ページ番号1003705 更新日 平成30年2月16日

海外展開を図るカザフスタンの国営石油会社KazMunayGas

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レポートID 1003705
作成日 2007-11-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 企業探鉱開発
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著者直接入力 古幡 哲也
年度 2007
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ページ数
抽出データ 海外展開を図るカザフスタンの国営石油会社KazMunayGas 更新日:2007/11/19 調査部:古幡 哲也 公開可 (各種情報誌) ・ カザフスタンの国営石油会社KazMunayGas(カズムナイガス/KMG)の中核をなす、探鉱・開発部門(陸上)子会社、KazMunayGas Exploration and Production (KMG E&P)社は、昨年9月にロンドン株式市場で上場した。 ・ KMGは近年、欧州の下流部門(精製・販売)への資産の獲得に積極的に努めている。国際石油会社(IOC)との共同事業によりカザフ国内の生産量が増加し、自国政府・国営石油会社の取り分原油も急速に拡大しており、これらを安定的に適正な価格にて販売するために必要な投資と考えられる。 ・ 一般に、産油国政府・国営石油会社による下流市場への参入は、以前より行なわれてきたことであり、特段目新しくはない。ただ、これらの投資を通じて、産油国・消費国の双方の連携が強まり、結果的に産油国・消費国双方のエネルギー・セキュリティに寄与する側面があると考えられる。 ・ 今のところ、KMGの海外投資の中心は下流部門であるが、上流投資にも関心があり、上流・下流のインテグレートやKMGの海外上流進出のアシスト等、KMGとのアライアンスを通じてIOCがカザフスタンの上流にも食い込む戦略が可能かもしれない。 ソ連から独立後20年を経ていないカザフスタンやアゼルバイジャンの比較的「若い」国営石油会社(NOC)も、欧州の製油所・製品販売網の買収、株式取得を積極的に推進している。うまく行かなかったがケースもあるが、獲得に成功した資産を足がかりに、欧州マーケットにも徐々に地歩を固めつつある。(「KazMunayGas」、「KazMunaiGas」双方の表記が公式資料で見られるが、本稿では「KazMunayGas」で1991年 12月 カザフスタン独立、国営石油会社Kazakhstanmunaigazを設立 1994年 1月 Munaigazに改名 1997年 3月 石油・ガス工業省をKazakhOilに改編、Munaigazは解体 2002年 2月 大統領令により、国営開発会社Kazakh Oilと輸送会社Transneftegazが合併してKazMunayGas設立 - 1 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . カザフスタン国営石油会社KazMunayGas (KMG)の概要 1統一する。) (1) 沿革 2) KMGのファンクション KMGの権能は以下の通り。ただし、KMGは国が100%出資するHolding Companyであり、実際には各子会社を通じて実際の事業に従事している。 ① 国家のエネルギー政策やエネルギー戦略の策定・実施 ② 石油・天然ガス開発事業関連契約で国の利益を代表。カザフ国内権益の入札に参加。 ③ 原料炭化水素および製品の探鉱・開発・生産・精製・輸送・販売、ならびにカザフスタン内外における石油パイプラインや生産インフラの設計・建設・操業を行なうこと。 上記の機能を果たすために、KMGは多くの子会社を抱えている。以下は主たる子会社である。 KMGの設立時には、子会社は48社あったが、その後、2006年までにノン・コア企業の処分の大半3) KMG系列会社(KMGグループ) (を完了している。 (表1:現在のKMGの主な子会社) KMG Exploration and Production KazTransOil KazTransGas Atyrau 製油所 Kazmortransflot KazStroyService KMG Trading House KazMunaiTeniz 石油・天然ガスの探鉱・開発(カザフ陸上) 石油輸送 ガス輸送 石油の精製(KMG Trading Houseが保有) (JBIC Loanにより丸紅/JGCがUpgrading工事中)タンカーによる原油輸送 建設 原油・製品等の売買、資機材調達 石油・天然ガスの探鉱・開発(カザフ領カスピ海上)、海上施設建設 空港 ヘリコプター会社 Atyrau International Airport Eurasia-Air Helicopter Company KMGグループの中で中核を占めているKMG E&Pは、その60.1%以上の株式をKMG本体が保有すべきことが定められており、国側が常にKMG E&Pのシェアの過半数を維持することになる。