ページ番号1004087 更新日 平成30年2月16日

水圧破砕技術の歴史とインパクト

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レポートID 1004087
作成日 2011-02-14 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 技術非在来型
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2010
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 作成日: 2011/2/14 石油企画調査部: 伊原 賢 公開可 水圧破砕技術の歴史とインパクト (JOGMEC石油企画調査部、石油技術協会、世界石油工学者協会SPE資料ほか) ・ 地層への水圧破砕は古くは1940年代後半より実施されており、現在では石油開発で一般的に実施されている手法です。しかし、そのメカニズムは複雑で良く理解されていない点もあり、コントロールは容易くありませんでした。例えば、大深度の貯留層は複雑な地質履歴を経ていることが多く、層内の応力分布が複雑なため、水圧破砕の設計は難しくなります。一方、高圧作業となるためコストがかさみ、経済リスクが増します。 ・ しかしながら、21世紀に入って技術は進化し、地層への多段階フラクチャリングが確実にできるようになり、非在来型資源とされたシェールガスやシェールオイルの開発が現実となったのは、石油開発業界では記憶に新しい朗報でした。 ・ このような背景のもと、水圧破砕技術の歴史と、環境面も含め、その石油開発へのインパクトを解説したいと思います。 . 水圧破砕技術の概要 1(cid:57) 水圧破砕技術とは、坑井内を満たした流体を高圧で加圧することで、坑井付近の貯留岩を人工的に破壊する技術です。生成した亀裂(フラクチャー)により、坑井近傍の浸透率(流体の流れやすさ)を改善し、坑井への有効な流入断面を拡大して、坑井の生産性を向上させる技術です(図1)。 1/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }1 水圧破砕技術の概要 (cid:57) 石油や天然ガスが眠る貯留層から坑井への有効な流入断面積は、貯留層の厚さを30メートルとすると、8.5インチ径の坑井では約4平方メートルになりますが、奥行き30メートルにも及ぶ高浸透率のフラクチャーを有する坑井では、3,600平方メートルと900倍(30 x 30)にもなります。流体の流れは放射状流よりも線形状流となり圧力損失が軽減され、有効な排油ガス範囲が大きくなり、坑井の生産能力が向上するのです。 (cid:57) 生成したフラクチャーは閉合を阻止し、長期に亘って維持する必要があります。このためプロパントと呼ばれる粒状の物体を、発生したフラクチャーに注入します。水圧破砕の目的はプロパントという「フラクチャーの支持材」を所定の場所に置くこととも言えます。周辺の地層に対して高い浸透率の亀裂であるフラクチャーを形成し、大きく有効な流入断面積を確保するためには、破砕(フラクチャリング)流体により適切に支持材を地層内で運搬・設置しなければならないのです。 (cid:57) 適切なフラクチャーを生成し、かつ維持するためには、圧入流体とプロパントの設計を適切に行う必要があります。圧入されたフラクチャリング流体の効率は、次式のように定義できるでしょう。 流体効率 = (密閉時のフラクチャー体積)/(フラクチャリング流体の圧入量)。 因みに、自然フラクチャー型貯留層においては、逸水が多くなり、流体効率は悪くなります。 (cid:57) 作業の典型的手順を、以下に記します。 (i)ミニフラクチャリング作業: 2/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 @ステップレート圧入テスト(流体効率の調査) ②メインフラクチャリング流体の調整 (ii)メインフラクチャリング作業: ①流体圧入: プレパッド(高粘性流体、フラクチャー生成)、パッド(ジェル流体、フラクチャー伸展)、プロパント輸送流体(ジェル流体、プロパント/支持材、逸水防止剤を混合) ②坑井密閉、圧力挙動のモニタリング(フラクチャー閉合、逸水、プロパント) (iii)ポストフラクチャリング作業: ①坑井密閉、坑内検層(温度検層) ②坑井洗浄(フラクチャリング流体のポリマー結合破壊、バックフロー) ③生産試験(ドローダウン、ビルドアップ、フラクチャー形状の評価) (cid:57) 坑内検層の温度検層はフラクチャーの高さを調査するのに利用されます。フラクチャーが形成された部分は、地層内に侵入した流体により、温度上昇が他の部分より遅れます。生成したフラクチャーの方向を知るのに、フラクチャー伸展時の破砕音(AE: Acoustic Emission)のモニタリングが行われます。近隣の坑井または水圧破砕を施した坑井に三次元地震計を設置し、AEの音源を調査し、フラクチャーの拡がりを調べる技術(マイクロサイスミック技術)もあります。地下深度が浅い場合には、地表設置の地震計または傾斜計を用いて、モニタリングを試みることがあります。 (cid:57) プロパントの材質や粒径の選定には、以下の試験を実施します。 ①プロパント・エンベッドメント試験: 周圧をかけてフラクチャー幅を測定 ②プロパント・フローキャパシティ試験: フラクチャー幅を変えて浸透率を測定 ③長期フラクチャー・コンダクティビティ試験: 50時間後の浸透率を測定 プロパントの直径は生成したフラクチャー幅の1/4程度以下であるべきとされ、それ以上ではスクリーンアウトの(フラクチャー内から排除される)可能性が大きくなります。 (cid:57) 水圧破砕シミュレーション: 水圧破砕の効果が大きくなる貯留層は、浸透率の悪い(低い)地層で、一般的に深度が深く、ち密(タイト)な地層です。このため地層の最小応力方向は水平で、亀裂(フラクチャー)は垂直となる場合が多くなります。フラクチャーの高さや長さの設計に当たっては、地下応力に関する情報が必要で、フラクチャーの伸展挙動の数値的解明が重要です。 (cid:57) 地層への水圧破砕は古くは1940年代後半より実施されており、現在では石油開発で一般的に実施されている手法です。しかし、そのメカニズムは複雑で未だに良く理解されていない点もあり、コントロールは容易くありませんでした。例えば、大深度の貯留層は複雑な地質履歴を経ていることが多く、層内の応力分布が複雑なため、水圧破砕の設計は難しくなります。