ページ番号1003696 更新日 平成30年2月16日

原油市場他: 史上最高値更新を連発する原油価格

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レポートID 1003696
作成日 2007-10-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2007
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ <作成日:2007/10/14> <調査部:野神 隆之> (IEA、米国DOE/EIA他) ① 米国では、9月には製油所の秋季メンテナンスに入ったことに加え、ハリケーン「Humberto」がテキサス州に上陸した際停電が発生、一部製油所での操業が停止したことから、稼働率が一時大幅に低下したが、10月に入り平年並みとなっている。また、製油所メンテナンスに伴う原油需要低下もあり原油在庫は減少したものの、依然としてこの時期としては平年幅上限近辺に位置している他、ガソリンや留出油在庫も平年の範囲内となっている。一方OECD諸国の原油在庫は平年を上回る水準が続いているが、石油製品在庫が平年幅範囲内ではあるものの減少している模様である。 ② 2007年9月中旬から10月中旬にかけては、大西洋圏での熱帯性低気圧等に伴う需給逼迫懸念の増大もしくは緩和、米国での利下げの観測と実際の利下げの発表、そして米ドルの変動を織り込みつつ、WTIで1バレル当たり概ね78~83ドル台で推移したが、総じて強気の相場となり、9月中旬には史上最高値更新が連続する場面があった他、10月12日にも取引時間中及び終値で史上最高値を更新した。 ③ 今後も引き続き、市場参加者にとって原油価格を上昇させるための都合のいい要因、そして金利引き下げ観測や実際の金利引き下げ、さらには米ドル下落(但し米ドルの下落を最大限織り込んでも現在の1バレル80ドル超の原油価格は説明がつかない)といったことを材料として、当面原油価格が変動していくものと考えられる。また米国では2007~8年の冬は平年より温暖であるものの、2006~7年の冬と比べれば寒冷となるとの予報が出ており、この面でも冬場の暖房油需給逼迫懸念から原油価格が影響を受けることも予想される。 . 原油市場等を巡るファンダメンタルズ 1米国では、秋期の製油所メンテナンスシーズンに入ってきたことから、季節的に稼働率が低下していたが、さらに 9月13 日はハリケーン「Humberto」がテキサス州に上陸、Total、Valero、及びMotiva(ShellとSaudi Aramcoの合弁)のPort Arthur製油所(精製能力はTotalが日量18万バレル、Valeroが日量32.5万バレル、Motivaが日量28.5万バレル)が暴風雨に伴う停電で操業を停止したこともあり、9月21日の週には稼働率が86.92%と大きく落ち込んだ(図1参照)。ただ、その後稼働率は若干ながら上向き、現在のところ10月としては平年並みの範囲に入ってきている。また製油所でのメンテナンス時期突入に伴う原油需要の低下もあり原油在庫も減少してきているが、依然としてこの時期としては平年幅の上限付近に位置する状況となっている(図2参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 油市場他: 史上最高値更新を連発する原油価格 原 }1 米国精製稼働率の推移%100959085801234567891011122002-2006実績2002-2006実績(2005年ハリケーン発生に伴う低下分除く)2007出所:米国エネルギー省百万バレル図2 米国原油在庫推移(2003~7年)370350330310290270250123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101997-2002実績幅2003-2007出所:米国エネルギー省 米国での自動車運転距離統計を見ると2007年7月時点においても依然として前年比での伸びが鈍い状況となっており(図3参照)、これが米国のガソリン需要に影響している模様である。米国エネルギー省の発表した7月のガソリン需要(確定値)は前年同期比で0.16%と、速報値である0.60%から下方修正されている(図4参照、実はこの月間ベースでの速報値も週間ベースでの速報値(4週平均、7月は概ね前同期比1%程度の増加であった)から下方修正されている。)。またこれは週間速報値ベースであるが、9月から10月にかけては米国のガソリン需要の伸びはさらに鈍化し、10月初旬には前年比マイナスとなっている(図5参照)。このようなこともあり、原油価格が上昇しているにもかかわらずガソリン価格がそれを追いかけるような状態でないことから、ガソリンと原油との価格差が縮小、製油所にとってはガソリン生産を促進するようなインセンティブが働きにくい状況となっているものと見られ、結果としてガソリン在庫が増大するような状況には至っていない。