ページ番号1004101 更新日 平成30年2月16日

ロシア:動き出したコビクタ・ガス開発と露中の天然ガス関係への影響

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レポートID 1004101
作成日 2011-03-24 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2010
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2011/3/14 石油企画調査部:本村真澄 公開可 ロシア:動き出したコビクタ・ガス開発と露中の天然ガス関係への影響 ・コビクタ・ガス田を保有するRUSIA Petroleumは、ガス需要がイルク―ツク州のみでは過小であり、ライセンスに記された年間90億m3の供給を果たせず、2007年には地下資源利用庁からライセンス剥奪の警告を受け$7-9億と言う価格でGazpromに権益を移譲することとしていたが、交渉が膠着状態に。 ・2010年6月4日、TNK-BPは、自らが62.89%を持つRUSIA Petroleumがイルクーツク仲裁裁判所に破産を申請したと発表した。これはTNK-BPによる既往投資分について債権保全措置である。 ・2011年3月1日に、RUSIA Petroleumに関する非公開オークションが同裁判所で行われ、RosneftegazとGazpromが参加し、Gazpromが$7.72億で取得した。 ・入札直前には、政府系のRosneftegazが取得し、Novatekに移管されるという見方が主流であったが、直前にGazpromが取得へ向け方針転換してこれを取得したと言われている。しかし、1年前は政府はGazpromとともにKovyktaガス田取得の意思はないと繰り返し発言しており、背景は複雑である。 ・この背景には、CNPCとの天然ガス販売協議で大詰めを迎えているGazpromが、立場の強化(例えば長期供給契約のための資源量確保など)を図った可能性が考えられる。 ・今回のディールで最も利益を得たのは、既往投資分の$6.75億を完全に回収することに成功したTNK-BPである。オークションが非公開であったことも含め、同社の政治力を窺わせる状況である。 .RUSIA Petroleum競売の経緯 イルクーツク州にあるKovyktaガス田について、3月1日に同ガス田のライセンスを保有するRUSIA Petroleumに関する非公開オークションがIrkutsk市で実施され、Gazpromが開始価格Rb150.83億を5割も上回るRb223億($7.72億)で落札した。オークションの対象は、土地、物 1探データ、坑井、設備、インフラでガス田の生産ライセンス自体は対象ではないが、落札者のGazpromが先買権を持つと言われている。同ガス田の可採埋蔵量は2.13兆m3(71兆cf)で、東シベリアで最大、RUSIA Petroleumがライセンスを取得してからの既往投資額は$6.75億である1。 RUSIA Petroleumの主要株主はTNK-BP(62.89%)、第3卸売電力「OGK-3」(24.99%)、 Irkutsk州行政府(10.78%)の3者であるが、Gazpromの支払う$7.72億はすべてTNK-BPに行 1 PON, 2011/3/02、日経、3/02 ? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ュことになっており、他の2者は特段の出資はしていないものと思われる。即ち、これまでのガス田の開発費はTNK-BPが負担(carry)していたものと推測される。 .RUSIA Petroleumのに関する過去1年の経緯 Gazpromは2007年にKovyktaガス田に関してTNK-BPに対して6~9億ドルの買収価格を提示したものの、合意に至らず、その後の交渉が停止し、Gazprom自体もKovyktaガス田の取得意欲を見せなくなっていた。ここでは過去1年の動きを追ってみる。 (1)2010年3月の天然資源・環境省によるライセンス審査までの経緯 22010年2月1日のダボス会議で、TNK-BPのオーナーであるViktor Vekselberg取締役は新規事業に関する説明をひと通り行った後、「Kovyktaガス田に関しては大きな驚きが待っているだろう」と意味ありげな発言をして憶測を呼んだ2。次いで2月4日、同社のJonathan Muir CFOがKovyktaの売却についてGazprom及びRosneftegazと交渉中である旨、明らかにした3。 ところが同じ日、Trutnev天然資源相から自然利用分野監督局(Rosprirodnadzor)に対してKovyktaガス田のライセンス順守状況に関して査察するよう指示が出された4。1同月5日には、2006年、2008年の時と同様にライセンス上の義務としてイルクーツク州に供給すべき年間90億m3の生産量から遥かに不足していることが改めて指摘され、連邦地下資源利用庁(Rosnedra)に対してライセンスの取り消しが勧告されたが5、18日に開催されたRosnedraの委員会では本件は検討されなかったという6。自然利用分野監督局の動きは、同ガス田の売却を促進させる動きと思われたが、背後で別の力が働いた可能性がある。 (2) TNK-BPの模索段階(2010年5月まで) 2010年3月の段階で、TNK-BPのVekselbergは、年内にTNK-BPがKovyktaガス田の権益をRosneftegazに$7-9億で売却する可能性があると語っていた。一方、その後複数のメディアがTNK-BPがGunvorの共同所有者Gennady Timchenkoとも交渉を行っていると報じていたが、取締役会会長Mikhail Friedmanはこれを否定した。 5月の段階で、天然資源・環境相Yury TrutnevがTNK-BPに対してKovyktaガス田のGazprom 2 Interfax, 2010/2/01 3 MT, 2010/2/05 4 Interfax, 2010/2/05 5 Interfax, 2010/2/15、17 6 Prime-Tass, 2010/2/18 ? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ニの共同開発を提案していたが、Vekselbergはこれを受けず、同社が既に当該資産をGazpromに売却することを決定しているとTV番組「Russia Today」に語っている。また同氏は、TNK-BPの目的は既往投資分を回収することであり、かつてGazpromとしていた交渉は株主間の利害相反と金融危機により暗礁に乗り上げていたと述べた7。 (3) TNK-BPの主導によるRUSIA Petroleumの破産申請 TNK-BPが、Kovyktaガス田のライセンシーであるRUSIA Petroleumがイルクーツク仲裁裁判所に破産を自己申請したと発表した。会社は$6.64億の既往投資があり、TNK-BPは$2.64億(81億Rb)を3月3日までに貸し込んでいた(事業費の4割)が、RUSIAが返済不能になったもの8。RUSIA Petroleumの財務状況が、開発のために借り入れた資金の返済が困難な段階になったとの判断によるもので、TNK-BPは5月14日に貸付金の一部の早期返済を求めていた。TNK-BPのFriedman会長は、この破産申請によって政府によるRUSIA PetroleumTNK-BPがこれまでに行った投資への補償が得られることを期待すると、その目的を述べた9。 産獲得が加速し、資一方、後述するが、政府の発言はこのTNK-BPの意向を牽制するためと思われる。ライセンス保有者であるRUSIA Petroleumの倒産を受けて、Kovyktaガス田のライセンスは国に返還されることになるとTrutnev天然資源・環境相が語っている。ライセンスは同社に利用権を与えるもので、資産ではないため、破産手続き中に当該ライセンスを売却することは考えられず、当該ライセンスは単に取り消しとされるだろうと述べた10。2010年6月21日、イルクーツク州仲裁裁判所は、9月21日までの観察手続きをRUSIA Petroleumに適用した11。 2010年12月24日に、RUSIA Petroleumのオークションを2011年2月15日に行い、開始価格をRb151億、デポジットを20%、申し込み締め切りを2月10日と決定され12、その後オークションの日付けが3月1日まで、申し込み締め切りが2月24日まで延期された。 2011年3月1日、前述のオークションが行われ、Rosneftegazの子会社VostokgazinvestとGazpromが参加し、GazpromがRb223億で落札した。 7 Interfax, 2010/5/04 8 IOD, PON, 2010/6/04 9 Interfax, 2010/6/11 10 Interfax, 2010/6/18 11 Interfax. RTRS, 201/6/21 12 Interfax, 2010/12/24 ? 3 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 R.今回のディールの疑問点 今回のディールに関しては、専門家の間でいくつかの疑問点が挙げられている13。 第1の問題点は、これまでGazpromが繰り返し、短期的には勿論のこと、中期的に見てもKovyktaガス田は関心の対象でないと繰り返し述べて来たが、今回一転して取得に動いたという点である。この為、大方の見方は、Rosneftegazの子会社であるVostkgasinvestが落札し、Novatekに譲渡するものと見られていた14。Gazpromが一転してKovykta取得に動いた背景が不透明なことである。 第2の問題点は、CNPCとの協議で北東側から中国に輸出するガスとしては、Chayandaを前提として来ており、Kovyktaガス田は恐らくその次のガス田と見られていたのが、開発対象に浮上した可能性がある点である。 第3の問題点は、4年前に比べ、今回GazpromがほぼTNK-BPの言い値を呑んだことである。 (1)Gazpromの政策変更か? 最大の謎は、Kovyktaガス田を買い取るという結末が、一体ガスプロムにとって勝利なのかという点であろう。今回、下馬評に反して敗者となったのはRosneftegazであり、恐らくその潜在的譲渡先となったであろうNovatekであり、同社のオーナーの一人であるGennady Timchenkoが私淑するプーチン首相そしてセーチン・エネルギー担当副首相、一方勝者はGazpromに連なる人脈で、メドヴェージェフ大統領も含まれるということになる。