ページ番号1004131 更新日 平成30年2月16日

最近のイラク情勢  -クルドでの石油開発の行方-

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レポートID 1004131
作成日 2011-05-27 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者
著者直接入力 西村 昇平
年度 2011
Vol 0
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ページ数
抽出データ イラク:最近のイラク情勢 -クルドでの石油開発の行方- 更新日: 2011/5/18 調査部: 西村昇平 近の報道によるとクルド地域政府(以下、KRG)と外国石油会社(以下、IOC)が独自に締結した石油開発契約に基づく事業により生産された原油の出荷が今年2月初めから開始され、現在は日量10万バレルを超える量を生産している模様である。現在、クルドから輸出される原油(以下、クルド原油)は、中央政府の管理する戦略パイプラインにて、キルクーク油田から産出される原油と共にトルコのジェイハン港経由(北部ルート)出荷されている。 最れまで中央政府は、クルド地域政府の石油開発を違法であるとして非難してきたが、昨年末の第二次マリキ政権発足後は、その姿勢を若干軟化させており、クルド原油を中央政府の管理する戦略パイプラインに送油することを認めている。但し、シャハリスターニ副首相は、KRGが独自にIOCと締結した生産分与契約(PS契約)に関して中央政府は違法であるとの主張を継続している。また、最新の動きとして中央政府はクルド原油輸出分の対価の一部をKRGに送金した模様である。さらに、近くクルド地域で石油開発に関わるIOCに対して、生産に要した資金の一部が支払らわれるとも報じられている。本稿では、イラクでの石油政策の現状、最新動向を交え、クルドでの石油開発事情とその課題を考察する。 こ政治的背景 ●昨年12月21日の第二次マリキ政権の発足に伴い、同日の国会承認を経てこれまで石油大臣としてエネルギー分野で行政手腕を発揮してきたシャハリスターニ前石油大臣は、副首相(エネルギー担当)に就任し、アブドゥル・カリーム・ルアイビ元石油省次官が新石油大臣に就任している。ルアイビ新石油大臣はこれまで上流部門担当次官として、外国石油会社と国内油田の12事業の開発契約を締結させた実績がある(以下【図】を参照)。これまでイラクの石油政策を中心となり牽引してきたシャハリスターニ新副首相、ルアイビ新石油大臣の両名が第二次マリキ政権に於いても重要ポストに就任したこともあり、発足後数カ月が経過しているが、既契約12事業の実施方針に今のところイラクの石油政策に大きな方向転換はない模様である。 ? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (各種報道等により筆者作成) 二次マリキ政府発足にあたり、事前に主要政党の幹部らが一同に会し閣僚ポスト配分等に関して 第議論する円卓会議が開催されている。今般のクルド地域からのクルド原油の送油再開は、同会議にて重要な役割を果たしたクルド勢力と法治国家連合(SLA)を中心とするマリキ派との間で結ばれた合意に基づくもののようである。但し、数ヵ月経過した現状から推察すると、その合意ではクルド地域からの送油再開、送油量に関してはある程度合意されている模様であるものの、肝心のIOCへの開発事業費の支払いに関しては十分な議論はされていなかったようである。また、今年2月に国会で可決された2011年度予算法では、クルドからの日量10万バレル分の輸出益を加え予算が計上されている。 なみに、昨年11月に開催された円卓会議には、初めて国内全ての政治指導者が一同に会してお ちり、法治国家連合(SLA)のマリキ代表(首相)、バルザーニーKRG大統領、クルド愛国同盟(PUK)タラ? 2 ? 【図】イラク政府が契約を締結済みの油田開発事業一覧 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 oーニー大統領、イラク国民リスト・アッラーウィー代表(元首相)、イラク・イスラム最高評議会(ISCI)ハキーム議長、国民改革潮流ジャアファリー代表(元首相)、刷新リスト・ハーシミー代表(副大統領)、国民対話イラク戦線ムトラク代表(現副首相、イラーキーヤー幹部)、ISCI幹部マフディー副大統領他の参加が確認されている。 