ページ番号1003604 更新日 平成30年2月16日

ロシア:ロシアとベラルーシの石油・天然ガスを巡る係争について

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レポートID 1003604
作成日 2007-01-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2006
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2007/1/19 石油・天然ガス調査グループ:本村真澄 ロシア: ロシアとベラルーシの石油・天然ガスを巡る係争について ・1995年からロシアとベラルーシは関税同盟を結び、ロシアの原油は無税でベラルーシに輸出され、ベラルーシで精製された石油製品は、国際価格で欧州へ輸出された。ベラルーシが課すこれへの輸出関税は85%がロシアへ、15%がベラルーシへ配分されるスキームになっていた。 ・2001年からベラルーシは、ロシアへ支払うべき関税を納めることを停止し、両国は対立状態となった。 ・2007年1月1日、ロシアは対抗上ベラルーシにも他国と同様の1トン当たり$180.7の石油輸出税を課すこととした。これは関税同盟締結時の状況に戻すものである。これに対して、ベラルーシは1トン当り$45の通過関税を課すこととし、6日から関税見合いの通過原油をドルージュバ・パイプラインから抜き取り始めたため、ロシアは8日から同パイプラインでの原油輸送を停止した。 ・昨年に引き続き、欧州で供給途絶が起こったことから、EUは両国に対してこの措置を非難した。 ・10日、ベラルーシが通過関税の撤廃と欧州への送油を再開し、11日ロシアも輸送を再開した。 ・12日、ロシアはベラルーシへの輸出税を$53/トンに、ベラルーシから欧州市場への石油製品輸出税を2007年はロシア70%(追って85%へ増加)、ベラルーシ30%(追って15%へ縮小)とすることで合意した。 ・ロシアはルカシェンコ政権には終始冷ややかであるが、同時にこの「近い外国」へのEUの介入を阻止し、ウクライナで起こったような「色彩革命」を回避する必要があり、一定の支持を与えている。EUもこの欧州唯一の独裁国家ベラルーシの擁護となるような一方的なロシア非難は控えている。 . はじめに ロシアとベラルーシとの間での天然ガス価格を巡る交渉は、2006年の大晦日の午後11時58分に約2倍の$100/1,000cmに引き上げることで決着したが、その翌日から、今度は石油の関税を巡って両国は激しく対立し、1月8日からベラルーシへは川下のポーランド、ウクライナへの原油輸 1送を停止し、ロシア側もベラルーシへの輸出を停止した。これは昨年のウクライナへの天然ガス供給削減を彷彿とさせる出来事であり、欧州各国からは事態を非難する声明が寄せられた。しかし、一方の当事国であるベラルーシのルカシェンコ政権は、欧州最後の独裁政権とよばれ、人権、経済ともに問題を多く抱えていることから、一方的なロシア批判がベラルーシを利することになるとして、ロシアに対しては比較的ローキーな批判に止まった。 ルカシェンコは、2006年3月19日の大統領選で再選されたものの、米国および欧州安保協力機構(OSCE)は民主的選挙ではないと批判し、ルカシェンコ自身と同国公職者のUS圏内立ち入りは禁止されている状況である。欧州各国は、本音ではルカシェンコ政権を除去したいが、一方でモGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - Xクワがベラルーシを自在にコントロールできる体制までは望まない。そのような政治的決着はロシアを利することとなり、ウクライナ、そしてグルジアとの緊張を孕んだ関係においても当然ロシアの立場を有利にするからである(FT, 2007/1/10)。 ロシアとしても、ベラルーシの行動は腹立たしいが、ルカシェンコ排除までは意図していない。今後ベラルーシ内で反ルカシェンコ勢力が台頭するとすれば、恐らくそれは民主勢力であり親西側である。この動きはウクライナと同様の展開を辿る可能性が高い。ベラルーシはロシアにとって、EUと物理的な直接対峙を避けることのできる戦略空間として存在しており、維持して行く必要がる。こうして、ロシア、ベラルーシ、EUはともに非難しつつ現状を大きく変更させないために協力し合う、奇妙な均衡が成り立っている。今回の石油を巡っては激しい応酬がなされた一方で、3者ともに政治的枠組みまでは変更させたくないとして、最終的には抑制の効いたものとなっている。 