ページ番号1003639 更新日 平成30年2月16日

原油市場:イランを巡る情勢と夏場のガソリン供給不足懸念で上昇する原油価格

レポート属性
レポートID 1003639
作成日 2007-04-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <作成日:2007/4/15> <石油・天然ガス調査グループ:野神 隆之> 原油市場:イランを巡る情勢と夏場のガソリン供給不足懸念で上昇する原油価格 (IEA、米国DOE/EIA、OPEC他) ① 米国では製油所メンテナンスに加え、火災等で複数の製油所の操業が停止したこともあり、原油受入量が減少、この結果同国での原油在庫は比較的高水準を維持することになった。 ② 一方で、製油所の操業が低下したことから、ガソリン生産が低迷した一方で、需要が比較的堅調で推移したこともあり、米国ガソリン在庫は平年幅の下限近くとなっており、これが夏場のドライブシーズンに向けて市場におけるガソリン供給不足懸念を増大させている。 ③ 冬場と夏場の石油需要端境期にあってOECD諸国の原油在庫は若干増加している模様である。但しOPEC減産の影響もありそのペースは例年に比べると遅くなっているものと見られる。 ④ ウラン濃縮活動を停止しないイランと西側諸国との対立や、イランによる英国軍兵士拘束に伴う中東地域からの石油供給途絶懸念の再燃、米国でのガソリン供給不足懸念を背景として、原油価格は概ね上昇傾向となった。3月27日の取引時間終了後の時間外取引では、イランと米国がアラビア湾内で衝突したとの噂で、一時1バレル当たり68.09ドル(WTI)を記録した。 ⑤ イランにより拘束されていた英国軍兵士は解放されたものの、当面は夏場の需要期を控え、イランを巡る情勢をはじめとする地政学的リスク要因に対して市場が神経質となっていることから、原油価格は今後もイラン等に関する出来事などをきっかけとして上昇しやいものと思われる。 . 原油市場等を巡るファンダメンタルズ 1米国をはじめとする主要石油消費国では、夏場のドライブシーズン到来に備え、製油所のメンテナンスを実施していることから原油の精製処理量が元々低下していたことに加え、米国では火災等で予期せぬ製油所の停止が複数発生したことから稼動率を引き下げざるを得なくなり、これらの要因で精製処理量が低迷することになった(図1参照)。その結果製同国では原油の受入量が減少するとともに、ガソリン等の石油製品生産量も低迷(それでも2006年には一部の地域で夏用ガソリン規格変更への準備が必要となったこともあり、春季のメンテナンスが極めて大規模となり、その結果ガソリンの生産量も大きく落ち込んだことから、そのときに比べれば2007年は相対的にはガソリンの生産量は多いということになる)した(図2参照)。他方最近の米国のガソリン需要については、2006年と比較すると、最大で4%近くの伸びを示す場合も発生している(図3参照)。これについては、2006年のこの時期には、2005年秋に米国に来襲したハリケーンの後遺症が依然として出ていた可能性があることや、春場において米国の夏用ガソリGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 涛Y加剤がMTBEからエタノールに転換されることに伴い、エタノールが品薄気味となったこと、そしてエタノール添加ガソリンの出荷に際し混乱があったこともあり、ガソリンの出荷が抑制されてしまった(従って地域によってはガソリン販売の一部停止が発生した)ことの反動で、2007年のガソリン需要が大幅に伸びているように見える、といった面があるものの、それを調整してもなお平年並みの増加率を保っている。1月後半から3月上旬までは米国では厳しい寒さが続き、自動車を利用した外出が頻繁に行われたとは考えにくいこと、ガソリン小売価格は一時的に低下していたもの、2月以降は急速に上昇していること(図4参照)、米国経済がかつてに比べて特別好調な状況となっている、というわけではないことなどを勘案すると、このような比較的堅調な米国でのガソリン需要の伸びは合理的とは言えない、との指摘も市場ではなされている。つまり、例えば現在のガソリン在庫の減少と夏場のドライブシーズンに向けたガソリン供給不足懸念から、卸売りないしは小売業者(また、これらの業者には2006年春におけるガソリン供給不足に伴う混乱といった記憶が未だ脳裏に焼きついていることも考えられる)がガソリンを積極的に購入するといった、いわば需要の先取りといった現象が発生している可能性がある。このため、今後米国経済が急回復し、自動車による移動の活発化が発生しない限り、ガソリンの需要は低下していく恐れもあり、この点については注意して見守っていく必要があるものと思われる。 