ページ番号1003629 更新日 平成30年2月16日

原油市場:製油所等の操業停止やイランと西側諸国との対立に係る懸念から 1 バレル当たり 60 ドルを超過するも、米国経済減速懸念で再び下落する原油価格

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レポートID 1003629
作成日 2007-03-18 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
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年度 2006
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抽出データ <作成日:2007/3/18> <石油・天然ガス調査グループ:野神 隆之> 原油市場:製油所等の操業停止やイランと西側諸国との対立に係る懸念から1バレル当たり60ドルを超過するも、米国経済減速懸念で再び下落する原油価格 (IEA、米国DOE/EIA、OPEC他) ① OPECは2007年3月15日に開催された通常総会で、原油生産量(減産量)を現行の水準で継続することを事実上決定。なおアンゴラについては、原油生産枠の設定を見送った。 ② 米国では春季の製油所メンテナンス時期に突入したことや北東部で1月半ばから平年を下回る気温となったこともあり、留出油やガソリンといった石油製品の在庫が減少した。ただそれでもこの時期としては平年幅の上方の水準を維持している。 ③ 原油在庫については米国の製油所メンテナンスで受入が減少する一方で、OPECの減産と濃霧に伴うタンカー航行制限により輸入量も減少したこともあり、比較的狭い範囲での変動となっており、全体としてみれば石油製品同様平年幅の上方を維持している。 ④ 原油価格については、米国における製油所やパイプラインの操業停止に伴う石油在庫減少懸念や、ウラン濃縮活動停止を巡るイランと西側諸国との対立に伴う石油供給途絶懸念で2月中は上昇、3月1日にはWTIで1バレル当たり62.49ドルに到達した。しかしその後米国経済減速懸念やOPEC通常総会で原油生産量を現状維持とするとの見通しが出てきたこと、そして実際にそのような決定が事実上なされたことで下落、3月16日には1バレル当たり56.17ドルにまで低下する場面も見られた。 ⑤ 冬場の暖房シーズンに伴う暖房油等の需要期は終わりに近づいていることから、これが今後原油価格に下方圧力を加えるものと考えられる。また今後の米国経済情勢と石油需要への影響についても留意する必要がある。一方で、イランに対して西側諸国がさらなる制裁を検討しているとも伝えられ、両者の対立が激化すると、石油供給途絶懸念から原油価格に影響する可能性がある他、ナイジェリアでも4月の大統領選を控えて、政情が不安定となる恐れがあり、それによって原油価格が変動することがありうる旨注意する必要があろう。 . 3月15日のOPEC総会で原油生産量現状維持を事実上決定 1OPECは2007年3月15日にウィーン(オーストリア)で開催した通常総会において、2006年10月19~20日のOPEC協議会及び2006年12月14日のOPEC臨時総会を通じて決定した日量170万バレルの減産を継続することを事実上決定した(表1-1、1-2参照)。実際には現在の原油生産量は2006年10月に比べて日量90万バレル程度の減産(日量100万程度の減産とする推定もある)となっており、決定が完全に遵守されているわけではないものの、現行の減産量で世界の石油在庫が減少しつつあると見られること、原油価格も1バレル当たり60ドル近辺で推移し、OPEC加盟国としても満足の行く水準とGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ネっていたことから、今回の総会では原油価格が現状を維持する限り生産量については新たな決定は行わない、という見解が多くのOPEC加盟国から表明されており、実際に総会ではそのような結果となった。なお、次回のOPEC総会については、9月11日にウィーンで通常総会を、さらにその後は12月5日にアブダビで臨時総会を開催する予定である。OPECは例年6月に臨時総会を開催しているが、現時点では開催しないこととなった。これは、もし急激な状況の変化がないのであれば、OPECは少なくとも次回通常総会(即ち2007年9月)までは、現在の生産水準を変更する意向がないことを示しているものと概ね市場では受け止められている(なお、ハムリ(Hamli)OPEC議長は、必要であれば6月に会合を開催する可能性があるとも発言している)。 