はたして、このような図式は正しいのであろうか? 当初から名前の出ていたRosneftgazは、図1に見るとおり2005年9月に、Gazpromの株式10.74%と、当時のRosneft株100%を傘下に収める政府系持ち株会社として2005年9月に設立された。その1年前の2004年9月14日に、当時のフラトコフ首相がプーチン大統領(当時)の了承を得て、株式交換を通じてのGazpromとRosneftの合併を画策した。RosnneftのBogdanchikov社長とフリステンコ産業エネルギー相は猛反発して、その年の12 月に競売に掛った ukosの主要子会社であるYuganskneftgazをBaikal Finace Groupというダミー会社を通じて落札し、規模を拡大することで対抗した。翌年1月には北京に飛んでCNPCから60億ドルの原油前払い代金を受けて買収資金に充てた。その後9月に、Rosneftgazが、前述のようにGazpromの株式10.74%と、当時のRosneft株100%を傘下に収める政府系持ち株会社として設立された。Rosneftの株式はIPOによって一部公開され、現在Rosneftgazの保有分は75.15%である。本来は持ち株会社で役員のみであったが、最近は事業スタッフY 13 WGI, 2011/3/02、IOD, 3/03 14 Kommersant, 2011/2/24、3/02 ? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 揩ツようになったという15。 前述のように、早い段階でRosneftgazによるKovyktaガス田取得の噂が出る一方で、ロシア政府関係者は、Rosneftegazが落札する見込みはないと発言していた。Sechin副首相は昨年の6月11日、破産したRUSIA Petroleumを自らが会長を務めるRosneftegazが買い取ることはないと断言し16、同月18日、サンクトペテルブルグ経済フォーラムの席上で、Trutnev天然資源環境相はKovyktaガス田のライセンスは利用権であって資産ではないため破産手続きに含まれることはなく、単に取り消されるだろうと述べている17。あたかもNOVATEKが落札の役割を負わされ、新たな支出をすることのないよう予防線を張っていたかのようである。同年9月16日には、NOVATEKのCEO Mark JetwayもRUSIA Petroleumのオークションに参加する意思のないことを明言していた18。 GazpromとRosneftの動きGazpromRosneft50%弱一般株39%政府株10.7%100%政府株政府株50%超株式交換による合併1月9月50%弱一般株39%政府株10.7%合併断念政府75億ドルで買付けRosneftegaz130.91億ドルで75%超の株式取得株式自由化IPOYukosYugansk-neftegaz12月19日93.5億ドルで落札バイカルファイナンスグループ12月23日買収CNPCから60億ドル先払いCNPCへ2010年までに原油3.55億バレルを提供ABN Amro, DrKW, JP Morgan, Morgan Stanleyからの75億ドル融資でガスプロム株10.7%買付け政府保有企業(ホールディングカンパニー)Rosneftegazを設立Gazprom10.7%とRosneft100%を傘下に 2004年9月14日12月2005年5月17日Sibneft9月Slavneftの50%2006年1月7月図1 GazpromとRosneftの関係(JOGMEC作成) 15 モスクワ在住のコンサルタントからの情報(2011年2月23日聴取) 16 Interfax, 2011/6/11 17 Interfax, 2011/6/18 18 Interfax, 2010/9/16 ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Gazpromの落札は驚きをもって受け止められ、例えばKommersant紙は、TNK-BPとRosneftegaz は本ディールに関して2010年には合意に達しており、競売の「数日前」にKovyktaをGazpromに渡すことが決定されたもの(主語は不明)と推測している19。しかし、過去の要人発言を仔細に読めば、前述の通り、2010年の2,3月にはKommersant紙の言う通りRosneftegazと合意していたものが、5月には覆ったと見るべきと思われる。この頃は、対中交渉も進展しておらず裏面がなかなか探れない。Rosneftegazは競売の結果には完全に満足しており意義を申し立てる積りはないとしている19。 (2)対中供給ガス田としてのKovyktaガス田 GazpromはKovyktaガス田を取得しても、明確な市場が存在しないことから少なくとも2018年まで開発着手はない、というのが専門家の見方である20。Gazpromは「東方ガスプログラム」(図2参照)策定時点では、Kovyktaガス田の開発をヘリウムの国際価格の上昇する2017年としていた。GazpromからKovyktaガス田の開発計画が新たに示された形跡はない。 