一方、高圧作業となるためコストがかさみ、経済リスクが増します。世界石油工学者協会SPEにて発表された150件以上の論文に基づき、米国からスタートした「水圧破砕技術の歴史」を整理したいと思います。 (cid:57) フラクチャリングのアイデアは1860年代まで遡ることができます。そこでは、液体(後に固体) 3/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . 水圧破砕技術の歴史 2フニトログリセリンが、ペンシルベニア・ニューヨーク・ケンタッキー・ウエストバージニア各州の浅い所の硬い岩石を割るのに使われました。ニトログリセリンの使用は非常に危険で、しばしば違法に行われましたが、油井の生産性向上には有効でした。油が貯留された硬い岩石を破片にすることで、初期レートと究極可採埋蔵量を上げることが目的でした。同じフラクチャリングの原理はその後、水井戸やガス井にも適用されました。地層に割れ目を作るための初期の方法としては、裸坑内でダイナマイトを爆発させたのです。 (cid:57) 1930年代に入ると、爆発物ではない流体である「酸」により岩石を溶かし(エッチングし)、流体の流路を確保する「酸処理」が新しい坑井刺激法として登場しました。作られた割れ目が完全に閉じないため、「酸処理」の効果としてPressure Parting(圧力分割)現象が認識されました。坑井からの流体の流路の確保は、水圧入やスクイズセメンチング(不完全なセメンチングの補修、貯留層間の遮蔽ほか)でも確認されました。しかしながら、Stanolind Oil社(後のAmoco社)のFloyd Farris氏が初めて、坑井の生産挙動と、地層が崩壊する際の流体の処理圧力との関係を調べて、現象を解明すべく研究に努めました。その成果として、生産性を向上させる手段として、水圧破砕技術が考案されたのです。 (cid:57) 最初の現場実験は、Stanolind Oil社により、1947年カンザス州南西のGrant郡のHugotonガス田で実施されました。1,000ガロン(3,785リットル)のジェル状のガソリン(napalm, ナパーム)とアーカンソー・リバーからの砂(支持材として利用)を、深度2,400フィートの石灰岩に圧入し、水圧破砕を実施しました。評価できるほどの生産性の向上はみられませんでしたが、これが「水圧破砕」の第一歩でした。翌1948年にStanolind Oil社のJ.B.Clark氏が執筆した論文によって、「水圧破砕/Hydrafrac process」は広く業界に紹介されました。水圧破砕の方法は1949年特許となり、Halliburton Oil Well Cementing社(Howco社)に、水圧破砕法が実施許諾されました。 (cid:57) Howco社は、1949年3月17日にオクラホマ州のStephens郡とテキサス州のArcher郡にて、商業ベースのフラクチャリング2件をStanolind Oil社向けに実施しました(図2)。費用は前者が900ドル、後者が1,000ドルでした。フラクチャリング流体には、原油とガソリンのブレンド、と100~150ポンド(45.4~68.1キログラム:1ポンド=0.454キログラム)の砂が用いられました。 (出所: Halliburton社、SPEのJournal of Petoleum Technology 2010年12月) 図2 1949年3月、最初の商業ベースのフラクチャリングの様子 4/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 cid:57) 最初の年となった1949年には332坑井にフラクチャリングが施され、平均で75%の生産増が見られました。フラクチャリングの適用は予想を超えて、全米中に拡がったのです。50年代半ばには、月3,000坑以上に施されるようになりました。フラクチャリング用の圧入ポンプは第二次世界大戦で使われた航空機のAllisonエンジンの出力1,475馬力(hp)で稼働させました(図3)。 (出所: Journal of Petoleum Technology 2010年12月) 図3 1955年のフラクチャリングポンプの製造工場 (cid:57) (自由世界で)最初の50万ポンドの砂を使ったフラクチャリング作業は、1968年10月にオクラホマ州のStephens郡において、Pan American Petroleum Corporation(後のAmoco/BP社)によって実施されました。 (cid:57) 1949年以降、2010年までに約250万件のフラクチャリングが実施されていると言われます。フラクチャリングは油ガス井の生産性向上を目的として広く普及しており、現在では坑井総数の60%に実施されていると信じられています。フラクチャリングによる坑井刺激技術は坑井からの油やガスの生産レートを増加させるのみならず、埋蔵量も増加させます。フラクチャリングにより追加された埋蔵量は米国内だけでも油70億バレル、天然ガス700兆立方フィート(700Tcf)にも上るそうです。これらは、フラクチャリング技術がなければ経済的に開発できなかった量に相当します。生産が加速化されることで、埋蔵量の正味現在価値が上昇するのは言うまでもありません。 (cid:57) 2008年には、計5万段階以上のフラクチャリングが、一作業当り当たり1万~600万ドルのコストで実施されました。現在では、1坑井当り8~40段階のフラクチャリング(多段階フラクチャリング)が通常実施されるようになりました。フラクチャリングにより可採埋蔵量は油で30%、ガスで90%増えたと言う人もいます。 (cid:57) 流体とプロパント: フラクチャリング作業初期の流体とプロパントの量は大体750ガロン(2.84キロリットル:1ガロン=3.785リットル)と400ポンド(182キログラム)でした。現在の作業では、その量は6万ガロン(227立方メートル)と10万ポンド(45.4トン)に増加しています。大規模な作業では100万ガロン(3,785立方メートル)と500万ポンド(2,270トン)に達するものもありま 5/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 キ。 (cid:57) 流体: まずジェル状のガソリンが使われ、次にジェル状の灯油が使われました。1952年後半までに精製油や原油が多く使われました。精製油や原油が多く使われた理由は安価で、ジェル状の灯油に比べ粘度が低くフラクチャリング作業での機器や管内の摩擦が小さなためでした。流体の圧入圧力を低くすることが出来たのです。