ページ番号1003625 更新日 平成30年3月5日

ティーズサイド波止場気化方式LNG受入基地が稼働開始

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レポートID 1003625
作成日 2007-03-16 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 三神 直人
年度 2006
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ ティーズサイド波止場気化方式LNG受入基地が稼働開始 更新日:2007/3/16 修正:2007/3/19 石油・天然ガス調査グループ: 三神直人 LNGタンク、LNGガス化設備が不要 (LNGF、LNGExpress、LNGWM、GasMatters、各社ホームページ資料他) (cid:190) エクセラレートエナジー社による英国イングランド北東部の英国ティーズサイド(Teesside)波止場気化方式LNG受入基地(Teesside Gas Port)が2007年2月20日稼働を開始した。ティーズサイドLNG受入基地の特徴は、 (cid:57) (cid:57) エクセラレート社の再ガス化装置搭載型LNGタンカー(LNGRV)専用のLNG受入基地 (cid:57) 工期が短い(およそ5~6ヶ月、従来型のLNG受入基地は約2.5~3年) (cid:57) 建設費が安い(およそ80億円、従来型の同規模のLNG受入基地は約800億円) (cid:57) 主にスポットLNGを受入れる基地 であり、安価で工期が短い等の特徴は先に同社が稼働を開始した洋上(船上)気化方式LNG受入基地(EnergyBridge)であるガルフゲートウェー(Gulf Gate Way)基地に類似している。 (cid:190) エクセラレートエナジー社は洋上受入方式やこの波止場気化方式等のLNG受入基地を世界12カ所に建設し、16隻のLNGRVを所有することにより、世界的なLNGの積み替え、ウェッブトレーディング網(GasNet)を構築することによってスポットLNGビジネスを展開しようとしている。 (cid:190) 英国では2月にガス価格が4ドル/MMBtu以下にまで低下(NBP価格:National Ballancing Point)し、ガス販売価格が低い状態であるが、基地への投資額が少ないので損失コストは最小限に抑えられている模様である。 (cid:190) このような新発想に基づくLNGスポット取引が拡大すれば、近年巨大化しているLNG液化プロジェクト立ち上げ時の顧客獲得手段として、従来の長期契約枠に加えて新たなスポット取引枠が取り入れられることにより、プロジェクト立ち上げがより促進される可能性がある。 .ティーズサイド(波止場気化方式)、Energy Bridge(船上気化方式)とは ティーズサイド(波止場気化方式)、Energy Bridge(船上気化方式)ともに再ガス化装置搭載型LNG 1タンカー(LNGRV:LNG Regasification Vessel)を利用する。 (1) 再ガス化装置搭載型LNGタンカー(LNGRV) 再ガス化装置搭載型LNGタンカー(LNGRV)は、LNGタンカーにLNG再ガス化装置と、気化したガスを送出するためのガスラインに通じるブイの装脱着機能を付加したLNGタンカーの総称である。LNGRVはLNGタンカーの船上で気化した天然ガスをガスで荷下ろしできるタンカーであるが、LNGで荷下ろしするためのアンローディングアームと接続するためのマニホールドも装備するGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - アとによって従来型LNGタンカーとも互換性をもたせている。 LNGRVはLNG気化のためのシェルアンドチューブ式の船上LNG再ガス化装置を搭載している。LNGは75~100kg/cm3に昇圧後船首上部に設置されている6基のシェルアンドチューブ式LNG再ガス化装置に入る。各LNGRVはクローズドループ、オープンループおよび両者を併用するコンバインドループによる3種類のLNG気化モードをもっている。クローズドループは主に波止場気化時や北米の洋上再ガス化基地にて用いる。クローズドモード時の熱源であるスチームはLNGRVの機械室に設置してあるボイラーから再ガス化装置内のスチームヒーターにパイプで送られ、LNGを再ガス化したあとの水はボイラーに戻り循環する。このクローズドループでは海水の取排水は発生しない。 (2) Energy Bridge(船上気化方式) この方式はLNGRVを用いて洋上(船上)にてガスを気化させ、専用のブイを利用して沖合まで延伸した海底ガスパイプラインに接続してガスを荷下ろしする方法である。