ページ番号1004096 更新日 平成30年2月16日

原油市場他:リビア政情不安でWTIが100ドル突破、ブレントは一時120ドルに迫る

レポート属性
レポートID 1004096
作成日 2011-03-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2010
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2011/3/13 石油企画調査部:野神 隆之 原油市場他:リビア政情不安でWTIが100ドル突破、ブレントは一時120ドルに迫る (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国では春場の製油所メンテナンスシーズンに入り原油精製処理量が低下したことによりガソリン生産も総じて低下したものの、需要は比較的堅調であった(低温と降雪の相次いだ1月の需要低下の反動の可能性もある)ことから、ガソリン在庫は低下したものの、その水準自体は平年幅を超過する状態となっている。また、製油所での精製活動鈍化に伴う生産の減速の影響もあり、留出油在庫も低下しているが、こちらも平年幅は上回る状態となっている。反面製油所での引き受けが低下したことで、原油在庫は増加、こちらも平年幅を超過して推移している。 ② 2月末時点におけるOECD諸国推定原油在庫については、欧州及び日本で若干の減少となったものの、米国での増加がそれらを相殺した結果、全体としては前月並みとなっており、平年幅を超過した状態は維持されている。他方、石油製品在庫については、米国における製油所メンテナンス実施に伴う生産の減少や日本での仕切り価格の変更に伴う出荷量の増加により、全体としても減少傾向となったが、この時期石油製品在庫は減少する傾向にあることから、前月と同様平年並みの水準となっている。 ③ 2011年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場においては、2月中旬は、中東・北アフリカ諸国に対する政情不安についての懸念やイランの軍艦のスエズ運河通過の情報等が原油相場を下支えしたものの、米国での原油在庫の増加観測等が価格の上昇を抑制した結果、WTIは1バレル当たり概ね84~88ドルの比較的狭い範囲で推移していたが、2月20日にリビアで反体制派と治安部隊の衝突が発生するなどで政情不安が増大して以降、同国からの石油供給途絶と、同様の政情不安が他の中東・北アフリカ諸国へ波及することに対する市場の不安感が高まった結果、WTIは急上昇、2月23日には一時1バレル当たり100ドルに到達する場面も見られた他、3月2日には終値でも100ドルを突破した。WTIの終値は3月7日には105ドルを超過したが、その後は米国等の経済指標類が、必ずしも経済が順調に回復していることを示唆しなかったことや、3月11日に発生した東日本大震災に伴う日本の経済減速と石油需要減退に対する懸念が市場で増大したこともあり、この日の終値は101.16ドルと、多少下落している。他方ブレントも2月24日未明(米国東部時間)には、一時1バレル当たり119.79ドルと120ドルに迫る場面も見られた ④ 市場では、引き続き、リビアからの石油供給途絶と、政情不安がリビア以外の中東・北アフリカ諸国に波及する可能性に対する懸念により、下支えされることになるであろう。このような状況は、もはや当該地域では政情不安が発生する確率が著しく低下した、と市場が確信を持つまでは持続する可能性がある。 ? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 米国エネルギー省エネルギー管理局(EIA)による、2010年12月の米国ガソリン需要(出荷量、確定値)は、前年同月比で0.5%程度の増加と、速報値(2.89%の増加)から大幅に下方修正された(図1参照)。米国ガソリンスタンドのクレジットカードでの支払い記録をもとに推定したガソリン需要は既に9~11月は前年同月比で減少、12月は増加しているものの、前年同月比で0.4%程度の増加にとどまっていたこともあり、小売段階での消費の低迷の影響が出荷段階に及んでいることが示唆される。他方、2011年2月の同国ガソリン需要(速報値)は、前年同月比で4%弱の伸びとなっているなど、旺盛な消費が示唆される。ただ、これは2011年1月には米国では低温と大雪に見舞われたことに対しての反動である可能性もある(米国ガソリンスタンドのクレジットカードでの支払い記録をもとに推定した当該月のガソリン需要も前年同月比で2%強の増加となっている)。全米平均ガソリンの小売価格が12月に入り下旬以降1ガロン当たり3ドルを超過、3月に入ると3.5ドルを超過する状態となっており(図2参照)、このような価格水準になると米国の消費者がガソリン消費抑制を考えるようになるなど、行動に変化が発生し始める、と指摘されていることにより、多少の時間差はあるかもしれないが、今後このようなガソリン価格の上昇が当該製品の需要に影響を及ぼしてくる恐れもあることから、このような水準の消費の持続性については疑問の余地があるので注意が必要である。