ページ番号1004114 更新日 平成30年2月16日

原油市場他:中東・北アフリカ諸国等での政情不安激化もあり、原油価格は上昇傾向

レポート属性
レポートID 1004114
作成日 2011-04-18 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2011
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2011/4/17 石油企画調査部:野神 隆之 原油市場他:中東・北アフリカ諸国等での政情不安激化もあり、原油価格は上昇傾向 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国では春場の製油所メンテナンスに伴いガソリン生産が低下した一方で、冬仕様のガソリンの処分が進んだこともあり、在庫が急速に減少、平年並みの水準となった。他方、軽油在庫についてはほぼ一定の水準で推移したが、3月の寒波到来もあり暖房油在庫が減少したことから、留出油在庫全体としても減少となっているが、この時期としては平年幅を超過する状態を維持している。他方、メンテナンス等により製油所での引き受けが低下したことで、原油在庫は増加、平年幅を超過している。 ② 3月末時点におけるOECD諸国推定原油在庫については、米国で平年幅を超過した一方で、欧州では精製利幅が圧迫され製油所の稼動が鈍化したこと、日本では東日本大震災による製油所の被災で原油処理が進まなくなったことから、全体として原油在庫は増加となり、平年幅を超過した状態もそのままとなっている。石油製品については、米国でガソリン等の在庫が減少したこと、欧州でも精製活動鈍化の影響でガソリンや留出油の在庫が減少したこと、日本でも震災による製油所停止で石油製品の生産に支障が発生したことにより、全体としても減少となっているが、例年この時期減少するほどには在庫が減少しなかったことから、結果として平年幅の上限に位置するようになっている。 ③ 2011年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場においては、3月中旬には、東日本大震災が日本の石油需要に影響を与えるのではないかとの観測が市場で発生したことに伴い、WTIで一時1バレル当たり100ドルを割り込む場面も見られたが、その後4月上旬にかけ、リビアでの政情不安による原油生産及び輸出停止の長期化に対する市場の不安感、米国経済の改善を示す指標類の発表や米ドル下落等から、ほぼ一貫して上昇基調となった。4月中旬には、国際エネルギー機関(IEA)等が原油価格高騰の経済成長に対する影響に関する懸念を表明したこと等により、原油価格が2日間連続で大幅下落する場面が見られたが、その後再び米ドル下落等で価格は多少持ち直している。 ④ 一部機関から原油価格高騰の経済成長への影響や、原油価格調整局面突入の恐れに関する指摘がなされているが、市場関係者の多くが、その可能性について確信できるような材料が現時点では十分に揃っていないこと、米国では夏場のガソリン需要期を控えていること、中東・北アフリカ諸国等での政情不安に関する市場の石油供給途絶懸念は根強く居座る可能性が高い等の要因を考慮すると、原油(及び石油製品)価格は、一時的にもたつく場面もありえようが、その後は米国の夏場の需要ピーク時に向け、なお上昇を続ける、といった状況が相当程度想定されるものと考えられる。ただ、その一方で、この先価格上昇に伴う石油需要減退を示唆する指標類が増加してくることにより、原油価格下落の可能性増大の認識が市場関係者の間で広がってくるようだと、原油相場が調整局面に突入するといった展開になるのではないかと予想される。 ⑤ 天然ガスについては、欧米、及びアジアにおいて、暖房向け需要が増加したことから、地域により2010年末や2011年1月半ばにかけ価格は上昇傾向となった。その後は米国では低下傾向となったが、欧州やアジアにおいては、リビアでの政情不安の激化や東日本大震災に伴う発電向け需要増加の観測等により、価格は再上昇、英国では100万Btu当たり10ドルを超過する場面も見られた。 ? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 米国では、2011年1月のガソリン需要(確定値)は前年同月比で1.3%程度の減少となり、速報値であった1.7%程度の増加から約3%程度の下方修正となった(図1参照)。ただ、同国のガソリン小売価格は、消費者のガソリン等財の購買行動に変化を与え始めると言われる1ガロン当たり3ドルを2010年12月超過して上昇を続けた(図2参照)が、実際にガソリン小売価格の高騰が消費者の行動を大きく変化させるには、消費者においてガソリン小売価格の高騰に伴う節約等の支出防衛行動の必要性に対する認識が浸透しなければならず、それにはそれなりの期間が必要と見られることから、2011年1月時点では、まだガソリン価格高騰の反応により需要が低下した、と考えるには聊か無理があろう。むしろ、この月は、米国北東部にしばしば寒波が到来し大雪をもたらしたことが当該需要に影響を与えたものと考えられよう。速報値ベースの月間統計では2011年2月のガソリン需要は前年同月比で4%弱の増加となっている(但し1月の大雪等による当該製品需要低迷の反動である部分があるものと思われる)他、3月も2月ほどではないにせよ、1.7%弱の増加を示しているなど、需要は堅調であるように見える。しかしながら、週間統計(速報値ベース)を見てみると、3月初頭は確かに堅調であるようであるが、中旬には前年同期比でほぼ変わらずとなり、下旬には2%強の減少、4月上旬もほぼそのままの減少幅で推移するようになっている(図3参照)。この間全米ガソリン小売価格はほぼ一貫して上昇、4月中旬には全米平均で3.8ドル程度となった他、4ドルを超過する地域も出始めており、このようなガソリン小売価格の上昇継続が、米国消費者の行動に潜在的に変化を与え始めている可能性が出てきていることが考えられる(後述)。他方米国では、春場の不需要期における製油所メンテナンスやガソリン製造装置の不具合の修理等による操業停止といった影響から、ガソリン生産が低下した(図4参照)ことに加え、米国内の一部地域では、これから(例えば中西部では5月1日までに、とされる)低揮発性の夏仕様のガソリン(ガソリンを構成する成分の揮発に伴う大気汚染の発生防止を目的としている)へと販売を転換しなければならないことにより、高揮発性の冬仕様のガソリンを処分した(当該ガソリンの使用に関して環境面等での規制の厳しくない南米へ輸出したとの指摘がある)ことから、同国でのガソリン在庫は急速に減少し、現在は平年並みの水準となっている(図5参照)。 ? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }1 米国ガソリン需要の伸び(2006~11年)%86420-2-4-6-8-101234 567891011121234567891011121 2345678 9101112123 45678910111212345 6789101112123※2011年2~3月の確定値は未発表出所:米国エネルギー省のデータをもとに作成速報値確定値修正幅ドル/ガロン図2 米国石油製品小売価格の推移(2007~11年)4.54.03.53.02.52.01.51234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234出所:米国エネルギー省データをもとに作成ドル/ガロン図3 米国ガソリン小売価格とガソリン需要(2010~11年)43.83.63.43.232.82.62.4%543210-1-2-312/612/1312/2012/271/31/101/171/241/312/72/142/212/283/73/143/213/284/4前年同期比需要(左軸)価格(左軸)出所:米国エネルギー省データをもとに作成 ? 