ページ番号1004105 更新日 平成30年3月5日

ワールドLNG: アジア市場を念頭に、中期的な注目点

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レポートID 1004105
作成日 2011-03-25 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
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媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 天然ガス・LNG
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著者直接入力 坂本 茂樹
年度 2010
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抽出データ 更新日:2011/03/22 石油企画調査部:坂本茂樹 (Platts, Energy Intelligence, Gas Strategies, コンサルタント資料) 2010年のLNG取引量は前年比22%の大幅増加になった。LNG需要を牽引したのは、東アジアの経済回復に伴うガス需要増加と、欧州の新規LNG受入事業の輸入増加であった(英国・イタリア、カタールから輸入)。カタールは2010年末に液化能力7,700万トン体制を完成させ、抜きんでるLNG供給力を持つ輸出国の地位を固めた。 これからのLNG需給の前提となるLNG需要は、新興経済圏での需要増加を要因にアジアLNG市場の拡大が大きいとの見方が有力である。アジア市場向けLNG供給の主力は豪州とカタールである。共に大きなLNG供給力を持つが、製造コストの安いカタールは強い価格競争力を持つ。しかしカタールLNGの外資パートナーは豪州の主要LNG事業者でもあるため、双方が価格競争を行うことは考え難い。カタールはアジア市場向けの短期・スポット供給量を増やすものの、石油パリティ価格に準じる長期契約条件を堅持する姿勢に大きな変化は無く、基本的なマーケティング戦略を維持すると考えられる。 北米で活発化したLNG輸出に関しては、メキシコ湾岸事業(米国)は大西洋圏の短期・スポットLNG供給力拡大に止まると見られる。しかし自国市場の小さいカナダ西岸Kitimat LNGは東アジア向け長期契約に基づくLNG供給も考えられる。 ワールドLNG: アジア市場を念頭に、中期的な注目点 . 2010年のLNG国際取引: 東アジアと欧州でLNG需要回復 2010年のLNG国際取引は、前年比約22%の大幅増加になった。世界のLNG取引量の四半期別前年同期比推移を見ると、2008年第2四半期から5期連続で前年同期比マイナスであった後、2009年第3四半期にプラスに転じた。2010年第1~第3四半期は、東アジアを中心にした経済回復に支えられて前年比25%程度と大幅な伸び率で推移した。2010年第4四半期は。2009年第4四半期が既に前年比+18%の増加であったが、更に+15%の大幅な伸び率となった。 1? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 NG輸入量対前年伸率(%、四半期)推移30%25%20%15%10%5%0%-5%-10%図1 四半期別LNG国際取引量の前年同期比推移 出所:Gas Strategies 2010年の全体の変化を地域別で見ると、LNG需要面(輸入量)ではアジアと欧州の増加量が著しく、それぞれ1,900万トン(前年比+17%)、1,300万トン(前年比+26%)の増加であった。LNG供給面(輸出量)ではカタールを核とする中東地域が2,500万トン(前年比+48%)と大きく供給量を増やした。カタールでは大規模プロジェクトの780万トン液化設備が順次供給を開始し、他輸出国を大きく引き離す圧倒的な供給力を持つにいたった。 世界LNG輸入量推移中南米北米欧州中東アジア3500300025002000150010005000億m3200520062007200820092010 図2 世界のLNG輸入量推移 出所:BP統計、LNG Strategies ? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 500300025002000150010005000億m3世界LNG輸出量推移大西洋中東アジア太平洋200520062007200820092010図5 世界のLNG輸出量推移 出所:BP統計、LNG Strategies 2010年世界のLNG輸出(総量22,095万トン)エジプト3%アルジェリアナイジェリア6%8%ノルウェー赤道ギニア2%2%リビアインドネシア0%11%マレーシア10%トリニダード7%アブダビ3%イエメン2%オマーン4% アラスカ0%ペルー1%カタール26%豪州9%ブルネイ3%ロシア4% ? 