ページ番号1003605 更新日 平成30年2月16日

ベネズエラ:チャベス大統領、資源ナショナリズム政策を推進 ―オリノコプロジェクトの交渉を打ち切り、新法に基づき PDVSA が過半を取得へ

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レポートID 1003605
作成日 2007-01-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2006
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2007/1/19 石油・天然ガス調査グループ:舩木弥和子 ベネズエラ:チャベス大統領、資源ナショナリズム政策を推進―オリノコプロジェクトの交渉を打ち切り、新法に基づきPDVSAが過半を取得へ (PN、IOD、BNA他) * 3期目を迎え、基幹産業の国有化を宣言したチャベス大統領は、石油・ガス産業についても、オリノコベルト超重質油プロジェクトや天然ガス産業を国家の財産とすべきだと発言し、引き続き資源ナショナリズム政策を推進していく姿勢を示した。 * ラミレスエネルギー相によれば、オリノコベルト超重質油プロジェクトについては、石油会社との交渉を中止し、新法に基づいてプロジェクトの過半をPDVSAが所有することとなる。一方、天然ガスについては、既存プロジェクトの契約に変更はなく、ロイヤルティの引き上げも行われないとのことである。 * オリノコベルト超重質油プロジェクトについては、政府がOPECの生産枠に従い生産量を削減するよう求めていることもあり、生産量の減少が危惧されている。天然ガスプロジェクトについても、新規プロジェクトについては具体的な方針が示されておらず、長期的な生産量の伸び悩みが懸念される。 1月10日、チャベス大統領が2013年まで6年間の第3期目の任期をスタートさせた。12月に行われた大統領選挙で圧倒的な強さを示し3選を果たしたチャベス大統領は、就任に先立ち、通信、電力をはじめとする基幹産業を国有化し、中央銀行の独立性を制限するなど、政治面、経済面での影響力をさらに強める政策をとることを発表した。石油、天然ガス産業に関しても、1月8日の新内閣閣僚宣誓式において「オリノコベルト超重質油プロジェクトを国家の財産とすべきだ」、1月10日の大統領就任式において「天然ガスは国家の財産であることを憲法に明記すべきだ」と発言した。さらに、1月13日には国会で「国内の全てのエネルギー産業を国有化するが、外国企業がマイナーシェアで参加することは認める」との演説を行った。チャベス大統領の発言では詳細が明らかにされなかったこともあり、石油会社のみならず、政府やPDVSA内部にも混乱や不安を引き起こした。 その後、エネルギー省やPDVSAから様々な発表があったものの、15日にラミレスエネルギー相が発表しとところによれば、オリノコベルト超重質油プロジェクトについては、これまで行われてきた石油会社との交渉を中止し、生産、精製・改質を含むプロジェクト全体の過半をPDVSAが所有することとなる。一方、天然ガスについては、既存のプロジェクトに関しては現在の契約に変更はなく、ロイヤルティも20%のままとされる模様である。 オリノコベルト超重質油プロジェクトと天然ガスのそれぞれについて、今後の見通しや影響をまとめGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ス。 オリノコベルト超重質油プロジェクト PDVSAとオリノコベルト超重質油プロジェクトに参加している企業は、2006年末までに現在の契約形態(戦略的提携)をPDVSAが過半を所有するジョイントベンチャーカンパニー方式に変更すべく交渉を行っていた。交渉の内容や条件については明らかにされていなかったが、ジョイントベンチャーカンパニーを上流の生産部門と下流の精製・改質部門の2つに分け、生産部門についてはPDVSAが過半を所有し、メジャーの経験・技術に依存するところが大きい精製・改質部門については、現在と同じ権益比率とすることで検討が行われていると伝えられていた。 しかし、ラミレスエネルギー相は、2006年末までにこれら企業と合意に達することができなかったため交渉を打ち切り、新たに制定される法律に基づいてジョイントベンチャーカンパニーを設立し、その過半をPDVSAが保有する計画であると発表した。