ページ番号1004165 更新日 平成30年2月16日

ロシア:進むロシアのエネルギー関連税制改正-投資意欲の維持に腐心

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レポートID 1004165
作成日 2011-08-18 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2011
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2011/8/12 石油調査部:本村 真澄 公開可 ・ロシアにおける石油・ガス税制は、民営化した殆どの石油企業に対して政府が直接的な「指導」が行えない体制の中で、個別のエネルギー政策を実現する上で最も有効なツールと言える。 ・高騰した油価のもとで石油税制の重税感が強くなり、産業界は税制の改革を求めていたが、税務当局の対応は課税対象の調整が主で、石油輸出税の優遇税制の廃止や、ガス産出税増税が進んでいる。 ・ロシアの財政が石油・ガスからの税収に依存する部分が大きく、且つ2009年以降財政赤字が続いている環境から、財務省としても基本的に減税方針はない。 ・石油産出税の免税として、新規地域の東シベリア、北極海、アゾフ海、カスピ海、ヤマル半島、ティマン・ペチョラ、黒海、オホーツク海、ヤマロ・ネネツで。同じく減税として成熟油田、小規模油田がある。 ・ガス産出税では、圧入用ガスが免税となったが、通常の産出税は大きく引き上げられた。 ・石油輸出税減税は、東シベリア22油田、カスピ海2油田が対象。内シベリア9油田は優遇税制停止。・税制を通じて、新規地域、小規模油田での探鉱、ヤマル半島LNG、ガス再圧入事業等へのインセンティブ付与がある ・近々、「60/66」体制で石油輸出税減税、白物製品減税を打ち出す方針。 シア:進むロシアのエネルギー関連税制改正-投資意欲の維持に腐心 ロ.ロシアにおける石油ガス関連税制改革の位置づけ 1世界最大の産油国であるロシアは、投資不足や重課税により、需要の伸びがありながら今後数年間で充分な増産が行えなくなるとIEAアナリストJulius Walkerが指摘している1。ロシアの当局は、長期的に石油生産の漸増基調を維持する方針であるが、既存鉱床が成熟していく一方で、新規の投資が不足しており、今後10年間の原油生産量を5億t/年(1,000万b/d)以上に維持することに汲々としているとの見方である。国内の成熟した大規模鉱床における減退分を相殺するためには多くの新規事業を展開する必要があり、新規鉱床の開発や減退傾向にある鉱床に必要な投資を促進するためには税制の変更が不可欠であると石油産業界は主張している。 2011年2月、サンクトペテルブルグで開催された燃料・エネルギー部門の2010年実績に係る会合の席でPutin首相は、石油部門における税制整備を急ぐよう指示した。首相は、2020年まで現行の石油? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 カ産水準を維持するためにはRb8.6兆($3,087億)以上の投資が必要であると述べ、エネルギー省もまた充分な資金手当て無しには20%の減産もあり得ると警告している。一方で、世界の石油需要は1.4-1.6%で伸びている。ロシアにおける増産ペースは、世界の需要増に追いついておらず、世界における石油生産のシェアを低下させて行くとWalkerは批判している。 ロシアの税制では、他の産業と比較して石油・ガス部門に重税が課せられており、石油企業の利益の78%、ガス企業の利益の56%が税金として徴収されている。現状の政策は、石油・ガス企業の支援策になっているとは言えない。ロシア全体の石油生産量に占めるVankor油田に代表される新規開発地域の割合は15%程度、2011年第2四半期における新規開発地域での増産率は13%以上となっており、成熟した鉱床からの生産量は0.2%減少した。 実態面では、新規地域での事業において後述するように優遇税制が適用される傾向は見られるものの、一方で政府は、来る大統領選挙による支出増に備えて、さらなる増税を目指しているかのように見える。2011 年5 月からはRosneftのVankor油田、TNK-BPのVerkhnechonskoye田、SurgutneftegazのTalakan油田に係る輸出税の優遇措置が撤廃され、その後も更なる優遇税制の撤油廃が予定されている。ガスの産出税、輸出税もともに引き上げる方向である。全体の傾向として、減税という方向性は見られず、課税対象を修正しつつ対応している。ロシアの財政は2009年以降赤字であり、2010年においてロシア連邦予算の歳入の46.1%を占める石油・ガス産業からの税収2が縮小することは財務省としても避けたい。 石油・ガス産業の税制を巡っては、長い間、税制の多様化や利益ベースの課税方式が議論されてきたが、依然として税体系全体の整理にまでは踏み込んでおらず、産業界に対するメッセージ力は弱いままである。本稿では、現段階までの税制改革の内容と今後の議論をまとめた。 . これまでの石油分野での石油産出税(Mineral Extraction Tax:MET)3優遇措置 2 1 The Moscow Times, 2011/7/06 2 田畑(2010)「2010年のロシア経済-強いられる成長モデルの修正―」ロシアNIS調査月報2011年5月号、p.6~p.24 3 石油産出税の算定式は以下の通り 1t当たりの抽出税= Rb419×埋蔵量枯渇係数(CDF)×(平均Urals輸出価格[$/bbl]*1-$15)×対ドル為替レート[ロシア中央銀行による各課税期間の平均為替レート(Rb/$)*2]×1/261 【CDF算出式】 ・埋蔵量枯渇度(Dd) = 0.8~1.0の場合:CDF= -3.5×Dd+3.8 ・ Dd>1.0の場合:CDF =0.3 ? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 石油産出税に改革は2006年からすでに開始されていた。途中、2008年の金融危機で一旦改革の流れが止まったかに見えたが、近年再び修正が加えられだした。当初打ち出された石油産出税の優遇措1)新旧油田に対する優遇措置(2007年1月1日施行) (置は以下の通りである。 これは、ロシア内の成熟油田及び東シベリアの油田のみに関して、以下の2点の減税または免税するものである4。 1) 成熟油田に対する減税措置の導入 80%以上を生産した成熟油田には、その減耗度に応じて産出税を最大70%削減するというもので、その税率は以下のように算出される。 KV=3.8-3.5×N/V ここで、Nは当該鉱区の累積生産量、Vは当初の可採埋蔵量(A+B+C1+C2)。よってN/Vは減耗度を示す。減耗度が80%~100%の時に、上記のKVが適用され、減耗度が80%の時はKvが1、即ち減税はないが、90%の時には0.65、即ち35%の減税、100%の時0.3、即ち70%の減税となる。 2)東シベリアの新規油田に対するタックスホリデー サハ共和国、イルクーツク州、クラスノヤルスク地方の東シベリア3地域の油田について、生産開始から2500万トンに関しては石油産出税をゼロとする。 但し免税の期間は、生産ライセンス(20年間)の場合は10年間、探鉱・生産ライセンス(25年間)の場合は15年間とする。 これは、厳しい自然環境下にあり、インフラが未整備な東シベリア地域における新規油田開発の促進に向けて導入したもので、東シベリア地域に対する探鉱開発インセンティブの最初となるものである。 ・ Dd<0.8の場合:CDF =1.0 *1:地中海およびロッテルダム渡しの平均Urals原油価格 *1&2:各月の抽出税算出に必要となるデータは政府から発表される ※申請月の翌月25日までに算定し、納税する 4 Interfax, 2006/12/29, 2007/7/31, 2007/10/18, 2008/3/26. Yermakov, Vitaly (2006)、The Russian Oil Taxes: Investment Incentives at last. CERA Alert April 28, 2006 ? 3 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 007年1月1日以前に既にライセンスが付与されており、既生産量が埋蔵量の5%以下となっている鉱床については、2007年1月1日から10年以内の期間でこの適用がなされる。 なお、2011年時点においてVankor油田の生産量が、日量31.5万バレルの水準となり、累計生産量が2,500万tに近々達する見込みとなったことから、東シベリアにおいて石油産出税免除が取り消される最初の油田となる5。 同油田は、この5月1日に輸出税優遇措置が停止されたばかりであり、ダブルパンチに見舞われた形となった。 (2)石油産出税の適用範囲の引き上げ等(2009年1月1日施行) 2008年7月11日、石油産出税減税・免税法案が議会を通過し、24日Medvedev大統領が署名した。 法案の内容は以下の通り6。減税・免税法は2009年1月1日に施行された。 ① 石油産出税の控除額をバレル当たり$9から$15に引き上げる(減税措置) ② 下記の地域での石油産出税の免税期間の設定 【北極海の(大陸棚を含む)の新規開発鉱床】最大で探鉱+生産ライセンス付与から15年間/石油3,500万tが生産されるまで 【アゾフ海とカスピ海の新規開発鉱床】同12年間/石油1,000万tが生産されるまで 【ヤマル半島とティマン-ペチョラの新規開発鉱床】同12年間/石油1,500万tが生産されるまで ③ 企業支出における従業員の教育や訓練、住宅ローン部分の税金控除、従業員の健康保険に係る控除額を賃金の3%から6%へ引上げ ④ 企業の研究開発費に係る控除枠の拡大、低所得グループへの税控除の増額 基礎控除額の引き上げにより、企業にとってはおよそ$9.6/tの負担減となり、2009-2017年の間に総額$84億(2009年に$8.9億、2011年に$8.8億)の減税効果が期待できる。また、免税措置の対象となるアゾフ海・カスピ海やネネツ自治管区に多くのライセンスを保有しているLukoilは、2009-2015年に、カスピ海では1,090万t、ネネツ自治管区では3,390万tの石油を生産する予定で、その減税額は$66億-78億に達するとの見通しを述べた7。総じて、新規地域への取り組みを行っている企業にとっては、追い風となる環境が用意されたといえる。 