3 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 坥ハ百万バレル9.69.49.298.88.68.414325※4週間平均図4 米国のガソリン生産量(2009~11年)67891011121234567891011121234出所:米国エネルギー省データをもとに作成百万バレル図5 米国ガソリン在庫推移(2003~11年)26024022020018016012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212341997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成 他方、2011年1月の留出油需要(確定値)は、速報値(前年同月比で1.2%弱の増加)が相当程度上方修正され、8.5%程度の大幅な伸びとなっていた旨判明した(図6参照)。この月は、米国では寒波の到来で暖房油需要が前年同月比で21%強増加したものの、追加金融緩和策実施を背景とする、米国経済に対する信頼性の改善等もあり、軽油需要も6%弱伸びるなど、堅調であった。3月の需要(速報値ベース)は、米国北東部で3月後半に気温が平年を大きく下回ったことから、同地域が消費の中心となっている暖房油の需要はある程度堅調であったと推測される(暖房油在庫も減少している、図7参照)が、留出油需要全体としては、前年同月比で1.3%の減少となっている。この時期暖房油は前述の理由から比較的堅調であったものの、ガソリン同様全米軽油小売価格も上昇しており、この面では留出油の消費者にとっても逆風となっていることが、特に軽油需要の増減に影響を及ぼし始めている可能性が考えられるが、留出油需要は速報値が確定値に移行する際に、下方及び上方双方の方向で相当程度修正される場合がある(対してガソリン需要については下方修正されている場合がしばしば見受けられる)ので、これについては約2ヶ月後の確定値発表を待つ必要があろう(因みに週間の留出油需要? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 搆vを見ると、3月から4月上旬にかけては、一時前年割れとなっている週もあるが、その減少幅の規模は小さく、また4月に入ってからは多少持ち直している部分もある)。なお、3~4月にかけて製油所では留出油生産が若干ながら上向いている(図8参照)が、在庫については、前述の通り暖房油在庫が減少する一方で軽油在庫水準はこの期間上下に変動しつつも、一定の範囲内での動きとなっている。減少する暖房油在庫と一定の範囲内で変動する軽油在庫を合計した、留出油在庫全体としては、この期間は減少傾向となっているが、例年この時期当該在庫は減少を示していることもあり、平年幅を超過する状態は維持されている(図9参照)。なお、2011年1月においては、前年割れするガソリン需要を堅調な軽油需要が相殺して余りあったことで、同月の石油製品全体の需要(確定値)は前年同月比で2.7%の増加となった一方、2011年3月については、前年同月比で増加するガソリン需要が減少する軽油需要である程度相殺する格好となったことから、当該月の石油製品全体の需要(速報値)は前年同月比で0.2%程度の増加となっている(図10参照)。また、米国での製油所メンテナンスに加え、予期せぬ操業の停止もあり、同国の一部地域で製油所の稼動が大きく低下したことが影響し(米国東部では3月後半には製油所の稼働率が60%程度にまで低下したが、4月8日の週にはそれがさらに39%程度にまで落ち込んだことが明らかになっている)、製油所での原油の引き受けが伸び悩んだものと見られ、その結果原油在庫は増加となっており、平年幅の上限を超過した水準で推移している(図11参照)。なお、原油及び留出油の在庫が平年幅を超過している一方で、ガソリン在庫が平年並みとなっていることから、原油とガソリンを合計した在庫は平年幅上限付近、他方原油、ガソリン、及び留出油を合計した在庫は平年幅を超過する状態となっている(図12及び13参照)。 123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123456789101112123速報値確定値修正幅※2011年2~3月の確定値は未発表出所:米国エネルギー省のデータをもとに作成 図6 米国留出油需要の伸び(2006~11年)%181614121002468-2-4-6-8-10-12-14-16? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 20119118117116115図7 米国留出油在庫の推移(2011年、百万バレル)3837363534333/43/113/183/254/14/8軽油(左軸)暖房油(右軸)出所:米国エネルギー省データをもとに作成図8 米国の留出油生産量(2009~11年)日量百万バレル4.84.64.44.24.03.83.63.41234567891011121234567891011121234※4週間平均出所:米国エネルギー省データをもとに作成百万バレル図9 米国留出油在庫の推移(2003~11年)1801601401201008012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212341997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成 ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1 2 34 5 67 8 91011121 23 4 567 891011121 23 4 56 78 910111212 3 45 6 78 910111212 3 45 67 8 91011121 2 3※2011年2~3月の確定値は未発表出所:米国エネルギー省のデータをもとに作成速報値確定値修正幅百万バレル図11 米国原油在庫推移(2003~11年)図10 米国石油需要の伸び(2006~11年)%1002468-2-4-6-8-10-12-1439037035033031029027025012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212341997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成百万バレル図12 米国原油+ガソリン在庫推移(2003~11年)61059057055053051049047045012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212341997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成? 7 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 S万バレル図13 米国原油+ガソリン+留出油在庫推移(2003~11年)80075070065060055012345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212345678910111212341997-2002実績幅2003-11出所:米国エネルギー省データをもとに作成 3月末時点におけるOECD諸国推定原油在庫については、米国では前述の通り平年幅を超過した状態となった一方で、欧州では上昇するブレント等の原油価格が石油製品価格を上回る速度で上昇したことにより精製利幅を圧迫する結果となったことから製油所の稼動が鈍化したこと、日本においては、3月11日に発生した東日本大震災に伴う複数の製油所の被災による稼動停止で原油の処理が進まなくなったことから、OECD諸国全体としても、当該在庫水準は上昇となり、また平年幅を超過した状態も維持されている(図14参照)。