しかしながら10月に入り、在庫水準自体はこの時期としては平年並みの状況になってきている(図6参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - }3 米国自動車運転距離伸び率(前年同期比、2005~7年)1234567891011121234567891011121234567出所:米国運輸省 図4 米国ガソリン需要の伸び(2006~7年)%43210-1-2-3%43210123456789101112123456789速報値確定値※2007年8~9月の確定値は未発表出所:米国エネルギー省 図5 2007年米国ガソリン需要伸び率の推移(前年同期比、4週平均)%21.510.50-0.56/16/86/15 6/226/297/67/13 7/207/278/38/108/17 8/248/319/79/14 9/219/2810/5出所:米国エネルギー省 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - }6 米国ガソリン在庫推移(2003~7年)百万バレル240220200180123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101997-2002実績幅2003-7出所:米国エネルギー省 また、米国の暖房油在庫については、最近では平年幅を下回る状況になってきている(図7参照)。これだけを見ると冬場の暖房シーズンを控えて、当該製品に対する需給逼迫懸念が市場で発生しそうであるが、これは実態をあらわしていない可能性があることに注意を要する。米国では2007年6月1日に、これまで500ppmを超過する硫黄分を含有する留出油の使用が認められていた車両(公道以外で使用されるものと伝えられる)について、硫黄分を最高500ppmとするようにとの規制に変更されたことから、石油会社が暖房油の範疇である500ppm超の留出油の在庫量を減少させ、他方軽油の範疇である500ppm以下の留出油を増大させた可能性があることから、暖房油在庫の減少はある意味では自然であるものと考えられる。なお、暖房油と軽油を併せた留出油在庫自体は現在平年並みとなっており(図8参照)、懸念を発生させるような状況ではない。また原油とガソリン、そして原油、ガソリンと留出油を合計した在庫は現在において少なくとも平年並みとなっている(図9、10参照)。 図7 米国暖房油在庫推移(2003~7年)百万バレル90807060504030123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101997-2002実績幅2003-7出所:米国エネルギー省 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - S万バレル図8 米国留出油在庫推移(2003~7年)16014012010080123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101997-2002実績幅2003-7出所:米国エネルギー省百万バレル図9 米国原油+ガソリン在庫推移(2003~7年)590570550530510490470450123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101997-2002実績幅2003-7出所:米国エネルギー省百万バレル図10 米国原油+ガソリン+留出油在庫推移(2003~7年)730710690670650630610590570550123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101997-2002実績幅2003-7出所:米国エネルギー省 OECD諸国の原油在庫量は、米国や日本での原油在庫量低下の影響で減少しており、前年に比べて少ない状況となっている(図11参照)が、前年同期は記録的に原油在庫が積み上がっていた時期でもあり、平年と比べてみれば引き続き豊富な状況となっている。一方、これは速報値に基づく推定のため今後修正されることもありうるが、2007年9月のOECD諸国石油製品在庫は減少を示しており、平年幅の下限に近いところに位置している模様である(図12参照)。これは欧州において、規制によりガスオイル(留出油)に含まれる硫黄分が2008年1月1日より現行の2%から1%へと引き下げられることに伴い、精製業者等がガスオイルを入れ替えるべく在庫を減少させていることが一因であるものと見らGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - 黷驕Bまた日本においても2007年に入って石油需要の前年比マイナスが続いていることから、それに伴い石油製品在庫水準も低下しているものと推測されるが、これについては今後発表される同国の石油統計等に注意していく必要があろう。 