ページ番号1003653 更新日 平成30年3月5日

トルクメニスタン: 新大統領就任を受けての今後のエネルギー政策

レポート属性
レポートID 1003653
作成日 2007-05-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般天然ガス・LNG
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2007/□5/□30 石油・天然ガス調査グループ:本村真澄 2006年12月のニヤゾフ大統領の死去に伴い新たに選出されたベルドイムハメドフ新大統領は、天然ガス輸出を含む既往の国際契約の厳格な履行を表明して対ロシア配慮を滲ませた。天然ガス生産では、現行の年産650億m3から2010年に2倍弱の1,200億m3、長期的には3倍の2,500億m3まで拡大する方針を示した。 ・・ 天然ガス増産を打ち出した背景は、近年の新規埋蔵量の発見による寄与があると考えられ、トルクメニスタンの将来的な天然ガス資源ポテンシャルについては更に拡大の可能性がある。 ・ プーチン大統領、ベルドイムハメドフ大統領、ナザルバーエフ大統領は5月12日に会談し、トルクメニスタンからロシアに向かうCAC(Central Asia Center)天然ガスパイプラインのアップグレードと、併走する新規パイプラインの建設で基本的に合意し、トルクメニスタンは増産に見合う販路を、ロシアは天然ガスについて安定的な供給ソースを確保した。これは、3月に合意した Trans-Balkan (Burgas-Alexandroupolis)石油パイプライン計画に続くプーチン政権の成果と見なされている。 ・ 米・EUはカスピ海横断(Trans-Caspian)パイプライン構想を働きかけているが、直ちに実現する状況にない。米国・EUの主張の根拠はあくまで欧州におけるガスの競争市場の創出というイデオロギーないしはトルクメニスタンの取り込みという「政治」であるのに対して、ロシア側のアプローチはあくまで具体的なビジネスに特化している。トルクメニスタンは安定的なビジネスを選択した。 ・ 但し、トルクメニスタン側は輸送ルートの多角化という前大統領の方針も引き継いでおり、このオプションを支持する外部の動きは排除していない。 ・ 米及びEUの一部はロシアとの対抗姿勢を強めており、今回の3カ国合意を危険視する見解があるが、一方で中央アジアのガスに関して欧州の真の競争者はロシアではなく中国という指摘がある。 トルクメニスタン: 新大統領就任を受けての今後のエネルギー政策 トルクメニスタンの新政権発足前後の動き . 1(1)新政権の受け止められ方 トルクメニスタンのサパルムラト・ニヤゾフ・トルクメンバシ(Saparmurat Nyazov Turkmenbashi)大統領が12月21日、心不全で急逝した。66歳であった。21年間の独裁は突然終止符が打たれた。 ニヤゾフ政権は、永世中立を宣言して多国間外交を忌避し、終身大統領制を敷き、個人崇拝と粛清が国を覆う猖獗を極めたもので、大統領個人も国際社会では”unpredictable”な人物と評価されてきた。国内でも、2005年5月にエネルギー担当で、日本でも強固な人脈を持っていたGurbanmuradov副首相を汚職を理由に逮捕投獄し、8月にはValiyevトルクメンネフチ社長を更迭するなど、粛清人事を強行した。副首相の後任にはTachnazarovトルクメンガス社長が就任したが表立った活動はなく、天然ガスに関する対外交渉は実質的にニヤゾフ大統領自身が行わざるを得ないなど、政府のエネルギー分野の人材は払底する状況となっていた。 12月24日、序列第2位でニヤゾフ大統領と血縁関係があると噂されるギュルバンギュリ・ベルドイムハGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - <hフ(Gurbanguly Berdymuhammedov)副首相兼保健・医療工業相が葬儀を執り行い、翌2007年2月11日の選挙で次の大統領に選出された。ベルドイムハメドフ新大統領に関しては、強権的な傾向はなく常識人と見なされていることから、内政、外交の改善が期待された。Gurbanmuradov前副首相も前大統領の死去に伴い釈放されている。 14日の大統領就任式には、ロシアからフラトコフ首相、米国からバウチャー国務次官補、アゼルバイジャンからイルハム・アリエフ大統領らが出席し、その就任演説では故大統領の内外政策の継承を謳うととともに、天然ガスの輸出を含む国際契約の厳格な履行を宣言した。翌15日にはフラトコフ首相との会談が設けられたが、これにはミレル・ガスプロム社長も同席し、2003年に25年間の天然ガス供給契約を遵守することが確約された。