他方、石油製品在庫については、米国において、ガソリンや留出油の在庫が減少したこと、欧州においても精製活動の鈍化でガソリンや留出油の在庫が減少したこと、日本でも震災に伴う製油所停止の影響で石油製品の生産に支障が発生したことにより、OECD諸国全体としても減少となっているが、例えば欧州での留出油在庫は季節的に見て減少が緩やかであることもあり、OECD諸国全体の石油製品在庫も例年この時期減少するほどには減少していないことから、結果として、当該在庫水準は平年幅の上限に位置するようになっている(図15参照)。なお、原油在庫は平年幅を超過しており、製品在庫が平年幅の上限付近となっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅を超過する状態となっている(図16参照)。また、2011年3月末時点でのOECD諸国石油在庫日数(月末の在庫量をその直後の3ヶ月間の1日当たり需要で除したもの)は59.2日であり、前月の59.2日と同水準となっている。 ? 8 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }14 OECD原油在庫推移(2005~11年)億バレル10.510.09.59.08.58.01234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231995-20042005-11出所:IEAデータ他より推定 億バレル図15 OECD石油製品在庫推移(2005~11年) 16151413121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121231995-20042005-11出所:IEAデータ他より推定億バレル図16 OECD石油在庫(原油+石油製品)推移(2005~11年)26252423222120123 4567 8910111212345 678910111212 34567 891011121234 5678 9101112123456 789101112123 45678 91011121231995-20042005-11出所:IEAデータ他より推定2011年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場等の状況 . 22011年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場においては、3月11日に発生した東日本大震災に伴う原子力発電所での事故で日本経済回復が遅れ、同国の石油需要に影響を及ぼすではないかとの観測が市場で発生したことに伴い、3月中旬にはニューヨーク商業取引所(NYMEX)でのWTI先物価格(以下特に断りがない場合は、価格についてはこれを指すものとする)で一時1バレル当たり100ドルを割り込む場面も見られたが、その後は4月上旬にかけ、中東・北アフリカ諸国等に対する政情不安についての懸念や、その中でもリビアでの事実上の内戦状態の行き詰まりと同国からの原油生産及び輸出停止の長期化に対する市場の不安感、米国経済改善を示す指標類や、欧州中央銀行(ECB)? 9 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ノよる金利引き上げ観測等に伴う米ドル下落などから、ほぼ一貫して上昇基調となった。しかしながら、4月中旬には、国際通貨基金(IMF)や国際エネルギー機関(IEA)による、原油価格高騰の経済成長に及ぼす影響に対する懸念の表明等から、原油価格が2日間連続で大幅に下落する場面が見られた。ただ、その後は、再び米国の経済指標類や米ドルの下落等により、価格は多少持ち直している(図17参照)。 ドル/バレル図17 原油価格の推移(2003~11年)15014013012011010090807060504030201234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234WTIBrentDubai 3月11日には、この日発表された2月の中国の消費者物価指数が前年同月比で4.9%の上昇と市場の事前予想(4.7~4.8%の上昇)を上回ったこと、また同じくこの日日本において、午後2時46分(日本時間)に発生した東日本大震災により、製油所や工場の操業が停止したことにより、原油の引き受けがこの先低下するとの観測が市場で発生したこと、さらにはインターネットを通じてこの日の実施が呼び掛けられていたサウジアラビアにおいてデモ活動が限定的な規模にとどまったことで、さらなる石油供給途絶に対する懸念が後退したことで、11日の原油価格の終値は1バレル当たり101.16ドル と、前日終値比で1.54ドル下落したものの、3月13日に大規模抗議行動が行われ、警官隊との衝突が発生したバーレーンにおいて、翌14日に湾岸協力会議(GCC:Gulf Corporation Council)によるバーレーンへの軍部隊駐留の一環として、サウジアラビアがバーレーンに1,000人の軍部隊を派遣したことで、中東湾岸諸国の政情不安に対する市場の懸念が増大したことに加え、3月11日に発生た東日本大震災に伴い、将来的には日本の復興過程で石油輸入が増加する、との観測が市場で発生したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.03ドル上昇し、この日の終値は101.19ドルとなった。3月15日には、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所での事故により、日本経済と石油需要が回復するまでに長期間を要するのではないか、との観測が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり97.18ドルと、前日終値比で4.01ドル下落したものの、翌16日には、この日バーレーンでデモ隊と治安部隊が衝突し、同国での政情不安が他の中東湾岸諸国に波及するのではないかとの市? 