5 IOD, 2011/8/02 6 Prime-Tass 7 Interfax, 2008/8/29 ? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 R. 現在の石油・ガス産出税の動向 (1) 新規地域における石油産出税の免除(2012年1月1日施行予定) Putin首相は、2009年4月27日、ロシア政府が、黒海およびオホーツク海における新規油田に対する免税期間の導入や、小規模油田に対する段階的な割引係数の適用を検討していると政府予算委員会の席で述べている8。しかし、法案として成立するまで2年以上を要した。 2011年7月、石油・ガス産出税の優遇措置を導入するための「税法第342条」の改正案が、下院の第3読会を通過した9。黒海およびオホーツク海に全域または一部が位置する鉱床と、ヤマロ=ネネツ自治管区の北緯65°以北にある鉱床(ヤマル半島の油田は対象外)の石油産出税の免税措置が規定されており、既に生産を開始している鉱床についても、産出量が埋蔵量の5%未満の鉱床が対象とされている。7月13日、同法案は上院を通過した10。同法案は2012年1月1日に施行される。 【黒海に全域または一部が位置する鉱床】適用期間:生産ライセンス付与より10年、探鉱・生産ライセンス付与より15年/累積生産量2,000万tに達するまで 【オホーツク海に全域または一部が位置する鉱床】適用期間:同上、ライセンスにより10-15年/累積生産量3,000万tに達するまで 【ヤマロ=ネネツ自治管区の北緯65°以北にある鉱床(ヤマル半島の油田は対象外)】適用期間・同上、10-15年/累積生産量2,500万tに達するまで 北緯65°の地点にはPurpeがある。計画中のZaployaronoye-Purpeパイプラインの沿線で生産開始が見込まれる油田、或いはガス田下部層の原油・コンデンセートなどが対象となる。 さらに同法案では、ヤマル半島のLNG事業に供給されるガスとそれに付随して生産されるガス・コンデンセートに係る産出税の免税措置が規定されている。 【ヤマル半島のLNG事業に供給されるガス・コンデンセート】適用期間:生産開始から12年間/累積生産量がガスで2,500億m3、コンデンセートで2,000万tに達するまで これは、このタイミングから見て、Novatekの推進するヤマルLNGを支援するための優遇税制となっている。先行していたShtokman LNGに対する優遇税制は依然として法案化されておらず、同事業のオペレーターであるGazpromに対する支援策は脆弱である。 8 Interfax, 2009/4/27 9 Interfax, 2011/7/08 10 Prime-Tass, 2011/7/13 ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 y可採埋蔵量500万t未満の小規模油田に対する石油産出税の減税措置】11 この法案の目的は、西シベリア等の成熟油田地帯において未開発で取り残された利益の少ない小規模油田の開発を促進することで、石油生産量への貢献は僅かであるが、中小規模の独立系の石油事業者を数多く生むことに繋がり、産業の裾野拡大に資するものと思われる。 2)天然ガスに係わる産出税の動き 1)再圧入ガス産出税の免税(国会審議中、最終段階) (2011年1月、ガス・コンデンセートの生産量を増やすために再圧入された天然ガスの産出税を免税とする「税法342条」の改正案が、ロシア下院議会の第1読会を通過した12。 5月11日、下院の予算・税制委員会が、ガス・コンデンセートの回収率を上げるために地層に再圧入されるガスに係る産出税の免税法案を承認し、下院の第2読会を通過させることを提言した。 当該法案は「税法342条」を改正するもので、ガス・コンデンセート生産の促進を目的としている。なお、産出税の免税対象となるのは、当該鉱床から一度生産された可燃性天然ガスからガス・コンデンセートを取り除いたガスで、このガスを再圧入することにより、ガス・コンデンセート層準からのコンデンセートの生産量を10%~35%増加することができる。ロシアでは、ガス・コンデンセートが集中する多くの鉱床が発見されつつも、未開発のままとなっていた。地層に再圧入するためのガスに対しても産出税が課せられ、これを圧入して産出するコンデンセートに対しても産出税が課せられることから二重課税となり、ガスの再圧入技術が適用されてこなかったのがその主な理由である。現行の税法では、用途に関係なく、生産された全てのガスに産出税が課せられることになっていた13。適切な税制により、技術的に合理的な施策が通常の形で実施される基盤が用意されたと言える。 2) ガス産出税の引き上げ(2011年分施行、2012年以降は政府内で協議中) 2006年から2010年までの5年間は、ガス会社への配慮から、ガスの産出税はRb147/1,000m3 11 2010年7月財務省が承認したもの。 ? ? ? 埋蔵量が730万bbl(100万t)未満の鉱床:抽出税を50%減税 埋蔵量が730-2,200万bbl(300万t)の鉱床:抽出税を25%減税 埋蔵量が2,200- 3,665万bbl(500万t)の鉱床:抽出税を減税 12 PAF, Oil & Gas Eurasia, 2011/1/31 13 Interfax, 2011/5/11 ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ノ固定されて来た。