二次マリキ政府発足後の石油行政の動向を概観すると、シャハリスターニ前石油大臣はエネルギ 第ー担当の副首相として、石油分野、電力分野を所掌しており、次期入札、クルドでの石油開発、生産目標等、石油開発政策に於ける重要事項に関する公的な場での主導的な発言を確認している。このことは、シャハリスターニ副首相が主管大臣としての直接的な行政権限から距離を置きつつも、石油行政に関する主管大臣であるルアイビ石油大臣へ影響力を行使しつつ、重要課題に関しては自ら政策判断に関与していくとの姿勢の一端ではないかと思料される。 報の真偽は不明だが、昨年末、筆者がイラク政府元高官から得た情報によると、第二次マリキ内 情閣組閣時、当初同首相が作成した閣僚リストにシャハリスターニ氏は石油大臣として記載されていたが、クルド勢の強い反対もあり、国会へリストを提出する直前に石油大臣への指名を断念し、マリキ首相はシャハリスターニ氏に対し副首相への着任を打診した模様である。そして、マリキ首相はシャハリスターニ氏に対し、石油大臣にはガドバン首相府顧問団長(元石油大臣)の就任を提示したが、シャハリスターニ氏はこれを受け入れず、エネルギー担当副首相への着任の条件にこれまで上流部門担当石油省副大臣として3度の油ガス田入札を実施したルアイビ氏を石油大臣に指名することで決着したとの情報である。 時のバグダッド発ロイター(2010年12月18日付)は、イラク政府高官の話としてシャハリス 当ターニ氏が石油大臣に指名される旨報じており、その2日後には、一転、シャハリスターニがエネルギー担当副首相、ルアイビ石油省次官が石油大臣に指名されるとの可能性を報じている。また、第一次マリキ内閣では副首相が2ポストであったが、第二次内閣ではエネルギー担当が追加され、行政サービス担当、経済担当副首相の合計3ポストになり増えている状況でもある。 景には、これまでクルドでの石油開発を違法行為として批判してきたシャハリスターニ氏の石油 背? 3 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 蜷b就任に関しクルド勢から強い抵抗があったということと、これまでの石油開発政策の路線を継続させるためには、SLA最高幹部であるシャハリスターニ氏の起用が必要不可欠であった事情がある。そして、上記情報が正しいとすれば、第二次マリキ政権発足後も、石油省内での求心力があり優秀なテクノクラートであるガドバン首相顧問を排し、若手のルアイビ副大臣を大臣に昇格させることで、引き続き石油行政に強い権限を行使したいとのシャハリスターニ氏の意向が働いたものではないかと推察している。 ラクに於いて新しい体制での政府が始動して数カ月が経過したばかりで断定的なことは言えな イいが、当座はイラクの石油政策、入札などの方針は、シャハリスターニ副首相を中心として形成され、それをルアイビ石油大臣率いる石油省が実行していくという形になるのではないかとみている。但し、シャハリスターニ副首相が打ち立てた政策や事業の実施方針が、国会等での批判の対象となるものがある場合、直接的な行政責任はルアイビ石油大臣が負っていることもあり、ルアイビ大臣の立場になってみれば今後責任ばかり押し付けられてはたまらないとの思いが募る可能性もある。新設されたエネルギー担当副首相と石油大臣の間に生じる権力と権限のねじれ構造が、もしネガティブに作用する場合、今後政策判断や事業の実行に遅れ等の問題が生じる可能性がある。 今後も政権運営の中心にいるシャハリスターニ副首相の動向、発言が注目され、本年4月6日、シャハリスターニ副首相は、第二次マリキ政権発足後初めての大きな国際的舞台となるパリで開催された石油サミットにて興味深い発言をしている。ロイター、アラブメディア、外国業界紙等の報道内容、当該サミットの出席した当方関係者の情報を総合すると、シャハリスターニ副首相は同サミ最近のシャハリスターニ副首相の発言 ●ットにて趣旨以下の様な発言をしたようである。 クルドでの石油開発に関し ?①「(KRGでIOCが実施している事業に関して、)KRGは近く中央政府に対し(設備投資費用に関する?)請求書を提示するだろう。もしその価格が国際市場価格と合致するなら、中央の財務省はCapital Investment Cost(設備投資費用?)を補償する。」 ②「KRGで石油開発を請負っている業者(IOC)に対し、石油現物での利益であろうと、いかなる形でも報酬? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ヘ支払われないであろう。」 ③「但し、本件(①)は(KRGがIOCと締結している生産分与契約)契約の承認と関係ない。」 ④「現在、クルドでの生産は、日量115,000バレルで、半分がタウーケ油田、もう半分がタクタク油田からの生産である。」 ※タウーケ油田に関しては、DNO(ノルウェー)がオペレーターとなりGenel Enerji(トルコ)と共に操業しており、タクタク油田に関してはTaq Taq Operating Company(TTOC:Genel Enerji、Addax(Sinopec)によるJV)がオペレーターとしで事業に参入している。 ?イラクの石油開発政策に関し(入札関連) ⑤「将来、大規模な入札を実施する計画はないが、12鉱区(primarily gas-rich exploration blocks)を対象とした第四次入札を本年後半に実施する。」※現時点の情報では、来年1月を予定している模様。 ⑥「イラクは、透明性のある入札プロセスなしに、今後、(IOCと)直接交渉することはない。」 ⑦「今年後半にナーシリーヤ油田を対象としたミニ・ビッドラウンドの実施を検討している」 ?イラクの石油開発政策に関し(生産・輸出関連) ⑧「我々の原油生産の目標は、国家歳入を最大化することであり、生産量を最大化することではない。」 ⑨「イラク国内油田の生産能力については、2017年までに日量最大1100万バレルが仮に半分の水準となったとしても、次の10年間に日量5-600万バレルを達成できると確信している」 ⑩「国内のガス需要は発電所への供給を中心に飛躍的に拡大される見通しであり、これらにまずは充当する必要がある。それでも余力があれば輸出に回すことになるが、輸出に関しては、国家として行うわけであり、当然中央政府の承認が必要となる。」 ⑪「我々はEUと欧州へのガス供給に関する合意があるが、(欧州向けに出荷するために)ナブッコ・パイプラインが必要という訳ではない。」 ルドでの石油開発に対する資金の支払いに関する発言は、特に興味深い。①②の発言は、中央政 ク府がKRGでの石油開発に要した設備等の経費は支払うが、IOCへの報酬、生産物取り分は支払わない方針と考えられる。第二次マリキ政権発足以前は、KRGがIOCと独自に締結した契約を違法であるとして、これまで生産物の出荷再開、IOCへの事業費の支払い等に関する議論が滞留していたが、? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 又ュ言の通り限定的であるが進捗を確認できる。実際に今年2月初めからクルド原油が、中央政府の管理する戦略パイプラインに送油されており、その量が日量11.5万バレルに達している事も④で述べられている。 し、③にある発言は、中央政府がKRGでの石油開発に対し経費を支払うことが、KRGが独自にIOC 但と締結しているPS契約を認める訳ではないとも発言しており、以前からシャハリスターニ副首相が主張しているKRGのPS契約を中央政府が締結しているサービス契約に準ずるものに書き換えるべきとの路線からの変化は確認してない。これまでは、戦略パイプラインにて輸出されているクルド原油のマーケティングはSOMO(中央石油省参加の石油販売公社)が担い、販売益はすべて中央政府の国庫歳入となり、KRGに利益が直接還元される仕組みにはなっていない。 ルドでの石油開発に於いて肝心の外国石油会社への支払いは一部経費に限られている模様で、中 ク央政府はIOCへの報酬等は支払わない様である。さらに、KRGがIOCと締結していると言われている生産分与契約に関してそれらを承認するつもりがない旨も述べている。以前よりシャハリスターニ副首相は、KRGがIOCと締結している生産分与契約(PS契約)は違法なので、まずKRGは契約内容を中央政府に開示し、その内容を基に中央政府の承認を得るためにサービス契約に修正されるべきであるとの立場である。ちなみに、現在、石油省がIOCと油田開発契約を締結している12案件の契約形態はすべてサービス契約となっている。 上記⑥の開発会社の選定方法に関する発言に関してあるが、シャハリスターニ副首相は、KRGがクルド地域で開発に参入するIOCを不透明なプロセスで選定し随意契約している現状を牽制しつつ、今後IOCと石油権益に関する直接交渉をしないとの方針を示している点も注目に値する。この方針は、ある国若しくは組織がイラクに対し特別な貢献をしたことへの引き換えに石油権益を供与される可能性を否定し、権益の付与は公開入札に於ける報酬額等特定のパラメーターのみで決定されることになることを意味する可能性がある。ちなみに、これまでイラク政府は、油田開発に関してアフダブ油田開発のみで入札のプロセスを経ない随意契約をCNPCとのみ締結している。 