ページ番号1003654 更新日 平成30年2月16日

ベネズエラ: 炭化水素資源に依存した上での、域内リーダーシップに将来はあるか?

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レポートID 1003654
作成日 2007-06-12 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日: 2007/6/12 ヒューストン事務所: 伊原 賢 ベネズエラ: 炭化水素資源に依存した上での、域内リーダーシップに将来はあるか? 資源ナショナリズム政策が顕著に見られるベネズエラの石油事情の中で、2005年よりチャベス政権が中南米域内で進めるエネルギー協定を概観し、同政権が目指す炭化水素資源に依存した域内のリーダーシップについて考えてみた。 (IHS) 999年の政権発足以降、チャベス大統領は、開放路線を成功させてきた国営石油会社PDVSAの経 1営陣を刷新し、PDVSAを完全に政府の支配下に置いた。この表れとして、ベネズエラはOPECにおける行動を一変させて協調減産を呼びかけ、OPECの復権と高油価への道筋をつけたと言われる。また、石油・ガス産業を含む一連の国有化を始めとする政策変更を大統領令で実施できるようにする特別法を2007年2月に制定した。2007年1月より3期目に入り、これまで以上に独裁傾向を強め、権力の強化、長期化を図っている。 ベネズエラは世界最大規模の石油ポテンシャルを持つが、国内では資源ナショナリズムと社会主義的政策により外資の開発投資の大幅なスローダウンを招き、本来大幅に増加するはずの石油生産量が伸び悩みを見せている。 一方、チャベス大統領は石油の政治利用(反米、親中南米/中国ほか)を進め、国際政治の緊張化を導き、石油市場の需給逼迫への懸念材料の一つとなっている。その石油の政治利用の一つに、中南米ベネズエラ政府の肝いりで、PDVSAは、エネルギー戦略の一つとして、2005年より、中南米諸国と200億ドル強にも達するエネルギー協定を締結している。協定はPetrocaribe, Petrosur, Petroandinaという枠組みを利用している。 Petrocaribe Supply Agreements(ペトロカリブエネルギー協力協定)は、ベネズエラからカリブ諸国へ低価格の原油や石油製品22万バレル/日程度を、トレーダーなどを通さずに直接供給する協定である。ベGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 諸国と締結したエネルギー協定が上げられる。 . PDVSAのエネルギー協定 1lズエラの発表価格50ドル/バレルをベースにすれば、年間40億ドルの取引となるが、内16億ドルは年利1%で25年に亘る支払いが可能。また、油価が50~100ドル/バレルの範囲であれば購入代金の40%は融資、50ドル/バレルを切っても購入代金の30%程度は融資してあげるという輸入国にとって、有利な条件となっている。 PetrosurやPetroandina(ペトロカリブのアンデス諸国版)の枠組みでは、エクアドル・ブラジル・ボリビア・パラグアイ・ウルグアイ・アルゼンチンに低価格の原油や石油製品を計8.5万バレル/日供給する。Petrocaribeとほぼ同じ支払い条件に加え、農畜産物ほかの現物支払いも可能だ。 この他、政治的な結び付きの強いボリビアとの協定は、エネルギー分野に限らず、大豆やコカの栽培、軍事の増強にも及ぶ。国営石油会社YPFBへは、天然ガス産業の国有化へのアドバイスや15億ドル超の技術協力も謳っている。投資への返済は、大豆やボリビア特産品ほかの現物支払いも可能としている。エクアドルに対しても、ベネズエラは、ボリビアと同じようなアプローチを取っている。エクアドルは40万バレル/日強の石油輸出国ではあるものの、精製設備能力が18万バレル/日程度と不十分であることから石油製品を輸入している。エクアドルの石油製品輸入額は年15~25億ドルにも及ぶことを考慮して、同国オリエンテ原油6.5万バレル/日をベネズエラにて低コストで精製することを提案した。精製コストはエクアドルの輸出する原油現物での支払いも可能とした。また、PDVSAはエクアドル国営石油会社Petroecuadorに対して、ブロック16での油田操業に加え、重質であるが故に国際市場では余儀なくされるエクアドル産原油のディスカウント額を減らすことにも、力を貸すとした。 2. エネルギー協定の現状分析 2005年初頭より締結されたエネルギー協定は、将来予測や計画の甘さから、順調に事業に結びついているとは言えない。例えば、Petrocaribe Supply Agreementsは、受入ターミナルや貯蔵設備の不備から、履行に遅れを生じている。結果として、協定にサインした国の半分は、低価格の原油や石油製品の輸入を2010年まで待たねばならない。エクアドルへの提案は、同国にとって好ましい内容かに見えたが、エクアドルはボリビアのようにベネズエラに政治的に迎合している訳ではなく、原油と石油製品との交換条件について共通認識が得られず、ベネズエラと同国の協議は、交渉開始後すぐに頓挫した。