ページ番号1003648 更新日 平成30年2月16日

原油市場他:米国のガソリン供給不足懸念等に振り回される原油価格

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レポートID 1003648
作成日 2007-05-21 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
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年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <作成日:2007/5/20> <石油・天然ガス調査グループ:野神 隆之> 原油市場他:米国のガソリン供給不足懸念等に振り回される原油価格 (IEA、米国DOE/EIA、OPEC他) ① 米国では引き続き製油所メンテナンスや予期せぬ操業停止で、稼働率が低迷し原油受入量が減少したことから、原油在庫は平年幅の上限近くの水準を維持している。 ② 一方で、製油所の稼働低下により生産が抑制されていることから、米国ガソリン在庫は平年幅を割り込む水準にまで減少、このため夏場のドライブシーズン接近に伴い市場におけるガソリン供給不足懸念を増大させ、ガソリン価格が高騰、それが原油価格に影響を及ぼしている。 ③ 原油価格は、前述の米国でのガソリン供給不足懸念に加え、ナイジェリアでの武装集団による石油関連施設攻撃等やサウジアラビアでのテロ集団による石油施設攻撃計画などの要因により、1バレル当たり概ね61~66ドル程度で推移した。 ④ 米国では夏場のドライブシーズン到来に伴うガソリン需要期を間近に控え、在庫が少ない状況となっていることから、当面ガソリン在庫が十分に積み上がるまでは、ガソリン価格及び原油価格が下落する局面を迎える可能性は少ないものと考えられる。また、ナイジェリアについては、5月29日の新大統領就任後は少なくとも大幅に情勢が悪化する可能性は低いものと考えられる。 . 原油市場等を巡るファンダメンタルズ 1米国では、製油所のメンテナンス及び予期せぬ操業停止により、稼働率が平年に比べて落ち込んでいる(図1参照)ことから、製油所による原油受入量が低迷、その結果原油在庫が平年幅上限近くの水準となっている(図2参照)。特にオクラホマ州クッシング地区では、テキサス州等での製油所の操業停止の影響を受け、行き場を失った原油が流入、現在貯蔵能力(2,800万バレルと言われる)に近い量が貯蔵されている(図3参照)。このような状況から、この地区で取引され、かつ世界的な指標ともなっているWTIに供給過剰感が発生し、特に期近物において相対的に価格を押し下げる原因となっている(図4参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - }1 米国精製稼働率の推移%100959085801234567891011122002-2006実績2007出所:米国エネルギー省百万バレル図2 米国原油在庫推移(2003~7年)370350330310290270250123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123451997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省百万バレル28図3 クッシング地区の原油在庫(2004~7年)2624222018161412101234567891011122004 2005 2006 2007 出所:米国エネルギー省ドル/バレル図4 WTIとBrentの先物曲線 73727170696867666564123456789101112131415WTIBrent限月 - 2 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ト国における製油所の度重なる停止(最近の米国における主要な製油所停止については、表1参照)については、施設の老朽化や、1990年代を中心とした精製部門の低収益時代に実施した大幅な人員削減による労働条件の悪化と従業員の消耗が背景にあるといった指摘がなされているが、加えて2006年に実施した米国内での石油製品に対する環境規制の強化が影響していると見る向きもある。2006年に米国では、ガソリンにおける硫黄含有率をそれ以前の90ppmから30ppmへ、軽油の硫黄含有率を500ppmから15ppmへ、とそれぞれ減少させることが義務付けられたが、これにより製油所施設において、より多くの硫黄分を除去するために、より高温下で精製処理することが必要となり、高熱が施設の磨耗を早め、その結果メンテナンス時における資機材交換が大規模かつ長期間を要するようになったり、予期せぬ故障を招いたりしている模様である。 