しかしながら、プロパントである砂を坑内に運搬するには、流体の低粘性をオフセットするべく圧入レートを高くする必要がありました。翌53年に入ると、フラクチャリング流体として水が使われるようになり、混ぜる幾つかのジェル材が開発されました。最初の特許(米特許3058909)は「ホウ酸塩で結合させたグアル」についてのもので、1962年10月16日にArco社のLoyd Kern氏に与えられました。1964年12月29日には、「ホウ酸塩のジェルブレーカー」の特許(米特許3163219)がTom Perkins氏に与えられました。エマルジョン化を抑えるため、表面/界面活性剤が加えられました。塩化カリウムは粘土分の膨潤を抑えるべく加えられました。塩化カリウムの効果を高めるべく、後日、他の粘土安定剤も開発されました。このようにフラクチャリング流体として、水の広範な使用の下地ができたのです。さらに泡剤(フォーム)やアルコールの添加はその下地を固めました。現在では、プロパントを使うフラクチャリング作業の約96%において、酸・水・塩水といった水溶液が、フラクチャリングのベース流体として使われています。 (cid:57) 70年代初めにフラクチャリング流体に大きな改良がありました。それは金属ベースの結合剤(ポリマー)の添加です。この添加により高温の坑井において、フラクチャリング流体の粘性を高めることが出来ました。面白いことにフラクチャリング流体の添加に用いた化学は、プラスチック爆弾からの借りものであったという点です。高温の坑井でのフラクチャリング作業が増えるに従い、5%メタノールを皮切りにジェルの安定剤が開発されました。これらの改良の結果、高温の坑井の底部に流体が到着してから、橋かけ結合(クロスリンク、crosslinking)が始まるようになり、チュービングパイプに高いせん断力が加わらなくなったのです。流路のダメージを小さくすべく、フラクチャーが閉じようとする時に作動する「ジェルブレーカー」や「界面活性化学に基づく摩擦の少ないジェル剤」が開発されました。 (cid:57) プロパント: Stanolind Oil社が1947年カンザス州南西のHugotonガス田で最初のフラクチャリングの実験を実施したことは述べました。その際、フラクチャリング流体にはジェル状のガソリン(napalm, ナパーム)とアーカンソー・リバーからの砂(支持材として利用)を使いました。砂はふるいにかけ、粒径を揃えました。建設用の砂を使った者も居ました。20/40メッシュ(-20+40 US-standard mesh)の砂をもちいるのが通常です(全体の85%)。フラクチャリング流体量当りの砂の混入量は60年代半ばまで低く抑えられました。その時期に「水にポリマーを溶解し、クロスリンクさせたもの(高粘性)」や「水-油エマルジョン」がフラクチャリング流体として登場してくると、砂の混入割合を増やすべく、少しコンセプトが変わってきました。ポンプ機器の進歩やフラクチャリング流体の改良によって、砂の混入割合を増やせるようになったのです。現在では圧入作業工程全般でプロパント濃度を5~8ポンド/ガロンに保ち、作業の最後に向けて20ポンド/ガロンにまで上げることも、普通になってきました。 (cid:57) ポンプとブレンド機器: ポンプの必要馬力は75馬力から1,500馬力を超えるまでに増えました。10,000馬力を越えるものも使われ、15,000馬力の機器も出てきました。初期のポンプレートは2~3バレル/分でしたが、60年代初めまでに20バレル/分程度に上昇しました。1976年、Othar Kiel氏は樹枝状の割れ目(dendritic fracture)を作る高レート作業を始めました。現在ブ 6/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 [ムとなっているシェールガスの開発では、Kiel氏のアイデアにならい、ポンプレートは100バレル/分を超えています。坑口圧入圧力/ポンプ吐出圧力は 100~20,000psi(1psi = 0.07kgf/cm2 = 6.89kPa)の幅があるそうです。従来のセメンチングや酸処理用ポンプが、フラクチャリング用ポンプとして、まず使われました。ブレンド機器1~3台に75~125馬力の圧力ポンプを添えた機器で低量・レートの圧入には十分でした。低量・レートの圧入でも生産増に十分つながりましたので、次第にフラクチャリング流体の圧入量とレート増に対応した、「ポンプとブレンド機器の大型化」が図られるようになりました。増圧機、マニフォールド(多岐配管)の開発が進みました。現在では、数億円の機器をサービス会社が保有し、水圧破砕作業のサービスを提供しています。最初の数年は、フラクチャーの支持材となるプロパントは、ポンプの吐出口でフラクチャリング流体に加えられました。後日、リボン型・水かき状の撹拌機を持つバッチ型ブレンダーが、中程度の粘性をもつフラクチャリング流体とプロパントを混ぜるのに用いられました。次にスクリュー型のブレンダーが導入されました。フラクチャリング流体と添加物をほどよく一様に混ぜるべく、ブレンダーは進化していったのです。プロパントと呼ばれる「割れ目の開度の支持材」を多量に取り扱うべく、現在ではブレンド作業も洗練され、遠隔操作ができるようになりました。 (cid:57) 水平破砕作業の設計・最適化には、貯留層の応力および浸透率分布を把握し、圧入流体の性状・量・圧力、プロパントの性状・量等を決定し、これらの条件において形成されるフラクチャー(亀裂)の形状、及びそのフラクチャーによって得られる生産能力の向上を予測・評価することが必要となります。現場試験はやり直しがきかないので、シミュレーションモデルを用いて評価・検討することになりますが、流動現象が複雑なこと、一般に貯留層は不均質であるため、シミュレーションモデルの精度にも限界があります。60年代初めより始まったシミュレーションモデルの開発は、二次元、疑似三次元、完全三次元モデルと進化しました。 (cid:57) 二次元モデル: 地下の応力分布の層間の変化が急激である時には、上下層への亀裂の伸展が制限されます。この条件下では、一定高さ亀裂モデル2例が提案されました(図4)。 ①PKNモデル(Perkins and Kern、1961年)の特長 イ.垂直面体における平面歪み ロ.亀裂の垂直断面は楕円。亀裂の上下端は点(亀裂の奥行きに向かって「線」) ハ.坑井から離れた部分に適用 二.亀裂の長さXfが高さhfに比べて大の時の適用 ②GDKモデル(Geertsma & de Klerk、1969年)の特長 イ.水平面体における平面歪み ロ.亀裂の幅は縦方向に一定、上下端でスリップ ハ.坑井に近い部分に適用 二.