プーチン大統領は、今回の決着はベラルーシが市場経済に移行するするための経過措置であるとして、ロシアがベラルーシ国民の為に負担するコストはガス分野で33億ドル、石油・石油製品分野で25億ドル、合計58億ドルに上るとしている(PON、2007/1/16)。 . ロシアとベラルーシとの石油・ガスを巡る一連の動き (1)紛争の経緯 ・ 12月31日:ロシアとベラルーシは午後11時58分に、2007年の天然ガス価格を当初要求の$200/1,000cmから$100へ下げ、その見返りにベラルーシのパイプライン会社Beltransgazの株式50%を2011年までに25億ドルで取得することでも合意。 2・ 1月1日:ロシアはベラルーシ向け石油輸出に関してロシアの通常の輸出関税$180.7/トンを課す。 ・ 1月4日:ベラルーシは対抗して通過関税$45/トンを課し、1月1日に遡って適用すると表明。 ・ 1月6日:ベラルーシが予告なしにドルージュバ・パイプラインからの原油の抜き取り開始。 ・ 1月8日朝:ロシアからの石油供給を停止したことを表明。北支線(ポーランド、独向け)停止。 ・ 1月8日夜:南支線(ウクライナ、スロバキア、ハンガリー、チェコ向け)でも供給停止。 ・ 1月9日:コビャコフ副首相が正常化のためモスクワ入り。グレフ経済発展貿易相と交渉開始。 ・ 1月10日:ルカシェンコ大統領の要請でプーチン大統領との電話会談。通過関税を撤回。 ・1月10日:グリニッチ標準時20:35 ベラルーシが欧州向け送油開始。 ・1月11日:ロシアはドルージュバ・パイプラインの原油輸送を再開。 ・1月12日:両国は今後に向けての決策を発表。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - }1. ロシアからの石油パイプライン、太線がドルージュバ・パイプライン(RPIに加筆) 1995年以来、両国は関税同盟を結び、ベラルーシは国内待遇としてロシアから石油輸出税なしに安価で原油を輸入できることとなった。そして、ロシア原油で精製した日量約40万バレルの石油製品の内、国内需要の日量8万バレルを除いた32万バレルをベラルーシが国際価格で欧州市場へ輸出し、その際の輸出税の85%をロシア、15%をベラルーシが受け取ることで両国は合意した。 ロシアからの通常の石油輸出税は、昨年12月から今年一月末までの間は$180.70/トンと定められており、もしもこれが免除されると国際価格の約半分で原油が輸入できることになる。一方、ベラGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 2)今回の係争の背景と両者の主張 (求[シは牛乳・乳製品(輸出の90%以上がロシア向け)、食肉(同99%)、テレビ(同90%)、家具(同80%以上)等を関税なしにロシアに輸出してきており(Vedomosti, 2007.1/10)、国際競争力を持たないベラルーシとしても、関税なしで輸出できるロシアは唯一の市場と言えるものであった。 しかし2001年以降、ベラルーシは同国からの輸出税をロシアに戻さなくなり、これを巡ってロシアとは厳しい対立関係になった(Oil & Gas Vertical, 2007/1/08)。昨年10月から事態の解決に向けて交渉に入ったが進展がなく、同年12月29日付けの政府指令ではベラルーシ産の砂糖に対してロシアは高率関税をかけて、事実上の輸入禁止措置を取るなど対立は先鋭化した。2007年2月からは、ベラルーシ製品への輸入関税が掛けられることとなっており、関税同盟は事実上崩壊した。そして本年1月1日からは、予告通りロシアが輸出原油に対して直接$180.7/トンという関税をかけることとしたものである。これは、ロシア側としては関税同盟を結んだ当初の状況に復帰することを目指したものである。 これに対抗して、ベラルーシは1月4日、$45/トンの通過関税をかけることを表明し、6日から同国内を通過している原油そのものを差し押さえる挙にでた。輸入関税をかけるのであれば、その税金はベラルーシ国内の製油業者が負担し、製品価格に転嫁することになる。通過関税としたのは、ロシア側の輸送業者、即ちTransneftに負担させるための措置である。この通過関税に対しては、Gref経済発展貿易相は、関税とは本来輸出地点か輸入地点において掛けられるものであって、ベラルーシの今回の措置は前例のないものであり(unprecedented)、両国政府及び両国石油パイプライン会社の協約に反すると述べ、またTransneftはこの通過関税が遡及適用されており一方的なものと批判した(PON, 2007/1/10)。