表1 2007年4月1日~5月18日の北米における主な製油所の操業停止例発生再開会社5月17日CitgoCorpus Chrristi4月29日?Gary Williams EnergyWynnewood4月1日4月3日4月5日4月5日4月8日4月8日4月10日4月10日4月12日4月13日4月16日4月16日4月17日4月19日4月19日4月19日4月21日4月23日4月24日4月24日4月24日4月24日4月25日4月25日4月26日4月27日4月27日NAChevronNAValero4月26日LyondellNAExxonMobilNAAlonNAMotiva4月11日BPNACitgo4月27日Total4月14日ExxonMobil4月16日?ExxonMobil6週間程度Imperial(16~20日間)ValeroNAValeroNATesoro4月20日 (5月21日の週)BP4月20日(2週間程度)ConocoPhillipsNAValeroNAChevron4月27日ExxonMobil4月26日ShellNAConocoPhillipsNASinclair(1ヶ月程度)SuncorNAExxonMobil4月27日MarathonNAExxonMobil4月30日(2週間程度)ConocoPhillips5月2日5月3日5月6日5月7日5月7日5月7日5月7日NAShellNATesoroNAHollyNABP5月7日AlonNATotalNAExxonMobil(5月7日の週)(30日間程度)Tesoro5月11日5月15日5月16日5月16日5月16日5月18日5月18日NAImperial7月15日ExxonMobilNACHS(5月21の週)ValeroNAAlon6月23日ConocoPhillips6月19日ConocoPhillips※一部推定製油所名El SegundoMemphisHoustonBeaumontBig SpringPort ArthurTexas CityLake CharlesPorrt ArrthurBaytownTorranceDartmouthSt. CharrlesLimaAnacortesToledoSweenyMcKeeRichmondBeaumontDeer ParkWilmingtonTulsaSurinaBaytownGarryvilleBeaumontSweenyMartinezWilmington州カリフォリニア操業を停止した施設コーカーテネシーテキサステキサステキサステキサステキサステキサステキサステキサスカリフォリニアノバスコシアルイジアナテキサスオハイオワシントンオハイオテキサステキサス水素化精製装置FCCFCC、コーカー水素化精製装置脱硫装置FCC原油処理施設、改質装置脱硫装置他FCC水素発生装置製油所全体FCC水素化精製装置水素化分解装置原油処理施設FCC脱硫装置製油所全体カリフォリニアコンプレッサーテキサステキサスカリフォリニアオクラホマオンタリオテキサスルイジアナオクラホマテキサステキサス接触分解装置コーカー水素化分解装置FCC接触分解装置接触分解装置接触分解装置製油所全体FCC水素化精製装置カリフォリニアカリフォリニア脱硫装置FCC停止能力(kbd*)備考(停止原因他)NA小規模火災NA270計画的停止(最近導入した機材の微少調整)NANANA120停電NANA装置不具合NAボイラー停止NA計画的停止88計画的停止75NA計画的停止NANA52外部からの電力供給停止24装置不具合85暴風雨による停電NANA85コンプレッサーへの過重負荷NA装置不具合?NANA計画的停止NAコンプレッサー不具合131火災NA落雷によるタンク火災NANA計画的停止(触媒交換)NANA26爆発と火災Woods CrossユタCarsonBig SpringPort ArthurBeaumontWilmingtonNanticokeBeaumontLaurelHoustonBig SpringBogerBogerカリフォリニアテキサステキサステキサス水素化分解装置製油所全体脱硫装置コーカー453月の火災による停止後の操業再開失敗70送風機の継ぎ手破損NA45コーカー装置に亀裂カリフォリニアコーカー、水素化精製装置、水素化分解装置35-40計画的停止オンタリオ製油所全体テキサスモンタナテキサステキサステキサステキサス原油処理装置、コーカー原油処理施設ガソリン製造装置、留出油製造装置製油所全体FCC脱硫装置118停電NA計画的停止55停電と火災64ボイラー及び蒸気システム問題75再蒸気化装置での漏出問題と同装置への蒸気供給施設での漏出67計画的停止NA計画的停止*:日量千バレル出所:各種報道等から作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 齦禔A米国における製油所の稼働率が低迷していることから、ガソリンの生産量も抑制されている(図5参照)反面、ガソリン需要は昨年に比べて増加している(図6参照)ことから、同国においてガソリン在庫が平年を下回る水準にまで減少してしまっており(図7参照)、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期(2007年は5月26日から9月3日)が間近に迫る中、市場関係者がガソリン供給不足懸念を増大させ、ガソリン価格を高騰させる結果となっている(米国ガソリン小売価格は史上最高値を更新する状態となっている、図8参照)。