ページ番号1004166 更新日 平成30年2月16日

イラク:石油大国イラク復権への道筋 -石油政策の行方-

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レポートID 1004166
作成日 2011-08-18 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
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媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
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著者直接入力 西村 昇平
年度 2011
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抽出データ 更新日:2011/8/14 石油調査部:西村昇平 年3月、ルアイビ石油大臣は、石油省が2011年から2014年までの4ヵ年計画を策定した旨記者会見で発表した。これまで、当方では、イラク戦争後、イラク石油省が独自に上流から下流部門までを体系的に取り纏めた計画を作成したことを確認していない。今般、この先4年間の石油行政における政策を明文化したことは、イラクの石油行政機能が順調に回復しており、石油大国イラク復権への兆しとして捉える事ができるのではないか。 今表1】イラク政府が開発を進める油田開発事業一覧 【イラク:石油大国イラク復権への道筋 -石油政策の行方- (各種報道等により筆者作成)また、イラクでは、これまで実効性のあるエネルギー開発計画だけでなく、石油法などの法的枠組みなしで上記12案件の石油開発契約を締結して石油開発事業を実施している。これまでイラクがどのような目標、方針で石油開発を進めているか明示的に理解することができなかった。このようなことから、当4カ年計画は同国の石油政策の将来を見据える上で貴重な情報と考えられる。本稿では、生産目標、原油輸送インフラの計画を中心に当4カ年計画を概観する。 ? 1 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 恊ホ油省4カ年計画の意味合い 今後イラク政府が、原油生産を対象とする既存12契約案件、天然ガス生産を目標とする第3次入札、第4次入札(一部鉱区)、南部油田随伴ガス回収事業(SGU)をどのような基幹インフラの整備計画、財政計画等をもって取り組もうとしているのかという思考を理解するために、今般発表された4ヵ年計画は重要な手掛かりとなる。 ラク石油省は、4カ年計画の冒頭で、①世界的水準の技術で生産能力を増大させる、②石油・ガス埋 イ蔵量を増大させ、世界の石油輸出国の中でイラクの先進的地位を実現する、③資源を持続的に利用する旨記している。同文言を読み替えると、イラクは2014年までに世界で最高レベルの油・ガス田開発技術をもつBPやエクソン、シェルなどのメジャーズと契約することによって生産能力を拡大させ、第4次入札にて埋蔵量を増大させることによってOPEC内で優位な地位を築き、長期に渡り原油輸出益による国家歳入を確保したいとの思考を推察することができる。イラク政府は【表1】の通り、メジャーズとの契約を実現し、既に事業が実施されている。また、来年1月の開札を目指し第4次入札の準備を進めているが、この目的を石油・ガス埋蔵量を増大させ、今後イラクが生産量を増やしていくと同国に割り当てられるであろうOPEC生産枠に関する議論を優位に進めるとの思惑が垣間見られる。イラクへのOPEC生産枠に関しては、後って詳述する。 考までであるが、4カ年計画以外でイラク政府の関与するエネルギー分野の計画を簡単に紹介してお 参く。現在、世界銀行が資金拠出し、石油分野に国内への電力供給計画を絡めたエネルギー分野の開発計画(エネルギー・マスタープラン)の策定を進めているところである。昨年の報道では、米国コンサルタント会社のBooz & Coが当該案件を受注している旨報じられている。但し、当マスタープランの作成にはイラク政府の主導部が関与しているものの、世界銀行が無償で供与する当該政策をイラク政府が採用するか否かは未知である。来年初めには同計画が完成するようであるので、その後同計画をイラク政府がどのように活用していくかも注視する必要がある。 前、イラク政府計画省が中心になり作成した2010年から2014年までの5カ年国家開発計画では、原 以油生産を2014年までに450万バレル/日生産する方針が示されている。筆者も2009年に現地にて当該5カ年計画の立案会議にオブザーバーとして参加したが、同開発計画は、既に閣議承認されているもの? 