日量百万バレル17図1 米国の原油精製処理量(2005~7年)16151413121234567891011121234567891011121234注:4週間移動平均2005-72004-6出所:米国エネルギー省日量百万バレル図2 米国のガソリン生産量(2005~7年)9.598.587.571234567891011121234567891011121234注:4週間移動平均2005-72004-6出所:米国エネルギー省 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 坥ハ百万バレル9.4図3 米国ガソリン需要の推移9.39.29.198.98.88.71/51/192/22/163/23/163/302007200620052006年調整※「2006年調整」は2006年が平年並みの前年同期比伸び率で増加したものと仮定し算出出所:米国エネルギー省 セント/ガロン図4 米国ガソリン小売価格の推移(2006~7年)3203002802602402202001234567891011121234出所:米国エネルギー省 このように、米国では製油所の操業低下に伴う原油受入量の減少から、原油在庫は豊富な水準を維持する(図5参照)一方で、ガソリン在庫は平年幅の下限近くまで減少しており(図6参照)、これが市場で夏場に向けガソリン供給不足懸念を発生させる要因となっている。また、Valero(米国最大の石油精製企業)のMcKee製油所(テキサス州、原油精製能力日量17万バレル)が2月16日に火災で操業を停止した(4月13日時点で操業再開作業中)ことが影響し、特にWTIが取引されるオクラホマ州クッシング(Cushing)では、原油在庫が増加、貯蔵タンクが満杯となる状況が発生し、WTI価格に下方圧力を加えることとなり、WTIがブレント等他の原油価格を大幅に下回る状況が発生している(図7参照)。またガソリン在庫減少によるガソリン価格高騰との関係でガソリンと原油の価格差が大幅に拡大している(図8参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 百万バレル図5 米国原油在庫推移(2003~7年)37035033031029027025012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212341997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省図6 米国ガソリン在庫推移(2003~7年)百万バレル24022020018012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212341997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省ドル/バレル図7 WTI-Brentディファレンシャル(2007年)340246-2-4-6-8-102ドル/バレル図8 米国ガソリンと原油の価格差(2006~7年)302010011121234出所:米国エネルギー省一方、欧州においても輸送用燃料の需要が堅調である。欧州では、ディーゼル車の割合が増大する(図9参照)とともに軽油の需要が増加する一方で、ガソリン需要が減少しつつある(図10参照)。このたGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - ゚、輸送用燃料につき考察する場合には、米国のようにガソリン需要のみならず、軽油需要も併せてその傾向につき検討することが必要であるが、確かに2006年10月から2007年2月にかけては前年同期比で2~3%の伸びとなっている(図11参照)。ただ、2005~6年の同時期にかけてはガソリンや軽油の小売価格が高騰したこともあり、需要が前年比で大幅にマイナスになるなど低迷したことに伴う反動があることや、2006年後半から小売価格が相対的に大幅に低下したことから、かつてに比べてガソリンや軽油に値頃感が出てきたことなどが影響している可能性もあり、最近の需要の伸びが、必ずしも欧州の堅調といわれる経済活動に全般的に依存するわけではないものと考えられる。 %6050403020100%86420-2-4-6%43210-1-2-3図9 欧州におけるディーゼル車の割合(1990~2006年)9091929394959697989900010203040506出所:ACEA 図10 欧州のガソリンと軽油の需要の伸び(前年比、1996~2006年)9697989900010203040506ガソリン軽油出所:IEA 図11 欧州輸送用燃料(ガソリン+軽油)需要の伸びと小売価格(2005~7年)ドル/バレル小売価格下落前年同期伸び率低迷185180175170165160155150123456789101112123456789101112123前年同期比伸び率(左軸)ドイツ軽油小売価格(右軸)出所:IEAデータより推定 - 5 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 007年の速報データによる推定では、OECD諸国の原油在庫量は前月に比べて若干増加している(図12参照)が、冬場の暖房シーズンの終了に伴う不需要期と製油所メンテナンス時期に入り、原油の受入量が減少したことが影響しているものと見られる。ただ、OPECの2回の減産(合計日量170万バレルの減産を決定しているが、2007年3月時点では日量110万バレル程度の減産にとどまっている)により、例年の増加ペースは下回っている模様である。また石油製品については減少傾向であるが、そもそもこの時期は石油製品在庫が例年減少傾向を示すことから、水準そのものはこの時期としては平年並みということになろう(図13参照)。 図12 OECD原油在庫推移(2005~7年)億バレル10.510.09.59.08.58.0123456789101112123456*:2007年3月は推定1995-20042005-789210111273出所:IEAデータ他より推定1図13 OECD石油製品在庫の推移(2005~7年)億バレル1615141312123456789101112123456789101112123*:2007年3月は推定1995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定 2007年3月下旬から4月中旬にかけての原油価格は、イランを巡るいわゆる地政学的リスクの高まりと、米国におけるガソリン在庫の減少の影響を受け、概ね1バレル当たり60~65ドル程度での展開となった(図14参照)。 . 2007年3月下旬から4月中旬にかけての原油市場等の動向 2Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - }14 原油価格の推移(2003~7年)ドル/バレル807060504030201234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234WTIBrentDubai 3月20日までは、4月渡しの原油先物契約の取引期限を控えて、1バレル当たり56~57ドル台で推移していた原油価格(WTI)であったが、3月21日に発表された米国石油統計ではガソリン在庫に関する市場の事前予想(160~200万バレル程度の減少)を大きく上回る350万バレルの減少となったことから、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に向け、需給が引き締まるのとの懸念が再燃、3月21日には1バレル当たり59.61ドル、そして3月22日には1バレル当たり61.69ドル(いずれも終値)へと原油価格は上昇した。 3月23日にはイランが英国海軍及び海兵隊の兵士計15名をアラビア湾(ペルシャ湾)で拘束したことで、イランと西側諸国との緊張が再燃したことや、ナイジェリアの産油地帯(ニジェール・デルタ)において外国人労働者3名が誘拐されたことが明らかになったことで、原油価格は1バレル当たり62~63ドル台へと上昇した。3月24日には、国連安全保障理事会において、イランに対する追加制裁を実施することが決議された(イランは国連安全保障理事会により2007年2月21日と定められていたウラン濃縮活動停止期限までに活動を停止しなかったため、同理事会は追加制裁の実施につき検討していた)ことに伴い、イランと西側諸国との対立の激化から、アラビア湾内における石油輸送に支障が生じるのではないかといった懸念が増大したことも原油価格を下支えし、3月26~27日も引き続き前週末とほぼ同水準で原油価格は推移した。 加えて、3月27日の取引時間終了後の時間外取引では、アラビア湾内において米国艦隊(米国と英国は、イランに対して警告を送るべく3月27日に同地域において軍事演習を実施していた)に対してイランの艦隊がミサイルを発射したとの噂が出たことから、午後5時前(米国東海岸時間)には1バレル当たり68.09ドルへと原油価格は急騰、米国海軍が否定したことでこれは急速に下落したが、その後も英国軍兵士の拘束に伴うイランを巡る緊張感と、ホルムズ海峡における石油タンカーの通行に支障が生ずるかもしれない、という懸念を引き継いだことから、原油価格は4月2日にかけて1バレル当たり概ね65~66ドル台へと上昇した。 