10 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 黷フ懸念が増大したこと、また3月17日には、リビア上空に飛行禁止区域を設定する他、市民保護のために必要な措置を講ずること旨の内容を盛り込んだ決議案に対する、国連安全保障理事会での採決を同日夕方に控え、事実上西側一部諸国による武力行使が承認されることにより、同国情勢のさらなる混乱に対する市場の懸念が増大したうえ、この日(3月17日)米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(3月12日の週分)が38.5万件と前週比1.6万件の減少となり、市場の事前予想(38.7~38.8万件)を下回ったことに加え、同じく同日フィラデルフィア連邦準備銀行から発表されたから、3月のフィラデルフィア地区製造業景況感指数(ゼロが景気拡大と縮小の分岐点)が43.4と1984年1月以来の最高水準となった他、市場の事前予想(28.8~30.0)を上回ったことで、原油価格は3月16~17日の2日間併せて1バレル当たり4.24ドル上昇し、17日の終値は101.42ドルとなるなど、3月15日の下落分を帳消しして余りある状態となり、また終値ベースでの100ドル超過の状態も回復した。もっとも、 3月17日夕方国連安全保障理事会でリビア上空に飛行禁止区域を設定する等の決議案が賛成多数で可決された後、リビアのカイム(Kaaim)外務省次官が、カダフィ大佐が停戦につき協議する用意がある旨発言した、と仏通信社AFPが伝え、同国を巡る地政学的リスクに対する市場の懸念が後退したことに加え、3月18日に中国人民銀行が預金準備率を0.5%引き上げる(25日実施)旨発表したことにより、同国での経済活動減速に関する不安感が市場で発生したこともあり、3月18日の原油価格は反落、終値は1バレル当たり101.07ドルと前日終値比で0.35ドル下落してこの週の通常取引を終了している。 ただ、実際には、リビアのカダフィ政権側の軍隊は、3月17日の停戦協議の用意に関する表明の後も、反体制派の拠点である同国東部ベンガジ(Benghazi)の町の攻撃を続けた旨判明したことから、英米仏の軍隊がリビアに対して具体的に軍事行動を開始したことで、同国からの石油生産停止が長期化するとの懸念が市場で増大した他、3月22日においても、市場がこのような懸念を引き継いだことに加え、この日イエメン(3月18日にサレハ(Saleh)大統領の退陣を求めた抗議行動参加者と治安部隊との衝突で46人が死亡、同大統領が30日間の非常事態を宣言していた)で軍事関係者及び外交官等の離反が加速しつつあり、同国での政情不安が激化したことから、原油価格は3月21日に1バレル当たり1.26ドル、22日に1.67ドル、それぞれ上昇し、3月22日の終値は104.00ドルとなった(なお、この日を以てニューヨーク商業取引所(NYMEX)における2011年4月渡し先物契約の取引は終了したが、5月渡し先物契約のこの日の終値は1バレル当たり104.97ドルと前日終値比で1.88ドル上昇している)。3月23日においても、リビア政権側と反体制派及び西側諸国との事実上の戦闘状態により、同国からの石油供給停止が長期化する、との市場の観測は引き続き根強かったうえ、この日米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)により発表された同国石油統計(3月18日の週分)で、ガソリン需要が価格高騰にもかかわらず前年同期比で1.2%の増加(3月18日までの4週間平均値)を示している旨判明したこと、同じくこの日の? 11 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ゚後(現地時間)、イスラエルのエルサレムで爆発があり、1人が死亡、39人が負傷したことで、同国周辺での緊張が高まるとの懸念が市場で増大したことから、この日の原油価格は続伸、終値は1バレル当たり105.75ドルと前日終値比で1.75ドルの上昇となった。ただ、3月24日には、この日米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)及び格付け会社フィッチ・レーティングがポルトガルの信用格付けを引き下げたことで、欧州一部諸国における債務問題に対する市場の心配が再燃したことに加え、同じく同日米国商務省が発表した2月の同国耐久財受注が前月比で0.9%の減少となっている旨判明し、市場の事前予想(1.1~1.2%の増加)を下回ったこと、また、3月25日においても、欧州一部諸国の債務問題に関する市場の懸念の流れが引き継がれたうえ、この日東日本大震災後の日本において福島第一原子力発電所の関連施設が損傷し放射性物質が漏出している可能性が指摘されたことで、同国での経済減速観測を材料として利益確定が市場で発生したことから、原油価格は3月24~25日で併せて0.35ドル下落、25日の終値は105.40ドルとなっている。 また、3月26日に米国セントルイス連邦準備銀行のバラード(Bullard)総裁が、(現在米国金融当局が実施している)6,000億ドルの国債購入策は米国経済回復のためには必要ないかも知れず、額の削減について検討すべきである旨発言したことから、市場でのインフレ懸念が後退したこと、同じく26日にリビアの反体制派が、同国東部の要衝であるアジュダビヤ(Ajdabiya)を政権側から奪還した他、27日には同国東部に位置する石油産業の中心地であるブレガ(Brega)及びラスラヌフ(RasLanuf)を奪還、反体制派はさらに西進し、カダフィ大佐の出身地である中部の要衝シルト(Sirte)に迫っていると報じられたことに加え、3月27日に、リビア反体制派幹部タルフーニ(Ali Tarhoni)氏が同国東部で生産される原油について、カタールを通じて輸出する旨表明した(同氏は1週間以内に輸出を再開するとし、足元の生産量は日量10~13万バレルであるが、日量30万バレルくらいまでは容易に引き上げられる旨明らかにしている)他、3月28日には、この日国営カタール通信から、カタール政府がリビア反体制派を承認したと伝えられたことから、同国からの原油輸出再開に対する楽観的な観測が市場で増大したことにより、3月28日の原油価格の終値は1バレル当たり103.98ドルと、前週末終値からさらに1.42ドル下落した。3月29日には、この日リビアの反体制派がシルトに進軍したが、政権側の反撃を受け、ラスラヌフに退却したことで、同国からの原油輸出回復までになお時間を要するとの観測が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.81ドル上昇、終値は104.79ドルとなったものの、翌30日には、この日EIAから発表された同国石油統計(3月25日の週分)で、原油在庫が市場の事前予想(150~220万バレル程度の増加)を上回る、295万バレルの増加となっていた旨判明したことで、この日の原油価格は反落、終値は1バレル当たり104.27ドルと前日終値比で0.52ドル下落した。