ページ番号1004098 更新日 平成30年2月16日

緊急時油回収システムの登場 -メキシコ湾油流出事故を受けて-

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レポートID 1004098
作成日 2011-03-16 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 技術探鉱開発
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2010
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 作成日: 2011/3/16 石油企画調査部: 伊原 賢 公開可 緊急時油回収システムの登場 -メキシコ湾油流出事故を受けて- (JOGMEC石油企画調査部、世界石油工学者協会SPE、雑誌Offshore資料ほか) ・ 海底生産システム(Subsea Production System:SPS)は、海底坑口装置を含む海底仕上げ井、パイプライン、マニホールドほかの海底機器で構成され、1960年代より、小規模な油ガス田や大水深油ガス田の開発に適用されています。技術進歩に伴い、原油や天然ガスの生産・処理設備、貯油設備及び積出設備なども海底に設置され、海底で完結したシステムも実用化されつつあります。 ・ さて、2010年4月20日にメキシコ湾で発生した掘削リグ「Deepwater Horizon」の暴発・沈没事故により、油流出とそれが米国の沿岸部に広がった問題について、事故が発生した掘削事業、事故発生の経緯と対策、および事故原因の調査状況について、さまざまな報道や分析がなされました(参考資料、映像)。 ・ 大水深における掘削作業の信頼性確保には、宇宙開発と同じ位の高度な技術力が必要とも言われます。両者の共通点は、地表環境と比べ厳しい環境下にあること、修理や回収のためのアクセスが簡単にできないこと(ダイバーの潜水限界は水深400m)が挙げられます。両者とも信頼性を維持し、良好に作動することが必要です。 ・ 本報告では、「SPSの概要と見通し」を認識したうえで、暴噴したMacondo(マコンド)坑井からの油止め作業が終結したとの昨年9月19日のBP社の発表までの、海面下での事故対策と事故発生原因の考察をレビューします(付録)。 ・ この大惨事をもたらした背景と教訓に基づき、対策として今年2月に発表された「MWCC(Marine Well Containment Company)による暫定の「緊急時油回収システム」(図5、図6)を紹介し、「今後の海洋石油開発に与える影響」を考えてみたいと思います。 話の骨子> (cid:57) 「緊急時油回収システム」は、SPSの要素技術を基本とした既存技術の組み合わせ。従って、高い <信頼性が期待。 (cid:57) 陸上試験により、作業手順(特に海底に設置されたBOP [Blow Out Preventer:防噴装置]の直上に取り付ける油の吸い上げ用キャップCapping Stackの設置)が確認され、暫定の「緊急時油回収システム」(図5)が2月に発表。システムの主な仕様は、キャップの最大圧力15,000psi、油汲み上げレート6万バレル/日。BOPとCapping Stack(図6)による二重隔壁で技術リスクをへらすのが、システムのキーとなる技術。 (cid:57) システムの発表を受けて、2月28日に大水深開発の再開発表。Noble Energy社の掘削サスペンド案件に掘削再開の許可。 (cid:57) メキシコ湾油流出事故を受けて、事故対策への要求は高まり、「メキシコ湾での大水深開発」は敷居の高い開発へ。 1/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 C洋石油開発では、水深、離岸距離、高温・高圧の貯留層、海底の低温環境といった因子からの様々な技術課題やそれに伴う開発コストの増加などが予想されます。それらに対応すべく、1960年代より、効率的な開発システムが要素技術と共に日々開発されています。 . 海底生産システム(SPS)の概要と見通し 1 (1) 概略 (cid:57) 海洋石油開発方式の一つの選択肢である海底生産システム(Subsea Production Systems:SPS)は、海底仕上げ井(Subsea Completion Well)と海底機器、海底に設置された生産・処理設備、貯油設備及び積出設備などから成る海底で完結された生産システムを言う。しかし、海底仕上げ井とフローラインやマニホールドで構成されるシステムを海底生産システムと言うことも多い。前者は実用化されつつあり、後者は次のように広範囲に適用されている。 既存の洋上プラットフォームの周囲にある小規模油田にサテライトの海底仕上げ井を設け、この坑井を既存のプラットフォームにフローラインとライザーで接続して開発する(Subsea Tie-Back System)。小規模油田を単独で開発するよりも、初期投資が少なく工期も短くて済み、経済的な開発が可能となる。 ②大水深油田の開発 大水深ではプラットフォームの建造コストが大きいが、SPS は水深増加に対するコスト増が少ない。 ③氷海域油田の開発 海面上の海氷の影響を受けないため、氷海域の油田開発に適すると言われる。 (cid:57) 海上坑口方式(図1)は、海上坑口装置(ドライツリー)と大偏距掘削/Extended Reach Drillingの組み合わせで使われることが多い。 (cid:57) 海底仕上げ方式(図1): 坑口装置を海底に設置、他の機器も信頼性があれば海底に設置、海底面にフローラインを張り巡らして広範囲の貯留層にアクセス、海上坑口方式に比べ機器が複雑となり4~6倍のコストを要す。 小規模油田の開発 ① 海上坑口方式 海底仕上げ方式 のイメージ 図1 (cid:57) 海底生産システム(アンゴラ沖合Greater Plutonioの初期開発コンセプト)とサブシータイバックシステム(メキシコ湾Troikaサテライト)の例: 図2 (出所: JOGMEC石油企画調査部) 2/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }2 海底生産システムとサブシータイバックシステム*のイメージ (出所: SPE) サブシータイバックシステム(Subsea Tie-Back System): 既存の洋上プラットフォームの周囲にある小規模油田にサテライトの海底仕上げ井を設け、この坑井を既存のプラットフォームにフローラインとライザーで接続して開発するシステム。 *2) 歴史 ((cid:57) 最初の海底仕上げ井は1960年Shell社がメキシコ湾に設置。1,000基目は1997年、2,000基目は2002年に実現、3,000基目は2010年に設置されました。 ① 海底仕上げ井は、1960 年Shell がメキシコ湾の水深17m のWest Cameron 192 フィールドに世界で初めて採用した。この坑井は400m 離れたプラットフォームにフローラインで接続されて、61 年から65 年までの4 年間生産を行った。1975 年には、英領北海の水深81m のArgyll フィールドに世界で初めてセミサブ型のFPS(Floating Production Systems: Transworld 58)が採用され、海底仕上げ井からの生産を開始した。 ② 海底仕上げ井はダイバーにより設置されていたが、当時、水深300m 以深ではダイバー作業ができないため、ダイバーレスの海底坑口装置(Subsea Wellhead)と作業用のROV(Remotely Operated Vehicle)が開発された。その作業はワイヤーラインを通じて行われたが、大水深でのワイヤーライン操作の煩雑さを解消するためワイヤーラインレスの海底坑口装置が開発され、1991 年ブラジルの水深721mのMarlimフィールドに設置されました。 ③ その後1993 年末には、世界において789 坑の海底仕上げ井(内、北海282 坑、ブラジル沖221 坑、メキシコ湾89 坑ほか)が存在するに至った。大水深開発の進展とともに海底仕上げ井は急速に数が増え、2001年末には北海だけで800 余基の海底仕上げ井の存在が報告された(出所: Offshore Engineer, January 2002)。2001 年以降は毎年300~500 基の海底坑口装置が製作されています(出所: Quest-Subsea-Data-Base、Quest Offshore Resources, Inc.)。 (cid:57) 坑井、油田、ガス田の大水深化が見られます(図3、図4)。北海ではサブシータイバック距離が長く、メキシコ湾では水深が深くなる傾向にあります。 3/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (出所: 各種資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 図3 世界の大水深石油ガスフィールドの分布 Production Wells: 生産井 Exploration Wells: 探鉱井 (出所: JOGMEC技術調査部資料) 図4 坑井の大水深化 4/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 cid:57) エンジニアリングスタディに基づき、開発方式のコンセプトをデザインします。スタディへの主要な入力パラメーターとして、貯留層の広がり・インフラ(他の生産システムや近隣パイプライン)の有無・水深・貯留層特性・オペレーターの開発方針/哲学・必要坑井数が挙げられます。 (cid:57) インフラの有無: サブシータイバックシステム(ページ3)によるサテライト貯留層の開発の目安は、1坑当りの可採埋蔵量が原油換算で2,500万バレル未満といわれる。逆に1坑当り3,000万バレル以上の可採埋蔵量が期待できると、洋上生産システムの検討も可能とされる。 (cid:57) 水深: 固定式プラットフォームは水深500mまで設置可能で、それより深いと浮遊式プラットフォームが使われる。海上坑口方式(ドライツリー、図1)の場合、海面下に吊り下げられるライザーの自重を支えなければならないが、水深が1,500mより深くなると重くて支えきれなくなり、浮遊式プラットフォームの登場となる。その場合でも海上坑口方式を採用するとプラットフォームのサイズが大きくなりすぎて現実的ではない。一方、海底仕上げ方式(図1)を使う海底生産システムではライザーの本数は少なくサイズも小さくて済み、水深の影響を受けません。 (cid:57) 貯留層特性: 大水深において、低圧で高粘性の貯留層からは自噴困難である。海底仕上げ井からの生産流体を海底昇圧ポンプにより洋上のプラットフォームまで移送する事例あり(ノルウェーのTordisサテライト)。ガス油比が低い場合ガスリフトによる坑井の産出能力アップはあまり期待できず、坑井内にポンプを設置し、生産を確保する場合もあります。 (cid:57) オペレーターの開発方針/哲学: 海上坑口方式の場合、(フレキシブルで段階的な貯留層開発が可能な海底仕上げ井に比べ)初期投資が膨大となる。海上坑口方式か海底仕上げ方式かの採用には、オペレーターの機器に対するメンテナンスや信頼性への考え方が大きく影響します。 (cid:57) 必要坑井数: 海上坑口方式の場合、坑井数はプラットフォームのデッキスペースに制限を受ける(ジャケット型固定式プラットフォームであるメキシコ湾コニャックの場合、坑井数の上限は61スロット。浮遊式テンションレグプラットフォームである北海スノーレAの場合、坑井数の上限は46スロット。)。多くの坑井が必要となる場合、あるいは、周辺の貯留層開発が将来必要となる場合には、海底仕上げ方式が通常採用される(アンゴラのDaliaフィールドにおける海底仕上げ井71坑のサブシータイバックシステム/他の生産システムへのつなぎこみ。浮遊式プラットフォーム1基としては120坑以上の海底仕上げ井へ対応可能。)。1つのシステムにおいて海底仕上げ井と海上坑口装置の併用は可能です。 (4) SPSの見通し(2014年まで) (出所: Subsea Developments - Key to Future Production, SPEの月刊誌JPT 2010年10月) (cid:57) 水深1,500~3,000mの世界に求められるSPSの信頼性とそれに必要な技術開発は、充実に向けて進行中。 (cid:57) 水深400 m以浅でも多くの海底パイプラインや海底機器が使用されている現実は忘れられがち。 (cid:57) メキシコ湾油流出事故によって、世界的な海洋開発プロジェクトに若干の遅れが見られるものの、専門エンジニアリング会社の一つInfield Systems社は、2014年に向けて海底機器の市場は明るいと予測。同社は掘削や海底機器の製作・据付に、5年間で30%伸びの870億ドル 5/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3) 適用基準 (ネ上の投資を想定。