一方、バウチャー次官補とも協議したが、新大統領は輸出ルートの多角化を模索しているとこの時から言われており、この件について協議された可能性がある(ビジネスアイ, 2007/2/17)。 米国では、トルクメニスタンにおいてもグルジア、ウクライナ、キルギスに続く「カラー革命」を期待する素地があり、トルクメニスタンの新政権への関心は非常に高いものがあった。ワシントンのコンサルタントの中には、イルハム・アリエフ大統領が葬儀に参列したことから、アゼルバイジャンとトルクメニスタンとの間は不仲であった先代大統領に替わって和解が進み、2000年に頓挫したカスピ海横断(Trans-Caspian)パイプライン計画の復活が可能とする見方すら出ている(2007年4月筆者聴取)。この新大統領のもとで、エネルギー政策がいかに変化するか、西側も注目するところとなった。 (2)タグイエフ副首相の閣議報告(3月24日) 石油ガス部門担当となったタグイエフ副首相は、3月24日のトルクメニスタン閣議において、2007年に天然ガスの生産量を800億m3、輸出量を580億m3へと大きく引き上げる意欲的な政策を報告した。 (3)Tukumengaz総裁Yashygeldi Kakayevのイスタンブールでの演説(5月2日) イスタンブールにおけるユーラシア経済サミットにおいて、カカエフTurkmengaz総裁(前石油ガス産業鉱物資源省ガス産業分析展望部長)がトルクメニスタンの新エネルギー政策を公表したが、トルクメニスタンからの包括的なエネルギー政策の表明は初めてのことであり注目を集めた(PON, 2007/5/04)。概要は以下の通り。 1) 積極的な外資導入策。 2) ガス生産量を拡大し、2030年までに現在の生産量の3倍とする。即ち、2006年実績である649億m3に対して、2007年には788億m3、2010年には1,200億m3、2030年には現行の約3倍となる2,500億m3を目指す。 - 2 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ) ロシアへのガス輸出(現行500億m3/年)を今後更に拡大する。 4) ニヤゾフ前大統領の政策であった天然ガスのマルチの輸出ルートを志向する。 ①カスピ海横断(Trans-Caspian)パイプライ計画の復活(2001年に頓挫)、 ②トランス・アフガン(TAPI)パイプライン ③中国向けパイプライン 以上の中で注目されたのが、まず意欲的な増産計画である。図1には、2005年までのトルクメニスタンの天然ガス生産を示したが、1999年に対ロシア輸出を復活させた後に、順調に生産を伸ばしているが、今後飛躍的な増産を行うためには、既存ガス田開発、新規開発、輸送インフラの拡充という3項目を同時に積極的に進めなくてはならない。特に、ロシアへのガス輸出という既存部分を拡大しつつ、かつ新規のパイプラインルートを確保しようという意欲的な姿勢が目立ち、かつて頓挫したカスピ海横断(Trans-Caspian)パイプライン計画までがリストに入っている。これは米国・EUによる働きかけの結果と思われる。 中央アジア諸国の天然ガス生産カザフスタンアゼルバイジャントルクメニスタンウズベキスタン908070605040302010010億m3/年 図4月23、24日、ベルドイムハメドフ新大統領はモスクワを訪問し、天然ガスの長期契約を維持することを確認した。既往のガス供給契約は2003年4月10日にロシアと締結されたもので、2028年までの25Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - . ロシア・中央アジア諸国との最近の関係 2(1) 新大統領のモスクワ訪問 19911993199519971999200120032005 トルクメニスタンの天然ガス生産の推移m31 N間、2兆m3のガスを供給する取り決めで、年平均で800億m3という水準になる。ロシアに販売するガス価格は2009年まで$100/1,000m3で据え置きとなっている。米やEUはトルクメニスタンに対して、ロシアを迂回するパイプライン計画を持ちかけているが、新政権はロシアとの協調を選択したと報じられた(共同、朝日、2007/4/25)。なお、トルクメニスタンからのガス価格は、2005年が$45/1,000cm、2006年が300億m3分につき$60/1,000cmであったが、10月には上限に達したため新たに120億m3を$100/1,000cmという新価格で輸入することとした。同じ$100/1,000cmという価格が2007年から2009年まで適用される。量は500億m3/年となっている。 (2)ロシア、カザフスタン、トルクメニスタンの3者会談 5月12日、プーチン大統領、ナザルバーエフ大統領、ベルドイムハメドフ大統領がカスピ海沿岸の都市Turkmenbashiで会談し、新規パイプライン建設、既存パイプラインの輸送力増強などを盛り込んだ共同宣言に署名した。