他方、製油所では、1月後半以降春場のメンテナンス時期に突入したことに伴い原油の精製処理量が減少する(図3参照)一方で、製油所でのガソリン生産量は幾分の増減が見られたものの、総じて低下傾向となり(図4参照)、またその一方で前述の通り2月のガソリン需要が比較的堅調であったことから、同国におけるガソリン在庫も低下してきている(図5参照)が、水準自体はこの時期としては平年幅を超過している。 図1 米国ガソリン需要の伸び(2006~11年)%86420-2-4-6-8-1012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212※2011年1~2月の確定値は未発表出所:米国エネルギー省のデータをもとに作成速報値確定値修正幅 ? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ント/ガロン図2 米国石油製品小売価格の推移(2007~11年)450400350300250200150123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123出所:米国エネルギー省データをもとに作成日量百万バレル図3 米国の原油精製処理量(2009~11年)15.515.014.514.013.5123456789101112123456789101112123※4週間平均出所:米国エネルギー省データをもとに作成日量百万バレル9.69.49.298.88.68.414352※4週間平均図4 米国のガソリン生産量(2009~11年)6789101112123456789101112123出所:米国エネルギー省データをもとに作成? 3 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 S万バレル図5 米国ガソリン在庫推移(2003~11年)2602402202001801601234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成 2010年12月の米国での、軽油及び暖房油を含む、いわゆる「留出油」(Distillate Fuel Oil)の需要(確定値)は、前年同月比で8%弱の増加(図6参照)となり、速報値の前年同月比ほぼ変わらずから大幅に上方修正されており、当初予想ほど物資の輸送は衰えていなかったことが示されているが、これは、米国でのコンテナ取扱量がこの月は堅調であったことからも裏付けられる。ただ、米国連邦準備制度理事会(FRB)による追加金融緩和の期待及び実際の11月3日の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加金融緩和策実施の決定等から、市場での景気回復期待の増大が、留出油の精製利幅を維持させる結果となった一方で、製油所では実際の需要以上に生産が堅調であったことから、結果として2010年12月の留出油在庫は増加することになった。他方、2011年2月については、製油所での原油精製処理量の低下に伴い、留出油の生産も低下してきた(図7参照)ことが影響し、在庫も減少となっている(図8参照)が、例年この時期は通常留出油の在庫水準は低下することから、平年幅を超過する状態は維持している。 1 23 456 78910111212 345 67 891011121 234 56 78 91011121 23 45 67 891011121234 56 78 91011121 2速報値確定値修正幅※2011年1~2月の確定値は未発表出所:米国エネルギー省のデータをもとに作成 ? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 図6 米国留出油需要の伸び(2006~11年)%181614121002468-2-4-6-8-10-12-14-16}7 米国の留出油生産量(2009~11年)日量百万バレル4.84.64.44.24.03.83.63.4123456789101112123456789101112123※4週間平均出所:米国エネルギー省データをもとに作成百万バレル図8 米国留出油在庫の推移(2003~11年)180160140120100801234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成 2010年12月の米国の石油製品全体の需要に関しては、留出油需要の大幅な需要の上方修正をガソリンとその他石油製品の需要に対する大幅な下方修正(その他石油製品の需要は速報値では前年同月比で約19%の増加となっていたが確定値では約5%の増加となっている)で相殺した結果、全体としても速報値の約4%の増加が確定値では3%弱へと下方修正されている(図9参照)。