ページ番号1004156 更新日 平成30年3月5日

ロシア:ユーラシアの東西で稼働開始するロシアからの天然ガス・パイプライン -ノルドストリームと極東パイプライン、南回廊の動きは?

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レポートID 1004156
作成日 2011-07-26 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 天然ガス・LNG探鉱開発
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2011
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2011/7/14 石油調査部:本村真澄 公開可 2011年はロシアの東西で同時にガスネットワークが完成する年となる。ユーラシアの東西で石油・ガスのパイプラインネットワークを拡充する政策は、プーチン政権2期目の掲げられたもので、これらは、基本的に計画通り進展している。 ・ロシアの極東地域では、ハバロフスクとウラジオストックを繋げる「極東ガス・パイプライン」が今年9月に完成し、ウラジオストックへ年間60億m3のガス供給が開始される。 ・次いで東シベリアChayandaガス田からウラジオストックまでの輸送が2017年までになされる。 ・バルト海底で工事が進められていたNord Streamは、予定より早く5月に全てのパイプの敷設を終了した。パイプラインの稼働開始は10月を見込み、年間275億m3のガスがドイツ向けに輸出される。 ・Nord Streamは、福島以降の世界的な脱原発の潮流を受け、今後天然ガス需要の増加すると見られるドイツ等への供給を拡大するもので、時期を得た事業開始となった。 ・Nord Streamの稼働開始により天然ガスの主要な通過国であったウクライナの立場は相対的に低下した。ウクライナは、South Streamの建設を避けるべく通過パイプラインの改修を急ぐ。 ・South Streamに関して、EUからは否定的な対応は影を潜め、Gazpromに対しては独占排除だけを要求している。通過7カ国の政府間合意が出来ており、支線建設のJVも設立され、EdFが10%、Wintershallが15%参加の方向である。 ・Nabuccoパイプラインは計画が更に遅れ2013年工事開始、2017年稼働開始となった。TAP, ITGIというより小規模のパイプライン計画が競争者として存在し、EU等はこれらとの計画統合を主張している。 ・ -ノルドストリームと極東パイプライン、南回廊の動きは? シア: ユーラシアの東西で稼働開始するロシアからの天然ガス・パイプライン ロ. ロシアのパイプライン政策と進展状況 Gazpromは世界規模でのエネルギー・プレーヤーを目指している。それは、単なるアジアシフトにと 1どまらず、新規にアジア向けのガスフローを開拓してゆくとともに、伝統的な欧州市場も更に拡充して行くという二正面作戦である1。 ロシアの石油パイプライン政策に関しては、2004年5月のプーチン大統領(当時)教書において、以下の通り述べられている-「ロシアという国では、個々の地域が政治・経済の中心地から遠 1 World Gas Intelligence, 2011/7/06. “Gazprom eyes Asian Growth, Stable Europe” ? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ュ離れているという地理的に特殊な条件下にあり、インフラの整備・発展こそが一つの統一国家に住むことの利点を保証する。そして、パイプラインなどの輸送システムを高度に発達させることにより、ロシアの地理的な特殊性を、逆に競争力のある長所に転換できる」2。即ち、輸送インフラを更に整備することにより、石油・ガス輸出を増加させ市場を拡大するという戦略である。 そしてこの教書では、具体的な石油パイプライン計画として、バルト・パイプライン・システム(BPS)、東シベリア・太平洋パイプライン(ESPO)、ボスポラス迂回パイプライン等を列挙し、次いで天然ガスの輸送システムに関して、先ず国内のガス供給網を発展させると同時に、北ヨーロッパ向け天然ガス・パイプラインシステムを最も重要視している。ロシア東部向けについても、パイプラインを更に拡充する必要性を指摘している。 1 ユーラシア北部の天然ガスパイプラインネットワーク(2011年6月時点、JOGMEC作成) 図 2 Annual Address to the Federal Assembly of the Russian Federation, May 26, 2004, President of ? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 アこで指摘を受けた2つの主要天然ガスパイプラインである東方向けの「極東」パイプラインと西向きのNord Streamとが、奇しくも今年の秋、プーチン演説から6年目にユーラシア大陸の両端でほぼ同時に完成する。石油パイプラインで必要性が指摘されていたESPOパイプラインは、一部鉄道区間を残しているが既に2009年末に稼働を開始した。ロシアの政策当局において、これらの幹線パイプライン建設は、極めて高い優先度で進められているが、将来的な石油・ガスの輸出増を目指すロシアとしては、輸送インフラの拡充は必須の作業であり、極めて順序立った取り組みが整然と進められている。 2009年7月31日に工事開始となったSakhalin-Khabarovsk-Vladivostok(SKV)ガスパイプラインは、2月末の時点で第1期のKomsomolsk na Amure-Vladivostok間の総延長1,350km中1,216kmの溶接が完了しており、1,100kmの単線部分の90%については敷設が完了していた3。そして、7月11日、同パイプラインの1,333km即ち総延長1,350kmの99%が溶接を完了したとGazpromが発表した。更に1,277kmでパイプの埋設が完了している4。 2011年秋には竣工の予定であったが、工事の進捗は予定より早く進み、9月には完成の予定と言われている。ウラジオストックの石炭火力発電所は、天然ガス発電に置き換えられ、給熱も天然ガスによるガス化(gasification)が進められる。川崎重工のガスタービン発電機は既に現地に設置されている。 (2)ソースガスについて 2011年6月に入り、ExxonNeftegazは、サハリン-1で生産されたガスの販売方法として7つの方法をエネルギー省主催の会議においてロシア側に提案した。この会議にはRosneft・Gazpromも参加した。その中にはパイプライン経由での中国向け供給・サハリン若しくはロシア本土でLNG化を行う等の方法が含まれていたが、これらは採用されず、結果的に基本方法として採用されたの Russia, Office Web Portal, http://www.kremlin.ru/eng/speeches/2004/05/26/2021_64906.shtm 3 Gazprom Press Release, 2011/3/06 4 Gazprom Press Release, 2011/7/11 ? 