5月に入ってからはガソリン在庫も増加に転じたが、現在のところその大部分は西海岸地域におけるものであり、他の地域では依然として増加幅が小さいことや、現在においても依然として製油所の停止が相次いでいることから、懸念は増大することはあっても緩和されるには至っていない。 日量百万バレル図5 米国のガソリン生産量(2005~7年)9.598.587.5712345678910111212345678910111212345注:4週間移動平均2005-72004-6出所:米国エネルギー省 日量百万バレル図6 米国ガソリン需要の推移9.49.39.29.198.98.88.71/51/192/2200720062/1620053/23/163/304/134/275/112006年調整※「2006年調整」は2006年が平年並みの前年同期比伸び率で増加したものと仮定し算出出所:米国エネルギー省 図7 米国ガソリン在庫推移(2003~7年)百万バレル240220200180123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123451997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 - 4 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ント/ガロン図8 米国ガソリン小売価格の推移(2006~7年)32030028026024022012345678910111212345出所:米国エネルギー省 ガソリン価格が高騰したことから、原油との価格差が増大しており(図9参照)、現状原油在庫は豊富にあるものの、ガソリン精製マージンの増大により製油所にはガソリン生産に対する強いインセンティブが働き、近いうちに原料となる原油の購入が増加、価格が上昇するであろうとの観測が、市場関係者を原油購入に係る行動に導いており、その結果ガソリン価格が上昇すると、つられて原油価格が上昇する、といった状況が出現している。 ドル/バレル図9 米国ガソリンと原油の価格差(2006~7年)403020100111212345出所:米国エネルギー省 なお、米国のガソリン需要であるが、2007年第一四半期においては、確かに前年比では相当程度増加しているが、2005年秋のハリケーン「カトリーナ」や「リタ」の米国来襲に伴う経済的な混乱で2006年第一四半期においてもガソリン需要等が依然として低迷していたとの見方もあり、それ故2007年第一四半期のガソリン需要の伸びが大きく見えてしまっているといった可能性が考えられる。2006年のこの時期において、ガソリン需要が平年並みの前年比伸び率であったと仮定して調整してみると、伸び率はかなり低減することが判明する。また2007年第一四半期は、ガソリン需要が前年比で増加しているにもかかわらず、同国での自動車運転距離は伸びていない状況にある(図10参照)。このことから、製油所等から出荷(基本的にはこれが「需要」として把握されている)されたガソリンが二次在庫等(販売店在庫等)にとどまり、実際には自動車運転により消費されていないことも疑われる。この場合、今後現在の仮需要が後の実際の需要にマイナスの影響となって現れる可能性があることに注意する必要があろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - }10 米国自動車運転距離伸び率(前年同期比、2005~7年)%43210-1-2-3123456789101112123456789101112123出所:米国運輸省 欧米でのガソリン価格差が3~4月に開いた(図11参照)ことから、米国へのガソリン輸入量は増大している(図12参照)が、一方で欧米でのガソリン価格差は最近縮小気味である、これはベルギーのアントワープにおけるExxonMobilやTotal等の保有する4ヶ所の製油所(能力は日量60万程度と言われている)の石油労働者が経営側との間で行った賃金引上げ交渉が決裂し、5月9日よりストライキを実施すると4月20日に決定したことから、欧州内でのガソリン価格が上昇したことによるものであると言われている(なお、ストライキは5月2日に回避された模様である旨伝えられている)。 123456789101112123456789101112123452005-72004-6出所:米国エネルギー省 冬場の暖房油需要期は終了したが、2006~7年の冬は米国で一時的に厳冬となったものの、欧州やアジアでは総じて暖冬であり、暖房用燃料需要が低迷、その結果石油需要は前年比で概ねマイナスとGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - 図11 米国(NY)欧州(ロッテルダム)のガソリンスポット価格差の推移(2007年)ドル/バレル14121002468-212345出所:米国エネルギー省 日量百万バレル図12 米国のガソリン輸入量(2005~7年)1.801.601.401.201.000.800.600.40ネった(図13参照)。