図11 OECD原油在庫推移(2005~7年)億バレル10.510.09.59.08.58.01234567891011121234567891011121234567891995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定図12 OECD石油製品在庫の推移(2005~7年)億バレル16151413121234567891011121234567891011121234567891995-20042005-7出所:IEAデータ他より推定 なお、2007年8月にはOECD諸国の石油(原油+石油製品)在庫日数が過去5年平均を割り込んだことから、石油需給が引き締まってきているとの見方が最近出てきている。確かに統計データを使用して計算すると8月の在庫日数は53.5日と5年平均の53.8日をわずかではあるが下回ることになる(図13参照)。ただ、実はこの在庫日数は月末の在庫量を翌3ヶ月の需要量で除すことにより算出されており、2007年第三四半期まで低迷.していたOECD諸国石油需要が第四四半期になると急回復すると予想されている(図14参照)ことから、8月の在庫日数計算を行う際にも、この第四四半期の堅調な需要量の影響を部分的にでも受けることになり、その結果在庫日数が低めに算出される傾向になっているものと見られる。因みに2007年第四四半期の需要がそれ以前の石油需要の伸び率と同様であったと仮定すると、在庫日数は5年平均を上回ることになる(図15参照)。このように特に直近の在庫日数は見込みである需要によって左右される場合がある旨注意する必要がある。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - 1234567891011122002-6幅20072002~6平均*:月末在庫量÷翌3ヶ月の石油需要出所:IEAデータをもとに作成図14 OECD石油需要の伸びの実績と見通し(前年同期比)需要の伸び低迷需要の伸び急回復見通し1Q062Q063Q064Q061Q072Q073Q074Q071Q082Q083Q084Q08出所:IEAデータをもとに作成図15 OECD石油在庫日数*の推移(調整シミュレーション)?%3.02.52.01.51.00.50.0-0.5-1.0-1.5日5856545250481234567891011122002-6幅20072002~6年平均*:月末在庫量÷翌3ヶ月の石油需要出所:IEAデータをもとに推定. 2007年9月中旬から10月中旬にかけての原油市場等の状況 2図13 OECD石油在庫日数*の推移日5856545250482007年9月中旬から10月中旬にかけては、需給逼迫懸念の増大もしくは緩和、米国での利下げのGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - マ測と実際の利下げの発表、そして米ドルの変動を織り込みつつ、WTIで1バレル当たり概ね78~83ドル台で推移したが、総じて強気の相場となり、史上最高値更新が連続する場面もあった。(図16参図16 原油価格の推移(2003~7年)照)。 ドル/バレル908070605040302012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910WTIBrentDubai 9月17日の原油市場は、翌9月18日に開催される米国FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)で、フェデラルファンド(FF)金利が引き下げられるとの見通しのもと、これにより米国経済が下支えされ、石油需要が堅調に推移する一方、これが冬場の暖房油需要期を控えて供給不足をもたらすのではないかとの懸念が増大したことで、原油価格が1バレル当たり80.57ドルへと上昇した。そして果たして翌18日にはFOMCで、市場の事前予想である0.25%を上回る、0.5%のFF金利引き下げが全会一致で決定されたことから、市場では石油需要が増大する一方で米ドルの下落が加速するとの観測が出てきたこと、9月19日に発表された米国石油統計で原油在庫が市場の事前予想(150~200万バレルの減少)を上回る、387万バレルの減少となっていたこと、さらに9月20日には、米国メキシコ湾に進入すると予想された弱い熱帯性低気圧(10号)が発達するとの予報が出され、当該地域で操業する石油施設の一部が大事を取って従業員を避難させ、操業を停止(同地域の石油生産量日量130万バレルの27.7%に当たる日量360,169バレルが停止)したと米国鉱物管理局(MMS:Minerals Management Service)が発表したことや、米ドルの下落が進んだことから、原油相場は上昇を続け、9月20日の取引時間中には原油価格が1バレル当たり83.90ドル、取引時間終了直後の時間外取引で1バレル当たり84.10ドルに到達した他、終値も1バレル当たり83.32ドルとなった。なお、9月20日に至るまで取引時間中の最高値は9月20日に至るまで7日連続、終値でも4日連続で史上最高値を更新している。