Transneftが通過関税をベラルーシに納める筈もなく、実際に行われたことは、ベラルーシを通過中のロシア原油の内、通過関税見合いの量をベラルーシ政府が差し押さえるというものであった。 ロシアは対抗上、1月8日朝にドルージュバ・パイプラインを停止させた。フリステンコ産業エネルギー相によれば、1月8日朝午前7:55(モスクワ時間)にベラルーシが欧州への送油を止めて圧力上昇があったので、4分後にロシアも供給を停止したという。これはTransneftのグリゴリエフ副社長によればベラルーシの抜き取りを防ぐためである(Reuters, 2007/1/09)。この間、ベラルーシが原油7万9千トンを不法に抜き取ったとヴァインシュトック社長は非難している。ベラルーシが先に輸送を止めた件は、経済発展貿易省のシャローノフ次官も触れている(Gazeta.ru., 2007/1/10)。 ベラルーシ税関は1月6日、Transneftが通関申告書なしに、且つ税の支払いをせずロシア原油Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - イ線パイプラインでベラルーシ関税国境を経て第三国へ移動させたとして、Transneft社に対して1月8日に裁判所に出頭要請を行った。これに対して、ロシア法務省は「もし既に裁判になっているなら、ミンスクは裁判所というものがベラルーシ国内にあるだけでなく、国際法廷もあることを理解すべきである」と毒づいた(Oil and Gas Vertical, 20007/1/08)。 1月9日、国際エネルギー機関は、石油供給停止の影響が、ポーランド、ドイツ、ウクライナ、スロバキア、ハンガリー、チェコの6カ国に広がったと発表した。 (3)問題の解決案 ロシアによる原油の輸送停止で事態はデッドロック化し、ベラルーシは全く対抗手段を失った。9日になって、コビャコフ副首相をモスクワに送り込んだが、グレフ経済発展貿易相はこれに対して、ベラルーシによる通過関税撤廃と、送油停止という違法行為の中止が、協議の前提条件であると主張した。翌10日、ルカシェンコ大統領からの要請でプーチン大統領との長時間に及ぶ電話協議が行われ、ルカシェンコは通過関税の撤廃を呑み、深夜ベラルーシが欧州に向けて送油を開始した。翌11日にはロシアからベラルーシへの原油輸出が再開された。 1月12日、石油輸送に関する両国の新しい取り決めが発表された。2007年におけるロシアからの輸出関税を、1月1日に表明した$180.70/トンの29.3%の水準になる$53/トンとした。そして、ベラルーシから欧州市場への輸出される石油製品への関税を、2007年にロシア70%、ベラルーシ30%、2008年に80%、ベラルーシ20%、2009年にロシア85%、ベラルーシ15%で配分することとした。石油製品の関税水準はロシアの規定に合わせるとしている(Interfax, 2007/1/15)。2006年12月1日から2007年1月1日までのロシアにおける石油製品の輸出税率は、白物が$134.0/トン、黒物が$72.2/トンである。白物と黒物の比率が分からないので、1995年時点の取り決めとの比較が難しいが、ベラルーシの取り分が半分になる2年後は、明らかに当時より悪くなっている。独裁政権は当座が凌げることが最優先なのであろう。ベラルーシは輸送原油の抜き取りまで行って強攻策に出て、結局自らの権利を深刻な程度にまで失うことになった。PIWは、この間のいきさつを「ロシアは容赦ない対応で再び勝利」と評している(PIW, 2007/1/15)。 (4) 市場への影響 石油輸送が停止した1月8日は、ブレント期近物で若干の上昇はあったが、基本的に油価は1月2日以来、折からの暖冬による需要の緩和観測から殆ど一本調子で下げている。これは、 ①ドルージュバ・パイプラインは原油輸出の約1/3を占めるが(図2参照)、空間的にカバーするのは旧東欧圏、ドイツでは旧東独のライプチヒまでで、欧州の主要消費地はカバーしておらず(図1Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - Q照)、輸送停止の影響が限定的であったこと ②西欧市場へは、別途バルト海のPrimorskターミナル、黒海のNovorossiysk, Odessa, Tuapseターミナル等からタンカー供給がなされていること ③消費国側の原油備蓄が、例えばドイツ(120日)、スロバキア(70日)、ハンガリー(90日)、チェコ(105日)といずれも高水準にあって、一時的な供給途絶にも十分対応可能と認識されたこと ④係争自体が短期で終結したので、在庫原油の取り崩しは殆どなかったこと (5)各国の反応 以下に、各国の反応を列挙するが、石油の輸送停止は受け入れられないといったトーンで、いずれも歯切れの悪いものであり、供給ソースの多様化を挙げることはあっても国名を挙げて直接非難した例はない。