ページ番号1003667 更新日 平成30年2月16日

原油市場他: 上昇へと勢いづく原油価格

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レポートID 1003667
作成日 2007-07-17 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <作成日:2007/7/16> <石油・天然ガス調査グループ:野神 隆之> (IEA、米国DOE/EIA、OPEC他) ① 米国では依然として製油所の稼働率は平年を下回る状況が続いているが、ガソリン生産を最大化すべく努力している模様であり、生産量も増大している。ガソリン輸入量は6月後半一時的に落ち込んだものの、全体としてみればガソリン需要は増大傾向にある。また原油在庫は9年ぶりの高水準にあり、米国において原油、ガソリン、留出油を合わせた在庫は平年幅の上方に位置するなど、全体としては石油需給が逼迫しているとは必ずしも言えない状況にある。 ② その一方で、米国で夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入した一方で、低迷する米国の製油所稼働率とガソリン在庫によるガソリン供給不足懸念、そしてナイジェリア等の地政学的要因等に伴う原油供給途絶懸念等に乗じて、原油先物市場に大量の投機ないし投資資金が流入していると見られ、6月中旬から7月中旬にかけて原油価格(WTI)は概ね上昇基調で推移、7月13日には1バレル当たり74.00ドルに達する場面もあった。 ③ 今後も当面の間は、石油供給不足懸念に乗じて投機資金等が流入しやすいと考えられることから、それが原油価格に影響する場面が見られることが考えられよう。 ④ 天然ガス市場については、米国では在庫増大等により価格が下落、英国では天然ガスパイプラインの操業停止で価格が上昇といった状況となっている。 ⑤ 6月29日にOPECが「世界石油見通し」を、7月9日にIEAが「中期石油市場見通し」を、それぞれ発表した。OPECは非OPEC石油供給量の増大から、2010年の対OPEC原油要求量が2005年のそれを下回るとしているのに対し、IEAは世界石油需要が堅調に増大する一方で、非OPEC石油供給がそれに追いつくことができず、従って対OPEC原油要求量が増大していく、といった対照的な見通しとなっている。 . 原油市場等を巡るファンダメンタルズ 1米国では、依然として製油所の稼働率は平年を下回る状況となっている(図1参照)が、製油所はガソリン需要期に備えて限られた原油と処理能力で最大限のガソリンを生産すべく努力している模様であり、生産量も増大している(図2参照)。ガソリンの輸入量は6月後半には減少した(5月にベルギーのアントワープ周辺における製油所がストライキに突入する恐れがあったことから、ガソリン等の石油製品価格が高騰、その結果欧米間でのガソリン価格差が縮小(図3参照)し、欧州から米国へのガソリン輸出が低迷してしまった可能性がある)ものの、全体としては米国でのガソリン在庫は増大傾向にある(但し、米国エネルギー省から発表されるこれらの統計に加え、ガソリン需要の動向(速報では2007年6月の米国ガソGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 原油市場他: 上昇へと勢いづく原油価格 潟梼vは前年同月比で1.3%、前月比で1.2%増大している)等を考慮すると、実際には米国ガソリン在庫はそれほど増大しないのではないかとも思われることから、今後月間の確定数値発表時にガソリン輸入量等の数字が修正される可能性がある旨留意する必要があろう)。また、例年この時期は米国では夏場のドライブシーズン到来に伴うガソリン需要期となっているため、ガソリン在庫は減少気味となることから、2007年のガソリン在庫水準も、低いとはいえ平年幅の中に入ってきており、最早「異常に低い」水準とは必ずしも言えなくなってきている(図4参照)。 図1 米国精製稼働率の推移%100959085801234567891011122002-2006実績2007出所:米国エネルギー省 日量百万バレル図2 米国のガソリン生産量(2005~7年)9.598.58 1234567891011121234567891011121234567注:4週間移動平均出所:米国エネルギー省図3 米国(NY)欧州(ロッテルダム)のガソリンスポット価格差の推移(2007年)ドル/バレル14121002468-21234567出所:米国エネルギー省Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - }4 米国ガソリン在庫推移(2003~7年)百万バレル2402202001801 2 34 5 6 78 91011121 2 34 5 6 7 89101112123 456 7 891011121 2 3 45 6 7 89101112123 4 56 