9月21日には原油先物契約がそれまでの10月渡しから11月渡しへと交代となったことで、1バレル当たり80~82ドル台となったが、米国メキシコ湾の石油生産が熱帯性低気圧の影響で一時日量814,578バレル(同地域での石油生産量の62.7%)の停止となったものの、実際には当該低気圧の関連施設への影響は限定的であるとの見方が出てきたこともあり、前日比0.16ドルと若干の下落となった。 9月24~25日には熱帯性低気圧が米国メキシコ湾の石油生産地域を回避して進んだことにより、同Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - n域での石油生産が再開し始めたことで、原油価格は下落、9月25日には1バレル当たり79.53ドルとなった。ただ、9月26日には原油価格が一時1バレル当たり78.45ドルにまで下落したものの、この下落を原油先物購入の良い機会と見た投資家の資金が流入した他、米国メキシコ湾付近にある弱い熱帯性低気圧(13号)が勢力を強めるとの予報で、原油価格は上昇に転じ、9月27日には米ドルが一時記録的な水準にまで下落したことから、原油先物市場を魅力的な投資先として資金がさらに流入した模様であり、原油価格は同日の取引時間中には1バレル当たり83.00ドル、終値でも82.88ドルなった。 しかしながら、10月1日には、これまでの原油価格上昇に伴う利益確定が発生したことや、製油所での精製マージンが低下している(後述)ことから、原油の受入が低迷するのではないか、ということを市場関係者が気にしだしたこと、翌2日には米ドルが反発、3日には同日発表された米国石油統計で、原油在庫が市場の事前予想(40~80万バレルの減少)とは反対に114万バレルの増加を示していると判明したことから、原油価格は下落基調となり、10月3日には1バレル当たり80ドルを割り込むこととなった。ただ10月4日には1バレル当たり79ドル付近で再び投資資金が流入、原油価格を1バレル当たり81ドル台へと押し上げた。10月5日には同日発表された9月分の雇用統計で、市場の予想である10万人を上回る11万人の雇用増加となっていた(さらに8月の雇用者数についても上方修正された)ことから、米国での更なる利下げの可能性が遠のいたこともあり、原油価格は若干下落した。 10月8日には米ドルが反発したことから、原油を含む商品市場の投資先としての魅力が薄れたことや、米国経済の減速で長期的には世界石油需要の伸びも鈍化するとの見方が出てきたことから、原油価格は前取引日比1バレル当たり2.20ドルの下落となり再び79ドル台となった(取引時間中の最安値は78.40ドル)ものの、10月9日以降米ドルは再び下落傾向となったことで、原油先物等商品投資の魅力が増加したことや、同日米国政府が冬場の暖房油需要が前年よりも増加するとの見通しを明らかにしたことで、石油需給逼迫懸念が増大したこと、また10月10日には、トルコ政府が、イラク北部から国境を越えてしばしばトルコに侵入しゲリラ活動を行っていたクルド労働者党(PKK)に対し、軍隊をイラク北部に派遣してクルド側勢力に対して攻撃を加える旨計画していることを明らかにしたことで、イラクの石油輸出に影響が出るのではないか、との懸念が発生したことや、BPの米国アラスカにおけるプルドー・ベイ(Prudhoe Bay)油田での火災発生で今後2週間日量3万バレルの生産量減少が発生するとの発表があったこと、ナイジェリアのChevronの石油生産施設6ヶ所での操業に従事しているナイジェリア人労働者がストライキを開始したとChevronから発表があったこと、さらには10月11日には同日発表された米国石油統計で、原油在庫が市場の事前予想(90~110万バレルの増加)とは反対に167万バレルの減少となっていたこと、そして10月12日には、前日の原油在庫減少による市場心理を引き継いだうえに、トルコのエルドアン首相が、クルド側勢力を攻撃するようなことになっても、その場合における国際Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - Iな非難を気にすることはない旨示唆したことから、同国とクルド側勢力との間での緊張が高まるといった懸念が増大したことにより、原油価格は総じて上昇基調で推移、10月12日には取引時間中に1バレル当たり84.05ドルとなった他、終値で1バレル当たり83.69ドルと9月20日に記録した終値ベースで. 原油市場と動きを異にする天然ガス市場 3の史上最高値を更新した。 米国では、8月上旬に気温が平年を上回る水準にまで上昇したこと(図17参照)に伴い、空調需要とそれを賄うための天然ガス火力発電所向けの天然ガス需要が発生するとの観測が出たことや、ハリケーン等の発生にともなう供給途絶懸念が発生したことから、8月中旬にかけて天然ガス価格は上昇した(図18参照)が、その後気温が低下したことに加え、在庫水準が7月下旬から記録的な状況となっていた(図19参照)ことから、価格は下落した。