亀裂の長さXfが高さhfより小さい時の適用 7/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i出所: Journal of Petoleum Technology 2010年12月) 図4 PKNモデルとGDKモデルのイメージ (cid:57) 疑似三次元モデル: PKNモデルやGDKモデルの延長で、亀裂の高さの伸展を考慮したものです。亀裂内の流体挙動の基本的な考え方は一次元流れだが、二次元的取り扱いをしたものもあります。ClearyモデルとMeyerモデルが、代表的な疑似三次元モデルですが、両者ともに数学的展開には十分でない点があり、経験/相関式で補っています。 (cid:57) 完全三次元モデルは、フラクチャーの形状に制限を設けず、岩石の破壊理論になるべく忠実に、フラクチャーの伸展挙動をシミュレートしようとするものです。入力データとして、岩石物性、フラクチャリング流体の物性、地下の応力分布および圧入レートを与えることにより、フラクチャーの形状、容積、坑井圧力、圧入流体分布などの時間的変化および坑井密閉後の坑井圧力、フラクチャー幅の経時変化を計算します。 シミュレーションモデルでは、岩石を無限均質の等方弾性体と仮定し、フラクチャーの応力解析とフラクチャー内の流動解析を同時に行います。フラクチャリング流体として非ニュートン流体(流れの剪断応力と流れの速度勾配[剪断速度]の関係が線形ではない粘性の性質を持つ流体)を取り扱い、複数の流体およびプロパントの混入を許し、岩石物性、応力分布および逸水係数の異なる複数の層を扱うことができます。応力解析においてはフラクチャー内の圧力分布を仮定してフラクチャーの幅と伸展量を求め、流動解析においてはフラクチャーの形状を仮定して、フラクチャー内の圧力分布とプロパントの分布を求めます。解くべき基本式が非線形であること、フラクチャーの先端が移動するため、要素分割および境界条件の更新が必要なこと等により、解法は複雑になります。 以上述べたように、完全三次元モデルでは、これまでのシミュレーションモデルが持っていた各種制約条件から解放され、幅広い条件下での設計が可能となります。亀裂内の温度分布の時間変化をシミュレートできるので、フラクチャリング流体やプロパントの動きをフォローできます。フラクチャリング後の生産性向上のデータとヒストリーマッチングさせることでフラクチャリング作業の検証も可能です。元々ある亀裂とフラクチャリングによって出来た亀裂との区別や 8/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ヨ係も判るようになりました。プロパントも含めた亀裂内の多相流や非ダルシー流の挙動解析も出来るようになりました。 しかしながら、一般的に入力データの不確実性から、その有効性には疑問が残るとされます。 (cid:57) シミュレーションモデルの最も重要な入力データである地下応力の計測には、物理検層(フルウェーブソニック)や定方位コアが利用されます。物理検層は音波の伝播速度から貯留岩の力学的物性分布を求めるものであり、貯留岩サンプルの残留歪みから貯留層内の圧力分布を求めようとするものです。定方位コアは、地下応力下で長時間眠っていた後、掘削によって目覚めさせられた貯留岩の目覚める過程を測定することで地下の圧力分布を推定するものです。岩石の弾性歪みは瞬時に回復しますが、地表に持ってきても、まだ非弾性歪みは残っており、徐々に回復します。 (cid:57) 米国では開発出来なかっただろうフィールドが多数存在します(テキサス州西部のSprayberryトレンド、ルイジアナ州のPine Island、Anadarko盆地、オクラホマ州北西のMorrow wells、ニューメキシコ州のSan Juan盆地、コロラド州のDenver Julesburg盆地、Cotton Valleyの東テキサス・西ルイジアナトレンド、テキサス州南部やコロラド州西部に拡がるタイトガスサンド、ワイオミング州西部の衝上断層帯、米国北東部の油ガス田群ほか)。さらには非在来型ガスの一つであるシェールガスの賦存構造である、Barnett(図5), Haynesville, Bossier, Marcellusの開発は、水圧破砕技術なしには不可能であったと言っても過言ではないでしょう。 図5 Barnett シェールガスの開発現場(ダラス・フォートワース国際空港近郊の掘削現場と生産井基地) (出所: Chesapeake社、JOGMECヒューストン事務所撮影 2010年11月5日) (cid:57) 水圧破砕作業の進歩: ①フラクチャリング流体は3種類に大別されます。 イ.水にポリマーを溶解(中程度の粘性) ロ.水にポリマーを溶解し、クロスリンクさせたもの(高粘性) ハ.水-油エマルジョン 9/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 サ在は水をベースにするものが大部分です。ロ.のクロスリンクさせたジェル液はほとんどの地層に適用できます。フラクチャリング流体として具備すべき主な特性は、次の4点になります。 イ.地層条件で割れ目を作り、支持材を運搬しうる粘性をもつこと ロ.流体効率(リークオフがすくないこと) ハ.地層との適合性 二.処理後に急速に分解 地層あるいは地層水との適合性が悪いと、二次的なエマルジョンやオイルブロックの形成、あるいは薬剤の固形分の残留などが生じます。 ②支持材は水圧破砕作業が終了後、支持材は割れ目表面より閉塞圧を受けますが、これにより割れ目が破壊され、支持材が地層中に埋没しないことが大切です。 イ.支持材の粒子当り420kgf/cm2以上の強度のものが通常用いられます。 ロ.まるみ:Krumbein係数で0.7以上。 ハ.耐薬液性をもつ。 ③圧入圧力と必要馬力 (坑口圧入圧力/ポンプ吐出圧力)=(破砕圧力)+(パイプ内の摩擦損失)+(穿孔部の圧力損失)-(静水圧)。ポンプの必要馬力は、坑口圧入圧力x圧入速度という簡便法で計算され、効率を考慮して、必要なポンプ数を求めます。 ④フラクチャリング流体の通路の確保 水圧破砕の前処理として酸処理を通常行います。穿孔(パーフォレーション)の清掃は大切です。清掃処理の後半部において、破砕圧力が予想値と大差ないことを確認しておくことも有効です。 ⑤圧入速度 水圧破砕の実施前は、多くのデータが推定値です。従って作業が期待通りに進行しない可能性は常にありますが、ほとんどの場合、不確定要素に起因するトラブルは十分な圧入速度を確保することで解消できます。 ⑥圧入作業 圧入は、プレパッドとして粘性の小さな酸(15%塩酸)または塩水(2%塩化カリウム)を用いて開始します。