これは、一方的なロシア批判によって結果的に独裁国ベラルーシを利することを避けるためと思われる。 1)メルケル独首相: 「(1月8日)ドイツ国内には影響はない。エネルギー供給問題が繰り返されている。法的な防護措置、契約の保証が必要だ」(朝日、2007/1/9夕) 「(1月9日、Barroso EC委員長と共同記者会見で)石油供給が事前の相談なしに停止されることは受け入れられない(unacceptable)」(Moscow Times, 2007/1/10) 「原子力発電の廃止政策は、ドイツが外国の石油やガスへの依存度を高めることになりるので、疑問がある」(IOD, 2007/1/10) 「冷戦がたけなわの時期でさえ、ロシアは欧州に対して信頼できるエネルギー供給者であった。今回の件は信頼を損ね、協力関係を築くことを困難にする」(FT, 2007/1/10) 2)Jose Manuel BarrosoEC委員長 「ロシアからの石油供給停止は受け入れらない。基本的な政策は、他のエネルギー供給者を見つけ、ロシアへの依存度を減らすることだ」(Moscow Times, 2007/1/11) 3)Andris Piebalgs EUエネルギー委員会委員長 「EUは、早急に詳細な説明を求める」(Reuters, 2007/1/09) 「EU委員会は事態を注視している。EUへの原油供給に緊急のリスクは生じていないが、影響を調べるために石油供給グループを1月12日頃までに招集する」(IOD, 2007/1/09)。 4)Michael Glos独経済技術相 「重要なドルージュバ・パイプラインが閉鎖されていることを憂慮している。なるべく早く本来の水準にまGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - ナに復旧することを希望する」(同上) 5) German Grefロシア経済発展貿易相 「今回の係争は、信頼のおけるエネルギー供給者というロシアの評価を損ねた。我々は、通過国に依存せず、我々だけで対処できる輸送システムを創り出す必要がある」(Moscow Times, 2007/1/15) この発言は、ロシアが欧州への信頼の置けるエネルギー供給国であるとの評価が確立しているとの前提に立っている。これは、EUの主張とは距離があるが、ロシア側の理解であると同時に、国際的なエネルギー業界の理解でもある。ロシアの評価を損ねた、という表現は反省ではなく、ベラルーシに対する異議申し立てと思われる。 ロシアの石油生産と原油・製品輸出の動向国内消費量製品輸出量原油輸出量 1996199719981999200020012002200320042005図2 ロシアにおける石油生産と原油及び製品輸出の動向 . 天然ガスに関するロシアと旧ソ連邦諸国との交渉 (1)2007年のベラルーシとの天然ガス価格の改定状況 3500450400350300250200150100500100万トン/年 ロシアからの輸出天然ガス価格について、旧東欧諸国を含む西欧に対しては長期契約で、旧ソ連邦諸国に対しては毎年、暮の時期に価格改定となる。各国別の2007年の天然ガス価格を表に示す。 ロシアはベラルーシに対しては、2004年2月に交渉決裂を理由にガス供給を一時停止し、この影響はGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - ?コのポーランドとドイツに及んだが、当時の国際世論は特段の反応を示さなかった。2005年にはベラルーシにおけるYamal-Europeパイプラインの権益の譲渡を受け、その対価として2006年のガス価格を$46.68/1,000cmに据え置いた。しかし、2006年3月30日に、ロシアは欧州向け価格と同等にすると宣言し、11月には$200/1,000cmという具体的な価格を提示した。そして、2006年初頭のウクライナのような事態が起こらないことを期待すると早々と警告し、交渉が妥結しなければ、2007年1月1日午前10時からガス供給を停止すると通告した。 