その背景として、浅海域の油ガス田の減退を挙げています。 (cid:57) 開発域は、ブラジル・アンゴラ・ナイジェリア・ノルウェー・英国・豪州・米国メキシコ湾が中心。内、ナイジェリアと英国は劣後。プレイヤーはIOCメジャー・Petrobras・Statoil。開発域の東南アジアや東アフリカへの広がりも期待されるところ。 (cid:57) 海底坑口装置の発注は、2009年325基と2004~2008年の年平均値より33%ほど下がったが、2010年より開発プロジェクトが再開し上り基調にあり、2015年には800基ほどが期待。2010年から2014年までの5年間では2,980基の発注が期待。 (cid:57) 専門エンジニアリング会社のQuest Offshore社は海底機器の市場は、2009年の75億ドルから2011年までは少し落ち込むものの、アフリカや地中海での活動が活発となり(2010年10億ドル -> 2015年75億ドル)、2015年には世界全体で200億ドルに上昇すると予想。南米での活動は2010年の10億ドルが2015年には40億ドルまで拡大することが期待。 (cid:122) メキシコ湾油流出事故のインパクト: Quest Offshore社のPaul Hillegeist社長の談話 (cid:57) 海底機器での投資減(今後5年の見通しで、Macondo坑井の事故前に比べ33%減の予想)。事故に伴う掘削モラトリアムによる開発プロジェクトの遅れが要因。 (cid:57) 2010年から2014年までのメキシコ湾での海底アンビリカル・ライザー・フローラインの使用額は、事故前の80億ドルから50億ドルまで約40%もの減額予想。 (cid:57) 歴史的にメキシコ湾での海底坑口装置の需要は世界全体の19%。2010年から2014年までの需要は、事故前の12.6%シェアから7.5%までに激減。しかし世界全体の需要は堅調増が期待。 (cid:57) Subsea7社と合併するAcergy社は、海底アンビリカル・ライザー・フローラインの敷設は増えると予想。特に西アフリカ・豪州での開発プロジェクトの2011年以降の再開に期待(例えばアンゴラのCLOVプロジェクト)。メキシコ湾でのプロジェクトの遅れは2011年後半まで続きそうだか、その後の活動は回復すると期待。ブラジル沖合のTupi油田は2011年からの開発が進むと予想。他でもアンゴラのEginaやナイジェリアのErha Northプロジェクトは同時期に開始されると予想。中国のLiwanや豪州のGorgonプロジェクトにも期待。北海にも小規模プロジェクトあり。 (cid:57) FMC社やCameron社は、生産・処理設備の海底設置がブラジル・西アフリカで2011年以降進むと予想(ブラジルのMarlimフィールド、アンゴラのCLOVやPazflorプロジェクト、メキシコ湾のCascadeプロジェクトのフェーズ2)。 (cid:57) 海底ポンプ、海底セパレーター、オール電化の海底坑口装置の現場設置も進むと期待。海底生産システムは今後ますます大水深、氷海での石油開発に欠かせない技術として、開発とその現場導入が期待されるところ。 (cid:57) 事故が発生した昨年4月20日から、暴噴したMacondo坑井からの油止め作業が終結したとの9月19日のBPの発表までの約5ヶ月を9つのフェーズに分け、事故対策を分析することで、この大惨事をもたらした背景と教訓が見えてきました(付録)。 (cid:57) メキシコ湾の油流出事故は、大水深開発における技術リスクを最小化する新たな方策を見つける動き(規制の変更、新しい機器への必要条件、安全基準)へとつながっています。この動 6/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . 緊急時油回収システムの登場 2ォは当然のことながら、開発コストの上昇へとつながりますが、環境リスクをより抑えた開発が可能になると期待されています。 (cid:57) Helix社は、メキシコ湾にて開発事業を行う中堅企業(インデペンデント)19社との間で、油流出事故発生の有事には、Helix Fast Response System(HFRS)の動員・実施で合意したと発表しました。HFRSは二隻の船舶(FPSO)を使ってマコンド井からの油流出事故対策のように油を回収する施設を保有し、有事に備えます。 (cid:57) MWCC(筆頭会社はExxonMobil、他メンバーはChevron, ConocoPhillips, Shell)は、緊急時の油回収システムを暫定的であるが完成させ(図5)、緊急時対応が可能となったと発表しました。MWCCは2010年12月に組織され、今回発表されたシステムは緊急事態発生から24時間以内に始動し、水深8,000フィート、6万バレル/日の液体回収レート、吸い上げ用キャップの最大圧力15,000psiに対応可とのことです。油の中和剤噴霧の機能も持ちます。BOPと油の吸い上げ用キャップCapping Stack(図6)による二重隔壁で技術リスクをへらすのが、システムのキーとなる技術。監督官庁BOEMRE(the Bureau of Ocean Energy Management, Regulation and Enforcement)立ち会いの下、作業手順が確認されたとのこと。当面メキシコ湾での有事を対象とし、メキシコ湾岸に格納される予定で、格納場所は今年半ばに最終評価されるとのこと。10億ドル程度のこのシステムは、6カ月に亘るBOEMREや湾岸警備隊(Coast Guard)の指導・協議のもとで生まれ、政府の要求仕様(NTL No. 2010-N10)に沿ったものです。メキシコ湾にて油ガス田開発を行う他のメンバーの途中加入を歓迎し、非加入メンバーもサービス契約締結にて、有事には、このシステムを利用可能となっています。MWCC がシステムを保有し運用します(ExxonMobilプレスリリース、2011年2月17日)。 (出所: MWCC資料より作成) (cid:57) 付録の付図8「シーリングキャップのセット(2010年7月12日)後の作業の様子」(ページ18)と似ている。 図5 MWCCが提案する「緊急時油回収システム」のイメージ(暫定) 7/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (cid:57) BOPと油の吸い上げ用キャップCapping Stack(図6)による二重隔壁で技術リスクをへらすのが、システムのキーとなる技術です。