続いて圧入するフラクチャリング流体(支持材を含まない)をパッドと呼び、この量が作業の成果を大きく左右します。パッドは常に割れ目内の最深部へ進入していき、あたかも後続から伝播される圧力で地層を破壊していきます。もし、リークオフ等によってパッドが消費されてしまうと、割れ目の発達は止まり、坑井内に支持材の砂が沈澱し作業の中止を引き起こします。予め決めたフラクチャー流体量の少なくとも20%はパッドとして用いられるべきだと言われます。ガス層の場合はパッドの割合は増えます。坑井近傍の導通性を良くすることと、地層への砂の埋没による損失を少なくすることも大事です。 3. 水圧破砕技術のブーム到来 (cid:57) フラクチャリング産業の正確な統計は残されていない一方で、フラクチャリングの適用が過去10年の間に急増したのは言うまでもないでしょう。米国内においてガスは安値で取引されて 10/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 「るものの、北米でのフラクチャリング作業のブームは頂点にあり、フラクチャリング作業請負会社(石油開発サービス会社)間の競争はすさまじく、儲けは減るものの作業量全体としては増えています。米国で計400万馬力の圧入ポンプが作られており、納期の遅れは9カ月にも達しているそうです。中国やインドはフラクチャリング作業を必要とする非在来型ガス資源量を調査中です。両国は北米や豪州でのシェールガス開発への投資を強めています。ハンガリー・ポーランド・ドイツ・フランスといった欧州ではロシアからの天然ガス依存への牽制球として、域内のタイト貯留層に眠る資源開発に目をむけて、ガスポテンシャルを鋭意調査中です。 (cid:57) フラクチャリングの世界市場は1999年には28億ドルでしたが、2002年より右肩上がりで2007年には128億ドルにも達しました(図6)。 (出所: Michael Economides, Energy Tribune、Journal of Petoleum Technology 2010年12月) 図6 1999年以降のフラクチャリング市場 (cid:57) フラクチャリングの適用される油ガス田は、アラスカ州・北海・ロシアの高浸透性の油田、メキシコ湾・米国陸上サントス盆地・西アフリカ沖の未固結層、シェールガスやコールベッドメタンといった非在来型ガスにまで、その対象は拡がっています(図7)。 (出所: Michael Economides, Energy Tribune、Journal of Petoleum Technology 2010年12月) 図7 米国、カナダ、それ以外でフラクチャリングが適用される油ガス構造(推定) 11/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 cid:57) 北米はフラクチャリング作業のメッカであり、世界に展開する機器の80%が集中しています(図8)。フラクチャリング機器は通常、圧入ポンプ4基、ブレンダー1基、附属機器より構成されます(図9、図10)。 (出所: Journal of Petoleum Technology 2010年12月) 図8 世界に展開するフラクチャリング機器の分布(推定) 図9 陸上のフラクチャリング機器イメージ(水圧破砕用の多量の水やポンプ類を積んで井戸元に集結したタンクとトラック) 12/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i出所: Halliburton社、Journal of Petoleum Technology 2010年12月) 図10 海上のフラクチャリング機器搭載船(Halliburton社の作業船Stim Star Angola:8,250馬力、吐出圧15,000psiの圧入ポンプを搭載) (cid:57) 米国の天然ガス残存可採埋蔵量が、過去20年において最低であった1994年の162.42Tcfから2009年には244.66Tcfと増えたのは、水平坑井と水圧破砕といった坑井仕上げ技術の進歩の成果と言われています(図11)。坑井仕上げ技術の進歩による、北米での非在来型ガスの生産増は、米国やカナダのLNG輸入量に減少の効果をもたらしたことは、よく知られる事実です。シェールガスやコールベッドメタンといった非在来型ガスは米国外にもあることは知られています。しかしながら、米国外では、欧州EU諸国を除けば、在来型ガス田の減退はそれほどではないため、非在来型ガス開発のインセンティブは米国ほどには働いていないのが現状です(参考資料1)。天然ガスの確認埋蔵量の上位3カ国のロシア、イラン、カタールの2009年末の合計は3,563.55Tcfにもなり、米国の14.5倍にもなります。世界の確認埋蔵量6,261.29Tcfの57%にも達するのです。米国内の非在来型シェール構造の開発におけるフラクチャリング適用と天然ガス生産に現在、焦点があたっていますが、長期的にはフラクチャリング技術は米国外でも展開すると見ます。 図11 シェールガスの開発技術のイメージ 13/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (cid:57) 北米では現状、1坑井あたり10段階以上のフラクチャリングが、水平坑井からの更なる生産増のため、水平区間に沿って実施されていますが、北米外では2~3段階を少し超える程度です。天然ガスの比較的安値取引とインフラ不足がこの現象の説明材料となるでしょう。北米外では石油開発サービス会社の活動が十分とは言えず、十分なインフラと一定の生産性向上を示す実績が追い付いていないのです。 (cid:57) 北米外ではサービス会社の1坑当りのサービスコストは、北米の3~4倍にも達するそうです。その理由は機器やサービス性能の悪さ、脆弱な物流体制にあるとされます。サービス会社にとってビジネスとするには、サービス単価を上げざるを得ないとのことです。この事実は、開発業者(オペレーター)にとって、作業の実践と分析を通じて貯留層あるいは作業の実際を学ぶことが魅力的なことにつながっていません。しかしながら、BPのMartin RylanceシニアPE(Petroleum Engineer)によれば、作業の質に焦点をあて、確認・コントロールし、パイロットのフラクチャリング作業を行い、必要以上の長さに対してフラクチャリング作業を設計することで、実践的な問題解決につながるとのことです。多くの作業を実施することで、作業の最適化が進むという意味です。