カタール:ガス関連プロジェクトの動き相次ぐ、ドルフィン・プロジェクトも進展
レポートID | 1003174 |
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作成日 | 2003-12-26 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発天然ガス・LNG |
著者 | 猪原 渉 |
著者直接入力 | |
年度 | 2003 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | <更新日:2003/12/26> <企画調査部:猪原 渉> カタール:ガス関連プロジェクトの動き相次ぐ,ドルフィン・プロジェクトも進展 (2003 MEES 12/1,12/8,12/15,WGI 12/17,IOD 12/17,Platts 12/9,AOG 12/16) 「天然ガスのサウジアラビア」を目指すとされるカタールだが,最近も天然ガス開発プロジェクト(GTL,LNG,ガスパイプラインの各分野)推進へ向けての動きが多く伝えられている。 (1)ConocoPhillips,QPがGTLプラント建設で合意 .GTL関係の動き 1 ConocoPhillipsとQatar Petroleum(QP)は2003年12月8日,ドーハにおいて,Ras Raffan工業地域でのGTL(gas-to-liquids)プラント建設を目指す意思表明書(statement of intent,SOI)に調印した。ConocoPhillipsのスポークスマンによれば,プロジェクトは2段階に分けられ,第1フェーズでは28億ドルを投じ生産能力8万b/dのGTLプラントを2009-2010年までに建設し,その後の第2フェーズにおいて生産能力を16万b/dに倍増する計画である。投資額は両フェーズあわせて52億ドルを見込んでいる。 当面のスケジュールとしては,今後,詳細技術検討や商業性検討を行うプレ FEED(front-end enigineering and design,プレFSに相当?)が実施される予定であり,ConocoPhillipsのJim Mulva CEOは調印式で,「今後12ヶ月以内のHOA(HOA,heads of agreement)調印へ向けて作業を進める」と述べた。またMulva氏はGTL製品の販売先について,「アジア市場がメインとなり,欧州向けも考えられる」と語った。 本プロジェクトは,カタールで具体化したGTLプロジェクトとしてはSasol(南アフリカ)が参加するプロジェクト(’Oryx GTL’),RD/Shellとのプロジェクトに続く3件目のプロジェクトであるが,生産能力としては,Oryx GTL(計画生産能力3.4万b/d,後述のとおり能力増強の可能性あり),Shellとのプロジェクト(計画生産能力14万b/d)を上回り,最大級の規模となる。ただし,先行する2件のプロジェクトと異なり,今回の調印はあくまで初期合意の段階である。Oryx GTLは既に建設段階に入っており(後述),ShellのプロジェクトもプレFSをふまえてHOAが締結されたものでConocoPhillipsのプロジェクトより交渉ステージとしては一歩先に進んでいる。 ConocoPhillipsとしては,2003年7月の米国向けLNG長期売買契約(契約数量750万t/y)締結に続き,カタールをコアエリアとするガスビジネスに注力する姿勢を鮮明にしたといえる。しかし,同社はGTLGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - rジネスをリードする上記2社と違いGTL操業プラントを有しておらず,まずは技術の確立が最優先であり,その上で市場性をふまえた十分な経済性評価を行うことが課題となってこよう。 2)Oryx GTLは建設を開始,将来的には12万b/dへの能力増強とChevronTexaco参加の可能性 (一方,Sasolが参加するOryx GTLプロジェクトは12月7日,建設工事開始式が行われ正式に建設が開始された。Oryxはカタールで最初に契約が結ばれたGTLプロジェクトであり,QP(51%),Sasol(49%)が参加する合弁事業(2001年6月JV契約締結)である。2005年後半からの生産開始を目指しており,合計3.4万b/dのGTL製品(内訳:軽油2.4万b/d,ナフサ0.9万b/d,LPG 0.1,万b/d)の生産を予定している。本プロジェクトは,Foster Wheeler が FEED を担当し,2003 年1 月に JV 会社がTechnip-Coflexip(伊)と操業立ち上げまでを範囲とするEPC(設計,調達,建設)契約(675百万ドル)を締結した。 Oryxプロジェクトの生産能力について,Attiyahカタール第2副首相兼エネルギー工業相(QP会長)は,工事開始式に出席したErwin南アフリカ貿易工業相との会談後の記者会見で,現状計画の3.4万b/dから将来的には12万b/dへの増強を検討していると述べた。