エクセラレートエナジー社のガルフゲートウェー(Gulf Gate Way)LNG受入基地は本方式を利用した世界初のLNG受入基地であり、2005年4月6日にルイジアナ州沖メキシコ湾沖で稼働開始している。同社はまた米国北東部マサチューセッツ州沖合においても船上気化方式基地計画(Northeast Gateway)を推進している。一方、スエズ(Suez)LNG社もマサチューセッツ州沖に船上気化方式LNG受入基地(Neptune)を計画している。エクセラレートエナジー社は本方式のLNG受入基地で先行している。 (3)ティーズサイド(波止場気化方式) エクセラレートエナジー社が英国イングランド北東部で推進する本プロジェクトは当初Energy Bridge方式の予定であったが、沖合の浮標(STL Buoy)ではなくLNGRVは桟橋に接岸して船上でLNGを気化して直接導管網に送出する波止場気化方式(Dockside regas)に変更し2006年末に設備が完成した。能力は再ガス化装置搭載型LNGタンカー(LNGRV)の能力と同じ300万トン-LNG/年相当、当初のガス送出量は日量最大 1,100 万m3である。気化ガスは桟橋からティーズ川を越え、ティーズサイドのパイプライン網との合流地点までを、新設する口径24 インチの導管により送出する。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 賴n名・所有 ローディングアーム LNGタンク、気化器 ガス送出能力 建設期間 その他 表1 ティーズサイド基地の概要 Teesside GasPort ・ Exelerate 20インチ径×3本(気化ガス送出、リターンガス、ガス/液併用) なし 通常1,100万m3/日、最大1,700万m3/日、圧力最大10MPa 構想計画から設計建設完了まで約5ヶ月(通常のLNG受入基地は約1.5年) 全長6kmの24インチ径のパイプラインにてティーズ川(River Tees)の下を超えて配給網に接続。 ィーズサイドLNG受入基地の特徴は、LNGRVの船上でLNGをガス化するので基地側にLNGタンクやLNGガス化設備が不要であること。そのためエクセラレート社の再ガス化装置搭載型LNGタンカー(LNGRV)専用LNG受入基地であること。設備が少ないので工期が短い(およそ5~6ヶ月、従来型のLNG受入基地は約1年~2年)こと。そのため建設費が安い(およそ80億円、従来型の同規模のLNG受入基地は約800億円)ことである。(表2)これらの特徴からTeesside基地は従来型のLNG受入基地よりもEnergyBridge方式と同じ特徴を備えていることがわかる。 テ 表2 従来型LNG受入基地とEnergy Bridge、Teessideの比較 出所: JOGMEC 受入基地の場所 受入状態 Energy Bridge (洋上ブイ接続)洋上 Teesside (波止場気化) 洋上 ガス(ブイによる)ガス(ガスアームによる) 基地の主な設備 洋上ブイ バース、ガスアーム LNG受入基地建設コスト (約300万㌧/年相当) 基地建設期間 LNGタンカー タンカーのオペレーションコスト タンカーの建設コスト その他 80億円 80億円 6ヶ月 LNGRV(再ガス化装置搭載)専用船 6ヶ月 *従来型LNG受入基地にも適合可能 4億円/年 290億円 (156,000m3) 従来型LNGタンカーからLNGRVへ洋上積み替え - 3 - 従来型 陸上 液(LNGアームによる) バース、LNGアーム、LNGタンク、再ガス化装置他 800億円 2.5~3年 従来型LNGタンカー 3億円/年 240億円 (138,000~155,000m3) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4)ティーズサイド基地稼働開始 エクセラレート社はティーズサイドTeesside GasPort基地稼働開始用のLNGタンカー初入港船を2月12日に入港させたが、2月20日までガスの荷揚げは実施しなかった。(おそらくガス価格の動向確認、荷下ろし量の検討や次の荷下ろし港の選定等を実施していたと思われる)結局2月20日に荷下ろしを開始し、各種報道によると、全積載LNG量のおよそ10%相当を荷揚げした。残りの積荷はガス価格が比較的高い北米に向けられる可能性が高く、同社所有のガルフゲートウェー洋上再ガス化受入基地(メキシコ湾)や他社所有の北米に向けられる可能性が高いといわれている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - E・・・再ガス化7日7.5日1日トリニダード再ガス化16日1日7.5日7.5日トリニダードLNGRV2.