ページ番号1003695 更新日 平成30年2月16日

メキシコ:税財政改革法案が可決され、外資は技術提携を加速【短報】

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レポートID 1003695
作成日 2007-10-12 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般企業
著者
著者直接入力 大川 悠
年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2007/10/12 調査部:大川 悠 メキシコ:税財政改革法案が可決され、外資は技術提携を加速【短報】 (BNamericas, IPD Latin America, Eurasia Group Note, 各社ウェブサイトほか) 9月14日、メキシコ議会は待ち望まれていた一連の改革法案――選挙改革、税財政改革、PEMEX税財政改革――を賛成多数で可決した。これにより、2008年は約110億ドルの追加歳入が見込まれ、政府歳入の40%近くを負担していたPEMEXの税負担は、27億5,000万ドルほど軽減される見込みである。 改革内容は当初期待されたよりも包括的でないと言われているものの、この法案を通過させることができたこと自体が、カルデロン政権にとって政治的な勝利であると多くの専門家は見ている。海外の企業もこの法案の通過を評価しており、今年に入って相次いでいる外資企業との技術提携が加速している。しかし、ブラジルの国営石油会社PetrobrasからのJVオファーをきっぱりと断ってからまだ時間が経っておらず、エネルギー改革、ひいては石油・天然ガス探鉱開発の外資開放への見通しは立っていない。 過した税財政改革 9月14日、約3カ月に及ぶ交渉ののち、メキシコ議会は一連の税財政改革法案――選挙改革、税財政改革、PEMEX税財政改革――を賛成多数で可決した。カルデロン1は、大統領に就任した2006年12月から約10カ月の間に、年金改革、選挙改革、税財政改革、PEMEX税財政改革を達成したことになる。今回の税財政 通改革法案の内容は抜本的なものとは言えないが、改革法案が通過したこと自体、実用主義であるカルデロンの手腕が発揮された結果であり、評価に値するものであると言えるだろう。 この法案通過は海外でも評価されており、格付け会社のフィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)と同じく格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(Standard & Poor’s: S&P)はともに、メキシコの長期外貨建て信用格付けを「BBB」から「BBB+」に引き上げた。 財政改革法案の内容と見込まれる追加財源 税税財政改革法案は、今回の法案のメーンであった。最終法案は、法案提出当初からいつくかの変更が加えられた。税財政改革法案の柱である企業単一税(IETU)は、6月の法案提出時には与党国民行動党(PAN)の提案であり、スペイン語で「企業単一貢献税」を意味するCETU(Contribucion Empresarial a Tasa Unica)と呼ばれていたが、その後、野党から提出された「企業単一税」を意味する頭文字をとったIETU(Impuesto Empresarial a Tasa Unica)に変えられた。税率も、法案提出当初の案では、2008年、2009年、2010年以降がそれぞれ16%、19%、19%であったが、承認された最終法案ではそれぞれ16.5%、17.0%、 1 フェリペ・カルデロン・イノホサ(Felipe Calderon Hinojosa)、第64代大統領。中道右派・与党国民行動党(PAN)。 - 1 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 7.5%に引き下げられた。課税対象の企業は、既存の法人所得税と比較して、どちらか高いほうを納税しなければならない。またこの税は、抜け穴として使われていたさまざまな税額控除をなくす目的もあったが、控除がまったく認められないことに経済界から強い反発があったようで、最終的に従業員給与については税額控除の対象とされることになった。 ディーゼル、ガソリンに新たに課税される消費税については、既存の生産サービス特別税(IEPS)2に上乗せする形になることや、国民、とくに貧困層の生活に打撃を与えるとして野党中道左派・民主革命党(PRD)が反対しており、他の法案に比べて反対が多いなかでの可決となった。税率は、18カ月の間に月約0.02ペソ(約0.2セント3)ずつ上がっていき、最終的に約0.3ペソ(約3セント)ほどの増税となる。しかし、小麦などの消費者に直接影響を与える製品の国際価格が上昇している時期と重なり、さらなるインフレが懸念されるとして、カルデロン大統領は法案が可決されてから約2週間後の9月26日、居住用電力、LPGとともに、ガソリン、ディーゼルの価格を年末まで凍結すると発表した。よって、この税の導入時期は当初の予定であった2007年10月から遅れることになった。 このほか、法規登録されていない零細企業などのいわゆるインフォーマル・セクターに課税することを目的とした銀行預金税は、課税対象を2万ペソ(約1,800ドル)以上の預金とする当初の案から、2万5,000ペソ(約2,300ドル)以上の預金に変更して可決された。税収基盤を広げる苦心の策であったが、この税による歳入はあまり多くは見込めないと見られている4。 財務省によると、この税財政改革法から見込まれる2008年の追加歳入は、合計でメキシコのGDPの1.1%強にあたる1,200億ペソ(約110億ドル)ほどになるという。このうちの約92%にあたる1,106億ペソ(約101億5,000万ドル)は企業単一税から得られる見込みである。追加歳入は、教育、医療制度、インフラにかかる支出に回される予定で、うち約30億ドルがエネルギー・インフラに割り当てられており、主にメキシコ電力公社(CFE)が受給者になるとされている。これらの資金は、カルデロン大統領が7月に発表した、国家インフラ計画5の一部として計上される。これらの支出は、メキシコのGDPをある程度、増加させるものと見られており、財務省は、2008年のGDP成長率を改革前の3.5%から3.7%に上方修正した。 概して、この税財政改革法案は、メキシコで必要とされているすべてのニーズをカバーするほど大きな歳入はもたらさないが、少なくとも、原油生産の減少による歳入の減少を和らげる助けにはなり、前向きな一歩であると専門家は見ているようである。 