そして第二四半期の石油不需要期と製油所メンテナンス時期に入ったこともあり、OPEC産油国は減産を実施しているものの、OECD諸国の原油在庫は増加傾向となっており、再び平年幅上限近くの水準となっている(図14参照)。また石油製品在庫については概ね平年並みとなっている(図15参照)。 2007年4月中旬から5月中旬にかけての原油価格は、ナイジェリア情勢やサウジアラビアでのテロ未遂事件、米国ガソリン在庫低迷を背景として、概ねWTIで1バレル当たり概ね61~66ドル程度で推移した(図16参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - 12345678910111212345678910111212341995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定 . 2007年4月中旬から5月中旬にかけての原油市場等の状況 2図13 OECD石油需要の伸び率(前年同期比、2006~7年)1112123出所:IEA 図14 OECD原油在庫推移(2005~7年)%10-1-2-3-4億バレル10.510.09.59.08.58.012345678910111212345678910111212341995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定 図15 OECD石油製品在庫の推移(2005~7年)億バレル1615141312}16 原油価格の推移(2003~7年)ドル/バレル8070605040302012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345WTIBrentDubai 4月14日にはナイジェリアで地方選挙が実施され、一部で混乱も生じたものの、石油生産には影響がなかったことに加え、同国のShellのForcadosターミナルからの原油輸出が5月下旬に再開されるとの情報が伝わったことが、4月15日にEnbridgeのカナダ(アルバータ州エドモントン)~米国(ウィスコンシン州スーペリアー)の原油パイプライン(輸送量日量45万バレル)が原油漏出で輸送を停止したといった材料を相殺する形となった他、4月17日には翌日発表される予定の米国石油統計で同国の精製稼働率が増加を示しているのではないかといった観測と、同国で操業を停止していた製油所(Sunocoのフィラデルフィア製油所(ペンシルバニア州)とValeroのMcKee製油所(テキサス州))が操業を再開するとの報でガソリン供給不足懸念が緩和、原油価格にも下方圧力を加えたこと、そして果たして4月18日に発表された米国石油統計では、ガソリン在庫は市場の事前予想(ガソリン150~210万バレルの減少)を上回り279万バレル減少していたものの、他方で精製稼働率が上昇しガソリン等の生産が増加していたと判明したことで、原油価格はこの期間1バレル当たり62~64ドル(終値は63ドル台)と比較的安定的に推移した。4月19日には翌日に取引期限を迎える5月渡しのWTI先物契約に対して、購入していた契約を売却する動きが出た他、供給過剰なクッシングの原油在庫に市場が注目したこと、Enbridgeのパイプラインが4月18日に操業を再開したことなどから、原油価格は終値ベースで前日比1ドル強下落、1バレル当たり61.83ドルとなった。しかしながら4月20日には、大統領選挙を翌日に控えたナイジェリアで、産油地域であるBayelsa州政府の建物の近くなどで銃撃戦等が発生したり、武装勢力が沖合において掘削施設に向かう石油労働者を輸送するボートを攻撃したりしたことや、選挙を巡り暴動が激化し同国からの石油供給が途絶するのではないかとの懸念が市場で増大したことで、原油価格は1バレル当たり63ドル台、4月23日には65ドル台へと反発した。 ただそのようなナイジェリアでの大統領選挙後において、原油生産が影響を受けたという情報がなかったことや、原油価格の急上昇に伴う利益確定の動きが出たことから、原油価格は4月24日には1バレル当たり64ドル台へと下落した。しかしながら4月25日には同日発表された米国石油統計で、ガソリン在庫が事前予想(20万バレルの増加~40万バレルの減少)に反して279万バレルの減少となった他、精製稼働率も低迷したと判明したことから、夏場のドライブシーズンに向けガソリン供給が不足するのでGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - ヘないかとの懸念が増大、原油価格は再び1バレル当たり65ドル台へと上昇した。4月26日には、イランの核プログラムに関して、同国の核問題交渉担当責任者であるLarijani氏が、イランと欧州との間での意見の相違が狭まりつつある、と発言したことから、市場では同国からの石油供給途絶懸念が緩和、これが原油価格に下方圧力を加え、原油価格は若干下落したものの、4月27日にはサウジアラビア当局が、同国の油田関連施設を航空機等の使用により攻撃する旨計画していたとしてイスラム武装勢力172名を逮捕した、との情報から、同国での石油供給に対する脅威が依然根強く存在している、ということを市場関係者が再認識したことで、原油価格は上昇、同日終値は1バレル当たり66.46ドル(同日の最高値は66.70ドル)となった。 