ただ、その後は9月に入ってハリケーン等が大西洋圏で発生したことで、これらが米国メキシコ湾に来襲し、天然ガス生産施設に影響を与えるのではないかとの懸念が増大したことや、9月後半から10月初旬にかけて米国で季節はずれの暑い気候となった時期もあったことから、冷房用発電向け天然ガス需要が発生するとの観測等で、天然ガス価格が100万Btu当たり7ドル台へと上昇したものの、実際にはハリケーン等が米国メキシコ湾の施設には限定的な影響しか与えなかったことや、その後再び気温が低下してきたこと、天然ガス貯蔵量が引き続き記録的水準に近い豊富な水準であったという背景もあり、価格は概ね100万Btu当たり6ドル台へと下落している。なお7月の米国のLNG輸入は記録的な水準となった(図20参照)が、米国と英国での天然ガス価格差が一時縮小したこともあり、8月においてはLNG輸入が減少したと伝えられる。 図17 米国(NY)気温(2006~7年) ℃3025201510789102006-7年気温平年気温(月間値) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - ゙ル/百万Btu16図18 天然ガス先物価格の推移(NYMEX、2005~7年)1412108648910111212345678910111212345678910図19 米国天然ガス貯蔵量の推移(2007年)兆cf4.03.53.02.52.01.51.00.51234567891011122002-62007出所:米国エネルギー省 図20 米国LNG輸入量の推移(2006~7年)十億cf100.0080.0060.0040.0020.000.00891011121234567アルジェリアエジプトナイジェリアトリニダード・トバゴカタール赤道ギニア出所:米国エネルギー省 英国では、8月に入って気温が平年並みで推移(図21参照)、寒からず暑からずで、暖房需要も冷房向け電力用ガス発電需要も盛り上がらなかった他、操業を停止していたCATSガスパイプライン(Central Area Transmission System、BPが操業する全長404km、口径36インチの天然ガスパイプライン、北海中部の油・ガス田から英国北東部Teessideに日量約10億立方フィート程度と、英国全体の天然ガス消費量の約10%に当たる天然ガスを輸送、6月25日に船舶の錨が損傷を与えたことで、7月1Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 - 冾ノ修理のため操業を停止)が9月には復旧するとの情報が出てきたことから、それを見越した動きが出てきた模様であり、天然ガス価格は100万Btu 当たり4ドル台(ICE先物価格)へと低下した(同パイプラインは8月30日に操業を再開した)。ただ、その後は同国の天然ガス価格は上昇傾向となり、10月に入ってからは100万Btu当たり9ドルを上回るようになってきたが、これは英国での冬場の天然ガス需要期を控えた季節的なものであると思われる(例年9月以降英国天然ガス価格は上昇する傾向にあ現在の原油市場は市場ファンダメンタルズの全体像に基づかない要因で動かされることが多いようである。原油市場は堅調な世界石油需要見通しが発表されていることや、ハリケーン等の米国メキシコ湾への来襲の可能性、トルコ政府とクルド側勢力との緊張の高まりといった事象を含めた懸念により影響を受けている模様である。しかしながら堅調な世界石油需要見通しは前述の通り石油需要の伸びが今後現状から大幅に回復することに基づいており、下振れリスクが見込まれる(10月17日に発表される予定の国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」(WEO:World Economic Outlook)では2008年の世界経済成長率が下方修正されるとの見方があり、そうなると石油需要の伸びもそれに併せて再調整されると指摘する向きもある)他、トルコ政府がイラク北部においてクルド側勢力を攻撃したとしても、イラク原油は大部分が南部のバスラ等から輸出されていることから、同国からの石油供給に対する影響は限定的であると見られること、ハリケーン等暴風雨のシーズンは11月末までであるが、10月半ば以降はそのような暴風雨の発生も総じて不活発になってくること、また米国ではガソリン在庫が低迷しているものの、そもそもガソリン需要期は9月初旬で終了している他、ガソリンの需要自体も減退気味であること、米国やOECD諸国の石油在庫は全体としてみれば危機的なほど低いというような水準ではないこと、といったように、必ずしも石油需給を逼迫させたり逼迫懸念を増大させたりしないような要因も存在している。その意味でGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 - 789102007年気温平年気温(月間値) . 今後の見通し 4図21 英国(ロンドン)気温の推移(2007年)る)。 ℃22201816141210ヘ最近の原油相場は市場ファンダメンタルズ等の全体像ではなく局所的要因で動いているといった側面があるといえよう。 また市場ファンダメンタルズではない要因でも原油先物市場に資金が流入し、これにより高水準の価格が維持されるといった面もある。この要因としては、9月18日に実施したFOMCでのFF金利引き下げとそれに伴う米ドルの下落が挙げられる。