これらはPDVSAの技術力低下と計画性の無さが大きく影響している。 このような協定の進捗滞りは、ベネズエラ政府の打ち出したエネルギー戦略の持続性に影を投げかけている。エネルギー協定の思想は、ベネズエラが石油資源を武器に中南米諸国に対して(体力以上に)金銭的なパトロンとなり、中南米のエネルギー戦略をリードするというものだが、中南米諸国の多くは、石Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 緖糟ケだけに頼らない他産業の成長に基づく、経済成長を志向している。 この戦略ではPDVSAは他の国営石油会社に技術支援を施すと謳っている。しかしながら、PDVSA自体が国内操業に技術・人材不足の問題を抱えており、チャベス大統領の注力する貧民層を対象とした教育、医療などの社会プログラムの充実は、2012年までに原油生産を580万バレル/日まで倍増させるとしたPDVSAのビジネスプラン(Plan Siembra Petrolera、2005年8月)の実現に不可欠な探鉱・開発に当てられる資金(最低でも400億ドル必要と言われる)がさらに減少することを忘れてはならない。 中南米諸国は、チャベス政権のベネズエラに追従するのだろうか? チャベス政権の政策に一貫しているのは、米国との関係を減らし依存関係をなくし、中南米における政治力・影響のバランスを変えていきたいとの意向である。即ち、中南米の他国がエネルギー供給をベネズエラに依存する体制をつくりたいとの思いが強い。例えば、膨大な建設費用、エンジニアリング上の課題が問題点として挙げられるベネズエラ-ブラジル-アルゼンチンを縦断する「南米天然ガスガスパイプライン計画」やPetrocaribe Supply Agreementsも、追従させたい意向の表れだ。 一方、中南米諸国には、チャベス政権の意向に反した動きも見られる。メキシコは10年もNAFTAのメンバーであり、ペルー・コロンビアは米国とのFTAについて批准プロセス中だ。米国との結びつきが強いCommunity of Andean Nations (CAN)には、米国とのFTA交渉の動きがある。ボリビアも米国とのFTA協議を継続したいとの意向ありと聞く。CANやメキシコ・コロンビアとの貿易協定からのベネズエラの離脱は、その表れだろうか? また、アルゼンチン・ブラジル・ウルグアイ・パラグアイ・ボリビア・チリで構成する自由貿易ゾーンMercosurは、外交上ベネズエラの主張する社会・政治的な連携は考えていない。 2004年頃から顕著な上流投資減少の動き(大量解雇後のPDVSAの計画立案能力・技術力の不足、PDVSA探鉱開発資金が貧民層救済のための社会プロジェクトへ移動)がマイナスのベクトルを働かせ、新たなベネズエラでの活動は、米国から中国や中南米諸国の国営石油会社へと主流が移りつつある。一方、PDVSAは、2012年までに原油生産を580万バレル/日まで倍増させるとした増産計画Plan Siembra Petorleraを打ち出したが、現在の原油生産は250万バレル/日程度に落ち込んでいると言われる。増産計画は、関係者の間では非常に楽観的な予想と言われる。その理由に、PDVSAの探鉱・開発に当てられる資金が十分確保できるかとの危惧があることは前にも述べた。 資源の国有化-ルールがなくなるというサイクルは中南米で歴史的によく見られるが、結果的に、投資の低下、誤った管理、産業の萎縮に結びつくことが多い。ベネズエラの計画が現状のままでは、PDVSAの資金は、政府主導の海外展開、他国のインフラ整備、貧民層救済資金に主に使われることとなり、自国の石油資源の探鉱・開発に当てられる資金が不足しよう。原油の増産計画の実現には、(現状のGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - ネ上 チャベス政権が望むとは思えないが)技術力・資金力のある外国の石油会社の助けが必要となろう。原油生産量増加への投資を、チャベス大統領はどのように政治的に舵取りするのだろうか、今後を見守りたい。 3. 域内リーダーシップの将来 今後も、ベネズエラ政府は歳入を石油に大いに依存するため、他の産業が育たず、チャベス政権でも石油依存の体質は過去と変わらないと考える。 資源の国有化-既定のルールがなくなるというサイクルから脱皮できないのは、政治と市場の相互作用の表れであろう。政治の市場への介入がつよいと感じられる。そこには、制度化され合理的な市場・経済原則を犠牲にした、チャベス政権の政治目的を実現するための扇動活動が読み取れる。 チャベス政権が目指す、炭化水素資源に依存した域内のリーダーシップには、果たして明るい将来は待っているのだろうか? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 -
地域1 中南米
国1 ベネズエラ
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,ベネズエラ
2007/06/12 伊原 賢
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