また、メンテナンスに伴う製油所での原油の引き取りの低下もあることから、原油在庫は増加傾向となっており、3月に入ってからは、この時期としては平年を上回る状態となっている(図10参照)。なお、原油、ガソリン及び留出油の在庫がそれぞれ平年幅を超過していることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、ともに平年幅を超過している(図11及び12参照)。 ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 S万バレル図10 米国原油在庫推移(2003~11年)3903703503303102902702501234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成百万バレル図11 米国原油+ガソリン在庫推移(2003~11年)6105905705505305104904704501234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成百万バレル図12 米国原油+ガソリン+留出油在庫推移(2003~11年)8007507006506005501234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成 2月末時点におけるOECD諸国推定原油在庫については、欧州及び日本で若干の減少となったも? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 フの、米国での増加がそれらを相殺した結果、全体としては前月並みとなっており、平年幅を超過した状態は維持されている(図13参照)。他方、石油製品在庫については、米国における製油所メンテナンス実施に伴う生産の減少や日本での仕切り価格の変更(仕切り価格の引き下げに伴う出荷量の増加と引き上げ前の駆け込み需要の発生)に伴う出荷量の増加により、全体としても減少傾向となったが、例年この時期石油製品在庫は減少する傾向にあることから、前月と同様平年並みの水準となっている(図14参照)。なお、原油在庫は平年幅を超過しているものの、製品在庫が平年並みとなっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅の上方に位置するようになっている(図15参照)。また、2011年2月のOECD諸国石油在庫日数(月末の在庫量をその直後の3ヶ月間の1日当たり需要で除したもの)は58.1日であり、前月の58.0日とほぼ同水準となっている。 図13 OECD原油在庫推移(2005~11年)億バレル10.510.09.59.08.58.0123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112121995-20042005-11出所:IEAデータ他より推定 億バレル図14 OECD石油製品在庫推移(2005~11年)1615141312123 45 67 891011121 23 45 67 891011121 23 45 67 891011121 2345 67 891011121 2345 67 891011121 2345 67 891011121 21995-20042005-11出所:IEAデータ他より推定 ? 7 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 011年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場においては、中東・北アフリカ諸国に対する政情不安についての懸念やイランの軍艦のスエズ運河通過の情報等が原油価格を下支えしたものの、米国での原油在庫の増加観測等が価格の上昇を抑制した結果、原油価格(WTI、以下別途特定しない限り限り、この章では「原油価格」は原則WTIのことを指すものとする)は1バレル当たり概ね84~88ドルの比較的狭い範囲で推移していたが、2月20日にリビアで反体制派と治安部隊の衝突が発生するなどで政情不安が増大して以降、同国からの石油供給途絶と、他の中東・北アフリカ諸国への同様の政情不安の波及に対する市場の不安感が高まった結果、原油価格は急上昇、2月23日には一時1バレル当たり100ドルに到達する場面も見られた他、3月2日には終値でも100ドルを突破した。さらに価格は3月7日には終値で105ドルを超過したが、その後は米国等の経済指標類が、必ずしも経済が順調に回復している旨示唆しなかったことや、東日本大震災に伴う日本の経済減速と石油需要減退懸念が市場で発生したこともあり、3月11日の終値は101.16ドルへと下落している(図16参照)。 