図2 「東方ガスプログラム」2008年版の概念図。Kovyktaガス田は西方の統一ガス供給システム(UGSS)のKemerovo州のProskokovoに向かうように描かれている。 19 Kommersant, 2011/3/02 20 Alex Brideau, Russia: Gazprom gets control of Kovykta, but likely will wait to use it, Eurasia Group Note, 2011/3/02 ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 何故、この時期にという疑問が湧く。現在、Gazpromは中国のCNPCとの天然ガス供給契約交渉で、2011年6月末での妥結を目指して大詰めを迎えている。ここでは天然ガスの価格決定方式での合意を目指して、2月下旬からサンクトペテルブルグで最終交渉に入っているという。2月26日に、北大のスラブ研究センターで講演予定のCNPCのガス担当職員は、急遽交渉に駆り出され、来日をキャンセルした。事態がかなり切迫していることを伺わせる。 中国とのガス交渉の材料として、急遽コビクタ・ガス田が追加された可能性は考えらえる。 現在、Gazprom側が提案しているアルタイルートの天然ガスパイプラインは、供給ソースが西シベリアのKharampurガス田であるとされる。より、北の主力ガス田地帯であるNadym-Pur-Taz地域からではない。ロシア領内を通過するパイプラインだけで2,700kmある。しかも、このガス田のライセンス保持者はGazpromでなくRosneftである。Gazpromは、Rosneftにガス田開発を依頼し、ガスを買い取り、且つ中国に対しては供給コミットをする必要がある。これは、コスト高と安定供給の2面において、ガスプロムとの交渉においてGazpromの立場を弱くするものである。 CNPCとの交渉においてKovyktaガス田を供給ソースとした場合には、確認埋蔵量は2兆m3(71兆cf)と、供給において十分な規模があり、パイプラインは約1,600kmとより近い。交渉材料として、GazpromにとってKovyktaガス田は有利に働くものと思われる。天然ガス価格の交渉において、若干の譲歩を提案する際の取引材料となる可能性も考えられる。 前述のKommersant紙が言うように、Gazpromがオークションのほんの「数日前」に方針転換をしたかどうかは確認のしようがないが、交渉がかかる状況に来ているとしたら、ロシア側のカードとしてKovyktaガス田は有効なものと思われる。 3月17日、Sergei Shmatkoエネルギー相は、Kovyktaガス田は中国向けガス供給の主要供給源と位置付けられるとし、GazpromがKovyktaガス田を取得したことを称賛した上で、同田の開発は政府の利益にも繋がることについて確信していると述べた21。これは、ロシアの政府要人が、Kovyktaガス田に関して、中国向け輸出ソースに充てることを初めて明言したものであり、上述の筆者の推測を裏付けるものである。但し、Altaiパイプラインの入る中国の新疆ウイグル自治区には既にトルクメニスタンからのパイプラインが来ており、Altaiパイプライン対応の新規の天然ガスパイプラインの計画は、中国側では依然として浮上して来ていない。2006年4月に、トルクメニスタンからの天然ガスパイプラインで中国が合意した際には、7月に中国側の所謂「第2西気東輸」パイプラインが中国側から発表されている。 21 Interfax , 2011/3/17 ? 7 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i3)RUSIA Petroleumの買い取り価格-ガスプロムは勝者か敗者か? 最後の大きな疑問は、その買い取り価格が、Rb223億ということで、何故、開始価格Rb151億の5割増しの価格を付けたのかという点である。オークションにおける競争者であるRosneftgazは、開始価格を僅かに上回るRb159億まで張った後で競りから降りており、明らかに意欲が感じられない。オークションを成立させるために駆り出された印象である。Gazpromとしても、この価格を僅かに上回れば十分だった筈である。TNK-BPが既往投資を回収するために、Gazpromが無理やり高く買わされたという図式である。このようなことが例えば、一部の政府関係者の指示で起こったのだろうか?THN-BPが取引の材料として何かを提示して、Gazpromがそれを受けたのか。極めて謎の多い事態である。 但し、報道ではオークションと記されているが、裁判所で行われるオークションが通常の競売であるのか、何らかの方法で相手の価格が分からない措置が取られる方式なのかは、既述がなく不明である。それでも、最終価格はTNK-BPの希望する水準になっており、この極めて不自然な取引の勝者は投資資金の回収に成功したTNK-BPである、ということに変わりはない。 (了) ? 8 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2011/03/24 本村 真澄
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