ただ、4月3日には英国のブレア首相が、拘束されている英国軍兵士の解放について、同国はイランGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - ニの間で外交手段により解決させるとの意志を示したこと、そして4月4日にはイランのアフマディネジャド(Ahmadinejad)大統領が英国軍兵士を解放する、と発言したことで、イランやアラビア湾を巡る市場の懸念が緩和したが、他方4月4日に発表された米国石油統計では、ガソリン在庫が市場の事前予想(20~100万バレル程度の減少)を大幅に上回る500万バレルの減少となっていたことが判明したことが原油価格を下支えしたことで、原油価格は4月5日にかけて概ね1バレル当たり64ドル台へと比較的小幅に下落していった(なお4月6日はイースター前の聖金曜日のためニューヨーク原油先物取引はされなかった)。 ただ、4月9日には、英国軍兵士解放に伴う市場の懸念が低下したという流れが続いたことに加え、米国メキシコ湾岸での原油在庫の増加が続いたことから、同地域での原油供給に過剰感が発生、これが同地域で引渡しされるWTIの価格に下方圧力を加え、同日の原油価格は1バレル当たり61.51ドルへと急落した。しかしながら、4月10日には、翌日発表される米国石油統計で、ガソリン在庫が9週連続で減少しているのではないか、との観測が出てきたことや、実際4月11日に発表された統計では、そのような観測(130~140万バレルの減少)を大きく上回る、550万バレル弱の減少となっていたことで、夏場のガソリン需要期にガソリン供給が不足するのではないかとの懸念が市場で増大、4月12日には同日発表された国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のオイル・マーケット・レポート(OMR:Oil Market Report)で、OPECの減産によりOECD諸国の石油在庫は2年ぶりの低水準となるであろうとの見解が発表されこともあり、原油価格は1バレル当たり63ドル台へと反発、4月13日には利益確定による売りが出たものの、同日の終値は依然として1バレル当たり63.63ドルとなっている。 . 今後の見通し 3米国や欧州では春季の製油所メンテナンスは峠を越えつつあることもあり、原油処理量は回復の兆しが見えている。前述の通りガソリンと原油の価格差が大幅に開いていることから、精製マージンも増大、製油所にとってはガソリン等の石油製品生産のインセンティブとなることから、今後原油受入量が増大するとともに、ガソリンのような石油製品の生産量も増大していくものと考えられる。他方欧米間でのガソリン価格差も大きく開いている(図15参照)ので、欧州から米国へのガソリンの輸出も増加する可能性がある。このため原油在庫が減少に向かうとともに、ガソリン在庫は増加の傾向を示すようになるものと思われる。また、製油所における原油受入量の増加とともに、米国のクッシング地区にある原油貯蔵タンクの満杯状況も解消されると見られることから、いずれブレント等の原油がWTIを価格で大幅に上回るといった状況は、緩和されていくものと考えられる。但しWTI先物の5月渡しについては、4月20日に取引期限を控えていることから、今後これまで購入していた先物契約を売り戻す動きが発生することが予想され、これがWTI期近物の価格に対して下方圧力を加えることが考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - 234出所:米国エネルギー省 一方、イランによるアラビア湾における英国軍兵士の拘束により、市場では地政学的要因に伴う中東からの石油供給途絶懸念が再燃する格好になっている。英国軍兵士はその後解放されたものの、イランのウラン濃縮活動は停止していないこともあり、市場は以前に比べて地政学的リスクに神経質になってきている模様である。地政学的リスクはイラン以外にもイラクや他の中東湾岸諸国、そしてナイジェリア等でも存在しており(表1参照)、米国での夏場のガソリン需要期を控え、そのようなリスクに敏感になった市場が、中東やアフリカ地域における政情の変化やテロ活動といった出来事に反応、原油価格が上昇するといった場面もありうる。 表1 中東地域等での主な地政学的リスク国・地域イラン主なリスク・ウラン濃縮活動を巡る西側諸国との対立の激化イラク・イラク戦争後の宗派及び民族間対立・テロ活動による殺人及び施設破壊その他中東湾岸産油国等 ・サウジアラビア等におけるテロ集団等による石油関連施設へのナイジェリア 攻撃の可能性・不安定なレバノン情勢・宗派対立・2007年4月大統領選挙を控えて国内(特に南部産油地帯)にお ける政情不安定化及び石油関連施設攻撃、石油産業関係者誘 拐等出所:各種報道等により作成 加えて、4月3日には、2007年の大西洋圏におけるハリケーンの発生状況が発表されたが、2004年や2005年ほどではないにせよ、平年のハリケーン発生数6個を上回る、9個(うち5個が強力なもの)のハリケーンが発生するとの予報になっている。