SasolのDavies Executive Directorによれば,能力増強時期は2008-2009年頃が見込まれており,新たなパートナーとしてChevronTexacoの参加が検討されている。 なお,カタールでは,上記3社(Sasol,Shell,ConocoPhillips)以外にExxonMobil,MarathonがGTLプロジェクトへの参入を検討中であると伝えられている。 .LNG受け入れターミナル建設に積極的に参加 2カタールの天然ガス開発計画の柱となるLNG分野能力拡大計画については,「E&P動向」でも再三取り上げてきたが,特徴的なのが,産ガス国であるカタールがガス上流開発,LNG液化トレーン建設にとどまらず,消費国でのLNG受け入れ設備の建設に積極的に参画していることである。 (cid:190) 2003年にConocoPhillipsおよびExxonMobilとそれぞれ締結された米国向けLNG売買契約では,いずれも,QPが米国でのLNG受け入れ設備建設事業に参加することがうたわれている。 (cid:190) QPとExxonMobilが参加する事業会社RasGas-2は,2003年11月20日,Edison Gas(伊)向けLNG売買契約(当初計画数量350万t/y→その後470万t/yへ変更)に関連して,イタリア北部のアドリア海沖合にLNG受け入れ設備を建設する「Edison Gas LNG ターミナルプロジェクト」の権益90%取得を発表した。取得後の権益比率は,QP,ExxonMobil各45%,Edison Gas 10%となる。受け入れターミナルは2007年に稼動する計画であり近くFEED契約が締結される見込みである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - cid:190) QPとExxonMobil(事業会社Qatargas-2)が進める英国向けLNGプロジェクト(2002年6月契約,供給量1560万t/y)では,英国Milford Havenに建設予定のLNG受け入れターミナルの建設申請手続きが難航していたが,Qatargas-2が提出していた申請書が12月始めまでに地元自治体に QPとDolphin Energy Ltd(DEL,*1)は2003年12月11日,カタールNorth Field産出ガスをUAEに供給するドルフィン・プロジェクトの最終的な開発契約に調印した。ドルフィン・プロジェクトは将来的にはオマーン及びパキスタンまでガスパイプラインを建設するとの構想であるが,今回はその第1フェーズに当たるものである。契約総額は36億ドルで,内訳はカタールでのガス生産・精製および輸出設備の建設が32億ドル,UAEへの海底パイプライン(総延長440km,パイプ径48インチ)建設が4億ドルとなっている。2006年からガス生産・供給が開始される予定であり,2年後には最大能力である天然ガス20億cf/d,コンデンセート10万b/d,NGL8000t/dの生産レベルに到達する見込みである。 ドルフィン・プロジェクトは,今回,上流,中流に関わる契約が締結されたが,DELとドバイ当局との間のガス価格交渉が決着していないという問題が残っている。UAEはガス生産国でありながら,将来的に自国のガス生産が国内需要の伸びに追いつかないことが予想されることから,カタールからの輸入を企図しており,なかでも,現状既にアブダビから最大8億cf/dのガス供給を受けているドバイが最大の供給先となる予定である。ドバイはADNOCより1ドル/百万Btuで供給を受けているとされるが,DELはドバイ側に対しドルフィン・プロジェクトによる供給価格としてCIFベース1.3ドル/百万Btuを提示しているといわれ,交渉は難航している。DEL社幹部は「遅くとも2004年中には決着する」と交渉の先行きを楽観視するコメントをGulf News(アブダビ地元紙)に対し述べているが,価格交渉が決着に向けて動き出したとの報道はなく,現時点では見通しは不透明と考えておくべきであろう。 2001年12月にQPとDELによる25年間の開発及び生産分与契約(DPSA)が締結されたが,その後ドルフィン・プロジェクトははかばかしい進捗がなかった。大幅な増産計画が次々と打ち出される(カタールの)LNGプロジェクトに比べ対照的であり,一部ではプロジェクトの実現性を疑問視する見方も出ていたが,そのような見方を払拭したいとの思惑から,プロジェクト当事者は価格問題未決着のままあえて開発契約の調印に踏み切ったとの見方も出来よう。 *1)Dolphin Energy Ltd:ドルフィンプロジェクトの事業会社(出資比率:UAE Offsets Group(アブダビ) (51%,Total,Occidental各24.5%) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - より承認されたと伝えられている。 .ドルフィン・プロジェクトの開発契約に調印 3 |
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