3 ? . 「極東」(SKV)パイプライン(表1、図2参照) (1)事業の進捗 2Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ヘExxonNeftegaz案とは別の、サハリン-1のガスに「輸出要素(export factor)」5を織り込んでGazpromに販売するというエネルギー省案であった。これは満場一致で採用された。サハリン-1産ガスの販売価格については合意に達していない。なお、サハリンにガス化学施設を建設する案件については会議の出席者全員が反対であった。6 次いで、6月21日、Gazpromとして2011年にSakhalin-1事業からのガス購入契約を締結したい考えをAlexander Ananenkov副社長が表明した。Gazprom側の説明では、ExxonNefteGaz側もGazpromへのガス売却を望んでおり、Gazpromは国内市場向けにガスの全量買取りを計画しているという7。 パイプライン 操業開始 事業者 供給ガス田 埋蔵量 積出し地点 ターミナル 総延長 容量 総費用 SKV (Sakhalin- Khabarovsk- Vladivostok)-I SKV (Sakhalin- Khabarovsk- Vladivostok)-II - GazpromSakahlin 1(?) 2011年9月 GazpromSakhalin-1(?) 4,850億m3(17.1兆cf) 同左 Komsomolsk-na-AmureVladivostok 1,350km 60億m3 $66億 Sakahlin 1 Vladivostok 1,800km 300億m3 $44億 YKV (Yakutia- Khabarovsk- Vladivostok) 2016年 Gazprom Chayanda 1.24兆m3(43.8兆cf) Chayanda Vladivostok 3,000km SKVと併せて472億m3 - 表1 「極東」パイプラインの概要、Sakhalin-Khabarovsk-Vladivostok(SKV)及び Yakutia-Khabarovsk-Vladivostok(YKV) 5 この具体的な内容に関しては不明。 6 Interfax, 2011/6/08 7 Interfax, 2011/6/21 ? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 }2 「極東」パイプラインの内、Sakhalin-Khabarovsk-Vladivostok(SKV)ガスパイプラインと Yakutia-Khabarovsk-Vladivostok(YKV)ガスパイプラインを示す。 2006年3月のプーチン大統領(当時)の訪中で、ロシアから中国へ、西ルート(Altai)で年間300億m3、東ルートで年間380億m3のガス輸出が合意されが、その後細目で一致できず、交渉は2009年から再開された。その時の見込みでは、2011年央には最後の協議事項となったガス価格でようやく合意すると言われていた。 6月16日のMoscowでの露中首脳会談で、ガス価格に関して「条件について最終調整」との扱いになり、合意の先送りがあきらかになった8。その後、ロシア側は現実的な価格として$350/1,000m3を、中国側は$235/1,000m3を主張したとロシア・ガス協会のValery Yazev会長・兼下院副議長が述べ、ガス価格に関する両者の主張が$100/1,000m3以上も隔たったままであったことを明らかにした。但しロシア側には、中国は2030年までに2,500億m3/年を輸入することに3)露中天然ガス交渉 ( 8 日経、2011/6/16 , IOD, 2011/6/17 ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ネり、両国の協力は必然的なものとの楽観的な見方もある9。 その後、Gazpromは、$7,000億規模ともいわれる長期ガス供給契約交渉の中で最大$400億の前払い金を求め、新たな事態の展開を見せている。Interfax紙はCNPC関係者の発言を引用してGazpromが$250億の前払い金を求めていると報じ、Vedomosti紙はロシア政府関係者の発言を引用してその額を$400億と報じた。Vedomosti紙の記事によると、Gazpromは契約締結後パイプライン建設の前に前払い金を支払うよう求めているが、CNPC側にはそれを支払う現金については銀行からの借入れによるため金利が発生する。また、露中間の提示価格差は$100/1,000m3あったが、それは6月の胡錦濤国家主席の訪露前に$65/1,000m3に縮まったと、先の報道と食い違いを見せている。GazpromとCNPCの次の協議は7月後半に中国で行われる10。 RosneftとTransneftもESPO中国支線建設前に中国開発銀行から”Loans for Oil”と言われる$250億の融資を受けているが、今回の交渉ではGazpromは”Loans for Gas”は求めないと繰り返し発言して来た。今回明るみにでた$400億はCNPC自身による前払い(down payment)であって 中国開発銀行による融資とは異なるものであるが、Gazpromが何故、CNPCにとってより対応の取り憎い条件を持ち出して来たのか不可解である。 中国は既にトルクメニスタンから天然ガス400億m3/年を輸入することで合意しているが、2015年までにトルクメニスタンから更に200億m3/年を追加輸入する計画がある。中央アジアパイプラインの増量は、埋蔵量21兆m3(742兆cf)の南Yolotenガス田の開発が進捗してから具体化してきた。トルクメンからのガス価格は、自国国境で$190-200/1,000m3、対中国境のKorgasで$250/1,000m3で、中国としてはそれ以上の価格を受け入れることはないとされる11。このトルクメニスタンの対中ガス輸出の姿勢が対露圧力となっている。 5)韓国・北朝鮮とGazpromの交渉 韓国では、李明博大統領が2008年9月28日から4日間モスクワを訪問し、メドヴェージェフ大統領 (との間で両国関係を「相互信頼の包括的パートナー」から「戦略的パートナー」に格上げすることで一致 (4)中央アジアからの対中供給増計画 9 Platts Oilgram News,2011/6/22 10 The Moscow Times, 2011/7/11 11 IOD, 2011/6/20 ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 オた12。李大統領のロシア訪問団に随行したKogasがGazpromと交わした覚書には、2015年から30年間、ガスを韓国に供給することが盛り込まれており、具体的にはパイプライン輸送で100億m3/年、又はLNG輸送で750万t/年を見込んでいるという。CNGも可能性が検討されている。パイプラインはウラジオストックから北朝鮮を経由し韓国に輸送する陸上ルートを想定していた。 更に2010年6月22日、KogasのChoo, Kangsoo社長はMiller Gazprom社長とソウルで会談し、将来韓国へのガス供給に向けた共同調査の実施で合意したが、ここではパイプラインによる供給を志向するとした13。 