3カ国首脳は本年9 月までに、パイプライン建設のための政府間合意文書(Intergovernmental Agreement)に署名することでも一致した。合意内容は以下の通り(各紙, 2007/5/13、IOD, PON, 5/15)。 ①既存のCentral Asia-Center(CAC, ロシア語でSATs)パイプラインに新規パイプラインの併設 この1本独立した既存ラインは、CACの本線(4本ないし5本のラインからなる)ではなく、Cheleken半島からカスピ海東岸を北上し、カザフスタンに入りマンギシュラク半島のウゼニ油田から東走してCACの本線に合流するもので(IOD, 2007/5/15)、CAC-3のOkairem-Beineiラインと呼ばれている。建設は1974年、口径は1020mmで、総延長は473kmであるが、昨年は僅かに4億m3しか輸送していない(IOD, 2007/5/14)。新規のラインはこれに併走して、既存ラインを肩代わりするものである。パイプラインの総延長は、トルクメニスタン部分が360km、カザフスタンが150kmとなる。ウズベキスタン部分は通過しない。工事は2008年前半着工を目指す。 フリステンコ産業エネルギー相によれば、通ガス能力は、2009-10年で100億m3/年、2012年に200億m3/年、2014年に300億m3/年を見込む(PON, 2007/5/15)。総工費は、公表されていないが、Itar-Tassによれば2003年価格で10億ドルとなっており(Moscow Times, 2007/5/14)、資器材費の高騰している現在では、2倍程度になっていると思われる。2003年価格が存在するということは、この計画自体が今回策定されたものではなく、25年間のガス輸出を決めた2003年の契約締結時に既に検討さたものと思われる。今回、新政権発足を機に公表されたということになる。 ベルドイムハメドフ大統領は、輸送路の多様化は世界の趨勢で検討は可能と述べており、EUの要請するTrans-Caspianパイプラインの建設可能性に依然含みを残しているが、この新規ガス・パイプラインGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - ヘ南カスピ盆地に属するトルクメニスタン・Cheleken半島周辺のカスピ海沿岸部ガス田のガスを根こそぎ取り込んでカザフスタン経由でロシアに輸出するもので、経済性とパイプラインに供給できる生産ガス量から見て、Trans-Caspianパイプラインを圧倒的に牽制する効力を有すると思われる。 図2 ロシア・トルクメニスタンから欧州市場へのガス輸出(単位:億m3) ②既存のCentral Asia-Center(CAC)パイプラインのアップグレード - 5 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ACパイプラインは、1967年にCAC-1が敷設されて以来、2,3,4,5までが併設されて来た。CAC-1は老朽化により閉鎖されており、これを除くデザイン輸送能力は869億m3/年であるが、メインテナンス不足から現状では最大で550億m3/年にとどまっている。今回、全面的な改修を行うことで合意した。特に、ウズベキスタン区間は腐食等が進み通ガス能力において問題が多いとされるが、ウズベキスタンのカリモフ大統領は5月9日に、事前にこの共同声明に調印しており(East&West Report, 2007/5/17)、4カ国でアップグレードに取り組む体制が出来上がっている。ウズベキスタンとロシアとの契約は2003年から2012年の10カ年で、年平均100億m3をロシアに供給するものである。ちなみに、2006年の実績は96億m3、2007年は100億m3であった。 ガスプロムは、このラインを通じて2006年には前述の通り420億m3を輸入し、2007年には550億m3輸入する計画である。これはロシアの天然ガス生産量の1割弱にあたる。最終的には900億m3/年の天然ガスを輸入する見通しを立てている(IOD, 2007/5/15)。 ③ 9月を目指して政府間合意書(Intergovernment Agreement)を締結し、2008前半にも着工の予定。 なお、記者会見において、プーチン大統領は、ロシアはエネルギーの輸送部門のみならず、生産部門にも投資する用意があると発言した(PON, 2007/5/15)。この具体的な内容には触れらていないが、2009年までのガスプロムの予算が既に決定しているだけに、どの企業がトルクメニスタンに参入してくるのか関心が持たれる。 (2)ロシア・トルクメニスタン合意に対する反響 1)ドイツUFG銀行研究報告書:「今回の中央アジアサミットの成果は、ロシアが中央アジアの炭化水素の欧州への輸送を依然としてコントロールする力を与え、欧州市場での競争状態をなくすもの」(PON, 2007/5/15)。 2)ルネッサンス・キャピタル:「この合意はEUや米国が主導するアゼルバイジャン-グルジア-トルコ経由のロシア迂回カスピ海横断パイプライン計画を根底から覆すもの」(PON, 2007/5/15)。 3)Bodmanエネルギー省長官発言(5月14日):(SATsパイプライン拡大の報を受けて)「これは欧州にとって良い知らせではない。供給の多様化という大事なことが目の前で飛んで失せた様なものだ」(IOD, 2007/5/15) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - jJulian Lee (CGES):「今回3ヶ国で合意した新規中央アジア・ガス・パイプラインは、欧州のガス需要家 4にとっては悪い話ではない。中央アジアのガスに関して欧州の真の競争者はロシアではない。中国である(図3参照)」(FSU Pipeline Advisory, 2007/5/15)。 5)Jonathan Stern(OIES):「カスピ海横断パイプラインは、高コストが予想されること、ファイナンスが付く見込みが少ないことから近い将来の実現はない。トルクメニスタンは、ニヤゾフ時代に悪化していたロシアとの関係改善に前向きであるが、中国はトルクメニスタンのガスを輸入するために高コストのパイプライン建設も辞さない構えであり、ロシアにとっては重大な競争者となる(図3参照)」(FT, 2007/5/14)。 現時点でトルクメニスタンの天然ガス確認埋蔵量は2.9兆m3であり、その内2兆m3は既にロシアに対して2028年までの25年に供給することでコミットしている。新規のトルクメニスタンからのガス供給については、その余力は十分でなく、ロシアと中国とは厳しい競争のもとにある。即ち、ロシアは対EU牽制に中国カードを使いうるが、トルクメニスタンは対ロシア牽制に中国カードを使い得るという意味で、中国は二重の競争者としてこのゲームに参画している(図5参照)。 - 7 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 図3 ユーラシア大陸における天然ガスパイプラインの分布 vーチン大統領が中央アジアの2大統領と会談している同じ5月12日、ポーランドのクラクフ(Krakow)に、ポーランドのLech Kaxczynsk大統領、グルジアのSaakashvili大統領、ウクライナのYushchenko大統領、アゼルバイジャンのAliev大統領、リトアニアのAdamkus大統領、そしてカザフスタンのLyazzat Kiinov大統領特使が集まり、6ヶ国はカスピ海原油をポーランドまで運ぶOdessa-Brody-Gdanskパイプライン(図4参照)の建設につき、合弁企業を設立し企業化調査を開始し、建設を促進することで合意した(日経、Mosocow Times, 2007/5/14)。 ポーランドはこれにカザフスタン大統領を招待していたが、カザフスタンは大統領特使を派遣したのみであった。Odessa-Brodyパイプラインは石油パイプラインで、トルクメニスタンのガス輸送問題とは基本的に関係はないが、トルクメンバシにおけるプーチン大統領、ナザルバーエフ大統領、ベルドイムハメドフ大統領による会談は、当初5月13日開催予定と報じられており、プーチン大統領が1日早くずらして会談をセットすることにより、カザフスタン大統領の参加を阻止した可能性がある。これは、熾烈なパイプライン政治の一端を覗かせたものと思われる。 Odessa-Brodyパイプラインは通油能力が日量18万バレルと比較的小規模なものであるが、その利用に関しては、ウクライナはかつてカザフスタンとアゼルバイジャンに提案しており、どちらからも断られている。やむなくこのパイプラインは、TNK-BPの要請に基づきドルージュバ・パイプラインから逆送させ、オデッサ港から黒海へ原油を輸出することを選択した。 今回出席したアゼルバイジャンにしてみれば、このパイプラインへの通油をコミットするためには、前回断った時点より良い通油条件が改めて提示される必要がある。黒海を巡っては、パイプライン同士による競争状態に入ってきた。 . トルクメニスタン・カスピ海に対する欧州各国の動き 3(1)ウクライナ・ポーランドの動き Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - カスピ海横断(Trans-Caspian)ガス・パイプラインは、トルクメニスタンのガスをカスピ海のCheleken半島からアゼルバイジャンのApsheron半島に至る海底地形の高まりに沿って敷設し、さらにグルジア、トルコを経由して欧州市場を目指すというもので、GE CapitalとBechtelが設立したPSG(Pipeline Solution Group)という会社により1990年代にかなり具体的な詰めが行われ、アゼルバイジャン側の合意も取り付けられていた。