ページ番号1004142 更新日 平成30年2月16日

ロシア: ロシア北極海ではヤマルLNGがシュトックマンLNGよりも先行か

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レポートID 1004142
作成日 2011-06-23 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者 本村 真澄
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年度 2011
Vol 0
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抽出データ 更新日:2011/6/16 石油調査部:本村真澄 公開可 ロシアはLNG事業の拡大を志向しており、特に欧州よりもアジア市場重視を目標に掲げている。 ・Yamal LNG計画は、ヤマル半島北東岸に位置する埋蔵量44兆cfと中規模のYuzhno Tambeyガス田を主ソースとするもので、生産量は年間1,500-1,660万t、2016年の生産開始を目指す。当初は2018年頃の生産開始を目指していたものを、他国のLNG計画との競争を意識し大きく前倒しした。 ・FEEDは2012年末頃に完了し、最終投資決定は2013年になされる見込みである。 ・これはロシア北極海では先行していたShtokman LNG計画が3年遅れる見通しとなったことから、ヤマルLNG計画が代替措置として、2番手の計画としてより優先的に位置づけられている可能性がある。・計画は2009年9月に外国企業に案内され、Total(20%参加)、Shell、ONGC等が交渉中である。外国企業にとっては、今後の新規LNGの一つとして確保しておく戦術と思われる。 ・但し、カラ海は冬季結氷することから、LNG輸送には困難が伴い、プロジェクトの実現性に疑問も。 ・一方で、ティマン=ペチョラのガスをバレンツ海岸で小規模ながらLNG化するPechora LNG計画が発表されるなど、北極海でのLNG事業への関心は高く、今後積極的な展開も予想される。 ・シア: ロシア北極海ではヤマルLNGがシュトックマンLNGよりも先行か ロ . ロシアのLNG政策の見直しとYamal LNG (1)ロシアのLNG戦略 1Gazpromはヨーロッパ市場のガス需要の4分の1をパイプラインにより供給して来たが、更にLNG供給を上乗せし、市場を世界に広げる戦略である。具体的には、サハリン-2、Shtokman、Yamal等でのLNG事業を立ち上げることで、2030年までに世界のLNG市場の25%のシェアを占めることを目標としている1。 しかし、2009年には米国のシェールガス大増産の影響で米国向けのスポットLNGが欧州市場に振り向けられたことにより、欧州へのLNG供給が22%伸びた。これにより、欧州市場にパイプラインで輸出して来たGazpromは、石油製品連動価格という値決め方式や、長期契約に固執するあまり、カタール等(及びノルウェー)にかなりそのシェアを奪われる結果となった。ロシアの天然ガス生産は、この年対前年 1 IOD, 2009/6/24 ? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2.4%減2となり、開発作業中のヤマル半島のBovanenkovガス田は生産開始を1年後ろ倒し、計画中のバレンツ海のShtokmanガス田の開発計画は3年も後ろ倒しされることとなった。米国のシェールガス生産の伸びは著しく、この年ロシアは天然ガス生産第1位の座を米国に明け渡した。全体に窺えるのは、ロシアの天然ガス政策の動きの鈍さである。 ロシアが遅れを取る中、ライバルとなるカタールは、2010年には当初の目標である容量7,700万tのLNG生産設備を完成させ、2011年にはフル生産となる見込みである。外部からのGazprom批判の中には、LNG市場はGazpromが追いつけないほど急激に発展しており、Gazpromはむしろヨーロッパ市場での現在のシェアを維持できるか否かを心配するべきとする見解や、LNGは今や世界規模のビジネスになっており、Gazpromが将来世界の25%のシェアを得る可能性は低いことから、外国のプロジェクトの権益を取得する方が得策であるといった見解がジャーナリズムでも紹介されている3 。 (2)Yamal LNGの発表とShtokmanガス田の動向の係わり このような状況の中、2009年9月24日、プーチン首相は世界のLNG関係企業をヤマロネネツ自治管区のSalekhard市に招集した。参加した企業はShellをはじめExxon Mobil、E.On、Eni、三井物産、三菱商事、ConocoPhillips、GDF Suez、Kogas、Petronas及びSuncor Energyである。ここでは、新規事業としてYamal LNG計画が公表され、プーチン首相は、ロシア政府はヤマル半島での巨大ガス開発を奨励するために税制優遇措置を検討する用意がある旨述べた4。 この2009年9月というタイミングは、Shtokmanガス田のLNG計画が大きく停滞した時期と重なる。2009年に入り、金融危機からの欧州でのガス需要の落ち込みが深刻になる中で、Gazpromは投資計画の縮小を余儀なくされたが、4月の段階ではBovanenkov、Shtokman、Nord Stream等の主要プロジェクトは継続するとし5、特にShtomkanに関してはそれまで2009年末とされていた最終投資決定(FID)を2010年第1四半期にずらしたものの、ガス輸出は2013年、LNG輸出は2014年からという当初の方針を堅持していた6。