2 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ラ関連インフラの増設・改修事業の実施が遅れているため、既存インフラの原油輸送能力はほぼ飽和状態となっている。 なみに、今年7月にイラク ち石油省が発表した同国の6月の原油輸出量は、南部輸出ルートで約173万バレル/日であり、ここ数年の輸出量と比較すると今年に入り最大約20%急増している。イラク政府は、南部輸出ルートからの現在の出荷能力を175バレル/日としており、余剰輸出能力は極めて限定される。大規模な国内製油所の新設も計? 3 ? の資金的な裏付けに乏しく、策定にあたり財務省、石油省などの主要官庁の関与も限定的であったことから今のところ実効性の低い開発計画であり、現状で計画自体が形骸化されてしまっていると評価している。 事業が実施されている原油生産を対象とする既存12契約案件の一部では、今年に入り大幅増産を達成している。同時に初期生産目標(当初生産量より10%増)を達成した、BP、CNPC、ENI、KOGASなどのIOCs(国際石油会社)は、石油開発対価としてイラク政府から原油を受領している。既存12案件中、多くの事業は、イラク南部の油田地帯に集中している。しかし、イラク政府による陸上から海上までの原油出石油省4カ年計画のおかれる現状(インフラの限界と整備の遅れ) ●Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 謔ヘあるものの事業の着工が遅れており原油の内需の増加分は限定的で、今後も原油の生産・輸出を増加させていくためには、原油出荷関連インフラの整備が必要不可欠である。 図2】イラクの原油生産量と南部・北部からの原油輸出量 【※イラク石油省公表値より筆者作成 ? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 恊ホ油省4カ年計画での生産目標 これまで、イラクの石油政策、生産目標等を把握するためには、石油行政のキーパーソンであるシャハリスターニ副首相(前石油大臣)の発言に頼ることが多かった。シャハリスターニ副首相は、既存12案件が実施されればイラクの生産能力は現行の約250万バレル/日から2017年までに(操業中のキルクーク油田等からの生産量を加え、)1200万バレル/日に増大される旨発言している。そして、直近の報道(今年5月)でも、シャハリスターニ副首相は、イラクは1200万バレル/日の生産能力目標を引き下げる意向はない旨発言したと報じられている。 【図3】イラク政府の原油生産目標と国際機関の予測値 (万B/D) ※IMF分は保守的な予測値を採用(各種報道等により筆者作成) ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 カ年計画の中では、2014年以降の生産量には言及していないものの、2014年までに生産量を650万バレル/日を達成するとしている。以下【図3】を見ても分る通り、ルアイビ石油大臣の発表した650万バレル/日を達成するという4カ年計画にある目標は、基本的にシャハリスターニ副首相の2017年までに1200万バレル/日の生産能力を達成するという路線を踏襲したものであることが分る。一方、IEA、IMFなどの国際機関は2014年までのイラクでの生産能力に関し、イラク政府の目標を約250万バレル/日下回る予測値を発表している。これらの予測値は、将来同国に設定されるであろうOPEC生産枠、基礎インフラ整備の遅れ等を勘案したものと考えられる。 【4カ年計画の一部を仮和訳】 2012 330 2013 450 2014 650 油・天然ガス生産計画 原油生産能力(万バレル/日) 2011 275 原油 原 近の報道によると、ルアイビ石油大臣は既存12案件の契約を改定する方向で、契約に記されている 最プラトー生産量、プラトー期間変更に関し、今後の市場での需給予測等も鑑みつつ、様々な可能性を検討しているところである旨発言している。これら動きの背景には、イラク石油省が現実路線に転換し、1200万バレル/日の生産目標達成に拘らず、原油市場の需給バランス、OPEC生産枠の課題、12案件の経済性の確保に関し、本格的に取り組もうとする兆しと思料される。 方で、前述の通り、シャハリスターニ副首相は、イラクは日量1200万バレルの生産能力目標を引き下 一げるつもりはなく、(IOCsと)既契約案件の生産目標変更の再交渉を行う意向がない旨述べたと報じられている。2014年までは、650万バレルの生産目標を目指し4カ年計画を実行していくものとみられるが、それ以降の生産目標に関しては、イラクのエネルギー行政に絶大な権限を有している同副首相が、政? