英国・ロシア:BP が TNK-BP における今後の石油開発方針を発表
レポートID | 1003165 |
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作成日 | 2003-11-26 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発企業 |
著者 | 野神 隆之 |
著者直接入力 | |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/11/26> <企画調査部:野神隆之> 公開可 英国・ロシア:BPがTNK-BPにおける今後の石油開発方針を発表 (BP投資家説明資料他) BPはTNK-BPにより獲得したロシアの石油資産について、今後水攻法の最適化をはじめとした技術のを適用して回収率を高めることにより、自社の可採埋蔵量を増大させる計画である。 . BPが投資家向け説明会を開催 1BPのCEOであるBrowne氏は10月16日、17日ロンドンでTNK-BPに関する投資家等に向けた説明会を開催し、その中でTNK-BPの石油埋蔵量が41億バレルとなることを発表した(次頁表参照)。これは米国証券取引委員会(SEC:Security Exchange Commission)の基準(石油会社の保有する鉱区権益の契約期限*までに生産しうる石油に限定して埋蔵量を計上することを認めるというもの)による同社の開発済及び未開発油田の埋蔵量である(因みに開発済埋蔵量は32億バレルとなっている)。一方で米国石油技術者協会(SPE:Society of Petroleum Engineers)の基準では、石油会社の保有する鉱区権益について、油田の経済的限界まで生産した場合の石油の埋蔵量を計上することが認められるため、その基準に従えばTNK-BPは開発済埋蔵量で61億バレル、未開発埋蔵量を含めると94億バレルと倍増し、また別途未確認石油埋蔵量は141億バレル(ガスを含めれば石油換算214億バレル)になる、とBPは説明している。BPはTNK-BPの50%の株式を保有することから、この埋蔵量のうちの半分を自社の埋蔵量として保有する。なお、これらの埋蔵量の数字にはスラブネフチのものは含まれておらず、仮にスラブネフチをTNK-BPの埋蔵量に含めた場合、SPEベースで確認埋蔵量は16億バレル(推定・予想埋蔵量も含めると90億バレル)増加するとBPは説明している。 :ロシア地下資源法によれば生産期間は20年間となっているが、天然資源省の認可がある場合延長で *きる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - TNKは、2001年から2003年前半までキャッシュフローの約30%にあたる年間平均8.5億ドルを再投資してきた。TNK-BPはこの額を2003~2005年にかけて年間10億ドルに引き上げ、そのうち70%を探鉱・開発部門に投資する予定である。 Pは負債比率を25~35%とすることで株主と合意しているが、2003年末時点の純負債が30億ドル以下 Bとなることから、負債比率は概ね30%以下となり、同社の目標の範囲内に収まる模様である。生産活動等に伴う操業から生じる現金は、まず配当(株主との合意に基づき純利益の40%以上)に充てられ、余TNK-BPの保有する石油・天然ガス資源に対するアプローチは、当面は既存生産井の再仕上げと生産停止中の井戸の改修による生産量増大であるとしている。また中期的には、油・ガス田における掘削及び水攻法の最適化等の他、TNK-BPが44%の権益を保有するRospan社の天然ガス資源開発が挙げらGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 剰現金は負債の返済と資本支出のために積み立てられる予定である。 . BPによるTNK-BP石油資源に対する技術的アプローチ 3. TNK-BPの石油開発に対する投資方針 2(出所: BP報道発表用説明スライド) <TNK-BPの石油(一部ガス含む)埋蔵量 (単位:10億バレル)> 黷驕Bこれはヤマル半島のプロジェクトであり、最大30兆cfのガス埋蔵量を保有する他、10億バレル超のコンデンセートを保有する。この資源はパイプライン施設に隣接しており、それ故中期的には実現性は高いと見られる。さらに長期的には、コビクタ地域とヴェルフネチョンスコエ油田といった50億バレル(石油換算)の石油・天然ガス埋蔵量を保有する東シベリア地域の開発が挙げられるが、これは欧州及び極東等国際ガス市場の動向次第である。 TNK-BPの資源開発展望> < NK-BPの5大油田(次頁図参照)の回収率についてはこれまでのところ25%であり、アラスカにあるBP Tのプルドーベイ及びクパルク両油田のそれを大きく下回っている。しかしながら、TNK-BPの油田はBPのアラスカの油田と極めて類似した地質的特徴を持っていることから、BPは同社がこれまでアラスカの油田で適用してきた様々な技術的アプローチを今後ロシアに対して適用することにより、回収率を現在の25%から30%(ライセンス期限まで生産した場合)ないし39%(経済限界まで生産した場合)に引き上げるられるとしているおり、最終的にはこの回収率をさらに4%上昇させる可能性もあるとしている。