同年10月26日には、ロシア・エネルギー省のAnatoly Yanovsky次官が韓国との大規模なエネルギー協力を呼びかけた。韓国企業に対し、ロシア極東におけるGazpromのガス処理プラント事業への参入を検討するよう提案したもので、その他、原子力やハイテク産業における協力についても呼びかけている14。エネルギー分野でのロシア-韓国関係は急速に深化している。 一方、北朝鮮に関しては、今年に入って動きが目立ってきた。2011年5月、Fradkov FIS長官が北朝鮮入りし、金正日主席と、ロシア-韓国間の鉄道連結、ガスパイプライン、送電線について会談し、通過国となる北朝鮮との関係を強化したと報じられている15。 金総書記のウラジオストック訪問の噂が流れる6月28日、モスクワでGazpromのMiller社長と北朝鮮の金英才(Kim Yongje)駐露大使が会談した。Gazprom側が天然ガスパイプラインの敷設計画を持ち出したが北朝鮮がこれを拒否し、首脳会談前にしてこの問題で決裂したという。これは、天然ガスパイプラインに関して北朝鮮の姿勢が初めて明瞭に現れた報道である。但し、Gazprom側の発表では「両国を結ぶガスパイプライン問題などエネルギー協力に関して協議した」と中立的な発表を行っている16。 翌6月29日、金総書記が体調不良を理由にVladivostok訪問を中止すると発表した。通常は、政府が自国の元首の健康状態の悪化を公表することは有り得ない。一方、露側は議題に6カ国協議を挙げ、北朝鮮側は燃料・食料支援を主張、物別れになったと解説されている17。 しかし、上記報道の信憑性を問う出来ごととして、7月4日~6日のGazpromのAnanenkov 12 中央日報、2008/9/30 13 共同、2010/6/24 14 Prime-Tass, 2010/10/26 15 Reuters, 2011/7/05 16 共同, 2011/6/29 17 共同, 2011/6/29 ? 7 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 寰ミ長による北朝鮮訪問がある。姜錫柱(カンソクジュ)副首相、Kim Hui Yong石油産業相と会談しエネルギー協力に関して話し合ったとされる18。会談内容は不明だがGazpromが訪問する以上、天然ガスパイプライン供給が主題でない筈がない19。 中国は北朝鮮に対して経済面では「改革開放」を要求しているとされる。一方で、対外政策としては、北朝鮮は韓国と直接に国境を接しないための「戦略空間」として保持して行きたい。韓国向けの天然ガスパイプラインが朝鮮半島を縦断するとなれば、北朝鮮は通過国としてタリフを受けることができ、その多くを現物のガスで受け取れば、北朝鮮のエネルギー事情は大きく改善することとなる。正に「改革開放」の社会的な基盤整備に資することになる。しかし、一方でパイプライン敷設の大土木工事が展開されれば北朝鮮国民は彼我の文明の差を目の当たりすることなり、国民の政権への懐疑の念は深まるであろう。北朝鮮政府にとってもこれは部分的な開国であり、政治リスクを抱える事態となる。また、中国にとっては、北朝鮮がロシアへのエネルギー依存を強めることは歓迎できない状況である。 6)東ルートの抹消 7月に入り、GazpromのMiller社長は、中国との交渉においては西のAltaiルート経由による年間300億m3のガス輸出のみを念頭に置いており、東ルート経由の年間380億m3のガス輸出に関しては交渉を行っていない旨明らかにした20。これは、Chayandaガス田やその周辺のガス田 (からのガスの市場として中国東北部以外が想定されていることを意味する。即ち、恐らくはVladivostok LNGと対韓国への輸出である。LNGは年間約1,000万tとされているのでガスとしては年間約140億m3、韓国へは2008年の合意では100億m3であり、Chayandaガス田の年間生産量200~250億m3にほぼ匹敵する。Vladiovostok LNGが稼働する場合には、中国へのガス輸出余力がないという事態を念頭に置いての発言と思われる。しかし、これは2007年に採択された「東方ガスプログラム」を否定するものであり、大きな政策変更のあった可能性が考えられる。 7)ウラジオストックLNG Gazpromは2017年までにロシア極東で生産能力約1,000万t/年のLNGプラントを建設する計画で、Gazpromは現在のこのプロジェクトのFSを日本の企業体と共同で行っている。建設費用 18 Interfax, 2011/7/06 19日経、2011/7/07 20 RBK Daily, 2011/7/04 ? 8 ? (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ヘ$70億~$100億。Chayandaガス田及びKovyktaガス田のガスがBlagoveshchensk近郊で集められプラントへ輸送される。GazpromとFar East Gas Co.(伊藤忠、JAPEX、丸紅、INPEX及び伊藤忠石油開発で構成)は4月に、ウラジオストク周辺で1,000万t/年規模のLNGプラントの建設及びガス化学施設の建設を検討することで合意した。両社は、同じくウラジオストク周辺で海上輸送ためのガス圧縮に係る試験プロジェクトについても今後検討を行う。この検討は2011年中に完了する見込みである21。 図3 Sakahlin-Khabarovsk-VladiostokパイプラインとFIDを待つ大洋州のLNG計画 21 Interfax, 2011/5/27 ? 9 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 アのための天然ガスは、Vladivostok市の需要である年間60億m3に加えての量であり、最低でも年間200億m3のガスが供給される必要がある。サハリン-1だけでは不足である。一方、2017年生産開始とされるChayandaガス田の生産能力約200億m3/年であれば十分となる。一方で、その段階になるとVladivostokまで運ばれるサハリンのガスが余剰となるリスクも考えられる。 LNG事業に関しては、図3に見るごとく、近隣の大洋州で次々と最終投資決定が打ち出されている中で、大いなる競争環境にある。ソース・ガス自体の価格において、ロシア側にも競争力がある可能性はあり、更に脱原発の動きでLNG市場の拡大が見込めることは追い風になる。 一方で、オーストラリア大陸棚では、Preludeがこの程最終投資決定(FID)を行い、2017年からLNG生産を開始する。同じくIchthysも2017年からのLNG生産を目指している。Vladivosktok LNGも2017年からの供給開始を目指しているが、競争環境は依然厳しいものがある。 2010年4月9日、バルト海に面したロシアのレニングラード州Portovaya湾(Vyborg)において、Medvedev大統領、Schroeder Nord Stream AG会長、Miller Gazprom社長、Balkenende蘭首相らが参列してNord Streamの起工式が挙行された22。