3 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 D これからのLNG需要をどう見るか LNG需給では、需要の見方がポイントになる。2010年11月~2011年2月に国際機関、大手石油企 2業による長期エネルギー見通しが相次いだ。ニュアンスの違いはあるものの、多くが化石燃料の中ではガスの増加率が最も高いと想定している。地域別のガス需要では、成熟経済で低い需要増加率、発展途上経済、特にアジアの発展途上大消費国の大きなガス需要増加を想定している。事例として、IEA「新政策シナリオ」天然ガス需要想定を表1に記す。 図6 2010年、国別LNG輸出数量および前年との比較 出所:Gas Strategies 万トン/年LNG輸出推移比較(2010年/2009年)201020096,0005,0004,0003,0002,0001,0000? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 \1 IEA「新政策シナリオ」による地域別天然ガス需要想定 出所:IEA, World Energy Outlook 2010, 2010年11月 OECD 非OECD 内、中国 インド 掲示した「新政策シナリオ」(3ケース中の中間ケース)は、2008~2035年の全世界ガス需要年平均伸率を次の通りに想定している: グループ(国) 2008~2035年のガス需要年平均伸率 北米、欧州、ロシアなど主要なガス市場へは主にパイプライン輸送が行われ、LNG輸送は日本・韓国など東アジア市場向けが高い比率を占める。2009年の国際ガス取引に占めるLNG比率は28%であった(BP統計)。将来のLNG主要消費地は、ガス自給率の低い東アジア市場、次いで欧州市場向けが中0.5% 2.0% 5.9% 5.4% ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Sになると考えられる。中でも、先述した潜在ガス需要増加の大きいアジア市場のLNG需要増加が見込まれる。事例として、Poten & Partners社想定を記す。 図7 世界のLNG需要推移(単位5,000万トン/年) 出所:Poten & Partners, 2011年2月 図8 アジアのLNG需要推移(単位2,000万トン/年) 出所:Poten & Partners, 2011年2月 ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 アジア市場の中では、日本・韓国など成熟経済圏のLNG需要増加は小さく、需要増加を牽引するのは発展途上経済、特に中国である。中国市場へのガス供給は、長期的には国内非在来型ガスの貢献が期待されるが、少なくとも2020年頃までの需要増加はLNGを含む輸入量増加で対応すると考えられる。 . LNG供給力の見通し (1) 東アジア市場向けのLNG供給 東南アジア(インドネシア、マレーシア、ブルネイ)のLNG産業はもともと日本など東アジア市場向け輸出を目的に計画され、1990年代まで世界のLNG輸出の半ば以上を占めてきた。しかし3国の供給量は1990年代から現在までほとんど変化が無いため、世界のLNG取引が拡大する中で全体に占める供給比率を年々縮小させている。2010年は24%まで縮小した。代わって供給力を伸ばしてきたのはカタール、豪州、そしてナイジェリアなどアフリカ輸出国である。 東アジア市場へのLNG輸出に関しては、群を抜く液化能力(7,700万トン/年)を完成させたカタールと、新規LNG案件が多い豪州が大きなインパクトを持つ。次いで、サハリンなど近隣の新興LNG輸出国の貢献拡が考えられる。 33500300025002000150010005000億m3世界のLNG輸出推移199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010図9 世界のLNG輸出量推移 出所:BP統計、LNG Strategies ? 7 ? アラスカ他ノルウェートリニダードトバゴ赤道ギニアナイジェリアリビアエジプトアルジェリアイエメンオマーンアブダビカタールサハリン豪州ブルネイマレーシアインドネシア Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 「界のLNG輸出に占める東南アジア比率低下70%60%50%40%30%20%10%0%199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010 図10 世界のLNG輸出に占める東南アジア比率推移 出所:BP統計、LNG Strategies 2) カタール、豪州のLNG供給力推移 今後の東アジア市場向けLNG供給で重要な役割を果たすカタール、豪州の液化能力推移を図11に記す。 (14000120001000080006000400020000万トン/年カタール・豪州液化能力推移推定2007200920112013201520172019202120232025カタール豪州 図11 カタール・豪州の液化能力推移 カタールは2010年末に液化能力7,700万トン体制を完成させた。続くマレーシア・インドネシア(2,500~3,000万トン)と比べて2倍以上の圧倒的なLNG供給力を持つに至った。カタールに新たな 出所:各種情報・報道 ? 8 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 t化設備建設計画は無いが、ボトルネック解消工事を通じて8,800万トン程度への能力拡大が可能と見られる。しかしこれにはモラトリアム解消により新たなガス田開発が必要であり、実現するにしても2020年以降になると考えられる。 豪州は多くの新規LNG案件を抱えており、これらが順調に進展すれば2014年以降順次液化能力が拡張し、2010年代後半以降にカタールの液化能力を凌駕すると見られる。ほとんどの豪州新規案件が東アジア向け供給を前提としており、将来の対アジア市場向け影響度が最も大きい。 3) カタール、豪州のLNG供給コストの違い カタール、豪州は将来の2大LNG供給国になると見られる。しかし豪州の新規LNG案件は様々な要因から高コスト体質にあり、低コストのカタールLNG事業とは大きな差異がある。 ① 両国のLNGプロジェクト構造 カタールの大型LNGプロジェクトは、上流(ガス田開発・生産)から液化、販売まで一貫して事業を行うする4プロジェクトから成り(QatargasⅡ, Qatargas-3, Qatargas-4、Ras Laffan-3)、合計で6トレインを操業する。プロジェクトによって出資比率が異なるが、基本構造は国営カタール石油が約70%、外国企業30%から成る共同事業である。大型プロジェクトの主要な外資企業は、Shell、ExxonMobil、ConocoPhillipsである。カタールの液化設備はすべてRas Laffan産業地区に集中的に立地し、効率的に運営される。貯蔵設備・出荷設備等を全プロジェクトが共有するコスト・メリットも大きい。 ( 出所:各種情報・報道 トレイン名 液化能力Qatargas 万トン/年生産開始Train 4 Train 57807802009年4月2009年4月Train 6 7802010年9月Train 7 7802010年12月RasGasTrain 6 Train 7 7807802009年10月2010年2月 権益67.5%24.2%8.4%68.5%30.0%1.5%70.0%30.0%70.0%30.0%? 9 ? 2 カタールの大型LNGプロジェクト パートナープリジェクト名 成立年 表Qatargas II2002カタール石油ExxonMobilTotalQatargas 32003カタール石油ConocoPhillips三井物産Qatargas 42005カタール石油Shellカタール石油ExxonMobilRas Laffan 32003 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 齦禔A豪州のLNGプロジェクトは、それぞれ個々の民間企業・コンソーシアムによる事業である。 ② 液化部門コスト 液化設備建設コストは2000年代前半まで安定していたが、2000年代半ば以降世界的な資機材高騰に伴って大幅に増加した。石油ガス分野の中で、上流(油ガス田開発)、輸送(タンカー建造)と比べて、液化設備建設コスト上昇額が最も大きかった。2008年のリーマン・ショックに続く世界不況で資機材等コストは値下がりに転じたが、液化設備建設コストは値下がり幅が最も小さい。 1998199920002001200220032004200520062007200820092010 図12 液化設備建設コスト推移 出所:各種情報・報道 カタールの大型液化プロジェクト成立時期は2002~05年であり、いずれも安価な液化設備建設コストを享受する事ができた。 豪州の新規LNG案件は、2007年にWoodsideがPluto第1トレイン最終投資決定(FID)を行った後、2010年にGorgon(Chevron)、QCLNG(BGグループ)、2011年1月にGLNG(Santos)のFIDが続いた。2011~12年にかけて、更に多くのLNG案件のFIDが予定されている。こうした豪州の新規案件には、2000年代後半にかけて大きく上昇した液化設備建設コストが適用される。