方で、昨年10月の業界紙によるシャハリスターニ副首相(当時石油大臣)へのインタビューに 一? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 翌「て、キルクーク油田、バイハッサン油田、東バグダッド油田のような第一次・第二次入札で契約が締結されていない油田に関し、PQ(事前資格審査)通過企業が、もし石油省が入札時提示した報酬額を受け入れるのであれば契約を締結する用意がある旨述べていることもあり、特定の条件下での直接交渉の余地は残されていると推察している。また、シャハリスターニ副首相等の発言にもある通り、今年11月にイラク南西部で未探査の12鉱区を対象とした第4次入札を実施すると発表しており、イラクでの石油関連事業へのIOCの参入の余地はまだまだ残されている。 らに生産目標に関しても⑧⑨の通り言及しており、これまで同副首相は、2017年までに日量最 さ大1200万バレルの生産を達成する旨強気な発言を繰り返していたが、それを「生産量の最大化ではなく、国家歳入を最大化する」と公言した点は新しい。IOCとの契約にある目標値を足し上げると約日量1100万バレルになるが、見方によっては、当発言は生産目標の下方修正であり、目標値の達成を盛り込むIOCとの開発契約の性質に反する。場合によっては、IOCより契約上の生産目標値の修正を求められる可能性もある。但し、5月8日のシャハリスターニ副首相発言に関する報道では、イラクは日量1200万バレルの生産〝能力”目標を引き下げるつもりはなく、(IOCと)既契約案件の生産目標変更の再交渉を行う意向がない旨発言している。 の10年間に日量5-600万バレルを達成できる旨の発言は、IOCとの契約の問題を別にして、あ 次る程度現実路線に軌道を修正してきているものと感じられるが、現在は設定されていないOPEC生産枠の問題、原油輸送インフラ建設事業の遅れ等、生産目標を達成するためには乗り越えなければいけない課題がある。また仮にそれら課題を克服し、日量300万バレル程度の追加増産に成功したとしても、その量は日本での1日の消費量の約8割に匹敵し、大量のイラク原油の追加供給を適切な油価を維持しつつ世界の原油市場が吸収できるのかという疑問が残る。 クルド石油開発の最新の動き ●最新の動きとして、バルハム・サーレハKRG首相は、中央政府がクルド原油輸出分の対価の一部をKRGに送金した旨発表している。同発表によると、中央政府からの支払いはクルド原油輸出分の純利益の50%で、2億4300万米ドルであり、今年2月初めから3月27日まで500万バレル以上出荷? 7 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 オた分に対しての支払いである旨説明している。また、3月27日から4月29日までの間は、13.5万 バレル/日出荷しており、本年末までに20万バレルまで増産したいとしている。更に、当支払いは、最近のKRGとマリキ首相、石油相、財務相間の原油収入の分配に関する暫定合意に基づくものであると発表している。ちなみに、イラクの石油開発に於いて中心的な役割を担っているシャハリスターニ副首相の名前を声明からは確認できない。 方、近くクルド地域で石油開発に関わるIOCに対して、生産に要した資金の一部が支払らわれる 一とも報じられている。クルド地域のタウーケ油田で操業しているDNO社(ノルウェー)幹部は、近日中に同社がクルド地域政府より1億1000万米ドルを得ることになる旨発言している。 れらクルドでの石油開発に係る直近の動きは、これまでクルドでの石油開発は違法であるが、ク こルド原油が出荷されていることもあるので現地で活動するIOCが所要したCapital Investment Cost(設備投資費用?)を精査した上で支払うとていたシャハリスターニ副首相の立場とは、若干の食い違いを見せている点が気になる。今般のクルド原油出荷に対する中央政府の支払いは、あくまでクルド原油輸出益の半分を中央政府が支払うという意味である。また、DNO社幹部の発言等も含めて考えてみると、クルド政府はクルドでの石油開発によって中央政府からの17%予算配分以外に、約1億ドルの資金を中央政府から得ることになる。 クルドでの石油開発事情と課題 ●最新のイラク石油省発表(今年2月の実績)による原油輸出量は、北部輸出ルートで日量49万バレル、南部輸出ルートで日量171万バレル、 合計日量220万バレルとなっている。