これに先立つ4月6日には、Vyborgから675km地点にあるスウェーデンGotland島沖の現場で、工事請負会社Saipem(伊)のパイプレイバージCastro-6号によりパイプ敷設が開始された。他にドイツ沖ではCastro-10号、フィンランド湾にAllseasのSolitaireが2010年9月から稼働を開始した。バルト海の最大水深は210m、敷設するパイプは口径45.4”、コンクリート被覆で12m長、重さは25tである23。進捗速度は一日3km、海底区間は1,224kmであるので、工事期間は延約400日の予定であった(図4参照)。 2011年5月4日、Nord StreamにおいてはCastro-6号がパイプ敷設の最終段階で1両日中にも完了の見込み、との報道がなされた。建設から13カ月目で、当初予定の400日をやや上回るペースである。ガスのフローは本年10月までに実施される見込みである。輸送能力は年間275億m3である。CapexはEur74億($110億)、事業総額はEur90億.24となる。 工事が開始された後は殆どニュースがないまま完成の報が来た。予定通り進捗した工事であった。 .ノルドストリームの現況 (1) Nord Streamの建設の進捗 3 22 Interfax, 2010/3/31, PON, 2010/4/15 23 IOD, 2010/4/13 24 IOD, 2011/5/05 ? 10 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i2)Nord Stream,の2期工事 2期目のラインは第1期の既往ラインに併走させる。2本のパイプラインが完成すると、輸送能力は合わせて年間550億m3となる。今年5月の時点で、パイプレイバージSolitaireは2期目のライン敷設の準備に入っている25。7月11日現在で、第2期の敷設は374km、全体の31%に達している26。第2期のラインは、2012年の10月ないし11月に稼働開始を見込んでいる。 第1期工事において、日本企業はラインパイプの入札に参加しなかった。1,224kmの海底を加圧装置なしにガス通すため、入口で圧力を22Mpaと高くする。この圧力を保持するため、肉厚を大きくとる必要があった。今回、住友商事・住友金属が大口径管110km分受注した。内径1153mm、 図4 ノルドストリームのバルト海におけるルート(青線)。赤線は各国大陸棚の境界。緑は領海の外縁。 25 IOD, 2011/5/05 26 Nord Stream websiteによる(2011年7月14日所見)http://www.nord-stream.com/en/project.html ? 11 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ?30.9mmの高強度肉厚仕様、X70.相当。9月から納品する予定である。単価は第1期より38%低下したと言われている27。 海底パイプラインの敷設の状況を図5に示す28。 図5 海底パイプライン敷設の状況。Stingerによるパイプ敷設 3)Nord Stream建設までの経緯 27 住友商事プレスレリース, 2011/1/26, London DJ, 1/22 28 Nord Stream websiteより.2011年7月14日所見。http://www.google.com/imgres?imgurl=http://en.kllproject.lv/wp-content/uploads/2010/04/nord-strem_51.jpg&imgrefurl=http://en.kllproject.lv/2010/04/11/new-bermuda-triangle-nord-stream/&h=739&w=1024&sz=212&tbnid=fIVtqyPsEkUhhM:&tbnh=83&tbnw=115&prev=/search%3Fq%3DNord%2BStream%26tbm%3Disch%26tbo%3Du&zoom=1&q=Nord+Stream&hl=ja&usg=__pMcCkKWeJvgVbXDX0liV_AJIJ60=&sa=X&ei=xV0eToilHoPQmAXk2dygAw&ved=0CFIQ9QEwBg (2011年7月14日所見) ? 12 ? (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 サ在のノルドストリ-ムの計画はウクライナ問題から派生している。 2002年6月、プーチン大統領、ウクライナのクチマ大統領、ドイツのシュレーダー首相が、老朽化の著しかったウクライナのパイプラインを改修するために国際コンソーシアムを結成することで合意した29。これは、今後増大するドイツなど欧州主要国のガス需要に対応して、ウクライナにおけるガス輸送インフラの拡充を図るものである。増大するガス需要に対処するのにロシア産ガスを重視する姿勢は、Willy Brandt以来のドイツ社民党(SPD)の政策である。併せて原子力発電から脱却をも目指す政策であった。しかし、この計画はその後進展せず、更にウクライナで親欧米路線のユーシェンコ政権が誕生したことで頓挫する。 ノルドストリームのその後の動きに関しては、2009年6月までの動きを2009年6月15日付けの石油天然ガス資源情報に記した30。これは、この時点でノルドストリームの沿岸国による承認取り付けはほぼ問題なく進められるだろうと予測したもので、その根拠は「国連海洋法」の第79 条「大陸棚における海底電線及び海底パイプライン」に関する規定にある。その第1 項に「すべての国は、大陸棚に海底電線及び海底パイプラインを敷設する権利を有する」そして、第2項に「沿岸国は、海底電線及びパイプラインの敷設または維持を妨げることができない」とあるようにパイプライン敷設が「原則自由」となっている。そして第3項において「海底パイプラインを大陸棚に敷設するための経路の設定については、沿岸国の同意を得る(subject to the consent of the coastal state)」と定められているように、「例外として」ルート設定時には、沿岸国の同意が必要であるとしている。そしてこの同意はさして困難でないと思われた。その後の認可の動きは以下の通りである。 2009年10月20日:デンマーク政府がNord Stream計画を認可。 11月5日:フィンランドとスウェーデン政府がNord Streamを認可。 2010年2月12日:フィンランド政府が最終環境許可。 2005年9月に成立したキリスト教民主同盟(CDU)/キリスト教社会同盟(CSU)/SPDの連合によるメルケル政権においては、当初ノルドストリームには批判的であったが、最終的にこの計画をそのまま引き継ぐことになった。そしてこの時点では、ドイツにおける原発の運用年数を延長する政策を掲げ、脱原発の流れから引き戻した形となった。 29 Nefte Compass, 2002/6/13 30 動向「ロシア:最終段階に来たノルドストリーム ~政治主導のナブッコは先行き不透明~」 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0906_out_i_Nord%2dStream%2epdf&id=3347 ? 