ドル/バレル図16 原油価格の推移(2003~11年)123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112121995-20042005-11出所:IEAデータ他より推定 2011年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場等の状況 26252423222120. 2億バレル図15 OECD石油在庫(原油+石油製品)推移(2005~11年)1501401301201101009080706050403020123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123WTIBrentDubai ? 8 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 月14日には、翌々日(16日)にEIAから発表される予定の同国石油統計(2月11日の週分)で、原油在庫が増加を示しているとの観測が市場で発生したことで、この日の原油価格は前日終値比1バレル当たり0.77ドル下落し終値は84.81ドルとなった(但し、2月11日にエジプトのムバラク大統領が辞任したにもかかわらず、中東及び北アフリカ諸国での政情不安の可能性に対する市場の懸念がこの日も根強かったことから、接近している欧州での指標原油であるブレントのこの日の終値は1バレル当たり103.08ドルと前日終値比で1.65ドル上昇している)。2月15日も、翌16日にEIAから発表される予定の同国石油統計で原油及びガソリン在庫が増加しているとの観測が市場で増大したことに加え、同日(2月15日)米国商務省から発表された1月の同国小売売上高が前月比0.3%の増加と市場の事前予想(0.5~0.6%の増加)を下回ったことにより米国株式相場が下落したことで、この日の原油価格は続落、終値は1バレル当たり84.32ドルと前日終値比で0.49ドル下落した。2月16日には、この日イスラエルのリーベルマン(Lieberman)外相が、イランの軍艦2隻が同日スエズ運河を通過してシリアに向かう予定である旨発言し、中東情勢緊迫化に対する懸念が市場で発生(当初、他の関係者からの情報もなく、実際に軍艦が運河を通過するのかどうかにつき懐疑的な見方もあったが、2月17日にはイランの国営プレステレビが同様の内容を報じた他、同日エジプトの外務大臣からも当該軍艦からスエズ運河通過のための許可申請があった旨明らかにし、エジプト当局は2月19日に通過を承認、イランの軍艦は運河を通過し、2月23日にはシリアのラタキア(Latakia)港についたと伝えられる)したことで、16日の原油価格は前日終値比1バレル当たり0.67ドル上昇し、終値は84.99ドルとなった。2月17日には、前日のイランの軍艦のシリアへの派遣に対する市場の懸念の流れを引き継いだ他、2月21日が米国ではプレジデント・デーに伴う休日で、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)での先物契約契約に関する通常取引が行われないことから、中東及び北アフリカ諸国における政情不安(既に2月15~16日にかけ、中東・北アフリカ諸国ではバーレーン、イラン、イラク、イエメン、ヨルダン、アルジェリア、リビア等で民衆による独裁政権等への抗議行動が発生していた)に対する市場の懸念を背景として、週末の連休を控えた原油購入が発生し、この日の原油価格は前日終値比1バレル当たり1.37ドル上昇、終値は86.36ドルとなった。ただ、翌18日には期近の原油先物契約については、NYMEXにおける当該契約の3月渡し分が連休明けの2月22日を以て取引期限を迎えるため、それを前にした持ち高調整発生したことから、同日の原油価格は前日終値比1バレル当たり0.16ドル下落し終値は86.20ドルとなったものの、期先の限月における先物契約については、週末の連休を控え中東・北アフリカ諸国における政情不安拡大(2月18日にはクウェートでも約300人が抗議行動を行い治安部隊と衝突したと伝えられる)の兆候から、軒並み上昇となった(例えば、2011年4月渡し契約は前日終値比0.87ドル上昇し、この日の終値は89.71ドルであった他、2011年5月~2013年1月渡し先物契約についても、前日終値比で1ドルを超過して上昇している)。 ? 9 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 月21日には、前述の通りプレジデント・デーに伴う休日でNYMEX原油先物契約に関する通常取引は行われなかったが、前日の2月20日にリビア東部の都市ベンガジ(Benghazi)において、カダフィ大佐の支配終結を求める反体制派と治安部隊との衝突が激化、反体制派が同市の大部分を掌握した他、首都トリポリでも両者による衝突が発生したうえ、同国で日量10万バレルの石油生産を行う独石油会社Wintershall(独化学会社BASFの子会社)が政情不安に伴い生産を停止させる方針である旨報じられるなど、同国を巡る混乱の度合いが強まったことで、ブレントのこの日の終値は1バレル当たり105.74ドルと前週末終値比で3.22ドル上昇した。