表1-1 OPEC10加盟国原油生産量(日量1,000バレル)2005年7月1日からの生産枠2006年11月1日からの減産量①アルジェリア894インドネシア1,451イラン4,110クウェート2,247リビア1,500ナイジェリア2,306カタール726サウジアラビア9,099UAE2,444ベネズエラ3,223合計28,000*:OPECの減産が全量実行された場合593917610072100353801011381,2002006年11月1日以降生産予定量*1,2918163,5742,4101,6782,1357858,6652,5292,37726,2602007年2月1日から2006年2月1日以降2006年10月生産量2007年1月生産量の減産量②生産予定量#③④2516734230421515842575001,2668003,5012,3681,6482,0937708,5072,4872,32025,7601,3508553,8302,5101,7502,2858059,0652,6702,51527,6351,3408603,9002,4601,7002,2758108,7002,5952,49027,130出所:OPEC、IEA表1-2 OPEC10加盟国原油生産量(日量1,000バレル)(続き)2007年2月生産量減産遵守率-⑥/(①+②)④-③⑤⑤-④⑤-③(⑥)(%)原油生産能力余剰生産能力アルジェリアインドネシアイランクウェートリビアナイジェリアカタールサウジアラビアUAEベネズエラ合計△ 10570△ 50△ 50△ 105△ 365△ 75△ 25△ 5051,3208353,8652,4201,6902,2508008,6002,5602,42526,764△ 20△ 25△ 35△ 41△ 10△ 25△ 10△ 101△ 35△ 65△ 366△ 30△ 2035△ 91△ 60△ 35△ 5△ 466△ 110△ 90△ 8713636△ 1464592510877746511,3909503,9502,6001,7502,47085010,8002,7002,70030,160701158518160220502,2011402753,396出所:OPEC、IEA 原油市場では、引き続き石油在庫は比較的豊富な水準である一方で、冬場の暖房シーズンの後の石油不需要期に近づきつつあることもあり、OPECの原油生産量現状維持の決定見通し及び実際の決定が一因となって、総会前後には原油価格が下落傾向を見せた(後述)。 今回のOPEC総会においては、アンゴラに対しては原油生産枠ないしは減産量は設定されなかった。これは同国の原油生産枠決定を協議しようとすれば、原油生産枠の引き上げを望む他の加盟国との間での議論も併せて引き起こしてしまい、協議が紛糾してしまう可能性があることから、ひとまず本件を棚上Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ーとする、という意向が働いたと見る向きがある。このためアンゴラは当面の間は自国の原油生産量を増米国では春季の製油所メンテナンス時期に入っており、精製処理量が低下している(図1参照)。しかしながら他方米国向け原油輸入量も減少する(図2参照)などしたため、原油在庫は増減しつつも1ヶ月前とほぼ同水準となっている(図3参照)。米国向け原油輸入量の低下については、OPEC産油国による減産もそれなりに影響しているものと考えられるが、米国メキシコ湾の製油所への主要原油輸送ルートとなっているヒューストン水路(Houston Ship Channel)が濃霧のため、2月22~24日及び2月27~28日に船舶の航行が制限されたことから、原油を輸送するタンカーの航行に支障が生じ、その結果原油輸入量が急減したことも影響しているものと市場では見られており、濃霧が消滅し停船していたタンカーによる原油輸送が再開されるにつれて輸入も増大することから、原油輸入減少に伴う原油在庫への影響のある程度の部分は一時的なものと市場では考えられている。 . 原油市場等を巡るファンダメンタルズ 2大させていくであろうと見られる。 日量百万バレル17図1 米国の原油精製処理量(2005~7年)1615141312123456789101112123456789101112123注:4週間移動平均2005-72004-6出所:米国エネルギー省日量100万バレル図2 米国の原油輸入量121110981234567891011121234567891011121232005-72004-6出所:米国エネルギー省 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - S万バレル図3 米国原油在庫推移(2003~7年)3703503303102902702501234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 他方米国の石油製品については、2007年2~3月初旬には米国北東部で概ね気温が平年を下回って推移した(図4参照)ことから、暖房油を含む留出油需要が急増した(図5参照)ものの、製油所がメンテナンスシーズンに突入していたことから、留出油の生産量が限定された(図6参照)こともあり、在庫が減少した(図7参照)。ただ、それでもなおこの時期としては留出油在庫は平年幅上限近くの水準となっ91011121232006-7年気温平年気温(月間値)図5 米国の留出油需要日量百万バレル4.84.64.44.24.03.83.63.43.212345678910111212005-7234567891011121232004-6出所:米国エネルギー省 図4 米国(NY)気温(2006~7年)ている。 ℃2520151005-5-10-15Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - 坥ハ百万バレル図6 米国の留出油生産量(2006~7年)54.543.531234567891011121232006-72005-6出所:米国エネルギー省百万バレル図7 米国留出油在庫推移(2003~7年)160140120100801234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 ガソリンについても製油所のメンテナンスで生産量が減少している(図8参照)。一方最近では需要が前年比2~3%の増加を示している(図9参照)。これについては市場ではガソリン需要が予想外に堅調であるとの見方がある一方で、2005年秋のハリケーン「カトリーナ」及び「リタ」の米国来襲に伴う影響が2006年2~3月にも残っていたことで当時のガソリン需要が低下していたことの反動による、ないしは最近米国エネルギー省のガソリン関連週間統計はその後下方修正される傾向があることから、今後このような数字も下方修正される可能性がある、といったような疑問視の声も聞かれる。確かにガソリン小売価格が1月から2月にかけて下落した(図10参照)ことや、1月半ばまでは米国では温暖な気候であったので、自動車による外出が頻繁に行われるようになるといったことから、ガソリン需要が増大したといった可能性はありうるものの、2月以降ガソリン価格は急上昇している他、1月半ば以降は、米国では平年を下回る気温となっており、通常そのような時期には人々は自動車による外出を控えるようになる、といったことを考えると、このような前年比でのガソリン需要の大幅増が今後も持続するかどうかについてはなお注意が必要であるものと考えられよう。米国のガソリン在庫は減少してきているが、それでも留出油同様平年幅の上限付近を維持している(図11参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - 坥ハ百万バレル図8 米国のガソリン生産量(2005~7年)9.598.587.571234567891011121234567891011121232005-72004-6出所:米国エネルギー省 日量百万バレル図9 米国ガソリン需要の推移9.49.39.29.198.98.88.71/51/121/191/262/22/92/162/233/23/920072006出所:米国エネルギー省 セント/ガロン図10 米国ガソリン小売価格の推移(2006~7年)320300280260240220200123456789101112123出所:米国エネルギー省 図11 米国ガソリン在庫推移(2003~7年)百万バレル2402202001801234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 - 6 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ECD諸国では依然として原油在庫は平年幅上限近くに位置している(図12参照)ものの、OPEC産油国による2006年11月1日からの減産、及び2007年2月1日から追加減産の影響があるものとみられ、その量は減少傾向を示している。一方OECD諸国の石油製品在庫については平年並みを維持している(図13参照)。 図12 OECD原油在庫推移(2005~7年)億バレル10.510.09.59.08.58.012345678910111212345*:2007年2月は推定1995-20042005-68910762出所:IEAデータ他より推定11121図13 OECD石油製品在庫の推移(2005~7年)億バレル161514131212345678910111212*:2007年2月は推定1995-20042005-6出所:IEAデータ他より推定 2007年2月下旬から3月中旬にかけての原油価格は、2月中はWTIで1バレル当たり60ドルを超過するなど上昇傾向であったものの、3月に入ってからは総じて下落傾向に転じ、1バレル当たり60ドルを割り込む展開となった(図14参照)。 . 2007年2月下旬から3月中旬にかけての原油市場等の動向 3図14 原油価格の推移(2003~7年)ドル/バレル80706050403020123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123WTIBrentDubai- 7 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 月20日(2月19日は米国ではワシントン大統領誕生記念日(President's