しかし、1999年7月にアゼルバイジャン領カスピ海沖合いのShah Deniz構造対してBP- Statoilにより掘削された坑井が発見したのが期待していた油層ではなく大規模なガス層であったことから、事態は迷走しだした。当初、アゼルバイジャンはパイプライン容量の10%を自国産ガスの輸出に充てることで合意していたが、当時約0.6兆m3(22兆cf)と云われた埋蔵量の新規巨大ガス田が発見されたことから、ガイダル・アリエフ大統領はパイプライン容量の50%を主張した。ニヤゾフ大統領がこれを断ったため計画は頓挫し、アゼルバイジャンは独自にトルコのErzurumまでの南コーカサス・パイプライン(SCP)の建設を決め、2006年暮に完成した。 よってこの状況に基本的な変化はないと思われるが、この段階に至ってアゼルバイジャンとトルコは、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - 図4 Odessa-Brody石油パイプライン位置 2)アゼルバイジャンの立場 (「かにしてトルクメニスタンのガスを両国経由で欧州市場へ運ぶか腐心するようになっている。アゼルバイジャンのNatiq Alievエネルギー相は、アゼルバイジャンはトルクメニスタンからShah Denizガス田からの輸送に使われている南コーカサスパイプラインへ繋ぎ込むことを希望している。更に、係争となっているKyapaz油田(トルクメニスタン名Serdar)についても、トルクメニスタンとの共同開発を志向しており(PON, 2007/5/04)、ニヤゾフ時代と大きく異なる対応を見せている。 Shah Denizガス田は2006年生産開始となったが、生産1号井(SDA-1)のケーシングからのリーク問題があり、2度生産を停止している。2号井は2月に生産開始となり、別に既に2坑のプレ・ドリル坑井があって、本年中に4号井まで仕上げられる予定であり、2007年中に年産換算のレートで80億m3のガスと日産3万バレルのコンデンセートを生産する見込みである(PON, 2007/5/30)。トルコへの輸出量は、当初20億m3、供給開始4年後から年66億m3とする計画である。その他、アゼルバイジャン国内に年15億m3、グルジアに8億m3を供給する。SCPパイプラインは第2フェーズとして、年間160億m3という計画がある。天然ガスの受け入れ企業は、トルコはBotas、グルジアはGIOCである。 アゼルバイジャンがトルクメニスタンの天然ガスを受け入れる意向であるとすると、それはアゼルバイジャンの天然ガスの生産量が当初予定通りでなくなる可能性を示唆する。現在のShah Denizガス田開発のフェーズ1では、北西部の水深約100mの地点に15スロットのプラットフォームが置かれているが、第2フェーズのプラットフォームはより沖合の水深の深い地点に置かれることになる。同ガス田の南東部分では水深約500mとなっている。アゼルバイジャンのトルクメニスタンのガスに対する「翻意」を巡って、Shah Denizガス田の開発スケジュールなどが絡んでいる可能性についてはまだ指摘されていないが、更に開発の進捗を注視する必要があろう。 (3)トルコの立場 Hilmi Gulerエネルギー相は、トルクメニスタンのガスを南コーカサスパイプラインへ繋ぎ込む計画は今後協議するだろうがまだ始まっていない、と述べた。同相によると、トルコはトルクメニスタンから7年間にわたって年間160億m3のガスを輸入し、更に欧州方面へのトランジットとして年間140億m3を通過させる売買契約を既に結んでいるが、その実施に関する議論はこれからであるという(PON, 2007/5/04)。 (4)EUの中央アジアエネルギー戦略 2006年春、Piebalgs委員長はEU需要の10%以上を中央アジア産が賄い得ることから、カスピ海横断パイプライン計画を支持することを表明した。次いで同年12月、Solanaエネルギー委員がニヤゾフ大統領と会い、トルクメニスタンのガス供給を要請している。但し、EUの立場は需要者側からの発想であり、政治的というよりもより経済重視で、米国の路線とは必ずしも一致しない。 - 10 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Q月のプーチン大統領によるミュンヘン演説(後述)は、苛烈なもので、米ロ関係は一気に冷却した。プーチンのこの姿勢は、4月27日の大統領年次教書まで引き継がれており、一部に「新冷戦」といった言葉が取り沙汰されるほど、両国関係は剣呑な状況となった。