解決のかぎは、まず効果的で競争力を持つフラクチャリング作業の成功例を積み上げることにあると、Rylance氏は言っています。 (cid:57) 米国における水圧破砕技術の開発と適用は、独立系の中堅開発業者(インデペンデント)によって推進されました。技術開発動向を学び、技術の適用に迅速に対応しました。複数のオペレーターが事業を行う地質構造では、互いが技術・経済面での優位性を競い合いました。北米全体を通じて、作業や生産のデータを作業終了後6カ月以内に示す規制が設けられ、それを技術開発にフィードバックさせたため、米国において、適用技術が加速度的に進歩したと言われています。 (cid:57) 米国では、また80年代に高ガス価と共にガス開発に対する優遇税制がとられました(タイトガスサンドの開発ブームの登場)。優遇税制が終了した92年までに、その後のガス開発に必要なインフラ、技術、人材が整備されたのです。 (cid:57) 電力需要の伸びに牽引され、中国やインドでは、米国でのシェールガス開発に参画すると共に、自国資源の経済合理的な開発への欲求が高まりました。2010年8月に両国は米国内務省と協定(World Shale Gas Initiative)を結び、米国地質調査所USGSにより両国のシェールガス構造の埋蔵ポテンシャルの評価を行うこととなりました。 (cid:57) 例えば、億万長者のMukesh Ambani氏が率いるインドのReliance社は、米国のシェールガス権益取得に2010年だけで34億ドル投資しました(例:2010年8月初めに、ペンシルベニア州中部と北東部のMarcellusシェールガス構造開発にCarrigo Oil & Gas社とJVを組成。権益持ち分はReliance社60%、Carrigo Oil & Gas社40%。オペレーターはCarrigo Oil & Gas社が務めるが、Reliance社にも将来オペレーターのオプション権あり。)。開発技術ノウハウの取得も投資目的に含まれているようです。今後10年で1,000坑の掘削が予定されており、全体の埋蔵ポテンシャルは天然ガス換算で3.4Tcfと目されています。 (cid:57) フランスやノルウェーでも、フラクチャリングを軸とした開発戦略があるようです。例えばTotal社は豪州にてCBM権益の20%取得に7.5億ドルを投資しました。クイーンズランド州のこの開発プロジェクトでは、アジア市場向けのCBMのLNG化が計画されています。Total社はGladstoneLNGプロジェクト権益の15%を豪Santos社から、5%をマレーシア国営石油会社 14/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 etronasより取得しました。Total社は、Santos社の他のガス権益獲得も検討するとのことです。 (cid:57) 2010年初めにノルウェーのStatoil社は、Marcellusシェールガス構造でChesapeake社より59,000エーカーの鉱区を譲り受け、同構造での活動範囲を広げました。Statoil社は、2008年後半に同じくChesapeake社からの権益取得でMarcellusシェールガス構造に参入しており、2012年までに石油換算で5万バレル/日の生産目標を立てています。Statoil社は、行く行くはシェールガス開発のオペレーターを目指すとのことです。 (cid:57) 中国ではシェールガス開発にノウハウを持つ業者を呼び込み、自国資源の開発を目指しています(Petrochina社とShell社のパートナーシップ:四川盆地での活動開始)。Petrochina社は生産増を目指して600億ドルもの海外投資を計画しました。BPはSinopecと中国南西のKaili地区、東のHuangqiao地区におけるシェールガスのポテンシャル評価に、2010年に着手しました。 (cid:57) シェールオイル開発への適用(参考資料2): 技術進歩とそれに伴う開発生産コストの低下(キャッシュフローの上昇)が、2000年のモンタナ州Elm Coulee油田でのパイロット井が掘削以降、Williston盆地のBakken構造でのシェールオイル(目の詰まった頁岩中で熟成した油)の開発を活発化させています。 掘削された水平坑井では、2007~2008年に1,000m~2,000mの水平区間に沿って4~8段階の水圧破砕を施していましたが、最近では、石油の生産をさらに引き上げるために、水平区間を3,000m以上に延伸させて20段階以上の水圧破砕を施すことで、多くの割れ目を水平区間から貯留岩の内部にまで形成させ、生産量を増加させています。具体的には、水平坑井の裸坑に多段階フラクチャリング(Openhole Packer & Sleeve Completion)を施し、2層同時生産を実現しています(図12)。 (出所: SPE論文135268、Baker Hughes社資料) 図12 水平坑井の裸坑に多段フラクチャリングを施した2層同時生産 ・ Saskatchewan BakkenでのPetroBakken社: 20段階の水圧破砕 ・ North Dakota BakkenでのBrigham Exploration社: 30段階以上の水圧破砕 (cid:57) さらには、図13に示す様に、一度に32段階までのフラクチャリングを実施することが可能となりました。1坑あたりの掘削コストが例え倍増したとしても、生産期間あたりの生産量である「推定総生産量EUR(Estimated Ultimate Recovery)」がそれ以上に増えて(掘削仕上げコスト2~3倍、 15/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 匇ヤあたりの生産量4~5倍)、探鉱開発コストF&D Costは徐々に低下しているのが判ります(図13)。 現状の油価水準であれば、生産開始後、数年内にコスト回収が可能とされます。また、シェールガスと同様に、初期の生産レートは、その後急激に減退するものの、その後数十年に渡って低位で生産することが可能と言われます。 EUR:1生産井あたりの推定総生産量 F&D Cost:探鉱開発コスト図13 Bakken構造の掘削仕上げの進化と探鉱開発コストの推移 (出所: Brigham Exploration社資料2010年3月) シェールガスと比べての開発技術の難度は、シェールオイルの方が密度と粘度が高いことにあります。しかしながら、図13に示す様に、フラクチャリングに代表される坑井仕上げの進歩がBakken構造の低浸透性油層からの原油生産を現実のものにしているのです。 (cid:57) 支持材(プロパント)は水圧破砕作業が終了後、割れ目表面より閉塞圧を受けますが、これにより破壊され、地層中に埋没しないことが大切です。