カタールの大型LNG案件との液化設備コスト差は数倍になると見られる。 カタールLNGプロジェクト向けフィードガスは、液化設備のあるRas Laffan産業地区の北東に位置? 10 ? 上流(ガス田開発)コスト ③液化設備建設コスト推移$/トン120010008006004002000Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 キる水深50mの大ガス田North Fieldから40~60km程度のパイプラインを経由して集中的に供給される。同ガス田収益は、併せて生産される液分(コンデンセート、2010年生産=150万b/d)の高収益の恩恵を受けて高いコスト競争力を持つ。 豪州の新規LNGは、西豪州沖合ガス田案件と東部クイーンズランド州CBM(炭層メタンガス)案件から成る。西豪州沖合はガス資源が豊富であるが、新たな発見ガス田の多くは水深1,000m程度の深海に位置しており、ガス開発コストが高い。LNG向けCBM生産は、まだ実績がないために定かではないが、既存の西豪州沖合ガス田と同程度のコストと推定される。豪州では出資者の異なる数多いLNG案件のガス田開発は個別に行われて、それぞれの輸送等設備も個々に建設され、事業間協力はほとんど見られない。カタールのような規模のメリットはない。 上流部門(ガス田開発・生産)でもカタールと豪州LNG案件のコスト差は大きい。 カタール大型LNGの液化設備建設は2008-09年を作業のピークとして既に終了した。中東産油国では南アジアの豊富な労働力が安定的に雇用されており、カタール液化設備建設にあたっても労働力不足・労働コスト上昇は無かった。 一方、豪州は、エンジニアを含む外国人労働者流入を厳しく規制しているため、鉱業、建設業はもともと労働者不足気味である。特に新規LNG液化設備建設が重なる2012年以降の労働力不足の慢性化が多方面から懸念されている。数多い液化案件の建設作業ピークは2013~2019年頃と想定され、過去に例の無い長期に渡る可能性が高い。その間は複数プロジェクトによるガス田開発・液化設備建設が並行して実施され、資機材・労働力の不足感からコスト上昇圧力・作業遅延が懸念される。 総じて、豪州の新規LNG案件コストは、カタール大型LNGプロジェクトの数倍に達すると見られる。豪州の新規LNG案件の中で、先行する案件はアジア買主との長期契約に合意して最終投資を決定している。しかしまだ投資決定に至っていない案件も多い。豪州案件はそのコスト高からアジア市場向け長期契約でないとプロジェクトが成立し難いと言われる。 4) カタールのLNGマーケティング戦略に変化はあるか カタールのLNG供給力は2010~11年に大きく増加する。記述の大型プロジェクトは英米市場向け輸出を念頭に計画されたが、北米の非在来型ガス好調から同市場向けLNG輸出数量下方修正によって、 (? 11 ? その他の事業環境 ④Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }ーケティング政策変更を余議なくされた。カタール大型プロジェクトは代わってアジア市場向け長期契約に焦点を移し、2008-10年に中国向け複数の契約に合意した。大型プロジェクトは既に2009年半ばから順次生産が開始され、欧州のみならずアジア向けの短期、スポット取引を増やしている。カタールは東アジアで、韓国向け最大LNG供給者であるが、2010年には台湾向けでも最大供給者になった。アジア向けLNGに柔軟性を持たせるために、タンカー体制を組み替える動きもある。 しかし、カタールの基本的なマーケティング戦略に変化は無いと見られる。LNG輸出の優先順位はアジア及び欧州向けの石油価格基準の長期契約、次いで英米、及び一部大陸欧州(ベルギー、オランダ)向けに市場価格販売である。米国をLNGのlast resortとする認識も変わらない。 カタールLNGプロジェクトは前述したとおり、世界でも最も低いコストと液分事業の高収益から、極めて強い価格競争力を持つ。しかし、既に液分事業から高収益を得る彼らはLNGの価格競争を通じて販路を拡大する必要が無い。LNGカーゴに余剰が発生しても、容量の大きい米国ガス貯蔵設備が市場価格で販売できるlast resortとして機能している。 仮にカタールがLNGの価格競争をするなら、中長期的な競合者は豪州案件である。ところが、カタール大型プロジェクトの外資パートナー(Shell、ExxonMobil、ConocoPhillips)はいずれも豪州の主要なLNG事業者でもある。 