ページ番号1003657 更新日 平成30年2月16日

原油市場他:懸念続出で上昇する原油価格

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レポートID 1003657
作成日 2007-06-18 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <作成日:2007/6/17> <石油・天然ガス調査グループ:野神 隆之> (IEA、米国DOE/EIA、OPEC他) ① 米国では5月後半に一時製油所稼動率が上昇、ガソリン生産が増大した他、輸入も堅調だったことからガソリン在庫が増大を示した時期もあったが、6月に入り再び製油所稼働率が低迷したこともあり、ガソリン在庫水準の増加割合が鈍化、現在も引き続き平年を割り込んでいる。他方原油在庫は一定水準を維持しており、平年を上回った状態となっている。 ② 夏場のドライブシーズンに突入した米国では、ガソリン在庫が低水準のままとなっていることから、市場におけるガソリン供給不足に係る不安感が根強く、加えてイランのウラン濃縮活動を巡る西側諸国との対立、パレスチナ自治政府の事実上の分裂なども絡んで、原油価格は1バレル当たり概ね63~68ドル程度で推移、特に5月末以降は概ね上昇傾向となった。 ③ 今後も、低水準の米国ガソリン在庫と地政学的要因、平年を上回るハリケーンの発生予想等市場における懸念要因には事欠かないことから、当面原油価格が上昇しやすい状況が続くものと考えられる。 ④ 天然ガス市場においては、米国の価格が英国の価格を上回る状況が続いており、米国のLNG輸入が記録的水準となっている。 ⑤ 5月21日にICEドバイ、6月1日にDMEオマーンの先物取引がそれぞれ開始された。中東産原油の価格形成プロセスの透明化に資することが期待されるが、現在のところ出来高が限定的であり、どのようにして取引量や参加者を増大させ、流動性のある市場にするかが課題であると言えよう。 . 原油市場等を巡るファンダメンタルズ 1米国では、5月後半には製油所の稼働率が91%程度にまで上昇(図1参照)し、ガソリン生産が増大(図2参照)、欧米間のガソリン価格差に伴う米国へのガソリン輸入の増大(図3及び4参照、6月8日の週においては米国へのガソリン輸入が減少したと伝えられているが、これについては、ガソリン輸入低下傾向の始まりなのか、それともタンカー到着スケジュールの関係で輸入統計への登録が次週にずれこんでしまったことに伴う一時的なものなのか、という点について判然としない部分があり、今後の米国石油統計の発表を待つことになろう)と相俟って、ガソリン在庫が増大傾向を示した。しかしながら、米国では引き続き製油所の停止が発生しており(表1参照)、平年であればこの時期稼働率が93~97%程度になるところが、6月に入って再び90%を割り込むなど低迷したことから、ガソリン在庫増加割合が鈍化、その結果在庫水準は依然として平年を下回った状況が続いている。一方米国の原油在庫は製油所の活動がGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 原油市場他:懸念続出で上昇する原油価格 ス年に比べると総じて不活発であることから、普通はこの時期減少する傾向を示す原油在庫が減少せず、結果として平年を上回る状態となっている(図6参照)。 またWTIが引き渡される地点である米国オクラホマ州クッシングにおいては、原油在庫はかつてに比べれば減少してきているが、それでも依然として高水準のままとなっており(図7参照)、このためWTIの価格がブレントのそれを下回る状況が続いている(図8参照)。一方最近一部石油会社が原油を貯蔵すべく米国メキシコ湾において大型タンカー(いわゆるULCCもしくはVLCC)を調達する動きがあると伝えられる。背景としては、クッシングを始めとする米国南部の陸上原油貯蔵タンクの貯蔵水準が高く、輸入原油を受け入れる能力が低下していること、原油先物価格が先高状態(いわゆる「コンタンゴ」)となっており、将来の原油調達を先物市場において期先物で予約するよりも、期近物を調達して現物を入手したうえで、大型タンカーに貯蔵しておいた方が割安であると思われること、OPEC産油国の減産もあり、タンカー市況が概ね低位で安定していることから、比較的手頃な料金で大型タンカーを調達できる(賃料は1日あたり50,000~60,000ドルとされる)ことなどが挙げられよう。 