しかしながら、リビアにおいては、3月30日に政権側の軍隊がラスラヌフを攻撃し反体制側から同都市を奪還したうえ、3月31日? 12 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ゥら4月1日にかけてはさらに東部にあるブレガで反体制派と戦闘を行うなど、反体制派が苦戦していることを示唆する情報が伝えられたことで、同国からの原油輸出再開までには、なお相当の時間を要するとの観測が市場で増大したことに加え、4月1日には、この日米国労働省から発表された3月の同国雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比で21.6万人の増加となり、市場の事前予想(19万人の増加)を上回ったうえ、失業率も8.8%と2009年3月以来の低水準となった他、市場の事前予想(8.9%)を下回ったことや、4月1日にガボンで石油労働者組合ONEP(Organization Nationale des Employes du Petrole: National Organization of Petroleum Employees)が自国民の雇用増大の要求に対してガボン政府と交渉してきたものの、それが決裂したことで、同日よりストライキを開始、同国の原油生産(日量24万バレル程度)が停止し始めたこと(4月2日には全量が停止したと伝えられる)、4月2日に実施予定のナイジェリア連邦議会議員選挙において混乱が予想され、それが原油輸出等に影響を及ぼすのではないか、といった市場の懸念が発生したことで、原油価格は3月31日~4月1日にかけ、合計で1バレル当たり3.67ドル上昇、4月1日の終値は107.94ドルとなった。 リビアにおいては、ブレガでの政権派と反体制派の戦闘は4月4日においても継続し、同国での事実上の内戦状態が長期化するとの不安感が市場で増大したことに加え、同日イエメンにおいては、同国のサレハ大統領退陣を求めた数万人のデモ隊と治安部隊が衝突したこと、4月2日に実施される予定であったナイジェリア連邦議会議員選挙が実際にはこの日に実施できず、4月3日には1週間遅延する旨決定されたこと(但しこれは実際には選挙用資材の到着の遅延に伴う実務上の問題によるものであった)で、同国の一連の選挙(これに伴い4月9日に実施予定であった同国大統領選挙は4月16日へと1週間延期されることになった)を巡り、市場での神経質な感情が高まった(後述)他、ガボンで4月1日から続くストライキ(4月4日遅く(現地時間)に終結)で中東・アフリカ諸国の政情不安に対する不安感が市場で増大したことにより、この日の原油価格は前日終値比1バレル当たり0.53ドル上昇し、終値は108.47ドルとなった(なお、英領北海Buzzard油田(ブレント価格に影響を与える、英領北海で生産されるForties原油を構成する原油のひとつ)において前週一時的に生産が低下した(コンプレッサーが数日間停止したことによるものであるが、既に復旧し正常な操業を行っているとされる)影響で、Forties原油の出荷遅延が発生したとの情報が流れたことから、この日のブレント原油価格の終値は1バレル当たり121.06ドルと前週末終値比で2.36ドル上昇している)。他方4月5日には、米国供給管理協会(ISM)から発表された3月の同国非製造業景況感指数(50が景気拡大と縮小の分岐点)が、57.3と2月の59.7から低下したうえ、市場の事前予想(59.5)を下回ったこと、翌6日にEIAから発表される予定の同国石油統計(4月1日の週分)で、原油在庫が増加を示しているとの観測が市場で発生したことから、この日(5日)の原油価格は前日終値比1バレル当たり0.13ドル下落し終値は108.34ドルとなった(ただ、4月5日にリビアで反体制? 13 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 hの多くがブレガからさらに東部にあるアジュダビアまで退却するなど、同国での事実上の内戦状態が継続している他、ナイジェリアでの議会議員選挙及び大統領選挙の実施延期に伴い同国情勢に対する市場の不安感が増大していることを反映し、この日のブレント原油は続伸、終値は1バレル当たり122.22ドルと前日終値からさらに1.16ドル上昇している)。4月6日には、この日リビアにおいてNATO軍が空爆を激化させていることもあり、同国情勢の先行きに対する市場の懸念が増大した他、翌7日に開催が予定されていた欧州中央銀行(ECB)による定例政策委員会において、政策金利の引き上げが決定されるとの観測が市場で増大し、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したこと、4月7日には、その前の数日間、リビア東部にあるSarir油田を含む複数の油田関連施設が攻撃され被害を受けた、との情報が流れ、同国での石油生産低迷がさらに一層長期化するとの懸念が市場で増大したうえ、同じく7日に米国労働省から発表された新規失業保険申請件数(4月2日の週分)が38.2万件と前週比1万件の減少となり、市場の事前予想(38.5万件)を下回ったことで、同国での景気回復が軌道に乗りつつあるとの観測が市場で増大したこと、4月8日にも、前日のリビア情勢に関する懸念の流れを市場が引き継いだことに加え、この日(8日)ドイツ連邦統計庁から発表された2月の同国輸出が前月比で2.7%の増加と市場の事前予想(2.0%の増加)を上回ったことから、ECBによる追加利上げ観測が市場で増大したことで、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したこと、翌9日にナイジェリアで連邦議会選挙が予定されており、その際の混乱が同国からの原油輸出に影響を与える可能性につき、市場での不安感が増大したことから、原油価格は、4月6~8日の3日間、終値ベースで、併せて1バレル当たり4.45ドル上昇、4月8日の原油価格の終値は112.79ドルとなった他、ブレントのこの日の終値は126.65ドルと前日比で3.98ドル上昇した。 4月11日には、この日アフリカ連合(AU:African Union)から、リビアのカダフィ大佐が同国での即時停戦を含めた、AUによる提案を受け入れた旨発表されたことで、同国からの原油輸出再開の兆候が現れた旨市場で受け取られたことに加え、同じく同日IMFから世界経済見通し(WEO:World Economic Outlook)が発表され、原油価格高騰で米国の経済成長が前回WEO発表時(2011年1月)から0.2%下方修正された旨明らかになったことで、原油価格が世界経済を減速させる可能性に関し、市場での懸念が発生したこと、翌4月12日には、この日米金融機関ゴールドマン・サックスが、同日付顧客向け資料で、現時点ではリビアでの事実上の内戦状態に伴う原油生産の低下にもかかわらず世界石油供給は適正であり、原油価格は現在の水準から相当程度下落が発生する可能性がある(例えば今後数ヶ月でブレントの価格は1バレル当たり105ドルまで下落すると同社は予想する)旨示唆していたことで、利益確定の動きが市場で発生した他、同じくこの日発表されたIEAによる「オイル・マーケット・レポート」で、IEAは原油価格高騰が石油需要の増加を抑制させる兆しを見せ始めている旨指摘したうえ、同日サウジアラビアが石油需要鈍化から減産していると報じられたこともあり、市場で石油需要減速懸念が発生したこと、さらに、? 14 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2日に日本の原子力保安院が、東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する国際評価尺度を最悪の「レベル7」に引き上げたことで、原子力発電所を巡る危機が同国の石油需要に影響を与えるとの懸念が市場で増大したことから、原油価格はこの2日間(4月11~12日)併せ、終値ベースで前週末比1バレル当たり6.54ドル下落し、12日の終値は106.25ドルとなった。