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 非随伴ガスと随伴ガスの生産計画百万SCF/D) 2014 500 4000 4500 ※4年目からは、マンスーリーヤ・ガス田、アッカス・ガス田からの生産分が追加される。 2012 375 2000 2375 2011 375 1400 1775 2013 375 2700 3075 非随伴ガス※ 随伴ガス 合計 。年7月にイラク石油省が発表した同国の6月の原油輸出量は、南部輸出ルートが約173万バレル/日、北部ルートが約55万バレル/日である(※北部からの約1.5万バレル/日はヨルダンへ陸送)。この原油輸出量を以下4カ年計画にある原油輸出能力に当てはめると、南部では2万バレル/日程度、北部では11万バレル程度しか余剰がない状況が伺える。 ラクは、主に南部のバスラ沿岸の出荷ターミナル及び北部のトルコ経由ジェイハン港から原油を出荷し イており、4カ年計画の中でも整備計画を策定している。特にイラク南部ではルメイラ油田、ズベイル油田、西クルナ油田等の主要油田の開発が進み生産量が急激に伸びており、これら状況に対応するための原油輸送インフラの整備が喫緊の課題となっている。当該計画の中心は、急激に増えている南部油田から生産される原油への対応であり、2014年までに現在の出荷能力を175万バレル/日から500万バレル/治的な見地から今後どのような方向性を示していくのかその発言が注目される。 原油出荷インフラ整備計画及びその進捗 ●2014年末までに南・北両ルートを通じた輸出能力を日量最大600万バレルまで増加させる。 原油輸出能力(万B/D) 南部 北部 合計 2011 175 65 240 2012 260 65 325 2013 444 65 509 2014 500 65 565 輸出能力を日量500万バレルに増大させる計画。 上施設:下記の2フェーズで構成。 海 (cid:190) 南部送油ルート 第1フェーズ:領海内での(口径)48インチの海底パイプライン2条の敷設とSPM3基を設置。英コンサルタントのフォスター・ウィラー社監理の下、石油省が実施する。第1段階は2011年末に完了し、第2段階は2013年の第1四半期までに実施。 第2フェーズ:ファオとバスラ・オイル・ターミナルの間に48インチ(口径)の海底パイプライン1本を敷設し、分岐管を設置。そして、分岐管からの1本はコール・アル・アマヤ出荷ターミナル、もう1本は第4のSPMに接続される。資金は、日本の円借款を調達。2013年の上半期までに完工す? 7 ? 日に拡大する方針を示している。 4カ年計画の一部を仮和訳】 【油輸出能力 原Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 黷ワで、4カ年計画の中にある南部海上出荷施設建設事業(※主に海底パイプライン及びSPMの設 こ置)の第1フェーズに関しては、設計・監理(フォスターウィラー社)、調達(イラク政府)、建設(レイトン社)が担当し、事業全体をイラク政府が取り纏める方向で実施されていることから、事業マネージメントが複雑になり、現状のイラクでは実施が難しいとみられていた。 かし、今月になり沖合でのパイプラインの敷設作業の光景が報道され、一定の進捗が確認されている。 し但し、同パイプラインの敷設作業が円滑に完工するまでには、未知の課題もあり、前述の理由により建設後のインフラの性能保証、契約外の事象が発生した場合の建設会社からの追加請求等の問題が発生する可能性を否定できない。イラク政府・コントラクター間で問題が円滑に解決できない場合は、パイプラインの完工スケジュールに影響を与ええる可能性がある。 調に作業が進捗すれば、若干予定が遅れるものの2012年初めに百数十万バレル/日、さらに、まだ 順着工されていない模様であるが2013年初めに百数十万バレル/日の出荷能力が追加される可能性がある。そして、第2フェーズの円借款の事業も完工すれば、百数十バレル/日が追加され、イラクは、2013年初めに既存の能力と合わせると理論上約600万バレル/日の南部からの出荷能力を得ることになる。 だ、海上施設の建設が完工すれば直ちにパイプラインが送油能力を発揮できるわけではなく、遅れて たいる陸上のファオにある出荷インフラ(特にタンクヤードやポンプピング・ステーション)建設の進捗が輸出能力の拡大の鍵となる。また、既存の南部出荷施設は老朽化が進んでおり、新規施設完工後に、イラク政府は既存施設のリハビリ事業を実施する可能性がある。原油流出等の事故を防ぐためにも早急な既存施設のリハビリや原油流出事故対策の整備が必要不可欠である。さらに、これまでイラクではSPM? 8 ? 上施設:ファオ貯蔵所に中央ポンプィング・ステーション、貯蔵タンク24基を設置する。