更に、5月には三井物産の参加が発表された7。 しかし9月に入り、Shtokmanガス田の開発を延期せざるを得ないといAnakenkov副社長やう 2 IOD, 2010/1/12 3 Bloomberg. 2010/8/04 4 IOD, 2009/9/25 5 IOD, 2009/4/10 6 IOD, 2009/5/29 7 IOD, 2009/5/15 ? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 olubev副社長らGazpromの要人発言が相次ぐようになり8、10月にはTotalのde Margerie社長が生産開始時期が2015~16年にずれ込む可能性に言及した9。10月16日にはロシア科学アカデミーエネルギーリサーチ研究所(ERIRAS)のTatyana Mitrovaセンター長が、Shtokmanガス田の開発の第1段階は2013年-2014年から2017年-2018年に変更すべきとの考えを示した10。 そして、2010年に入って2月5日、Stokman ガス田のオペレーターとなっているGazprom、Total、Statoilの3社が、最終投資決定の時期を2010年から2011年へ、パイプラインによるガス生産開始を2013年から2016年へ、LNGによる供給開始を2014年から2017年へとそれぞれ延期すると発表した11。操業会社であるShtokman Development AG (SDAG) は、Shtokman開発の第1段階をLNG生産抜きで行う可能性を明らかにした。その理由として、欧州へは天然ガスパイプラインにより輸出することが主たる目標であること、現下のスポットLNGの価格が低迷していることを挙げている12。 しかしながら、Shtokmanガス田の延期の理由として、金融危機の影響を受けた欧州のガス市況を挙げる一方で、新規のLNG事業をヤマル半島で立ち上げている訳で、これは恐らくShtokmanのLNG事業に固有のリスク13があることを糊塗する為の言い訳である可能性がある。即ち、実態上はYamal LNGがShtokman LNGより優先的なプロジェクトと位置付けられている様に思われる。 2011年に入り、「Yamal LNG事業は、Shtokman事業よりも早く進められるだろう」とシュマトコ・エネルギー相は述べた14。Yamal LNGの生産開始は2016年を想定しており、Shtokmanの2017年という計画よりも当然ながら早い。しかし、ShotkmanのLNG計画には実施しないオプションもあることから、この発言には優先度の変更という意味合いが込められているものと思われる。 2011年3月に予定されていたShtokmanガス事業のパイプライン経由のガス輸送に係る最終投資決定(FID)は3月中にはなされず、4月に入ってGazpromの Valery Golubev副社長が年内に行われる 見通しを述べた。これは、基本的な事業計画から優遇税制に至る多くの未解決事項なため、遅れていると説明されている15。 8 IOD, 2009/9/15, Interfax, 2009/9/15 9 IOD, 2009/10/02 10 Interfax, 2011/10/16 11 Interfax, 2010/2/05 12 Interfax, 2010/2/18 13 LNG生産を行う場合のガスの陸上への輸送方法についても意見が一致していない。Totalは生産されたガスをコンデンセートと分離せず600kmのパイプラインを多相流で送る方式を主張しており、一方Gazprom Dobycha Shelfは海上プラットフォーム上でのガスの処理を主張している(IOD, 2010/4/20)。 14 Interfax, 2011/3/11 15 IOD, 2011/4/08 ? 3 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Q.ヤマル半島のガス田開発 (1)ヤマル半島と永久凍土帯 Yamalとは、ネネツ語で「世界の果て」を意味する16。平均気温は-2℃、半島全体が永久凍土地帯に属し、極めて平坦な地形で、頻繁に海水が浸入する。地表の80%は湖沼、河川に覆われる。植生はコケ類が主体となる。半島南部を除いて定住民はなく、北部では夏季のみトナカイの放牧がなされる。 ロシアの永久凍土の分布を図1に示す。東シベリアでは北部のかなりの地域が連続永久凍土帯(Continuous Permafrost)に覆われるが、西シベリアの主要部には永久凍土は分布せず、主力ガス田のあるNadym-Pur-Taz地域で分散永久凍土帯(Dispersed Permafrost)に入り、ヤマル半島の付け根部分から北方が連続永久凍土帯に入る。掘削作業、或いはガスの滲出に伴う熱は永久凍土に大きな影響をもたらし、一方地上設備やパイプラインは永久凍土に起因するダメージを受けやすい。永久凍土対策はヤマル半島開発に特有の問題と言える。 図1 北半球における永久凍土の分布。Pewe(1972)17による。 16 Bloomberg. 2010/8/04 17 Pewe, Troy L.(1979), Permafrost Reviewed, Geotimes, July 1979, p.21-23 ? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i2)ガス田開発における永久凍土の対策 永久凍土の厚さは平均250mで、掘削に当たっては掘削泥水との接触時間を最小限とするために、一気に掘り抜け、直ちにケーシングをセットする必要がある。また、ケーシングには断熱材を埋め込んだ断熱パイプ(heat-insulated pipe)を用いる。