米国内務省のSalazar(サラザール)長官とBOEMREのBromwich(ブロムウィッチ)長官は、2月25日にヒューストンにてCapping Stackを視察しました(出所: ExxonMobilプレスリリース 2月25日、雑誌Offshore2011年2月28日)。 (出所: MWCC資料) 図6 陸上試験により作業手順の確認(特にBOPの直上に取り付けるCapping Stack) 2012年までに回収船であるFPSOを追加して油の汲み上げレートを10万バレル/日に増強させる将来計画もあります(図7)。キーとなる技術となる「油の吸い上げ装置Subsea Containment Assembly」は設計を終え、製作中。船型の浮体設備、マニホールド、フローライン、アンビリカルといった既存技術は随時エンジリアリング会社と契約し導入を図ります。 (cid:57) 8/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i出所: MWCC資料より作成) 図7 MWCCが提案する「緊急時油回収システム」のイメージ(将来計画) (cid:57) 規制当局BOEMREは2月28日、昨年5月のモラトリアム開始以降初めて、大水深域での掘削許可を与えました。Noble Energy社の掘削サスペンド案件でした。数か月以内に順次同様の許可が行われるとBOEMREの発表でした。BOEMREのブロムウィッチ長官によれば、Noble Energy社の掘削安全策と油回収システムの準備が単純に評価されたとのことです(BOEMREプレスリリース、2011年2月28日)。 ・ Mississippi Canyon 519鉱区(ルイジアナ州ベニスの南東110 km、水深1,980m)。 ・ オペレーターNoble Energy(23.25%)、BP(46.5%)、Red Willow Offshore(20.25%)、Houston Energy Deepwater Ventures1 LLC (10%)。 ・ Helix社の油回収システムに加入(緊急事態への対応としては、主要メジャー4社が共同で設立したMWCCによるものではなく、Helix社のシステムを採用)。 ・ 掘削許可申請では、最悪の流出量を69,700バレル/日と推定。 ・ 昨年5月の掘削に対するモラトリアム前までに13,585フィートまで掘削。 ・ 最終ターゲットは深度19,000 フィート。5月にプラグした掘削休止個所を機械的理由からバイパスして、3月に掘削再開。5月に当初のターゲットに到達の見通し。 3月に入り、BHP Billiton社、ExxonMobil社への許可が続いた。 近の石油市場の動きを受けて予定より若干発表を早めた印象。今後、本格的な手続きの再開に至るかどうかについては懐疑的な見方も多い。いずれにせよ、本件は昨年4月の事故発生時に既に取組が開始されていた33件の一つであるため、環境影響評価等などの面でファーストトラック(一括承認手続き)が認められているものであり、他の新規手続きが本格化するまでにはもう少し時間がかかると考えます。 最 9/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 cid:57) 2010年4月に発生したメキシコ湾の事故で、国際エネルギー機関IEAは、2030年の段階で、規制強化によって、世界の海底油田から日量90万バレルぐらいの産出量が抑制されるだろうと推定しています。今後、中国やインドの石油消費量が大きく伸びていくと見られる中では痛手でしょう。 (cid:57) 事故は、オバマ政権にとって最悪のタイミングで起きました。アメリカは原油流出による汚染の心配があるという理由で、80年代の前半から、海底油田の掘削を一部規制してきたのですが、オバマ大統領がこの規制を解除した3週間後に事故が起きてしまいました。そのオバマ大統領。昨年6月に行ったテレビ演説では、この事故をきっかけとして、持論である「石油中毒から脱却しよう」と訴えました。環境に優しいクリーン・エネルギーへの移行を「攻撃的に加速する時が来た」という大統領の主張でした。 (cid:57) 石油業界がこれだけの環境汚染を引き起こしたのだから、化石燃料からの脱却を目指す方向にアメリカが動くのではないか、というのが我々第3者の考えですが、現実にはそうは動かないようです。事故の当事者のBPに対しては、非常に厳しい懲罰的な規制がかけられるでしょうが、アメリカ社会が現実にクルマ社会で化石燃料に依存した社会である以上、海底油田の開発制限にしても、限定的な規制しか掛けられないと言うのが現実でしょう。 (cid:57) オバマ大統領が就任したのはまさに金融危機が始まったばかりの頃でしたが、そこからアメリカ合衆国を再生させる手段として「新ニューディール政策」ということをさかんに言いました。最終的には “脱石油”をめざすというものですが、現実問題として当分の間は石油に頼らざるを得ない、それも深海の油田開発が中心ということになると思います。 (cid:57) その背景の一つとして経済合理性が議論に上るのですが、1バレル(159リットル)の油を深海から取るのに30ドル、難しくても40ドルで採算が取れる時代になっています。これは、中東の陸上油田の数ドルと比べれば非常に高いのですが、今、中東情勢の混乱もあり、油価が1バレル100ドルぐらいに高騰しており、その差額が利益になるわけで、経済的な合理性があるのです(図8)。 . 今後の海洋石油開発に与える影響 3(出所: IEA、SPE資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 図8 原油の可採埋蔵量と採算コスト 10/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ネ上 (cid:57) 本報告で紹介した「緊急時油回収システム」は既存技術の組み合わせで、高い信頼性が期待されます。陸上試験により作業手順の確認済みです。しかし、このようなシステムの導入は明らかなコストアップとなり、メキシコ湾油流出事故を受けて、「メキシコ湾での大水深開発」は敷居の高い探鉱開発へと移行するでしょうが、2月末に発表された大水深開発の再開のニュースは関係者にとって待ちに待った朗報と見ます。 (cid:57) 今回の事故を教訓に技術サイドからは、掘削作業には「油田発見」という成果を拙速に求めない、安全第一を肝に銘じた掘削作業手順や機器管理方法の確認と実践(ベストプラクティス)が関係者間で再認識されるでしょう。 