ただ、4月13日には、この日EIAから発表された同国石油統計(4月8日の週分)で、ガソリン在庫が市場の事前予想(90~125万バレル程度の減少)を上回る、700万バレルの減少となっていた旨判明したこと、4月14日には、この日米国労働省発表の新規失業保険申請件数(4月9日の週分)が41.2万件と前週比で2.7万件増加し、5週間ぶりに40万件を超過した他、市場の事前予想(38万件)を上回ったことで、米国金融当局による超緩和金融政策が継続されるとの観測が市場で増大したことから、米ドルが下落したことに加え、米国石油会社Sunocoのフィラデルフィア製油所(精製能力日量33.5万バレル)のガソリン製造装置(FCC:流動式接触分解装置)で小規模の火災が発生し(4月13日夜と見られるが、間もなく消し止められたと伝えられる)当該装置が停止したこと、4月15日には、この日ニューヨーク連邦準備銀行から発表された4月のニューヨーク地区製造業景況感指数(ゼロが景気拡大と縮小の分岐点)が21.7と3月の17.5から上昇した他、市場の事前予想(16.9~17.0)を上回ったことに加え、同じくこの日米国連邦準備制度理事会(FRB)から発表された3月の米国鉱工業生産が2月に比べ0.8%増加し、市場の事前予想(0.5~0.6%の増加)を上回ったこと、さらに、4月15日に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数(4月速報値、1966年=100)が69.6と3月の67.5から上昇した他、市場の事前予想(68.5~68.8)を上回ったことで、この3日間(4月13~15日)原油価格は終値ベースでは1バレル当たり3.41ドル上昇、4月15日の終値は109.66ドルとなって昨今の原油相場は、米国での2010年11月以降に導入された追加金融緩和に伴う景気回復期待と石油需要増加観測、そしてリビアを初めとする中東・北アフリカ諸国等での政情不安と石油供給途絶懸念を中心として変動している。その中で前者は、米国での雇用関連指標の改善等により、価格に上方圧力を加える、といった具合に機能している。ただ、4月中旬以降、IMF、IEA、及びゴールドマン・サックスといった各機関から、原油価格上昇が世界経済に影響を与える可能性、もしくは原油価格上昇が加速しすぎていることにより今後相当程度の調整局面が訪れる可能性に関して、指摘が相次いでいる。2007年においては、原油価格上昇に伴い全米ガソリン小売価格が上昇し、同年5月には月間平均で1ガロン当たり3ドルを超過したが、その5ヶ月後(つまり同年10月)には、月間のガソリン需要が前年同月比で減少し始めた(図18参照)。2011年においても1月に全米ガソリン小売価格が月間平均で1ガロン当たり3? 15 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . 今後の見通し等 3いる。 hルを超過した一方で、3月の需要(速報値)は依然前年同月比で増加となっているが、週間データでは3月中旬より前年同期比で減少し始めており、これが同国における原油及び石油製品価格上昇に伴う需要への負の影響の始まりとなっている可能性があるので、今後も当該価格と需要の動向については注視していく必要があろう。ただ、他の市場関係者からは、原油価格が(当面の)最高水準に到達した、という認識の統一が必ずしも出来上がっていないこと、米国ガソリン需要は週間ベースでは減少を示しているが、現時点ではまだ速報値ベースであり、かつその規模も比較的限定的であるうえ、米国外のOECD諸国や、世界石油市場に占める位置づけが増大してきた中国等を含む非OECD諸国においても、経済及び石油需要に関して、リスクの存在(例えば、欧州一部諸国における債務問題が解決しないうちに、域内でのインフレ懸念の増大によりECBが金利の引き上げを決定した他、中国でもインフレが加速しつつあることから、金利引き上げ等の金融引き締め策が実施されつつある)は認められるものの、それら諸国においても、原油価格が明確に石油需要に負の影響を与えているとは現時点では認められない(中国の2011年第一四半期国内総生産(GDP)を見ても、2010年第四四半期(このときは前年同期比9.8%の成長)並み水準(9.7%の成長)を維持した他、市場の事前予想(9.4%の成長)を超過するなど、それなりの成長を維持しており、引き続き同国を中心とする発展途上国の経済と石油需要が堅調であるとの印象を市場に与えている格好となっている)ことから、原油市場参加者は、全体として価格高騰が世界石油需要の伸びを減速させていると確信するには、少なくとも現時点では時期尚早であること、この先米国では夏場のドライブシーズンを控えている一方で、足元のガソリン在庫も相当程度減少し、現在平年並みになっている他、需要期を前にしてガソリン先物価格が上昇する可能性もある一方で、欧米等の製油所もメンテナンス終了が間近に迫っており、近いうちに原油購入を活発化させることも予想されることから、季節的にも原油価格が上昇しやすい環境となる旨市場が意識しやすくなること、リビアを初めとする産油国を含む中東・北アフリカ諸国等での政情不安に関する市場の石油供給途絶懸念は根強く居座る可能性が高い(後述)等の要因を考慮すると、IMFやIEA等からの見解が市場心理に重石となることで、原油(及び石油製品)価格が一時的にもたつく場面もありえようが、その後は米国での夏場のガソリン需要のピーク時(概ね7月前半と言われる)に向け、再び上昇を続ける、といった状況が相当程度想定されるのではないかと考えられる。ただ、その一方で、価格上昇に伴い、経済成長への影響や、需要減退(もしくは伸びの鈍化)といったことを示唆する指標類が増加してくることにより、さらなる原油価格の上昇の可能性が低下してきた、という認識が市場関係者の間で広がってきた時点で、原油価格の上昇が峠を越え、調整局面に突入する、といった展開になるのではないかと予想される。 ? 16 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ゙ル/ガロン図18 米国ガソリン小売価格とガソリン需要(2007~8年)4.54.03.53.02.52.01.51.00.5%6420-2-4-6-8-10123456789101112123456789101112前年同月比需要増減(右軸)価格(左軸)出所:米国エネルギー省データをもとに作成 他方、リビアを初めとする中東・北アフリカ諸国等における政情不安に対する市場の石油供給途絶懸念にも、引き続き留意する必要があろう。同国においては、政権派と反体制派の戦闘状態が継続しているが、戦況自体は事実上行き詰まりの状態となってきており、この面では、そのままにしておけば、事態収拾まで長期間を要することにもなりかねない。また、そのような戦闘の中で、4月上旬には実際にリビア東部にある油田が攻撃され被害を受けていることから、同国での原油生産減少(同国国営石油会社NOCのガネム総裁は原油生産量は日量25~30万バレル程度と述べているが、この量は自国での消費量とほぼ等しいことから、同国の輸出余力は事実上皆無(それでも、4月6日にはタンカー「Equator」がリビアの原油を同国東部にあるトブルク(Tobruk)港で積載し、中国に向け出航した旨明らかになるなど、時折反政府側は原油を輸出している模様である))が長期化するとの不安感を市場で根強くさせており、夏場のドライブシーズンを控えて、高度化されていない製油所においても、ガソリンや軽油が比較的多く生産できるという意味で、市場から重宝される軽質低硫黄原油を中心に産出するリビアでの事実上の内戦状態と原油生産及び輸出停止の長期化の観測は、この先原油相場を少なくとも下支えする格好で作用していくと思われる。