13 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 S)脱原発で拡大する欧州ガス市場 2011年3月の福島第1原発の事故を経て、ドイツは5月29日に、2022年までに原発を全廃す (図6 ロシアからの天然ガスパイプラインネットワーク。数字は輸送能力(億m3/年) ることを決定した。これを受け、レスレル経済相がモスクワを訪問し、原発代替エネルギーに関して話し合った。6月1日付けのロシアの独立新聞(Nezavisimaya Gazeta)は、「欧州におけるガス? 14 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 vロムの劇的勝利」31と題する記事を掲載し、今後のドイツのロシア・ガスへの依存度は、現状の32%から大幅引き上げが予想され、欧州のガス輸入は2020年に3,800億m3、2030年に4,400億m3へと増加すると見られる一方、Gazpromの欧州向けガス輸出は、現在の年間1,400億~1,500億m3から2,100億m3へ35~40%増加するという見通しを述べた。欧州市場におけるロシア産ガスの比重は23%から32%へと増加する。これは、ロシア側の見方であることを割り引いても、原発廃止の影響で、ガス市場が大きく拡大する状況を物語っている。 Nord Streamの2期目の完成により、2012年後半からは550億m3の追加輸送能力が生まれるが、市場自体も相応に拡大して行くものと予想される。 5)ウクライナの対応 ウクライナはNord Streamの完成により、それまでの天然ガス通過国としての地位は大きく低下する。しかし、Nord Streamは欧州で支持を集めた計画でありこれを阻止することはできない。ウクライナが最も恐れる事態とは、これに続き輸送能力630億m3/年のSouth Streamが実現する (ことである。ロシアからウクライナを経由して欧州に至る天然ガパイプラインは、現状の能力は1,200億m3/年であるが、老朽化が進んでいる(図6)。これを改修するだけで、500億m3/年の通ガス量の拡大が見込め、且つSouth Streamの様な新規パイプラインを建設するコストを大幅に節約できる。 2010年には就任前のYanukovich大統領が、ロシア=EU=ウクライナコンソーシアムによるウクライナのパイプライン管理のための対話を提唱した。これに対して、Gazprom ExportのAlexander Medvedev CEOがこれを受ける用意ありと発言した32。次いで同年2月25日に発足したYanukovich政権は、ロシア、EU、ウクライナ各1/3のコンソーシアム創設に言及した33が、その後特段の動きにはならなかった。 2011年に入り6月21日、NaftogazのEvgeny Bakulin CEOはGazprom及び欧州企業とガスパイプラインの改修での合意へ期待を表明し、同時に、ロシアがSouth Stream計画を取り下げることを期待すると述べた34。しかしながら、資金拠出、パイプラインの所有権等で経済危機にある 31 Nezavisimaya Gazeta 2011/6/01 32 Prime-Tass, 2010/2/24 33 PON, 2010/3/29 34 PON, 2011/6/22 ? 15 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Eクライナの参加は極めて限られる。2007年に、ウクライナはパイプライン等の国有資産の外国企業への売却を禁じる法的措置を講じた。これは、輸出用幹線パイプラインに対する何らかの国際管理や、最悪の場合には権益売却といったことを防止するための法律であるが、ウクライナが国内パイプラインの改修を自己資金で行うことは現状では不可能である。パイプライン改修を巡って外国企業と如何に協調するかについて、ウクライナ自身が回答を用意する必要がある。 4.サウスストリームの動向 (1) サウスストリーム計画のその後の経緯 サウスストリームは、Nabuccoに遅れること2年、2007年6月23日に、GazpromとイタリアのENIとで合意し発表された。ENIは南欧州で最大の市場を擁しており、2005年に計画が発足したNabuccoに対抗して、トルコ迂回を掲げて構想されたものと言って良い。2010年4月の段階での政府間合意は、Austria, Bulgaria, Croatia, Greece, Hungary, Serbia, Sloveniaの7カ国となり、全通過国がひと通り網羅されている。但し、通過ルートは再三にわたって変更されており、通ガス量も当初の300億m3/年から唐突に630億m3/年に引き上げられるなど、計画が十分に詰まっているとは言い難い。 更に2010年3月9日、ENIのScaroni CEOがSouth StreamとNabuccoの統合を提案した35。「欧州がパイプラインのネットワーク化を完成すれば欧州はロシアのガスに依存しなくて済む」というのが表向きの理由であるが、これはNabucco陣営が乗り易い理由づけをして見せたものと思われる。これに対して、3月15日、ロシアのShmatkoエネルギー相がScaroni提案を正式に拒否した。但し、ロシア・ガス協会Valery Yazev会長は統合案を合理的と評価するなどロシア側の評価も分かれている36。このような対応が出て来ること自体、South Streamの計画が十分詰められていないことの証である。最終目的地も当初は、オーストリアのBaumgartenであったが、その後スロベニアから直接イタリアに入り、Baumgartenへは枝線で供給することとした。このような変更が再三なされているということは、具体的なパイプラインルートに関しても、渡河地点を含め詳細な決定がなされていないことを示している。計画自体の完成度はNabuccoよりも相当前の段階にあると言える。 South Streamの最終投資決定(FID)は2012年の予定で、2015年から150-200億m3で供給 35 PON, 2010/3/16 ? 16 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 J始、2019-2020年に630億m3に増量する。総事業費はEur155億($218億)。他に黒海海底建設費Eur100億.である37。 2011年に入り、ロシア政府はEUとSouth Streamに関して精力的に会合を開いている。 2月24日、BrusselsでEU首脳とPutin首相・Shmatkoエネ相が、2011年3月に効力を発するEU法「第3エネルギーパッケージ」に関して、それぞれのエネルギー政策の違いに関して話し 36 Kommersant,2010/3/16 ? 17 ? 図7 South StreamとNabuccoのパイプラインルート 2)サウストリームに関する政治的環境整備 (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 №チた。論点は、①エネルギー輸送インフラに対するオープンアクセス、②資源供給者と輸送インフラ所有者の分離(unbundling)、の2点である。Gazpromは、South Streamに関しても、EUの推すNabuccoと同等のTen-E(The trans-European Network)ステータスを要求した。