図1 米国精製稼働率の推移%100959085801234567891011122002-2006実績2007出所:米国エネルギー省 日量百万バレル図2 米国のガソリン生産量(2005~7年)9.598.587.57123456789 101112123456789101112123456注:4週間移動平均2005-72004-6出所:米国エネルギー省 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 竡~能力(kbd*)備考(停止原因他)67計画的停止NA計画的停止18115計画的停止NANANA計画的停止NA計画的停止247落雷に伴う火災と停電NANA触媒に問題発生NANANA計画的停止NA計画的停止200計画的停止NA火災4025NA計画的停止NA44停電NA機械的不具合NA33計画的停止NA12フィルターに不具合NANA計画的停止 図3 米国(NY)欧州(ロッテルダム)のガソリンスポット価格差の推移(2007年)23456出所:米国エネルギー省ドル/バレル14121002468-21日量百万バレル図4 米国のガソリン輸入量(2005~7年)1.801.601.401.201.000.800.600.40123456789101112123456789101112123456注:4週間移動平均2005-72004-6出所:米国エネルギー省 表1 2007年5月18日~6月15日の北米における主な製油所の操業停止例発生再開会社操業を停止した施設6月23日ConocoPhillips6月19日ConocoPhillipsBoger5月18日 2007年第4四半期ConocoPhillips5月30日BP5月22日Delek6月5日CitgoNAValero5月30日Citgo製油所名BogerPoncaCityTexas CityTylerCorpus ChristiCorpus ChristiCorpus Christi州テキサステキサスオクラホマテキサステキサステキサステキサステキサスFCC脱硫装置原油処理装置接触分解装置脱硫装置接触分解装置接触分解装置脱硫装置5月24日ConocoPhillipsBelle Chasseルイジアナ製油所全体5月25日Alon USA5月29日ValeroNAAlon USA5月30日Delek7月20日Suncor6月15日MotivaBig SpringMcKeeBig SpringTylerAlbertaテキサステキサステキサステキサスアルキレーション装置接触分解装置軽油水素化精製装置ボイラーアルバータ改質装置Port Arthurテキサスボイラー(接触分解装置)2ヶ月程度ChevronEl Segundoカリフォルニア原油処理装置6月8日Imperial6月19日Valero6月19日ValeroNAValeroNADelekEdmontonHoustonアルバータ原油処理装置テキサス接触分解装置KrotzSpringルイジアナ接触分解装置Corpus ChristiTylerテキサステキサス接触分解装置脱硫装置6月12日ConocoPhillipsArroyoGrandeカリフォルニア製油所全体NABPNACitgo6月20日Valero6月15日Total6月15日Valero6月15日TotalTexas CityCorpus Christiテキサステキサスコンプレッサー原油処理装置Ardmoreオクラホマ接触分解装置Port ArthurCorpus ChristiPort Arthurテキサステキサステキサステキサスアルキレーション装置水素化分解装置コンプレッサー、接触分解装置他コーカー6月20日Flint Hills ResourcesCorpus Christi5月18日5月18日5月19日5月20日5月21日5月22日5月23日5月23日5月24日5月24日5月27日5月28日5月31日6月1日6月1日6月2日6月5日6月5日6月5日6月5日6月8日6月9日6月12日6月13日6月14日6月14日6月14日6月15日※一部推定*:日量千バレル出所:各種報道等から作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - ECD諸国全体としても、冬場の暖房用石油需要期の終了や製油所メンテナンスの影響等もあり、原油在庫は増大傾向となっており(図9参照)、依然として平年幅上限近くで推移している他、石油製油所品在庫は平年並みとなっている模様である(図10参照)。 - 4 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 図5 米国ガソリン在庫推移(2003~7年)百万バレル2402202001801234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234561997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省百万バレル図6 米国原油在庫推移(2003~7年)3703503303102902702501 23 45 67 8 91011121 2 34 5 6 78 91011121 23 4 56 7 8 9101112123 4 567 8 91011121 23 45 61997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省百万バレル28図7 クッシング地区の原油在庫(2004~7年)1234567891011122004 2005 2006 2007 出所:米国エネルギー省ドル/バレル図8 WTI-Brentディファレンシャル(2007年)34560246-2-4-6-8-102262422201816141210007年5月下旬から6月中旬にかけての原油価格は、米国における夏場のガソリン供給不足懸念等を背景として、特に5月末以降は上昇基調で推移した(図11参照)。 