71997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 また、かつてはValeroのMcKee製油所(テキサス州、精製能力日量17万バレル)が2月16日に火災で操業停止したり、BPのWhiting製油所(インディアナ州、精製能力日量42万バレル)も火災により3月22日より操業が半減したりしたが、いずれも操業が回復基調(Valeroは4月13日に操業を再開し、7月2日現在日量15万バレルの原油を処理している他、BPのWhiting製油所は6月28日にこれまで停止していた施設の操業を再開し、2~3週間中には正常な状態となる旨明らかになっている)していることから、かつてはこれらの製油所で原油が引き取られず、それらがWTIが引き渡される場所であるクッシング(Cushing、オクラホマ州)まで流れてくることで、当地域での原油在庫量が急増、期近のWTI価格に対して下方圧力を加えていたが、現在ではそのような状況は改善し、クッシングでの原油在庫も減少(図5参照、現在は昨年同時期の水準をも下回っている)したことから、WTIの期近価格は相対的に上昇する傾向にある(図6参照)。また、クッシング等における原油在庫水準が高かったこともあり、かつては米国メキシコ湾においてタンカーを傭船して原油の貯蔵を行っていた石油会社等は、在庫水準の低下もあってタンカー貯蔵を中止し、新たな原油調達のため、西アフリカや中東などの産油国へとタンカーを振り向けていると伝えられる。 百万バレル28図5 クッシング地区の原油在庫(2004~7年)2624222018161412101234567891011122004 2005 2006 2007 出所:米国エネルギー省 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - ゙ル/バレル図6 WTI先物曲線(NYMEX)76747270686664123456789101112131415161718192021222324252627282007/7/132007/5/182930限月 一方、ブレント原油価格は、ナイジェリアやイランといった産油国の地政学的要因が反映されやすいことや、ノルウェーのスタットフィヨルド A(Statfjord A)油田が8月3日より23日間のメンテナンスに突入し、その結果当該油田での生産量が半減すること等から、WTI価格を上回る状況が続いている他、期近の原油価格が期先のそれを上回るという、いわゆる「バックワーデーション」の状況が出現している(図7参照)。 ドル/バレル図7 ブレント先物曲線(ICE)787674727068123456789101112131415161718192021222324252627282007/7/132007/5/182930限月 また、最近では米国におけるガソリン在庫の低下に伴う夏場のガソリン供給不足懸念により、原油価格が上昇してきたが、一方では製油所の稼働率が上昇すると、ガソリン在庫は増大するが、他方原油在庫が減少するので、これが懸念である、とする関係者もいる。しかしこれまで製油所の稼働率が低迷していたことで原油在庫は平年幅を超過した状況(2007年6月29日の原油在庫水準は1998年5月15日以来の高水準となっている、図8参照)となっていることもあり、仮に原油在庫とガソリン在庫を合計してみても、依然として平年幅の上限に近い豊富な水準となっている(図9参照)。また留出油についても平年並みを維持している(図10参照)ことから、原油、ガソリンに留出油を加えたものについても、平年幅の上方に位置する(図11参照)など、現在米国においては、石油需給が逼迫している状況であるとは必ずしも言えない状況となっている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - S万バレル図8 米国原油在庫推移(2003~7年)37035033031029027025012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345671997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 百万バレル図9 米国原油+ガソリン在庫推移(2003~7年)59057055053051049047045012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345671997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省百万バレル図11 米国原油+ガソリン+留出油在庫推移(2003~7年)730710690670650630610590570550 12345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345671997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 OECD諸国の在庫についてみても、依然として原油在庫は平年を上回った状況であり(図12参照)、石油製品在庫については平年並み(図13参照)となっている。 