これは米国のMD計画によるポーランドとチェコでの施設建設計画、拡大NATOに対する配備問題が直接の引き金である。5月15日にクレムリンを訪問した米国のライス国務長官は、公式対話での批判的言辞を緩和することを提唱したが、同じ席で、「米国の力の行使について懸念があるならば、対話は可能であり、米国が立腹することはない」と述べた融和を働きかけた。続けて「旧ソ連から独立した諸国と米国との関係拡大については、米国は大国であり、いかなる地域とも関係強化を図るのは当然である」と確固たる態度で語った(NewYorkTimes, 2007/5/17)が、米国の基本的な姿勢がここに示されている。 (2)Matt Bryza国務省欧州ユーラシア担当補佐官講演 本年3月8日、イスタンブールにおける同補佐官の講演は、米国の中央アジア・中東に対する姿勢を述べた包括的なものであり、米国の政策理解において基本的な資料と思われる (PON, 2007/3/12)。 ①基本的な立場 ・米国の基本的な戦略はロシアによるカスピ海資源の輸送独占を排除する点にある。BTC、Baku-Supsaパイプラインがこの実例である。 ・カスピ海のガス生産者がロシア-欧州ライン以外の搬出ルートを持つことが最も重要である。 ・但し、米国企業がガスを生産する訳ではなく、米国へのガス輸入もない。 ・米国は補助金をばらまくのでもなく、圧力を加えるのでもなく、過った情報を排除することに努め、円滑な投資が行われるのを助けるために行動する。 ②欧州市場の位置づけ ・欧州市場に競争状態を作ることが重要である。 ・ガスプロムは独占体であり、競争を妨げる存在であって牽制する必要がある。 ・欧州市場に中央アジアのガスを導入することにより競争状態を作ることが可能となる。 ・これにより、Gazpromに対しては、ガス価格を引き下げ、未開発資源の有効利用を促せる。ロシアはガスの生産不安があるが、これにより改善するであろう。 ③アゼルバイジャンの位置づけ - 11 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 .米国の中央アジアエネルギー戦略 4(1)CIS諸国に対する米国の姿勢 E南コーカサス・ガス・パイプラインが完成したがこれを歓迎する。このパイプラインを通り、他のカスピ海のガスが欧州に向かう上での重要な第1ステップとなる。 ・アゼルバイジャンのガス埋蔵量は1兆m3あり、2012-2014年までに生産量を200億m3/年に増加することが可能である。2030年までに300億m3/年が生産できる。即ち、Interconnector-Greece-Italy(IGI)とNabuccoの両パイプラインに供給するに十分な量があるということだ(筆者注:IGIの通ガス量は80-100億m3/年、Nabuccoは255億m3/年であり、アゼルバイジャンの生産量がその合計にまで達していない上、アゼルバイジャンやトルコの需要を考え合わせると荒唐無稽な推計と思われる。米国の主張には、時にこのような裏付けの弱い面が散見される) ・アゼルバイジャン-ギリシャのガス輸送契約は2008年締結見込みである。 ④ 中央アジア諸国の位置づけ ・ガスプロムは、中央アジアのガスを$100/1,000m3で買い、欧州に$280-$300で売っており不当である。 ⑤ 中東諸国の位置づけ ・イランのガスを“Nabucco” 等欧州向けパイプラインに供給するのは米国内法の下では支持できない。しかし、イランのガスがトルコに供給されることは問題がなく、インド、中国に行くことも悪いことではない。 ・イラクがこれからは欧州に対する重要なガス供給者となる。現在、米、トルコ、イラクの3国でイラクのガス開発の協議中である。 2) 米国による中央アジア地域への働きかけ 以上のような米国の基本的政策を踏まえ、昨年来、米国は中央アジア諸国に対して、以下のような具体的な働きかけを行って来た。 ① 2006年4月:ライス国務長官がトルコ、ギリシャ訪問。ロシアからのみのガス輸入に懸念表明。 ② 2006年5月:チェイニー副大統領がカザフスタン訪問。Baku-Eruzurumの南コーカサスパイプライン(SCP)、及びカスピ海横断パイプラインの重要性に言及。 ③ 2007年3月:南中央アジア担当補佐官Steven Mannがトルクメニスタン訪問。ベルドイムハメドフ大統領に会い、カスピ海横断パイプラインについて働きかけ。 ④ 2007年3月22日:米国はアゼルバイジャンと、カスピ海横断パイプライン計画を含むカスピ海地域エネルギー安全保障に関するトップレベル対話を用意するMOUに調印。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 - これまで、トルクメニスタンの天然ガス埋蔵量に関しては、依然として不透明な部分が多い。