図11 原油価格の推移(2003~7年)ドル/バレル80706050403020123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456WTIBrentDubai 5月20日にナイジェリアの武装勢力MEND(The Movement for the Emancipation of the Niger Delta:ニジェール・デルタ解放運動)が、同国からの原油輸出をさらに停止させるべくパイプラインへの攻撃を加える予定である旨明らかにしたことから、5月21日には原油価格はWTIで前日比1.33ドル上昇し1バレル当たり66.27ドルとなった。ただ、5月22日には、WTIの6月渡し先物契約が取引期限を迎えることから、購入していた契約を売却する動きが出た他、翌日に発表される予定の米国石油統計で、製油所の稼働率の上昇とともにガソリン在庫が増大しているものとの見方が出てきたこともあり、原油価格は1.30ドル下落の1バレル当たり64.97ドルと5月21日の価格上昇幅をほぼ打ち消した。果たして5月23日にGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - . 2007年5月下旬から6月中旬にかけての原油市場等の状況 2123456789101112123456789101112123451995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定 図10 OECD石油製品在庫の推移(2005~7年)億バレル1615141312図9 OECD原油在庫推移(2005~7年)億バレル10.510.09.59.08.58.012345678910111212345671995-20042005-7910111284出所:IEAデータ他より推定1235 ュ表された米国石油統計では、ガソリン在庫は市場の事前予想(80~140万バレルの増加)を上回るか、ほぼ予想通りの水準である150万バレルの増大となり、製油所の稼働率も2007年1月5日以来の高水準である91.1%となっていたことが、原油価格に下方圧力を加えた一方で、同時にガソリン需要が前年比1.2%の増大となっているとの発表があったことや、イランが国連安全保障理事会により決議されたウラン濃縮期限(5月23日)までに活動を停止しなかった旨IAEAから報告があったこと、米国海軍艦体9隻がイラン沖合に現れ5月24日に軍事演習を開始したこと、ValeroのMcKee製油所(米国テキサス州)がメンテナンスを実施することによりガソリン生産を停止すると発表したことが、原油価格に上方圧力を加えたことから、5月23日から25日にかけては、原油価格は1バレル当たり概ね64ドルから66ドルの間で推移することになった。 5月29日(5月28日は、米国は「戦没将兵追悼記念日」(メモリアル・デー:Memorial Day)により通常の原油先物取引は行われなかった)には、ナイジェリアでヤラドゥア(Yar'Adua)新大統領が混乱なく就任したことで、同国からの原油供給が安定化するのではないかとの観測が出てきたことに加え、石油産業関係の2労働組合が、政府がPort Harcout及びKadunaにあるナイジェリア国営石油会社(NNPC)の製油所を売却することに抗議して、5月24日より実施していたストライキについて、5月26日に政府側が製油所の権益の過半数を維持することや、労働者に対し15%給与を引き上げることにつき合意したことにより、当該ストライキが中止されたことで、同国からのさらなる原油輸出途絶懸念が後退したこともあり、同日原油価格は前取引日と比べて2ドル強下落の1バレル当たり63.15ドルで取引を終了した。しかし市場では米国での夏場のガソリン供給不足懸念が依然として根強かった他、5月30日にはShellから、ナイジェリアで同社の運営する原油輸送パイプライン(Bonny輸出ターミナルへ原油を輸送)を沿線の地域住民が5月29日に襲撃したことで、日量15万バレルの原油生産が停止した旨の発表があったこと、5月31日には同日発表された米国石油統計で、原油在庫が市場の事前予想(30~100万バレルの増加)を覆す、200万バレルの減少となっていたこと、6月1日には、漏出の疑いで5月29日に操業を停止したColonial社の石油製品パイプライン(テキサスからニューヨークへとガソリン等を輸送していると伝えられる)の操業再開が当初予定よりも遅れる旨明らかになった(実際には6月3日に操業再開)ことや、BPのWhinting製油所(原油精製処理量日量42万バレル、3月26日に火災と停電により一部施設の操業が停止)の操業再開が当初の予定であった6月半ばから9月にずれ込むとの発表があったから、原油価格は概ね上昇基調となり、6月1日には1バレル当たり65.08ドルとなった。 