1970年代には、Bovanenkovガス田の開発時の掘削で大規模な溶融を引き起こし、溶融した水が2年間に渡って「泉」となって湧出した事例が報告されている18。 更にパイプラインの敷設において、永久凍土の問題はより深刻である。Brouchkov & Griva (2004)19は、パイプラインと凍土の相互作用の代表的な例として、以下を挙げている。冬季ではパイプライン周囲の溶解層が凍結することにより「凍上」(未凍結部分から凍結面に水分を吸収したり,土中の水が凍結することにより自重等の外圧に抗して地盤が膨れ上がる現象)し、パイプラインが破壊される。夏季には季節的な溶融部がパイプラインの周囲に形成され、土質の軟弱な地域ではパイプの浮上が起こる。永久凍土の温度は西シベリアの南限域では0℃から-3℃、北部で-5℃であるが、パイプを通過する天然ガスの温度が周囲よりも高いため永久凍土の融解・変形が生じやすい。これにより、ガスパイプラインには水平・垂直方向の変位が生じ、応力腐食(部材に応力が加わった状態で腐食環境に置かれたとき、腐食環境にない場合より急速に亀裂が発生、成長して破断に至る現象)によるパイプの破壊が起こる。パイプの破壊は天然ガスの漏洩を引き起こす。その他、河川の存在が凍土の条件を更に複雑にしている。これらの永久凍土の対策として、パイプラインに送り込む温度自体を0℃付近まで下げる(chilled gas)方式としたり、特にコンプレッサーを通過した後は、圧縮によりガスの温度が上昇することから冷却ユニットを併設する等の方法がある。 3)北極海における氷象とLNG輸送問題 冬季に結氷しないバレンツ海に比べ、ヤマル半島の面しているカラ海は冬季に結氷する。2009年3月の北極海の氷の分布を図2に示す。これが最も大きな違いである。LNGタンカーを耐氷仕様とし、砕氷船をエスコートさせることにより、結氷時にもある程度の航行は可能であるが、厳冬期の2カ月は困難である。更に、Yamal-LNGはヤマル半島の東岸にあり氷の厚さは西海岸より更に厚いと言われる。氷海でのLNG船の航行問題がどの程度検討されているのか不明である。 ( 18 モスクワ在住のコンサルタント・レポートによる(2009/3/25) 19 Brouchkov, Anatoli & Griva, Gennady, 北方ロシアのパイプライン:パイプラインと永久凍土の相互作用に係る問題の概要、日本雪氷学会誌 雪氷 66巻第2号, p.241-249, 2004年. ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }2 2009年3月時点における北極圏の氷の分布状況。バレンツ海はメキシコ湾流の影響で冬季も結氷しないが、東隣のカラ海は結氷する。(出典:National Snow and Ice Center、Boulder) 4)ヤマル半島の資源ポテンシャル Yamal LNGの供給ソースとなるユジノ・タンベイ(Yuzhno Tambey)ガス田は、ヤマル半島の東岸に位置する(図3)。埋蔵量は44兆cfと、西シベリアでは中クラスのガス田群のひとつに過ぎず、特段注目されることもなかったが、LNGの対象ガス田に選定されることで俄か注目されだした。現在、最終投資決定に向けてスタディが実施されており、2012年第1四半期に完了の予定である。2012年の生産開始を目指して現在開発の進められているBovanenkovガス田に続き、北極圏において2番目に先行するプロジェクトとなっている。 (西シベリアにある従来の生産地域でのガス生産が衰えつつあることもあり、ロシアは現在距離的に遠く、技術的にも困難と言われるヤマル半島の開発を推し進めている。Gazpromによれば、ヤマル半島のガス埋蔵量は陸上の確認埋蔵量が16兆m3、予想埋蔵量が22兆m3、その他の合計で50兆m3となる可能性もあると言われる20。「2030年までのロシアのエネルギー戦略」においても、2030年にはロシア全体のガス生産量の30%を担うとされ、Urengoy、Yamburg、Medevezhe等嘗ての主要ガス田のあるNadym-Pur-Taz地域が押し並べて減退する一方で、これに取って代わる主要ガス田地帯に位置付けられている。 20 IOD, 2009/9/25 ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 T)Yuzhno Tambeyガス田開発の計画 LNGのソースとなるYuzhno Tambeyガス田は、1974年に発見された。埋蔵量はC1+C2=1兆2,560億m3(44兆cf)で、定義としては30兆cfを超えており超巨大ガス田となるが、西シベリアとしては中堅クラスと言える21。 (NovatekはYuzhno-Tambey鉱床において2011年に探鉱井を3坑掘削する計画で、2010年末には掘削活動に入ると報道され、ガス田開発は既に始動している状況である22。 図3 ヤマル半島近辺の天然ガス開発の現状とLNG基地の位置(JOGMEC作成) ? 7 ? 21 Interfax, 2009/8/20 6)追加ガス田 (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 amal LNGのソースには、他に近隣でGazpromが保有するZapadono(West)-Tambey鉱区及びSevero(North)-Tambey鉱区からもガスの供給を受けることとなっている23(図3)。 2011年にはヤマル半島における新たな4鉱区のライセンスを交付する予定で、このライセンスの取得にはYamal LNG保有するNovatekが最も有利と見られる24。