ただし、KMG E&P社側とKMG本体の間に緊張関係を持たせるため、両社の間で協定書が結ばれている(重要な資産買収・資産処分、配当政策、会社統治規定、およびこの両者間協定書などの変更にあたってKMG E&PのNon-Executive Director(外国人を含む)からの承認を得ることが必要。)。とはいえ実態上は、KMG E&Pがカザフ政府や KMG本体の強い影響下にあることに変わりは無い。 なお、政府が保有するKMG本体の株はSamuruk Holdingと呼ばれるHolding companyが管理している。Samurukは、各省毎の汚職体質を改善すべきとの西側コンサルタントの意見を反映し、2006Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 11882005991521911912007 (plan)2006Share in JV's7.47,6*8,4年に設立された。各国営会社を実際に運営することはなく、アセット・マネジメントを行なう主体として株式のポートフォリオに責任を持っている。Samurukは KMG の株式のほかにも、郵便会社(Kazpochta)、送電会社(Kazakhstan Electricity Grid Operating Company)、鉄道会社(Kazakhstan Temir Zholy)の全株式、電信会社(Kazakhtelecom)の50%を保有している。 KMGグループは国内生産量の伸びと油価の高騰を背景に業績を伸ばしてきている。特にこの数年は外資との共同事業からの生産量の伸びが著しい。 4) KMG及びKMG E&Pの財務実績 (200220032004200520062007(plan)otes: Without revenues from IPO of EP KazMunayGas JSC (USD 2,3 bln.) 出所:図1・2共にKMG (KIOGE2007配布資料) - 3 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 0.0 N図1:KMGの石油・コンデンセート生産量の推移 400300200100Thous. bbl / day.6514868158791790200220032004JSC "NC "KazMunayGas"図2:KMG連結Revenue($B)の推移 5.02.73.29.06.03.0 MGのプレスリリースによれば、2007年上半期の連結売上高は5,073億カザフスタン・テンゲ(≒39.52億ドル@直近レート128.35テンゲ/$)となっており、これは前年同期比で4.8%増、また年間見通しを8.9%上回っていると発表されている。前出の年間84億ドルの前提レートが不明だが、2007年も比較的よいペースで売り上げが伸びていることは間違いなさそうである。なお、売り上げで比較する場合、84億ドルのKMGは、772億ドルのStatoilのおよそ1/10程度の規模。 次に、KMG E&Pの実績は以下の通り。現時点ではKMG E&Pの生産量がKMGグループのほぼ全量を占めていると思われる。また、2006年末の埋蔵量(Proven + Probable)は6.9億バレルである。 Years ended 31 December Production (b/d) Total revenue (mln. USD) Export (b/d) Profit from operations (mln. USD) Profit for the year (mln. USD) Capex (mln. USD) 20051872,625.591301,067.53329.29365.10 2006 191 3,269.16 135 1,726.37 972.01 390.88 (表2:KMG E&Pの実績<出所:KMG E&P社ホームページ>) MG E&Pはロンドン(2006年9月)とカザフ国内の株式市場(2004年12月)にて上場している Kが、ロンドン市場ではKMG E&Pの株式を保有する銀行が発行するGlobal Depositary Receipt(GDR)と呼ばれる証書が取引されている。1GDRは株式の1/6のVoting Rightがあり、その価格の推移は以下の通り。油価の高騰もあってこの一年の株価は全体として上昇基調にある。 図3:ロンドン株式市場でのKMGのGDR価格推移:米ドル) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - KMG E&Pのカザフスタンの株式市場の価格推移は以下の通り。 