6月4日には、インド洋で発生したサイクロンGonuが勢力を強めつつ中東湾岸地域へと進入しつつあったことから、同地域での石油生産及び輸出が停止するのではないかとの不安感が市場で増大してきたことから、原油価格は上昇し、1バレル当たり66ドル台となったものの、6月5日には、サイクロンGonuが接近するオマーンで原油を輸出するMina al-Fasal港(積出能力日量65万バレル)が停止したものGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - フ、サイクロンは中東湾岸産油国の主要石油施設を直撃しない見通しとなったことで、石油供給に与える脅威が減退したと受け止められ、原油価格は1バレル当たり65ドル台へと下落した。ただ、6月6日には、クルド人ゲリラを追って数千人のトルコ軍がイラク北部に進入したとの情報で、中東地域情勢をめぐる緊張が高まった他、6月7日には、前日発表された米国石油統計で、上昇すると思われていた製油所の稼働率が低下していたこと、オマーンの原油積出港が依然として操業を停止したままであったことで、サイクロンの影響が当初予想したものよりも大きなものであるのではないか、という観測が出てきたこと、ハムリ(Hamli)OPEC議長が石油供給は十分なされており増産を協議するような緊急会合は必要ない旨示唆したことから、原油価格は上昇、同日には一時1バレル当たり67.42ドルを記録した(終値は1バレル当たり66.93ドル)。その後6月8日には、市場で債券利回りの上昇からインフレ懸念が増大、商品先物市場全般に売りが出たことで、原油価格は1バレル当たり64.76ドルへと急落している。 6月11日には、サウジアラビアが7月積みのアジア及び欧州向け原油供給を引き続き削減したままとすると通告したことで、原油価格は反発し、再び1バレル当たり66ドル近辺へと上昇したものの、6月12日には、翌日に発表される予定の米国石油統計で、製油所の稼働率が上昇することによりガソリン在庫が増大する(事前予想は150~200万バレルの増加)との見方が強まったことから下落した。しかしながら6月13日に発表された石油統計では、そのような市場予想に反し、ガソリン在庫が3000バレルの増加にとどまった他、製油所稼働率も減少するなどの結果となっていたことに続き、6月14日にはイランのIAEA担当大使であるソルタニエ(Soltanieh)氏が、イランはウラン濃縮技術を習得しており濃縮活動の停止は正当化されない旨の発言を行ったこと、パレスチナのガザ地区においてハマスによる暴動が激化し、パレスチナ自治政府議長がファタハとハマスによる統一政府を解散し非常事態を宣言したことで、中東情勢が緊迫化したこと、さらに6月15日に発表された米国消費者物価のコア指数(食料やエネルギーを除いたもの)が0.1%にとどまったことで、追加利上げの可能性が後退したと市場で受け止められたこともあり、原油価格は概ね上昇を続け、6月15日には、一時1バレル当たり68.30ドルと2006年9月8日以来の高値を記録した(終値は1バレル当たり68.00ドル)。 . 天然ガス市場:米国で高水準のLNG輸入 3原油市場においては、米国の指標原油価格が英国のそれを下回る状況が続いているが、天然ガス市場においては、この反対の状況となっている。米国では、4月中旬まで気温が低下する場合がしばしば発生したことにより暖房用需要が堅調だった一方、5月に入ると中西部や東海岸等で夏場に向け平年を上回る気温となるとの見方や予報が出てきたこと(太平洋海域でラ・ニーニャ現象が発生しているが、この場合夏には中西部で猛暑になる傾向があると言われている)で、空調向け電力需要の増大に伴い火力発電所での天然ガス消費量が増大すると予想されたこと、さらには2007年のハリケーンシーズン(6月Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - P日~11月30日)には、平年を上回る数のハリケーンが発生する可能性があるとの予報が複数の機関から発表された(5月22日に米国海洋大気庁(NOAA:National Oceanic and Atospheric Administration)は、2007年のハリケーンシーズンには、10~13個の熱帯性低気圧が発生し、うち7~10個はハリケーンに、さらにそのうち3~5個は強大なハリケーンになると予測しており、平年の熱帯性低気圧発生10.3個、ハリケーン6.2個、強大なハリケーン2.7個を上回る活発なハリケーンシーズンになると予想している)ことから、秋にハリケーンの米国メキシコ湾来襲で同地域での天然ガス生産が停止し、冬場の暖房シーズンを前にした在庫積み増しに支障が生じるのではないかといった不安感が発生していることから、今のうちに天然ガスをある程度調達して夏や秋に備えておく、といったインセンティブが市場関係者間で働いていることが、天然ガス相場を支えており、価格は100万Btu当たり7.3~8.2ドル(終値ベース)で推移している(図12参照)。 