フラクチャリングの適用が過去10年の間に急増したのに対応して、プロパントを提供する会社は一握りが、砂の製造業者は30社以上、樹脂コーティング9社、セラミック製造社は少なくとも10社に急増しました。D. AnschutzとB. 16/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 lmenが実施したプロパントの市場調査(2010年初めにPropTester and Kelrik社が出版)によれば、90年代までは低成長市場であったが、99年に30億ポンドの出荷量が、2009年には約200億ポンドに急増したとのことです。 (cid:57) 水ベースの流体(slick-water: ポリマーを少量混ぜて坑井内の圧損を低減)を用いることが増えると、プロパントの粒径は小さくなり、20/40メッシュ(-20+40 US-standard mesh)の砂をもちいるのが通常となりました(全体の85%)。深い高圧シェールには低粘性である水ベースの流体(slick-water)をシェールの破砕に用いるようになりました(Barnettシェールでは1997年より適用。2005年頃よりFayettevilleや Marcellusシェールにも展開)。しかしながら、Kelrik社のオーナーOlmen氏によれば、slick-waterを用いたフラクチャリングは、プロパントの量・タイプ・粒径にとって、全くのパラダイムシフトとなりました。現在では、30/50メッシュや30/50メッシュの砂、樹脂コーティングの砂、40/80メッシュのセラミック、100メッシュの砂と多様なものが使われるようになったのです。西シベリアでは16/20メッシュ乃至それより大きな径のプロパントの使用が主流(現在90%以上 <- 2003年43%)となりました。プロパントを提供するのは北米の会社がほとんどですが、「API RP56推奨」に適合する砂を製造するColorado Silica Sand社の工場が米国外で初めて、1985年英国のChelfordに建設されました。小径の自然砂の成形や樹脂コーティングは、英国・デンマーク・ポーランド・サウジアラビアで行われるようになりました。Olmen氏によれば、北米外では高強度セラミックや焼結ボーキサイトが作られました。ブラジル・ロシア・中国は人工プロパントの製造能力を持ち、製造されたプロパント製品は北米へと輸出されています。 (cid:57) フラクチャリング流体の必要性: 頁岩は古生代、中生代(白亜紀、三畳紀を含む)の堆積物です。元来、頁岩は石油や天然ガスの根源物質である「根源岩」と見なされてきましたが、その根源物質が熱分解を起こし微細な割れ目にそのまま閉じ込められたガスが「シェールガス」として、注目されています。しかしながら、北米外ではフラクチャリングは主に在来型油ガス田に対して実施され、高粘性のフラクチャリング流体(水にポリマーを溶解し、クロスリンクさせたもの)が使われています。一方、北米では非在来型ガスがフラクチャリングの適用対象なので、高レートの水や低粘性である水ベースの流体である「slick-water」が使われます。BPのMartin RylanceシニアPEによれば、北米ではシェールガス開発に使われる「slick-water」が主流となり、高粘性のフラクチャリング流体(水にポリマーを溶解し、クロスリンクさせたもの)の複雑さを聞いたことがない、理解できないフラクチャリング作業員が増えているといいます。 (cid:57) IPointOil社のHemanta Mukherjee社長は、環境にやさしい「green fluids」の必要性について、情熱を持って語っています。同社長によれば、水圧破砕の使用は今後も増え続けるだろう。例えば、大水深や北極海・ツンドラ(凍土帯)。フラクチャリング流体へ添加される化学物質は、ジェルの劣化防止や防食効果のある、毒性の低い抗菌性の物質が求められるとのことです(図14)。 17/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }14 フラクチャリング流体の組成例(重量%) (cid:57) フラクチャリング流体の戻りも関心事の一つになっています。フラクチャリング流体のリサイクルが解決法となるでしょう。BJ Services社のD.V.S. GuptaとB.T. Hlideckは、SPE論文119478の中で、カナダ西部の浅層ガスのフラクチャリングの事例を紹介しています。そこでは毎年数千坑もの坑井が掘削・仕上げされ、その全てに水圧破砕が実施されています。水源が周りに乏しいこと、戻りフラクチャリング流体の処理コストが高いことから、合理的解決法を模索したところ、戻り流体の50%がリサイクルに回せることが判り、流体の運搬・廃棄、流体への添加剤に係るコストを低減できたとのことです。テキサスA&M大のStephen Holditch教授によれば、「将来業界はポリマーなしの、あるいは120℃でポリマーが完全に分解される(例えば生分解樹脂を含む)フラクチャリング流体を要求されるだろう」とのこと。そのためには、ろ過侵入やタイトガスサンドの洗浄挙動をシミュレートできる割れ目-流体間の数学モデルの開発が必要となるでしょうとのことです。 (cid:57) 水圧破砕作業の成功への鍵: Santos社のCentral GasチームリーダーSimon Chipperfield氏によれば、水圧破砕作業の設計での課題は、形成されたフラクチャーと貯留層との相互関係への理解促進にあるそうです。貯留層特性やフラクチャーの拡がりの把握には近年進歩が見られました。生産期間に亘っての追加の生産データ収集も大事です。例えば、多段階フラクチャリングにおいて、段階毎の生産挙動についてです。カルガリー大のAntonin Settari氏も「非在来型ガス生産井へのフラクチャリングの岩石力学的理解は未だ十分でない」と同じような見解を述べています。シェールガス構造毎に開発課題を持つが、カルガリー大でもAnadarko、BPといった企業との3~5年の共同研究を通じて、予測ソフトウェアの整備に取り組んでいます。サービス会社がフラクチャリングの最適化を行うのに必要な4つのパラメーターは、①貯留層の浸透率、②地層の応力分布、③地質モデル、④自然フラクチャーの流体損失、となります。Halliburton社はDecisionSpace Desktopソフトウェアをリリースしました。そのソフトウェアでは、リアルタイムのフラクチャリングデータをアセットチームが作ったEarthモデルと統合するとのことです。 