図12 OECD原油在庫推移(2005~7年)億バレル10.510.09.59.08.58.01234567891011121234567891011121234561995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - 007年6月中旬から7月中旬にかけての原油価格は、ガソリン供給不足懸念等を背景として概ね上昇基調で推移した(図14参照)が、主な要因はこのような懸念に乗じて投機筋等が活発に資金を流入させたことである、とする声も聞かれる。 1234567891011121234567891011121234561995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定 . 2007年6月中旬から7月中旬にかけての原油市場等の状況 2図14 原油価格の推移(2003~7年)ドル/バレル80706050403020123456789 101112123456789101112123456789101112123456789 1011121234567WTIBrentDubai 6月18日には、5月28日に実施されたナイジェリア政府による国内燃料価格引き上げ(15%)と付加価値税の引き上げ(5%から10%へ)について、政府とそれらの政策に反対する同国の主要労働組合連合NLC(National Labor Congress、石油・天然ガス産業一般労働者組合NUPENG: National Union of Petroleum and Natural Gas (NUPENG)を傘下に持つ)及びTUC(Trade Union Congress、石油・天然ガス産業中間管理職労働組合 The Petroleum and Natural Gas Senior Staff Association of Nigeria(PENGASSAN)を傘下に持つ)との間の協議が物別れに終わったことから、労働組合側が20日より全国的なストライキを呼びかけたことで、同国からの原油供給に影響が及ぶのではないか、といった懸念が市場に出てきたことや、同じくナイジェリアで、6月17日に銃器保有者がENIの操業するニジェール・デルタのBayelsa州にあるOgbainbiri油田を攻撃、占拠し、16人の労働者と11人の兵士を拘束、生産量約4万バレルが停止した(6月21日にはナイジェリア軍の介入により鎮圧)他、原油漏出に対する不十分な清掃作業に対する不満や雇用に対する要求を持つ地域住民がChevronの石油生産関連施設を襲撃、占拠し、日量4.2万バレルの原油生産量が停止した(ナイジェリア軍の介入により6月18日には占拠はGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - 図13 OECD石油製品在庫の推移(2005~7年)億バレル1615141312I了、生産量も回復)ことから、原油価格は上昇、6月18~19日にかけて終値ベースで1バレル当たり69ドル台となった。しかしながら6月20日には同日発表された米国石油統計で、原油やガソリンの在庫が市場の事前予想(原油20万バレル程度の減少~10万バレル程度の増大、ガソリン100~120万バレル程度の増大)を覆し、それぞれ690万バレル、179万バレル増大していたことで、市場での石油供給不足懸念が後退、原油価格は再び終値ベースで1バレル当たり68ドル台へと戻った。また、6月21日には原油先物市場において8月の引渡しへと交代となったが、その8月渡しの原油先物価格は、6月20日に突入しているナイジェリアでのストライキに絡み供給懸念から一時1バレル当たり69.88ドルとなったものの、実際には同国の輸出に影響が及んでいないことや、米国の原油及びガソリン在庫の増大による下方圧力が加わったこともあり、終値では前日比で若干の下落となった。ただ、他方でナイジェリア政府と労働組合との間での協議が6月21日になっても合意に達せず、6月22日にもストライキが継続したことから、再び同国からの原油供給低下懸念が台頭、原油価格は6月22日には、再び1バレル69ドル台へと上昇した。 ナイジェリアのストライキは6月23日午前0時を以って中止された(ナイジェリア政府は燃料価格の値上げ幅を半分(当初の1リットル当たり8セントを4セントに)としたうえ、付加価値税の導入を見送った)ことから、この面での懸念は市場からなくなったことにより、6月25日には一時原油価格が1バレル当たり67ドル台へと下落する場面もあったものの、その後は6月22日にLyondell ChemicalがHouston製油所(テキサス州)での接触分解装置を停止した(6月25日には操業を再開しつつあると伝えられる)他、6月23日にはExxonMobilがBaytown製油所(米国テキサス州、精製能力日量56.3万バレル)の水素化分解装置(Hydrocracker)を漏出の修理により停止、さらに6月25日にはTotalのPort Arthur(テキサス州)が定期メンテナンスで操業を停止したとの情報に市場の注目が集まり、米国の夏場のドライブシーズンにおいてガソリン供給不足懸念が増大、それに引きずられる形で原油価格も反発し、結局同日中に1バレル69ドル台へと価格は戻された。