ドル/百万Btu20図12 天然ガス先物価格の推移(2005~7年)15105089101112123456789101112123456*:一部推定NYMEXIPE/ICE 一方英国では、天然ガス需要が低迷(需要は2005年10月以降17ヶ月連続で前年比マイナスとなっているが、これは2005年8~9月に米国メキシコ湾に来襲したハリケーンにより大西洋圏の天然ガス需給が一時的に逼迫したこと等による価格の高騰や、2005~6年及び2006~7年の冬場の暖房需要期に英国が温暖であった他、2007年の春においても温暖な気候が続いたことが一因であると考えられる)している一方で、2006年10月1日にはノルウェーからのLangledパイプラインが、11月28日にはオランダからのBBLパイプラインが、それぞれ稼働を開始し、英国に天然ガスを輸出し始めたことが、天然ガス需給を緩和させていることもあり、価格も100万Btu当たり2.9~5.1ドルで推移している。 このため、欧米間で天然ガス価格の格差が発生し、その結果LNGが、価格の相対的に高い米国へ向かう結果となっている。米国の2007年3月のLNG輸入量は868億立法フィートとなっている(図13参照)が、これは米国LNG輸入量としては史上最高である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - s場では懸念材料に事欠かない状況となっている。まず、米国で低迷する製油所稼働率とガソリン在庫の状況に、市場の注目が集まるであろう。既に米国では夏場のガソリン需要期に突入している一方で、製油所の稼動が低迷、その結果ガソリン在庫が平年幅を割り込んでおり、市場関係者間でのガソリン供給不足に関する不安感が根強いことから、米国石油統計でガソリン在庫や製油所の稼働率が市場の事前予想を下回っていたりした場合には、ガソリン価格、そして原油価格に上方圧力が加わることが予想される。 地政学的要因も気になるところである。イランがウラン濃縮活動を停止しないとの意志は強固で、西側諸国との対立はなかなか解消しそうもない。ナイジェリアにおいては新大統領が就任した一方で、ナイジェリア政府に逮捕、収監されていた武装勢力MENDの前指導者が6月14日に釈放され、今後は合法的な手段で同国南部の産油地方の石油収入増大に努める旨同前指導者が発言したと伝えられるが、6月15日になっても当該地方で外国人労働者が誘拐されており、現在日量80万バレル程度が停止しているといわれている原油生産が回復するまでには、なお時間を要する状況にある。 パレスチナ情勢も緊迫化してきている。パレスチナ自体は産油地域ではないので、同地域の情勢が直接世界の石油需給に影響を与えることはないが、イスラエル・パレスチナを巡る情勢が中東全体に波及し、中東湾岸産油国からの石油輸出が影響を受けるのではないか、といった懸念が市場で増大しやすい状況にある。 また、前述の通り2007年はハリケーンが平年よりも活発であるとの予報が出ており、この面でも市場は神経質になっている。秋にハリケーンが米国メキシコ湾の石油産業集積地に来襲した場合、冬場の暖房油需要期を前にして、在庫が十分積み上がらないのではないか、との不安感が増大することにより、夏場のガソリン需要期に暖房油在庫積み増しに伴う需要まで前倒しで発生することで、製油所に過大な負担を強いることになり、結果として製油所の故障が増加、それが原油や石油製品価格に影響するといっGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - 89101112123アルジェリアエジプトナイジェリアトリニダード・トバゴ出所:米国エネルギー省 . 今後の見通し 4十億cf図13 米国LNG輸入量の推移(2006~7年)9080706050403020100ス可能性も考えられる。 一方、最近投機筋等からの原油市場への資金流入も活発である(図14参照)。市場関係者の中には、原油価格が下落しても、それを新たな投資機会の到来と見て資金が流入することから、その下落が続かず、再び価格が上昇に転ずる傾向にある、と見る向きもある。 図14 NYMEX原油市場における投機筋の動き(2006~7年)百万バレル100806040200-20-4089101112123456出所:米国CFTC このような状況から、原油価格は上昇しやすい状況にあり、下落基調に転ずるといった場面は当面考えにくい状況になっている。