現在リビアにおいては、AUが停戦に対する提案を行っており、政権側は受け入れの用意がある模様であるが、反体制側は拒否している。仮にこれが、反政府派の受け入れ可能な状態で折り合いがつき、停戦合意に至った場合、市場では条件反射的反応の流れで利益確定等の動きから原油価格に下方圧力が加わる可能性はあろうが、過去政権側は停戦に対する協議の用意がある旨表明する一方で、反体制側に対する攻撃を継続した、といったこともあり、実際に戦闘が終結し、同国からの原油輸出の道が開けるかどうか、しばらく時間が経過しないと見極めがつけがたい面があることや、他の中東・北アフリカ諸国等での政情不安も依然同時並行的に存在している(その意味では、これらの諸? 17 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 曹ナの動向によっても、原油相場が影響を受けることがあるので、注意する必要があろう)ことにより、市場での政情不安の当該地域での伝播と石油輸出への影響に対する懸念は容易には払拭できない状態となっていることから、これらの政情不安の状態がほぼ完全に収束し、もはやこの地域での政情不安が発生する確率が著しく低下した、と市場が確信を持てるような状態にならないと、原油相場において地政学的プレミアムが消滅し始める局面には入らないのではないか、と考えられる。 なお、3月中旬に、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源大臣が、事実上の内戦状態に伴い低下したリビアでの原油生産を代替するために、品質の類似した軽質原油を自国で調整し供給する旨発言したと報じられており、実際3月29日には同国国営石油会社Saudi Aramcoが当該原油200万バレルをBP及びOMV向けに輸出した旨明らかにした。ただ、サウジアラビアからのこのような動きに対しては、同国から供給される原油が、リビアで生産されていた原油であるEs Sider(API比重36.3度、硫黄分0.44%)に類似はしているものの、リビアで生産される他の原油よりも硫黄分が高いことに加え、果たしてこの先サウジアラビアがどの程度このような原油を追加で供給するのかにつき市場関係者の間で確信を持てない状態となっている。このように買い手もサウジアラビアによる代替原油の購入に積極的でないという面も加わった結果、2011年3月においては、リビアからの原油生産量は2月に比べて日量94万バレルの減少となった反面、同月のサウジアラビアでの原油生産量は前月比で変わらずとなっている(図19参照)。他方、市場では引き続きアゼルバイジャン、カザフスタン、及びナイジェリア等で生産される軽質低硫黄原油の調達を積極的に行っている結果、軽質低硫黄原油と重質(ないし中質)高硫黄原油の価格差が、リビアでの政情不安が激化する以前と比較して拡大する傾向が見られる。さらに、東日本大震災発生に伴う日本での複数の原子力発電所の被災と稼動停止により不足する電力を補うために、石油火力発電所の稼動が上昇することにより低硫黄重油に対する需要が増加するとの観測も、低硫黄原油価格を下支えする格好となっている(このようなことから欧州において低硫黄重油と高硫黄重油の価格差についても東日本大震災以降拡大する傾向が見られる)。 ? 18 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ネお、引き続き、4月16日に大統領選挙の実施が予定されているナイジェリアの状況ついても、留意しておく必要があろう。ナイジェリアでの選挙を巡る混乱は、同国の産油地域における武装勢力による石油施設の破壊行為と同国からの石油輸出等への支障とは現時点では直接関係はなさそうであるが、同国では、特に大統領選挙前後には、武装勢力による油田関連施設破壊行為による石油供給途絶が頻繁に発生している、といったこともあり、市場が神経質になっている(同国で生産される原油が軽質低硫黄原油を中心とするものであり、これからの季節において消費国に好まれる品質であることも一因であると考えられる)ことから、ナイジェリアでの選挙過程の混乱も(実際に石油供給途絶には直結しないにせよ)原油相場に影響を及ぼす恐れが考えられよう。 3月11日に発生した東日本大震災に伴う、今後の日本の経済活動の低下に伴う石油需要の鈍化は、原子力発電所の停止に伴う石油火力発電所の稼動及び被災地における復興に伴う石油需要の増加(いわゆる特需)で現在は相殺される格好となっており、現時点では、原油相場に与える影響としては限定的である。ただ、今後日本経済の見通し、もしくは復興需要や発電代替石油需要等の展望が新たに市場に示されることによって、これらの諸要因間のバランスが変化することにより、原油相場に散発的に上方もしくは下方の圧力が加わってくる可能性があるので、注意が必要であろう。 . 天然ガス市場:気温低下に反応、そしてリビア、東日本大震災といった要因も 4米国では、2010年後半以降産業用天然ガス需要は同年前半に比べると増加幅が縮小しているなど、必ずしも順調に回復してきていると言い切れない状態にある(図20参照)。一方で2010年11月後半に? 19 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 123リビア(左軸)サウジアラビア(右軸)出所:IEAデータをもとに作成 図19 リビアとサウジアラビアの原油生産量(2011年、日量百万バレル)1.81.61.41.21.00.80.60.40.20.09.08.88.68.48.28.07.87.67.47.2ヘ気温が平年を下回り始めた他、12月においてもしばしば気温が平年を下回った(図21参照)ことから、主に暖房目的の民生用や暖房用天然ガス需要はそれなりに堅調であった。また、2011年も1月後半から2月前半にかけて気温が平年を大きく下回ることがあったことから、この時期も暖房用の天然ガス需要は堅調であったものと推定される。他方、2011年2月上旬に入り、米国南部の産ガス地域に厳しい寒波が到来したことにより、天然ガス坑井関連施設が凍結するなどして、生産に支障が発生した。このような状態から、2010年11月5日の週には3.84兆立方フィートと統計開始以来の最高水準に達した同国での天然ガス貯蔵量はその後急速に減少、1月後半以降は概ね平年並みの水準で推移するようになった(図22参照)。このように米国での天然ガス需給は必ずしも大きく緩和している、というわけではないが、シェールガス等の非在来型天然ガスの生産が引き続き堅調であるとの見方が根強い(4月12日に発表されたEIAによる展望でも2011年の米国での天然ガス生産量は堅調であると予想しており(図23参照)、同国で天然ガス田での坑井向けの掘削装置稼動数が減少傾向となっている(図24参照)ものの、非在来型天然ガス田での坑井掘削時に主に利用される水平坑井向け掘削装置稼動数が着実に伸びている(図25参照)ことがそのような見方を補強していると見られる)ことから、2010~11年の比較的厳しいと言われた冬場の天然ガス需要期においても、価格に対する上方圧力は総じて弱く、この時期の米国天然ガスの最高価格は2011年1月24日の100万Btu当たり4.879ドル、終値ベースでは1月21日の4.736ドル(これらの期間は、米国に厳しい寒波が到来し、この冬一番の冷え込みとなった時期と重なる)と5ドルには到達しなかった(図26参照)。