また、翌22日には退陣を求める反体制派に対してカダフィ大佐がそれを拒否、反体制派の弾圧を継続する方針である旨表明した一方で、同国の複数の外交官が辞表を提出するなど、政権内部にも混乱が及び始めたことから、リビアからの石油供給途絶懸念がなお一層増大したことで、22日の原油価格の終値は1バレル当たり93.57ドルと、前週終値比で7.37ドルの上昇となった(なお、この日を以て2011年2月渡し契約に関する取引は終了したが3月渡し原油先物契約のこの日の終値は1バレル当たり95.42ドルと前週末終値比で5.71ドル上昇している)。翌23日も前日の流れを引き継ぎ、リビアでの政権支持派と反体制派との対立が深刻化しつつあることにより、同国からの石油供給途絶に対する不安感が市場でなお一層高まるとともに、リビアでの政情不安が他の中東・北アフリカ産油国に波及することに対する市場の懸念が増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり98.10ドルと前日終値比からさらに4.53ドル上昇した他、一時は1バレル当たり100ドルに到達する場面も見られた(これは2008年10月2日以来のことであった)(またブレントの終値も1バレル当たり111.25ドルと前日終値比で5.47ドル上昇した他、その後の電子取引では2月24日未明(米国東部時間)には、一時1バレル当たり119.79ドルと120ドルに迫る場面も見られた)。ただ、2月24日には、この日国際エネルギー機関(IEA)、米ホワイトハウス、及びサウジアラビア関係者が大規模な石油供給途絶が発生した場合には、それに対応する準備がある旨示唆したことで、市場での懸念が後退した他、同じくこの日リビアのカダフィ大佐が狙撃されたとの噂が市場に流れたことから、24日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.82ドル下落し、終値は97.28ドルとなったものの、翌25日には、週末を控え、不透明なリビア等の中東・北アフリカ情勢に対する懸念から、原油を購入する動きが発生したことに加え、同日(2月25日)発表された2月の米国ミシガン大学消費者信頼感指数(確定値)(1964年12月=100)が77.5と速報値(2月11日発表)の75.1から上方修正され、2008年1月以来の高水準となった他、市場の事前予想(75.3~75.5)を上回ったことで、原油価格は反発、終値は1バレル当たり97.88ドルと前日終値比で0.60ドル上昇した。 ただ、2月27日には、リビアの国営石油会社の一つであるAgoco(Arabian Gulf Oil Company, リビア国営石油会社NOCの子会社であったが、後にNOCから離れて事業を行う旨明らかにしている)幹部が同? 10 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 蒼剣狽フ石油積み出し港であるトブルク(Tobruk)では中国への輸出に向けた原油の船積みが行われている旨発言した他、 2月28日には、この日サウジアラムコの最高経営責任者(CEO)であるファリハ(Khalid al-Falih)氏が、リビアでの政情不安から生ずる輸出不足については、それを補填する用意がある旨発言したことにより、市場での石油供給不足懸念が低下したことから、原油価格は前日終値比1バレル当たり0.91ドル下落し、この日の終値は96.97ドルとなったが、3月1日には、リビアでの政情不安が継続していることに加え、同日サウジ政府当局が同国のシーア派聖職者を拘束したとの情報が流れた他、イランでも反政府派と治安部隊が衝突した旨報じられたことで、中東・北アフリカ諸国における政情不安が拡大しつつあるのではないか、との市場の懸念が増大したこと、同じくこの日、米国供給管理協会(ISM:Institute of Supply Management)から発表された2月の同国製造業景況指数(50が製造業活動拡大と縮小の分岐点)が61.4と1月の60.8から上昇、2004年5月以来の大幅な伸びとなった他、市場の事前予想(61.0)を上回ったこと、また同日バーナンキ米国連邦準備制度理事会(FRB)議長が、上院銀行委員会で、最近の商品価格上昇の米国消費者物価に及ぼす影響は一時的で比較的軽微なものにとどまるであろう旨示唆したことで、米国経済に関する市場の懸念が後退、また翌2日には、この日未明にリビアのカダフィ政権が同国東部の石油積出港であるブレガ(Marsa el Brega)の町を攻撃したことで、同国からの石油供給途絶懸念が市場でさらに増大したことに加え、3月2日にEIAから発表された同国石油統計(2月25日の週分)で、原油及びガソリン在庫が市場の事前予想(原油70~160万バレル程度の増加、ガソリン40万バレル程度の減少~90万バレル程度の増加)に反して、原油36万バレル、ガソリン359万バレル、それぞれ減少していた旨判明したことで、原油価格は3月1~2日に合計で1バレル当たり5.26ドル上昇し、3月2日の原油価格の終値は102.23ドルと、2008年9月30日以来の終値ベースでの100ドル突破となった他、2008年9月26日以来の高値での終値となった(因みに2008年9月26日の終値は106.89ドル、同9月30日の終値は100.64ドルであった)。