その後、財務省の強い主張により、ガス産出税は2011年に61%増のRb237($7.92)/1,000m3となった14。 財務省は2012年以降、物価indexation(インフレ率に応じた値上げ)によりガス産出税をさらに引上げる方針で、2012年には123%増のRb529($17.6)/1,000m3とし、2013年にはさらに5%増のRb558($17.8)/1,000m3とし、ガス会社からの追加税収が少なくともRb1,000億($35億)となるよう設定していると報じられている。この法案が承認された場合、2012年におけるGazpromやNovatekのEBITDA(金利・税金・償却前利益)は10-15%減となる見込み。現段階では、ロシア政府が財務省案を支持するのかどうかは明確になっていない15。 2012-2014年においてロシアのガス部門に課せられる税負担に関してはRb5,000億以上増加されることがVladimir Putin首相との会合の席で決定したと副首相兼財務相Alexei Kudrinが語った。ガス部門に課せられる追加の税負担は、2012年:Rb1,500億、2013年:約Rb1,700億、2014年:約Rb1,850億と既に決められており、追加財源の80-90%はガス産出税で、その他は特定の鉱床に対する優遇税制措置の期限前の取消しやガス輸出に係る優遇措置の取消しにより税収が増やされることになる。 ガス部門向けの税制に係る会合は、この数日間で2回開催された。5月27日に開催された第1回会合では、ガス産出税の引上げにより国庫歳入を増加させるという原則が決められた。6月1日の第2回会合では、独立系ガス会社と比較してガス輸出を自由に行えるGazpromがガス部門に対する増税の大部分を担うとされた16。 )ガス産出税の差別化(関係省庁にて検討中) 同年5月17日、財務省がガス・パイプライン保有の有無別で企業に課すガス産出税を差別化する提案を行っているとShatalov財務次官が語った。これにより、ガス・パイプラインを保有し、輸出収入を得る企業、即ちGazpromには、独立系企業に適用されるガス産出税の2倍以上が課せ 3 14 Vedomosti, 2011/4/25 15 PAF, JP Morgan 2011/3/24 16 Interfax, 2011/6/01, 当該会合には、Putin首相とKudrin財務相の他、Igor Sechin副首相、Vyacheslav Volodin副首相、Elvira Nabiullin経済発展相、Andrei Belyaninov連邦関税局長、Sergei Novikov連邦タリフ局長、Sergei Donskoi天然資源・環境省次官、Sergei Kudryashovエネルギー省次官、Mikhail Mishustin連邦税務局長、Anatoly Golomolzin反独占局次長、GazpromのAndrei Kruglov副社長とAlexander Medvedev副社長が出席した。 ? 7 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 轤黷驍謔、になるというものである。 一方、独立系ガス企業或いは随伴ガスを産する石油企業に適用されるガス産出税は、現行の税法に基づき課せられることになる。ただし、現段階ではあくまで財務省案であり、経済発展省は概ね財務省案に賛成しているものの、エネルギー省の立場は不明である17。 その後の報道では、独立系ガス会社に係るガス産出税ついては、当初計画にあった物価連動方式により、現行のRb237($8.5)/1,000m3が2012年にはRb265($9.5)/1,000m3、2014年にはRb278.3($10)/1,000m3とする案になった18。ロシアの独立系ガス会社は、ガス産出税の大幅な増税を免れたと言える。 3)ヤマル半島におけるLNG事業に関するガス産出税の免税措置((1)④に既述) 石油輸出税は、1996年に一旦廃止されたが、1999年に、石油、ガス、鉄鉱石、木材などの原材料の輸出にに関する税として再登場したものである。 この時点では、原油輸出税は、前2ヶ月の世界の平均相場に基づき、2ヶ月ごとにレート変更する方式をとっていた。2004年に入り、折からの高油価が石油企業に「棚ボタ利益(wind-fall profit)」を生んでいるとして、ロシア政府は、6月12日をもって税率の算定方式を表1のように改正した。 この新方式の下では、油価がバレル当たり$25を超えた場合、石油生産における利益の90%が税金として国庫に入ると言われている19。輸出税を引き上げることにより、石油企業による輸出原油の増産意欲を抑制したものである。 原油、石油白物製品、石油黒物製品そして東シベリア油田の輸出税について、2006年から2011までの推移を、図1に示す(東シベリアのみ2009年12月から)。 この政策は、「棚ボタ利益」の政府による吸収以上に、2003年9月に訪莫したのサウジアラビアのアブドラ皇太子(当時、現国王)による、生産抑制の要求もきっかけとなっていると思われる。 