米国:エネルギー法案の頓挫とエネルギー政策
レポートID | 1003173 |
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作成日 | 2003-12-17 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発 |
著者 | |
著者直接入力 | 佐々木 育子 |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/12/17> <企画調査部:佐々木 育子> 米国:エネルギー法案の頓挫とエネルギー政策 (公団ワシントン事務所、米国上院・下院HP、各種新聞・情報誌等) ① 約10年ぶりとなる包括エネルギー法案は両院協議会・下院を通過するも、上院は採択を断念 ② 上院は2004年1月に再審議予定だが、総選挙戦突入で利害調整はさらに困難となる見通し ③ ブッシュ政権の経済政策の柱であるエネルギー政策は包括性を失い、利害の寄せ集め法案と化す ●包括エネルギー法案の頓挫 ブッシュ政権の国家エネルギー計画(National Energy Policy、2001年5月発表)を土台として、連邦議会において立法化が試みられてきた包括エネルギー法案は、2002年の廃案に続き2003年版も最終段階において採択断念に追い込まれた。2年半の上下両院審議を経て、当初の包括的なエネルギー政策は膨張した利害の寄せ集めとなり、各条項の利害を巡って賛否が交錯した結果、全体として調整不能に陥った。当初100億ドル以下であった同法案施行にともなう財政コストは、最終的に3倍に膨らんだ。 法案の最終案(HR6)は、エネルギー効率、再生可能エネルギー、石炭、石油・ガス、電力、原子力などエネルギー全般について促進策を盛り込んでいるが、石油・ガス・石炭に対する財政的コストの比率が高く、「化石燃料エネルギーへの巨額の補助金法案」であると認識されている。しかし、実際には本来の目的であるエネルギー供給の安定的な確保などについて実効性のある税制措置とはなっておらず、First上院院内総務(共和党、テネシー州)は、包括エネルギー法案の審議を2004年明けの上院の最重要課題と位置づけており、本会議での審議は約束されたものとなっている。また同法案の実質的な責任者であるPete Domenici上院エネルギー・天然資源委員会委員長・両院協議会議長(共和党、ニューメキシコ州)も、今後数ヶ月に予想されるエネルギー分野での情勢悪化(冬季ガス価格の上昇、再生可能エネルギーへの税額控除措置の終了)を理由として、法案は再び審議され採択されるだろうと発表した。一部には分割案も浮上しているものの、最終法案は修正されずに再審議にかけられる模様であり、年明けまで反対議員に対する説得工作が続くものと見られる。しかし、年明けから、2004年11月の総選挙(大統領選挙、上下両院の改選及び知事選)に向けた政治活動が本格化するため、現段階で可決不可能なGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 石油業界や専門家からはほとんど評価されていない。 2004年選挙戦突入で法案の行方は? ●@案を2004年に可決することは、かなり困難であるとの見方が広がっている。Dominici議長も地元ラジオ局では、同様の理由により、「来年可決される見通しはほとんどない」との見解を明らかにしている。 両院調整案 ●両院協議会で調整された最終法案では、下院案の目玉であり、ブッシュ大統領が強く支持していたANWR:アラスカ野生動植物保護区の掘削開放は盛り込まれなかった。主な項目は、連邦レベルでの送電線の信頼性向上、新規原子力発電への税額控除、国内石油・ガスの生産促進の税制インセンティブ(メキシコ湾大水深、浅海域深層ガス掘削へのロイヤルティ減免措置、非在来型資源生産の税額控除、アラスカガスパイプラインへの債務保証など)、及び再生可能エネルギー(風力、太陽光など)による発電促進のための税額控除措置の拡大などである。 最後まで議論が紛糾したエタノール問題は、連邦レベルで義務付けられている改質ガソリンについて、その添加剤をMTBE(Methyl Tertiary-Butyl Ether)からエタノールへどのように切り替えるか(MTBEを段階的に禁止するのか、エタノールへの税額控除規模と財源をどうするかなど)、MTBEの水質汚濁に対して誰が責任をとるか(製造業者か、州政府=納税者か)の2点について対立が続き、最終的に共和党の上下両院で合意に至らなかったことが、上院採択断念の直接的な原因となった。 