そうなると、秋から冬にかけての米国における暖房油在庫積み上げの時期にハリケーンが米国メキシコ湾に来襲し、同地域での原油生産や精製活動に大きな影響を与え、結果として暖房油の供給が不足するようになるとの懸念から、それ以前(つまりそれは、ガソリン需要期でガソリン在庫を積み上げている時期でもある)に暖房油在庫を積み上げるといった行動を促すといったことになって現れる恐れがあり、暖房油の価格が上昇する一方で、製油所におけるガソリン生産も影響を受け、ガソリン価格も上昇、それに伴い原油価格も上昇するという結果となることが予想されるGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - 図15 米国(NY)欧州(ロッテルダム)のガソリンスポット価格差の推移(2006~7年)ドル/バレル14121002468-2シ、製油所に過大な負担を強いることから、結果として操業に支障をきたし、それがさらに石油製品価格及び原油価格を引き上げるといったことになる場合も考えられる。もっとも2006年には当初平年を上回るハリケーンが発生するという予報であったが、実際の発生は限定的な規模にとどまっており、米国メキシコ湾地域での石油生産や精製活動には何ら支障が生じなかったことから、ハリケーンについては必ずしも神経質になっていない市場関係者もおり、そういう意味で、今後このような予報の更新と、実際の大西洋圏におけるハリケーンの発生状況、そして米国メキシコ湾の原油生産及び精製集積地への進入状況などについて留意する必要がありそうである また、OPECが減産を継続する中、注目すべきは世界石油需要と非OPEC石油生産量の推移である。IEAをはじめとする機関のなかには、今後2007年第四四半期に向けて、世界の石油需要の伸び(前年同期比)が加速すると見るところがある(図16参照)。ただIMFは2007年の米国における経済成長率をかつての3.3%(これは2005年や2006年と同水準である)から2007年4月には2.2%へと大幅に下方修正している(図17参照)など、同国経済における不透明要因を織り込みつつあり、このような米国の経済減速が世界に波及すると、世界の石油需要の伸びも鈍化する、とったリスクを抱えている。現実にも2007年第一四半期の世界石油需要の伸びについては、前年同期比で日量160万バレルの増大を予測する機関もあったが、実際の伸びは日量60万バレル程度になりそうな状況を見ると、今後もこのような予測については下振れする可能性が考えられる旨注意を要しよう。 図16 2007年世界需要の伸び予測日量百万バレル3.02.52.01.51.00.50.01Q2QIEAEIAOPECA3QCBDEF4Q※A、B、Cはコンサルタント、D、E、Fは投資銀行出所:各機関資料より作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - }17 2007年の米国経済成長見通し%3.532.521.506/406/907/4発表時点出所:IMF 他方非OPEC生産量についても、最近では前年比で日量100万バレル程度伸びていると伝えられるが、新規油田の生産量増大のペースが当初予想よりも遅いといった話や、既存の油田について投資不足から減退率が大きくなっているといった話が聞かれる。資機材や人材の不足といった業界における構造的な問題もあることから、この面でも今後下振れする可能性を指摘する向きがある。因みにIEAは2007年の非OEPC石油生産量の伸びを日量約100万バレルと見ているが、他の機関では例えば米国エネルギー省エネルギー情報管理局(EIA:Energy Information Administration)のように日量70万バレル弱と保守的に予想しているところもある(図18参照)。 日量百万バレル図18 各機関による2007年非OPEC石油生産量増加予測1.21.00.80.60.4 IEAEIAOPECABCDE※A、B、Cはコンサルタント、D、Eは投資銀行出所:各機関資料より作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 -
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2007/04/15 野神 隆之
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。