12月31日、ベラルーシのセマシコ第1副首相がモスクワ入りし、最後の交渉に臨んだが、同日深夜の11時58分に新価格を$100/1,000cmとし、且つベラルーシ国内のガス・パイプラインを操業するBeltransgazの株式50%を2010年までに総額25億ドルで売却することで合意した(各紙, 2007/1/03)。ガス価格は、2008年に欧州市場価格から輸送コストを引いた額の67%、2009年には同じく80%、2010年に90%、2011年に100%とすることで合意した。ガスの輸送コストは$0.75/1,000cm/100kmから$1.45/ 1,000cm/100kmとなった(Interfax,2007/1/01,PON, 1/03)。 ベラルーシのSergei Sidorsky首相は、この合意がベラルーシを経済的苦境に陥らせるとの懸念を表明した(Interfax, 2007/1/01)。ベラルーシは2006年にGDPで9.5%の伸びを示している。国有企業が多く、社会主義的な経済体制を温存している同国としてはガス価格の値上げは痛手であるが、同時に市場化への適合を促されている局面である。 表 近隣諸国向けガス輸出価格及び買取価格 (単位$/1,000m3) 西欧諸国 ブルガリア ルーマニア エストニア ラトビア リトアニア ベラルーシ ウクライナ モルドバ グルジア アゼルバイジャン アルメニア 05年ガス価格 250 183 - 90 92-94 85 46.68 50 80 63 60 54 06年価格245-285257270-285190145-155115-15546.6895110-16011011011007年価格 備 考 既往契約の有効性主張 CISに不参加 同上 同上 パイプライン取得。価格微増。 親欧($230で仲介業者へ販売) 反ロ共産政権。 親欧政権。アゼルバイジャンから輸入 2007年Shah Deniz生産開始 親ロシア政権。 293 260 217 210 100 130 170 235 235 110 - 8 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i2)その他の国との交渉 アゼルバイジャンとグルジアに対しては、昨年の$110/1,000cmから、一気に$235/1,000cmに引き上げた。これは、2006年12月からアゼルバイジャンにおいてカスピ海のShah Denizガス田の生産が開始(技術的トラブルがあり2007年1月に生産再開)となったことから、ロシア側がガス供給においてアゼルバイジャンに対する援助的な対応を打ち切ったことを意味する。アゼルバイジャンは、基本的にガスの輸入を停止し、自国産ガスを優先的に使用し、火力発電等で不足する燃料としては石油を使用するなど対策を講じている。また、Shah Denizガス田からのガスは、南コーカサス・パイプライン(SCP)により、途中までは石油のBTCパイプラインに並行してグルジアのTbilisiを通過し、更にトルコに入ってEruzurumのターミナルに至る。ここからは、トルコの天然ガス・ネットワークに入る。 米国のライス国務長官は、対ギリシャやNabuccoパイプラインの供給ソースとして、アゼルバイジャンを含む中央アジアのガスを導入するよう強く要請している。欧州の中南部へのガスの供給ソースとしてアゼルバイジャンと競争関係にあるロシアとしては、依然として膨大な生産余地を有していることから、アゼルバイジャンとグルジアがなるべく多くShah Denizガス田のガスを消費して、この残存埋蔵量が早く減少して競争力を低下させる方が、好都合である。よってロシアとしては、両国が輸入意欲をなくす程度に高いガス価格に設定することは意味がある。 アルメニアは2006年はアゼルバイジャン、グルジアと同等の$110/1,000cmというガス価格であったが、2007年も変更がないと報じられている。アルメニアの経済事情では、昨年もこの価格が上限と言われており、アゼルバイジャンやグルジアのように新規ソースを持てない事情から、据え置かれたものと思われる。 対バルト3国では、順次国際価格に近づけている。 ウクライナの$130/1,000cmという価格は、昨年から37%増であるが、昨年後半にトルクメニスタンからロシアに輸出されるガスが$60/1,000cmから$100へと改訂されたことを考慮すると、ロシアにとっては苦しい水準と思われる。一方、昨年ウクライナ経済の耐えられるガス価水準は$110/1,000cmと言われており、1年での経済の進展を考慮に入れると、恐らくこれも上限に近い水準と思われる。