1) JOGMEC ホームページ 石油・天然ガス資源情報「海底生産システムの現状: Subsea Production System (SPS) -どこまで信頼性を保ち、機器を海底に設置できるか-」、2009年5月18日、伊原賢 執筆 2) NHK BS-1きょうの世界「原油流出食い止めへ新作戦」、2010年5月27日22:00、同 出演 3) JOGMECホームページ 石油・天然ガス資源情報「米国: 掘削リグDeepwater Horizonの暴発と沈没についての技術的考察」、2009年6月14日、同 執筆 4) 日経CNBC「NEWS ZONE」 原油流出事故の発生と影響、2010年6月17日21:30、同 出演 5) テレビ東京 WBS「想定外のリスク:メキシコ湾での原油流出」、2010年6月25日23:00、同 出演 6) NHK BS-1土曜解説「原油流出 背景と教訓」、2010年7月24日17:00、同 出演 7) JOGMECホームページ 石油・天然ガス資源情報「メキシコ湾油流出事故の技術的考察と海洋石油開発への巨大な影響」、2009年8月12日、同 執筆 8) NHK 教育 視点・論点「海底油田の世界的現状」、2010年8月23日22:50、同 出演 9) JOGMEC石油・天然ガスレビュー「メキシコ湾油流出事故の技術的考察と海洋石油開発へのインパクト」、2010年11月、同 執筆 参考資料、映像> < 11/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ) 海面下での事故対策 事故が発生した2010年4月20日から、暴噴したMacondo坑井からの油止め作業が終結したとの同年9月 (<付録> メキシコ湾油流出事故のレビュー 19日のBPの発表までを9つのフェーズに分け、事故対策を解説します。 「BOPのバルブ閉め」 故対策 ① 事 本事業のオペレーター(責任者)であるBPは、National Incident Commanderや連邦政府と共同で事故対策に取り組みました。 まず、BPは日量1,000バレル(1バレル=159リットル)程度の漏油と判断し、4月25日に海底で、遠隔操作ロボット(ROV:Remotely Operated Vehicle)による防噴装置(BOP:Blow Out Preventer)のバルブ閉めを試みるが、失敗。BOPの損傷部を含めて計3個所からの漏油個所を確認しました(付図1)。 付図1 事故発生後の海底からの漏油個所(2010年5月3日) (出所: 各種資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 9月8日に発表されたBPの内部調査レポートでは、暴噴事故によりBOPはかなり損傷したことが報告されて います(付図2)。 12/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i出所: BP資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 5月5日、漏油の1個所である「破断した掘管」にROVを使ってバルブ(付図3の赤印)を取り付け、封印しました(ただし全体流出量に変化なし)。 その後、5月8日、残りの漏油2個所に、78トンの回収ボックス「Cofferdam」を設置する作業に取り掛かりました。温水循環も効を奏さず、流出油から溶け出たガスが4℃と低い水温により水和物(ガスハイドレート)となり、回収ボックスの上部をふさぎました。そのため、継続的な油回収に至らず失敗に終わりました(付図3)。同月初旬より、坑井からの油を止めるリリーフ井2坑の掘削も開始しました(付図3の左)。 リリーフ井は7月15日、掘削を一時中断しました。 リリーフ井No.1は、径9-7/8インチのケーシングパイプをセット@1万7,840フィート(5,438m、以下海面から坑底までの深さ 1フィート=0.3048 m)。 リリーフ井No.2は、1万5,874フィート(4,838m)まで掘削。リリーフ井No.2は、No.1が失敗に終わった場合のバックアップ。 Macondo坑井のターゲットは、海面から1万8,000フィート(5,486m)。ワイヤーラインによりMacondo坑井の位置を検知しました。 リリーフ井No.1はMacondo坑井に絡みながら1万7,864フィート(5,445m)まで掘削。Macondo坑井からの油止めのタイミングを計りました(荒天にならなければ、早くて7月27日とされた)。7月27日が選ばれた背景は、同日がBPの2010年第2四半期の決算発表日だからであると言われます。 Macondo坑井からの油を止めるタイミングを計りました(坑口からのキル作業は8月5日、坑底のキル作業は9月18日に成功)。 付図2 事故前後のBOP/ライザーパイプ/掘管の損傷イメージ 「回収ボックスの設置およびリリーフ井の掘削」 故対策 ② 事 13/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i出所: 各種資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 付図3 「破断した掘管」へのバルブ取り付け(赤色)Cofferdam(黄色): 漏油からガスハイドレートが生成し、上部ふさぎ断念リリーフ井2坑を掘削中 (左イメージ) 5月17日、径21インチ(53cm)のライザーパイプに、ハイドレート生成を最小限に抑える4インチ(10cm)の小径パイプを接続する計画(RIT tool)を実施し、取り付けに成功(付図4)。日量1,000バレルの吸い上げを始めたとBPは18日に発表。徐々に回収量は増え、20日には推定日量3,000バレルで回収(ガス1,400万立方フィート/日はフレア)と発表しました。 22日、油回収量を日量2,200バレル(ガス1,500万立方フィート/日はフレア)に下方修正。 23日、油回収量が日量5,000バレルを超えたため、坑井からの流出量は日量5,000バレルに修正。 24日、油回収量は同社推計の半分に満たなかったと公式に修正しました(1日平均が、最低で1,360バレル、平均で2,010バレルと18日に発表した水準に推計値を戻す)。 5月26日から2日間、BOPからの油流出を封印する策として、「Top Kill」作戦(付図4)と「Junk Shot」作戦を展開したが失敗しました。 約70バレル/分で注入した泥水(比重の重い液体)によりいったん坑井からの噴出圧が弱まったかに見えましたが、泥水は坑井内を降下せず、かえってBOPから海中へ逆流して失敗。29日までに約3万バレルの泥水注入を試みるも油の流出を止めることはできませんでした。 