例えば、このような状況下で、中東情勢がさらに悪化する、もしくは油田で事故が発生して生産が停止してしまう、といった事態が発生すれば、原油価格は急上昇する可能性も考えられる。 なお、原油価格やガソリン価格の高騰にもかかわらず石油需要の伸びが堅調であるとの報告がなされることが最近しばしばある。しかし例えば米国で毎週発表される石油統計では確かに石油需要が堅調に伸びていることが示されているが、約2ヶ月後に発表される月間統計発表時の数値と比較してみると、週間石油統計発表時よりも下方修正されている傾向がある(図15及び16参照)。2006年4月から2007年3月については、週間統計発表時では米国ガソリン需要の前年同期比増加率が平均で2.0%になるのに対して、月間統計発表時のそれは1.2%、同様に石油需要については、週間統計発表時では1.4%に対して月間統計発表時では0.1%となっている。月間統計が発表されるのは、週間統計発表の約2ヶ月後となることから、原油価格や石油製品価格は週間統計発表時の数値に基づき変動することが多いが、それは必ずしも実態を反映したものではない可能性があることに注意する必要があろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - }15 米国ガソリン需要の伸び(2006~7年)%543210-1-212345678910111212345※2007年4~5月の月間統計は未発表週間統計発表時月間統計発表時出所:米国エネルギー省図16 米国石油需要の伸び(2006~7年)%86420-2-412345678910111212345※2007年4~5月の月間統計は未発表週間統計発表時月間統計発表時出所:米国エネルギー省 また、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)等ついては、2005年以降、総じて世界石油需要の伸びの予測が実績よりも大きくなる傾向にある(図17参照)。IEAは6月12日に発表したオイル・マーケット・レポート(Oil Market Report:OMR)で、2007年については今後世界石油需要増加率が現時点よりも大きくなると予想しているが、これについても今後修正される可能性が否定できない旨留意する必要があろう。 図17 IEAの世界需要増加率予測と実績*%3.53.02.52.01.51.00.50.01Q052Q053Q054Q051Q062Q063Q064Q061Q07*:対象四半期の2四半期前の最終月(例.2007年第一四半期であれば2006年9月)時点の予測と実績の比較実績IEA予測EIA予測OPEC予測出所:各機関資料 5~6月にかけて中東産の比較的重質高硫黄原油に係る先物市場が複数開設された。一つは5月21日に取引が開始されたICE(Intercontinental Exchange)によるドバイ原油先物市場であり、もう一つは6Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 - ?1日のDME(Dubai Merchantile Exchange、NYMEXと提携)によるオマーン原油先物市場である。これまで中東産原油についてはWTIやブレントのような先物市場が存在しなかったため、その価格形成プロセスに係る透明性がWTIやブレントに比べて劣るとされた他、サウジアラビア等の重質高硫黄原油を欧米に輸出する際でも、その価格はWTIやブレントといった軽質低硫黄原油の価格を基準にしていることから、重質高硫黄原油の需給を必ずしも反映しない恐れがある、といった問題点があった。ドバイ原油やオマーン原油に係る先物市場が成立して価格形成プロセスの透明性が高まれば、他の中東産原油についてもより需給を反映した合理的な価格の設定が可能となるであろう。ただ、現在のところ双方の先物市場については、1日の出来高がNYMEXの1%にも見たない状況であり(図18参照)、如何に参加者と取引量を増加させ、流動性のある先物市場とするか、という点が課題となるであろう。またICEのドバイ先物市場については、ドバイ原油の生産量が日量9万バレル程度にまで減少してきており、その面から先物取引において価格形成過程が歪められる恐れがあり、この面でも将来何らかの対策が必要になるもの図18 DMEオマーン原油先物市場の出来高(2007年6月)と思われる。 枚4,5004,0003,5003,0002,5002,0001,5001,0005001234567891011121314※1枚は1,000バレル Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 -
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2007/06/18 野神 隆之
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