追加されるのは、Severo-Obsky、Vostochno-Tambey、Salmanov及びGeofizicheskyの4 鉱区である。Severo-Obsky及びVostochno-Tambeyの2鉱区はカラ海のOb湾にあり、Salmanov及びGeofizicheskyの2鉱区はヤマロ-ネネツ自治管区にある。C1+C2埋蔵量は石油1,060万t、ガス7,670億m3、コンデンセート2,340万tと推定される。Severo-Obsky鉱区のC3+D1埋蔵量は1兆5,400億m325である。 3. Yamal LNG計画とその実現性 (1)Yamal LNG計画の策定 Yamal LNGの生産規模は1,500-1,600万t/年と報じられている26。これは、サハリン-2の年間生産能力960万tを大きく上廻る規模である。 Novatekは2011年第1四半期にpre-FEEDを終えた。2012年末または2013年初めにFEEDを終え、2013年に最終投資決定(FID)を行う計画であり、予定通りいけば、同鉱床内におけるLNGプラントの建設は2015-2016年に完了する見通しである27。当初は2018年頃の生産開始を目指していたのを、大きく2年前倒しの計画となっており、他国のLNGとの競争状況を強く認識した対応と思われる。 Yamal LNGプロジェクトの初期設計(FEED)業務については、エンジニアリング及び建設大手のChicagoBridge&Iron(CB&I)が請負う。スタディの完了は2012年第1四半期を予定している28。 2)LNG計画の経済性に関する議論 詳細は、Novatek社の実施しているFEEDの結果を待つことになるが、現状ではこのLNG計画の経済性に関しては、疑問を呈する向きが多い。 (Yamal LNG事業における環境保護や社会貢献費を除いた事業コストが、Rb8,500億($276億)を超 22 Prime-Tass, 2010/8/26 23 Interfax, 2009/5/29 24 IOD, 2010/12/09 25 Interfax, 2011/12/07 26 IOD, 2011/2/03 27 Prime-Tass, 2010/8/26 28 IOD, 2011/3/22 ? 8 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ヲると報道されている。LNGの輸送船の建設だけでも約Rb2,640億が必要とされており、これが総事業費の約3割を占め、コスト押し上げ要因となっていることから、LNG事業の採算性に関してVedomosti紙は疑問視している。UniCreditアナリストArtem Konchinは、ロシアの永久凍土地域におけるLNGプラント建設には、先行投資として多額の設備投資が付きものであり、引き続きNovatekのYamal LNG事業についてはゼロ価値評価であると述べている29。 経済上のメリットと言われているのが、アジア市場向けの北極海航路を活用し、LNGタンカーの輸送日数を縮小できる点であるが、(4)に述べるように2010年の試験航海の結果を見ても、砕氷船の雇用等の費用が別途発生するためにコスト面での効果は僅かなもので特段のメリットは得られない。 唯一LNGでのメリットとして、寒冷地であるという点が挙げられる(図4)。LNGは-162℃で生産されるため、温暖な外気はより大きな冷却のエネルギーを要する。寒冷地であることは、低い外気温を前提とすることから設備を簡略化でき、LNG製造のための電力コストもその分低く抑えられる。このため、LNG生産にとってメリットとなる。但し、寒冷地における設備全体の建設費自体も引き上げられることから、この効果は限定的と思われる。 図4 LNGプラントにおける最大LNG生産量の季節変化。 ? 9 ? 29 IOD, 2010/9/08 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i3)マーケティング部門へのGazpromの参入 は2010年3月23日、GazpromのMiller社長とNovatekのLeonid Mikhelson社長がヤマル半島の南Tambeiガス田のLNG事業で基本合意し、Yamal LNG社がLNGを製造し、Gazpromの子会社Gazpromexportが輸出を、コンデンセートの販売はNovatekが行うこととした30。 Gazprom、当初このLNG事業を遂行する積りで、2008 年11 月にはExxonMobilとConocoPhillipsをパートナーに考えていると報じられていたが31、その後LNG事業に参加しないこととなった。今回、LNG事業のリスクは避け、既にGazprom Makertin g & Trading Co.の活動実績でGazpromが確立しているLNGマーケティングのみを引き上ることとなった。またこれは、2006年制定の「ガス輸出法」第3条1項に定めたGazpromの独占的なガス輸出権に基づく決定でもある。 4)北極航路によるアジア市場の確保 Novatekはエネルギー需要の高いアジア市場向けのコンデンセートおよびLNG輸送の新たなルー (トとして、北極海航路の利用計画を推し進めている。これは、北極海の氷が縮小している昨今の傾向を踏まえ、北極海からベーリング海峡経由でアジア市場を目指すもので、2010年にはNovatekはコンデンセートを積んだタンカーを使用して北極海で実験航海を行い、大いに話題となった。2009年にもNovatekは、白海のVitino港からのルート経由でもアジア市場向けコンデンセート輸送を行っている。 北極海航路によるNovatekの7万tのコンデンセートを積んだタンカーは、2010年8月14日ムルマンスク港を出港し、25日には北極海で最も東にあるPevek港に一旦立ち寄り、27日にはベーリング海峡を通過して太平洋に出て、9月6日には中国の浙江省寧波に到着した(図5)。