基地の運用方法 (1)LNGRVの低回転率に関する疑問 片道6,400km(4,000miles)トリニダード~英国(片道7.5日)船速19.5ノットと仮定片道6,400km(4,000miles)トリニダード~英国(片道7.5日)7.5日船速19.5ノットと仮定1日・・・・積替・往復・・・・積替・再ガス化再ガス化積替再ガス化積替7日再ガス化積替通常船LNGRV図1 ティーズサイド波止場気化方式LNG受入基地のLNGRVの回転率の推定 上:LNGRVのみの場合、下:LNGRVと通常LNGを組み合わせた場合 出所: JOGMEC 筆者推定 LNGRVが搭載している船上LNG再ガス化装置の能力は、現時点では約1,100万m3/日(LNGGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - キ算7,800トン/日)である。LNGRVのLNG積載量(約63,000トン)をすべて気化するのに約7~8日間要する。(LNGタンカーがLNGを荷下ろしする場合、荷役は半日程度で完了する)したがってLNGRVは荷役の間LNG受入基地にとどまる必要があり、LNGRVが液化基地までの間を往復すると回転率低下を招く。そこで、エクセラレート社はガルフゲートウェー基地同様LNG液化基地との往復は通常型LNGタンカーが行い、LNG受入基地の近海においてLNGをLNGRVに積み替える必要が生じる。今回エクセラレート社は、次項に示すようにティーズサイド基地近傍のタンカーの洋上積替え地点として良く利用されるオークニー諸島スカッパーフロー海域で通常のLNGタンカーからLNGRVにLNGを積み替えている。仮にトリニダードのLNGを英国まで運ぶとすると、LNGRVのみで往復した場合トリニダードまでの往路7.5日、LNG荷積み1日、復路7.5日、合計16日間必要でありこの間再ガス化できない。(図1上)通常LNGタンカーとLNGRVを組み合わせると、LNG積地までの航海日数によるが、理想的な場合にはほぼ連続的に(積替え時1~2日間は再ガス化不可)再ガス化出来ることになる。(図1下) しかし、この方法には現時点では次に示す疑問がある。相対的に長期契約分のLNGに比較し値段が高いスポットLNGをガスの買い手が満足するリーズナブルな価格でLNG受入基地に連続的に供給するのは状況的にかなり困難であると考えられる。実際には、液化基地との往復は主に通常型LNGタンカーが実施し、LNGRVはTeessideやEnergyBridge方式の受入基地の近くの海域に「待機」して需要が発生した場合のみ直ちにガスを供給する体勢をとっていると思われる。つまり需要が発生するまでLNGRVは洋上にただ浮いているだけになってしまう。これではLNGRVの回転率が低下してしまうという疑問が残る。 (2)スカッパフローにおける船上間LNG移送(STS:Ship To Ship) エクセラレート社はティーズサイド波止場気化方式LNG受入基地稼働に先立ち、スカッパフローにおいて通常型LNGタンカーであるエクスカリバーから同社のLNGRVであるエクセシオールに商業目的では世界初の船上間LNG移送(STS:Ship To Ship)を実施した。実際には2007年2月8日午後7時から2月9日午後9時にかけて(約26時間)トリニダードトバコのLNGを積載したエクスカリバーから132,000m3のLNGをエクセシオールに移送した。翌2月10日午前8時エクセシオールはティーズサイド基地に向け出航し、エクスカリバーは午前9時45分ジブラルタル方面に向け出航した。エクスカリバーの目的地は明らかにされていない。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - .エクセラレートエナジー社のGas Net構想 31)ガス価格が急低下した英国ガス市場のエクセラレート社への影響は? 現在、英国では急速に拡張する輸入インフラストラクチャーが大幅に国内需要を上回る見通しである。①2006 年秋に開通したノルウェーSleipnerプラットフォームから英国Easingtonへの図2 英国のガス供給インフラストラクチャー 出所: JOGMEC各種資料をもとに作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - angeledパイプライン(250億m3/年相当)、②オランダからのBBL導管(2006年稼働開始160億m3/年)、③ノルウェーからのTampenパイプライン(83億m3/年相当)、④インターコネクター(拡張第3フェーズにて240億m3/年から255億m3/年相当に拡張中、2007年稼働開始)等、合計で2010 年までに英国の年間需要1,000 億 m3の約半分に相当する490億m3/年相当(拡張計画があるパイプラインのみ、インターコネクターは双方向にガスが流れるの今積算からは除外)に達することになる。(表3) 表3 英国パイプラインガス輸入量(10億m3/年) 出所: ポテン&パートナーズ 2006 2007 InterconnectorVesterled Langeled BBL Tampen Subtotal 18.3 13 6.3 1.3 - 38.8 241325161.879.82008 25.5 13 25 16 7.3 86.8 2009 25.5132516887.52010 25.5 13 25 16 8.3 87.8 らに、LNG 輸入容量は同じ時期に約10倍に増加する予定であり、500億m3/年に達する。