3月3日には、この日リビアのカダフィ政権側が、ベネズエラのチャベス大統領が提案した和平案を受諾したとの情報が流れ、同国を巡る地政学的リスクに対する市場の懸念が緩和したことを受け、利益確定の動きが発生したことで、原油価格は前日終値比1バレル当たり0.32ドル下落し、同日の終値は101.91ドルとなったものの、3月4日には、リビアでの政府軍と反政府軍との戦闘が同国の各所で激化したうえ、この日はサウジアラビア東部の2ヶ所で先日拘束されたシーア派聖職者や他の囚人の解放を求めてデモ活動が実施されたことや、オマーンで数百人の国民が雇用と政治改革を求めて抗議行動を実施したことで、週末を控え石油供給途絶懸念の高まりから原油先物契約の購入が進んだうえ、この日米国労働省から発表された2月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比で19.2万人増加と、2010年5月以来の大幅な増加となっていた他、失業率も8.9%と市場の事前予想(9.1%)を下回ったことから、同国の景気回復に対する楽観的な見方? 11 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ェ発生したことにより、この日の原油価格は前日終値比1バレル当たり2.51ドル上昇、104.42ドルでこの週の通常取引を終了した。 3月7日には、WTIとブレントの価格差拡大観測に基づく、これまでのWTI売却とブレント購入に対する利益確定の動きにより、WTIの買戻しとブレントの売却の動き発生したことにより、WTIのこの日の終値は1バレル当たり105.44ドルと、前日終値からさらに1.02ドル上昇したが、他方、ブレントのこの日の終値は1バレル当たり115.04ドルと、前週末終値と比べ0.93ドル下落した。また、3月8日には、この日クウェートのサバハ(Sabah)石油大臣から、OPEC加盟国が増産を決定するための緊急会合を開催するかどうかにつき協議中である旨の発言があり、市場における石油供給途絶懸念が低下したこと、そして翌9日には、この日EIAから発表された同国石油統計(3月4日の週分)で、WTIの引渡し地点であるクッシングの原油在庫が前週比169万バレル増加の4,026万バレルと、2004年4月の統計発表以来の最高水準に到達したことにより、原油相場に下方圧力が加わったことで、価格は3月7~8日併せて、終値ベースで1バレル当たり1.06ドル下落し、終値は104.38ドルとなった(但し、3月9日は、リビアにおいて、カダフィ政権側の軍隊が同国東部(反体制派が掌握)のEs Sider石油ターミナルへ通じるパイプラインを攻撃したうえ、Ras Lanuf石油ターミナルにおける貯蔵タンクを爆撃したことで、同国からの石油供給に対する市場の懸念が増大したことにより、ブレント価格のこの日の終値は1バレル当たり115.94ドルと前日終値比で2.88ドル上昇した)。また、3月10日においても、この日中国税関総署から発表された2月の貿易収支が、市場の事前予想(49~49.5億ドルの黒字)に反し、73億ドルの赤字となっていた旨判明し、同国経済成長に関する懸念が市場で発生したこと、同じく同日米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(3月5日の週分)が39.7万件と前週から2.6万件の増加となった他、市場の事前予想(37.6~37.8万件)を上回ったことで、同国の労働市場に関する不安感が市場で発生したこと、さらにこの日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペイン国債の格付けを従来の「Aa1」から1段階引き下げ「Aa2」とする旨発表したことで、欧州一部諸国における債務問題に関する懸念が市場で再燃したことからユーロが下落した反面米ドルが上昇したことが、原油相場に下方圧力を加え、一時は1バレル当たり100.62ドルまで価格は下落したものの、同じく同日サウジアラビア東部でイスラム教シーア派によるデモ活動が発生し(約200人と伝えられる)、それに対して警官隊が発砲したことで、同国の政情不安に伴う石油供給途絶に関する懸念が市場で増大したことにより、原油価格は反発、結局この日は1バレル当たり102.70ドル(前日終値比1.68ドル下落)で通常取引を終了した。さらに、3月11日には、この日発表された2月の中国の消費者物価指数が前年同月比で4.9%の上昇と市場の事前予想(4.7~4.8%の上昇)を上回ったうえ、同じくこの日午後2時46分(日本時間)に日本で発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により、今後製油所や工場の操業停止から原油の引き受けが低下すると? 