南部でのBPによるルメイラ油田開発、ENIによるズベイル油田開発では既に初期開発目標が達成された模様で、当座日量10万バレル以上の増産体制が敷かれており、既存のインフラでは既に輸出能力がほぼ飽和状態に達しているとみられる。一方で北部輸出ルートには、まだ40万b/d程度の余剰輸出能力があるとみられる。つまり、ここ数年間緊縮財政に苦慮しているイラク中央政府は、輸出能力の余剰のある北部輸出ルートを利用してクルド地域からの原油を出荷し、それが国家歳入の増収につながることを期待している。 ? 8 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 黷ワでのシャハリスターニ副首相の発言によると、中央政府の対応はクルド地域でのIOCによる こ石油開発をある程度黙認し、戦略パイプラインへの送油を認めるものの、中央政府による費用負担は必要経費のみで、利益分(若しくは原油現物で)の支払いは行わないとの方針とみることができる。しかし、このような仕切りになると、クルド原油の販売益は国家収入となり、国家予算から国内の人口比率によってクルド地域に配分される歳入になるので、KRGは同地域のみでの歳入増を狙った独自開発によるメリットを失ってしまう。 稿末尾の【参考】にあるイラクの主要油田地図をみても分る通り、イラクの油田群は南部および 本北部の一部地域に集中しており、生産中の巨大油田のほとんどは南部バスラ県に集中しており(北部のキルクーク油田を除く)、直近の中央政府からKRGへの支払いが事実とすれば、バスラ県等が新規開発油田に関してクルド同様の対応を中央政府に求める可能性を否定できない。このことは、今のところ大規模油田が発見されていないイラク中西部のアンバール県等石油資源に恵まれない県との経済格差を生むことになり、これまでイラク憲法の規定通り、石油収入は地域の人口比によって適切に国民に分配されるとの大原則を揺るがしかねない。 れまでKRGは、国家予算の17%の配分を受け中央政府から恩恵を受けており、現在のクルドから この日量10万バレル程度の生産は、イラク全体の4%に過ぎない。KRGとしても現段階での生産量が十分な資金の確保、エネルギー安全保障の確立に繋がらず、地域内からの生産のみに頼るメリットは低いとみているのではないか。地域内での天然ガスも含めたエネルギー資源の増産が、直ちにクルド民族の念願といわれているクルディスタンの独立、建国議論の惹起につながるとは考えられないが、今後域内での生産量を増やしていくと自国内でクルド人問題を抱える隣国のトルコ、シリア、イランの政治的な警戒感を次第に高めることになることが懸念される。 た、クルドが、原油を輸出するためには、地中海、ペルシャ湾等の海上ターミナルに向け、隣接 ま国のパイプラインを経由し輸出することが必要不可欠であることから、前述の通り自国内でクルド人問題を抱える隣接国がこれをどこまで許容するかも鍵となる。 ? 9 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 。後、クルドでの石油開発がイラクの内政やトルコをはじめとする周辺国との外政による影響を受けどのように進捗していくか不透明な部分が多いが、クルド石油開発の最新の動きでも記述したとおり、クルド地域で原油を生産した対価がIOCに支払われるという動きが確認できる。 のような事情もあることから、今後、クルドでの石油開発に関心のある企業が特に注目すべきポ こイントとしては、①中央政府からKRG、IOCへの支払いがどのような仕組みで安定的に実行されるか、②シャハリスターニ副首相のクルド地域での石油開発に対する動向、③未制定の新石油法の枠組みの行方、④バスラ県やアンバール県の反応、⑤戦略パイプラインの伸びるトルコ政府の反応が鍵になっていくとみているところ、その動向を注視していく必要がある。 以上 ? 10 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 y参考】イラクの主要油田地図 ? 11 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油企画調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 中東
国1 イラク
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラク
2011/05/27 西村 昇平
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