同社はGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - (出所: BP報道発表用説明スライド) 油田全てが1%の回収率を上昇させると、石油換算で7.4億バレルの埋蔵量増大につながると説明している。BPの主な技術的アプローチは以下の通りである。 TNK-BPの回収可能性> <BPは水攻法の最適化をTNK-BPの油田における回収率増大の重要な手段であると認識している。特にサモトロール油田は、BPが水攻法技術を最適化することで回収率を大幅に増大させたプルドーベイ油田に非常に類似しているため、水攻法の最適化のみでも西側の回収率に近づく可能性が高いと考えている。またサモトロール以外の生産油田についても水攻法の最適化により、回収率を5~20%程度引き (出所: BP報道発表用説明スライド) 1)水攻法の最適化 (BPはフラクチャリング(Hydraulic Fracturing)の採用によりアラスカのクパルク油田の回収率を向上させGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - 上げられる可能性があると見込んでいる。 2) フラクチャリング (スが、これを積極的にロシアの油田に転用する予定である。これまでこの手法は西シベリアやヴォルガ・ウラルの一部の油層において採用され、既に良い結果を収めており、生産性は平均して38%改善した。この技術が利用できる油田はまだ多数あるとみられている。この方法により2005年には2万b/dの生産非稼動井の75%は5大油田のものであるが、その大部分はサモトロール及びタリンスコエ油田である。現在非稼動井は17,000坑以上あるが、このうち改修可能なものは8,000坑あるとBPは考えている。非稼動井の改修には多少時間を要するとみられるがが、井戸毎に検討を行い、水圧入や再仕上げ、サイドトラック、高度な油層モデリング技術の採用等で生産の回復を図る予定である。 現在TNK-BPの75%の原油生産(93万b/d)は、電動サブマーシブルポンプ(ESP)により行われているが、過去のロシアの油田におけるESPは、一律に深度を設定し、単一規模のポンプを使用してきた。このような規格化は、必ずしも良い結果を得られたわけではなく、早期のポンプ故障、低い稼動率、そして時として生産井の寿命を縮める原因となっていた。TNK-BPのESP平均寿命は石油産業平均の35%であり、ESPは、殆ど毎年交換されていた。ポンプの規模や設置技術を改善すれば、リグ費用と電気代を節約できる他、より高い生産性につながり、また生産井の寿命も延びる。しかしながら、多数の生産井について井戸毎に改善策を診断しなければならないため、この方法は時間を要することは避けられない。しかし、これにより今後2年間で4万b/dの追加生産が可能であり、最終的にはこの方法により7万b/d4) 電動サブマーシブルポンプ(ESP) (量上乗せが可能であるとBPは考えている。 3) 非稼動井からの回収 (超まで追加生産できるとBPは考えている。 5) アプト統Ryabchik層の開発 (アプト統Ryabchik層は、サモトロール油田の浅部にある大部分が未開発の貯留層であり、既往のナオコム統主要生産ゾーンの上位に位置する。この層に対して追加掘削を行う他、既に掘削されている多くの井戸を再仕上げすることで新たな生産を試みる予定である。油層は自噴であるが、浅部にあり圧力が低いことから回収率が低いとみられ、早期の水攻法が必要とされている。現在試験生産中であり、これにより中期的に油層を開発するための最も効率的なスキームが得られるものと思われる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - NK-BPは、2003年第1四半期には2002年比10%増の日量120万バレルの石油を生産した。このうち62%の原油及び石油製品が国際価格でCIS諸国域外へ輸出され、9%がCIS諸国に輸出された。2003年第一四半期の石油販売価格はバレル当り21.8ドルだったのに対し、生産コストはバレル当り2.5ドルであった。TNK-BPの石油生産量は2003年全体としては対前年比12-14%増加となる見込みであり、2004年も対前年比7%、その後は年率5%の増加が見込まれている。BPのロシア資産買収コストは保守的なSEC基準による埋蔵量ベースでもバレル当り4ドルとなっており、これはYukosとSibneftの合併コストである5.8ドルを下回るものであるとBPでは説明している。このコストはSPE基準の埋蔵量をベースとするとバレル当り1.7ドルとなる。TNK-BPによるロシアの埋蔵量は、BP全体の確認石油・ガス埋蔵量の11%を占め、BPの生産量全体の15%を占める、とBPは述べている。 (出所: BP報道発表用説明スライド) . TNK-BPの今後の生産見通し 4Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - <Ryabchik層の開発> |
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