これが受け入れられると、EUからのソフトローンと早期計画決定の路が開ける。Putin首相は、同法がロシアガス供給に悪影響があり新規ガス・パイプラインの建設を阻害するものとし、更に第3者がパイプラインにアクセスできると中間業者が介入し欧州市場末端でのガス価格は上昇すると述べ、EUの考え方を批判した38。 次いで5月25日、Shmatkoエネ相が欧州委員会(EC)でSouth Stream計画を説明し、秋までにSouth Streamの法的枠組みを組む意向を表明した。これは、通過国各国の認可の枠組みとなる包括(umbrella)契約となる見込みである。EUエネルギーコミッショナーのGunter Oettingerは、EU域内に入るパイプラインはEUエネルギー市場規則に従う必要があるとの立場から、以下の3点を指摘した。①South Streamは無条件でEU域内のすべてのshipperにパイプラインの輸送容量を分配(book)すること、②shipperに課されるタリフは関係国の規制に委ねられるべきこと、③緊急時には逆走が技術的に実施可能であること39。更に、OettingerはGazpromによる独占状態に懸念を示し、パイプラインの運営にNovatekのような独立系が参加することが望ましいとした40。 このBrusselsにおける会合に関してWorld Gas Intelligence紙は、EC側がSouth Streamに関して、初めて計画に邪魔立てしないとの反応を見せた、と評した。OettingerはEUにとって最優先事項ではないが、特にロシアが供給路を広げることに価値を見出すとし、Gazpromがロシアで活動する独立系ガス会社のアクセスを認めるならば、ルート及び供給ソースの分散化(diversificaion)にあたり、EUの分散化努力に資すると見なせるとした41。 2010年1月に、EUのエネルギーコミッショナーがラトビア人のAndris Piebalgsから、メルケル首相の推薦でドイツ人のGunter Oettingerに交替した。PiebalgsはNabuccoの推進等、どちらかと言えばロシアに対抗する傾向が強かったが、OettingerになってEUが対ロシア融和に動くとの観測があった(パリのコンサルタント、テルジアンの見解等)。具体的には、2010年1月 37 IOD, 2011/5/27 38 IOD, 2011/2/25 39 PON, 2011/5/27 40 IOD, 2011/5/27 41 WGI, 2011/6/01 ? 18 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4日、Oettingerは12月1日に発効したリスボン条約のエネルギー連帯条項に基づき、EUにおける天然ガス供給において一体化(solidarity)の重要性を主張し、2国間合意に基づくガス供給は適切でなく、Nord StreamやNabuccoと言ったパイプライン計画は、公開、アクセス可能、透明な市場という概念に反するとした。但し、成立した既存契約は尊重するが、将来の事案に関しては例外を認めないと付け加え、巧妙にNord Streamは可、Nabuccoは不可との姿勢を示した42。 但し、EUの内部に入ると、その政治姿勢に関しては出身国とは全く関係がない。実際Oettingerの対応も1年以上、特段ロシア側に近いと言った評価は出ていなかった。5月のブリュッセルでの対応もその意味では、EU自体の姿勢に変化があるのか、慎重に見極める必要がある。 ブルガリアでは、2009年7月5日に実施された議会選挙の結果、中道右派が圧勝して、ソフィア市長のBoyko Borisovが首相に就任した。同市長は就任前、経済エネルギー相に書簡を送り、South Stream建設に拘わる契約等の見直しを求めたとされ、一方で13日にはNabuccoの政府間合意には調印し、更に翌日にはギリシャのDepa、イタリアのEdison と、Interconnector-Turky-Greece-Italy(ITGI)パイプラインへの参加で合意するなど、ロシア離れの動きを明確にしていた。 一方、ルーマニアは2010年2月にSouth Streamへの関心を表明した。即ち、黒海からの上陸地点(landfall)をブルガリアからルーマニアへと移すという案である。GazpromとルーマニアのRomgazはこの前年、容量60億m3の地下貯蔵設備と配送に関する50:50のJVを作るMOUを結ぶなど関係を深めていた43。 2010年7月16日にブルガリア, ロシア両国政府はSouth Streamパイプラインの建設に関する政府間契約に調印した。これは黒海経由のルートをルーマニアから元のブルガリアに引き戻すことを狙った行動と思われる。一方、懸案のボスポラス迂回のBurgas-Alexandroupolis石油パイプラインに関しては、Boyko Borisov首相は環境問題を考慮し、もはや関心なしと表明した44。 2010年9月13日、GazpromのMiller社長とブルガリアのBulgarian Energy Holding(BEH)3)South Streamのパートナーの現状 1)ブルガリアの問題 ( 42 PON, 2010/1/15 43 IOD, 2010/2/19 44 PON, 2010/7/08 ? 19 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 フMaya Histova社長は、50:50のJV South Stream Bulgariaの設立で調印した。Miller社長は9月10日まで韓国に滞在しており、11日に横浜で開催されているAPECに参加する為に来日する筈の予定を突然キャンセルして直接Sofiaに向かった。 2011年6月には、Gazprom ExportとBulargazが天然ガス供給の長期契約を結んだ。中間業者2社(OvergasとWIEE、ともにGazpromが50%保有)を排除し、また2012年末までの間、ガス価格を5~7%引き下げる。これはパイプライン合意の為にGazprom側がより良い条件を提示した事例と思われる45。 ブルガリアのTraycho Traikov経済・エネルギー・観光相は2011年7月、現在ロシアから輸入している年間20億m3のガスを5億m3に縮減し、自国の生産増とアゼルバイジャン等の他からの輸入で置き換えるとした46。政権内でロシア離れとロシア回帰が交差している印象がある。 2)クロアチアの問題 2010年3月2日、クロアチアがSouth Streamに参加し、50:50のJVをGazpromと設立した。それまでの天然ガス輸入量は年間12億m3、これを将来的に27億m3まで引き上げることになる見通しである47。 しかし同年12月に、クロアチアのINAはイタリアのENIと2011年から3年間7.5億m3/年の天然ガスを買う契約を締結した。これは価格と柔軟性の点でロシア産ガスよりもメリットがあると言われている。Gazpromはこれまでの12億m3/yの契約を2010年限りで失うことになった。クロアチアへは従来スロベニア経由のパイプラインでガスを入れていたが、ハンガリーからのInterconnectorが稼働開始になり、これを用いる。