6月26日には、翌日発表される予定の米国石油統計で原油及びガソリン在庫が増大している(原油、ガソリンそれぞれ100~120万バレル程度の増大)との観測が出てきたことから、原油価格は1ドル以上下落し、1バレル当たり67ドル台となったものの、果たして6月27日に発表された石油統計では原油在庫は156万バレルの増大と事前予想を上回っていたものの、ガソリン在庫が75万バレルの減少となっていた他、留出油についても市場の事前予想(20~60万バレル程度の増大)に相反する228万バレルの減少となっていたことで、石油製品の供給不足懸念が強まったことから、原油価格は再上昇、6月29日には終値で1バレル当たり70ドルを突破した。 その後、7月1日には米国カンサス州CoffeyvilleにあるCoffeyville Resourcesの所有する製油所(精製能力日量10.8万バレル)が6月25日の週の後半に訪れた豪雨に伴う洪水による石油漏出で操業を停止したことや、7月初めにナイジェリアでの主要武装勢力による1ヶ月による停戦が終了(MEND:Movement Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - or the Emancipation of the Niger Delta(ニジェール・デルタ解放運動)は、6月2日に石油施設攻撃を1ヶ月間停止し、新政権と対話する意向を示していた)したこと、続いて7月4日にナイジェリアで銃器保有者がShellの操業する石油掘削現場を攻撃し、5人の従業員を拘束したこと、7月5日朝にはナイジェリアのPort Harcourtで英国人の3歳の女の子が誘拐されたこと、といった一連の石油供給不足懸念要因が、7月5日に発表された米国石油統計(原油在庫が20~50万バレル程度の減少、ガソリン在庫30~70万バレル程度の増大、留出油在庫20万バレル程度の減少~50万バレル程度の増大との事前予想であったのが、実際には原油が315万バレル、ガソリンが185万バレル、留出油が116万バレルの増大となっていた)にもかかわらず、原油価格を押し上げる方向に作用し、7月1~6日にかけては、原油価格は、通常取引における終値ベース(7月4日は米国では独立記念日で通常の取引は実施されなかった)で一貫して上昇、7月6日には1バレル当たり72.81ドルとなった。 7月9日にはナイジェリアで誘拐されていた英国人が解放されたことや、7月11日に発表された米国石油統計でガソリンが市場の事前予想(60~90万バレルの増加)を上回る、114万バレルの増加となっていたことが原油価格に下方圧力を加えた一方で、7月9日にBPのWhiting製油所(インディアナ州、処理能力日量25万バレル、7月12日に操業再開)が原油処理施設を停止したことが価格に上方圧力を加えたことで、7月9日~12日にかけ、原油価格は1バレル当たり71~73ドル台の範囲で変動しつつ、終値では1バレル当たり72ドル台で推移していたが、7月13日には、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)が同日発表したオイル・マーケット・レポート(OMR:Oil Market Report)で2008年の世界石油需要について2007年を上回る前年比2.5%との堅調な伸び率の予測をしたことや、6月25日に船舶の錨が北海のCATSガスパイプライン(Central Area Transmission System、BPが操業、全長404km、口径36インチ)に損傷を与えたことで、修理のため当該パイプラインの操業が7月1日に停止された(BPは修理に数週間を要することを明らかにしている)が、これに伴い当該パイプラインに原油生産に伴う随伴ガスを供給していたChevronやConocoPhillipsが随伴ガスを処理できなくなったことから、原油生産に影響が出始めている旨明らかになったことで、当該地域からの石油供給に関する懸念が増大、7月13日には1バレル当たり74.00ドルとなるなど、さらに上昇している(終値は1バレル当たり. 天然ガス市場:米国では価格下落、英国では価格上昇 373.93ドル) 一方天然ガス市場については、米国では気温が平年並みで推移し、空調向け電力発電のための天然ガス消費量が低迷したうえ、高水準のLNG輸入(図15参照)により天然ガスの地下貯蔵量も順調に増加(図16参照)、このまま行けば、11月初めの冬場の天然ガス需要期の開始時には記録的な貯蔵量となる可能性があること、平年よりも活発になると予想されたハリケーンが未だ限定的な数の発生にとどまっGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - トいることから、ハリケーンの来襲が天然ガス生産施設や輸送施設へ影響を及ぼすことに伴う供給不足懸念が後退気味となったことが、天然ガス価格に下方圧力を加えることになり、価格は7月中旬現在100万Btu当たり6ドル台半ば程度で推移している(図17参照)。