2 酒類、タバコ、清涼飲料水など特定の財の販売や関連するサービスを行う法人・自然人に対し課される税金で、高いものでは140%(タバコ)が課税される(Jetro)。 3 1ドル=10.9ペソで換算しているが、数値は大まかなもの。以下同様。 4 コンサルタントの予測によると、初年度の歳入は約29億ペソ(約2億6,500万ドル)。 5 2007年から2012年の6年間で、官民合わせて約2,355億ドルを投資する計画。税財制改革法案が予定どおり可決されることを前提として発表されていた。 - 2 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 MEXの税財政改革法案 PEMEX税財制改革法案は、前述の企業単一税を柱とする税財政改革法案とは独立した形で可決された。 これにより、2008年には従来79%だったPEMEXへの炭化水素税(Ordinary Hydrocarbons Duty: DOSH)が74%に減税される。この税率はさらに2009~2011年の間で年に0.5%ずつ、2012年には1%減税され、最終的に71.5%となる。この減税によってPEMEXは、2008年には約300億ペソ(約27億5,000万ドル)、その後3~4年間は年間500~600億ペソ(約46~55億ドル)の追加資金を得ることができる。 Pさらに、今まですべての油田にかけられていた炭化水素税の課税対象から、成熟油田が除外されることになった。成熟油田は、炭化水素税やその他の課税対象からは外れることになるが、代わりに、年間税なるものが課税される。成熟油田から得られた年間の総収入に、メキシコの原油バスケット価格に基づいた税率6がかけられる。これは、生産量が減退している油田により適切な課税をする目的でつくられたものだと言われている。また、法案提出当初は、成熟油田の定義がはっきりしていなかったが、最終法案では当初よりは明確な定義が出された7。しかし、まだ完全とは言えず、まだ論議を要すると見られている。 現在PEMEXは、石油・天然ガスの生産価値の0.05%にあたる分を研究開発(R&D)に提供しているが、この税については2008年の0.15%から2012年まで段階的に引き上げられ、最終的に0.65%となることになった。この資金は、研究機関であるメキシコ石油研究所(IMP)とメキシコ国家科学技術審議会(CONACYT)の間で分配する。 特筆すべきは、PEMEXにこれらの減税が適用されるためには、PEMEX自身がより高い生産性を達成するための計画を作成し、詳細な提案を議会に提出しなければならないと決定されたことである。計画には、埋蔵量置換率の増加、井戸あたりの生産性の向上、天然ガスフレアの持続的な減少、生産量などのより正確な予測の提供、原油・天然ガス処理の効率化を目的としていなければならない。これらの活動はエネルギー省によって監督され、エネルギー省は、計画の進展を示す具体的な指標を含んだ資料を1年に2回発表するという。また、エネルギー省はPEMEXが議会に提出する計画のすべてに対して最終決定権を持つ。この計画は2008年6月30日までに提出されなければならず、2008年1月1日~2012年12月31日まで適用される。厳しい措置のように思えるが、数値目標やペナルティーは設定されていないため、エネルギー省の役 6 原油バスケット価格0~24.99ドル/バレル時の37%から段階的に上がり、50ドル/バレル以上の場合は57%。 7 成熟油田とは、2006年12月31日時点で、「生産井に比べてかなりの割合(a significant proportion)の閉鎖井があること、もしくは2005年、2006年に利用されなかった井戸がかなりの数あること」、「2005年、2006年の両年で井戸あたりの平均生産量が300b/dを下回ること」などが条件とされている。しかし、すべての兆候が当てはまらなければいけないのか、「かなりの割合」というのが実際にどれくらいの量なのかははっきりしていない。またPEMEXは、2008年3月31日までにメキシコのすべての成熟油田の会計報告を財務省に提出しなければならないが、成熟油田の一覧にはエネルギー省の承認が必要であり、一度その一覧が承認されると、その後、新たに油・ガス田を追加することはできないとされている。 - 3 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 рヘ実際のところ、監督というより監視システムといったところである。しかしこれは、以前から操業の非効率性が指摘されているPEMEX改革のてことして働く可能性があり、進展が期待されるところである。 らに進む外資との技術提携 さこの一連の法案が可決されたことで、次はエネルギー改革・・・という期待が高まるのは当然である。その期待を表明するかのように、法案通過後、PEMEXと外国石油企業との技術提携が相次いでいる。まず英国・オランダ系大手石油会社のロイヤル・ダッチ・シェル(Shell)が油井の生産性を向上させるための共同スタディーを行うと発表、続いてカナダのエネルギー会社、ネクセン(Nexen)が非商業的エネルギー協力協定を結び、さらに米国の大手石油会社、シェブロン(Chevron)も深海掘削のトレーニングプログラムにかかわる協力を発表した。 しかしPEMEXは、ブラジル国有石油会社であるペトロブラス(Petrobras)から受けた、深海探鉱開発における共同事業(JV)のオファーを8月に断ったばかりである。その後、方針転換をしたというような情報は入ってきておらず、また、メキシコ議会はこれから2008年予算を通過させなければならないため、すぐにエネルギー改革に着手するのは難しい状況である。エネルギー改革に関して実質的な議論が出てくるのは、早くても2008年に入ってからになると思われる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 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地域1 中南米
国1 メキシコ
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,メキシコ
2007/10/12 大川 悠
Global Disclaimer(免責事項)

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