18/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . 水圧破砕技術の環境面へのインパクト (cid:57) 環境面へのインパクト: 2010年に開催されたWorld Energy Congressにおいて、IHS-CERAの代表Daniel Yergin氏は、シェールガス開発を21世紀に入って最も大きなエネルギー革新/革命と位置付けました。水平坑井と水圧破砕技術の進歩なしでは、シェールガス開発は現実のものとならなかったでしょう。扱いが厄介でなく、経済合理性を持ち、市場に近いガス供給源を持つことは政治的なリスク軽減にもつながります。さらにメタンリッチな天然ガス資源は、石炭や石油と言った他の化石燃料資源に比べてCO2の排出割合が低く、シェールガス開発を魅力的なものにしています。テキサスA&M大のStephen Holditch教授は、「今後20年、天然ガスの使用を促進することはクリーンエネルギー供給の望みにつながる」と述べました。 しかしながら、シェールガスの開発エリアが人家や地下の帯水層に近づくと、フラクチャリングによる環境汚染のリスクが世論の関心(恐れ、疑問)を呼ぶようになりました。米国外では、「米国での水圧破砕への世論の動き」を、米国政府の反応やメディアの報道をウォッチして、そこから学ぼうとしています。NSI Technologies社のMichael Smith社長は、「フラクチャリングは通常帯水層の下方数千フィートの貯留層に対して行われるため、また化学物質はほとんど環境に優しいため、多くの関心は未知のまま」と述べています。天然ガスが地表まで流れる流路が作られる確率は極めて小さいと考えられます。坑井設計の不手際が地表に近い坑井内であれば、環境汚染の原因となりうるでしょう(図15)。Smith社長は明言していませんが、もし坑井が地下で大きな断層を貫いているとしたら、水圧破砕では多量の水を高圧で地下に圧入するため、それが断層に伝わり小さな地震を発生させる可能性はあります。 図15 シェールガス開発による周辺環境へのインパクト(イメージ) (cid:57) 水圧破砕への世論の関心: シェールガスの開発業者にとって、ガス井掘削活動の維持拡大のため、水圧破砕と帯水層汚染との因果関係解明は喫緊の課題となっています。それは、水圧破砕に用いられる多量の水やポンプ類の移動があるからです。周辺環境として人口の密集は開発を妨げる要因となります。環境対策には、今までの経験やノウハウが大事になります。 19/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ?ウ破砕に用いられる流体は水、砂(プロパント)、化学物質から構成されることは前述しました(図14)。環境規制の観点からも、フレッシュな水源をフラクチャリング流体に用いることには限界があり、生産水を処理しフラクチャリング流体として使用することが、シェールガスの生産増に欠かせません。その点で、フラクチャリング流体を早く地層に圧入させるためのポリマーである「摩擦減少剤:Friction Reducer」の開発が重要でしょう。その際、地層への付着を防ぐため併用される殺生物剤(biocide)やスケールインヒビターとの相性も大切になります。 天然ガスの開発・生産活動は、浅部の帯水層や地表の水源を汚染するリスクをはらんでいます。干ばつ時の掘削やフラクチャリング用の水確保も容易ではありません。規制や検査、関係機関EPA、米国議会、産ガス州政府との連絡調整がリスク軽減に必要となります。それらをクリアした上でシェールからのガス生産はある程度可能となるでしょう。ただ、浅部の帯水層や地表の水源を汚染する可能性をゼロにすることはできません(ニューヨーク州は昨年8月に今年7月までの新しいガス井掘削のモラトリアム/一時停止を設定)。若干の漏えいやリーク、地下の汚染事例は直接的に水供給システムに影響を与えるものではないが、水圧破砕を伴うシェールガス開発の社会的受容性を低下させるものとなるでしょう。フラクチャリング流体の取り扱い方について、シェールガス開発推進派と環境派の攻防があります。化学物質の成分は公開対象となりますが、製法は企業の守秘義務に抵触する課題もあります。 一方、非在来型ガスの開発技術のうち、水圧破砕の作業には多量の水やポンプ類の移動が必要となり、雇用創出に大きく貢献します(ペンシルベニア州の雇用増4万8,000人)。米国連邦議会はシェールガス開発に伴う雇用創出手段として、この開発を支持しています。 記のような世論の関心は、映画でも紹介されています。 上・ 開発推進派の映画: Haynesville(www.haynesvillemovie.com), Gas Odyssey(www.gasodyssey.com) ・ 環境派の映画: Gasland(www.gaslandthemovie.com), Split Estate(www.splitestate.com) 5. まとめ(石油開発へのインパクト) (cid:57) 世界の人口の伸び率は減少傾向にありますが、現在68億8千万人の人類が地球上に暮らしています。人類は、エネルギー源としての石油や天然ガスの供給に今後も依存し続けるでしょう。IHS-CERAの代表Yergin氏は、世界のエネルギー需要として、今後20年で32~40%の増加を見込んでいます。2030年までに必要な社会インフラの多くは、世界の経済成長に合わせて、これから整備されるでしょう。 (cid:57) 本資料で述べた様に、「水圧破砕:フラクチャリング」という石油開発技術は60年以上もの歴史を持ち、石油開発現場では250万件にも上る適用実績があります。今後も世界中で石油や天然ガスを含む地層からの炭化水素生産に使われると思います。それは、炭化水素が持続可能な経済社会実現に必要だからだと思います。 <参考資料> 1. JOGMEC石油・天然ガスレビュー「シェールガスのインパクト」、2010年5月 伊原賢 2. JOGMEC石油・天然ガス資源情報「坑井仕上げの進化 -シェールガス開発技術のタイトオイル開発への適用-」、2011年1月14日 伊原賢 20/20 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 以上
地域1 北米
国1 米国
地域2 北米
国2 カナダ
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 北米,米国北米,カナダ
2011/02/14 伊原 賢
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