利点:暴噴防止装置(BOP)から泥(比重の重い液体)を注入、その後セメンチングで固めて直接油の流出を止める。 難しい点:海底機器の遠隔操作が難しい。 「Top Kill」という対処方法の利点および難しい点 「Top KillおよびJunk Shot作戦」 故対策 ③ 事 Top Kill:BOPを介して重泥(比重の重い掘削用流体)を高圧で坑井に注入して、坑井内の上昇流の勢いを 14/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 「Top Kill」「Junk Shot」作業とは? ~め、その後セメンチングで固めて油の流出を止める。 Junk Shot:BOP下部の「Choke Line」や「Kill Line」にタイヤのゴムやゴルフボールを詰めて、流体の流出を止める。 付図4 油回収(小径パイプ):成功BOPへのTop Kill作戦:失敗 (出所: 各種資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 「Top Kill」作戦の失敗を受けて、LMRP作戦の準備に入りました。 これは、「Lower Marine Riser Package(LMRP)と呼ばれるBOP上部」に接続されたライザーパイプ(損傷あり)を切断して、漏斗のようなキャップをかぶせ坑井内の流体を洋上のドリルシップ「Discoverer Enterprise」までパイプを介して吸い上げる計画です(付図5)。 「LMRP作戦」 故対策 ④ 事(出所: 各種資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 付図5 LMRP作戦(坑井内の流体を洋上のドリルシップまでパイプを介して吸い上げ):成功 15/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 <^ノールを注入してキャップ内にガスハイドレートが生成し、流体の吸い上げ口がふさがれないようにしまし た。 6月3日にライザーパイプの切断に成功(付図2)。同日夜、漏斗のようなキャップをBOP上部にかぶせパイプを介して吸い上げを開始。油は船で陸上まで移送され処理。ガスはドリルフレアシップ上でフレアされました。 6月4日に油6,077バレル、ガス1,570万立方フィートを吸い上げ。8日、油1万5,000バレル/日、ガス3,000万立方フィート/日。9日、LMRPキャップが一時安定しなかったが、6月13日時点で油1万5,000バレル/日、ガス3,300万立方フィート/日の安定状態で吸い上げました。 米国商務省の海洋大気局NOAAの6月10日時点の報告によれば、海底面から水深3,300フィート(1,006m)までの流体サンプリングでは、坑井からの流出物の油分は、坑井の周囲40海里(74km)までにおいて、格段に減った(0.5ppm)とのこと。海中で油分中和剤を散布しました。 LMRP作戦により坑井内の流体吸い上げがうまくいきつつあるが、LMRPキャップの脇からの油流出もあり、予断を許さない状況となりました。 吸い上げ作業を増強・安定させるため、6月16日より流体処理に用いる浮体設備にセミサブ「Q4000」を追加(付図6)。7月9日、吸い上げ油1万7,000バレル/日、フレアガス5,700万立方フィート/日、油8,000バレル/日(累計吸い上げ量82万7,000バレル@7月14日)となりました。 別途用意した船型の浮体設備FPSO(付図6の左/洋上)では、坑井内流体の吸い上げに自立ライザーを採用しました。自立ライザーとFPSOは着脱可能なフレキシブルホースでつなぎ、ハリケーン来襲時には、FPSOが現場から退避できるように配慮しました。 BPは、7月第2週までにFPSOを1隻追加し、油の吸い上げ量を5万3,000バレル/日に上げる計画(7月末8万バレル/日)を策定しました。この計画は、6月17日に米エネルギー省DOEがMacondo坑井からの 推定流出量を3万5,000~6万バレル/日と発表したことへの対応でした。 「油処理剤の水中散布および油吸い上げ作業の増強・安定」 故対策 ⑤ 事(出所: 各種資料を基にJOGMEC石油企画調査部作成) 付図6 油吸い上げ作業の増強・安定 16/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 「シーリングキャップのセット」 事故対策 ⑥ 7月10日よりシーリングキャップ(付図7)のセット作業に着手しました。「油吸い上げ」から「油の流出封印」作業への転換を図ったわけです。 (出所: BP資料) 7月12日、シーリングキャップのセットに成功しました(付図8)。 7月15日よりMacondo坑井のIntegrity Test実施。坑口圧6,900psi(1psi=0.07kgf/cm2=6.89kPa)にて、吸い上げは一時中断となりました。7月15日に今回の水中での油流出が止まったことに対応するかのように、石油メジャーのExxonMobil、Chevron、ConocoPhillips、Shellは、この種のメキシコ湾での油流出事故に24時間以内に対応するための共同会社MWCC(Marine Well Containment Company)を設立すると7月21日に発表しました。1社での事故対応はコストがあまりにも高くなるなかで、こうした取り組みを求める声が高まっていました。MWCCによる「緊急時油回収システム」は、今年2月に発表されました(ページ7~9に詳述)。 さて、Macondo坑井に、坑口とリリーフウェルNo.1から重い流体とセメントを流し込み、 Macondo坑井を“殺す”準備が整うも、熱帯暴風雨ボニーの影響により7月23日、作業は一時中断しました。 坑口からのキル作業は8月3日の昼より始まり、5バレル/分の低レートで、2,300バレルの1.6g/ccの流体を坑口から8時間圧入の後、同日、坑内の油を油層に押し戻すことに成功しました。坑内は圧入流体で満たされました(坑口圧=海底での水圧)。8月5日は、500バレルのセメント注入にも成功しました。8月3日に行ったトップキルの成功は、8月5日に坑内のケーシングパイプに対して実施したセメントボンドログの結果解釈より確認されました。 坑口からのキル作業の成功を受け、「海面下での事故対策」は収束に向かうとの報道が頻繁に見られるようになりました。 8月18日、シーリングキャップ、LMRPとBOPから泥水と油を抜き取る作業(フラッシング)に入りました。 Discoverer Enterpriseから掘管をシーリングキャップに接続。 