ただ、その後は、この原油価格上昇に対する利益確定の売りが出たことに加え、4月29日にはイランが米国とともにイラクの治安に関する会議(5月3~4日にエジプトで開催)に出席する決定を下したとの報が流れたことから、地政学的リスクが相対的に緩和されたこと、米国では今後製油所がメンテナンスを終了するとともに操業を再開、ガソリン等の石油製品の生産を増大させる一方で、同国の原油在庫は豊富に存在することから、夏場においてガソリンの供給不足には陥らない、との認識が市場で広がったことから、原油価格は下落傾向となり、5月7日には1バレル当たり61.47ドルとなった。 5 月8 日にはナイジェリアで度々テロ行為を行っていた武装勢力MEND(Movement for the Emancipation of the Niger Delta:ニジェール・デルタ解放運動)が、伊石油会社Eniの操業する3本のパイプライン(Brass輸出ターミナルに原油を供給)を破壊、この影響で日量9.8万バレルの石油生産が停止しことで、原油価格は1バレル当たり62ドル台へと上昇したが、5月9日には同日発表された米国石油統計で、原油在庫が市場の事前予想(40~90万バレルの増加)を大幅に上回る551万バレルの増加となっていた他、ガソリン在庫も37万バレル増加していたことが石油供給不足懸念を緩和、原油価格は1バレル当たり61ドル台へと戻った。しかしながらその後は再び米国において夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期を約3週間先に控え、5月9日に発表されたガソリン在庫の増大は、大部分が西海岸におけるものであり、その他の地域は殆ど増大していなかったことで、同国でのガソリン在庫の低迷に関する市場関係者の懸念が再燃したことや、仏石油会社Totalがコンゴで操業していたNkossa油田で5月10日火災が発生、生産が停止(停止前の生産量は日量6~7万バレル)したとの情報に加え、ナイジェリアで5月8日にパイプラインの攻撃を受けたEniの原油生産量が停止したままとなっている他、5月11日にはChevronが操業していたEscravos油田やPenningtonターミナルが武装勢力に攻撃され石油生産が停止したこと、ShellのBomuにあるパイプライン集積地が5月10日に地方部族により占拠されたことから、当該地域からの石油生産日量17万バレルを出荷できなくなったと同社が5月15日に発表したことから、原油価格は5月15日にかけ、再び63ドル台へと上昇した。5月16日には同日発表された米国石油統計で原油及びガソリンが市場の事前予想(原油0~50万バレル増加、ガソリン90~110万バGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - 激拒揄チ)を上回る、原油106万バレル、ガソリン176万バレルの増加となっていたことや、Shellの石油関連施設を占拠していた部族が重大な被害を及ぼすことなく占拠を終了したことが、原油価格に下方圧力を加え、1バレル当たり62ドル台へと下落したが、5月17日には、米国では夏場のドライブシーズンにおける自動車旅行者が、ガソリン価格の高騰にもかかわらず前年比で1.8%増大するとの見通しが出されたことや、5月16日にConocoPhillipsがBoger製油所(テキサス州)を、ValeroがHouston製油所(テキサス)を、それぞれ操業停止とした旨発表したこと、BPのTexas City製油所(テキサス州)で5月19日から操業が停止する旨明らかになったことから、夏場の米国のドライブシーズンを前にして、ガソリン供給が需要を満たせなくなるのではないか、といった不安が市場で強くなり、5月17~18日は、原油価格は1バレル当たり概ね64~65ドル台へと上昇している。 現在原油価格の動向を決定付ける大きな要因は、米国のガソリン市場と地政学的要因である。製油所の稼働率の低迷から、夏場のドライブシーズンに向け、米国のガソリン在庫が平年幅を割り込んでいることがガソリン価格の高騰を招き、それが原油価格に影響している。中期的に見れば、製油所がメンテナンスを完了して操業を再開し、ガソリン生産を増大させる一方、当面の間は米国の欧州等からのガソリン輸入がある程度維持される(但し4月後半には欧米でのガソリン価格差が縮小していることから、それがしばらく経ってから欧州等から米国へのガソリンの流れに影響することも考えられる)ことから、同国のガソリン在庫は増加していくものと考えられるが、他方5月に入っても製油所の停止が比較的頻繁に見られており、このような状況が続くようだと製油所の稼働率が上昇しない恐れがある他、停止する施設の規模が限られていたとしても、市場関係者の間で、需要期においてガソリン供給が需要を満たせないのではないか、といった懸念が増大することから、ガソリン価格が上昇し、それが原油価格に跳ね返る可能性がある。