今回の法案は、ブッシュ政権を支援する石油など特定業界への「過剰の税金投入」であると、マスコミ、反対議員、環境団体などから酷評されている。一方、マージナル井を操業する零細企業を除けば、上流企業へのメリットはほとんどなく、下流・石化企業にとってはMTBE禁止など不利な条項が盛り込まれている。このため、石油業界でも同法案を(エタノールへの補助金を柱とする)「農業保護法案」であり、国内エネルギー供給の増強といった効果はないと評している。IPAA(独立系生産者協会)は、今後10年間で米国内ガス開発に必要とされる投資額1000億ドルのうち、法案(上院案)の再投資効果は60億ドル「石油業界への優遇税制法案」か‘農業保護法案’か ●上流への主たるインセンティブは、①マージナル井生産への税額控除、②メキシコ湾大水深及び浅海深層ガス生産のロイヤルティ減免措置拡大、③非在来型資源生産への税額控除、④地質調査(G&G)コストの資産計上・2年償却化。両院協議会の試算によれば、②を除く優遇税制の規模は2004-2013年で56億ドル(=年平均560百万ドル)にとどまる。米国上流投資額は年間500億ドルを超えておりGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - と0.06%の再投資効果しか持たないと発表している。 上流インセンティブとしては焼け石に水 ●i2000-02年平均)、開発投資促進の対象である探鉱・開発投資のみでも約300億ドル/年の規模である。これに対し6億ドル以下の税制措置では0.01%程度のインパクトしかない。今回のエネルギー法案のインセンティブは、そのスキームの大きさに比べて、効果はなきに等しく、油ガス価が低い場合には税制措置が適用されないことから、価格が高水準の現在、インセンティブとしてはほとんど意味をなさないと見られる。 これに対し、成熟化が著しい国内石油・ガスの生産に対して、抜本的な対応策となる、連邦地域の開放(ANWR及びOCSモラトリアムの解除、連邦土地管理局による大幅な掘削開放)は限定的な内容にとアラスカガスパイプラインの支援措置については、ブッシュ政権、上下両院ともにその建設を支持し、迅速なガス供給が進むようなフレームワークの整備について合意されている。パイプラインの早期建設のため、関係者の調整を行う連邦コーディネーター部署を設置し、FERC(連邦エネルギー規制局)に対して迅速な承認(建設計画を遅延させない)を法的に指示するなど、国際パイプライン(一部カナダを通過)建設のための体制作りを盛り込んでいる。また、最終案は上院案と同様の財政支援措置(建設費用の8割、180億ドルを上限とする債務保証、パイプラインの加速償却)も盛り込み、大規模パイプライン建設の最大の障害である投資リスクに対して政府の保証を与える効果的な支援を具体化した。 一方、法案に盛り込まれたアラスカ州の内陸を通るルートへ限定する規定は、アラスカ州経済の活性化、雇用拡大など、特定の州への利益誘導であるとして、専門家や他の産油ガス州の業界からは批判されている。また、パイプラインガス生産者への税額控除措置は、公平性を欠くとして削除された。 両院協議会、及び下院を通過した最終法案(HR6)の概要は以下のとおり。カッコ内は財政コスト。 包括エネルギー法案(最終案、HR6)の内容 ●どまった。 ●アラスカガスパイプライン Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 嵭ェ的石油備蓄(恒久化と10億bblまで積み増し) 生産インセンティブ(ロイヤルティ減免、リース促進) 連邦管轄地域での活動(調整局設置、情報整備) ) B) C) D) アラスカガスパイプライン(ルート規定、債務保証、調整局設置) 以下は、包括エネルギー法案の経緯・法案概要・エネルギー政策の現状をとりまとめたものである。 1.包括エネルギー法案の審議及び採択の経緯 包括エネルギー法案は、2002年の第107議会において上下両院を通過したものの、両院協議会の調整が中間選挙により頓挫した(HR4)*1。2003年版エネルギー法案は、第108議会において、4月に下院本会議、7月に上院本会議を通過し、9月から両院協議会において両案の調整作業が続けられた。両院協議会は共和党主要メンバーによる最終案を11月15日に提示し、11月19日には同法案が両院協議会と下院を通過した。最終案採択まで、政府は度々の公式見解とチェイニー副大統領、エブラハムDOE長官による議員の説得や調整によって圧力をかけ続けたが、11月24日、上院共和党は採択を断念し、再調整の上、2004年明けに採択する方針を固めた。