カタール大型LNG事業者 Shell ExxonMobil ConocoPhillips 参加する豪州LNG案件(*:オペレーター案件) Gorgon、Prelude *、Shell Curtis LNG * Gorgon、Scaborough Australia Pacific LNG *、Darwin LNG(既存)* 彼らにとって、大型投資を行った上記豪州LNG案件を成立させるのは必須事項であり、カタール事業で価格競争を仕掛けて豪州案件を潰す意図など毛頭ない。 LNG需給がどう推移するかも重要な要素である。需給の見方に幅はあるものの、生産者は総じてアジアLNG市場は豪州新規案件の生産が本格化する前の2013-16年頃は、供給不足でLNG需給がタイトになると見ている。従って、LNG供給者は長期契約条件に関して強い姿勢で臨んでいる。カタールは アジア市場への短期・スポット販売を増やしていくと見られるが、長期契約の販売条件で軟化する可能性は低く、基本的なマーケティング姿勢に大きな変化はないと考えられる。 ? 12 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 出所:Poten & Partners, 2011年2月 図13 アジア太平洋のLNG需給想定 4. 非在来型ガス供給の影響 (1) 北米のシェールガス開発の進展 シェールガスを中心とする北米の非在来型ガス開発の隆盛は、“game changer“と認識されている。過去5年程度の期間で、北米の将来のガス需給見通しが、大きく減少する域内生産をLNG輸入増加で補う見通しから、堅調なシェールガス等非在来型ガス供給増加で長期にわたって域内自給体制を維持できる見通しへと大きく変わった。 米国のガス市場価格(H.H.等、Henry Hub)はこの2~3年来、$4/MMBtu台で安定的な安価水準にある。欧州が域外へのガス供給依存度を強め、需要期のガス市場価格(英国NBP、National Balancing Point)が高止まりしているのと対照的である。 ? 13 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 k米においては、ガスは安価で安定的な供給が可能なエネルギーとの見解が定着しつつある。供給コストの高い再生可能エネルギー(風力、太陽光等)に比べて、より安価で現実的にCO2等温室効果ガス排出抑制効果を得られる。 2) 北米のLNG輸出可能性 北米のLNG輸入低迷によって、逆にLNG輸出議論が盛んである。メキシコ湾岸のLNG輸入事業者では、Freeport LNG、Sabine Pass LNG(Cheniere Energy)、Cameron LNG(Sempra)がLNG輸出許可を取得した。カナダでは、太平洋岸ブリティッシュ・コロンビア州Kirimat LNGがLNG輸出を検討している(Apacheがガスを供給)。 メキシコ湾岸のLNG受入基地では、以前から需給に依って、LNG再輸出が行われていた(主に欧州向け)。米国のガス市場は市場取引であり、LNG輸出入もガス需給によって大きく変化する。従ってメキシコ湾岸から東アジア向けLNG長期契約のビジネスモデルは成立し難いと考えられる。しかし、米国のLNG輸出は、トリニダード・トバゴ、エジプト、西アフリカ産LNG等とともに、短期・スポットLNG供給源となり、大西洋LNG供給力の厚みを増す。2007-08年の世界LNG需給逼迫期(東京電力柏崎刈羽原 (図14 LNGおよび市場ガス価格推移・想定 出所:Gas Strategies(2011年3月) ? 14 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ュ停止、寒波が要因)には、大西洋圏から東アジア市場への短期・スポットLNG供給量が増加した。将来、東アジア市場が大西洋圏から短期・スポットLNGを調達する際には、米国産LNGも供給源の一部を構成する位置づけになると考えられる。パナマ運河拡張後は、タンカー輸送費の優位性(パナマ運河経由は喜望峰経由比で1ドル/MMBtu有利)もメキシコ湾岸LNG事業に優位に働く。 一方、カナダKitimat LNGは東アジア市場(韓国、日本)への輸出を目的に計画されている。カナダ西部はアルバータ州にオイルサンド事業向けガス需要はあるものの、域内ガス需要規模は小さく、輸出余力がある。カナダKitimatからは東アジア向け長期契約ベースのLNGH供給も考えられる。 ? 15 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 大洋州
国1 オーストラリア
地域2 中東
国2 カタール
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 大洋州,オーストラリア中東,カタール
2011/03/25 坂本 茂樹
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