のべ22日間の行程で、従来のスエズ運河経由の45%の期間に短縮できた。但し、2隻の砕氷船をエスコートさせる必要があり、全体の輸送コストは15%の節約に止まった。 これにより、将来的に北極海航路が中国やアジア・太平洋諸国向けの輸送航路として利用される可能性が拓け、ヤマル半島や北極海大陸棚における油・ガス田開発に係る新たな物流オプションが提供されることになるとNovatek側は強気に語っている32。 但し、この航路が活用できるのは夏季の2カ月のみであり、全体の経済性を大きく押し上げる効果には乏しい。むしろ、アジア市場重視の姿勢を国際的に 30 Kommersant, 2010/3/26、IOD, 3/29 31 Upstream、2008/11/18、11/21 32 IOD, 2011/9/08 ? 10 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Aピールするためのパフォーマンスと見るべきであろう。 図5 北極海航路での搬出ルート(2010年の試験航海における航路、JOGMEC作成) 2011年においてもNovatekは、大西洋と太平洋の間を通る最短の海洋ルートである北極海航路を利用して、タンカー数隻分のコンデンセートを輸送する予定である。タンカー数はアジア市場における需要により決めることになる。 Novatekは、主に中国のガス需要が高まりつつあることから、アジア市場を将来的な天然ガスおよびLNGの最も有望な市場の1つとして見ており、Mark Gyetvey CFOは、Novatekはヤマル半島に建設予定のプラントから生産されるLNGについても北極海航路を利用した輸送を計画していると述べている。 輸送準備が進められる中で、2月2日にNovatekはロシアの原子力艦隊を運航するAtomflotとヤマ? 11 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 渠シ島および北極海ルートの安定的で安全な輸送経路を協力して開拓することで合意した。この協定に基づき、Novatekがヤマルのガス田において陸上施設を建設するために必要な資機材の搬入に係る安定的なルートの開拓をAtomflotが支援することになる。当面は、Vitino港から出航するNovatekの耐氷船をAtomflotの砕氷船が先導することになる。両社は、将来的に同ルート経由でAtomflotの原子力砕氷船を利用してLNGを輸送していく計画である33。 6)Yamal LNG社の株主の変遷 Yamal LNG設立を巡る経緯は酒井(2010)34に詳しい。 その後Gennady Timchenkoの保有するGunvor社が同社を保有していたが、2009年6月にNovatekがGunvorから51%を$6.5億で獲得した。更にNovatekは3年間で23.9%を$4.5億で追加取得できるオプションがある。Novatekは最近、Vatrux Enterprises Ltd.の保有するYamal LNGのブロック株25.1%についても2012年7月1日までに取得するオプションで合意した35。 (2009年の経緯をやや詳しく見ると、以下の通りである。 Novatekの取締役会は、2009年5月26日にSouth Tambeyガス田の探鉱・生産ライセンスを保有するYamal LNG社の権益51.5%の取得を承認した。Novatekはこれらの株式を、Gunvorの共同創設者Gennady Timchenkoが主要株主である投資ファンドVolga Resourcesの関係会社であるInnecto Ventures社や、その他Orsel Consultants、Aldi Tradingの計3社から受け取る。 一方、翌5 月27 日にはVolga ResourcesがNovatekが間接的に管理しているCartagena DevelopmentからNovatekの権益を買い取り、それまでの5.07%から18.2%に増やした。即ち、等価交換による一種の権益の相互乗り入れが行われている。同じ日にGennady TimchenkoはNovatekの取締役に選出されている36。 2010年第1四半期、Gazprombank傘下でキプロス登記のSiritia Ventures Ltdが保有していたYamal LNG社のブロック株25.1%が、同年第2四半期末現在ではVarix Eneterprises Ltdという会社に株主が変更されていた。Gazprombankの2009年会計報告(国際会計基準)によれば、同社は2009年4月にYamal LNG社の株式25%をRb26億で売却している37。多くの企業が、素性を隠すようにダミ 33 IOD, 2011/2/03 34 酒井明司(2010)「ガスパイプラインとロシア-ガスプロムの世界戦略」東洋書店、256p. 35 Interfax, 2011/6/08 36 IOD, 2009/5/28 , Interfax, 2009/8/20 37 Interfax, 2010/7/14 ? 12 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 [会社を通じて株式を取得しており、複雑な背景があるものと思われる。 2011年3月、エネルギー省 石油ガス生産・輸送部の前副部長であったSergei KhrushchevがYamal LNG社の社長に就任した。これは、同プロジェクトがロシア政府の強い意向のもとに進められていることを強く示唆するものである。