一方英国では天然ガス価格が2007年4月には100万Btu当たり3ドルを割り込む場面も見られたが、6月末に一時気温が平年を下回って寒冷な状態になったことに加え、前述の通り7月1日からCATSガスパイプラインが損傷により操業が停止したが、このパイプラインは北海中部の油・ガス田から英国北東部Teessideに日量約10億立方フィート程度と、英国全体の天然ガス消費量の約10%に当たる天然ガスを輸送するものであったことから、この先同国での天然ガス需給が逼迫するのではないか、といった懸念が市場に発生、同国での天然ガス先物価格が上昇することとなった。7月中旬現在英国の天然ガス先物価格は100万Btu当たり5.5~6.0ドル程度で推移している。 図15 米国LNG輸入量の推移(2006~7年)91011121234アルジェリアエジプトナイジェリアトリニダード・トバゴ出所:米国エネルギー省 図16 米国天然ガス貯蔵量の推移(2006~7年)?十億cf1008060402008兆cf4.54.03.53.02.52.01.51.00.51234567891011122002-062007出所:米国エネルギー省ドル/百万Btu20図17 天然ガス先物価格の推移(2005~7年)151050891011121234567891011121234567*:一部推定NYMEXIPE/ICE- 9 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ト場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入した米国で、低迷する米国の製油所稼働率と低迷する米国のガソリン在庫、そしてナイジェリア等の地政学的要因、平年を上回る大西洋圏でのハリケーン活動の予想等数多ある石油供給途絶ないしは不足懸念を背景として原油価格は上昇基調となってきている。 ただ、市場ではそのような原油価格の上昇要因もさることながら、そのような要因に乗じて、投機筋(ヘッジファンド)ないしは機関投資家(ペンションファンド:年金基金、ミューチュアルファンド:投資信託基金)が先物市場に大量の資金を投入していることが最近の日々の原油価格の引き上げの大きな力となっているとの指摘もなされるようになってきている。実際投機筋による原油の買い付けは相当な程度に上っている(図18参照)。このようなことから、前述の通り製油所の稼働率が低ければ原油在庫は高水準のままになっているにもかかわらず、ガソリン在庫が低迷することで、ガソリン価格の高騰が原油価格を引き上げるのに対し、製油所の稼働率が上昇すればガソリン在庫は増大するはずであるが、一方で原油在庫が減少するのではないかといった懸念が発生し、原油価格を引き上げるといったように、投資する側にとって、原油価格を引き上げるような側面に目が行く傾向となり、その結果、いずれにしても原油価格が上昇する方向へと相場が動いてしまいがちになっている模様である。夏場の石油需要期の中にあって供給途絶ないし不足懸念要因が存在する中、このような投機ないし投資資金の流入による原油価格の高騰は、今しばらく続きそうであるが、これは見方を変えれば市場ファンダメンタルズが軽視されているとも考えられるわけであり、8月に入ってガソリン需要期に終わりが見え、ガソリン供給不足懸念を増大させるような要因が減少してくるようになると、原油価格にも下方圧力が加わってくることも予想される。 . 今後の見通し 4図18 NYMEX原油市場における投機筋の動き(2006~7年)百万バレル100806040200-20-40891011121234567出所:米国CFTC Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - T. OPECが「石油市場見通し」を、IEAが「中期石油市場見通し」を、それぞれ発表:見方の分かれる2010年の石油市場像 OPECは6月26日に「世界石油見通し」(WOO: World Oil Outlook)を、IEAは7月9日に「中期石油市場見通し」(MTOMR: Medium-Term Oil Market Report)をそれぞれ発表した。WOOは2030年に向けた長期的な石油市場見通しとなっている一方で、MTOMRは2012年程度と中期的な見通しとなっていることから、双方の性格は多少異なるが、2010年での世界の石油需給状況に係る予測を見るとかなり対照的である。WOOは2005年から2010年までの世界の石油需要について年率1.5%で増大していくと予想しているのに対して、MTOMRは1.9%で増大していくと予想している(図19、20参照)。