図4:カザフスタン株式市場でのKMG E&P株価推移:カザフスタン・テンゲ 参考: 1米ドル ≒130カザフスタン・テンゲ 2. KMGグループによる事業展開 (1) 国内展開のポイント ①上流 KMG E&Pが持つUzen等の既存油田の生産の伸びは期待できず、生産量維持に注力。また、2005年にはCNPCによる旧Petrokazakhstan権益の買収に際し、クムコル(Kumkol)油田群(埋蔵量549.8MMBOE、生産量15万b/d)やシムケント(Shymkent)製油所(14万b/d)などの旧Petrokazakhstan者の権益の33%を獲得。 また、やはり中国のCITIC社のNations Enegy資産の買収に際し、カラジャンバス油田(Karazhanbas、生産量5万b/d)保有会社(Karazhanbasmunai社)の親会社の株式50%を$930mmにて取得することを、2007年10月にKMGから発表。独立後15年を経て、国家としても一定量の資源をその管理下におくという意義もあろうが、上場しているKMG E&Pの企業価値を高めるためにも必要なステップであろう。 ②精製・販売 石油精製に関しては、カザフ国内製油所は老朽化が進んで稼働率が低い(一部報道では20%弱)ため、カザフ産の原油の約73%(2006年)がカザフ国外に輸出されており、その結果、国内は慢性的に石油製品が不足して、ロシアからの製品輸入に頼らざるを得なくなっているとの指摘がGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - ?る。現在、JBICからの支援を受けたアティラウ製油所(10億ドル)や旧Petrokazakhstanのシムケント製油所の改修工事(6億ドル)が進められている。これらの工事が完了すれば国内供給量は増加してくるものと思われる。 また、KMGは国内におけるリテール力を強化すべく、自前のガソリンスタンド設置を進めており、現時点では190箇所、シェアも7.8%を占めるに過ぎないが、2010年までにこれを500箇所とし、またシェアも16%に伸ばす計画を持っている。 (写真:アルマティ市内、KMGのガソリンスタンド、筆者撮影) KMGは上記の国内展開に加え、海外においても顕著な動きを見せている。具体的には、欧州マーケットの下流事業(精製・販売)分野への進出が目覚しい。これは、テンギス油田やカシャガン油田などIOCとの共同事業から生産立ち上がりに伴い、カザフスタン政府(またはKMG)が取得する原油(KMGシェア分のコスト回収原油・利益原油や政府取分の利益原油、総称してエンタイトルメントととも呼ばれる)が急速に増大しつつあること、かつ増大が見込まれていることと関係しているものと考えられる。 ある分析によれば、KMGの取分原油は現在、カザフスタン全生産量の16%を占めるに過ぎないが、今後、契約に則ってカザフスタン側エンタイトルメントが増加し、近い将来にはカザフスタン産原油のなんと70%がカザフスタン側エンタイトルメントになるとの見通しもある。KMGはこれらの原油を適切な価格で売らなければならないわけだが、欧州市場には少しでも原油を安く仕入れようと、百戦錬磨の石油トレーダーが待ち構えている。KMGにはトレーディング子会社もあり、どの程度の販売能力があGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - 2)KMGの海外展開 (驍フかは不明だが、比較的「若い」NOCであるKMGが自ら売り先を探す手間ひまや、販売委託に必要な口銭支払いを避けるために「自前」の製油所やリテール網を保有し、また石油に付加価値をつけてから販売することには一定の経済合理性があると考えられる。要は、手っ取り早いし、買い叩かれずにすむのである。加えて、ロシアや中国といったマーケットを念頭に置けば、欧州向けに販路を確保することで、価格面でのバーゲニングパワーが強まることもメリットであろう。(ただし、反対に下流事業でリスクも抱えることになるが。) なお、これらの下流資産への投資には、ノン・コア・アセットの売却収入が当てられているが、その資金調達力はまだ必ずしも十分とは言えず、例えば次ページ(2)に示すRompetrolの株式買収のケースと同じように、新たな資金調達が必要な場合が出てこよう。 以下はKMGがカザフスタン以外での下流事業に投資を行なっている、あるいは投資を検討している案件である。 図5: 2001年11月、当時のKazakhoilはウクライナのKherson製油所のシェア60%を買収。しかし、KMGGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - 1) ウクライナ (ン立後の2002年5月に、KMGが36,000b/dの原油の供給義務を果たせないこと、また製油所改修のための2.5億ドルの投資を行なえなかったことから、40%近くの株式をロシアの独立系企業Alliance Groupに売却。現在は20.2%のシェアを保有している。