このポンプィング・ステーションより、既存のパイプライン及び新設するパイプラインに(原油を)供給する。当貯蔵所は2013年半ばに完成する見通し。必要な平均輸出量を達成するために、一部事業を前倒し実施する可能性もある。 陸(cid:190) 北部送油ルート このルートの現在の輸送能力は日量65万バレル。現在の40インチ(口径)のパイプラインを改修することで、日量100万バレルまで輸送能力の増強が可能。現在当事業を推進中。 る予定。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 iSingle Point Mooring:一点係留方式の洋上原油輸出設備)の操業経験がないので、技術者の育成等ソフト面の対応も必要である。 部輸出ルートに関しては、2014年まで現状の65万バレル/日の能力を維持する計画である。北部輸 北出ルートへは、キルクーク油田等からの送油分にクルド分を加えた原油が送油されている模様であり、この送油能力が4カ年計画にある通り65万バレル/日の場合は、キルクーク油田等からの分を仮に50万バレル/日とするとクルド分は15万バレル/日の出荷が可能となる。つまり、関連インフラが建設されるまでは中央政府がキルクーク油田等の生産を減産しない場合、クルドからの生産は15万バレル/日程度に限定される可能性がある。 ルド地域政府(KRG)は、IOCsと独自に40以上の油田開発契約を締結していると言われており、これま クで中央政府の石油開発を目指し入札資格を得ていたレプソルやHess、マラソンなどの中堅企業も、中央政府域での石油開発に見切りをつけ、KRGと探鉱/油田開発契約を締結している。7月にハラウミKRG天然資源省大臣は、現在クルドではタウーケ油田、タクタク油田等の主要油田から18万バレル/日生産していると述べている。今後、後発の油田から生産が開始される場合は、既存出荷施設の能力の問題で、中央政府の管理する北部輸出ルートのパイプラインでは出荷できなくなる可能性がある。 4カ年計画の骨子にも明記されている通り、イラク政府は、石油・ガス埋蔵量の増大を目指しており、その手段として第4次入札を実施する予定である。対象とする鉱区は、12鉱区で、7カ所の鉱区がガス、5カ所の鉱区が原油の発見を目的としている。今のところ、事業概要、入札の契約形態は発表されていないものの、イラク政府は来年1月の開札を目指し準備を進めている。既に9社の日本企業が、第4次入札の事前資格審査(PQ)を通過している。 ラク政府が第4次入札を実施する狙いとしては、前述の通り、OPEC生産枠の交渉を有利に進めたいと イいう点と、国内発電所、欧州・アラブ地域に天然ガスを供給したいとの2点があるのではないか。特に1点目であるが、既にイラクはIOCと12案件の開発契約を締結していることから上記の通りその莫大な? 9 ? 石油省4カ年計画の骨子及び上流開発計画 ●Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 200万バレル/日に及ぶ生産目標の下方修正を検討している段階である。このような状況で、特定の鉱区で原油の埋蔵が確認されたとしてもそれが、即座に生産を目的とした油田開発に繋がるかは不透明である。その点に鑑みると、原油狙いの探査・探鉱は、OPEC生産枠の交渉を有利に進めるための布石①石油・ガス埋蔵量の増大 ②原油・ガス生産能力の増強 ③ガス開発への投資の拡大 ④原油精製能力とガス処理能力の増強による、石油製品・ガスの需要の高まりへの対応 ⑤石油製品の品質向上 ⑥現存する原油貯蔵・運搬・輸出システムの復旧とリハビリ、及び新たな輸出経路の開設 ⑦環境意識の拡大と環境汚染物質の削減 ⑧発電所への燃料供給 ⑨労働力の開発 査 探石油埋蔵量:現在確認されている石油埋蔵量は、1,431億バレル ガス埋蔵量:随伴ガスと非随伴ガスを合わせた天然ガスの埋蔵量は、PDP調査によると、最大126.7兆立方フィート。以前は107.8兆立方フィートであったため、18.9兆立方フィート増加している。 第4次入札: 12鉱区での探査が契約される予定。この中には、石油・ガスの存在可能性が高い地点での海底探査、探査坑井10か所の掘削が含まれる。 4カ年計画の一部を仮和訳】 【と捉えることができる。 カ年計画骨子 42012 330 2013 450 2014 650 油・天然ガス生産計画 原油生産能力(万バレル/日) 2011 275 原油 原のところイラクには湾岸戦争以降OPEC生産枠は設けられていないが、今後生産量を300~370万バ 今レル/日程度まで拡大してくると、イラクへの生産枠再設定問題がOPECにて惹起される可能性は高いと? 