2003年のロシアの生産量は対前年比11%と大きな伸びを示していた。そして中国の需要が対前年比12%増(2004年には16%増)となる一方で、サウジアラビアは生産量は日量950万バレルで 17 Interfax, 2011/5/17 18 RusEnergy, 2011/6/07 19 PIW, 2005/1/25 ? 8 ? . ロシアにおける石油輸出税 (1) 石油輸出税の最初の改訂 4Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 цレし、増産余力の不足が油価高騰の根拠の一つとされていた。この時は、ロシアが中国を含むアジアの需要増を一手に引き受けていた観がある。しかし、サウジアラビアは、2004年までに生産能力が日量1,100万バレルという体制を目指していた。おそらく、サウジはロシアに対して一方的な増産を控えるよう要請したものと思われる。 ロシアの石油生産は2年かけて2005年には、対前年比2.5%と漸増基調へと転換し、その後ほぼ横ばい基調となって行く。ロシア政府が個別の石油企業に生産量を指示した訳ではなく、輸出税の増税によりロシア全体の生産抑制に誘導して行ったと見るべきである。このように、税制は単なる徴税項目のリストではなく、政府が石油産業を指導して行く上で唯一のツールとなっている。 表1. 輸出税の算出方法の変更(2004年6月12日改正) 原油価格 ($/bbl) 改正前(2004年6月12日まで)改正後(現行) 15以下 15~20 20~25 25超 0 0 (原油価格-15)×35% (原油価格-25)×45%+3.5 (原油価格-15)×35% (原油価格-20)×45%+1.75 (原油価格-25)×65%+4 *20 図1 原油・石油製品の輸出税の推移(2006年2月~2011年8月) 20 トン表示では (Urals原油価格[$/t]-$182.5/t)×65%+$29.2/t ? 9 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Q)石油輸出税の削減 石油輸出税は、先行する2か月のUralブレンドの価格を基準に決められていたが、油価の上昇基調にあっては、これは特段問題ではなかった。2008年7月11日、WTI油価がバレル当たり$147.27と最高値を付け、それ以降の急速な下落を見せたが、石油輸出税は8月1日に、$495.9/t($67.65/bbl)と最も高い税率となった。即ち、輸出税が油価の高値に遅れて変動するというタイムラグという深刻な問題を生み、石油業界は税制の改正を求めた。 (ロシア政府はタイムラグの影響を少なくするために、従来の2ヶ月間のモニタリングを改め、税執行時の油価に比較的近くなるよう、前月の油価を採用する様に改め、10月1日から施行された。石油輸出税は$372.1/t($50.78/bbl)という税率となった。これは9月1日から9月17日までの17日間のモニタリングによる平均油価$97/bblに基づく値であるが21、弥縫的な措置にとどまっていた。 12月1日施行の新たな税率を待たず、11月1日からは、臨時措置として輸出税は$297.3/t($39.15/bbl)となったが、11月に油価は$50台にまて低下しており、石油産出コスト、輸送コスト、石油産出税まで考慮すれば、逆鞘状態であり、石油会社の求めていた石油輸出税の大幅な値下げとはならなかった22。12 月からは新フォーミュラで税率を決定することになり、$195/t($26.60/bbl)程度の水準まで下げることとなった23。 11月9日に、Transneftは11月の石油輸出が25%減少し、12月の契約にも支障が起きていることを明らかにした。翌10日、Rosneft, GazpromNeft, Lukoil, TNK-BP, Surgutneftegazの5社の首脳がプーチン首相と会い、輸出税を遡及して再検討することと、石油生産税の見直し方針を訴えた24。 3)東シベリア原油の定義と輸出税の免税措置(2009年12月1日施行、翌年 ESPOパイプラインが2009年12月末から輸出開始となることを睨んで、東シベリアの原油に関して輸出税の免税措置が講じられた。このパイプラインで出荷される原油は「ESPO」ブレンド ( 21 Interfax, 2008/10/24 22 IOD, 2008/11/04 23 IOD, 2008/11/11 24 Kommersant, 2008/11/11 ? 10 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ニ名付けられ、2009年7月16日付けの政令574号によるロシア石油輸出関税法の改正により、石油輸出税が免除となった。対象となる原油については、新たな関税コードTN VED 2709 00 900 1が設けられ、東シベリア13油田(表2参照)からの原油が対象となった。品質基準としては20℃での原油比重0.6947~0.8724、硫黄含有量0.1%~1.0%とされた。そして、11月26日付けの政令954号により、施行は2009年12月1日からとし、適用期間は当初9カ月間とされた。 