上院では超党派によって賛成が過半数占めていたにもかかわらず、改質ガソリンの添加剤(MTBE・エタノール)関連条項に反対する民主党有力議員等の議事妨害(フィリバスター)回避に2票足りず*2、Thanksgiving Dayによる休会を前に時間切れとなっ1 当初のエネルギー法案は下院を2001年8月に通過したものの、民主党が支配する上院では翌02年4月22日にようやく可決。6月以降、両院協議会で両案一本化を図るものの、合意に至らず中間選挙に突入。この選挙によって共和党が僅差で上院を制したことから、上院執行部の交替で包括エネルギー法案は次期議会(第108議会、2003-2004年)へ持ち越し、仕切りなおしとなった。 *2 米国議会では長時間演説などの議事妨害で法案を廃棄に追い込むフィリバスター戦術が度々用いられる。これを回避するため、審議をせずに採択に持ち込める票数は上院で60(定数100)。上院では少数意見擁護のため、過半数ではなく60議席で可決する法案も多く、ほとんどの法案は超党派の支持がなければ通過しない。 *た。 2001年5月11日 チェイニー副大統領率いるタスクフォース「National Energy Plan」を発表 2001年8月 下院本会議 共和党エネルギー法案HR4) 可決 包括エネルギー法案の経緯> <Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - AⅠ エネルギー効率 Ⅱ 再生可能エネルギー(30億ドル) Ⅲ 石油・ガス(110億ドル以上) Ⅳ 石炭(発電用8億ドル、クリーンコールテクノロジー35億ドル) 財政コスト 議会予算局CBO報告:004-2013年 約526億ドル *連邦予算からの支出51億ドル *税額控除等による歳入減257億ドル *歳入増820百万ドル 2 エネルギー法案HR6 (2003年11月 両院協議会・下院本会議を通過、2004年1月上院本会議採択見通し)Ⅴ インディアン自治区のエネルギー Ⅵ 原子力 Ⅶ 輸送用燃料(20億ドル) Ⅷ 水素(燃料電池に21億ドル) Ⅲ 石油・ガス Ⅸ 研究・開発(R&D) Ⅹ エネルギー省(人員ポスト設置) ? 人材開発 ? 電力その他(20億ドル) 002年4月22日 上院本会議 民主党エネルギー法案 88対22で可決 2003年4月11日 下院本会議 共和党エネルギー法案(HR6)可決 2003年7月31日 上院本会議 共和党エネルギー法案(S 14)可決 2003年9月4-5日 両院協議会メンバー指名、審議開始 2003 年11月15日 両院協議会 最終法案(HR6修正案)を提示 2003年11月17日 両院協議会及び下院において最終法案を可決 2003年11月24日 上院共和党院内総務が採択断念、年明けに延期することを発表 本法案の上院採択は2004年1月に予定されている。既に審議・調整に2年半を要しており、追加的な内容調整は困難と見られている。共和・民主党指導者、ブッシュ政権ともに無修正採択を支持している。 2.包括エネルギー法案の目的、内容、影響 包括エネルギー法案は、「エネルギーの対外依存度を減らすため」という題目がついている。そして、内容は国内エネルギー供給を増強するため、石油、ガス、石炭、原子力、電力、再生可能エネルギー、新エネルギーなど各エネルギーの投資を促し、生産増を図る内容となっている。しかし、以下のような問題点により、膨大な財政的コストを伴いながら実効性には疑問が投げられている。 (1) 特定の企業などが利益を受けるもの(ミネソタ州の石炭ガス発電プロジェクトへの800百万ドルの債務保証など)が盛り込まれるなど、利害の寄せ集めで、内容的に包括性、整合性がとれていない。 (2) 短期的なガス需給逼迫、長期的な需要抑制など、必要な対策が盛り込まれていない。 (3) 財政的コストは石油・ガス生産へ110億ドル以上、石炭発電やクリーンコールテクノロジーが40億ドル以上となっており、化石燃料に偏っている。 (4) 石油・ガス供給には量的に寄与せず、増大する需要に対して安定的に供給を行うための措置になっていない。 (5) 気候変動への対応など環境保全に関するイニシアティブが示されていない。 (6) 国レベルでの不効率(エネルギーインフラ、各州とのMTBE規制の違いなど)を是正し、整合性をとる措置が不十分。 (7) 供給セキュリティ、外交など関係する方面と調整する視点がない。 一方、評価されている内容は以下である。 (1) 行政手続きの合理化が投資促進効果をもつ。 (2) 多様なエネルギーミックスを支援している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - なお、全般的には、化石燃料に偏った包括エネルギー法案として環境派から激しく反対されてきたが、実際には、米国上流事業者にとってインパクトのある条項(新たな開発ポテンシャル地域であるANWR(アラスカ野生動植物保護区)やOCS(連邦大陸棚)モラトリアムの掘削解禁)はなく、生産者は法案成否にほとんど影響を受けない。一方で、発電向け再生可能エネルギーに対する税額控除の延長・拡大措置は同法案で延長が盛り込まれており、法案不成立の場合は2003年末で期限切れとなる。このため、現在のところ最も深刻な影響を受けるのは再生可能エネルギーの生産者となっている。化石燃料に手厚く、再生可能エネルギーへの措置が不十分として法案自体に反対している環境派にとって、自ら首をしめる内容 ・米国の燃料油供給における再生可能燃料(主としてエタノール)を2012年までに50億ガロン(326千b/d、現在の倍)に引き上げる ・州及び地域は、経済性、環境面でエタノールへの切り替え負担が大きい場合、これに従わなくてもよい ・2015年までにガソリン添加剤としてMTBEの利用を禁止 ・MTBE業界に対しエタノールへの切り替えを支援する(年間250百万ドルまで、2005-2012年) ・DOEはエタノール義務化が消費者に不利益をもたらすかどうかの調査を実施 ・大気浄化法に基づくガソリン添加剤を2%とする基準を撤廃 ・MTEB及びエタノール製造業者を、製造責任に関する訴訟から法的に保護 ・SPR(戦略石油備蓄)の恒久化 ・SPR貯蔵能力を現状700百万bblから10億bblへ引き上げる ・大統領は可能な限り早く備蓄量を貯蔵能力10億bblへ引き上げる ・マージナル井のロイヤルティ5%軽減 生産量15b/d以下の油井又は90百万btu/d以下のガス井(直近3ヶ月以上平均) 油価がWTI(Cushing)で15ドル/bbl以下又はHenry Hubスポット価格が2ドル/百万btu以下の取引が90日以上続いた場合 ・GOM深層ガス掘削 最大350億cfまでロイヤルティ納入免除 01/1/1までの連邦リース付与鉱区/水深200m以浅、掘削深度20千ft以深 ・大水深ロイヤルティ納入免除 リース付与鉱区(OCS法発効5年以内) 水深400-800m -生産量が5MMboeまで 水深800-1,600m -生産量が9MMboeまで 水深1,600m~ -生産量が12MMboeまで 分野 項目 輸送用燃料 エタノール 及び MTBE 石油ガス 戦略石油備蓄 ロイヤルティ Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - <包括エネルギー法案 石油・ガス関連の主要項目> 結果となっている。 (3) FERC(連邦エネルギー規制委員会)が市場の基本設計を行う。 (4) FERCが州際送電のボトルネック排除に限定的な権限を与えられる。 (5) 電力事業者の非関連事業への投資を認可する。 (6) 規制 アラスカガスパイプライン 連邦管轄地域 税制措置 非在来型資源 ・米国政府がNPRA(アラスカ旧海軍保留石油保留地)の石油・ガスリースプログラムを実施する ・FERC(連邦エネルギー規制委員会)はLNG受け入れ基地の承認を促進する ・石油ガス生産者が環境政策法の要請により行う分析・文書・調査の費用をロイヤルティ削減によって補填する ・連邦機関は州際ガスPLの認可プロセスを合理化するようFERCと協力する ・FERCはガス生産者やマーケッターにガス購入可能性や卸売り価格データ提供を要請し、この統計を一般向けに普及させる ・FERCはアラスカから陸上48州までのガスパイプラインの建設認可を迅速化 PL建設申請から1年以内に環境影響報告(EIS)案を発表 EIS案発表から180日以内に最終報告を発表 EIS最終報告から60日以内に最終規則発表 ・ルート規定(北ルートの禁止) ・内務省長官はパイプライン建設促進のためコストの8割、180億ドルまでの債務保証を与えることができる ・プロジェクトの連邦コーディネーター局設置 ・コロンビア特別地区連邦控訴裁判所はプロジェクトに関する連邦規制の見直しを60日以内に報告する ・会計検査院長はパイプライン建設における小規模ビジネスの役割を明確にする調査を実施する ・労働省長官はパイプライン建設・操業のためアラスカにおける雇用・訓練を目的としたプログラムを支援する(20百万ドル) ・連邦エネルギー政策調整局を設置し、エネルギープロジェクトの連邦規制決定を調整・促進する ・エネルギー省、内務省、農務省の各長官は連邦管轄地域におけるリース、認可手続きの見直しを行い、それらプロセスの改善と合理化を行う ・内務省長官はリース及び掘削が適時行えるよう陸上石油ガスリースプログラムを改善する・内務長官は農務省、環境局、陸軍局、関係州と連邦許認可合理化のパイロット・プロジェクトを立ち上げる ・連邦管轄地域における掘削許可に具体的な期限を設ける ・農務省、内務省、商務省、国防総省、エネルギー省各長官、及びFERCは、連邦管轄地域における州際の石油ガスPL・送電網の既存のライトオブウエイ共同実態調査を実施する・非在来型資源の生産に対し、連邦法人税から税額控除 ・エタノール配合の輸送用燃料の税額控除 ・エタノール税控除(5.2セント/ガロン)の廃止と10%エタノール配合ガソリンに対する税額控除の導入 上流関連では、以上の他に、超大水深調査(メキシコ湾の水深15千ft以深海域の資源調査、2011年9月30日までのロイヤルティ収入を財源とする調査費15百万ドルまで/年)、G&G費用の資産計上・2.ホワイトハウスにとってのエネルギー政策と包括エネルギー法案 3年償却化などが盛り込まれていた。 包括エネルギー法案は、ブッシュ政権誕生の最大のスポンサーである石油・ガス業界への税制優遇、同業界出身者で固めたブッシュ政権の肝いり法案と言われてきた。しかし、ブッシュ政権にとって、今回のエネルギー法案の成否やエネルギー政策は実は大きな問題ではない。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - 000年の大統領選当時、国内ガソリン価格の高騰や北東部ヒーティングオイルの供給不足深刻化という事態を受けて、エネルギー問題は選挙戦最大の争点の一つとなっていた。歴史的な接戦でこれを制したブッシュ政権は、就任後直ちにこの対策に着手し、チェイニー副大統領率いるタスクフォースを立ち上げて「国家エネルギー計画」(NEP:National Energy Policy)をとりまとめて発表した。 ホワイトハウスは、、過去2年半の議会審議中、両院におけるNEP立法化に圧力をかけつづけた。公式見解の発表や議員へのロビー活動を通じて、法案内容や議員の説得工作を再三行った。最終段階では、「ANWR解禁条項を盛り込まなければ大統領はサインをしない」と表明し(2003年9月、両院協議会発足時)、チェイニー副大統領、エブラハムDOE長官が面談や電話により反対議員の説得にあたった(2003年10月~)。しかし、これらは政策実現のためというよりも、政治的な行動である。 米国では、行政府のみで政策を実施に移すことはできず、行政・立法・司法の三権分立システムによって実現される。時の行政府が発表する「政策」を立法化するかどうかは議会に委ねられており、一方、議会は現実の政策要請に基づいた議員立法を審議・採択する。大統領は法案に最終的にサインするかどうかの拒否権しかもっておらず、日本のように内閣の指示のもとに政策立案と法制化を進めることはシステム的に不可能となっている。 つまり、NEPはブッシュ政権のwish list(望ましい項目の一覧)であり、政策実現性とは関係がない。実際、議会で審議・可決された包括エネルギー法案はNEPとかなり異なり、多くの議員を取り込むために内容も予算も膨れ上がった(1,200ページ、80億ドル:ホワイトハウス案→310億ドル:両院案HR6)。法案の内容も、政策を実現しないのも、立法府の責任(今回は議事妨害を表明した民主党)である。ブッシュ政権にとっては、「エネルギー政策」の発表や法案成立、そのための努力などは、エネルギー問題へ取り組む姿勢を示す政治的な行動である。その証拠に、2004年大統領選で再選を狙うため、エネルギー法案よりも、国民的関心事であり、民主党の十八番であった「メディケア法案」が優先事項となっている。 なお、民主党にとっては、メディケア法案に続く共和党版包括エネルギー法案の成立は、共和党の勝利を意味し、2004年総選挙にも影響を与える。このため多くの民主党上院議員は個別条項への反対というよりも、政治的にエネルギー法案に反対していたとの見方もある。現在のところ、民主党の大統領各候補者も、「石油輸入依存度の削減」といった共和党政権と変わらない「エネルギー政策」を掲げてい包括エネルギー法案は、アラスカガスパイプラインに対する二つの支援策を盛り込んだ。一つは、1970年代のアラスカガスパイプライン法を改正し、速やかに建設が進められるような行政側の協力体制Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - .アラスカガスパイプライン建設支援 4る。 ョえること、そしてもう一つが財政支援である。