Kommersant紙によれば、Gazpromからイタリアへのガス輸出は2010年1-9月で48%減、一方イタリア自体のガス輸入は9%増で、当時天然ガス価格政策を巡ってGazpromとENIの不協和音があったと見られる48。 3)建設関係の合意 2010年3月、セルビアのMilorad Dodik首相はモスクワを訪問し、セルビア区間のSouth Streamから、ボスニア=ヘルツェゴヴィナ(Bosnia-Herzegovina)へ480kmの支線を建設する計画で合意した。輸送量15億m3/年、これは最も大規模な支線建設の計画である49。 45 IOD, 2010/11/16 46 PON, 2011/7/08 47 IOD, 2010/3/03 48 WGI,2010/12/22 49 IOD, 2010/3/10 ? 20 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 同年6月7日、モスクワにてGazpromとギリシャのgrid operatorであるDesfaがSouth Streamのギリシャ区間の建設を担当する50:50のJV South Stream Greeceを設立した。ギリシャ区間の総工費はEur10億($12.4億)である50。 3月21日、BASF WintershallとGazpromは、Putin首相の同席の下、Eur 20億 ($28.4.億)を投じてSouth Streamの15%の権益を取得するMOUを締結した。現状ENIの50%からEdFが10~20%を受ける予定である51。一方、E.On Ruhrgasは参加を検討中である。EdFは本年末までに10%参加の予定となっている52。 .Nabuccoの動向 5(1)全体の進捗状況 Nabuccoパイプラインは、2009年8月10日の動向53 に記した通り、2009年7月13日に政府間合意が交わされたが、その後はかばかしい進展は見られない。但し2010年5月には、最終投資決定がなされる前に、パイプ、バルブなど時間のかかるものに関しての入札の資格検査を実施している54。全体には、Nabuccoの停滞を伝える記事が多くなっており55、特にプーチン首相の「天然ガスの供給契約もなくパイプラインを建設することは不毛な話しで、大変に危険なことだ。ナブッコの契約がまさにそれだ」と言う発言に象徴されるように、天然ガスの供給問題で明確な進展のないことが計画の信頼性を損ねている56。 NabuccoはEUの主張する生産と輸送の分離(unbundling)の考え方を前提に発足した計画であった。これは、これまで探鉱-生産-輸送―販売というガスにおけるchain-businessをそれぞれの分野で分離し、新規参入をし易くしようという考えであるが、小規模ビジネスであれば成り立つことでも、ガス田開発も遠距離のパイプライン敷設もいずれも巨大事業であり、分割させ、なお且つ異なる事業体が適切に協調して事業を遂行するのは容易ではない。Nabuccoプロジェクトは、 50 IOD, 2010/6/08 51 PON, 2011/3/23 52 IOD, 2011/5/27 53 動向「サウス・ストリームとナブッコが並立、一体化への布石か」(2009/8/10)http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0908_out_i_South%2dStream%2dTurkey%2epdf&id=3395 54 IOD、2010/4/26 55 朝日,2010/4/26 56 IOD, 2010/4/27 ? 21 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Uの主張するunbundlingの故に、大きな停滞に遭っている。 2010年9月6日に、Nabucco Gas Pipeline International (NGPI)はパイプラインの建設を当初の2011年から1年送らせ2012年からと発表した。事業総額Eur40億($51億)の内、EIB(European Investment Bank)はEur20億, EBRDはEur10億、世銀の子会社IFC(International Finance)はEur8億を融資する予定である。これら3金融機関は融資決定のための審査に入る。ECは既にEur2億を供与している57。 更に2011年5月に入り、Nabucco Gas Pipeline Internationalは、計画を遅らせ2013年建設開始、稼働開始2017年(当初は2014年としていた)とすることを認めた。Shah Denizガス田の160億m3/年の本格開発による生産が2017年となることを受けての措置である。建設費Eur79億($117億)の変更には言及がなかった。但し5月6日のGuardian紙によればコストはEur140億まで上昇しているという58。 トルコのYildizエネルギー相はCNN Turkのテレビ番組で「そろそろガスの供給の候補国は本件へのヤル気を表明してもいい頃だ。Noであっても構わない」と挑発的な発言を行った。一方、Oettingerは5月のStuttgartでの会議で、Nabuccoの総コストが2005年FS時のEur79億からEur120~150億 ($170億~$214億)へ増加したと報告した。Zeit紙には「銀行、投資家にこのプロジェクトを遂行する意義があると説明するのは容易でない」との評がでた59。 また、EUエネルギー政策企画官Bredan Devlinは「ITGIかTAPの方がNabuccoよりもShah Deniz-2のガスを確保するチャンスが多い」と発言した。またShah Denizガス田の株主も容量310億m3/年のNabuccoよりも容量100億m3/年のITGI(Interconnector Turky Greece Italy)かTAP(Trans Adriatic Pipeline)の方が供給先として適切と判断していると報じられている60(表2参照)。 同年6月8日、Nabucco Gas Pipeline Internationalは、トルコのKayseriでプロジェクト会社と通過各国との法的枠組みに調印した。法的には、2009年のIntergovernmental Agreementから各国レベルのHost Government Agreementまで進捗したことになる。EUのGunter OettingerはNabuccoがアゼルバイジャンから、TransCaspianパイプライン経由でTurkmenistanまで接 57 Argus FSUE, 2010/9/10 58 IOD, 2011/5/09 59 WGI, 2011/6/01 60 Argus FSU Energy, 2011/6/03 ? 22 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 アすること、また株主にガス生産者もいれるべきことを主張し、EUの支持するTAP、ITGIとの一体化を提案した61。特に、後者の主張とEUの年来の主張であるunbundlingとの整合性に関しては、今後の議論の動向が注目される。 2)Shah Denizガス田開発を巡る動き 2010年6月7日、トルコのAbdullah Gul大統領とアゼルバイジャンのIlham Aliyev大統領が天然ガスの輸出でMOUを締結した。