ページ番号1004150 更新日 平成30年2月16日

石油開発におけるHSE動向

レポート属性
レポートID 1004150
作成日 2011-07-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般技術
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2011
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 石油開発におけるHSE動向 作成日: 2011/7/15 石油調査部: 伊原 賢 公開可 昨年4月に発生したメキシコ湾での掘削リグの暴噴および原油流出事故以来、石油天然ガス開発の安全性、環境保全技術の信頼性などについて疑問が投げかけられました。幸い、この事故を直接の原因とする安定供給上の問題は生じなかったものの、世界の潮流として石油天然ガス開発における安全対(世界石油工学者協会SPE、JOGMEC石油調査部資料ほか) 策、環境対策などがより強く意識されています。 本報告では、このような認識のもと、保安(Safety)と環境調和(Environment)の両面から、石油開発の最新動向例を紹介し、「石油開発の現場や石油天然ガスの安定供給にどのような影響を与えつつあるの3月11日に発生した福島原発事故後の混乱の中で、我々はエネルギーミックスをうまく活用して、電力需要も抑えつつ、震災後の経済活動の立て直しと持続性のある社会を実現できるのでしょうか? 石油や天然ガスは、エネルギー源の価値を決める最も本質的な基準である「エネルギーの産出/投入比率」が20倍~100倍と、石炭・原子力や再生エネルギーと比べて高いため、産業革命後の人口爆発、エネルギー消費増大を支えました。公衆衛生インフラは整備されることとなり、暖衣飽食で清潔な生活の一翼を担ってきたのです。しかしながら、化石燃料にはCO2問題や資源量を心配する向きがあります。 石油や天然ガスが、安全と環境保全の思想に立脚した経済合理的なエネルギー源であることを検証するためには、表1に示すような「エネルギー論議のための10の重要ポイント」を認識する必要があると考えます。CO2削減に関して、現状では原子力に代わる魔法の杖など存在せず、低炭素化社会実現に向けての課題解決は容易でありませんが、同時にエネルギー源の活用については、工夫の余地も大きいと思います。 本資料では、このような認識のもと、保安(Safety)と環境調和(Environment)の両面から、石油開発の最新動向例を紹介し、「石油開発の現場や石油天然ガスの安定供給にどのような影響を与えつつあるの1/13 か」を考えてみたいと思います。 . はじめに 1Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ゥ」を考えてみたいと思います。 表1 エネルギー論議のための10の重要ポイント (出所: カナダのピーター・テルツァキアンに基づき、石井彰作成) 2. 保安面からの動向例(BPメキシコ湾事故から1年余り) 事故は昨年4月20日、石油メジャーBPが操業する海底油田掘削施設で起こりました。海面から5,500メートル(海底まで1,500メートル、海底からさらに4,000メートル)の地層まで鉄のパイプを設置し、一時的にパイプにふたをする作業をしていたところ、地層からのガスが急上昇し、海底の安全弁(BOP)も突破し、施設の発動機に引火、炎上したのです。作業員11人が死亡し、爆発で複雑に折れ曲がったパイプ3カ所から原油が流出しました(図1)。 図1 メキシコ湾油流出事故発生後の海底からの漏油箇所(2010年5月3日) (左から右に: 海底に横たわるライザーパイプの端、ライザーパイプから突き出た掘管、BOPの損傷部分) (出所: 各種資料を基にJOGMEC石油調査部作成) 2/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ャ出現場が深海だったため、実際の作業には遠隔操作ロボット(ROV)などが使われました。BPはパイプに泥を注入するなどの対策を取り、7月15日にやっと流出は止まりました。米政府は事故発生から約5カ月後の9月19日に、初めて正式に油井封印を発表しました。BPは対策費用を112億ドルと計上、公表しています。 BPは作業ミス、機器の故障など8つのトラブルが重なったと昨年12月に報告しました。本来であれば、1つミスが起きても他の対策によって補うはずが、事故防止策がすべて機能しないような形でミスが重なったのです。今年1月に米政府の事故調査委員会は、事故原因についてBPに加え、作業コントラクターの責任も問う報告書を公表しました。米政府などによると、昨年7月15日までに流出した490万バレルのうち、洋上への吸い上げ、回収、焼却、海中分散が約半分。