セミサブリグQ4000からBOPのキル・チョークラインにフラッシング流体を注入。 フラッシング流体をDiscoverer Enterpriseに回収。 BOPのすべての弁を海中に開放するにあたって確認試験を行い、8月21日より坑内に残った管類(3,500フ付図7 シーリングキャップの編成(陸上での作動試験) 「Macondo坑井の封鎖」 故対策 ⑦ 事 17/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Bート<1,067m>の掘管を含む、付図2参照)を引き上げる「フィッシング作業」を行いました。 シーリングキャップと「損傷した暴噴防止装置BOP」の上部LMRPは、9月2日にDiscoverer Enterpriseにより取り外しに成功しました。9月3日にセミサブ型の作業船Q4000からライザーパイプを降ろし、「損傷したBOP」と接続し、Macondo坑井からの取り外しを行いました。リリーフ井No.2の掘削に用いたBOP(付図8のDDII BOP)を、同坑井を掘削したセミサブリグDDIIにより、9月4日にMacondo坑井の直上に取り付けました。 「損傷したBOP」は9月4日に洋上に引き上げられ、米国法務省の監督下で事故原因を調査しました。今年の3月になって、問題の引き上げたBOPを事故と同条件で試したら、BOPのパイプを切断する機能「シアラム」が適正に作動したと調査員が明かしました。だからといって当時BOPがちゃんと作動したことになはなりません。ただし、当時のバッテリーについての問題は不明のままです。BOPから切断されたパイプ破片も確認されたとのことです(プラッツ、2011年3月3日)。 (出所: BP資料) リリーフ井の進捗状況(付図9):DDIIIリリーフ井No.1、DDIIリリーフ井No.2。7月15日に掘削を一時中断しました。また、8月3日に行ったTop Killの成功を8月5日に確認しました。 別のセミサブリグDDIIIによって海面から1万7,909フィート(5,459m)まで掘られたリリーフ井No.1によって、Macondo坑井の息の根を完全に止める作業(ボトムキル:坑井の坑底に比重の重い泥水やセメントを注入する)の準備(残りを殺す地点までの掘削と、リリーフ井No.1-Macondo坑井の水平距離を測るRanging Run)に入りました。 付図8 シーリングキャップのセット(2010年7月12日)後の作業の様子 「Top Killの成功」 故対策 ⑧ 事 18/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (出所: BP資料) Macondo坑井からの油止め手順(付図10)。 リリーフ井が事実上最後の手段。Macondo坑井にピンポイントで到達し、同坑井内の流動を完全にストップするまでに2~3カ月を要するものの、同坑井からの流出を流出源から抑える可能性は、過去の実績からも非常に高いと言われます。坑井にピンポイントで到達するには、ターゲットに近づいてから数回のアプローチが必要です。 当初、荒天がなければ、早くて、7月27日ごろにMacondo坑井からの油止め成功かと報道されました。 しかし7月23日、熱帯暴風雨ボニーの影響により作業は一時中断し、24日より準備は再開されました。7月27日より2週間内にMacondo坑井と交わるべく、リリーフウェルの坑内をクリーンな状態にしました。9月4日時点、リリーフ井No.1の坑底は、Macondo坑井から水平に3.5フィート(1.1m)離れ、交わるポイントの50フィート(15m)上方にありました。 9月4日に新しいBOPへの交換に成功し、9月13日よりリリーフ井No.1によるボトムキル作業に入りました。掘削泥水の比重は1.65 g/ccと完全なオーバーバランス掘削としました。15日にリリーフ井No.1は、油層の800フィート(244m)上方でMacondo坑井のアニュラス(地層とケーシングパイプとの間)に掘り込み、そこに油ガスの流れのないことを確認しました。重い流体とセメントをアニュラスから坑井内に流し込み、Macondo坑井からの油止めに成功したのです。 18日に坑内のセメンチングも含め全作業が終了し、Macondo坑井からの油止め作業は無事完了したと、BP、National Incident Commanderほかの関係者が9月19日に公表しました。 付図9 リリーフ井進捗状況(2010年7月9日) 「Macondo坑井からの油止め作業の完了」 故対策 ⑨ 事 (出所: JOGMEC石油企画調査部資料) 付図10 Macondo坑井からの油止め手順 19/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 海中および海面への漏油が4月20日の事故発生後、7月15日まで3カ月弱続いたという点で、大変深刻な事故です(付図11)。 出油の処理 流付図11 油膜の広がり(2010年5月30日) (出所: National Oceanic and Atmospheric Administration) 5月27日、ルイジアナ州の海岸線160kmにわたって、油膜の漂着が確認されました。9月3日までに油膜回収に6,500隻以上の作業船が動員され、109万1,000バレルが回収されました(82万6,000バレルをすくい、26万5,000バレルが燃焼)。海面上の油を燃やした回数は411回に上りました。油膜中の油分は約3%とされます。 流出した油膜は、潮流・海流・風によって広がり、メキシコ湾の暖流に乗って、フロリダ海峡、更にはキューバにも達する可能性が懸念されたが、現実にはそこまで至りませんでした。 坑井から漏洩した流量は、最大で1989年アラスカ沖で座礁したExxonMobil社のオイルタンカーValdez号からの流出量25万7,000バレルの8倍程度とも言われました(6月11日までの流出量は210万バレル、米国地質調査所USGS)。 8月4日、米政府の科学者チームは累計流出量を493万バレルと推定しました。シーリングキャップによりBOPを介した海中への油流出が止まった7月15日までの洋上への油吸い上げ量は、80万バレル強なので、この推定が正しいとすれば410万バレルの油が海に流出した計算になります。 海岸での漂着回収や海面ですくったり(100万バレル)、焼却されたり(26万5,000バレル)、また、海中での中和剤の噴霧による油分の分散量(41万バレル)をすべて合計しても、410万バレルには至りません。 この要因としては、流出した油のガス油比が2,200立方フィート/バレルと非常に高い揮発性の油のため、流出量の大半が暖かい海水や大気にも影響されて蒸発したと考えられています(240万バレル程度?)