確認埋蔵量に関しては、BP統計によれば2.9兆m3(102兆cf)である。Cdigasも2.85兆m3とこれに近い。USGS(2000)はこれより大きく、4.1兆m3(146.5兆cf)となっている。 (2)天然ガス資源量 最新の報道によると、トルクメニスタンのガス資源量は20兆m3(700兆cf)、石油資源量は4億トン(約29億バレル)以上と言われている(PON, 2007/5/07)。天然ガスの資源量に関しては、USGS(2000)における評価10兆m3(350兆cf、表参照)に比して、2倍近い値にまで伸びている。 最近のトルクメニスタン側の発表によれば、22兆~25兆m3(777~883兆cf)と更に大きくなっている図5 トルクメニスタンの天然ガスを巡る各国の対応 . トルクメニスタンの天然ガス状況について 5(1)天然ガス確認埋蔵量 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 13 - (PON, 2007/5/15)。 \ カスピ海周辺諸国の天然ガス埋蔵量 単位:兆cf Country /Basin Ulmishek & Masters (1993) USGS(2000) 確認 埋蔵量 未発見埋%累計 生産量7.106.50.66.0-6.068.54.064.522.5104.1Kazakhstan North Caspian S. Mangyshlak Ustyurt Azerbaijan Middle Caspian South Caspian Turkmenistan South Caspian Amu Darya Uzbekistan 合 計 既 発見 60 7 25 8 70.417.3146.582.9317.1蔵量 215.0209.05.01.023.6-23.690.915.875.128.1357.681.6 80.0 1.2 0.4 18.0 - 18.0 162.0 12.0 150.0 50.4 312.0 未発見埋蔵量 %計 海洋 72.3 2033.7 30.5 62.8 3.7 2.8 5.7 0.4 67.5 1965.9 1.6 1.6 65.9 64.3 207.7 5765.3 69.5 65.3 - 138.2 4 15.0 2.3 167.2 362.6 陸域38.632.30.95.31.601.6142.44.2138.212.8195.42005年5月、ニヤゾフ大統領・胡錦涛会談で、トルクメニスタン・アムダリア河右岸の天然ガス田(Sandyki, Demirgazak Beshir, Akogumolam)をPS契約による中国の参加のもとで開発し、年間300億m3を中国へ供給する計画が話し合われた。7月には共同石油ガス開発のために中国が$2,400万を貸し付けることで合意している(FSU Energy, 2006/4/07)。 更に、2006年の4月3日、北京を訪問したニヤゾフ大統領は、胡錦涛主席との間で、アムダリア河右岸から中国に到る3,000kmのガス・パイプラインを建設することで合意した。容量は300億m3/年、2009年から30年間に渡って供給するというものである (PON、2006/4/05)。 アムダリア河右岸のガス田はAmu Darya盆地の主部に位置し、一説では-埋蔵量が1.4兆m3(50兆cf)あると言われてポテンシャルの高い地域であるが、Dauletabadガス田等のあるMurgab盆地に比較して開発は進んでいない。このガス田地帯は、トルクメニスタン領内のCACパイプラインよりも、ウズベキスタン側のパイプラインの方が近く、開発にはウズベキスタンとの連携が不可欠と考えられてきた。 4月30日に、中国国家発展改革委員会の馬凱(Ma Kai)主任とウズベキスタンのRustam Azimov副首相は、ウズベキスタンの天然ガスを中国に輸出する総延長530km、通ガス能力300億m3/年のパイプラインを建設する政府間合意書(Intergovernment Agreement)に調印した(PON, IOD, Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 14 - 出典: Ulmishek & Masters (1993) and USGS (2000) 3)アムダリア河右岸地域と中国との関係 (007/5/03)。しかしながら、ウズベキスタンの天然ガスの生産量は年間約600億m3でほぼ横這いである(図1参照)。国内需要は約500億m3/年で、ロシアには年間70億m3が、近隣のタジキスタン、キルギス、カザフスタンにも年間50億m3前後を輸出しており、新たに年間300億m3ものガスを輸出余力は到底見込めないもので、この報道には疑問を呈する向きが多かった。