Day)で通常取引は実施されなかった)には、米国北東部で気温が上昇、暖房用の石油需要が減退するとの見通しがでてきたことから、1バレル当たり58.07ドルと、2月16日の終値から1バレル当たり1.32ドル下落したものの、2月21日には一転、米国での製油所やパイプライン等の操業停止(テキサス州SunrayにあるValeroのMcKee製油所(能力日量17万バレル)が2月16日火災により操業を停止したが、2月20日同社は製油所が操業を再開するには数週間を要すると発表した他、米国メキシコ湾から同国中西部及び北東部へと石油製品を輸送するTEPPCOのパイプライン(輸送量日量24万バレル)が2月20日にインディアナ州において軽油漏出で操業を停止(復旧時期については、明確な説明はなかった)、さらにBPのアラスカNorthstar油田で小規模の天然ガス漏出が発生したことに伴い、日量47,000バレルを生産する同油田が2月17日に操業を停止したとの発表が2月20日にあった)で、石油在庫が今後減少するのではないかとの不安感が出てきたことに加え、及び国連安全保障理事会が2006年12月23日に決議した、イランのウラン濃縮活動停止期限(決議日より60日後)を2月21日に迎え、イランからは同活動を停止する兆候が見られなかったことから、イランと西側諸国との緊張が高まるとの懸念が増大してきたことが、米国北東部での気温上昇に伴う石油需給緩和感を払拭、同日原油価格は1バレル当たり2ドル上昇、2007年に入って初めて通常取引の終値ベースで1バレル当たり60ドルを突破した。2月22~23日もこのような流れを引き継いだ上、22日に発表された米国石油統計で、ガソリン在庫及び留出油在庫が市場の事前予想(ガソリン10万バレルの増加~50万バレルの減少、留出油280~290万バレルの減少)を覆し、ガソリン在庫約300万バレル、留出油在庫約500万バレルのそれぞれ減少となったこともあり、原油価格は上昇、2月23日には1バレル61ドル台となった。 2月26日においても、製油所のメンテナンスと火災等による操業停止により米国の石油製品在庫が減少するのではないかとの見通しに加え、2月21日のウラン濃縮活動停止期限までに活動を停止しなかったイランに対して西側諸国が対イラン制裁を強化すべく協議に入りつつあったこと、同日に米国で降雪があり、暖房油需要が増大するとの観測が出てきたことが相場を下支えし、原油価格は1バレル当たり60~62ドル程度で推移した。ただ、2月27日も最終的にはほぼ同等の原油価格水準を維持したものの、同日中国や米国での株式市場で株価が急落したことに伴い石油需要増加が減速するとの観測から、一時原油価格が1バレル当たり1ドル程度下落する場面も見られた。2月28日には、同日発表された米国石油統計で、市場の事前予想(ガソリン在庫80~180万バレル、留出油在庫260~280万バレルのそれぞれ減少)を上回って、ガソリン在庫190万バレル、留出油在庫380万バレルのそれぞれ減少となり、石油供給不足懸念が増大したことから、株式市場での不安と間でもみ合いつつも、原油価格は同日には1バレル当たりの終値で61.79ドル、3月1日には1バレル当たり62.00ドル(取引時間中の最高値は1バレル当たり62.49ドル)へと上昇した。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - オかし、その後は利益確定のための売りが出たことに加え、経済成長の減速とそれに伴う石油需要の伸びの減退に係る懸念が市場で広がり、3月2日には1バレル当たり61.64ドルへと下落した他、3月5日にはカタールのアティーヤ・エネルギー・産業相から、原油価格が現状を維持するのであれば、OPECは3月15日に開催する総会において追加減産を決定しない旨の談話が伝えられたこともあり、同日には1バレル当たり60.07ドルへと低下が続いた。3月6日には世界の株式市場が持ち直したことや、米国でのガソリン在庫減少観測、そしてナイジェリアでのShellの原油パイプラインにおける漏出事故で同社の生産量が日量18.7万バレル減少したとの報により反発、果たして3月7日に発表された米国石油在庫は市場の事前予想(原油在庫180~200万バレルの増加)を覆し、480万バレルの減少であった他、ガソリン在庫も事前予想(140~150万バレルの減少)を上回って380万バレル程度減少していたと判明したことに市場が反応、原油価格は1バレル当たり61.82ドルと3月1日の終値の水準に接近した。ただ、3月8~9日には市場関係者の間で、米国で温暖な気候が訪れるとの予報に注目が集まりだしたことから、暖房用の石油需要が減退していくとの見方が出てきたことと併せて利益確定の売りが発生したことで、原油価格は下落、3月9日の終値は1バレル当たり60.05ドルとなった。 翌週も温暖な気候が米国北東部に訪れるとの予報により、暖房油需要減少の観測を引き継いだ上、OPEC総会で現状の生産量が維持されるとの見方が広がってきたことに加え、3月13日には米国で住宅金融部門の不振から株式市場で株価が再び急落し、経済、ひいては石油需要に影響を及ぼすのではないか、との懸念が再燃したことから、原油価格も併せて急落、3月12~13日にかけて原油価格は1バレル当たり2ドル超下落し、3月13日には終値で1バレル当たり57.93ドルとなった。