10 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 非随伴ガス※ 非随伴ガスと随伴ガスの生産計画(百万SCF/日) 2012 375 2000 2375 2014 500 4000 4500 ※4年目からは、マンスーリーヤ・ガス田、アッカス・ガス田からの生産分が追加される。 2011 375 1400 1775 2013 375 2700 3075 随伴ガス 合計 lえている。その際、OPECには生産枠の設定に関して厳密な規定がある訳でないが、埋蔵量の大きさと生産枠がある程度リンクして設定されている現状もあるので、イラク政府は埋蔵量の増加分を根拠に、生産枠の拡大を主張してくる可能性がある。 係者の間では、今後OPECにてイラクの生産枠に関する議論が始まった場合は、イランとほぼ同等の 関400万バレル/日程度の生産枠が割り当てられるのではないかと見られている。前述の通り、イラク石油省は、4カ年計画の中で2014年までに650万バレル/日の生産能力を目指している。原油輸送インフラ建設の進捗、12油田開発案件の進捗にもよるが、【図3】のグラフにもある通り、イラクの生産は、今後4、5年で400万バレル/日の生産を超える可能性がある。 点目の天然ガスの生産に関してもイラク政府は、事業を本格化させており、今年7月にロイヤル・ダッチ 2シェル/三菱商事のコンソーシアムが南部油田随伴ガス回収事業(SGU)に関し、イラク政府とイニシャル・アグリーメントを締結しており、また【表4】にある通り、第3次入札にてアッカス・ガス田、マンスーリーヤ・ガス田等が落札されている。しかし、アッカス・ガス田開発に関しては、KOGASが石油省とイニシャル・アグリーメントを締結しているものの、現時点では本契約に至っていない。 表4】イラク政府が開発を進めるガス田開発事業一覧 【 (各種報道等により筆者作成) これら案件の進捗を踏まえイラク政府は、2014年までに非随伴ガスの生産を500SCF/日、随伴ガスを4000 SCF/日まで増産するとしている。但し、現状では国内のガス関連インフラは脆弱であり、国外へのガス・パイプライン等の輸出インフラも皆無である。4カ年計画の中では、イラク北部ベイジからタジを経由しバグダッド南部に至る経路や南部バスラから中部カルバラに至る経路等の天然ガス輸送の基幹とな? 11 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 骰痩ニパイプライン建設の計画が記されている。また、4カ年計画骨子の中でガス開発への投資の拡大とある通り、今後イラクが天然ガスの生産を拡大していくためには、パイプラインや処理施設などの基幹インフラの建設への多額の予算配分が必要である。さらに、当該インフラの整備計画を実施していくには、資金面だけでなく、法律的枠組みの整備、外国企業との契約を可能にする調達に関する行政面での機能の改善も鍵になる。 考までであるが、4カ年計画の中で第4次入札に関し、「石油・ガスの存在可能性が高い地点での海 参底探査、探査坑井10か所の掘削が含まれる。」と記されている。これまで石油省から発表された第4次入札対象鉱区は、今のところすべて陸上であるが、当初海上での探査を志向していたと思われる記載が同計画に残されている。 し、将来、海上での探査・開発が実施されることになれば、治安リスクを軽減した事業をイラクで実施で もきるというメリットが生まれる。アフリカで治安の悪いナイジェリアやカメルーン、アンゴラでは、陸上の治安情勢の影響を受けにくい海上油ガス田が安定的に操業しており、国内の治安状況に左右されにくい油ガス田の開発はイラク政府にとっても魅力的な事業になるのではないかと思われる。 今般、イラク石油省は2014年までの4カ年計画を発表したが、その内容からこれまでよく分らなかったイラクの石油部門への取り組みに関する思考を垣間見ることができる。イラクがどのような思考で事業を実施しているかということを知ることは、無数に存在するイラク関連情報を的確に抽出し、それを基にした適切な事業判断を行うために重要な情報となる。それらを踏まえ、イラク石油開発を取り巻くOPEC生産枠などの外的要因、国内政治動向やエネルギー分野の主要閣僚の発言、現地での既存油ガス田開発案件の進捗、関連インフラ建設事業の進捗等にも注意を払い、イラク石油分野の政策の変化を今後もフォローし続けていくことが必要である。 以上 ? 12 ? まとめ ●Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
地域1 中東
国1 イラク
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラク
2011/08/18 西村 昇平
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