そして、プロジェクト運営方針で合意に至らなかったことから、生産部門と精製・改質部門の両方について政府が過半を取得することとなったとしている。PDVSAがどの程度の割合でシェアを保有するのかは明らかにされなかったが、PDVSAの子会社CVPの総裁が60%を保有することを主張していることから、政府は当初の51%という要求を拡大し、60%、もしくは、それ以上を保有することになるのではないかとの見方がなされている。なお、エネルギー省は、これら4プロジェクトの精製・改質部門の事業を1つにまとめることも検討しているという。また、ラミレスエネルギー相は、合成原油の販売についても政府とPDVSAが管理することを計画していると語った。 1月8日のチャベス大統領の発言後には、これについて、PDVSAやエネルギー省のスポークスマンが「政府がオリノコプロジェクトの過半を取得するという意味である」、カベサス大蔵大臣が、「現在行われている交渉が失敗した場合に、オリノコプロジェクトを国有化するということである」と発言するなど、政府やPDVSA内部にも混乱が生じていた。しかし、ラミレスエネルギー相の今回の発言により、概ねの方針が示され、混乱は収拾の方向に向かっている。 これらオリノコプロジェクトに関して、ラミレスエネルギー相はもはや企業との交渉の余地はないとしているものの、企業側は政府とPDVSAに対して交渉の継続や再検討を求めているという。しかし、4プロジェクトのRORは17~30%と非常に高く、また、未確認の埋蔵量も多いことから、これらの石油会社は将来の収益を確保し、プロジェクト初期に行った投資を回収するためにも、新たな法律により定められる現在よりも厳しい条件の下でもこれらのプロジェクトにとどまるであろうというのが一般的な見方である。ただ、Exxon Mobilは、ベネズエラでの原油生産量が同社の全生産量の2%未満にすぎないこともあり、過去にGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 熏sってきたように、今回も政府の政策に対抗していくと見られている。 このように石油会社は引き続きプロジェクトに残留すると考えられるが、政策の全容が明らかになり、新たにジョイントベンチャーカンパニーが設立されるまでの数ヶ月間は、各社とも新たな投資を削減し、その結果、生産量が減少することが予想される。2006年に操業サービス契約をジョイントベンチャーカンパニー方式に変更した際には、操業サービス契約による生産量が50万b/dから40万b/dに減少した。オリノコベルトのこれらのプロジェクトでは、現在、超重質油約62万b/dが生産されているが、今回も同様の オリノコベルト地図 (各種資料より作成) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - カ産量減少が見込まれる。 また、ベネズエラ政府はOPECの生産削減に従うために、これらのプロジェクトに対し1月の合成原油の輸出量を330万bbl(11万b/d)削減するよう命じており、生産量はさらに減少する可能性がある。なお、削減量の内訳は、Ameriven 80万bbl、Petrozuata 70万bbl、Cerro Negro 110万bbl、Sincor 70万bblとなっている。 さらに、中長期的に見ても、PDVSAは超重質油を精製・改質する経験に欠けるため、これらの部門の操業がうまくいかず、生産量が減退する可能性も考えられる。 また、ベネズエラ政府はPetrobras、CNPC、Petropars、ONGC、Lukoilなどにオリノコベルトの埋蔵量調査を行わせているが、これらの企業もAPI比重10°未満の超重質油を精製・改質した経験がないことから、オリノコベルト全体として考えた場合にも生産量の伸び悩みが懸念される。 天然ガス チャベス大統領は、天然ガスプロジェクトに関しても政府の権限を強化し、国有化に向け憲法改正を行うと発表した。しかし、ラミレスエネルギー相によると、現在の法律で認められ探鉱・開発を行っている既存の契約を変更することはないという。また、天然ガスについてもロイヤルティや法人税率が引き上げられるのではないかと見る向きもあったが、ラミレスエネルギー相は、ガス部門は石油部門に比べ利益が少ないので、天然ガスのロイヤルティの引き上げは行わないと語った。 