3月14日には原油価格は若干持ち直したものの、3月15日には米国経済減速懸念が根強いことに加え、同日開催されたOPEC総会で、市場の事前予想通り生産量を不変とすることが事実上決定されたことや、3月20日に4月渡しのWTIの原油先物契約が取引期限を迎えることで、それに先立つ売りが出たことから、原油価格は引き続き下落、3月16日の終値は1バレル当たり57.11ドルとなっている(取引時間中には1バレル当たり56.17ドルの最安値を記録した)。 . 今後の見通し 4米国をはじめとして北半球では冬場の暖房シーズンは終わりに近づいてきているこことから、暖房油等の需要も減少に向かうこととなり、その意味では石油在庫及び石油供給に対する圧力が緩和、原油価格に対しては下方圧力が加わってくることになろう。また米国経済の状況についても、最近顕在化した高金利型住宅ローンにおける債務不履行問題が米国経済全体ないしは世界経済へ波及し、そしてそれらが石油需要へ影響を及ぼすといった事態に発展するといったことについても否定することはできず、この面では、原油価格に下振れリスクが存在しているものと言えよう。また、短期的にも株式市場が急落すGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - 驍ニ、証拠金の追加支払いが必要になる場合が生ずる関係で、購入していた商品先物購入契約などを解約する必要に迫られる可能性もあることから、商品先物市場などが株式市場に連動して下落する、といったこともありうる。 一方で原油価格に上方圧力を加える要因としてはイランやナイジェリアといった国々に関する、いわゆる地政学的要因が挙げられる。既に国連安全保障理事会では、イランに対してさらなる制裁を検討していると伝えられており、今後西側諸国とイランとの緊張が高まると、石油供給途絶懸念から原油価格が上昇するといった場面も見られるであろう。ナイジェリアについても4月に大統領選挙を控えていることから、国内の石油・天然ガス生産地域等における武装勢力の活動活発化に伴う治安悪化、ないしは生産ないし輸送施設の破壊といった事態に至る恐れもあることから、そのような要因が原油価格に影響を及ぼすこともあるものと思われる。ただ、4月の大統領選挙以降は政情が安定に向かうことから、いずれナイジェリアの石油市場に対する影響は低下するのではないか、と見る向きもある。 OPEC産油国による、2006年11月1日以降の2回の減産は、前述の通り完全には遵守されていないものの、現在のところ世界の石油在庫をある程度削減できてはいる。国際エネルギー機関のオイル・マーケット・レポート2007年3月号をもとに、OPEC産油国による減産のOECD諸国石油在庫への影響を推定してみると、石油在庫日数は、2006年の55日前後から2007年末には50日前後へと総じて低下することになる(図15参照)。従ってこの推定によれば石油需給は引き締まる方向に向かうということになるが、だからといってこのようなファンダメンタルズで原油価格が例えば1バレル当たり70~100ドルといった水準へと上昇するという議論を支持するものではない。過去の在庫と原油価格の関係から見れば、それは現状の原油価格よりももっと低い水準において上昇圧力が加わる、といった類のものであろう。もしOPECの減産に伴い原油価格が急上昇する、ということであれば、それはファンダメンタルズ上の実際の石油需給逼迫というよりも、石油需給逼迫懸念による投資ないし投機資金の流入が一因となるものと考え図15 OECD在庫日数の推移(2006~7年)られる。 日5756555453525150494847123456789101112123456789101112※2007年2月までは実績、以降は試算出所:IEAデータ他より推定 また、2007年2~3月にかけて、ニューヨークのWTI先物市場で、4月渡し(期近物)と5月渡しの価Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - i差が拡大する、という傾向が見られた(図16参照)。通常毎月20日前後の期近物の取引期限間近になると、原油引取りを回避するために、購入した先物契約を売却する動きが加速し、従って期近物の価格が下落するといった傾向が見られるが、今回はそれ以前に価格差拡大の傾向が現れ始めている。米国においては現在のところ原油貯蔵タンクは満杯に近づいてはいないと伝えられており(原油貯蔵タンクが満杯に近づいていると現物引き取り意欲が低下することから期近物の価格が低下しやすくなる)、市場関係者の中には、期近物の取引において投資ないし投機資金が流出している可能性が考えられる、との指摘もある。 ドル/バレル図16 WTI原油先物4月渡し(M1)と5月渡し(M2)の価格差(M1-M2)(2007年)-0.5-1-1.5-2-2.5-32/212/283/73/14 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 -
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2007/03/18 野神 隆之
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