流出したのは揮発性の高い油だったため、残り半分は温かい海水などに影響されて蒸発したと考えられています。 過去最悪といわれる今回の事故も、世界のエネルギー市場にそれほどの影響は及ぼしていないといわれます。「原油が1バレル100ドル程度で取引されているのに対し、大水深開発のコストはバレル当り30~35ドル(図2)。再生可能エネルギーと比べても安い。米政府としても、雇用確保やエネルギー自給の観点から、事故を理由に開発を止めることは難しい」と関係者は分析しているからです。内務省は、ルールを順守し十分な原油流失時の対応能力を示すことを前提に、事故に伴う掘削停止措置を昨年10月に解除しました。 IEA、SPE資料を基にJOGMEC石油調査部作成) (出所: 図2 原油の可採埋蔵量と採算コスト 今度のメキシコ湾の事故で、国際エネルギー機関IEAは、2030年の段階で、規制強化によって、世界の海底油田から日量90万バレルぐらいの産出量が抑制されるだろうと推定しています。今後、中国やインドの石油消費量が大きく伸びていくと見られる中では痛手でしょう。 3/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 膜フは、オバマ政権にとって最悪のタイミングで起きました。アメリカは原油流出による汚染の心配があるという理由で、80年代の前半から、海底油田の掘削を一部規制してきたのですが、オバマ大統領がこの規制を解除した3週間後に事故が起きてしまいました。そのオバマ大統領。昨年6月に行ったテレビ演説では、この事故をきっかけとして、持論である「石油中毒から脱却しよう」と訴えました。環境に優しいクリーン・エネルギーへの移行を「攻撃的に加速する時が来た」という大統領の主張でした。 石油業界がこれだけの環境汚染を引き起こしたのだから、化石燃料からの脱却を目指す方向にアメリカが動くのではないか、というのが我々第3者の考えですが、現実にはそうは動かないようです。事故の当事者のBPに対しては、非常に厳しい懲罰的な規制がかけられるでしょうが、アメリカ社会が現実にクルマ社会で化石燃料に依存した社会である以上、海底油田の開発制限にしても、限定的な規制しか掛けられないと言うのが現実でしょう。 オバマ大統領が就任したのはまさに金融危機が始まったばかりの頃でしたが、そこからアメリカ合衆国を再生させる手段として「新ニューディール政策」ということをさかんに言いました。最終的には “脱石油”をめざすというものですが、現実問題として当分の間は石油に頼らざるを得ず、それも大水深、すなわち深海の油田開発が中心ということになると思います。今回の事故を教訓に技術サイドからは、掘削作業には「油田発見」という成果を拙速に求めない、安全第一を肝に銘じた掘削作業手順や機器管理方法の確認と実践(ベストプラクティス)が関係者間で再認識されると思います。 3. 環境調和面からの動向例 (1) 石油生産現場におけるゼロフレアおよび省エネ化 太陽からの吸収熱の増加が地球温暖化につながるという理屈があります。この要因である温室効果ガスの濃度を地球のエコシステムが破壊しない程度に保つには、温室効果ガスの排出量を今後5 0 年の間に60~90%削減することが望ましいと、世界中で活発な議論がなされています。温室効果ガスのうち、大気中のCO2 濃度は産業革命前の288ppmから現在380ppmにも達しています。この濃度増加は、産業や人間の活動が起源であるというのが通説です。 世界の温室効果ガスの排出を短期間に半減するなどの非現実的な目標を立て、無理な対策を拙速で講じると、取り返しのつかない大きな副作用を引き起こすおそれ(例えば、無理なダイエットで体をこわすこと)があります。数値目標をいたずらに競うのではなく、現実を正しく理解した上で、持続可能社会実現に向けた合理的解決策を冷静に模索し、準・低炭化水素社会を経て低炭素社会へ緩やかにソフトランディングする道筋を示すことが大事です。 温室効果ガスの排出削減対策には、省エネの推進やエネルギーシステムの高効率化、天然ガスなどの低炭素エネルギー源へのシフト、原子力や風力・太陽光などの再生可能エネルギー、森林のCO2 4/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ナ定化といった技術的方策と、炭素/環境税や排出権取引など市場原理を機能させる経済的かつ政策的方策が検討されています。 温室効果ガスの排出削減という問題解決に有用なコンセプトとツールとして、石油の生産現場では、「ゼロフレア 図3」と「生産操業の省エネ化」が挙げられます。 図3 ナイジェリア: フレア現場でクッキーを焼く女 (出所: 世界銀行GGFR) そのツール適用に関して中心的な課題のいくつかの本質を考察し、解決の方向性を実例とともに解説が試みられています。エネルギー消費率は、現場での生産開始から終了までの間に徐々に増え続け、色々なイベントによって上げ下げの効果があります(図4)。 