障害は国民議会の存在である。これまで議会は一貫してプロジェクトの実施に反対してきた。2001年1月に開催された財務・経済委員会および法務委員会では,政府が2000年4月に議会に提出したProject Kuwait関連法案に対し,「議会承認を得ずに政府・KPCがIOCと契約締結が可能になるという点が憲法違反の疑いがあり,契約先選定プロセスの透明性確保も困難である」として,法案を承認できないと結論付けた。 最近のIOC各社との一連のやり取り(上述)は,「議会抜き」で政府・KPCが独自に進めているものであるが,あくまでプロジェクトの事前検討に位置付けられるものである。正式な入札の実施や契約締結となると,議会の同意が不可欠であり,プロジェクト関連法案の承認が必要となってくGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 驕B これまでの経緯を見る限り,議会と政府が歩み寄ることは容易ではないと予想される。その意味で,Project Kuwaitの今後の動向に関わる重要なポイントになるとして,国民議会選挙(7月5日,定数50)の結果が注目されていたが,プロジェクトを推進する政府・KPCにとって追い風となりそうな結果となった。 すなわち,選挙では,親政府(首長家)勢力とイスラム主義勢力が躍進する一方,反政府のリベラル派が惨敗した。クウェートでは政党が存在しないため議席勢力の色分けは報道によって異なるが,AP(2003/7/6)報道などによると,イスラム主義勢力が前回の20議席から1議席増の21議席となり,親政府勢力が14議席から20議席に増加した。これに対し,リベラル派は3議席と前回の14議席から大幅に後退した。これまでリベラル派は政府批判の中心的存在であり,Project Kuwaitに対しても最も強硬な反対論を唱えていたが,今後は,リベラル派の影響力が低下した議会が政府に歩み寄ることも予想され,関連法案の成立に向けて事態が動き出す可能性が出てきた。 また,選挙後の7月14日に発足した新内閣において,石油省と電力水省を統合して新設されたエネルギー省の初代大臣にAhmad前情報相兼石油相代行が就任したことも,プロジェクトの推進を後押しする材料となりそうである。Ahmad氏は,1963年生まれ(40歳)の最年少閣僚であり,Jaber家の若手ホープと目される人物である。父が湾岸戦争での首長家唯一の戦死者であったことから,国民的人気が高いことに加え,2001年2月に情報相就任以降,政治家としての力量に対しても高い評価を受けてきた。しかし,同氏は, 2002年2月に油田事故の責任をとって辞任したSubaih前石油相の後任として,1年以上にわたり,情報相兼務のまま石油相代行を続けてきており,石油行政が十分機能する体制にあるとは言い難かった。今回,新設のエネルギー大臣に専任大臣として就任したことにより,Project Kuwaitを巡る議会との対立の解決に向けて,強い指導力を発揮することが期待されている。 Ahmadエネルギー相は,新エネルギー大臣就任後,7月29日に議会の財務・経済委員会のメンバーとの会合を持ち,Project Kuwait推進へ向けての協力を要請するなど,持ち前の行動力を発揮している。同氏は,会合において,プロジェクトの技術及び法規面での詳細データを財務・経済委員会に提出することを約束し,委員会側も,al-Haroun委員長がこれを歓迎するコメントを出した。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - コンソーシアムからの計画書の提出は,上述の通り,9月1日(基本案),9月29日(代替案)が期限とされているが,それ以降のエネルギー省,KPCサイドとIOCの交渉の見通しは,今のところ不透明である。むしろ,新たな議員構成となった議会がProject Kuwaitに対しどのような判断を下すかが大きなポイントであり,10月に再開される議会(現在夏期休暇中)での議論の行方が注目される。現時点では,今後,議会と政府の長年の対立が解消し,Project Kuwaitについても前向きな議論が行われる可能性が高いと考えられる。政府にとっての不安材料を挙げるとすれば,反政府のリベラル派議員が,選挙で激減したにもかかわらず,財務・経済委員会のメンバー7 名の中にal-Haroun委員長を含む2名が名を連ねている点であろう。反政府系議員が委員会での法案承認に抵抗し,本会議審議への付議をできるだけ先送りしようとするケースは十分考えられる。また,議員の中には,法律論議にはほとんど関心がなく,個人的利権獲得(外資との契約にエージェントとして参画する等)に腐心する議員がいるともいわれており,問題が複雑化する可能性がある。 表1 Project Kuwait対象油田の生産計画(当初発表) 油田名 発見年 可採埋蔵量 (百万bbl) ベース生産量 (b/d,1998年) 目標生産量 (b/d,2005年) 225,000 95,000 515,000250,000 3,000 30,000 45,000 33,000 120,000401,000 915,000 90,000 100,000 210,000 250,000190,000 460,000591,000 1,375,000Raudhatain Sabriyah 1955 1958 5,100 4,300Bahra (*) - Ratqa Abdali 1977 1990 459小 計 9,859Minagish Umm Gudair 小 計 合 計 1959 1962 3,300 3,200 6,50016,359 北 部 西部(*)Bahra油田は99年9月に除外され,現在の開発対象は北部4油田。西部2油田は将来構想。 出所:APS,MEES 3.今後の見通し Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - 図1 クウェート油田位置図 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - |
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