これは、アムダリア河対岸のトルクメニスタンの天然ガスを輸出するための計画と解釈される。そしてその多くはCNPCの権益ガスになると見込まれる。 カザフスタンは、ルートは不明ながら中国向け天然ガス・パイプラインの構想を進めており、2006年4月のトルクメニスタンと中国の天然ガス・パイプラインにおける合意の際にも、カザフスタンの通過については問題ない旨発言している。これらを総合して考えると、トルクメニスタンの天然ガスを、ウズベキスタン、カザフスタン経由で中国へ運ぶパイプライン構想はかなり現実味を帯びてきている印象である。中国側の受け入れ地は、イリ盆地では天山山脈の中であるため地形的に困難であり、カザフスタンからの石油パイプイランと同様に阿拉山口(Alashankou)となると思われる。重要なのは、この多国間パイプラインが中国側のイニシアチブの元で、着々と構想が進められている点である。 (4)Murgab盆地における新規発見 2006年11月に、ニヤゾフ大統領はMurgab盆地のMary市東方(位置は図2参照)において、埋蔵量7兆m3(240兆cf)というYoloten Gunorta(South Yoloten)ガス田を発見したと発表した(Oil and Gas International, 2006/11/06)。埋蔵量が巨大すぎることと、大統領個人の信頼性の問題から、このニュースは後追い記事が現れなかったが、同地には既にガス田が発見されており、今回何らかの大規模な鉱床が追加的に確認された可能性がある。このガス田は中国のCNPCが掘削請負契約を結んでいる。5月16日には、トルクメニスタン政府はCNPCとSouth Yoltenガス田に対して今後3年間に12坑の評価井を掘削することで合意した(PON, 2007/5/21)。 (5) Chevronによる新規プロジェクトの動き 5月3日、ベルドイムハメドフ大統領はChevron副社長Guy Hollingsworthを招いて会談し、石油精製、カスピ海での炭化水素探鉱開発などについて、広範な提携を行うと発表した(IOD, 2007/5/07)。トルクメニスタン側の関心は、海洋開発技術、大深度掘削技術、エネルギー輸送技術にあるという。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 15 - 考] プーチン大統領のミュンヘン演説 [参 2月21日の第43回ミュンヘン安全保障会議(注参照)におけるプーチン大統領のスピーチは、冒頭に「外交辞令なしに本当に考えていることを述べる」と前置きした後、米国による一極支配とMD配備計画を非難するなど、かなり踏み込んだ異例の内容となった。これは、「新冷戦」を予感させるものとして大きく報道され、この論旨は同大統領としては最後となる4月27日の年次教書演説まで引き継がれている。あまり注目されなかったが、プーチン演説の後半部分ではロシアのエネルギー政策に言及しており、2006年初頭のウクライナ問題以来議論されているエネルギー供給国としてのロシアの立場を総括した内容となっている。主な論点は、以下の通り(ミュンヘン安全保障会議事務局ホームページによる)。 (1)市場価格への移行:エネルギー価格は市場により決定されねばならず、政治的な悪用、経済的な圧力や脅迫(blackmail)の対象となってはならない。 (2)国際協力:ロシアの石油生産の26%は外国企業によるものであり、ロシア企業の海外進出の度合いを遥かに上回り、ロシアが進出している実績の15倍である。ロシアは、OECDによる国家リスク評価では、第3グループから第4グループに格上げとなり、WTO加盟問題は最終段階に来ている。 (3)資源供給の信頼性:「ロシアは資源供給の信頼性を確保できるか?」との質問に対して ロシアはエネルギー供給とその安全保障において責任ある行動をとることができる。ロシアの目的は、消費国及び通過国との関係を透明性ある市場原理に移行し、長期契約を実現することである。 注)ミュンヘン安全保障会議:米・欧における安全保障に関する最も格の高い国際会議の一つで、1962年発足以来毎年2月に開催。ワルシャワ条約機構解体後は、ロシア及び中・東欧諸国の要人、関係閣僚も出席。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 16 -
地域1 旧ソ連
国1 トルクメニスタン
地域2 旧ソ連
国2 ロシア
地域3 旧ソ連
国3 アゼルバイジャン
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,トルクメニスタン旧ソ連,ロシア旧ソ連,アゼルバイジャン
2007/05/30 本村 真澄
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。