。 7月15日に海中への原油流出は止まり、7月21日以降は油状の液体(エマルジョン)は回収されていません。海面で油を燃やす作業は7月20日を最後に終了しました。その後も、海面の油膜の存在については監視を続け、作業船4,000隻、飛行機十数機を動員し、「海中に残る油を確認・除去する」作業を行いました。 BPの損害賠償は油膜汚染除去費用だけで100億ドル、環境保護団体からの損害賠償も加えると300億ドル超との見方が、6月ごろより報道されるようになりました。6月23日、BPは損害賠償の窓口として、Gulf Coast Restoration Organizationを設立しました。 BPの株式時価総額は、事故発生後6月半ばまでに4兆円減(同社自己資本10兆円の40%)となりました。BPの2009年の純利益1兆2,500億円も水泡に帰すかもしれないとの報道が出てきたのです。BP自身についても、損害賠償額次第では上流戦略の見直しが必要になろうとの見方が強まりました。 20/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 出油の補償状況 流8月23日にすべての損害賠償の窓口は、BPが設立したGulf Coast Restoration Organizationからフェインバーグ(Ken Feinberg)弁護士をトップとする独立の賠償請求処理機関GCCF (Gulf Coast Claims Facility)に移管されました。8月23日以降4万2,000件の賠償請求がなされ、うち4,900件余りが処理され3,850万ドルが支払われました。GCCFへの移管以前は、BPは12万7,000件の賠償支払いを行い、その総額は3億9,900万ドルとなりました。9月29日に全対策費用(流出原油の除去・吸い上げ、事故補償、リリーフ坑井の掘削)は112億ドルに達したとBPは発表しました。 したがって、現在では「海面下での事故対策」よりも、環境に悪影響を及ぼす流出油量の算定やそれに基づく損害賠償額の算定に、報道の関心が移っています。 2) 事故の発生原因に係る技術的考察 海底油田における事故処理の難しさ 大水深における掘削作業の信頼性確保には、宇宙開発と同じ程の高度な技術力が必要とも言われます。両者の共通点は、地表環境と比べ厳しい環境下にあること、修理や回収のためのアクセスが簡単にできないこと(ダイバーの潜水限界は水深400m)が挙げられます。両者とも信頼性を維持し、良好に作動することが必要です。今回の事故処理の難しさの特徴は、次の3点と考えています。 海底は、機器の修理や回収のためのアクセスが簡単にできない。 ( 油膜の広がりが海気象に左右され、事故対策に多くの作業が必要。 油膜は油と海水が乳液状に混じり(エマルジョン)、正確な油分の計測は難しい。 削作業上の問題点 掘[掘削の再開(リエントリー)] 2010年2月28日の掘削再開後、BPは暴発事故の6週間前にあたる3月10日に当該坑井は制御困難(掘管の坑内での抑留)なため、掘管を切断しセメントプラグで坑内をふさぎ、バイパスして掘削を続けるとの計画を、米国の旧鉱物資源管理局MMSに報告しています。 この坑井の掘削作業は当初51日の予定が、掘削の再開を枝掘り(サイドトラック)により始めて、6週間も更に延びており、BPは掘削作業の終了、掘削リグの移動を急いだ可能性が指摘されています。 BOP] 週1回行われる点検ではBOPの異常は見つかっていないが、2月28日に掘削を再開した際に、BOPを閉 [じた状態で掘管を下げてしまいBOPの一部(アニュラーBOP)を損傷させた事故がありました。 ガスの暴発によりBOPが機械的な損傷を受け、完全に作動しなかった可能性も指摘されました。 爆発後に掘削リグは停電し、緊急時の切り離しシステムが作動したものの、BOPは何らかの原因(バッテリーの容量不足、駆動流体系のリーク、パイプを切断するシアラムの力不足)で作動せず、ライザーパイプ下部をBOPから切り離せませんでした。 セメンチング(付図12参照)] 最終的なセメンチング作業(セメントによるプラグ)終了の20時間後には、坑井内の圧力上昇が検知されていました。泥水の坑井内から坑口への循環時に、泥水中のガスが完全に抜けきれなかったことを示しています(付図12-①)。 [ 掘削用のライザーパイプとBOPを切り離す前にライザーパイプ内の泥水を海水に入れ替えました(付図12-②)。この海水への入れ替え前に、ライザーパイプへのガスの上昇を抑えるべく、坑口をセメントプラグする作業(三つ目のセメントプラグ)は行われませんでした(付図12-③)。結果論だが、セメントプラグ下に残す泥水コラムは長いほど油層の圧力を抑えるのに有効となります。 坑口を封鎖するために閉じていたBOPを開けたところ、坑井内からガスが油とともに噴出しライザーパイプを伝わって掘削リグまで達しました(付図12-④)。 21/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ネ上 (出所: 各種資料より報告者作成) 付図12 暴噴直前のMacondo坑井内の流動イメージ(2010年4月20日) ケーシング(付図12参照)] 坑井の下方にセットされた9-7/8インチのケーシングパイプのセメンチング後の確認テストは実施されず。油 [やガスがケーシングの外側(アニュラス)を伝って上昇し膨張した可能性があります(付図12-⑤)。 最終のセメントプラグ前に海水を坑内に侵入させました。海水は泥水に比べ比重が軽いため、坑底圧は約40%も減少。坑内での比重が下がり、坑底圧が地層圧よりも下がり、地層流体が坑内に流れ込みやすいのです(付図12-②)。また、ケーシングのシール部から坑内への流体流入の可能性も否定できません(付図12-⑥)。 上の問題点を整理すると、事故原因としては次の三つの組み合わせが有力と考えます。 1) セメントプラグによる坑井内と油層との流動分離が、坑口あるいは坑底で不十分(坑井内の圧力テストが 以不十分) 2) ケーシングパイプあるいは坑口の損傷 3) BOPとライザーパイプ下部の緊急時切り離しシステムの不作動 22/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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2011/03/16 伊原 賢
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