図4 石油生産現場でのEnergy Intensity(エネルギー消費率)に影響を与えるイベント 「石油生産現場におけるゼロフレアと省エネ化」への取り組み方について、2010年に世界の石油業界のPWRI: Produced Water Recycle Injection 5/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 9名(オペレーター18名、サービス会社10名、政府・NGO6名、コンサルタント3名、大学2名)に対して実施したインタビュー結果から、次のことが判りました。 「石油生産現場におけるゼロフレアと省エネ化」は80%以上が重要と回答。 ② 環境規制・戦略のトレンドは55%がより厳しくなっているとの回答。 ③ 京都プロトコルとCDMの重要性は70%が余り影響を受けないと回答。複雑なCDMスキームがその背景に ①④ ⑤ ある。 「ゼロフレアと省エネ化」へのモチベーションは規制と経済性で80%以上の回答。 CCS(CO2地下貯留)以外で排出削減に寄与する技術の対象としては、既存機器のエネルギー効率向上(省エネ)52%、随伴ガスの現金化22%が挙げられる。 ⑥ 排出削減に寄与する技術の課題は、既存インフラの整備コスト、排出削減の必要性、ガス価、ガス性状、ローカルなガス市場。 ⑦ 排出削減に貢献する会社としてはIOC(国際石油会社)が中心的役割を担う。 (2) シェールガスの衝撃 エネルギー需給の逼迫懸念や技術の進歩に伴い、地下からの回収が難しいと考えられていた「非在来型」の天然ガスがシェールガスを中心に注目を浴びています。開発ブームの先駆けとなった米国では、膨大な量の”眠れる資源”の開発が天然ガス供給量を大幅に押し上げ、エネルギー市場の展望を一変させました。 非在来型天然ガスには、現状、砂岩に含まれる「タイトガス」、石炭層に吸着された「コールベッドメタン」、そして泥岩の一種である頁岩(シェール)に含まれる「シェールガス」という3つの開発対象があります(図5)。08年には米国の1日当たりの天然ガス産出量の50%が非在来型ガスとなり、世界中のエネルギー関係者に衝撃を与えました。 図5 天然ガスの資源量トライアングル 6/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 巣Gネルギー情報局(EIA)は今年4月、シェールガスの「原始埋蔵量(地下に存在する量)」と「技 米術的回収可能資源量(技術的に地上まで回収可能な量。但し、市場に出回る経済合理的な回収量である確認可採埋蔵量は、これより小さい)」をそれぞれ25,300兆立方フィート、6,622兆立方フィート(図6)と推定しました。これまで採掘されてきた在来型天然ガスの世界全体の確認可採埋蔵量が約6,600兆立方フィート(2009年末)、年間の天然ガス消費量106兆立方フィート(08年)と比べるといかに膨大な量かが判ります。シェールガスの登場によって世界の天然ガスの可採年数は、少なくとも100年を超えるのは確実になりました。 図6 世界のシェールガスの技術的回収可能量(2011年4月) 欧州のシェールガス・ポテンシャルは技術的回収可能量が639兆立方フィートとされ、スウェーデン、ポーランド、ハンガリー、英国、ドイツ、フランス、オーストリアなどで開発評価が進められています。 コールベッドメタンは、石炭化(湿地帯に繁成していた植物が死んで堆積し、長い年月をかけて地下の圧力と地温の影響を受けて石炭へと変化する過程)が適度に進み、採掘に適した石炭層(瀝青炭、無煙炭)を陸上に有するオーストラリア、インド、インドネシアを中心に開発が進んでいます。タイトサンドは米国において40年もの生産実績があります。在来型ガス生産実績のある堆積盆地近くで見られ、90年代7/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 謔閭Jナダ・オーストラリア・メキシコ・ベネズエラ・アルゼンチン・インドネシア・中国・ロシア・エジプト・サウジアラビアほかで開発が進んでいます。 米国のテネシー州とアラバマ州にまたがるチャタヌーガ堆積盆地では、これらの非在来型天然ガスの3点セットすべてが確認されています(図7)。 図7 非在来型天然ガス資源の賦存環境(米国のチャタヌーガ堆積盆地) 非在来型天然ガスが初めて登場したのは1980年代の米国です。連邦政府や各州は産業用向けのガス使用拡大を目指し、砂岩から見つかったタイトサンドガスの開発を州税の控除対象としました。タイトガスの開発に当たっては、垂直に掘った井戸に水圧で割れ目をつくることでガスを産出させました。最近は炭酸塩岩・火山岩・石炭層・シェールの開発にも税控除が拡大し、多彩な技術が適用されるようになってきました。 北米を中心に90年代初頭にはコールベッドメタンにも注目が集まりました。