Kherson製油所はウクライナで3番目に大きな処理能力(年間7MMt、173kb/d)を持っている。また、KMGは長期供給契約を締結しているとのことであるがその数量は不明。 (2) Rompetrol社株式75%の買収 図6: KMGによるRompetrol社株式75%取得を説明するプレゼン資料 (2007 KIOGE資料) KMGは2007年8月に、ルーマニア国内に2つの製油所(合計8万b/dの精製能力)およびルーマニアで2位の販売シェア(40%)を持つRompetrol社(本社オランダ、他にブルガリア、フランス、スペインなど欧州で手広く展開、ガソリンスタンドは630ヶ所)の株式75%を約27億ドルで取得した。KMGはこのための資金を調達するため、10月にABN Amro、Credit Suisse他から30億ドルの借り入れこと が決まっている。 (3) グルジア ① ガス販売網の獲得 KMGグループのKazTransGasは2006年5月に、グルジアで2,414kmのガスパイプライン網を持つガス販売会社Tbilgazi社の株式96%をわずか1,250万ドルで買収。8,200万ドルを追加投資して、ガス販売網、メーター類、研究所、その他施設の回収を行なうと発表。将来のカザフスタン産ガGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - Xの販売を念頭においており、グルジア政府もこれを歓迎していると伝えられている。 なお、グルジアへのロシアからのガス供給は価格が折り合わず、2008年にはストップするとの予想もあり、ACG油田の随伴ガスやShah Denizガス田からのガス生産が増加させているアゼルバイジャンもグルジアのガス市場参入の拡大を狙っている。 ② Batumiの石油ターミナルの獲得 KMG傘下のKazTransOilはグルジア黒海沿岸の原油・製品出荷基地、Batumi(バトゥミ)Oil Terminal他の輸送関連資産を持つNaftrans Capital Partners Limitedの株式50%を2007年1月に買収した。Batumiは24万b/dの出荷量が可能であり、BTCの通油キャパシティを持たないExxonMobilのACG原油やアゼルバイジャンに荷揚げされたカザフスタンやトルクメニスタン産の原油が貨車でBatumiまで輸送され、船積みされている。 加えて、KMGはデンマークのGreenoakグループとともにBatumiに14万b/dの精製能力の製油所の建設(費用見込み10億ドル)を進めるべくMOUが今年3月に締結された。ただし、その後の進展は報じられていない。 なお、アゼルバイジャンのSOCARはこれまたグルジア黒海沿岸のKuleviターミナルを取得しており、2007年末までに稼動開始予定である。6万b/dの原油・ディーゼル、8万b/dの燃料油を出荷する能力があるとされている。 (4) クロアチアINA社株式の買収 クロアチア最大国営石油会社INAのクロアチア政府保有株式の一部を取得すべくKMGが交渉中であることが報じられている。INAは2つの製油所(精製能力計15万b/d)、450のガソリンスタンド網を保有している。ロシアから欧州に原油を供給しているDruzhbaパイプラインへのアクセスもある。 2006年10月にはクロアチアPolancec首相がカザフ権益参入要請があったとのことだが、ナザルバエフ大統領は「カザフ側の希望(INA株式買収)を受け入れることが条件である」、と迫っていたと報じられている。2007年7月にKMGはクロアチア政府保有のINA社株式44%を購入する意思があることを正式に表明、現在は、INAとKMGの間で交渉が続けられている模様。 なお、INAは規模が小さいものの上流事業に参画、クロアチア、シリア、エジプト、ナミビア、アンゴラに権益を保有。(埋蔵量:石油8,900万bbl、ガス29bcm、生産量:石油2.2万b/d、ガス2bcm/年) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - サ在、BTCパイプラインはアゼルバイジャンのACG油田プロジェクトの原油を通油しているだけだが、近いうちにTengiz油田の原油を、また将来はKashagan油田の原油を輸送することとなる。これを背景に、ナザルバエフ大統領が今年5月にトルコを訪問した際、BTCの終点であるCeyhanに製油所を建設することについて覚書(Provisional Agreement)を交わしたと報じられている。建設コストは約50億ドル、精製能力は30万b/d程度が想定されている。2008年から工事が開始され、2012年には製油所が稼動する目論見とのことである。Cheyhanではそのほかにも複数の製油所建設の計画が浮上している。 ② 国営石油化学会社Petkim社買収 アゼルバイジャンのSOCARはサウジのInjas社、トルコのTurcas社と組んで、トルコ国営でトルコ最大の石油化学会社Petkim Petrokimyta Holdingの51%政府保有株の入札に参加。