その意味では、今後も米国等の製油所の操業状況には十分注意する必要がある。 また、米国ではまもなくハリケーンシーズン(6月1日~11月30日)を迎えるが、5月4日には英国の機関が2007年には9個のハリケーンが発生(平年は6個)するという、米国の機関とほぼ一致した予報を発表しており、この面でも市場関係者の間で需給逼迫懸念が高まりやすい状況となるであろう。 以上のような要因から当面ガソリン在庫が十分積み上がるまではガソリン価格や原油価格が急激に低下する、といった局面は考えにくいものと見られる。 なお、ガソリン価格の高騰がガソリン需要に及ぼす影響であるが、前述の通り現在のような1ガロン当たり3ドルを超過するようなガソリン価格のもとでも、2007年の夏休み期間中は2006年よりも多くの消費者が自動車で旅行するとの見通しが発表されている。但しガソリン価格の高騰から旅行が近距離になったりする可能性があるとの指摘もある。またガソリン価格への支出が増大することから、他の消費財等へGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - . 今後の見通し 3フ支出が減少する可能性もあり、この場合は消費低迷から経済成長の減速へと繋がることも予想される。米国においては、依然として住宅部門が低調である(中古住宅販売については回復するかと見られたが、2007年3月には再び大きく落ち込んでいる、図17、18、19参照)他、西海岸における大規模港湾においてコンテナ受入量(主に中国からの輸入と言われている)が減少する兆しが見られるとの見方もあるが、このような傾向が明確になるにつれ、米国経済成長が鈍化し、それがある程度の時間をおいて石油需要の低迷へとなって現れることがありうるので、この面についても留意する必要があろう。 百万戸図17 米国新規住宅着工件数(2005~7年)2.42.22.01.81.61.41.2891011121234567891011121234出所:米国商務省 百万戸図18 新規住宅販売件数(2005~7年)1.41.31.21.11.00.90.8百万戸7.37.27.17.06.96.86.76.66.56.46.36.26.189101112123456789101112123出所:米国商務省 図19 中古住宅販売件数(2005~7年)89101112123456789101112123出所:全米不動産業者協会 地政学的要因としては、ナイジェリアやイラン等がある。ナイジェリアについては、4月の大統領選挙Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 - 繧熕ホ油関連施設破壊や誘拐等が発生しており、治安は改善していない模様である。ただ、このような状況は、現在のナイジェリアが5月29日の新大統領就任を前にしたいわば端境期にあることも影響しているものと見られる。新大統領となるウマル・ヤラドゥア(Umaru Yar'Adua)氏は副大統領グッドラック・ジョナサン(Goodluck Jonathan、ニジェール・デルタ産油地域のBayelsa州前知事)とともに、ニジェール・デルタの住民から出されている、同地域に対してより多くの石油収入を配分してほしいとの要望に取り組むことを約束している他、同地域での再開発計画を発表したと伝えられることもあり、今後もしばらくは散発的に武装勢力等による石油施設等への攻撃が行われる可能性はあるが、情勢が大幅に悪化する可能性は低いものと思われる。 一方イランであるが、国連安全保障理事会の定めたウラン濃縮活動停止期限を5月23日に迎えるが、同国と欧州連合は5月31日に核プログラムに関して協議する旨5月15日に合意したことから、当面の間は落ち着いた状態が続くものと見られる。但し協議が再び暗礁に乗り上げるようだと、供給途絶懸念が市場で増大することとなり、原油価格が影響を受ける場面もあるものと考えられる。 原油価格を予測している機関の2007年の原油価格予測を見てみると、依然として多くの機関が世界石油需要に関する比較的堅調な見方を持っている他、OPECの減産や米国ガソリン在庫の低下、現在の原油価格の水準を考慮し、1バレル当たり概ね60ドル台半ば程度で推移すると見ているようである(図20参照)。 ドル/バレル図20 各機関の2007年原油価格予測(WTI)7570656055501Q062Q063Q064Q061Q072Q073Q074Q07実績EIAABCDEFGHI*:一部推定、A~Dは投資銀行、E~Iはコンサルタント出所:各機関レポート Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 -
地域1 グローバル
国1
地域2 北米
国2 米国
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル北米,米国
2007/05/21 野神 隆之
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