鉱床名 開発者 戦略鉱床 所在地 ● ● クラスノヤルスク地方 サハ共和国(ヤクーチア) サハ共和国(ヤクーチア)● イルクーツク州 ● ● ● ● サハ共和国(ヤクーチア)サハ共和国(ヤクーチア)イルクーツク州 サハ共和国(ヤクーチア)サハ共和国(ヤクーチア)クラスノヤルスク地方 クラスノヤルスク地方 イルクーツク州 13 Sredne-Botuobinskoye 表2 石油輸出税免除となった東シベリアの13油田(2009年11月制定) ● サハ共和国(ヤクーチア)ところが、当初対象に選んでいたエニセイ河河口に近いクラスノヤルスク地方のVankor油田の比重がやや重く、この原油の定義に収まらないことが分かり、2009年12月19日付けの関税同盟委員会の決定155号により、原油に係る関税同盟の統一関税の変更がなされるのを受け、新たな関税コードTN VED 2709 00 900 2が設けられた。新たな品質基準としては、より重質で高硫黄の原油も含むもので、20℃での原油比重0.6947~0.8874(API比重:71°~28°)、硫黄含有 ? 11 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1 2 3 4 Vankor油田 Talakanskoye油田 Alinskoye油田 Verkhnechonskoye油田 5 北Talakanskoye 6 東Alinskoye Rosneft Surgutneftegas Surgutneftegas TNK-BP& Rosneft Surgutneftegas Surgutneftegas Pilyudinskoye Stanakhskoye Verkhnepeleduyskoye 7 8 9 10 Yurubcheno-Tokhomskoye Rosneft Slavneft 11 Kuyumbinskoye Surgutneftegas Surgutneftegas Surgutneftegas 12 Dulisminskoye Urals Energy Taas-Yuryakh Neftegasdobycha ハ0.1%~1.5%となった。そして東シベリアにおける対象油田として9鉱床が追加され(表3参照)、合計22油田となった。硫黄分の上限を1.5%にまで拡大した件については特段の解説は見られないが、西シベリアの一部の油田で1.5%程度の高硫黄を産することがあり、ここまで適用範囲をあらかじめ広げておいたものと思われる。 当初のリストではSurgutneftegazの油田が13油田中7油田も含まれ公平性が疑われたが、新規では対象が拡大され、更にイルクーツク石油(INK)の油田が4つ含まれるなど、中小企業にとっても有利な決定になっている。2010年1月28日の政令32号により、この輸出関税の免除の適用は2月1日からとされた。 所在地 イルクーツク州 イルクーツク州 イルクーツク州 イルクーツク州 ● クラスノヤルスク地方クラスノヤルスク地方戦略鉱床 開発者 INK INK INK INK TNK-BP TNK-BP 鉱床名 14 Yaraktinskoye 15 Danilovskoye 16 Markovskoye 17 18 19 20 21 22 表3 東シベリアでの輸出税免除の追加9油田 (2010年1月制定) Zapadno-Ayanskoye Tagulskoye Suzunskoye Yuzhno-Talakanskoye Surgutneftegaz Vakunaiskoye GazpromNeft Chayandinskoye Gazprom サハ共和国(ヤクーチア)イルクーツク州 ● サハ共和国(ヤクーチア) 2010年11月27日付けの政令930号により、東シベリアの22鉱床に加えて、12月8日からカスピ海北部にあるLukoilの操業するYury Korchagin油田及びFilanovskoye油田に対して、石油輸出税の減税措置を適用した。関税コードはTN VED 2709 00 900 3である25。これにより、Lukoilのカスピ海事業が加速するものと期待される。 4)カスピ海での石油輸出税の減税措置(2010年12月8日施行) (? 12 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i5)東シベリア原油の免税措置を減税へ切り替え(2010年7月1日施行) 東シベリアにおける輸出税免税措置が始動してほぼ半年を経て、優遇措置を是正し減税とする動きが出て来た。 2010年6月26日付けの政令472号に基づき、7月1日から東シベリア産石油に対する輸出税に係る新たな算定方式が適用されることになった。基準油価がバレル当たり$50を下回る場合の石油輸出税は0(ゼロ)であるが、それ以上の場合は 石油輸出税=(基準油価-$50/bbl)×0.45 の式で求める。 油田事業の収益率が15%に達すると、企業は通常の輸出税を全額支払うことになると規定されたと報道され26、生産が軌道に乗った順にこの優遇税制の対象からVankor油田が2011年に、Verkhnechonsk油田が2012年に、Talakan油田が2013年に外されるものと予想された27。但し、財務省が15%という敷居値を明言した訳ではなく、これは凡その目安と思われる。 