金利の引き下げに伴い通貨の流通が加速するので、金融市場等にはインフレ懸念が出てくるが、それを回避する一つの方法として原油等の商品を購入するといった方策を採用するようになっている。また、原油価格は米ドル建てで取引されるので、米ドルの下落で他の通貨に対して原油価格が相対的に割安になり、その結果米国以外での通貨を使用する国では需要が当初予想したほど減少しないであろうといった考え方が市場で出てくる他、米国外の投資家が割安になった原油を購入するといった場合も出てくる。また特に中東湾岸産油国等では原油を販売して得られた収入はドルであるが、財の輸入は欧州からユーロで行われる場合がしばしばあり、米ドルの下落は産油国の実質的な購買力の低下を引き起こすことになることから、その意味では産油国はドル建ての原油価格がさらに上昇し、ドル減価による実質収入の減少の穴埋めが行われることを望むようになり、その結果原油価格を引き下げるような方策に消極的になりやすい。このようなことから、最近(2002年以降)では米ドルが下落すると原油価格が実質価値を維持するように上昇する、といった傾向が出てきている。ただ、米ドルの価値は2001年と比較して3分の2程度となっているが、それが完全に原油価格に反映したと仮定しても、過去の石油在庫と原油価格の緊密な関係を考慮すれば、現在のファンダメンタルズを反映する原油価格は1バレル当たり40ドル程度となる(図22及び23参照)。そのような意味で、米ドルの下落を最大限に考慮してもなお、1バレル当たり80ドルを超過するような原油価格は説明できない状況にある。 ドル/バレル図22 米国石油在庫と原油価格(WTI)80706050403020102007年8月米ドル下落による調整を行った場合45474951535557591995~2003年2004年2005年2006年2007年日出所:IEA他データより作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 13 - ゙ル/バレル図23 OECD石油在庫と原油価格(WTI)2007年8月米ドル下落による調整を行った場合45505560日651995~2003年2004年2005年2006年2007年出所:IEA他データより作成 8070605040302010 さらに、石油製品の需要が相対的に弱いことから、石油市場においては原油価格だけが高騰している状態となり、その結果精製マージンが縮小している(図24参照)。この場合製油所では原油を購入して石油製品を生産するというインセンティブが働きにくくなり、その結果原油の購入を今後手控えてくる可能性がある。この面から現在の原油価格は持続不可能となるのではないか、と指摘する向きもある。 ドル/バレル30図24 精製マージン*の推移(2007年)2010012345678910*:原油価格3、ガソリン価格2、暖房油価格1の割合による推定マージンを計算出所:米国エネルギー省データ等をもとに作成 ただ、現在の原油市場は、需給逼迫懸念や米ドル下落を材料としつつも、「原油価格が上昇しており、今後も上昇しそうだから原油先物を購入する。」、そしてそれがさらなる原油価格上昇を誘発するといった「勢い」自体で上昇しているといった状態になっており、その意味では、投資家にとって石油需給ファンダメンタルズ等の都合のいい局所部分を材料として、今後も上昇を続けるとったことも考えられる(過去の原油価格を現在の価格に換算した場合、1バレル当たり84~101ドルとなり、その意味では現在の価格はその当時に比べれば低いとの見方もあり、このような論理も利用される可能性がある、但し過去このような高水準の価格は世界石油需要の減少を引き起こし、その後原油価格は暴落した)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 14 - 汢フFOMC総会は2007年10月30及び31日に開催される。更なる利下げ観測は現在出てきていない模様であるが、米国の経済状況によっては再利下げ観測が強まることから、これによって原油価格が影響を受けることが考えられる。また10月9日に米国海洋大気庁(NOAA:National Ocean and Atmospheric Administration)が、2007年12月から2008年2月にかけては米国全体で気温が平年を2.8%上回るが、2006~7年の冬の気温を1.3%下回る、と発表している(図25参照)が、これが冬場の暖房油需給逼迫懸念の材料として使われ、原油価格が上昇する場合も考えられよう。 図25 米国の暖房度日見通し ※ 暖房度日(Heating Degree Days):1日の平均気温と華氏65度(摂氏約18度)との差を集計したもの 出所:米国エネルギー省 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 15 -
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2007/10/15 野神 隆之
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