Petkimはトルコでおよそ30%の製品市場シェアを持つ。他には、カザフの民間企業JVのTransCentralAsia Petrochemical HoldingやイスラエルのCarmel Plefin社、Indian Oil社JVが入札に参加した。 結果はTransCentralAsiaが20.5億ドルで最高額、SOCARのJVは20.4億ドルで2番札となったが、負けたはずのSOCARのJVがトルコ公取委の許可を受けて落札したと報じられている。25億ドルをかけて設備の近代化を図る予定と報じられている。アゼルバイジャンとトルコは、歴史的にも、また政治・経済的にも大変に関係が強く、両国の政治的関係が反映された可能性もある。 そしてKMGは、SOCARのJVが落札した場合にこのプロジェクトに協力していくとの合意があるとされており、KMGがPetkimの一部シェアを購入する等により、将来はKMG取分原油の一部がPetkimにて精製・販売されていくことになるものと予想される。 KMGは2005年秋にモスクワにRepresentative Officeを開設、今年7月にはTyumen Regionにオフィスを開いたと伝えられており、ロシア上流への参入を図っているものと見られる。 また、ロシア政府/Gazpromとの間では、オレンブルグ(カザフから北西のロシア都市)におけるガス処理プラントの建設に向けたMOUも2006年10月に締結済み、カルチャガナック油・ガス田から生産されるガスを処理(脱硫)する予定となっている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - 6) ロシア ((5) トルコ ① Ceyhan製油所建設 i7) 中国 カザフスタンと中国を結ぶ石油パイプラインの建設は、カザフ区間はKMGとCNPCが50%ずつ、中国国内はCNPCが全額負担して進められている。第1期工事(Kenkyak-Atyrau)は2003年に完成、現在は、KenkyakからAtyrauに向けて原油を逆送している状態。第2期工事区間(カザフスタン・Atasu-中国・阿拉山口(Alashankou))は2004年8月着工し2006年1月に完成し、現在20万B/Dの通油量で中国に向けて原油の供給が行なわれている。(中国側は独山子製油所で精製) また、第3期工事区間(Kenkiyak-Kumkol)は現在Feasibility Study中であり、当面は20万b/d、最終的には40万b/dを目指すもの。KMGの精製・石化担当役員は、カザフスタン-中国間石油パイプラインの完成を念頭に、新彊・ウイグル自治区の3つの製油所について資本参加を検討していくことを匂わせる発言もしている。 カスピ海のプロジェクトに参加する国際石油会社は中国一国への供給に反対していること、また対ロシア関係を配慮するカザフ政府が性急には中国との関係強化を進められないとの背景もあり、早急な着工は難しく、当面はF/Sが続くとの見方もある。 (図7:カザフスタンからの石油搬出ルート 出所:KMGによるKIOGEプレゼン資料)- 11 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i8) ボスニア・ヘルツェゴビナでの発電事業参入 KMG傘下のKazTransGasは、2007年8月にボスニア・ヘルツェゴビナ政府と戦略的提携関係を結んだ。これに基づいて、KazTransGas社は3ヶ所の石炭火力発電所を建設することなっており、その合計投資金額は10億ユーロ程度と見込まれている。それ以外にも、エネルギーセクターでの買収や参入を通じて、エネルギー産業の近代化や追加的な発電施設の建設(総額20億ユーロ)を図ることも計画されているとのこと。もちろん、将来には同国内の石油・ガス開発資源の開発をKazTransGasが行なうことも視野に入れられている。 (9) チェコ 2004年にKMGはチェコの石油精製会社Unipetrolの株式63%の買収に失敗している。KMGが3.5億ドルを提示したのに対し、ポーランドのPKN Orleanが4.8億ドルを提示したため敗退。Unipetrolは3ヶ所の製油所を保有または共同保有しており、自社分では18万b/dの精製能力を持ち、チェコ国内に319ヶ所のガソリンスタンドネットワークがある。 (10) リトアニア・ラトビア KMGは2006年にリトアニアの製油所、Mazeikiu Naftaの買収に取り組んだ。24万b/dの精製能力があり、もともとは旧Yukosが保有していた資産。KMGはバルト海方面に原油・製品マーケットの拡大を図ろうとして15億ドルを提示したが、最終的にはポーランドのPKN Orlean社に敗れた。これはロシアTransneftがカザフ原油24万b/dをリトアニアまで輸送する10年間の契約をキャンセルし、KMGが原油をリトアニアに輸送できなくなったことが原因となったと報じられている。