また元Novatek-Tarkosaleneftegazの技術部長であるAlexander Matveyevskyは、Yamal LNG社の第1副社長兼技術部長に就任している38。 なお、2011年3月の時点で、TimchenkoはNovatek株の23.49%を、社長のMikhelsonは27%を保有していると報じられている39。 .ヤマルLNGに対する政府の支援-「ヤマル半島におけるLNG事業開発総合計画」 2010年10月18日にPutin首相により署名された「ヤマル半島におけるLNG事業開発総合計画」によれば、Novatek率いるヤマル半島のLNG事業に対し税の優遇措置が適用される可能性がある。ヤマル半島におけるLNG用のガス抽出税は免税となり、適用期間は①生産開始から12年間、または②累積生産量が2,500億m3に達するまでとなる見込みである。付随して生産されるガス・コンデンセートについても抽出税が免税となり、①生産開始から12年間、または②累積生産量が2,000万tに達するまで当該措置が適用される。 4また、エネルギー省、財務省、経済発展省庁、連邦関税局とその他関連政府機関は共同で、ヤマル半島から生産されるコンデンセートおよびLNGに係る輸出税の免税措置案を提出することが指示された。一方、燃料・エネルギー政府委員会に対しては、未分配鉱区のライセンス付与を含む、現在ヤマル半島において設立されつつあるLNG生産センター向けの資源基盤の拡大を目的とした対策を確実に導入するよう指示されている。ヤマロ=ネネツ自治管区の地方政府機関に対しては、地方に帰する連邦税を含む優遇税制の適用を検討することが提言されている。連邦および地方政府機関にはヤマル半島におけるインフラや生産施設の建設用地の譲渡手続きの迅速化や、専門家による審査や許可証の発行に要する時間の短縮が求められている。なお、エネルギー省は、これら対策の実施に係る進捗状況を4半期毎に取りまとめて政府に報告することになっている40。 これを受けて、2011年6月、エネルギー省は、鉱床開発を促進するために、ヤマル半島において生産されるガス・コンデンセートの輸出税の免税を提案した。さらに同省は、LNG用に生産されるガスおよ 38 Interfax, 2011/6/08 39 IOD, 2011/3/04 40 Interfax, 2010/10/18 ? 13 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ムコンデンセートに係る抽出税の免税、及びガス・コンデンセートの回収率を上げるために地層に再圧入されるガスの抽出税の免税の法案を既に下院に提出している。また同省は、石油の可採埋蔵量500万t未満で、油田成熟度(既生産量/可採埋蔵量)が5%以上の小規模鉱床に対し、石油抽出税の減税措置を講じることは適切であると判断し法制化を目指している。また、東シベリアおよびカスピ海北部の油田に係る石油輸出税の減税措置の継続を併せて提案しており、ガスが主体と見られていたヤマロ=ネネツ自治管区における石油抽出税の免税措置の法制化についても提言している41。 一方、バレンツ海で操業するShtokman Development AGは、2011年2月、生産開始時期の2016 年は堅持するものの、2018年にずれ込む可能性があると下院で証言した。また、Interfax紙に対してはヤマル地域に適用されている輸出税の優遇税制と同等の措置の適用を政府に求めると述べた42。生産の遅れというのは、政府に対する脅しである可能性もあるが、税制に関しては政府のヤマル優先の不公平な姿勢にいら立っている様子とも見える。 2009年9月のSalekhardでの会議に際してDmitri Peskov首相報道官は、Yamal LNGにおける外国企業との提携は、技術の交換であると同時にLNGの生産、輸送、市場開拓であると考えていると述べた43。 2010年7月、NovatekのLNG事業開発部長Yevgeny Kotは、Yamal LNG事業の権益51%はロシア側が保有し、49%は技術や資金提供を行う3~4社の外資企業が保有することになると「ウラル連邦管区におけるカタールとの経済関係の発展に係る会合」の席で延べた。Totalの参入については、パートナー誘致に係る通常の手続きが行われており、Totalは関心を示している様々な企業の内の1社であるとした。またカタールについてNovatekは、大規模LNGプラントの建設経験や潤沢な資金力に関心を持っていると述べた44。 2011年に入って、「Novatekはパートナーに譲渡するYamal LNG事業の権益について、まとまった権益を1社に譲渡し、その他のパートナーには少数株式を譲渡する計画である」とMark Gyetvey CFO.外資の参入状況 (1)Novatekの外資の導入方針 5 41 Interfax, 2011/6/03 42 Interfax, 2011/2/17 43 IOD, 2009/9/25 44 Interfax, 2010/7/14 ? 14 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ェ語っており、主要な外資を1社に絞る方針とした。権益取得を希望外資側の関心は主に埋蔵量の取得、或いは市場での販売権の取得である。パートナーは2011年末までに決定される。 現状で、最も積極的に参入を希望しているのはShellとTotalである45。 Totalは、ロシアにおける石油生産を、2020年までに現行の約30倍となる日量30万バレルまで引き上げる計画である。ガスも含めると、石油換算で日量40万バレルとなる。