⑤ロンドン近郊の既存Isle of Grain LNG受入基地拡張(152 億m3/年相当、2010 年)、 ⑥Excelerate Energy によるイングランド北東部ティーズサイド波止場気化基地(72億m3/年相当)、⑦ウェールズ地方ミルフォードヘヴン(Milford Haven)で建設中のSouth Hook(210億m3/年相当、2010年)およびDragon(60億m3/年相当、2010年)の新規LNG受入基地計画があり、英国のガスには過剰感がある。(図2) さこれらの要因に加えて、今冬季はじめの温暖な気温により、英国ガス価格は下落を続けている。 National Balancing Point (NBP)は11 月7.17ドル/MMBtu、12月6.14ドル/MMBtu、1月5.24ドル/MMBtu、2月15日は3.65ドル/MMBtuで終了した。これは米国のヘンリーハブ価格に対して5ドル/MMBtu以上価格が安かった。このような状況ではエクセラレートエナジー社は、ある程度の損を覚悟の上、ティーズサイド基地を利用して低価格ガスを英国市場に出すよりも、ガス価格が相対的に高い米国等のガス市場にガスを出すことになると予想される。 今回、ティーズサイド(Teesside)波止場気化方式LNG受入基地は2月12日に英国で2番目のLNG輸入基地として稼働を開始したが、エクセラレートエナジー社は、同基地の機能確認に必要なガス量(積載LNG量の約10%)を荷下ろししただけであった。残りのLNGはより高値でガスが販売Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - ナきる可能性がある米国メリーランド州のCove PointLNG受入基地あるいはエクセラレート社の自社基地であるルイジアナ州沖合ガルフゲートウェー(Gulf Gateway)洋上LNG受入基地に向かうとみられる。実際エクセラレートエナジー社の社長であるKathleen Eisbrenner氏はティーズサイド基地(TeessideGasPort)を経済性が良い時のみ使う予定と発言している。しかし従来型のLNG受入基地ではLNGタンカーを断続的に配船するのに、せっかくスタートした新規LNG受入基地がこの低稼働状態で大丈夫なのであろうか。 (2)エクセラレートエナジー社のビジネスモデルを推定(想像含む)する エクセラレートエナジー社は、船上気化受入方式やこの波止場気化受入方式等のLNG受入基地を世界12箇所に建設し、16隻のLNGRVを所有することにより[これらの基地とLNGタンカーの航路を蜘蛛の巣やインターネットのWebに見立てていると思われる。]、同社がウェッブトレーディング網と表現している”GasNet”を構築し、これを利用した世界的なLNGの積み替え販売によるスポットLNGビジネスを展開しようとしている。これに関連して、エクセラレートエナジー社は2005年時点で北米6カ所、世界に24カ所のエナジーブリッジ方式のLNG受入基地の可能性を検討(図3)するとしていた。12カ所の基地候補がこの中のどこなのか等詳細は明らかにしていない。なお、エ図3 エクセラレートエナジー社が検討していたEnergyBridge方式のLNG受入基地 出所: JOGMEC - 9 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Nセラレート社はティーズサイドLNG受入基地に続き、同方式でパキスタンのQasim港(プロジェクト名未定)においてもLNG受け入れ基地を計画していると正式に表明している。さらに、フランスに本拠を置くスエズ社は北米や欧州に6カ所のLNG受入基地に出資または利用権を保有する既存事業者であるが、エクセラレートエナジー社と同様のLNG船上再ガス化方式のLNG受入基地構想を持ち、実際にLNGRVの発注をしている。LNGRVを利用したビジネスが水面下で活発化している。