ページ番号1003147 更新日 平成30年2月16日

クウェート、サウジアラビアが Dorra ガス田の開発協議、イランは強く反発

レポート属性
レポートID 1003147
作成日 2003-10-28 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2003
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <更新日:2003/10/28> <企画調査部:猪原 渉> クウェート,サウジアラビアがDorraガス田の開発協議,イランは強く反発 (2003 IOD 10/23・28,OGI 10/19,Platts 10/19,MEES 10/6,Reuters 10/18,AFP 10/25,アラビア石油HP) 1. クウェートとサウジの石油相が,イランとの領有権問題が未解決のDorra沖合ガス田の開発に関する協議を実施。 2. 反発姿勢を示すイランとの調整は難航の気配だが,クウェートは11月に代表団をテヘランに派遣し,イランからのガス輸入問題とDorraガス田問題をセットで協議するというイラン「懐柔」策を画策?.クウェートとサウジ両石油相がDorraガス田開発を協議 1 クウェートのAhmadエネルギー相とサウジアラビアのNaimi石油相は10月25日,リヤドで会談し,分割地帯(Partitioned Zone,旧中立地帯)沖合のDorraガス田の共同開発に関する協議を行った。国際石油会社(IOC)への入札実施に向けての協議が行われたものと見られるが,会談を終えたAhmadエネルギー相は取材に対し,「現時点では何も決定していない。今後,両国の代表が参加する二つの専門委員会において同ガス田を含む分割地帯全体の開発に関する詳細調査および協議を進めることとなる」と述べた。 【 図-1 Dorraガス田位置図 】 作成:企画調査部 クウェート・サウジ石油相会議の開催は10月2日にクウェート側から発表されていたが,Dorraガス田の一部範囲について領有権を主張するイランは,10月19日にZanganeh石油相が両国に協議の中止を要求する見解を発表するなど,強く反発する姿勢を示している。これに対し,Ahmadエネルギー相は,「イランの主張については了解している。しかし,我々の立場からいえば,Dorraガス田はイランのものではない」と述べた。これに関連して,クウェート石油省高官は,「イランとの領有権問題の対象となっていGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 驍フはDorraガス田の北端部であり,今回サウジとの共同開発協議の対象となる同ガス田の南側部分にはイランの領有権は及ばない」と説明している。 Ahmad石油相は,一方で,イランとの協議の必要性についても認めており,11月にクウェート代表団がイランを訪問し協議を行うことを明らかにした。 .クウェート政府はDorra開発推進に強い意欲 2サウジとクウェート両石油相の会談は,当初ラマダン(断食月,本年は10月27日頃から一ヶ月弱)明けに開催されることも予想されたが,結局,ラマダン直前の10月25日に日程が組み込まれた。その背景には,Dorraガス田の早期開発を目指すクウェート政府の強い意向があったものとみられる。 豊富なガス資源を有するイランやサウジと違い,ポテンシャルの高いガス田を持たないクウェートは,急増する国内ガス需要に対応するため,カタール政府との間で新たに沖合パイプラインを建設しNorth Field産出ガスを輸入することで合意(2002年1月)するなど,ガス供給源の確保に努めてきた。一方で,クウェートとしては,ガス供給の急激な輸入依存を避けたいとの考えから,Dorraガス田の早期開発が北部油田開発(Project Kuwait)と並ぶ上流分野での重要課題となっていた。しかし,イランとの海上国境線交渉(後述)が一向に進展しないことから,クウェート政府は見切り発車の形でサウジとの協議に踏み切.Dorraガス田を巡るこれまでの3国の争い 3ったものと見られる。 Dorraガス田は1967年にアラビア石油により発見された未開発ガス田である。初期段階での推定埋蔵量が5.6~7tcf(MEES)とされる大ガス田であるが,長期に亘り同ガス田周辺海域でのクウェート,イラン,サウジ3国間の海上国境線を巡る紛争が続いたため,開発に着手されることはなかった。 2000年1月に,イランが突如Dorraガス田東側への試掘作業を行った際には,クウェート,サウジの両国が強く抗議し,同年5月にイランは作業を中止した。この事件をきっかけに,クウェートはサウジに対し,2国間の問題の先行解決を申し入れ,2000年7月に両国外相は分割地帯における海上国境線確定に関する合意書に調印した。その後,クウェートは,イランとの海上国境線交渉を開始したが,現在まで合意に達していない。 Dorraガス田開発を巡る今回のクウェート,サウジ両国の石油相協議に対し,イランのZanganeh石油相は会議開催前の19日,「イランを排除した形で協議を行おうとする両国の行動は無意味であり,即刻中止すべきである」と強く警告した。 - 2 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 上述の通り,クウェートはイランとの協議を11月に行うとの方針を明らかにした。両国ともDorraガス田の領有権を巡っては原則論を崩していないことから,交渉は難航が予想される。 ただし,11月の会議では,同ガス田の問題とともに,イランSouth Parsガス田産出ガスのクウェートへの供給に関する問題もあわせて協議されることになっている点は注目される点である。クウェートは,カタールと並びイラン(South Pars)からのガス供給も将来の重要な供給源と位置付け,協議を行ってきた。今回,イラン側も早期決着に前向きとされるクウェートへのガス供給問題を持ち出すことで,クウェートとしては,イランを交渉のテーブルにつかせ,一気にDorraガス田問題も合わせた一括解決を図りたいとの.クウェートはイランからのガス供給問題との一括解決を狙う? 4.Dorraガス田の開発にAOCの関与はあるか? 5思惑を有しているとの見方もできよう。 図-2 分割地帯操業体制】 【KGOC:Kuwait Gulf Oil Conpany(KPCの100%子会社) AGOC:Aramco Gulf Operations Company(Saudi Aramcoの100%子会社) 出所:アラビア石油ホームページ - 3 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 シにクウェートとイランの協議が進展し,Dorraガス田の開発が実施に向け動き出した場合,どのような 開発スキーム,体制で進められるのだろうか?今のところ具体的な方針は明らかになっていないが,Project Kuwaitやサウジの天然ガス開発プロジェクトのように,IOCに対する競争入札を基本とした形で進められると見られる。その際,分割地帯での豊富な操業実績を有するアラビア石油(AOC)がパートナーとして選定されるのかどうかが注目される。 2000年2月にAOCとサウジとの利権協定が失効したのに続き,2003年1月4日にはクウェートとの利権協定も終了し,同年1月5日以降,沖合分割地帯(Khafji油田,Hout油田)での操業は,クウェート側半権益を代表するKGOCとサウジ側半権益を代表するAGOCとの共同操業に移行したが,AOCはKGOCとの技術サービス契約に基づき,技術・経営管理サービスを提供するなど,分割地帯での操業に依然として深く関わっている。Dorraガス田についても豊富な技術的知見を有する同社は,クウェートとの利権契約更新交渉において,Dorraガス田の開発支援計画を提案したとされ,同ガス田の開発に積極的に関与する姿勢をクウェート側に示したと伝えられている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 -
地域1 中東
国1 クウェート
地域2 中東
国2 サウジアラビア
地域3 中東
国3 イラン
地域4
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国5
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国6
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国7
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国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,クウェート中東,サウジアラビア中東,イラン
2003/10/28 猪原 渉
Global Disclaimer(免責事項)

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