12 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 フ観測が発生したことに加え、インターネットを通じてこの日の実施が呼び掛けられていたサウジアラビアにおけるデモ活動が限定的な規模にとどまったことで、石油供給途絶懸念がさらに緩和したことにより、11日の原油価格は1バレル当たり101.64ドルと前日終値比で1.54ドル下落した他、一時は99.01ドル今後、原油相場を変動させる要因としては、当面まず中東・北アフリカ情勢が挙げられる。これは市場心理に対しては、2方面から影響を及ぼしているものと考えられる。1番目は、現在カダフィ政権側と反政府側との衝突が激しくなっているリビアの政情不安により石油供給が途絶する、という懸念であり、2番目はこのような政情不安が産油国を含む他の中東・北アフリカ諸国に波及し、こちらでも石油供給に障害が発生するのではないか、という不安感である。これらを通じて、市場での神経質な感情が維持されることにより、原油価格が下支えされ、状況によっては押し上げる、といった状態になりやすいものと見られる。リビアにおける石油供給状況等については、情報が錯綜している(表1参照、またIEAは3月10日にリビアからの原油の輸出量が日量50万バレル以下になっている旨発表した一方で、仏大手石油会社Totalは同国の生産量は日量20~30万バレル程度ではないか、と推定している)ことや、これまでの展開が総じて市場が心配するような状況の悪化シナリオに沿ったもの(つまり、チュニジアでの市場不安がエジプトに伝播し、それが当該地域での産油国を含む他の諸国にさらに広がる、といった展開)であることも、市場の不安感を煽る結果となっており、原油価格の変動を大きくしている面もあると思われる。 今後当面の間は、リビアでの情勢がどうなるか(どのような展開となるか、に加え、いつ、どのような形で終息するか)のみならず、リビアの政情不安により途絶した同国からの石油供給途絶がどのようにして、他の産油国により補填されるか、といったことに市場の注目が集まるとともに、そのような要素が原油価格に織り込まれていくことになろう。そして、リビア情勢が改善する兆しを見せる、ということであれば、市場による石油供給途絶懸念が後退し、その結果原油相場が押し下げられる場面も見られようが、依然としてこのような政情不安が近隣諸国で発生、悪化する、といった可能性が低下したと判断するには時期尚早と市場が判断すると見られることから、下落したとしても限定的な程度にとどまるものと考えられる。反対に、リビアの情勢が悪化した場合には、原油価格が大きく上昇し始めることも考えられる。また、現在においても、既に市場からは、サウジアラビア、クウェート、UAE、ナイジェリア等のOPEC産油国が、リビアの石油供給途絶に対応し、増産の対応を行う計画である旨伝えられるが、リビアで主に生産及び輸出される原油は軽質低硫黄なものが主流であるのに対し、サウジ等中東湾岸産油国において余剰生産能力を構成する原油の多くは重質高硫黄なものであるので、即座には対応できないのではないか、という市場? 13 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 と2月8日以来の100ドル割れとなる場面も見られた。 . 今後の見通し等-中東・北アフリカ情勢を含め 3フ認識があり(一方で、3月8日には、サウジアラビアのナイミ石油鉱物資源大臣の発言として、同国で生産される原油を混合しリビアから供給される原油と類似の品質を持つ原油を供給することで、当該の不突合を最小化する旨報じられている他、近年発展途上国を中心として高度化設備を含め精製能力が増強されていることもあり、そのような原油の品質の不一致の問題は乗り切れるのではないか、という指摘もあるが、サウジアラビアからの軽質低硫黄原油の追加供給がどのような規模になるかについて不透明であることや、仮に高度化された製油所で重質高硫黄原油を処理し軽質石油製品を生産、その製品を消費国まで輸送できたとしても、直接消費地で処理するよりも調達に期間を要する恐れがあるなどの課題があることや、現在が季節的に製油所のメンテナンス時期に重なっていることもあり、どの程度重質高硫黄原油から軽質石油製品を生産できるかについて、必ずしも明確になっていないこともあることから、市場の不安を必ずしも払拭できない状態となっている模様である)、その意味では、原油相場が沈静化するのは、早くても中東湾岸産油国からの原油の精製処理を通じた軽質石油製品が円滑に消費国に流通することに対して市場が確信を持てるようになった時点となるのではないかと考えられる。