財政支援は、フロアプライス(一定の市場価格:フロアプライスを下回った場合に井戸元生産に対し税額控除を与える)条項とパイプライン建設の債務保証条項が上院案に盛り込まれ、パイプライン建設主体である上流事業者も建設推進のインセンティブとしてフロアプライス条項を強く求めていた。しかし、市場原理を損なうとして包括エネルギー法案では削除され、財政支援は債務保証のみとなった。このため、法案成否はパイプライン投資インセンティブとしてはさして機能しないものと見られている。プルドーベイ油田などガス埋蔵量をもつ主要企業の見解は次の通り。 * ConocoPhillips:フロア プライスの法的措置がなければ、パイプライン投資はしない。 * BP:フロアプライスを求めていたが、これが適用されない場合でもプロジェクト推進に前向き。 * ExxonMobil:従来よりフロアプライスなど政府介入は不必要であると反対。 3社ともに現在は連邦政府にではなく、アラスカ州に対し、パイプライン投資を可能にするような税制優遇策を求めている。 パイプライン支援の代替案 -アラスカLNGプロジェクト- 現在、アラスカガスパイプラインの代替案として、上院で審議中の2004年予算法案にアラスカLNGプロジェクトに対する20億ドルの債務保証を与える条項が加えられた。Murkowski上院議員(アラスカ州、共和党)の提案により、パイプライン同様にLNGなど関連インフラの整備に国が債務保証をすべきであるとの観点から、LNG及び関連施設の整備(180億ドル)に対して政府保証を与えるものである。さらに、エネルギー法案が成立しなかった場合、アラスカ南部Valdez港での液化基地建設に対して、1百万ドルを供与することが盛り込まれている。 エネルギー法案の成否やパイプライン建設の見通しが定かではない状況が続いているため、アラスカ州は州歳入源の多様化を進めるため、以前からアラスカLNG構想を支持してきた。同州は2002年に天然ガス開発局を設置し、ノーススロープからバルディーズまでの800マイルパイプライン建設を計画。2003年11月17日には三菱とLNGマーケティングの技術支援契約を締結している。アラスカ州は、州がインフラの保有者となることで、税制や資金調達面での財政コストを抑え、経済的にプロジェクトを成立させることができると見ている。ガス埋蔵量を持つノーススロープの生産者は、商業化の機会がある場合は石油・ガスを売らなければならないことが法律によって規定されており、LNGの商業化が決定すれば、州当局がリースの義務条項に基づいてガス売却を指示できることになっている。 .ANWR(アラスカ野生動植物保護区)開放を巡る議論 5 2003年エネルギー法案の目玉の一つであったのは、連邦管轄のアラスカ保護区域ANWR(Alaska Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - atural Wildlife Refuge;北極圏野生動植物保護区)の掘削解禁である。下院法案がこの条項を盛り込んで可決され、政府は両院調整案に盛り込まなければ法案にサインしないと圧力をかけていた。最終的には、民主党の議事妨害を回避できないと判断し、同条項の挿入は断念された。 ANWRは、米国陸上の未探鉱地域で最大の資源ポテンシャルがあると推測されている。西方60マイルには米国最大級のプルドーベイ油田(埋蔵量約100億bbl)、東方のカナダボーフォート海では多くの油ガス田が発見されており、米地質調査所、エネルギー省情報局ともに埋蔵量推定値を大幅に上方修正している(EIA 2000年:34億bbl→103億bbl)。ANWRは、1980年制定のアラスカ国有地法に基づき開発が禁止されているが、ANWR 19百万エーカーのうち、地質構造上石油賦存の可能性が高いと推測されるコースタルプレイン1.5百万エーカーについては、同法1002条により取り扱いが留保されており、毎年のようにこのコースタルプレインを対象にした掘削解禁の立法化が試みられてきた。 ANWR掘削解禁は石油・ガスの国内生産を増強するために最も効果的な対策であるが、ANWR自体が米国における環境問題の象徴的なトピックスであり、議会で20年間議論が続けられてきたにもかかわらず、議会超党派の反対により成立していない。現在では、ERD(大偏距掘削)などの高度技術を用いて景観や環境を損なわない手法を適用した開発が英米の国立公園で適用されている。しかし、ANWRが米国環境保護派の「牙城」となっていることからすると、解禁の実現は今後も容易ではないと見られる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 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