所有する資産としては、ティマン=ペチョラのKharyaga油田(40%)46、バレンツ海の Shtokmanガス田(25%)、 ロジェクト(20%), 西シベリアのTermokarastovoye(49%), カスピ海のYamal LNGプ 45 Interfax, 2011/2/02 46 Kharyagaプロジェクトは、PS法が制定される前の1995年12月に、サハリン-1、サハリン-2とともに、Total (その後TotalFinaElf) とロシア連邦、ネネツ自治区との間でPS契約が締結されて始動した。契約の締結に際して、Totalは100%シェアの内45%をNorsk Hydroにファームアウトした。PS法は翌1996年に成立したが、プロジェクトのPS契約の発効に関しては、外国石油企業側はこの油田からの原油輸送、及び輸出に関して確約が取れるまで慎重であった。 PS契約はサハリンよりも遥かに時間が掛って漸く1999年1月に発効した。この時自治区政府の子会社であるNenets Oil Companyに対して、TotalとNorsk Hydroはそれぞれ権益の5%を譲渡した。ロシアの燃料エネルギー省が、本プロジェクトの原油輸出を認可したのは、同年8月のことである。 油田の生産開始は1999年10月になってからで、当初の生産量は1万bbl/dであった。PS契約により、生産原油は全量輸出が認められていたにも拘らず、バルト海向けのパイプラインを管理・運営するTransneftが石油生産者の平等アクセスの原則のもとに割り当てた運送量の枠は、生産量を大きく下回るものであった。 2001 年1月になって、TotalFinaElfとNorsk Hydroはそれぞれの10%の権益をLukoilに譲渡したが、この時期再選を果たしたVladimir Butov知事はこれに激しく反対していた。最近まで、コンソーシアムとネネツ州政府との関係は必ずしも円滑ではないと伝えられている。 2001年末に稼動を開始したバルト・パイプライン・システム (BTS) はUsa油田までであったが、150km北方のKharyaga油田まで延長された。 ? 15 ? 2)Totalの参入状況 1)Totalのロシア戦略 (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 hvalynskaya(17%)の5油ガス田とNovatekの12.08%($40億で取得)である47。 2)Novatekの権益取得 2011年3月2日、Medvedev大統領はTotal社長Cristophe de Margerieとの会談で、ロシアにとってTotalグループやフランスは重要な戦略パートナーであり、Gazpromとの契約は明確な契約条件に基づくもので、事業の成功を期待すると語り、国としてTotalへの明確な支持を表明した48。 同日、TotalはNovatek株の12.08%を$40億で取得することで合意した。1年以内に同社の権益を15%まで、3年以内に19.4%まで増やすことができるオプションも保有する。MOU-1では、Yamal半島のYuzhno Tambeyガス田(44Tcf)の開発に参加し、MOU-2ではTotalがYamal LNG事業(年間1,500万t超、2016年第1トレーン稼働開始)の20%を取得する。交渉は本年7月決着の見込みである49。 Totalは、Yamal LNG事業とShtokman事業を含むロシア国内で計画されるその他のLNG事業とは、相互に補完するもので、競合するものではないとしている。特に、Shtokman事業での経験を、Yamal事業に適用することができるとし、開始時期が重なることは考えていないとしている。Totalによれば、Shtokmanガス田はTotal分が10万boe/dとなるが、Yamalの9万boe/dより先に実現するとしている50。 一方、Novatekの主要株主であるLeonid Mikhelsonは、Totalが持つ複雑な石油・ガス事業の実施経験やLNG市場における国際的な存在感が、Yamal事業全体の業績や計画通りの時期での実施に繋がることを大いに期待していると語っている。 TotalはNovatekの権益をGennady Timchienko(保有率:23.49%)とMikhelson(27%)から取得するとしている。なお、両氏はGazpromがGazprombankに売却したNovatekの株式9.4%($19.6億)の取得オプションを保有している51。 Yamal LNG事業の権益に対するTotalの支払額は明らかにされていないが、Shtokman事業よりは明らかに良い取引となるものと見られる。なぜならば、Shtokman事業の場合は、Gazpromがライセンスと販売権を持ち、事業パートナーは操業会社の権益しか保有できないが、Yamal事業の場合は、ラ 47 IOD, 2011/4/27 48 Interfax, 2011/3/02 49 PON, 2011/3/03 50 PON, 2011/3/03 51 IOD, 2011/3/04 ? 16 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Cセンス保有会社の権益を取得できるからである。 TotalはYamal LNG社の権益を49%保有するTimchenkoとPyotr Kolbinから取得することになるが、両氏は残りの保有権益についてもその他の外資パートナーに売却する見込みであり、Novatekは年内にその他のパートナー3~4社を選定する計画である 2011 年6 月になって、TotalのYves-Louis Darricarrere探鉱・生産担当副社長が、VEBのVladimir Dmitriyev会長の後任としてNovatek取締役会のメンバーに加わる見通しとなった52。 