その効果があって、米国の生産余力は86年に日量160億立方フィートまで膨らみ、その後2000年に至るまで「ガスバブルの時代」を迎えたのです。バブル期の95年にはガス価格は百万BTU(英熱量単位)当たり1.58ドルまで下がり、需要の伸びに伴って生産余力は40億立方フィートまで落ち込みました。このため、米国の天然ガス消費の拡大をどう支えるかが課題となりました。 2000年に入ると、米国は液化天然ガス(LNG)の輸入を念頭に入れつつ、旺盛な国内需要に応えるための救世主としてシェールガスの開発に邁進していくことになります。非在来型ガスの開発では、主要技術である水平坑井、水圧破砕ほかも進歩しました(図8)。 8/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }8 水平坑井と多段階の水圧破砕のイメージ 1つの坑口位置(地下へ井戸を掘削する地上の場所)から複数のガス産出層にタコ足のように伸びる井戸も出現しました。さらにガスが流れる割れ目に関する情報を少しでも多く得るために、割れ目そのものを観測し、その成長や広がりを把握することも可能になりました。開発技術の一見地味だが、たゆまない進歩が、20世紀までは地下からの回収が困難と考えられていた巨大なガス資源を呼び覚ましたのです。 シェールガスの開発は米国の中堅企業により主導されてきました。だが、シェールガスは非在来型ガスのなかでもほとんど手つかずの状態で、資源量も膨大であることから、大手石油会社も続々と参入しています。 その背景には高い収益性があります。08年に石油メジャーの英BPや米エクソンモービルのガス生産量は前年比マイナスでした。一方で米国の中堅石油企業のチェサピークやアナダルコ、XTOエナジーは前年比2桁の伸びを示しました。この差はシェールガスを取り扱っているかどうかにかかっていると言われています。 このため、石油メジャーは開発技術の取得を目指し、中堅企業との連携を活発化させました。09年末にエクソンモービルはXTOエナジーを約4兆円で買収し、業界関係者を驚かせました。この巨額の投資によって、米国のシェールガス開発に関するノウハウを欧州の新規事業へ展開するのが狙いだと見られています。ときを同じくして、ガス大手のデボン社は、メキシコ湾の深海にある優良な油田「カスケード、ジャック、セントマロ」(可採埋蔵量3億~9億バレル)を13億ドルで売却し、その資金を米国内のシェールガス開発に振り向けると発表しました。 非在来型ガスの開発ラッシュは、米国以外にも世界的な展開を見せています。まずはカナダ、欧州、9/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ?曹ネどへの普及が注目されるところです。世界の非在来型ガスの生産レベルは、08年で1日当たり石油換算400万バレル強とLNGの市場規模と拮抗しながら上昇を続けています(図9)。 図9 世界の非在来型天然ガスの生産レベルはLNGの市場規模と拮抗 一方で、シェールガス事業は収益性も高いが、投資もそれなりに必要です。このため、企業が開発を進めるには資金面での強力なパートナーが求められます。日本の商社も増大する生産量に注目し、海外の石油企業などと共同で09年に参入を始めました。井戸1本当たりの生産量はそれほど多くないが、パートナーの協力を得て、大きく広がっているシェールガス鉱床に何千本もの井戸を掘れば、生産量の飛躍的な伸びが期待できます。シェールガス開発は、LNGと比べてガス生産を始めるまでの時間が短く、市場の動きに合わせて生産量の調整も容易であり、事業者にとって魅力のあるビジネスモデルなのです。シェールガスは今や、政治的な後押しも受けており、開発リスクの低い資源になりました。 世界のエネルギー市場を沸かせた非在来型ガスだが、開発の課題となってくるのが環境への影響でしょう。他の資源開発と同じように、それは「開発推進派」と「環境派」の攻防として顕在化しています。最大の問題は、シェールガスの開発業者がガス井の掘削し、岩盤に割れ目をつくる際に懸念される帯水層汚染です。帯水層とは地表付近の水源で、飲料用水もそこから汲み上げられます。このため、とりわけ人口の密集した環境であれば、汚染リスクへの不安が高まり、開発を妨げる要因となるのです。また開発に必要な水の確保はコスト面からも容易ではありません。開発規制や検査、関係機関との調整などリスク軽減は欠かせません。水質汚染リスクをはじめ、これらの問題を克服したうえでシェールからの安定的なガス生産も可能となるでしょう。 10/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ン来型のタイトサンドガスは、09年末に米国の天然ガスの統計分類で「在来型ガス」に組み入れられました。これはタイトサンドガス生産量が増加し、もはや開発が難しい「非在来型ガス」ではなくなったからで、在来型と同じ土俵で勝負できることを意味します。