ウクライナに関してはガス価格の設定に関して狭い領域の中での選択が求められている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - i1)石油パイプライン:Druzhbaパイプライン(図1参照) ドルージュバ・パイプラインはベラルーシにおける通油能力が日量140万バレル、これに加えてベラルーシに供給する量が日量40万バレルで、ベラルーシにおける主要な製油所は、中央南部のMozyrと西部のNovoportskにあり、そこに供給している。国内需要は日量8万バレルである。 ロシアの石油生産と、原油輸出の動向を図2に示す。2005年の2億6,000万トン(日量520万バレル)で、そのうち鉄道輸送が約5,000万トン(日量100万バレル)、ドルージュバ・パイプラインは 輸出原油の3割程度を担っている。他の主要ルートとしては、バルト・パイプライン・システムがGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - 図3. ロシアから欧州への天然ガスパイプライン網(RPIに加筆) 追 記] ロシア、ベラルーシ関係の背景 [,200万トン(日量124万バレル)、黒海のノボロシースク4,200万トン(日量84万バレル)などがある。 ドルージュバ・パイプラインは、1962年まずUshgorodを経由してチェコスロバキアに入る南ルートが完成して対して供給が開始され、翌年北ルートといわれるBrest経由ポーランド、東ドイツのSchwedtに至るラインができた。全区間が完成したのは1964年である。これは、東欧圏まで原油を供給するもので、1973年に西ドイツまで、その後更にフランスにまで到達した天然ガス・パイプラインとは大いに性格を異にする。 (2)ロシア、ベラルーシとEUとの関係 ロシアとベラルーシはエリツィン時代の1996年に「共同体形成条約」、1997年に「連合条約」、1999年に「連合国家創設条約」を結び、2000年1月に批准書を交換した。その後、プーチン政権に変わってからは、ルカシェンコ大統領が強権的な色彩を強めるに従い、両国関係も冷却化し、2001年末からは連合国家構想が頓挫する状況となっていた。 その後、2006年3月19日にルカシェンコ大統領は再選を果たし、プーチン大統領は祝電を送り、連合国家創設への確信を改めて表明したが、米国及び欧州安保協力機構(OSCE)は民主的選挙のためのOSCEコミットメントを果たしていないと批判した。3月25日には抗議集会をおこなっていた野党勢力が拘束され負傷者が発生するなど騒乱状態となり、EUはルカシェンコ大統領を含む公職者のEU圏内立ち入りを禁止した。 (3)関税同盟 関税同盟設立の経緯を以下に記す。 ・1995年1月6日:ロシアとベラルーシとの間で関税同盟協定調印 ・1995年1月20日:ロシア・ベラルーシとカザフスタンとの間で関税同盟協定調印 ・1996年3月29日:キルギスタンがに上記の関税同盟に加盟 ・1999年1月20日:タジキスタンがに上記関税同盟に加盟 ・2001年:それまでの関税同盟から改組してユーラシア経済共同体とした。これはEUのような経済共同体を目指す。ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが加盟。モルドバ、ウクライナ、アルメニアがオブザーバー。 (了) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 -
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2 旧ソ連
国2 ベラルーシ
地域3
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地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
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国7
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国8
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国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア旧ソ連,ベラルーシ
2007/01/19 本村 真澄
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