一方で、非OPEC石油供給はWOOが年率2.0%で伸びていくのに対してMTOMRのそれは年率1.2%ということになり、総合するとWOOでは非OPEC石油供給量の伸びが世界石油需要の伸びを上回り、その結果対OPEC原油要求量(Call on OPEC)はWOOでは2010年は2005年に比べて若干減少、一方MTOMRでは2010年のそれが2005年を大幅に上回る、という予測になっている(図21参照)。 日量百万バレル図20 MTOMRの世界石油需給見通し98969492908886848280787620052006200720082009201020112012非OPEC石油供給世界石油需要※:非OPEC石油供給にはOPEC NGL供給等を含む※:MTOMRはOMR2007年7月号の数値を考慮して調整出所:IEA/MTOMR、OMR日量百万バレル図19 WOOの世界石油需給見通し92908886848280 686664626058565452504846626058565452502005200620072008非OPEC石油供給2009世界石油需要2010※:非OPEC石油供給にはOPEC NGL供給等を含む出所:OPEC/WOO Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 - 坥ハ百万バレル図21 対OPEC原油要求量(Call on OPEC)343332313029200520062007200820092010WOOMTOMR※:MTOMRはOMR2007年7月号の数値を考慮して調整出所:IEA/MTOMR、OMR、OPEC/WOO WTIで2007年第二四半期平均1バレル当たり65ドル弱、7月に入ってからは1バレル当たり70ドル台に突入している中、MTOMRの世界石油需要は、このような原油価格にもかかわらず世界経済は成長を続けることから、前年比0.9%の伸びであった2006年の石油需要は、2007年2.0%(その4日後に発表されたオイル・マーケット・レポートでは下方修正されて1.8%)、2008年には2.5%、2009年2.0%、2010年2.1%とかなりな高率で増大していくと予測しているが、市場関係者の間では、昨今の高水準の原油価格で、世界の石油需要はかつてに比べてその伸びが減退気味であり(因みにWTIが1バレル当たり55ドルを超過した2005年第三四半期から2007年第二四半期までの世界石油需要の伸びは前年同期比0.4~1.6%程度である)、今後も原油価格の高騰が多少なりとも世界の経済成長を減速させ、その結果世界石油需要の伸びも限定される、との指摘する向きもある。WOOの2010年までの世界石油需要予測は年率1.6%程度となっており、MTOMRに比較すると保守的であり、過去の実績の範囲内にとどまるような予測となっていると言えよう。ただ2006年の世界石油需要が前年比0.9%の伸びであったことを考えると、これでもまだ高めかもしれない。 他方非OPEC石油供給量であるが、最近の資機材及び人材の不足、そしてコスト高騰で、石油探鉱・開発プロジェクトが遅延、その結果当初予定通りに石油供給が増大しない、といった例が散見される。現在相当数の掘削装置の製造が行われており、2008~9年頃にはそれらが市場に出回るようになることから、少なくとも資機材の不足やコスト高騰といった事態は緩和されるのではないかという見方もあるが、人材の不足等の解決にはある程度の時間を要することや、原油価格高騰を背景とした、いわゆる産油国の資源ナショナリズムといった現象による(民間石油会社にとっての)投資環境悪化といった事態も現れていることから、当面は非OPEC石油生産量の増大ペースは限られる可能性が考えられる。WOOは2010年までの非OPEC石油生産量の増大を年間日量100万バレルとしているが、プロジェクトの遅延によって下振れするリスクがある旨明らかにしている。一方でMTOMRは、これまで非OPEC石油生産量を下方修正してきた経験から下振れリスク分として日量40万バレルを見込み、2010年までの非OPEC生産量の増大を年間日量60万バレル程度と見ており、その意味ではかなり保守的ではあるが、過去の実績Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 - 謔闕桙セ予測となっている。 全体としてみてみると、MTOMRは世界石油需要の伸びを、WOOは非OPEC供給量の伸びを、それぞれ野心的に見積もっている、といった特徴が見出せる。それは最近のIEAのOPECに対する原油増産要請、それに対するOPECの消極的な姿勢、といったそれぞれの立場を反映したものとも考えられ、2010年に向けて石油需給状態を考える際には、双方の見方に世界石油市場・産業の現状を加味して検討することが肝要と言えよう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 13 -
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2007/07/17 野神 隆之
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