また、ナイジェリアで生産される原油の主流は軽質低硫黄原油であるが、同国では2011年4月9日に大統領選挙が予定されており、この前後には、同国南部の産油地域を拠点とする武装勢力が、大統領候補や選出された大統領に対して圧力を加えるべく、産油地域における石油生産及び輸送関連施設を破壊する恐れがある、という意味では供給源として磐石、というわけではない。このようなことから、夏場を控えて軽質低硫黄原油の引き合いが強くなる一方でリビアからの供給が低下するとの認識を反映し、軽質低硫黄原油であるブレントと中質(もしくは重質)高硫黄原油であるドバイの価格差も徐々にではあるが拡大する傾向が見られる。 他方、市場では、リビアでの政情不安が他の諸国、特にサウジアラビアに波及した場合についても心配しているように見受けられる。現在のところサウジアラビアでは3月11日の実施がインターネットを通じて実施が呼びかけられていた大規模抗議活動が実際は小規模なものに終わったことや、国民の過半(約70%)を占めるイスラム教シーア派を少数派(約30%)であるイスラム教スンニ派が支配する形となっているバーレーンと違い、サウジアラビアではイスラム教シーア派は全国民の15%程度(スンニ派は85%)であることから考えると、同国でバーレーンのような大規模な抗議活動が発生し政情が不安定になる、と言った事象に対する絶対的な水準での確率は依然低いと認識されているものの、これまで、生活水準が高く政権への不満が高まりにくいと考えられていたバーレーンで大規模抗議活動が発生したことから、同国よりも1人当たりGDPが低いとされるサウジアラビアにおいても、生活水準を理由として政権に対する不満が高まりにくく大規模抗議行動が発生しにくい、とは必ずしも言い切れなくなったこともあり、この面では、サウジアラビアに対する市場の懸念は相対的には高まっているものと考えられる。サウジアラビア? 14 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ヘ日量1,000万バレルの石油を生産し、それは全世界の石油生産量の10%超を占めるのみならず、OPEC余剰生産能力(1月末時点で日量519万バレルであるが既に政情不安に陥っているリビアでの余剰生産能力である日量22万バレルが利用不可能であると考えると現時点では日量500万バレルを若干下回る水準になっているものと見込まれる)の約70%である日量350万バレルを保有していることから、この面では、サウジアラビアで、もうこれ以上大規模抗議行動が発生しないと市場が確信を持つまでは、原油相場が持続的に沈静化する可能性は低いものと見られ、早くてもその可能性が高まるのは、3月20日にインターネットで呼びかけられている、第二回目の同国での大規模抗議行動予定日の後、ということになろう。また、リビアでの石油供給停止は、サウジアラビア等の追加生産で補填される可能性が高く(但し前述の通り品質上の課題は存在する)、足元の量的な問題は相対的に小さいものの、それを穴埋めした分サウジアラビア等のOPEC余剰生産能力が減少している、ということにも市場の目が行きやすい(つまり世界石油需給において余裕がなくなってきている)ことから、このような意識の面からも原油相場が下支えされることになるだろう。 表1 リビアから輸出される主な原油API比重油種名生産量(日量万バレル)(度)原油の質(比重)硫黄分(%)原油の質(硫黄分)積出港積出港の状況備考Al-JurfAmnaBouriBrega43630中質1.9高硫黄Farwah FPSO油田の生産停止に伴い操業を停止しているものと推察原油供給源であるAl-Jurf油田の生産が停止36軽質0.2低硫黄Ras Lanuf操業停止中原油供給源の一つであるNafoora油田が通常の半分程度の生産状態26中質1.9高硫黄Bouri操業中(3月9日時点)1240軽質0.2低硫黄Marsa El Brega操業停止中原油供給源であるBrega油田が通常の能力の約半分の生産状態El Sharara3043軽質0.1低硫黄Zawia terminal操業中(3月9日時点)Es Sider5336軽質0.4低硫黄Es Sider損傷を受けており、輸出停止原油供給源の一つであるWaha油田が通常の3分の1以下の生産状態MellitahSarirSirticaZueitina合計 4238軽質軽質N.A.低硫黄Mellitah0.2低硫黄Marsa El Hariga(Tobruk)N.A.N.A.42軽質0.4低硫黄Marsa El Brega操業停止中42軽質0.3低硫黄Zueitina損傷を受けており、操業を停止しているものと推察1222118160※便宜上API比重35度超を軽質、25度超35度以下を中質、25度以下を重質、硫黄分0.5%超を高硫黄、0.5%以下を低硫黄としている。出所:2011年3月13日時点で入手できた各種資料をもとに推定? 15 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2011/03/15 野神 隆之
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。