(表4) LNG液化基地受入基地GasNet液化液化液化液化液化液化LNGRVs輸送・再ガス化輸送・再ガス化輸送・再ガス化輸送・再ガス化輸送・再ガス化輸送・再ガス化ガス利用ガス利用ガス利用ガス利用図4 エクセラレートエナジー社が構想している”Gas Net”のイメージ 出所: JOGMEC 資料をもとに筆者推定 表4 LNG再ガス化装置搭載型LNGタンカーの状況(出所: ポテン&パートナーズ、一部加筆修正) 船名 EXCELSIOR EXCELLENCE EXCELERATE EXPLORER EXPRESS EXMAR LNGRV TBN 1 EXMAR LNGRV TBN 2 HOEGH LNGRV TBN 1 HOEGH LNGRV TBN 2 容量 (m3) 138,000 138,000 138,000 150,900 150,900 150,900 150,900 145,000 145,000 気化能力 (万m3/day) ステータス 完成年造船所オーナー 傭船先 1130340t-LNG/h)(1130340t-LNG/h)(1130340t-LNG/h)(1700510t-LNG/h)(1700510t-LNG/h)( Existing 2005 DSMEExmar N.V. Existing 2005 DSMEExcelerate Energy Existing 2006 DSMEOn Order 2008 DSMEOn Order 2009 DSMEOn Order 2009 DSMEExmar N.V., Excelerate Energy Exmar N.V., Excelerate Energy Exmar N.V., Excelerate Energy Exmar N.V. Excelerate Energy Excelerate Energy Excelerate Energy Excelerate Energy Excelerate Energy NA On Order 2009 DSMEExmar N.V. NA 1,130~1,700On Order 2009 1,130~1,700On Order 2010 SHI SHI Hoegh LNG, MOL Suez Hoegh LNG, MOL Suez Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - @船上気化方式、波止場気化方式LNG受入基地は低稼働率が前提 EnergyBridge方式や、ティーズサイド(波止場気化方式)のLNG受入基地の建設費は、同じガス供給能力(300万㌧/年相当)で比較すると従来型のLNG受入基地のおよそ10分の1(約80億円)で足りる。投資額だけで比較すれば、従来の300万㌧/年規模のLNG基地1カ所の建設費が同社が構想中の10カ所のEnergyBridge方式(波止場気化方式含む)の投資額と同程度になる。しかも建設期間が通常のLNG受入基地の約6分の1なので、建設に関しては6倍のスピードで数基地を次々に建設出来ることになる。 従来型のLNG受入基地では通常稼働率を100%近くになるように操業するのが前提と考えられる。一方、世界に12カ所に同社が構想しているLNG受入基地の稼働率がそれぞれ約10%(30万㌧/年相当)であれば、従来型LNG受入基地(300万㌧/年相当)を100%稼働させるのと同じであるといえる。135,000m3級のLNGタンカーは約6万トンのLNGを積載しているので、1基地あたり年間約5隻荷下ろしすれば良いことになる。設備構成が比較的簡素であるのでオペレーションコストや維持管理コスト等についても従来型に比べ、相対的に低コストであると推定できる。LNG基地の稼働率を高める必要性がないということは、従来型のLNG受入基地では当たり前であった、稼働率をできるだけ100%に近づける、という制約条件がないことを意味し、エクセラレートエナジー社は経済性が良い場合のみ自社LNG受入基地にLNGを荷おろしする事が可能になる。年間を通して、ある基地にはまったくLNGRVが荷揚げしなくても、同社ポートフォリオ内の他の基地にその分余計に荷揚げできれば同社が構想する”GasNet”が機能していることになる。 仮に、同社が構想しているLNG受入基地12カ所とLNGRV16隻体勢が構築出来たとしよう。1カ所あたりのLNG受入基地の稼働率を100%(300万㌧/年)にするには、LNGタンカー(約6トン)が1年間に50隻荷揚げする必要があるが、図1上の前提を用いると、LNGRVは最大で15.5日に1回の荷揚(最大1年間に23回)しかできない。1カ所あたりのLNG受入基地の稼働率を100%にするには2.2隻(50÷23=2.2)のLNGRVが必要な計算になる。つまり、12カ所すべてのLNG受入基地の稼働率を100%にするにはLNGRVが少なくとも27隻以上必要なことがわかる。これらより、同社が構想しているLNG受入基地は、はじめから100%稼働を前提としていない事がわかる。 ②LNGRVは低稼働率でも大丈夫なのか LNGRVの建造費は再ガス化のための設備を船上に設置するため、従来費約20%(約50億円)アップという。(表2)また、その運航費も20~30%アップとのことである。エクセラレートエナジー社Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 - ヘLNGRVの16隻体勢をめざしているが、これらLNGタンカーは次の目的地が決まるまで、結果的にLNGを積載したまま”洋上貯蔵”する可能性がでてくる。