シェールガスもタイトサンドガスと同じような技術を使って取り出すので、将来的には、非在来型から在来型の天然ガス資源として扱われる可能性が高いのです。 非在来型ガスの普及は世界の天然ガス市場にも変化をもたらすでしょう。例えば、LNG・パイプライン輸送ガスの長期契約価格は現在、石油価格に準拠して決められています。欧州では、市場取引のスポット価格と長期契約価格の乖離が大きくなり、ドイツなどの需要家を中心に石油価格準拠の廃止を求める声が上がっています。これは構造的問題と言えるでしょう。今後欧州にシェールガス革命が伝播すれば、天然ガス市場は飽和状態となり、スポット価格の低下は避けられません。そうなると、価格形成の矛盾は決定的なものとなるでしょう。海外から長期契約でLNGを輸入する日本にもその恩恵が波及してくるかもしれません。 21世紀に入ってシェールガスがもたらした天然ガスの供給力拡大は、世界に衝撃を与えました。環境への影響に細心の注意を払いながら開発を進めることで、需要の拡大する世界のエネルギー事情に新たな選択肢を加えることになるでしょう。 (3) CO2による採油増進法とCO2地下貯留の実践的側面 CO2濃度の削減策として、石油工学の見地から期待される技術に、CO2による採油増進法(CO2-EOR/Enhanced Oil Recovery 図10)とCO2地下貯留(図11)があります。 図10 CO2による採油増進法のイメージ 11/13 (出所: SPE) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 図11 CO2の貯留対象となる地層イメージ IPCC、2005年) (出所: O2による採油増進法とCO2地下貯留は、地質評価、地層コアを用いた室内実験、現場での小規模 C(パイロット)試験、フィールド試験という確実なステップを踏んで、CO2の物理的特性と地層特性との関係を明らかにし、行うことで初めて実施できるものです。一部の人が言う温室効果ガス削減の特効薬的期待には、慎重でち密な技術の適用が裏付けとして必要なのです。技術のみならず、経済性検討やCO2圧入終了後のモニタリング技術の進歩も望まれるところです。石油工学者としては、CO2-EORにて得た知見や経験をもとに、地中に貯留させたCO2をリークさせない環境保全への慎重な対処を実現するためには、技術の進歩に貢献する責務があります。 12/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 . まとめ 石油開発に携わる者は、「エネルギーで生活を支え、地球を守る石油開発活動」を人々に認知してもらうために、保安ならびに環境対策による安全・安定、かつ環境に出来るだけ優しい「石油開発活動」を実施し、また、アピールしなければなりません。 参考資料> <(cid:122) 石油学会 月刊誌ペトロテック「石油開発のHSE -BPメキシコ湾事故から1年-」、2011年4月 (cid:122) JOGMEC石油・天然ガスレビュー「メキシコ湾油流出事故の技術的考察と海洋石油開発へのインパクト」、2010年11月 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=201011_025a%2epdf&id=3699 JOGMEC石油・天然ガスレビュー「HSE:石油生産現場におけるゼロフレアおよび省エネ化」、2010年9月http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=201009_039a%2epdf&id=3661 JOGMEC石油・天然ガスレビュー「シェールガスのインパクト」、2010年5月 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=201005_015a%2epdf&id=3574 JOGMEC石油・天然ガス資源情報「CO2による採油増進法とCO2地下貯留の実践的側面」、2009年12月 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0912_out_co2eor_ccs%2epdf&id=3472 (cid:122) (cid:122) (cid:122) 以上 13/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 北米
国1 米国
地域2 アフリカ
国2 ナイジェリア
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 北米,米国アフリカ,ナイジェリア
2011/07/15 伊原 賢
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。