2)Shell 2010年5月、ShellはNovatekによるヤマル半島でのLNG事業への参入に名乗りを上げている (3)インド企業の参加 インド紙Hindustan Timesの報道によると、Yamal LNGの権益の一部が入札に付され、ONGC、Petronet及びGAILで構成さる企業体が、NovatekのYamal LNGの権益15%に対し$34億を提示した54。NovetekはインドのLNG市場へのアクセスが得られる可能性がある。 (その後の報道では、前記とは別の組み合わせのインドの企業3社(Gail、Gujarat State Petroleum Co. Petronet LNG)がGazpromの子会社Gazprom Marketing and Trading Singaporeと、年間最大750万t(各社年間250万t)のLNG供給に係る長期契約の覚書を締結した55。後者のコンソーシアムにおいては、ONGCは入っておらず、替りにGujarat州の石油企業が入っている。残りの2社は共通である。これは、インドにおけるLNG調達が如何に喫緊の要事であることを物語っている。インドの需要家の立場は、当面はトレーディング会社からLNGを融通してもらい、中期的には新規のLNG事業に出資して行こうという政策と解される。 と同社の事業開発担当副社長Aidan Murphyが語った53。 4) カタールの関心 カタールのQatar Petroleumもパートナー候補として検討されている56。 ( 52 Interfax, 2011/6/03 53 MT, 2010/5/20 54 MT, 2011/5/30 55 Vedomosti, IOD, 2011/6/03 56 Interfax, 2011/2/02 ? 17 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 010年7月14日、Nikolai Vinnichenkoウラル連邦管区ロシア連邦大統領全権代表の主催で、ウラル連邦管区とカタールの経済関係発展に係る会合が開催された。これにはチュメニ州およびヤマロ=ネネツ自治管区の知事やロシアの駐カタール大使、GazpromやNovatek、GazpromNeft、Rosneftの代表者が出席した。カタールとの協力で最も現実的なのはヤマル半島におけるLNGプラント建設事業である。カタールが海外投資を行う場合は事業の共同所有者となり、JVの取締役会に1席は得たいとすることが強調された57。 2010年11月2日~4日にカタール首長Hamad bin Khalifa Al Thaniがロシアを公式訪問し、11月3日にロシア-カタール首脳会談が行われた。カタール側はGazpromに対し、カタールのNorth Fieldにおける生産能力7,700万t/年のモラトリアム終了後の上流事業およびLNG事業への誘致を提案した58。 .その他のロシア北極圏でのLNG計画-「Pechora LNG事業」 2010年7月、バルセロナで開催された第10回世界LNGサミットの席でCH-Oil & Gaz社長Vyacheslav Pershukovが、2015年までにAlltechグループの子会社CH-Oil & Gazが開発するバレンツ海沿岸における「Pechora LNG事業」を開始すると発表した。更に、これはShtokmanやYamal LNGといった大規模事業が進められる前にバレンツ海の大西洋地域でLNG技術が試されるまたとない好機であると強調した。 6ネネツ自治管区には63億m3/年のガス生産ポテンシャルがあるにもかかわらず、市場がないため生産されておらず、そのガス埋蔵量をPechora LNG事業により商業化することが可能になる。Alltechはネネツ自治管区内に2鉱区を保有しており、DeGolyer and Mac Naughtonによる国際基準の両鉱床の確認埋蔵量は19年間のLNG生産を可能とする800億m3であり、推定埋蔵量は同じく24年の生産を可能とする1,100億m3となっている。 第1段階における生産ポテンシャルはKumzhinskoye鉱区で10億m3/年、Korovinskoye鉱区で32億m3/年と小規模なものである。両鉱床からのガスは、Naryan Marに設置されるガス処理施設からLNGプラント(処理能力:42億m3/年、LNG換算300万t/年)が設置されるバレンツ海沿岸のIndigaまでパイプラインで輸送される計画である。バレンツ海から太平洋までの輸送コストは$1.8~2.5/MMBtu 57 IOD, 2010/7/18 58 Novosti. 2010/11/01 ? 18 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ニ見ている59。 2.(3)に述べた通り、氷の条件はバレンツ海の方が、カラ海よりも遥かに恵まれている。LNG船も通年の輸送が容易である。埋蔵量に懸念がないならば、事業の実現性は高く、外資から技術・資金を誘致するのも容易と思われる。事業計画は小規模であり、発表は唐突になされ、現状では政策当局からの支援はみられないが、この事業計画は、欧州市場を目指すという点で若干新規性に乏しいが、他のガス鉱床を有する企業に刺激を与えるものと思われる。 (了) 59 IOD, 2009/12/04 ? 19 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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2011/06/23 本村 真澄
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