なお、実際にこの製油所へのロシアからの原油の輸送は事故のためストップしており、製油所はButingeのターミナルから陸揚げした原油を精製しなければならない状況である。 また、同じく2006年にラトビア政府が保有する石油ターミナルVentspils Nafta社の38.62%の買収にKMGに見られるような消費国の下流事業への参入は、KMGに限らず、これまでにも他の国営石油会社も同様の参入を行なっている。具体例は以下の通り。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 - 動いたがこれも失敗に終わっている。 . 他の国営石油会社による販路の確保 3痩c石油会社 PDVSA(ベネズエラ) 精製・販売企業CITGO(米) Kuwait Petroleum Company (クウェート) Kuwait Petroleum International(欧)(Q8) 下流企業の事業内容 ・2006年の売上げ323億ドル。PDVSAは1986年に50%、残りを1990年に買収。 ・保有製油所3箇所(イリノイ、テキサス、ルイジアナ)処理能力64.7万b/d、他にテキサス、米領バージン諸島の2製油所でJV、合計で67.9万b/dの処理能力 ・ガソリンスタンド数14,000→20%を削減予定 ・蘭、伊に製油所保有。 ・1983年Gulf Oilの欧州下流資産買収により欧州市場参入。その後各社資産を買収。 ・デンマーク、伊、ベルギー、蘭、ルクセンブルグ、スウェーデンに展開。4000以上のガソリンスタンド。 ・石油製品のR&D ベネズエラのチャベス大統領は政治的には反米的な態度をあからさまにして米国民の反感を買っており、米国内ではCITGO製品の不買運動も起きたりしているが、実態上、CITGOを通じて、石油需給の面で米国市場と緊密な経済的関係がある。PDVSA、米政府ともにそろって「CITGOはアメリカの会社だ」とコメントしているところが大変興味深い。 また、わが国においても、産油国国営石油会社とわが国石油会社との間のアライアンスが見られるようになってきており、KMGの欧州での動きと比較すると、これも大変興味深く思われる。 インプリケーション (1) 長期的な安定供給体制の構築 これまで説明してきたKMGの欧州下流資産の確保により、マーケットを確保するという経営上の判断が、KMGにとっての「エネルギー・セキュリティ」につながっている。 逆に言えば、KMGやCITGO、Q8などは自社が確保した下流マーケットに原油・製品を供給することをコミットしているわけではないが、その供給の蓋然性は高まるわけであり、消費国側にとっても、「エネルギー・セキュリティ」の一端をなすものであると考えられる。ビジネスベースであっても安定供給に大きく貢献しているといえる。 (2) カザフへの上流投資のチャンスはあるか? . 4 KMG は、KMG E&Pを通じてカザフスタン陸上の上流権益を持ち、カスピ海上のプロジェクトGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 13 - ヘKazMunayTenizが権益を持っている。しかし、カザフ国外での本格的な上流権益獲得はまだみられない。しかし、KMG E&PのCEO Balzhanov氏は最近のインタビューで、カザフ周辺各国への事業展開がプライオリティとしながらも、CIS以外のエリアでも外国石油会社と戦略的提携を組んで進出していくことに興味があることを明らかにしている。実際にロシア国内での上流権益獲得の動きを見せたり、クロアチアでINA社株式買収を通じてクロアチアでの探鉱・開発に参入しようとしていることからも、海外上流進出への潜在的意欲は強いものと思われる。 一方、探鉱・開発のペースが上がってくるカスピ海上の鉱区については、今のところ、カザフスタン政府は、入札にはよらずバイの交渉で付与する方針である。ただし、カスピ海上は50%以上のシェアをKMGが占めることが定められており事業のコントロールが難しく、法制・税制も不安定であるが、それでもカスピ海上のポテンシャルは大変高く、クロアチアのINA社のように欧州等のマーケットへのアクセスと引き換えやKMGとのアライアンス等により、カザフスタンにおける上流権益へのアクセスを試みる動きは今後も出てくるものと考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 14 -
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国1 カザフスタン
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地域10
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2007/11/19 古幡 哲也
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