また、天然ガス貯蔵量はその後も概ねほぼ平年並みで推移したものの、気温も2月後半には平年を大きく超過したうえ、その後も平年並みの水準を挟んで変動したこともあり、大きな需給逼迫懸念が発生しないうちに春場の不需要期が接近してきたことから、天然ガス価格も概ね下落傾向となり、しばしば4ドルを割り込む状態となっている。 図20 米国天然ガス消費増加率(2008~11年、前年同月比)%2520151050-5-10-15-20-25891011121234567891011121234567891011121民生産業発電合計出所:米国エネルギー省データをもとに作成 ? 20 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }21 米国(シカゴ)気温の推移(2010~11年)℃2520151050-5-10-15111212342009年平年(月間)兆立方フィート図22 米国天然ガス貯蔵量(2009~11年)4.54.03.53.02.52.01.51.01234567891011121234567891011121234過去5年実績幅2009-11事実上の貯蔵能力過去5年平均値出所:米国エネルギー省データをもとに作成日量十億立方フィート図23 米国国内天然ガス実績と見通し(2009~11年)626160595857565554531234567891011121234567891011121234567891011122009年8月11日発表2010年11月9日発表2010年2月10日発表2011年2月8日発表2010年8月10日発表2011年4月12日発表※:点線部分は見通し出所:米国エネルギー省データをもとに作成 ? 21 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }24 米国の天然ガス坑井掘削装置稼動数(2008~11年)基1,8001,6001,4001,2001,0008006001234567891011121234567891011 121234567891011 121234出所:Baker Hughesデータをもとに作成 図25 米国の掘削装置稼動数(2008~11年)基1,6001,4001,2001,0008006004002001234567891011121234567891011121234567891011121234※石油・ガスを含む垂直坑井等水平坑井出所:Baker Hughesデータをもとに作成 ドル/百万Btu図26 天然ガス先物価格の推移(2005~11年)20151050891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234567891011121234NYMEXIPE/ICE 他方、英国においては、2010年前半のカタールでの天然ガス液化施設、及び2010年後半のノルウェーでの天然ガス関連施設、のそれぞれの施設での大規模メンテナンスの実施に伴う、同国への供給? 22 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 r絶懸念を反映したこともあり、2010年7月上旬には天然ガス価格が終値ベースで100万Btu当たり7.5ドル、一時は7.8ドル程度にまで到達した。そして、天然ガス価格が下がり切らないうちに、2010年9月以降は冬場の暖房需要期を控えて再び価格は上昇し始めた。また、11月に入ると英国では気温が平年を大幅に下回る状態となった(図27参照、絶対的な水準では必ずしも極めて厳しい冬の寒さとは言い切れないが、平年並みの気温はそれなりに高い水準であったことから相対的には厳しい冬の到来となった)うえに、概ね2010年9月下旬以降原油価格が上昇したことから、石油製品価格に連携する価格体系を主に持つ欧州大陸での天然ガス価格が上昇した影響を受け、英国の天然ガス価格は2010年11月下旬以降年末にかけさらに上昇、12月30日には終値ベースで100万Btu当たり9.6ドル程度にまで達した他、12月31日には9.8ドルに接近する場面も見られた。ただ、2011年に入ってからは冬場の需要期も残りの期間が限られてきたこともあり、天然ガス価格は2月中旬に向け100万Btu当たり8ドル台前半へと総じて下落を辿るようになった。しかしながら、2月下旬にリビアで政情不安が激化したことが影響し、価格は再び9ドル台へと上昇したうえ、3月中旬以降は、日本での東日本大震災の影響で被災した原子力発電所の代替としてガス火力発電所での稼動が上昇するとの展望が市場で出てきた他、欧州諸国においても安全性確認等で原子力発電所の稼動を停止する恐れが高まり、その代替として天然ガス火力発電所の稼動が上昇する可能性が出てきたことにより、総じて天然ガスに対する需要が増加するとの観測が市場で発生したことで、英国の天然ガス価格はなお一層上昇、3月15~16日には終値ベースで100万Btu当たり10.4ドルを超過する水準(これは2008年11月7日の終値約11ドル以来の高値であった)にまで上昇した他、3月16日には一時10.5ドルを突破する場面も見られた。しかしながら、このように厳しい冬が欧州一部地域で訪れたことに加え、イタリアにおいては、2011年2月22日以降リビアでの政情不安の影響からリビアからイタリアへと天然ガスを輸送するGreenstreamパイプライン(能力:日量11億立方フィート、イタリアへのガス供給の10%超を占めるとされる)を通じた天然ガスの輸入が停止するなど、供給途絶も実際に発生した(また、2010年9月末~10月にかけて行われたフランスでの港湾労働者等によるストライキでLNGの輸入が滞るなどの影響が出たとも伝えられる)が、全体としては欧州地域でのLNG輸入は堅調であった他、リビアからイタリアへの天然ガス供給停止分については、ロシアからの天然ガス供給等で代替されたこともあり、実際には需給上の大きな問題が発生することもなく、2011年4月時点の欧州での在庫水準も昨年並みを維持する結果となっている(図28参照)。 ? 23 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }27 英国(ロンドン)気温の推移(2010~11年)1212342010~11年平年気温(月間値)図28 欧州天然ガス貯蔵量(2007~11年)℃20151050-511兆cf3.02.52.01.51.00.50.01011121234567891011121234567891011121234567891011121234※一部推定貯蔵量貯蔵能力 他方、アジアにおいても、2010年11月以降一部諸国で冬場の暖房需要期に向けた天然ガス需要が増加してきたことに加え、韓国では経済回復に伴う産業用天然ガス需要も発生したことから、LNGの輸入が概して堅調であった他、欧州での天然ガス価格水準が影響し、アジアでのLNGスポット価格も2010年11~12月には100万Btu当たり9ドル台であったものが、2011年1月から3月上旬辺りにかけてはしばしば10ドルを超過する場面も見られた。その後3月上旬からは再び9ドル台へと下落傾向を示し始めたものの、3月11日の東日本大震災以降は、ガス火力発電所向け天然ガス需要の増加観測が増大した結果再び上昇へと転じ、4月に入ってからは12ドル程度で推移していると伝えられる。 ? 24 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2011/04/18 野神 隆之
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。