ベネズエラでは、天然ガスの国内需要増加に対応するため、1999年に現在のガス法が制定され、2001年に陸域ガス開発入札、2003年にDeltana Platform海域のガス開発入札、2005年にベネズエラ湾沖合のガス探鉱の入札が実施され、Chevron、Statoilなど民間企業がライセンスを取得し探鉱・開発を行っている。また、TotalとRepsolYPFは陸上のYucal Placerガス田並びにBarrancasガス田で生産を行っている。チャベス大統領が、天然ガス事業についても国有化すると発表したことで、これらのガス関連のプロジェクトに遅れが出る可能性が懸念されていた。 しかし、ベネズエラ政府は既存のプロジェクトに関しては現在の契約を変更しないと、譲歩を示した。これに関しては以下の理由が考えられる。 ① これまでに契約変更が実施された操業サービス契約やオリノコベルトの戦略的提携は、チャベス大統領以前の政権により導入されたものであったのに対して、現在のガスに関する政策はチャベス政権下で導入されたものである。 ② ベネズエラは、天然ガス生産量を増やし、2010年までにガス輸出国となるという目標を掲げている。Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - ワた、ベネズエラからブラジル、アルゼンチン、ウルグアイに天然ガスを輸送するための全長約1万kmの「南米ガスパイプライン」の建設が検討されており、天然ガスの生産量を増やすことはベネズエラにとって急務である。民間企業による天然ガス生産量は、ベネズエラ全体の天然ガス生産量の10%以下であるが、今後、生産増が期待される。 なお、新規プロジェクトについては現在のところ、どのような取り扱いになるのかの発表はない。ロドリゲス前PDVSA総裁が、「天然ガス事業についても、操業サービス契約をジョイントベンチャーカンパニー方式に変更したのと同様の契約変更が行われ、政府が過半を取得することになるであろう」と語っており、操業サービス契約やオリノコベルト超重質油プロジェクトと同じような変更が行われる可能性がある。 終わりに このように、既存の天然ガスプロジェクトについては現在の契約に基づいて探鉱・開発が続けられる見通しとなった。しかし、オリノコプロジェクトについては投資額の削減や生産量の減少が、新規の天然ガスプロジェクトについては具体的な方針が示されておらず、プロジェクトの成立自体が困難になる可能性が懸念されており、今回の政策により資源ナショナリズムの動きがさらに強化されたと言うことができよう。 なお、これら石油・ガス産業を含む一連の国有化政策実施には、開発基金Fondenの資金が充てられることになるという。Fondenは貧困層を対象とした教育、医療などの社会プログラムを実施するために、主にPDVSAが資金を提供している基金である。PDVSAは、Fondenなど社会プログラム実施のために2004年に12億ドル、2005年に37億ドル、2006年に105億ドルを供出してきたが、政府はPDVSAに対してさらに多くの資金を提供するよう求めていると伝えられており、本来ならば、2012年までに原油生産を580万b/dまで倍増させるとしたPDVSAのビジネスプラン(Plan Siembra Petrolera、2005年8月)の実現に不可欠な探鉱・開発に当てられる資金がさらに減少することが危惧される。 また、チャベス大統領は、これら国有化を始めとする政策変更を大統領令で実施できるようにする特別法の制定や、大統領の再選規定を撤廃するための憲法改正を実施すると伝えられており、3期目に入りチャベス大統領はこれまで以上に独裁傾向を強め、権力の強化、長期化を図っていると考えられる。 このような民間企業への締め付けと原油生産量増加への投資を、チャベス大統領はどのように政治的に舵取りするのだろう。今後を見守りたい。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 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地域1 中南米
国1 ベネズエラ
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,ベネズエラ
2007/01/19 舩木 弥和子
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