インディペンデント大手 Anadarko 、分割身売りか
レポートID | 1003125 |
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作成日 | 2003-09-26 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 企業 |
著者 | |
著者直接入力 | 佐々木 育子 |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | インディペンデント大手Anadarko、分割身売りか <更新日:2003/09/26> <企画調査部:佐々木 育子> (石油公団ヒューストン事務所、他) 1. 代表的な急成長インディペンデントであるAnadarkoが身売りを検討 2. 主要因は、買収による企業規模拡大で急成長がストップしたため 3. 株価プレミアムの縮小でCEO辞任、さらに株主価値の維持・最大化のため売却を選択肢に → インディペンデントの生き残り国際競争はさらにもう一段階厳しさを増すか 1.Anadarko売却にファイナンシャル・アドバイザー採用 株価不振が続く北米インディペンデント大手のAnadarkoは、2003年8月12日、同社株主価値最大化のため、CSFB(Credit Suisse First Boston)をファイナンシャル・アドバイザーに採用したことを明らかにした。事実上、同社に興味を示す企業との買収交渉が開始されたものと理解されており、数社に対して財務情報やデータルームの開示が進んでいる模様である。Anadarkoは、米国陸上、メキシコ湾大水深、アルジェリアなどの油ガス田を主な保有資産としており、各資産に対してExxonMobil、RD/Shell、BP、ChevronTexaco、ConocoPhillips、Total、ENIなどの大手石油会社や、Encana、Devonなど同社の競合インディペンデントが関心を示していると伝えられる。CSFBは、Anadarkoの資産価値最大化のため、株式一括売却ではなく、入札による地域別の資産パッケージ売却*を検討している模様である**。 * 買収価格は約200億ドルと推定され、①準メジャーは財務力不足、②米国陸上に興味のないメジャーにはポートフォリオ不適合、③スーパーメジャーには成熟資産が多すぎ収益性に悪影響(Herold予測ではメジャーが買収した場合の投資リターンは8%)で、Anadarkoを丸ごと買収する企業はなく、競争的な価格で売却できないと見られている。 **CSFBはMorgan StanleyとTenneco社の8分割売却(1988年、総額87億ドル)をアレンジした実績あり(GOM(Chevronへ),Gulf Coast(PetroFina ヘ),Sun Juan/Rockies(Amoco ヘ),Mid-Continent(Mesa へ), California(Arco へ),北海(Conocoへ),コロンビア(Shellへ),他エジプト・トリニダードなど(BGへ))。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - nadarkoの主要資産と売却先候補> 米国陸上 285千boe/d メキシコ湾 326百万cfe/dアラスカ 20千b/d 1257MMboe (54%) (66%) 186MMboe (8%) 83MMbbl (4%) 旧メジャー放出資産等ガス中心 Marco Polo等主要発見ありノーススロープAlpine油田Devon EnCana Shell ConocoP ExxonM ChevronT Total、ENI Woodside ConocoP カナダ アルジェリア 62百万cfe/d(18%) 288MMboe (12%) 成熟ガス田、北部フロンティアガスなど EnCana Devon 63千b/d (12%) 372MMboe (16%) 16油田(生産中及び開発中)他+発見 Total ENI アジア企業 その他 22千b/d (4%) 141MMboe (6%) ベネズエラ カタール オマーン他 欧州中小企業 <表1 生産量 (%) 埋蔵量 (%) 資産内容 買収候補 2.インディペンデントNo.1企業の株価競争力低下の理由 同社は北米M&Aの激しい競争下で生き残り成長した「スーパーインディペンデント」の代名詞ともいえる成功企業であり、国際展開するインディペンデントとしては最大手の規模(2002 年末埋蔵量22億boe、同年平均生産量536千boe/d)である。アルジェリアHBNSやメキシコ湾サブソルト探鉱で相次ぎ油ガス田発見に成功し、急成長企業として株式市場での高い評価を維持してきた。 しかし、2000年のUPR買収によって企業規模が2倍となり、探鉱による成長の維持は規模的に難しくなった。これにより成長企業に対する株価プレミアムは消滅し、TSR(Total Shareholder Return)は2001年に△20%、2002年に△15%、2003年7ヶ月間は△7%と下落を続けた。 また収益性も、油ガス価が高めであったにも関わらず回復せず、UPR 買収翌年には大幅な評価減により188百万ドル赤字を計上し、リプレースメントコストなど操業効率も低下した。2002年には経営が刷新され、新CEOにJohn Seitz氏が就任して、「ゼロ成長(=コスト抑制)、収益強化」の戦略へ転換された。しかし、収益性はトップレベルには回復せず、新CEOが2003年5月に引責辞任し、Allison会長がCEOに復帰した。