東シベリア産石油に係る輸出税は、2010年7月1日から現行の$0/tから$69.9/tへ、即ち通常税率の28%の水準となった。一方、液化ガスに係る輸出税も現行の$27.3/tから$20.5/tに引き下げられた28 Vankor油田を操業するRosneftは、2011年1月でRORが16%~17%になると見込まれ、これにより政府は輸出税減税を停止する予定であったが、石油企業側は適用期間の延長を求めていた。これに対して、2010年9月17日、財務省は、Vankor油田に係る石油輸出税の減税措置延長を求めるRosneftの提案を却下した。Vankor油田に係る内部収益率は17%であり充分であるとShatalov財務次官は述べている。Rosneftは2013年に操業開始予定のYurubcheno-Takhomskoye油田に係る石油輸出税を今後5年間において免税とすることも政府に要望した。ロシア政府は当該鉱床に係る優遇税制について検討を行う方針と報じられている29。 Vankor油田については当初RORが16-17%になる2011年1月で停止する予定であったが、その後2010年10月に$50/bbl超部分で45%を減税するという石油輸出税の減税施策が打ち出された際に、Vankor油田の優遇策を2011年5月まで延長することがプーチン首相の裁量で決定した。 25 2010年10月14日付け関税同盟決定による 26 Interfax, 2010/6/16 27 PAF/JP Morgan, 2010/6/09 28 Interfax, 2010/6/29 29 The Moscow Times, 2010/9/20 ? 13 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ところが、2011年4月25日付けの政令311号により、5月1日から輸出税の優遇税制が廃止されるのは、Vankor油田のみでなく、TNK-BPの操業するVerknechon油田、Surgutneftgazの操業するTalakan油田も含まれることが明らかになった30。エネルギー省の試算によれば、Verkhnechon油田の利益率は既に30%を超えているという。この提案を行ったのは、この不平等な施策に不満を持つRosneftであり、セーチン副首相が政府内で動いたとの噂がある31。 なお、現在Rosneftは、Vankor事業の内部収益率21%を維持することを目的に、油価が$95/bblを下回る場合にはVankor油田に対する石油輸出税の優遇措置の適用を復活させるべく、ロシア政府と交渉している32。 更に、7月25日付けの政令(#615)により、8月1日からロシア政府は、東シベリアの鉱床に適用されている石油輸出税に係る優遇税制の適用対象から以下の6鉱床、①Alinskoye(Surgutneftegas)、②Dulisminskoye(Dulisma)、③Zapadno-Ayanskoye(INK)、④Yaraktinskoye(INK)、⑤Markovskoye(INK)、⑥Danilovskoye (INK)、を除外することが示された33。 東シベリア油田群に対する税制の優遇措置は、極めて限定的に運用されていると言える。 6)東シベリア油田における優遇税制の停止(2011年5月1日、8月1日から適用) (7)石油製品輸出税-「60/66」体制の導入(2011年内導入を目指して政府内協議中) 2011年の1月にエネルギー省が,原油及び石油製品輸出税の減税を提案した。 (原油輸出税は、モニタリング期間中の平均油価とカットオフ価格の差に乗じる係数を、現行の65%から60%に引き下げるという減税案である。一方石油製品に係る輸出税では差別的な扱っていた白物・黒物を統一的に原油輸出税の66%に設定する。所謂「60/66」体制である。2011年の導入を目指している。 当該算定式については、財務省との合意がなされており、石油企業も協議に参加している34。 現行のガソリン等の白物製品の輸出税率は90%、重油等の黒物製品の輸出税率は60%であり、白物に関しては大幅な減税となり、石油企業にとって白物を増産するインセンティブとなる一方で、 30 Vedomosti, 2011/4/13 31 Vedomosti, 2011/4/26 32 Interfax, 2011/7/29 33 Interfax, 2011/7/29、Prime-Tass, 2011/7/28 34 Interfax, 2011/1/19 ? 14 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ?v率の悪い黒物の生産を抑制する方向へ指導して行くことを目指している。 5. ガス輸出税の動向-Blue Streamパイプラインにおけるガス輸出税免除の撤廃(財務省内での議論) 天然ガスの輸出税は輸出ガス価格の30%と定められており、現状ではこの税率を修正する必要性についての議論はない。 2011年7月、財務省のHPに掲載された税制案によれば、Blue Stream パイプラインに係るガス輸出税の優遇措置が撤廃された場合、Gazpromに適用されるガス産出税は2012年:Rb431/1,000m3、2013年:Rb502/1,000m3、2014年:Rb544/1,000m3となる見込みで、片やガス幹線P/Lを保有しないその他の企業については、ガス産出税がGazpromの50%以下となるような減税係数[2012年:0.582、2013年:0.528、2014年:0.511]が適用されることになる。