2016年からのShah Deniz 2の生産ガスを欧州向けに100億m3/年とトルコ向け60億m3/年輸出するというものである。トルコには天然ガスの再輸出の権利が付与されているという。 これは、2011年からの建設を予定しているNabucco関係者を安堵させたが、売り先がトルコであり、他の競合プロジェクトであるITGIの80億m3或いはTAPの200億m3へ供給する可能性もあることになる(表1参照)。トルコ政府は、TAP, ITGI, Nabuccoの3者をともに支持している。BotasはITGIとNabuccoの両計画に参加しているが、RWEは、NabuccoとITGIの合体を模索しているという62。StatoilはShah Denizガス田開発とITGI双方に出資しており、ITGI有利との観測の根拠となっている。なお、TAPパイプラインに関しては総輸送量が100億m3で、イランから50億m3、Shah Deniz 2から50億m3調達するとの報道もある63。 なお、この交渉で、Shah Deniz-1のガス価格は、2008年4月に遡ってそれまでの$120/1,000m3から$200-$210/1,000m3に引き上げられた。供給量は年間66億m3である64。 (なお、アゼルバイジャンの国営石油Socarはギリシャの国営(65%)ガス企業DEPAの株式取得に関心を示している。DEPAもITGIに参加しており、Shah-Deniz 2のガス100億m3/年の買い取りを要望している。Unbundlingの考えは殆ど無視されていると言って良い。Gazrpomは対ギリシャガス輸出契約(40億m3/年)が2016年に失効するので、ギリシャにとって次なる供給者が現れる必要があり、水面下の動きとして重要なものと思われる65。全体に、規模の適正さからITGI計画の優勢が感じられる。Nabuccoにとって最大の競争者は、South Streamではない。 ? 23 ? 61 PON, 2011/6/09 62 PON, 2011/1/03 63 PON, IOD, 2010/6/08 64 IOD, 2010/6/14 65 Argus FSUEnergy, 2011/6/09 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (了) (3)トルクメニスタンの動き 2010年11月19日、トルクメニスタンのホジャムハメドフ(Baimurad Khojamuhamedov)第1副首相は、カスピ海経由で400億m3/年の天然ガスをNabucco経由で欧州へ輸出すると表明した。目標年は2015年。300億m3は南Yoloten Osmanガス田から、100億m3/年はカスピ海からとしている。この内、50億m3/年はPetronasの沖合い第1鉱区から2011年から生産開始されるものである66。 4)イラクのガス田に関して Nabuccoへの供給ソースとして、当初より注目されていたイラクのAkkasガス田(埋蔵量1,570億m3、5.5兆cf)の開発に関するイラク石油省とKogas/Kazmunaiagzとの契約書調印が当初の2月24日から延期となった。これは、輸出許可期間に関して当初の規定にあった5年を、地元のAnbar県が2年へ短縮することを要求したための措置である。計画プラトー生産量は41.3億m3/年(400MMcf/d)である。Nabuccoへの供給は、昨年10月の入札でトルコのTPAO(及び仏Total)が敗退した時点で殆ど不可能になったものと思われる67。 ( 66 Interfax, 2010/11/19 67 PON, 2011/2/28 ? 24 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 pイプライン Nabucco 工事開始 操業開始 2013年 2017年 事業者/パートナー OMV(Austria) MOL(Hungary) RWE(Germany) Botas( Turkey) Transgaz(Romania) BEH*(Bulgaria) 各16.6% 供給ガス田 Shah Deniz II 積出し地点 ルート (landfall) 総延長 Turkey Austria 3,300km 容量 口径 圧力 総費用 現況 31Bm3、18Bm3 to Baumgarten 56” Eur79 億($110億) 2009年7月政府間合意 Interconnector Turkey-Greece-Italy(ITGI) Poseidon PL ? 2016-2017 TAP-Trans Adriatic Pipeline South Stream Nord Stream ? 2015 2015 Edison(50%), Depa、Botas EGL Statoil EGL(Swiss) E.On BP Total Shah Deniz II( 8-12Bm3) Turkey 海底:210km 陸上 ギリシャ;590km ギリシャ~トルコ;285km 6.48-12Bm3 海底:Eur3.5億 陸上:Eur6億 Azerbaijan-Italyガス供給MOU Deniz Shah II( 8-12Bm3) Turkey ギリシャ・アルバニア・アドリア海横断:520km 20Bm3 Eur15億 2008年2月JV設立 Gazprom 、ENI(伊)、EdF(仏)20% 通過国 Bulgaria, Greece, Italy, Serbia, Hungary, Slovenia, Austria, Croatia West Siberia 北:Austria 南:Italy 墺まで1,300km ギリシャ990km(黒海 902km) 63Bm3 Eur155億($218億) 2008年1月建設会社設立 2010年4月6日 I期)2011.9, II期) 2012.10 Gazprom (51%), E.On (15.5%) BASF (15.5%) Gasunie (9%) GdF Suez (9%) Yuzhno-Russkoye他 Vyborg(露) Vyborg Greifswald 1,224km 最大水深:210m I)27.5Bm3/y、II) 55Bm3/y 45.4”(1,153mm)22~17.75MPa 50億→74億Eur1期工事中 表2 欧州向け主要新規ガスパイプラインの比較 ? 25 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
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地域5
国5
地域6
国6
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国7
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国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2011/07/26 本村 真澄
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