Allison会長/CEOは2003年8月、同社始まって以来のレイオフ実施を含む100百万ドルのコスト削減計画を発表したが、同時に、次期CEO候補のBill Sullivan E&P担当副社長、アルジェリア操業担当副社長などトップ5名が同社を離れた。今回の売却検討は、事実上、経営の後継者がいなくなってしまったことが引き金となって、主要株主が株主価値保護を目的に強く働きかけたものと見られている。Allison 会長自身、経営を維持する意向がなく、同社株式をかなり保有していることから、一定の価格(株価にして市場価格42-43ドルに対し50-55ドル)が提示されれば、直ぐにも売却に動くものと予測されている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ヰ}1 準メジャークラス企業の収益性比較> ROCE(%)15.014.013.012.011.010.09.08.07.06.05.04.03.02.01.00.0-1.0-2.0-3.0-4.0-5.0OxyUnocalApacheKerrMcGeeDevonAnadarkoKerrMcGee伝統的中堅3社平均新興3社平均-5.00.05.010.0新興3社1998-2002伝統的中堅3社1998-200215.0TSR(%)出所:各社データより作成 3.一段と増すか? 準メジャークラスの競争 現在、Anadarko買収の動きとあわせて、Devon、Apacheなど他の競合企業についても買収の噂が絶えない。大型 M&A と並行して激しい M&A により淘汰され生き残った北米インディペンデントはAnadarkoを含め十数社あり、いずれも北米成熟油ガス田を基盤として、メキシコ湾大水深や海外中小規模油ガス田など新たな生産基盤確立を目指す経営を展開している。しかし、ガスチェーンに焦点化して独自のポジションを築いているBGを除き、各社ともに以下のような経営課題に直面している。 ① 生産規模が大きくなり、北米の成熟資産を低コストでリプレースするのが難しい。 ② 埋蔵量規模が大きくなり、急成長を続けるのが難しい。 ③ 企業買収による収益面でのシナジーを示すのが難しい。 ④ 大手メジャーに対し収益性が明らかに劣る。 ⑤ 大手メジャーに対し優位であった高い成長性に陰りが出てきて、投資家の評価が厳しくなっている。 ⑥ 海外中規模案件の投資を持続させる財務力に乏しく、リスク分散が難しい。 AnadarkoはUPR買収の前後で業績、操業実績はともに悪化したものの(例:発見コスト5ドル/boe→12.6ドル/boe)、戦略的に築かれてきた資産内容や技術力などの経営資源は、その成長ポテンシGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - ャ汲ニともに依然として競合企業の中では上位にランクされている。このような実力派Anadarkoが自社売却へ動きを見せたことで、準メジャー各社に対する株式市場における競争圧力、機関投資家など株主の圧力は一段と増すものと予測されている。 世界的に上流部門の競争は産油国メジャーを巻き込んで激化している。ExxonMobil、RD/Shell、BP の上位 3 社間の競争は激化しており、短期・長期の収益性・効率性は群を抜いている。ChevronTexaco、Totalはこのトップ3の競争からはずれ、「スーパーメジャー」より地域の限定された「メジャー」級企業として、ENI、ConocoPhillips との競合企業とみなされるようになってきた。メジャー級企業は各地域の案件においてスーパーメジャー、準メジャー大手の両方と競合するが、上位企業とは棲み分け(パートナーやより小さい案件、進出していない案件)ることができ、下位企業に対しては生産基盤が分散して財務力のある分、競争優位となっている。しかし一方で、収益性の面では絶えず上位3社との厳しい競争に晒され、上位グループへ追いつけるかどうか成長性も求められるなど、厳しい競争ポジションに位置している。 準メジャー企業は、米国陸上などを中心に規模拡大による効率化を進めて成長してきた。新興インディペンデントは過去数年で生産量を100千boe/d前後から4-6倍に急増させてきた。しかし成熟資産(可採年数が3-4年以内)が主であり大規模リプレースは高コストを免れない。一方低コストリプレースを狙う海外進出案件では、メジャー企業、産油国メジャーとの厳しい競争に直面している。このため、世界的に独自のニッチを確立できない企業は、さらに淘汰される可能性があると見られている。2002年末よりMarathon、Devon、Amerada Hess、KerrMcGeeなど準メジャー企業は非コア資産の大規模な整理を加速させて収益性の向上に焦点を充てている。さらに世界的に進出案件を多様化させ、ニッチ確立を急いでいる。Marathonはカナダ西部のガス資産をHuskyに588百万ドルで売却(2003年9月)するなど、同年に入り10億ドル相当の資産売却を実施。一方で、ガスチェーン戦略(E&P動向「Marathon、国際展開失敗で地場ガス化の生き残り戦略へ転換」参照)に基づきメキシコBaja CaliforniaのLNG受入基地建設(最終承認2003年5月取得)とガス供給MOU締結(2003年8月、Pertamina他)、赤道ギニアLNG(2003年5月BGと米国向け供給MOU締結、同年6月産油国政府との契約財務条件でHOA締結)など着実に関連するプロジェクトを推進している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - |
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