一方、Blue Stream パイプラインに係るガス輸出税の優遇措置が継続される場合には、Gazpromに適用されるガス産出税は2012 年:Rb509/1,000m3、2013年:Rb582/1,000m3、2014年:Rb622/1,000m3となり、その他企業に適用される減税係数は2012年:0.493、2013年:0.455、2014年:0.447となる見込である35。 この議論で注目されるのは、ガス産出税への影響よりもむしろ、Blue Streamパイプラインにおけるガス輸出税免除それ自体である。 黒海を横断してトルコにガスを供給するBlue Streamパイプラインは、2001年夏から黒海海底へのパイプの敷設を行い、2002年12月30日から送ガスを開始した36。本格的な供給が始まったのは翌2003年の2月からであり、6ヶ月の猶予期間をおいて、テイク・オア・ペイ条項が適用されることになっていた。Blue Streamは送ガス能力が年間160億m3あり、2003年には20億m3を供給し、2005年には50億m3にまで増加させる契約であったが、折からのトルコ経済の低迷から、同年4月には輸入を停止せざるを得ない事態となった37。 トルコ側は、引取量の削減と天然ガス価格を$115/1,000m3から$75/1,000m3へと、約2/3に引き下げることを要求し38、結局テイク・オア・ペイ条項の発動される前に、ロシア側は供給量の削減を容認し、ガス価格に関しては既往のブルガリア経由での供給契約と合体して若干引き下げるこ 35 Interfax, 2011/7/06 36 FSU Energy, 2003/1/10 37 Nefte Compass, 2003/5/01 38 Nefte Compass, 2003/7/17 ? 15 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ニでトルコ側と合意したと報じられていた39。 ところが、トルコに対して30%のガス輸出税が免除されていたとすると、財務省レベルでの決定であったと推察され、且つ報道に対しては、透明性のある説明がなされていなかったことになる。報道では、ロシア側はトルコの要求の内、輸出量の削減は呑んだが、価格は妥協していないということであったが、$115/1,000m3というガス輸出価格の内、輸出税分30%を除くと、$80.5/1,000m3 となりトルコ側の要求を殆ど受け入れたということになる。これがロシアの国家予算にもたらす損失は年間で最大Rb450億と評価されている40。財務省はGazpromとの取引材料に、この輸出税免除を使っているが、税制改正を巡るこれだけ大きな議論が展開されている最中に、このような扱いがあること自体が驚きと言える。 . 今後のロシアの石油ガス税制の方向性 Trutnev天然資源相は、ビチューメン開発には別の税率を適用すべきであると発言し、別途新たな税 6システムが導入される可能性を示唆した。これは、ビチューメン開発に税率の低い税制措置を導入することを求めるTatneftからの要望を受けたものである41。 経済発展貿易省によれば、Tatneftがタタルスタン共和国で生産される高粘性油に個別の分類を設け、将来的に輸出税の免税対象とすることを同省に提案している42。 Gazpromは、ケメロヴォ州のKuznets炭田におけるCBM(Coal Bed Methane)産出に関して、産出税の免除を要望している。 エネルギー省は、新規油田に係る産出税を撤廃し、「超過利潤税」を導入するという提案を行っているが、財務省はエネルギー省の提案には反対であり、原油輸出税を引下げ、白物製品と黒物製品に係る輸出税を統一化するという提案については支持しているとShatalov次官が発言した43。 個別の省からは、今後も事象に応じた減税要請が出て来るものと思われるが、財務省の姿勢は終始一貫して、課税対象の調整には応じるが、基本的には税収増を意図しているというものである。これは、エネルギー産業があらかじめ税収規模が期待されており、安易な減税に応じられない事情によるものである。しかしながら、このことが石油・ガス産業の活力を殺いでいることも事実であり、財務省は産業界と (了) の粘り強い見解の擦り合わせが求められている。 39 Nefte Compass, 2003/7/31 40 Vedomosti、2011/7/06 41 Prime-Tass, 2011/2/25 42 Interfax, 2011/6/14 43 Vedomosti, Reuters, 2011/2/18 ? 16 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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2011/08/18 本村 真澄
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