同社はこれらのオペレーションコストに関して、2006年春に購入したLNGをLNGRVにて6ヶ月間洋上貯蔵した場合のコストは百万Btuあたり5.7ドル(チャーター費用1,080万ドル、ボイルオフによる貨物の減量27%、バンカーオイル費用108万ドル、金利相当分60万ドル)とのことであり、2006年6月に百万Btuあたり10ドル以上でヘッジできた、としている。(LNG購入コスト等ヘッジ内容詳細は明らかにされていないが、2006年6月時点でNBP価格は15ドル/MMBtu以上を記録していた。)以上より、定性的ではあるが①スポットLNGが低価格で購入できること、②LNG購入価格より5.7ドル/MMBtu以上高値で売れることがLNGRVが低稼働率でも成立する条件と考えられる。 エクセラレートエナジー社が構想している“Gas Net”は、少ない設備投資コストと、LNGの季節、地域間価格差を利用することによって、投資コストの埋没を最低限に抑えつつ、単なる余剰貨物の入札ではない、より高価格市場への仕向け地変更等による広範囲なスポット市場を形成するための一つの試みとして今後の動向に注目する必要があると考える。 豪州最大の石油・ガス会社であるウッドサイド(Woodside Petroleum)社のドンベルテ(Don Voelte)社長は、Cambridge Energy Research Associatesによる年次会議(CERA Week)の会場で記者に対して今後のスポット市場について次のような見解を示している。 .LNG液化プロジェクトへの影響 (1)ウッドサイドの動向 4(cid:57) (cid:57) 「LNGスポットの市場の発展に楽観的であり、計画しているプルート(Pluto)プロジェクト生産量の3分の1、さらに恐らく今後のブラウズ(Browse)プロジェクトの3分の1をスポット市場向けに温存する。」 「LNG は世界的なコモディティー市場に変化しつつあり、現在多くの価格差を利用した取引(裁定取引)がおこなわれている。」 「当社は世界中に LNG を供給している。この業界は急速に高度化している。」 (cid:57) と述べた。また、同会議場において、同氏は業界紙プラッツ(Platts)に対し、多くの業界関係者がスポット市場はLNGビジネスの10%から20%を占め続けるであろうとの見方に対して、ベルテ氏はより大きな割合を占める考えを示した。また、 (cid:57) 「当社はPluto 液化系列の規模を決めていないが、年間500万トンから600万トンの間になGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 - 驕B当社はこの第1系列生産量の3分の1をスポット・コモディティー市場用に温存しており、これは当社が初めての例となる」 と述べた。 (2)大型LNGプロジェクトの立ち上げが促進する? 従来、LNGプロジェクトは立ち上げ時には、およそ生産量の90%以上の売買について、長期契約の顧客を開拓することにより前もって確約するのが常識であったが、今後スケールメリットの追求によるコストダウンのために、プロジェクトのさらなる大型化が進み、生産量が多くなり、結果的に90%以上の顧客を獲得する(長期契約で売り切る)のが困難になると考えられる。これまではLNGのスポット市場は限られた場合(余剰貨物の発生等)にのみ“緊急的に”利用するケースが多かったが、“Gas Net”のようなスポット取引方法が安定的に成熟してくれば、これらの取引もあらかじめプロジェクトのファイナンスにある程度の割合を考慮することが可能になるかもしれない。つまり、巨大LNGプロジェクトの内、ある割合は顧客の”顔”を特定しないまま立ち上げる事が可能になる。これは巨大LNGプロジェクト立ち上げ時のマーケッティング負荷の低減につながると考えられる。ウッドサイドはこのような事を考えているのかもしれない。 5.スポットLNG市場のこれから 当面の間は日本を主体に成長してきた伝統的な長期テイクオアペイ契約に基づくLNG取引が引き続き支配的であり続ける可能性が高いが、LNGスポット取引は市場でもまれながらも徐々に成長していく可能性がある。ウッドサイドのベルテ氏は、少なくとも短期的にはLNGスポット市場は成長せず、減少する可能性もあることを述べているが、長期的にはエクセラレートエナジー社の様な野心的なLNGスポット取引プレーヤーが、失敗もするであろうがこれから徐々に、そして静かに経験を積み重ね、その存在感を増してくる日が将来るであろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 13 -
地域1 グローバル
国1
地域2 欧州
国2 英国
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル欧州,英国
2007/03/16 三神 直人
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